JP3179139B2 - 樹脂成形品の製造方法 - Google Patents

樹脂成形品の製造方法

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誠治 小林
重雄 松丸
孝一 割野
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、自動車の後部のストッ
プランプ間に装着されるバックパネル等の樹脂成形品の
製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】従来、コンパクトディスク、レーザディ
スク等のディスクはいわゆる射出圧縮成形法により、次
のようにして成形されている。即ち、図6に示すよう
に、図中上側の固定型11と下側の可動型12とによっ
て成形品形状をなすキャビティ13が設けられている。
同キャビティ13のほぼ中央部には上下一対の円柱状の
スライドコア14a,14bが配設され、上部スライド
コア14a内には上下に延びるスプルー15とその下端
から左右に延び前記キャビティ13に開口するゲート1
6とが設けられている。
【0003】そして、図7に示すように、予め可動型1
2を固定型11からわずかに離間した状態で、前記スプ
ルー15、ゲート16を介してキャビティ13内へ溶融
したポリメチルメタクリレート(以下PMMAという)
からなる樹脂材料18を射出する。次いで、可動型12
を固定型11に対して型締めしてキャビティ13内の樹
脂材料18を圧縮する。樹脂材料18が冷却した後、型
開きして成形品を取り出すことにより、図8に示すよう
な円環状のディスク17が得られる。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】前記ディスク17を成
形するための金型におけるキャビティ13の厚さは、約
1.2mm であり、ゲート16の厚さはそれより薄い約0.5m
m である。このようなキャビティ13の厚さ、即ち成形
品の厚さが薄い場合には、キャビティ13内の樹脂材料
13を十分に圧縮することができる。ところが、前記バ
ックパネルのように、その厚さが2.5 〜3.5mm という厚
い成形品にこの射出圧縮成形法を適用する場合、ゲート
16の厚さが薄いと、ゲート16内にある樹脂材料18
がキャビティ13内の樹脂材料18よりも早く冷却され
て固化する。そのため、キャビティ13内の樹脂材料1
8の圧縮が途中で妨げられて十分に行われなくなる。そ
の結果、得られる成形品に歪みが残留して、反り等の原
因になるという問題点がある。
【0005】本発明は上記問題点を解消するためになさ
れたものであって、その目的は、キャビティ内の樹脂材
料を十分に圧縮することができ、残留歪みが少ない樹脂
成形品の製造方法を提供することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため
に、本発明では、固定型と可動型とからなる一対の金型
本体を用いて樹脂成型品を製造する方法であって、前記
金型本体は、樹脂成形品形状のキャビティと同キャビテ
ィ内に樹脂材料を射出するゲートとを有し、同ゲート
型割面に沿って前記可動型に設けるとともに前記ゲート
の厚さを前記キャビティの厚さよりも厚く設定し、予め
金型本体をわずかに開いた状態で前記ゲートよりキャビ
ティ内に樹脂材料を射出するか、又は前記ゲートより射
出される樹脂材料の射出圧により金型本体をわずかに型
開きさせ、前記キャビティ内に樹脂材料を射出する工程
と、わずかに開いた前記金型本体を型締めして前記キャ
ビティ内の樹脂材料及びゲート内の樹脂材料を型締め方
向に圧縮する工程とを有する樹脂成形品の製造方法その
要旨としている。
【0007】
【作用】樹脂材料を射出する工程において、予め両金型
本体をわずかに開いた状態又は樹脂材料の射出圧で両金
型本体がわずかに開くようにゲートから成形品形状をな
すキャビティ内ヘ樹脂材料を射出する。次いで、樹脂材
料を圧縮する工程において、わずかに開いた金型本体を
型締めすることにより、キャビティ内の樹脂材料を金型
本体の型締め方向へ圧縮する。このとき、ゲートの厚さ
はキャビティの厚さよりも厚く形成されているので、ゲ
ート内の樹脂材料の冷却がキャビティ内の樹脂材料の冷
却よりも遅くなり、従ってゲート内の樹脂材料が溶融し
た状態でキャビティ内の樹脂材料の圧縮が円滑に行われ
る。
【0008】
【実施例】以下に本発明をバックパネルの製造方法に具
体化した実施例について図1〜5に従って説明する。
【0009】図5に示すように、本実施例の樹脂成形品
としてのバックパネル1は板状をなしている。同バック
パネル1は透明樹脂であるポリメチルメタクリレート
(以下PMMAという)で形成されている。このPMM
Aは十分な硬度と耐久性を有しているので、外装樹脂製
品として好適なものである。
【0010】次に、このバックパネル1を成形するため
の射出圧縮成形用の金型について説明する。図3に示す
ように、図中上側の固定型2と下側の可動型3とから成
形品形状をなすキャビティ4が設けられている。同キャ
ビティ4の右端部における可動型3には、ゲート5が開
口されている。なお、図5の二点鎖線に示すように、こ
のゲート5の上部には、上下に延びるスプルー6が連通
され、このスプルー6から前記ゲート5を介してキャビ
ティ4内へ溶融した樹脂材料を射出できるようになって
いる。
【0011】前記キャビティ4の厚さdは、バックパネ
ル1の厚さに対応して3.0mmという厚肉に設定されてい
る。また、ゲート5の厚さDは、キャビティ4の厚さd
よりも 1.0mmだけ厚い 4.0mmに設定されている。このゲ
ート5の厚さDは、キャビティ4の厚さdよりも 0.5〜
1.0mm厚いことが好適である。 0.5mm未満ではゲート5
内の樹脂材料が早く固化してキャビティ4内の樹脂材料
の圧縮が妨げられて圧縮不十分となり、 1.0mmを越える
とゲート5内の樹脂材料が多くなり過ぎて成形後に不要
部分となるこのゲート5部分の切断処理が面倒となって
好ましくない。
【0012】次に、上記のような金型を用いたバックパ
ネル1の製造方法について説明する。まず、樹脂材料を
キャビティ4内に射出する工程について説明する。図3
に示すように、可動型3を固定型2に対して型締めした
状態でスプルー6、ゲート5を介してキャビティ4内へ
樹脂材料としての溶融したPMMA7を射出する。この
ときのPMMA7の射出圧は400〜500kg/cm2であ
る。すると、図1に示すように、このPMMA7の射出
圧によって可動型3は固定型2からわずかに離間する。
【0013】次に、樹脂材料としてのPMMA7を圧縮
する工程について説明する。上記PMMA7の射出が完
了した後、図4に示すように、可動型3を固定型2側へ
移動させて型締めし、キャビティ4内のPMMA7を型
締め方向、即ちキャビティ4の厚さd方向へ圧縮する。
このとき、ゲート5の厚さDは、キャビティ4の厚さd
より厚く形成されているので、ゲート5内のPMMA7
はキャビティ4内のPMMA7よりも冷却が遅くなる。
【0014】従って、キャビティ4内のPMMA7を圧
縮する際に、ゲート5内のPMMA7は溶融状態を保持
しているので、キャビティ4内のPMMA7の圧縮が途
中で妨げられることなく十分に行われ、PMMA7の配
向がキャビティ4の長さ方向から厚さ方向へ変えられ
る。次に、圧縮が完了した後、可動型3を固定型2から
離間し、常法により成形品を取り出すことによって、図
5に示すようなバックパネル1が得られる。このように
して得られたバックパネル1は、残留歪みが少なくな
る。
【0015】上記のように、本実施例のバックパネル1
の製造方法によれば、ゲート5の厚さDをキャビティ4
の厚さdより 1.0mm厚くしたので、キャビティ4内の樹
脂材料7を圧縮する際にゲート5内の樹脂材料7が溶融
状態を保持することができ、従ってその状態でキャビテ
ィ4内の樹脂材料7を有効にしかも確実に圧縮すること
ができる。その結果、得られるバックパネル1の残留歪
みが低減され、バックパネル1の使用時における経時的
な反り等の変形が防止される。
【0016】本発明は上記実施例に限定されるものでは
なく、発明の趣旨を逸脱しない範囲で例えば以下のよう
に構成してもよい。 (1)前記実施例では、樹脂材料7の射出圧によって可
動型3を固定型2からわずかに離間させたが、予め可動
型3を固定型2からわずかに離間させた状態で、樹脂材
料7をキャビティ4内へ射出してもよい。 (2)前記実施例では、ゲート5を可動型3に設けた
が、これを固定型2に設けてもよい。 (3)樹脂材料7として、ポリカーボネート(PC)等
を用いてもよい。 (4)本発明における樹脂成形品としては、ランプカバ
ー、ラジエータグリル等であってもよい。
【0017】
【発明の効果】本発明の樹脂成形品の製造方法によれ
ば、キャビティ内の樹脂材料を十分にかつ確実に圧縮す
ることができ、成形品の残留歪みが非常に少なく、変形
が防止されるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施例を表す図であって、キャビティ
内へ樹脂材料を射出した状態を示す金型の断面図であ
る。
【図2】キャビティ内へ樹脂材料を射出した状態を示す
金型の要部拡大断面図である。
【図3】キャビティ内へ樹脂材料を射出する前の状態を
示す金型の断面図である。
【図4】キャビティ内の樹脂材料を圧縮した後の金型の
断面図である。
【図5】樹脂成形品としてのバックパネルを示す斜視図
である。
【図6】従来例を表す図であって、キャビティ内に樹脂
材料を射出する前の状態を示す金型の断面図である。
【図7】キャビティ内に樹脂材料を射出した後の状態を
示す金型の断面図である。
【図8】ディスクを示す斜視図である。
【符号の説明】
1…樹脂成形品としてのバックパネル、2…金型本体と
しての固定型、3…金型本体としての可動型、4…キャ
ビティ、5…ゲート、7…樹脂材料としてのPMMA、
D…ゲートの厚さ、d…キャビティの厚さ。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 松丸 重雄 埼玉県大宮市大字高木字天神1480番2 株式会社 クラレ 内 (72)発明者 割野 孝一 埼玉県大宮市大字高木字天神1480番2 株式会社 クラレ 内 (56)参考文献 特開 昭63−35326(JP,A) 特開 昭54−148055(JP,A) 特開 平2−147225(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) B29C 45/00 - 45/84

Claims (1)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 固定型(2)と可動型(3)とからなる
    一対の金型本体(2,3)を用いて樹脂成型品(1)を
    製造する方法であって、 前記金型本体(2,3)は、 樹脂成形品(1)形状のキ
    ャビティ(4)と同キャビティ(4)内に樹脂材料
    (7)を射出するゲート(5)とを有し、 同ゲート(5)を型割面に沿って前記可動型(3)に設
    けるとともに、前記ゲート(5)の厚さ(D)を前記キ
    ャビティ(4)の厚さ(d)よりも厚く設定し、 予め金型本体(2,3)をわずかに開いた状態で前記ゲ
    ート(5)よりキャビティ(4)内に樹脂材料(7)を
    射出するか、又は前記ゲート(5)より射出される樹脂
    材料(7)の射出圧により金型本体(2,3)をわずか
    に型開きさせ、前記キャビティ(4)内に樹脂材料
    (7)を射出する工程と、 わずかに開いた前記金型本体(2,3)を型締めして前
    記キャビティ(4)内の樹脂材料(7)及びゲート
    (5)内の樹脂材料を型締め方向に圧縮する工程とを有
    することを特徴とする樹脂成形品の製造方法。
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