JP3178807B2 - 新規色素前駆体、新規色素、及びそれらの製造方法 - Google Patents

新規色素前駆体、新規色素、及びそれらの製造方法

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JP3178807B2 JP32383197A JP32383197A JP3178807B2 JP 3178807 B2 JP3178807 B2 JP 3178807B2 JP 32383197 A JP32383197 A JP 32383197A JP 32383197 A JP32383197 A JP 32383197A JP 3178807 B2 JP3178807 B2 JP 3178807B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、PeCSO分解物
とアミノ酸を反応させることにより生成される新規な色
素前駆体、当該色素前駆体を製造する方法、上記色素前
駆体を用いて誘導される色調の安定した新規な色素、及
びその製造方法、に関するものであり、さらに詳しく
は、玉葱とにんにくを混合することによって得られる青
色色素の前駆体である新規な化合物、当該新規な色素前
駆体を効率よく製造する方法、及び当該前駆体化合物か
ら誘導される赤紫色色素等の色素、及びそれらの色素を
効率よく製造する方法に関するものである。本発明によ
り得られる上記色素前駆体は、食用作物由来の成分から
誘導される新規化合物であり、例えば赤紫色の食用色素
等を製造するための原料物質として有用である。
【0002】
【従来の技術】本発明者らは、これまで、玉葱とにんに
くを混合した際に生成される天然青色色素を、例えば食
品、特に低いpHの食品の着色材料として用いることを
目標として鋭意研究を進める中で、比較的澄んだ色調の
天然青色色素を簡便かつ効率的に製造することができる
方法を確立し、既に、平成7年特許願第59975号、
及び平成8年特許願第174118号として特許出願を
している。
【0003】これらの特許出願のうち、前者の出願に係
る発明は、玉葱等のにんにくを除くアリウム(Alli
um)属及びその交配種から選ばれる植物の鱗茎の水抽
出物と、にんにくの鱗茎の水抽出物とを所定の割合で混
合して青色色素を生成させることを特徴とする青色色素
の製造方法である。また、後者の出願に係る発明は、水
溶液中でトランス−(+)−S−(1−プロペニル)−
L−システイン スルホキシド(PeCSO)とアリイ
ナーゼとの反応物、アミノ酸及びアリシンを共存させ、
加温保持することを特徴とする青色色素の製造方法であ
る。
【0004】しかし、上記方法では、色素誘導反応の初
期段階で不純物を除去しても、その後の反応段階で新た
に不純物が生成されるという問題があり、色素を量産す
る方法としてはさらに改良が必要であった。また、上記
方法では、色素を濃縮する場合には、安定化剤として、
糖類等の添加物を加えることが必要であった。そのた
め、色素を食品に使用すると、食品の種類によっては、
食品の風味への影響が大きく、その添加量が制限される
という問題もあった。そこで、本発明者らは、上記方法
を基礎として、不純物の含有量が少なく、かつ安定性が
高く、より利用範囲の広い天然青色色素を効率よく製造
するという課題を解決することを目標としてさらに検討
を試みた。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】このような状況の中
で、本発明者らは、上記色素の生成機構について研究を
開始し、その詳細を解明すべく種々研究を積み重ねた結
果、PeCSOがアリイナーゼで分解された後アミノ酸
と反応してできる色素前駆体(pp;pigment
precursor)を精製しその構造を決定すると共
に、当該色素前駆体を用いた色素の新しい製造方法を確
立することに成功し、本発明を完成するに至った。本発
明は、従来のものよりも不純物が少なく、また、濃縮し
て使用する場合でも糖類等の添加を必要としない、色調
の安定した色素を効率よく誘導することができる新規色
素前駆体と、この色素前駆体を製造する方法を提供する
ことを目的とする。また、上記の新規色素前駆体を使用
して上記特性を有する色素を効率よく製造する方法を提
供することを目的とする。さらに、上記色素前駆体を使
用することによって得られる上記特性を備えた赤紫色色
素であって、新規の化学構造を有する化合物と、当該赤
紫色色素を製造する方法を提供することを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】上記課題を解決するため
の本発明は、以下の技術的手段から構成される。1)一
般式(1)
【化5】 (式中、Rはアミノ酸の一般式RCH(NH 2 )COO
に由来する置換基を表す。)で示される色素前駆体。 2)上記1)に記載の色素前駆体であって、RがL−バ
リンに由来する置換基であることを特徴とする、式
(2)
【化6】 で示される色素前駆体。 3)上記1)に記載の色素前駆体であって、RがL−ア
ラニンに由来する置換基であることを特徴とする、式
(3)
【化7】 で示される色素前駆体。 4)上記2)に記載の色素前駆体とアリシンとの反応に
よって誘導される、式(4)
【化8】 で表される赤紫色色素。 5)次の(1)〜(4)の工程; (1)トランス−(+)−S−(1−プロペニル)−L
−システイン スルホキシド(PeCSO)とアリイナ
ーゼとを反応させて得られたPeCSO分解物を、水不
溶性有機溶媒で抽出処理する工程、 (2)上記水不溶性有機溶媒を除去した後、上記PeC
SO分解物及びアミノ酸を緩衝液中に共存させ、加温又
は加熱処理を施すことによってPeCSO分解物−アミ
ノ酸反応物を誘導する工程、 (3)水不溶性有機溶媒で前記反応物を抽出処理した
後、前記水不溶性有機溶媒を除去する工程、 (4)抽出処理後の前記反応物を水可溶性有機溶媒に溶
解させた後、逆相カラムで精製する工程、を含んでなる
ことを特徴とする上記1)〜3)のいずれか1項に記載
の色素前駆体の製造方法。 6)上記1)〜3)のいずれか1項に記載の色素前駆体
と、アリシンとを水溶液中で混合し、加温又は加熱処理
を施すことを特徴とする色素の製造方法。 7)上記式(4)で表される赤紫色色素を製造する方法
であって、上記2)に記載の色素前駆体及びアリシンを
水溶液中で混合し、加温又は加熱処理した後、水不溶性
有機溶媒で洗浄し、次いで、前記水不溶性有機溶媒を除
去し、その後、逆相カラムで精製処理することを特徴と
する赤紫色色素の製造方法。 8)色素前駆体とアリシンの割合(mole比)が、色
素前駆体:アリシン=1:0.5〜3であることを特徴
とする上記6)又は7)の色素の製造方法。 9)37°C〜100°Cで加温又は加熱処理を施すこ
とを特徴とする上記6)〜8)のいずれか1項に記載の
赤紫色色素の製造方法。なお、上記式において、Rはア
ミノ酸の一般式RCH(NH 2 )COOHに由来する置
換基を表し、アミノ酸の構造部分に由来する置換基であ
ることを意味する。
【0007】
【発明の実施の形態】次に、本発明についてさらに詳細
に説明する。PeCSO分解物とアミノ酸を反応させる
ことにより、色素を誘導する上で必須となる色素前駆体
が生成されるが、本出願人の先願に係る方法で色素を製
造すると、色素誘導反応の段階で不純物が誘導され、そ
の結果、比較的不純物の多い色素液が得られる。その原
因について、種々検討した結果、本発明者らは、PeC
SO分解物とアミノ酸の反応によって、色素前駆体以外
の不要な反応物も同時に生成されるために、不純物の誘
導が多く、安定的な色素の製造が困難になっているもの
と仮定し、不純物の少ない色素と、当該色素を効率よく
誘導する方法について検討を重ねたところ、上記式
(1)〜(3)で表される新規の色素前駆体を見出し、
これを単離し、構造を決定することに成功した。
【0008】また、上記構造の色素前駆体を使用して色
素を誘導したところ、不純物の少ない色素を安定的に作
製することができたが、この色素溶液は、青色、緑色、
紫色等の多種類の色素を含んでいるものであることを見
出した。そこで、誘導した色素を分離し、それぞれを色
素として使用することを検討したところ、以下の精製方
法を確立することに成功した。
【0009】すなわち、エーテル等の水不溶性有機溶媒
を上記色素溶液に加えることによって、水層、エマルジ
ョン層及び水不溶性有機溶媒層に分画し、青色色素又は
青緑色色素を上記エマルジョン層及び水不溶性有機溶媒
層に、また紫色色素を上記水層にそれぞれ分画すること
で、色調の異なる色素を精製することができるという知
見を得た。さらに、得られた各色素は、濃縮した場合で
も、糖類等を添加せずとも分解しないものであることも
判明した。また、PeCSO分解物とバリンの反応生成
物である色素前駆体を使用して色素溶液を作製し、この
溶液を水不溶性有機溶媒に溶解させて分画した水層を逆
相カラム等で精製処理すると、酸性領域でも非常に安定
で、耐熱性も優れた新規の構造を有する上記式(4)で
示される赤紫色色素が得られるという知見も得た。
【0010】まず、本発明の新規色素前駆体の誘導方法
について、図13に示す製造フローに基づいて説明す
る。 (1)PeCSO分解物を水不溶性有機溶媒で抽出する
工程 PeCSOにアリイナーゼを作用させて得られるPeC
SO分解物を、水不溶性有機溶媒、例えば、エーテル、
酢酸エチル、クロロホルム等の水不溶性有機溶媒で抽出
する。PeCSO分解物を当該工程を経ずにアミノ酸と
反応させ、色素前駆体を精製した場合には、本発明の新
規色素前駆体を誘導し難くなる傾向となる。また、誘導
できたとしても、その誘導量は著しく少なくなる傾向と
なる。その原因としては、色素前駆体の置換基が好適な
ものに置換されないからと考えられる。すなわち、この
場合は、新規色素前駆体を容易に誘導することができ、
かつその誘導量も多いバリン、アラニン等のアミノ酸と
反応する前に、他の置換基と結合する可能性が高い。
【0011】(2)緩衝液中での処理 PeCSO分解物とアミノ酸を、緩衝液中で反応させ
て、色素前駆体を含むPeCSO分解物とアミノ酸の反
応物を誘導する。加温又は加熱下で反応させることによ
り、色素前駆体を単時間で誘導することができる。緩衝
液としては、リン酸緩衝液、酢酸緩衝液、マックルバイ
ン緩衝液等の公知のものを使用すればよく、中でも酢酸
緩衝液が好適である。PeCSO分解物と反応させるア
ミノ酸としては、バリン、アラニン、グリシン、グルタ
ミン、セリン、スレオニン、アスパラギン、エチルシス
テイン、グルタミン酸、アルギニン、チオニン、2−
アミノ酪酸、ロイシン、イソロイシン、フェニルアラニ
ン、リジン、3−アミノ酪酸等が挙げられ、これらを1
種又は2種以上使用することができる。緩衝液中での反
応温度は、37°C〜100°C、さらに好ましくは6
0°C〜100°Cである。また、緩衝液中での反応時
間は、例えば沸騰水中で、1分〜60分、さらに好まし
くは5分〜25分が好適である。
【0012】(3)水不溶性有機溶媒で抽出 PeCSO分解物−アミノ酸化合物を、エーテル等の水
不溶性有機溶媒で抽出する。水不溶性有機溶媒は、エー
テル、クロロホルム、酢酸エチル、n−ヘキサン等を使
用すればよい。抽出処理後、エバポレーター等を使用し
て、水不溶性有機溶媒を除去する。 (4)水可溶性有機溶媒での抽出 水可溶性有機溶媒としては、メタノール、エタノール、
DMSO、プロパノール等が挙げられる。 (5)逆相カラム等による精製処理 水可溶性有機溶媒で抽出された画分を、逆相カラム等の
精製手段で精製する。逆相カラムとしては、ファルマシ
ア製 RP−18カラム等、任意のものを使用すればよ
い。以上の処理により、本発明の新規色素前駆体を得る
ことができる。
【0013】本発明の新規色素前駆体の物理化学的性状
を以下に記載する。 1.式(2)で表される色素前駆体 (1)外観:無色針状結晶 (2)融点:70°C〜72°C (3)比旋光度:〔α〕24 D 0.2、CH3 OH)−6.5° (4)分子式:C1117NO2 (5)高分解能EI−MS:(Found)195.1265(M+ ) (Calcd.)195.1260(M+ ) (6)溶解性:メタノール、エーテル、クロロホルム、ヘキサンに可溶:水に難 溶 (7)紫外線吸収スペクトルλ max nm(メタノール中) 図1 :中性 220(4900) 酸性 220(5500) 塩基性 230(5200) (8)赤外吸収スペクトル(KBrディスク法) 図2 :2964, 2929, 2873, 1716, 1467, 1444, 1394, 1394, 1363, 1292, 1195, 1159, 771(cm−1) (9) 1H NMRスペクトル(500MHz、重ジメチルスルホキシド) 図 3 :0.61(d,3H)、 0.87(d,3H)、 1.86(s,3 H)×2、 2.15(d,q,q,1H)、 3,87(d,1H) 、 6.45(s,1H)×2 (10)13C NMRスペクトル(125MHz、重ジメチルスルホキシド) 図4 :10.1(q)×2、 18.5(q)、 19.4(q)、 31. 5(d)、 69.2(d)、 115.7(S)×2、 118.1 (d)×2、 172.2(S)
【0014】 2.式(3)で表される色素前駆体 (1)外観:無色針状結晶 (2)融点:38°C〜40°C (3)比旋光度:〔α〕24 D 0.2、CH3 OH)+22° (4)分子式:C9 13NO2 (5)高分解能EI−MS:(Found)167.0947(M+ ) (Calcd.)167.0946(M+ ) (6)溶解性:メタノール、エーテル、クロロホルム、ヘキサンに可溶:水に難 溶 (7)紫外線吸収スペクトルλ max nm(ε) 図9 :中性 222(5600) 酸性 222(5600) 塩基性 228(6300) (8)赤外吸収スペクトル(KBrディスク法) 図10 :3660, 2987, 2931, 2861, 2514, 1704, 1535, 1454, 1402, 1400, 1365, 1220, 1172, 1076, 1024, 960, 935, 767(cm−1) (9) 1H NMRスペクトル(500MHz、重ジメチルスルホキシド)を図 11に示す。 :1.47(d,3H)、 1.86(s,3H)×2、 4.61(d ,q,1H)、 6.45(s,1H)×2 (10)13C NMRスペクトル(125MHz、重ジメチルスルホキシド) を図12に示す。 :10.0(q)×2、 18.0(q)、 55.7(d)、 116 .3(s)×2、 117.5(d)×2、 172.9(q)
【0015】次に、上記色素前駆体を用いた色素の製造
方法について、図14に示す製造フローに基づいて説明
する。 (1)式(2)で表される色素前駆体のアリシン処理 PP−Valとアリシンを混合し、この混合物を加温/
加熱処理する。PP−Valとアリシンの混合比率は、
PP−Val: アリシン=1:0.5〜3であること
が好ましい。これによって、同一色調を有する色素を安
定的かつ多量に生産することが可能となる。加温処理の
温度と時間は、37°Cで1日〜7日、さらには4日〜
7日であることが好ましい。また、加熱処理の温度と時
間は、例えば100°Cで、1〜30分、さらには5分
〜25分であることが好ましい。 (2)水不溶性有機溶媒による抽出処理 上記処理が施されたPP−Valに、エーテル等の水不
溶性有機溶媒による抽出処理を施す。水不溶性有機溶媒
は、クロロホルム、酢酸エチル等を使用すればよい。
【0016】(3)水層、エマルジョン層、水不溶性有
機溶媒層に分画 誘導した色素に水不溶性有機溶媒による抽出処理を施し
た後、水層、エマルジョン層、水不溶性有機溶媒層の3
層に分画する。上記水層については、例えば、残存する
水不溶性有機溶媒を除去するために、エバポレーターに
かける。 逆相カラムを使って、水層に含まれている色
素をカラムに吸着させ、次いでカラムを洗浄し、カラム
に吸着していた色素をメタノール等の水可溶性有機溶媒
に溶出させる。水可溶性有機溶媒としては、メタノー
ル、エタノール、プロパノール等を使用すればよい。
水可溶性有機溶媒に溶出された色素を逆相カラム等の精
製手段で精製すると、上記式(4)に係る赤紫色色素を
単離することができる。また、上記エマルジョン層を濃
縮すると、青色色素を得ることができる。さらに、上記
水不溶性有機溶媒層を濃縮すると、青〜青緑色色素を得
ることができる。
【0017】上記方法により得られる新規な赤紫色色素
の物理化学的性状を以下に記載する。 (1)外観:紫色粉末 (2)融点:161°C〜164°C(分解) (3)分子式:C25352 4 (4)高分解能FAB−MS :(Found)427.2589(M+) :(Calcd.)427.2581(M+ ) (5)溶解性:メタノール、ジメチルスルホキシドに可溶 エーテル、クロロホ ルムに不溶 (6)紫外線吸収スペクトル λ max nm(メタノール中) 図5 :中性 570(95000) 酸性 567(150000) 塩基性 297(20000) (7)赤外吸収スペクトル(KBrディスク法) 図6 :3428, 3126, 2962, 2923, 2871, 1681, 1577, 1540, 1500, 1446, 1386, 1261(cm−1)
【0018】 (8) 1H NMRスペクトル(500MHz、重メタノール) 図7 :0.76(d,3H)×2、 1.06(d,3H)×2、 2.02(s,3H)×2、 2.36(s,3H)×2、 2.41(d,q,q,1H)×2、 4.57(d,1H) ×2、 7.39(t,1H)、 7.75(S,1H)×2 、 8.07(d,1H)×2 (9)13C NMRスペクトル(125MHz、重メタノール) 図8 :9.8(q)×2、 13.5(q)×2、 19.1(q) ×2、 20.0(q)×2、 32.9(d)×2、 68 .5(d)×2 119.6(d)、 128.0(s)×2、 135.4( s)×2、 138(s)×2、 140.9(d)×2 146.4(d)×2、 173.6(s)×2
【0019】本発明に係る色素前駆体物質、色素化合物
の有用性等を以下に説明する。 (1)用途 本発明に係る色素前駆体物質は、不純物の少ない色素、
特に、利用範囲の広い濃縮色素を効率よく誘導する原料
物質として有用である。本発明に係る色素化合物は、天
然の成分から生成できる赤紫色等の色素として、食品等
の着色原料として有用である。 (2)上記式(1)の色素前駆体 当該色素前駆体は、新規の化学構造を有しており、不純
物の少ない天然色素を誘導することができる。酸性条件
下でも構造が安定である。濃縮天然色素を製造する場合
に、糖類などの安定化剤を添加しなくても高濃縮度の色
素を製造することができる。上記高濃縮度の色素は、不
純物が非常に少ないので、食品に多量に使用した場合で
あっても、食品の風味への影響を最小限に留めることが
できる。 (3)上記式(2)に係る色素前駆体 この物質により誘導された色素は、新規の化学構造を有
するものであって、本発明に係る式(1)で表される色
素前駆体により誘導される色素の中でも紫色が強い色素
であるという特徴を有する。色調の安定性が優れてい
る。また、本発明に係る色素前駆体の中でも、この物質
は色素の誘導効率が高く、色素の大量生産に用いる前駆
体として好適である。 (4)上記式(3)に係る色素前駆体 この物質により誘導された色素は、新規の化学構造を有
しており、本発明に係る式(1)で表される色素前駆体
により誘導される色素の中でも青色が強い色素であると
いう特徴を有する。色調の安定性が優れている。また、
本発明に係る色素前駆体の中でも、この物質は色素の誘
導効率が高く、色素の大量生産に用いる前駆体として好
適である。 (5)上記式(4)に係る色素 この赤紫色色素は、新規の化学構造を有し、特に耐酸
性、耐熱性において非常に優れた安定性を有するもので
ある。用途は限定されないが、例えば、食品、特に低p
H食品に好適に用いることができる。
【0020】
【実施例】次に、実施例に基づいて本発明を具体的に説
明するが、本発明は、当該実施例により何ら限定される
ものではない。 実施例1 式(2)で表される新規色素前駆体の誘導 (1)pH5.6の0.1M酢酸ナトリウム緩衝液20
0mlに、PeCSO粉末2.0gを添加し、この混合
物を37°Cで加温保持した。 (2)次いで、上記混合物に1500U/mlのアリイ
ナーゼ18mlを添加し、37°Cで3分間反応させた
後、エーテル抽出を3回行ない、エーテル層をエバポレ
ーターで乾燥処理して、PeCSO分解物を得た。 (3)上記乾燥物を、pH5.6の酢酸ナトリウム緩衝
液200mlとバリン9.34gからなる混合物に添加
し、沸騰水中で15分間加熱処理を施し、PeCSO分
解物とバリンの反応物を得た。
【0021】(4)上記PeCSO分解物とバリンの反
応物を冷却処理した後、エーテル抽出処理を3回施し、
エーテル層をエバポレーターで乾燥し、水可溶性有機溶
媒である70%酸性メタノール20mlに溶解させた。 (5)次いで、逆相カラムSep pak C−18に
通し、不純物を除去し、これをMPLC(中圧液体クロ
マトグラフィー)で分離し、式(2)で表される新規色
素前駆体186.73mgを得た。なお、使用したMP
LCの諸条件以下に示す。 ・カラム:ファルマシア製 RP−18カラム ・移動相:酸性水(pH3.3 with TFA) :メタノール=3:7 ・流速:8ml/分
【0022】実施例2 1.新規色素前駆体から赤紫色色素を誘導 (1)実施例1で得られた式(2)で表される新規色素
前駆体18.73mgにpH5.6の0.1M酢酸緩衝
液161.8mlを加えた。次に27.3mMのアリシ
ン溶液30mlを添加した。その後pH5.6の0.1
M酢酸緩衝液131.8mlを加えて、沸騰水中で25
分間加熱処理を施した。 (2)上記反応液をエーテルにて2回洗浄を行ない、エ
ーテル層に青緑色色素、エマルジョン層に青色色素、水
層に青紫色色素を分画した。次いで反応液とエーテルの
混合物から水層を分画し、この水層をエバポレーターに
かけて、エーテルを除去した。 (3)得られた水溶液を、逆相カラムSep Pak
C−18に通し、色素を吸着させた。 (4)次いで、吸着させた色素を水で洗浄した後、前記
色素を70%酸性メタノールに溶出させた。 (5)上記メタノールに含まれている赤紫色色素をMP
LCで分取し、赤紫色色素3.2mgを単離した。な
を、使用したMPLC条件は以下のとおりである。 流速:8ml/min、 検出:570nm移動相は、酸性水(pH3.3 with TFA) :メタノール=3:7 カラムは、メルク社製RP−18を使用した。
【0023】2.比較試験 (方法) (1)本発明の赤紫色色素と赤キャベツ色素を、pH
5.6の0.1M酢酸バッファーに溶解し、それぞれの
極大吸収での吸光度を約1.0に調節した。赤紫色色素
の吸光度は、1.005であり、赤キャベツ色素の吸光
度は、1.009であった。 (2)上記色素溶液を3ml、ネジ付き試験管に取り、
沸騰水中で10分間加熱処理した。 (3)すぐに冷却し、吸光度を測定した。 (4)安定性は、下記の式により、極大吸収波長におけ
る吸光度変化で評価した。 安定性(%)=(加熱後の吸光度)×100/(加熱前
の吸光度) (結果)n=5の実験の結果は、下表の通りである。こ
の表により、本発明の赤紫色色素は、赤キャベツ色素よ
りも耐熱性において優れていることが判明した。
【0024】
【表1】 赤紫色色素 赤キャベツ色素 安定性の平均値 97.5 49.1 標準誤差 0.2 0.2
【0025】
【発明の効果】以上詳述したように、本発明によれば、
玉葱とにんにくを混合することによって得られる青色色
素の新規な前駆体化合物、及び当該化合物を効率よく精
製する方法を提供することができる。また、上記新規な
前駆体化合物を用いて効率よく色調の安定した赤紫色色
素等の色素を製造することができる。製造される色素
は、安定化剤を加えなくても濃縮することができる。得
られた上記赤紫色色素等の色素は、例えば、食用色素等
として有用である。
【図面の簡単な説明】
【図1】式(2)で表される新規色素前駆体の紫外線吸
収スペクトルを示す。
【図2】上記色素前駆体の赤外吸収スペクトルを示す。
【図3】上記色素前駆体の 1H NMRスペクトルを示
す。
【図4】上記色素前駆体の13C NMRスペクトルを示
す。
【図5】新規赤紫色色素の紫外線吸収スペクトルを示
す。
【図6】上記赤紫色色素の赤外吸収スペクトルを示す。
【図7】上記赤紫色色素の 1H NMRスペクトルを示
す。
【図8】上記赤紫色色素の13C NMRスペクトルを示
す。
【図9】式(3)で表される新規色素前駆体の紫外線吸
収スペクトル
【図10】同式(3)で表される新規色素前駆体の赤外
吸収スペクトルを示す。
【図11】同式(3)で表される新規色素前駆体の 1
NMRスペクトルを示す。
【図12】同反応生成物の13C NMRスペクトルを示
す。
【図13】本発明の色素前駆体の製造フローを示す。
【図14】上記色素前駆体を用いた色素の製造フローを
示す。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 平尾 香 大阪府東大阪市御厨栄町1丁目5番7号 ハウス食品株式会社内 (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) C07D 207/327 A23L 1/272 C07D 207/337 C09B 23/00 C09B 61/00 CA(STN) REGISTRY(STN)

Claims (9)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 一般式(1) 【化1】 (式中、Rはアミノ酸の一般式RCH(NH 2 )COO
    に由来する置換基を表す。)で示される色素前駆体。
  2. 【請求項2】 請求項1に記載の色素前駆体であって、
    RがL−バリンに由来する置換基であることを特徴とす
    る、式(2) 【化2】 で示される色素前駆体。
  3. 【請求項3】 請求項1に記載の色素前駆体であって、
    RがL−アラニンに由来する置換基であることを特徴と
    する、式(3) 【化3】 で示される色素前駆体。
  4. 【請求項4】 請求項2に記載の色素前駆体とアリシン
    との反応によって誘導される、式(4) 【化4】 で表される赤紫色色素。
  5. 【請求項5】 次の(1)〜(4)の工程; (1)トランス−(+)−S−(1−プロペニル)−L
    −システイン スルホキシド(PeCSO)とアリイナ
    ーゼとを反応させて得られたPeCSO分解物を、水不
    溶性有機溶媒で抽出処理する工程、 (2)上記水不溶性有機溶媒を除去した後、上記PeC
    SO分解物及びアミノ酸を緩衝液中に共存させ、加温又
    は加熱処理を施すことによってPeCSO分解物−アミ
    ノ酸反応物を誘導する工程、 (3)水不溶性有機溶媒で前記反応物を抽出処理した
    後、前記水不溶性有機溶媒を除去する工程、 (4)抽出処理後の前記反応物を水可溶性有機溶媒に溶
    解させた後、逆相カラムで精製する工程、 を含んでなることを特徴とする請求項1〜請求項3のい
    ずれか1項に記載の色素前駆体の製造方法。
  6. 【請求項6】 請求項1〜請求項3のいずれか1項に記
    載の色素前駆体と、アリシンとを水溶液中で混合し、加
    温又は加熱処理を施すことを特徴とする色素の製造方
    法。
  7. 【請求項7】 上記式(4)で表される赤紫色色素を製
    造する方法であって、請求項2に記載の色素前駆体及び
    アリシンを水溶液中で混合し、加温又は加熱処理した
    後、水不溶性有機溶媒で洗浄し、次いで、前記水不溶性
    有機溶媒を除去し、その後、逆相カラムで精製処理する
    ことを特徴とする赤紫色色素の製造方法。
  8. 【請求項8】 色素前駆体とアリシンの割合(mole
    比)が、色素前駆体:アリシン=1:0.5〜3である
    ことを特徴とする請求項6又は請求項7記載の色素の製
    造方法。
  9. 【請求項9】 37°C〜100°Cで加温又は加熱処
    理を施すことを特徴とする請求項6〜請求項8のいずれ
    か1項に記載の赤紫色色素の製造方法。
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