JP3178115B2 - インクジェット記録ヘッドおよびその撥水処理方法 - Google Patents

インクジェット記録ヘッドおよびその撥水処理方法

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JP3178115B2
JP3178115B2 JP27314692A JP27314692A JP3178115B2 JP 3178115 B2 JP3178115 B2 JP 3178115B2 JP 27314692 A JP27314692 A JP 27314692A JP 27314692 A JP27314692 A JP 27314692A JP 3178115 B2 JP3178115 B2 JP 3178115B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、インクジェット記録ヘ
ッドに関し、また前記インクジェット記録ヘッドのノズ
ル開口面への撥水処理方法に関する。
【0002】
【従来の技術】インクジェット記録ヘッドはノズルより
インクをインク滴として吐出し被記録体に印字画像を形
成するが、水性インクを用いる場合、ノズル開口面の撥
水性が不十分であるとインクの液滴が付着し易くなり、
そのため吐出するインク滴の直進性が損なわれ、印字画
像の乱れなどのトラブルにより記録不能となる事があ
る。
【0003】インクジェット記録ヘッドに於いて求めら
れるノズル開口面の撥水性は、接触角が90度以上であ
ればインク滴の直進性が損なわれる事がなく十分な撥水
性を有していると言えるが、多くのインクジェット記録
ヘッドには金属、硝子、プラスティック、セラミック
ス、などの材料が用いられており、これらの殆どは接触
角が約30〜80度くらいであり十分な撥水性を有して
いるとは言えない。そこで従来、インクの付着をなくす
ためノズル開口面に撥水処理剤をコーティングする事が
行われており、コーティングする方法としては、例えば
静電粉体塗装(特開昭57−167765号公報)、真
空蒸着(特開昭60−183161号公報)や、その他
にもスプレーコート、スピンコートなど種々の方法が知
られている。
【0004】一方インクジェット記録ヘッドは、記録中
に被記録体から発生するゴミがノズル開口面に付着しイ
ンク滴の直進性が損なわれる事を防止するためにゴムや
布からなるワイパーを用いてノズル開口面を拭くワイピ
ングを行うが、このときワイパーはコーティング層上を
擦るためにワイピングの回数と共にコーティング層が磨
耗してゆく。そのため層厚が十分でないと数回のワイピ
ングでコーティング層がなくなってしまい撥水性の維持
が困難となり、長期的な使用が出来ないという問題があ
り、しかしながら数千回以上のワイピングによってもな
くならないだけの十分な層厚を有するコーティング層を
得ようとすると、従来より知られているコーティング方
法では撥水処理剤がノズル内に侵入し目詰まりを起こ
す、コーティング層がノズル上にも張って塞がってしま
うといった問題があった。
【0005】そこでこれらの問題を解決する為の方法と
して、特開平2−48953号公報ではノズル開口面に
平均高低差が0.5〜10μmからなる凹凸を設けた
後、多孔質体または溶媒により膨潤する物質からなる転
写媒体に撥水処理剤を塗布し、これを前記凹凸面に転写
する事によりワイピングが行われた後にも良好な撥水性
を有するコーティング層を得る方法が示されている。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】しかしながらこの方法
では、凹部を十分に満たすようなコーティング層を形成
しようとすると層厚が非常に厚くなり、その結果、図1
aおよび図1bに示すようにノズル1上にもコーティン
グ層2が形成されたり、ノズルの端部に水かき状のコー
ティング層2bが張るなどの現象が発生し、インク滴の
吐出不良や、直進性を損なわせる原因となる。またコー
ティング層の層厚を薄くした場合、インクジェット記録
ヘッドのノズル径が通常約10〜100μm程度である
のに対しノズル開口面の平均高低差が非常に大きいため
ノズル口3の形状が歪になり、その結果インクのメニス
カス4が変形しインク滴が所定の方向と異なる方向へ飛
行する要因となり(図2)、良好な記録画像が得られず
好ましくないものであった。従って本発明の目的は、数
千回以上のワイピング動作によっても撥水性が維持さ
れ、かつインク滴が吐出不良や直進性の損失なく所定の
方向に飛行する事により、長期的に良好な印字画像が得
られる事を可能とするインクジェット記録ヘッドを提供
する事にある。
【0007】また、本発明の更なる目的は、上述したと
ころのインクジェット記録ヘッドを提供するために、ノ
ズル詰まりを発生させる事なく、かつ耐ワイピング性に
優れた撥水処理方法を提供する事にある。
【0008】
【課題を解決するための手段】上記の目的を達成するた
めに、請求項1の発明に係るインクジェット記録ヘッド
の撥水処理方法は、インクジェット記録ヘッドのノズル
開口面に、平均高低差が0.01μm以上0.5μm未
満かつ、ピッチが15μm以下の凹凸を設ける第1の工
程と、前記凹凸面に非晶質含弗素重合体を50〜150
0オングストロームの層厚でコーティングする第2の工
程と、からなることを特徴とする。請求項2の発明は、
請求項1の発明において、第2の工程が、ディッピング
による方法であることを特徴とする。請求項3の発明
は、請求項1の発明において、第2の工程が、非晶質含
弗素重合体を溶解させてなる重合体溶液を水面上に展開
させて溶媒を揮発させた後、得られた展開膜を前記凹凸
面に転写させてコーティング層を形成する方法であるこ
とを特徴とする。請求項4の発明は、請求項1の発明に
おいて、第2の工程が、非晶質含弗素重合体を溶解させ
てなる重合体溶液を水面上に展開させて溶媒を揮発させ
た後、バリアーを移動させて展開膜をラングミュアー膜
とし、得られたラングミュアー膜を前記凹凸面に1回以
上接触させてコーティング層を形成する方法であること
を特徴とする。請求項5の発明は、請求項1の発明にお
いて、第2の工程が、鏡平面を有する転写用媒体の前記
鏡平面に非晶質含弗素重合体を溶解させてなる重合体溶
液を形成し、次いで前記転写用媒体表面上の重合体層を
前記凹凸面に転写する方法であることを特徴とする。請
求項6の発明に係るインクジェット記録ヘッドは、上記
請求項1〜5のいずれかの撥水処理方法により作成され
ていることを特徴とする。
【0009】本発明のインクジェット記録ヘッドの撥水
処理方法に於いては、コーティング層形成の第一工程と
して、ノズル開口面に対し平均高低差(以下Ra)0.
01μm以上0.5μm未満かつ、該凹凸面中の任意の
断面に於ける隣り合う任意の凸部山頂間の距離(ピッチ
と呼ぶ)が15μm以下からなる凹凸を設ける事が好ま
しい。凹凸を設けるとワイピングによってコーティング
層が磨耗した後も凹部にコーティング層が残るので撥水
性が維持され長期的に撥水性が保持されるが、Raが
0.01μm未満であるとワイピングの際に凹部のコー
ティング層も磨耗してしまい長期的に撥水性を維持する
事が出来ず、またRaが0.5μm以上あるとノズル口
の形状が歪でその結果インクのメニスカスが変形しイン
ク滴がノズルの開口方向と異なる方向へ飛行し良好な記
録画像が得られない。更にピッチが15μmより大きい
とワイピングを行った際に凹部にコーティング層が保持
されず磨耗してしまい、やはり長期的に撥水性を維持す
る事は困難であり好ましくない。
【0010】本発明のインクジェット記録ヘッドの撥水
処理方法に於いて凹凸の形成方法としては、前述の表面
粗さからなる凹凸の形成が可能である範囲に於いて、表
面切削時に面粗度を調節する方法やラッピング法、その
他、サンドブラスト、湿式ホーニング、バフ加工など多
くの一般に知られている方法を用いる事が可能である。
【0011】本発明のインクジェット記録ヘッドに於い
て、ノズル開口面を構成するヘッド形成部材は多くのイ
ンクジェット記録ヘッドに用いられるところの金属、硝
子、プラスティック、セラミックなどの材料から任意に
選択する事が出来る。ノズル開口面は1種類の材料のみ
によって形成されていても、2種類以上の異なる材料に
よって形成されていても良いが、2種類以上の異なる材
料から形成されている場合は、凹凸を施す工程を行った
後に、2種類の各材料表面の凹凸が各々に於いてRa
0.01μm以上0.5μm未満かつ、ピッチが15μ
m以下を満足するものでなければならない。
【0012】本発明のインクジェット記録ヘッドの撥水
処理方法に於いて、形成されるコーティング層の層厚を
1500オングストロームより厚くすると、ノズル内に
撥水処理剤が侵入して膜を形成し(図3a)またはノズ
ル上にコーティング層が張り(図3b)、レジスト処理
などによってノズル内に撥水処理が侵入しないようにし
た場合にもレジスト5上に層が出来(図3c)、ノズル
が塞がってしまいインク滴の吐出不良を招き好ましくな
い。また層厚を50オングストローム未満とするとコー
ティング不良によるピンホールが出来やすく十分な撥水
効果が得られずにやはり好ましくなく、従ってコーティ
ング層は50〜1500オングストロームの範囲の層厚
で形成する事が好ましい。
【0013】また本発明のインクジェット記録ヘッドの
撥水処理方法に於いて、撥水処理剤として用いるところ
の含弗素重合体は、非晶質含弗素重合体である事が望ま
しい。具体的には、ポリジパーフルオロアルキルフマレ
ート、テフロンAF(DuPont社商標)、サイトッ
プ(旭硝子(株)商標)のような含弗素重合体、あるい
は、ジパーフルオロアルキルフマレートとスチレンの交
互共重合体、三弗化塩化エチレンとビニルエーテルとの
交互共重合体、四弗化塩化エチレンとビニルエステルと
の交互共重合体などの含弗素エチレンと炭化水素系エチ
レンとの交互共重合体若しくはその類似体ないし誘導
体、フマライト(日本油脂(株)商標)が好ましく用い
られ得る。これら非晶質含弗素重合体は選択的に弗素系
有機溶剤に溶解する事から、溶媒に任意の濃度で溶解し
てコーティングする事により、粉体状または分散媒の形
態でしか塗布できないポリテトラフルオロエチレンやポ
リクロロトリフルオロエチレンなどに比べ形成されたコ
ーティング層のノズル開口面に対する密着性が高く、か
つ均一なコーティングが可能となる。
【0014】本発明のインクジェット記録ヘッドの撥水
処理方法に於けるコーティング方法として好ましい第一
の形態は、含弗素重合体を溶解させてなる重合体溶液中
にノズル開口面を有するヘッド形成部材を漬けてこれを
等速で引上げるところのディッピング法によりコーティ
ング層を形成する。ディッピング法によればコーティン
グ層の層厚は、主に引上げ速度と前記重合体溶液の粘度
によって決まるが、このうちの引上げ速度の調整により
層厚のコントロールが非常に容易であり、簡単に所望の
層厚でコーティング層を得る事が出来、また非常に均一
に、かつ安定してコーティングを行う事が出来る。
【0015】また本発明のインクジェット記録ヘッドの
撥水処理方法に於けるコーティング方法として好ましい
第二の形態は、含弗素重合体を溶解させてなる重合体溶
液を水面上に1〜数滴々下し展開させて溶媒を揮発させ
た後、得られた展開膜をノズル開口面に転写するところ
の水面展開法によりコーティング層を形成する。水面展
開法によればコーティング層の層厚は、前記重合体溶液
の含弗素重合体の濃度および単位面積当りの滴下量によ
って決まるが、層厚は滴下量を調整する事により層厚管
理が容易で簡単に所望の層厚でコーティング層を得る事
が出来、また予め水面上に展開膜として形成されるので
ノズル開口面全体に均一な層厚でコーティング層を得る
事が出来る。
【0016】更に本発明のインクジェット記録ヘッドの
撥水処理方法に於けるコーティング方法として好ましい
第二の形態の別形態として、含弗素重合体を溶解させて
なる重合体溶液を水面上に1〜数滴々下し展開させて溶
媒を揮発させた後、バリアーを移動させて展開膜をラン
グミュアー膜とし、得られたラングミュアー膜をノズル
開口面に接触させる事によって、含弗素重合体からなる
LB膜をコーティング層として形成する。このようなL
B膜は2回以上同一面に接触させた際に積層が可能であ
る事から、接触回数を調整する事により所望の層厚のコ
ーティング層を容易に得る事が出来る。
【0017】また、本発明のインクジェット記録ヘッド
の撥水処理方法に於けるコーティング方法として好まし
い第三の形態は、鏡平面を有する転写用媒体の前記鏡平
面に含弗素重合体を溶解させてなる重合体溶液からなる
重合体層を形成し、次いで前記鏡平面の重合体層をノズ
ル開口面に転写するところの転写法によってコーティン
グ層を形成する。転写法によればコーティング層の層厚
は鏡平面上の重合体層の層厚によって決まり、これをコ
ントロールする事によりノズル開口面に対し所望の層厚
のコーティング層を容易に形成する事が出来る。前記重
合体層の層厚のコントロールは転写媒体への重合体層の
形成方法に委ねられるが、最も簡易な方法としてはディ
ッピング法があり、その他スピンコート法やスプレーコ
ート法を用いる事も可能である。また転写媒体の材質に
ついては任意のものを用いる事が可能であるが、転写媒
体の表面形状は重合体層を転写する際の転写のし易さに
係っており、鏡平面である場合には良好に転写可能であ
るが、凹凸構造であると転写され易い部分、され難い部
分ができピンホールを発生させる原因となるので好まし
くない。
【0018】本発明のインクジェット記録ヘッドの撥水
処理方法に於いては、ノズル開口面に凹凸を形成し、こ
れをオゾン雰囲気にさらした後にコーティングを行う事
が出来る。このようなオゾンを用いた表面洗浄処理を行
う事によってコーティングを行う面にある汚れを除去し
てコーティング層の密着性を上げる事が出来、前記オゾ
ン雰囲気は酸素プラズマや紫外線照射により得る事が出
来る。またその他にも電解脱脂など種々の表面洗浄処理
を用いる事も出来、同様の効果を得る事が出来る。
【0019】
【実施例】以下に、図面を参照しながら本発明を詳細に
説明する。
【0020】(実施例1)図4は本発明の実施例1に述
べるインクジェット記録ヘッドの撥水処理方法によって
作成されたインクジェット記録ヘッド6を工程を追って
示すところの説明図である。先ず、オーステナイト型C
r18%Ni8%ステンレス鋼板(200μm厚、以下
ステンレスプレートと略)を圧延型抜きしノズルプレー
ト7を作成する。次いでノズルプレート7を湿式ホーニ
ング機8のステージ9に乗せた後、噴出口10より#3
20微粉の砥粒を含む液体噴流11を噴出圧2.0kg
/cm2で噴出しながらステージ9を矢印12の方向に
40cm/分で動かし、ヘッド組立後ノズル開口側とな
る面に凹凸を施し(図4a)ノズル開口面13を得た。
該凹凸の表面段差を測定したところRaは0.05μ
m、またピッチは13μmであった。このノズルプレー
ト7の前記凹凸を施したノズル開口面13と反対の面に
粘着層を有するポリイミドテープを貼り、表1に示す組
成よりなる重合体溶液を用い、引上げ速度35mm/分
で前記ノズルプレート7をディッピングし、ポリイミド
テープを剥がした後150度のオーヴンに1時間入れ溶
媒を除去してノズル開口面13上にコーティング層14
を得た。その後、ポリサルフォンからなる、インク滴を
吐出するための圧力をインクに伝達するための振動板1
5と、インク流路およびインクをヘッド内に供給するた
めの供給口を有するヘッド形成部材16を接着し、更に
インク滴を吐出するための圧力を発生させる厚電素子1
7、前記ノズルプレート7をそれぞれ接着して、インク
ジェット記録ヘッド6を得た(図4b)。
【0021】
【表1】
【0022】ヘッド6のコーティング層14は水に対す
る接触角は約98度であり、ノズル18内への重合体溶
液の侵入による膜張りからなるノズル詰まりまたはノズ
ル18上にコーティング層が形成され塞がる事はなく、
またノズル開口面13に対しピンホールなどのコーティ
ング不良もなく形成されていた。前記コーティング層1
4の層厚を測定するため、ステンレスプレートの少なく
とも片面を研磨により鏡面としたものを前記と同じ方法
でディッピングした後、鏡面上のコーティング層を光学
式膜厚計で測定したところ、約200オングストローム
であった。
【0023】このヘッド6を用いて表2に示すところの
インクジェットインク19をノズル18より吐出したと
ころインク滴20はノズル18の開口方向に対し曲がり
なく(0.5°以下)真直ぐ吐出・飛行し(図4b)、
被記録体21に対し印字精度の高い高品位な記録画像が
形成できた。またインク吐出中、被記録体21より繊維
状のゴミが発生しコーティング層14上に付着した場合
のゴミ除去のため、シリコンゴムからなるゴミ除去ワイ
パー22を用いてワイピングを最大10000回まで繰
り返す試験を行った(図4c)結果、インク滴20の直
進性は全く損なわれる事なく10000回のワイピング
後にも印字精度の高い、高品位な記録画像を形成する事
が出来た。
【0024】
【表2】
【0025】(比較例1)湿式ホーニング処理を施す工
程を除く以外は全て実施例1と同様の操作によりインク
ジェット記録ヘッド23を得た(図5a)。なお、ノズ
ルプレート24のノズル開口面25の表面粗さをコーテ
ィング層形成前に測定したところ、Raは0.04μ
m、ピッチは20μmであった。
【0026】ヘッド23のコーティング層26は水に対
する接触角は約98゜であり、ノズル27内への重合体
溶液の侵入による膜張りからなるノズル詰まりまたはノ
ズル27上にコーティング層が形成され塞がる事はな
く、またノズル開口面25に対しピンホールなどのコー
ティング不良もなく形成されていた。更に実施例1と同
様の方法によりコーティング層26の層厚を測定したと
ころ、約200オングストロームであった。
【0027】このヘッド23を用いてインクジェットイ
ンク19をノズル27より吐出したところ初期的にはイ
ンク滴20bはノズル開口方向に対し曲がりなく(0.
5°以下)真直ぐ吐出・飛行し(図5a)被記録体21
に対し印字精度の高い高品位な記録画像が形成できた
が、実施例1と同様の方法によりワイピングを行ったと
ころ、ワイピング500回でコーティング層が磨耗して
なくなりインク溜り28が発生し、インク滴20bがノ
ズル23の開口方向に対し2〜8°曲がり(角度a)
(図5b)、被記録体21に記録を行ったが高品位な記
録画像は形成出来なかった。
【0028】(実施例2)砥粒を#600微粉とし、噴
出圧を3.0kg/cm2とする以外は実施例1と同様
の操作によりステンレスプレートからなるノズルプレー
ト29のノズル開口面30に凹凸を施した。該凹凸の表
面段差を測定したところRaは0.1μm、ピッチは1
4μmであった。次いで水槽31に水32を入れ、表3
に示す組成よりなる重合体溶液を1〜2滴水面に滴下し
て溶媒を揮発させた後、硝子製のバリアー33で水面上
の浮遊層を寄せてラングミュアー膜34とし、ノズルプ
レート29の前記凹凸を施したノズル開口面30を静か
に前記ラングミュアー膜34に接触させる(図6a)。
接触はノズル開口面30が水面に平行である事が好まし
いが数度程度の傾きはあっても支障なく行える。接触後
しばらく静置の後、静かにノズルプレート29を引上げ
付着した水滴をエアーブローで除去する。ラングミュア
ー膜34への接触から水滴のエアーブローまでの工程を
計15回行った後、ノズルプレート29を130度のオ
ーヴンに1時間入れ、残留水分を完全に除去し、コーテ
ィング層35を得た。その後、ポリサルフォンからな
る、振動板15bとヘッド1形成部材16bを接着し、
更に厚電素子17b、前記ノズルプレート29をそれぞ
れ接着して、インクジェット記録ヘッド36を得た(図
6b)。
【0029】
【表3】
【0030】ヘッド36のコーティング層35は水に対
する接触角は約103度であり、ノズル37内への重合
体の侵入による詰まりまたはノズル37上にコーティン
グ層が形成され塞がる事はなく、またノズル開口面30
に対しピンホールなどのコーティング不良もなく形成さ
れていた。更に実施例1と同様の方法によりコーティン
グ層35の層厚を測定したところ、約180オングスト
ロームであった。
【0031】このヘッド36を用いてインクジェットイ
ンク19をノズル37より吐出したところインク滴20
cはノズル37の開口方向に対し曲がりなく(0.5°
以下)真直ぐ吐出・飛行し(図6b)、被記録体21に
対し印字精度の高い高品位な記録画像が形成できた。ま
た実施例1と同様の方法によりワイピングを行ったが、
インク滴20cの直進性は全く損なわれる事なく(図6
c)、10000回のワイピング後にも印字精度の高
い、高品位な記録画像を形成する事が出来た。
【0032】(比較例2)砥粒を#400微粉、噴出圧
を2.5kg/cm2とする以外は全て実施例2と同様
の操作によりインクジェット記録ヘッド38を得た(図
7a)。なお、ノズルプレート39のノズル開口面40
の表面粗さをコーティング層形成前に測定したところ、
Raは0.1μm、ピッチは17μmであった。
【0033】ヘッド38のコーティング層41は水に対
する接触角は約103度であり、ノズル42内への重合
体の侵入による詰まりまたはノズル42上にコーティン
グ層が形成され塞がる事はなく、またノズル開口面40
に対しピンホールなどのコーティング不良もなく形成さ
れていた。更に実施例1と同様の方法によりコーティン
グ層41の層厚を測定したところ、約180オングスト
ロームであった。
【0034】このヘッド38を用いてインクジェットイ
ンク19をノズル42より吐出したところ初期的にはイ
ンク滴20dはノズル42の開口方向に対し曲がりなく
(0.5°以下)真直ぐ吐出・飛行し(図7a)、被記
録体21に対し印字精度の高い高品位な記録画像が形成
できたが、実施例1と同様の方法によりワイピングを行
ったところ、ワイピング1000回でコーティング層が
磨耗によりなくなりインク溜り43が発生し、インク滴
20dがノズル42の開口方向に対し2〜9°曲がり
(角度b)(図7b)、被記録体21に記録を行ったが
高品位な記録画像は形成出来なかった。
【0035】(実施例3)砥粒を#600微粉とする以
外は実施例1と同様の操作によりステンレスプレートか
らなるノズルプレート44のノズル開口面45に凹凸を
施した。該凹凸の表面段差を測定したところRaは0.
02μm、ピッチは7μmであった。次いで硝子からな
る転写用媒体46の鏡平面47(Ra0.002μm、
ピッチ40μm)上に表4に示す組成よりなる重合体溶
液を1〜2滴々下し転写用媒体46をモーター48を用
いて2000rpm/分で1分間回転させ鏡平面47上
に重合体層49を得た(図8a)。これをしばらく静置
し溶媒を蒸発させた後、前記凹凸を施したノズル開口面
45を重合体層49に2〜3分押し付け重合体層49の
一部をノズル開口面45上に転写し、ノズルプレート4
4を200度のオーヴンに1時間入れて、コーティング
層50を得た。その後、ポリサルフォンからなる、振動
板15cとヘッド形成部材16cを接着し、更に厚電素
子17c、前記ノズルプレート44をそれぞれ接着し
て、インクジェット記録ヘッド51を得た(図8b)。
【0036】
【表4】
【0037】ヘッド51のコーティング層50は水に対
する接触角は約106度であり、ノズル52内への重合
体の侵入による詰まりまたはノズル52上にコーティン
グ層が形成され塞がる事はなく、またノズル開口面45
に対しピンホールなどのコーティング不良もなく形成さ
れていた。これを実施例1と同様の方法によりコーティ
ング層50の層厚を測定したところ、約170オングス
トロームであった。
【0038】このヘッド51を用いてインクジェットイ
ンク19をノズル52より吐出したところインク滴20
eはノズル52の開口方向に対し曲がりなく(0.5°
以下)真直ぐ吐出・飛行し(図8b)、被記録体21に
対し印字精度の高い高品位な記録画像が形成できた。ま
た実施例1と同様の方法によりワイピングを行ったが、
インク滴20eの直進性は全く損なわれる事なく(図8
c)、10000回のワイピング後にも印字精度の高
い、高品位な記録画像を形成する事が出来た。
【0039】(比較例3)噴射圧を1.5kg/cm2
とする以外は全て実施例3と同様の操作によりインクジ
ェット記録ヘッド53を得た(図9a)。なお、ノズル
プレート54のノズル開口面55の表面粗さをコーティ
ング層形成前に測定したところ、Raは0.007μ
m、ピッチは5μmであった。
【0040】ヘッド53のコーティング層56は水に対
する接触角は約106度であり、ノズル57内への重合
体の侵入による詰まりまたはノズル57上にコーティン
グ層が形成され塞がる事はなく、またノズル開口面55
に対しピンホールなどのコーティング不良もなく形成さ
れていた。これを実施例1と同様の方法によりコーティ
ング層56の層厚を測定したところ、約170オングス
トロームであった。
【0041】このヘッド53を用いてインクジェットイ
ンク19をノズル57より吐出したところ初期的にはイ
ンク滴20fは曲りなく(0.5°以下)真直ぐ吐出・
飛行し(図9a)、被記録体21に対し印字精度の高い
高品位な記録画像が形成できたが、実施例1と同様の方
法によりワイピングを行ったところ、ワイピング100
0回でコーティング層が殆どなくなりインク溜り58が
発生し、インク滴20fがノズル57の開口方向に対し
2〜6°曲がり(角度a)(図9b)、被記録体21に
記録を行ったが高品位な記録画像は形成出来なかった。
【0042】(実施例4)図10は本発明の実施例4に
述べるインクジェット記録ヘッドの撥水処理方法によっ
て作成されたインクジェット記録ヘッド59を工程を追
って示すところの説明図である。先ずポリエーテルサル
フォンからなるヘッド形成部材60に方向61および6
2よりエキシマレーザーにより組立後ノズルとなる穴6
3、インク供給口64を穿孔する(図10a)。ポリエ
ーテルサルフォンからなる振動板65を前記穿孔を行っ
たヘッド形成部材60に接着した後、#2000微粒か
らなる切削用砥石66を装着したスライングマシン67
でA−A線に沿ってヘッド形成部材60を切削し(図1
0b)、凹凸を有するノズル開口面68を得た。ノズル
開口面68の表面段差を測定したところRaは0.4μ
m、ピッチは6μmであった。次いで実施例2と同様の
方法を用いてノズル開口面68上にコーティング層69
を得た。その後、厚電素子17dを振動板65に接着
し、インクジェット記録ヘッド59を得た(図10
c)。
【0043】ヘッド59のコーティング層69は水に対
する接触角は約103度であり、ノズル70内への重合
体の侵入による詰まりまたはノズル70上にコーティン
グ層が形成され塞がる事はなく、またノズル開口面68
に対しピンホールなどのコーティング不良もなく形成さ
れていた。このコーティング層69の層厚を測定するた
め、ポリエーテルサルフォンの鏡面板に、コーティング
層69を得た方法と同じ操作によりコーティング層を
得、当該コーティング層の一部をポリエーテルサルフォ
ンの小片で削り取り、その結果現れたポリエーテルサル
フォンの鏡面とコーティング層の表面との段差を測定す
る方法でコーティング層の層厚を求めたところ、約19
0オングストロームであった。
【0044】このヘッド59を用いてインクジェットイ
ンク19をノズル70より吐出したところインク滴20
gはノズル70の開口方向に対し曲がりなく(0.5°
以下)真直ぐ吐出・飛行し被記録体21に対し印字精度
の高い高品位な記録画像が形成できた。また実施例1と
同様の方法によりワイピングを行ったが、インク滴20
gの直進性は全く損なわれる事なく10000回のワイ
ピング後にも印字精度の高い、高品位な記録画像を形成
する事が出来た。
【0045】(比較例4)用いる切削用砥石を#150
0微粒のものとする以外は全て実施例4と同様の操作に
よりインクジェット記録ヘッド71を得た(図11
a)。なお、ノズル開口面72の表面粗さをコーティン
グ層形成前に測定したところ、Raは0.5μm、ピッ
チは7μmであった。
【0046】ヘッド71のコーティング層73は水に対
する接触角は約103度であり、ノズル74内への重合
体の侵入による詰まりまたはノズル74上にコーティン
グ層が形成され塞がる事はなく、またノズル開口面72
に対しピンホールなどのコーティング不良もなく形成さ
れていた。これを実施例4と同様の方法によりコーティ
ング層73の層厚を求めたところ、約190オングスト
ロームであった。
【0047】このヘッド71を用いてインクジェットイ
ンク19をノズル74より吐出したところ、インク滴2
0hはノズル74の開口方向に対し1〜3°曲がり(角
度d)(図11a)、被記録体21に対し高品位な記録
画像が形成出来なかった。ヘッド71のノズル74を観
察したところ、ノズル口75は歪な形状をしており、形
状の影響を受けメニスカス76が変形しインク滴20h
がノズル74の開口方向に対し曲がって吐出していた
(図11b)。また実施例1と同様の方法によりワイピ
ングを行ったところ、撥水性は維持されていたがインク
滴20hはワイピング前と変わる事なく1〜3°曲がっ
ており、被記録体21に対し高品位な記録画像を形成す
る事は出来なかった。
【0048】(実施例5)ディッピング時の引上げ速度
を10mm/分とする以外は全て実施例1と同様の方法
によりインクジェット記録ヘッド77を得た。なお、ノ
ズル開口面78の表面粗さをコーティング層形成前に求
めたところRaは0.05μm、ピッチは13μmであ
った。
【0049】ヘッド77のコーティング層79は水に対
する接触角は約98度であり、またノズル80内への重
合体溶液の侵入による膜張りからなるノズル詰まりまた
はノズル80上にコーティング層が形成され塞がる事は
なく、またノズル開口面78に対しピンホールなどのコ
ーティング不良もなく形成されていた。これを実施例1
と同様の方法で層厚を測定したところ、約70オングス
トロームであった。
【0050】このヘッド77を用いてインクジェットイ
ンク19をノズル80より吐出したところインク滴20
iはノズル80の開口方向に対し曲がりなく(0.5°
以下)真直ぐ吐出・飛行し(図12)、被記録体21に
対し印字精度の高い高品位な記録画像が形成できた。ま
た実施例1と同様の方法によりワイピングを行ったが、
インク滴20iの直進性は全く損なわれる事なく100
00回のワイピング後にも印字精度の高い、高品位な記
録画像を形成する事が出来た。
【0051】(実施例6)ディッピング時の引上げ速度
を100mm/分とする以外は全て実施例1と同様の方
法によりインクジェット記録ヘッド81を得た。なお、
ノズル開口面82の表面粗さをコーティング層形成前に
求めたところRaは0.05μm、ピッチは13μmで
あった。
【0052】ヘッド81のコーティング層83は水に対
する接触角は約98度であり、ノズル84内への重合体
溶液の侵入による膜張りからなるノズル詰まりまたはノ
ズル84上にコーティング層が形成され塞がる事はな
く、またノズル開口面82に対しピンホールなどのコー
ティング不良もなく形成されていた。これを実施例1と
同様の方法で層厚を測定したところ、約500オングス
トロームであった。
【0053】このヘッド81を用いてインクジェットイ
ンク19をノズル84より吐出したところインク滴20
jはノズル84の開口方向に対し曲がりなく(0.5°
以下)真直ぐ吐出・飛行し(図13)、被記録体21に
対し印字精度の高い高品位な記録画像が形成できた。ま
た実施例1と同様の方法によりワイピングを行ったが、
インク滴20jの直進性は全く損なわれる事なく100
00回のワイピング後にも印字精度の高い、高品位な記
録画像を形成する事が出来た。
【0054】(比較例5)ディッピング時の引上げ速度
を5mm/分とする以外は全て実施例1と同様の方法に
よりインクジェット記録ヘッド85を得た。なお、ノズ
ル開口面86の表面粗さをコーティング層形成前に求め
たところRaは0.05μm、ピッチは13μmであっ
た。
【0055】ヘッド85のコーティング層87は水に対
する接触角は約90度あり、ノズル88内への重合体層
の侵入による膜張りからなるノズル詰まりまたはノズル
88上にコーティング層が形成され塞がる事はなかった
が、コーティング層87の所々にピンホール89が確認
され、インクジェットインク19を滴下したところ、ピ
ンホール89上にインク溜り90が発生した。これを実
施例1と同様の方法で層厚を測定したところ、層厚は約
40オングストロームであった。
【0056】このヘッド85を用いてインクジェットイ
ンク19をノズル88より吐出したところ、インク滴2
0kはインク溜り90の影響を受けノズル88の開口方
向に対し1〜5°曲がって吐出し(角度e)(図1
4)、被記録体21に対し印字精度の高い高品位な記録
画像は形成出来なかった。
【0057】(比較例6)ディッピング時の引上げ速度
を200mm/分とする以外は全て実施例1と同様の方
法によりインクジェット記録ヘッド91を得た。なお、
ノズル開口面92の表面粗さをコーティング層形成前に
求めたところRaは0.05μm、ピッチは13μmで
あった。
【0058】ヘッド91のコーティング層93は水に対
する接触角は約98度あったが、ノズル94内に重合体
溶液が侵入して膜95が張って詰まり(図15)、イン
クジェットインク19をヘッド91内に供給してもイン
ク滴の吐出は出来なかった。これを実施例1と同様の方
法で層厚を測定したところ、層厚は約1700オングス
トロームであった。
【0059】(実施例7)凹凸を施したノズル開口面を
ラングミュアー膜に接触させる回数を9回とする以外は
全て実施例4と同様の方法でインクジェット記録ヘッド
を得た。なお、コーティング層形成前に前記ノズル開口
面の表面粗さを測定したところRaは0.4μm、ピッ
チは6μmであった。
【0060】前記ノズル開口面上に形成されたコーティ
ング層は水に対する接触角は約103度であり、ノズル
内への重合体の侵入による詰まりまたはノズル上にコー
ティング層が形成され塞がる事はなく、また前記ノズル
開口面に対しピンホールなどのコーティング不良もなく
形成されていた。これを実施例4と同様の方法で層厚を
測定したところ、約60オングストロームであった。
【0061】上述に示すヘッドを用いてインクジェット
インク19をノズルより吐出したところインク滴は曲り
なく(0.5°以下)真直ぐ吐出・飛行し、被記録体2
1に対し印字精度の高い高品位な記録画像が形成でき
た。また実施例1と同様の方法によりワイピングを行っ
たが、インク滴の直進性は全く損なわれる事なく100
00回のワイピング後にも印字精度の高い、高品位な記
録画像を形成する事が出来た。
【0062】(実施例8)凹凸を施したノズル開口面を
ラングミュアー膜に接触させる回数を60回とする以外
は全て実施例4と同様の方法でインクジェット記録ヘッ
ドを得た。なお、コーティング層形成前に前記ノズル開
口面の表面粗さを測定したところRaは0.4μm、ピ
ッチは6μmであった。
【0063】前記ノズル開口面上に形成されたコーティ
ング層は水に対する接触角は約103度であり、ノズル
内への重合体の侵入による詰まりまたはノズル上にコー
ティング層が形成され塞がる事はなく、また前記ノズル
開口面に対しピンホールなどのコーティング不良もなく
形成されていた。これを実施例4と同様の方法で層厚を
測定したところ、約1000オングストロームであっ
た。
【0064】上述に示すヘッドを用いてインクジェット
インク19をノズルより吐出したところインク滴は曲り
なく(0.5°以下)真直ぐ吐出・飛行し、被記録体2
1に対し印字精度の高い高品位な記録画像が形成でき
た。また実施例1と同様の方法によりワイピングを行っ
たが、インク滴の直進性は全く損なわれる事なく100
00回のワイピング後にも印字精度の高い、高品位な記
録画像を形成する事が出来た。
【0065】(比較例7)凹凸を施したノズル開口面を
ラングミュアー膜に接触させる回数を7回とする以外は
全て実施例4と同様の方法でインクジェット記録ヘッド
を得た。なお、コーティング層形成前に前記ノズル開口
面の表面粗さを測定したところRaは0.4μm、ピッ
チは6μmであった。
【0066】前記ノズル開口面上に形成されたコーティ
ング層は水に対する接触角は約103度であり、ノズル
内への重合体の侵入による詰まりまたはノズル上にコー
ティング層が形成され塞がる事はなかったが、コーティ
ング層の所々にピンホールが発生しており、インクジェ
ットインク19を滴下したところ、前記ピンホール上に
インク溜りが出来た。これを実施例4と同様の方法で層
厚を測定したところ、層厚は約40オングストロームで
あった。
【0067】上述に示すヘッドを用いてインクジェット
インク19をノズルより吐出したところ、インク滴は前
記インク溜りの影響を受けノズルの開口方向に対し1〜
6°曲がって吐出し、被記録体21に対し印字精度の高
い高品位な記録画像は形成出来なかった。
【0068】(比較例8)凹凸を施したノズル開口面を
ラングミュアー膜に接触させる回数を100回とする以
外は全て実施例4と同様の方法でインクジェット記録ヘ
ッドを得た。なお、コーティング層形成前に前記ノズル
開口面の表面粗さを測定したところRaは0.4μm、
ピッチは6μmであった。
【0069】前記ノズル開口面上に形成されたコーティ
ング層は水に対する接触角は約103度あったが、ノズ
ル上にコーティング層が形成されてノズルが塞がり、イ
ンクジェットインク19を前記ヘッド内に供給してもイ
ンク滴の吐出は出来なかった。これを実施例4と同様の
方法で層厚を測定したところ、層厚は約1800オング
ストロームであった。
【0070】以上の結果をまとめると表5が得られる。
【0071】
【表5】
【0072】表5より、実施例1〜8に示すようにノズ
ル開口面にRa0.01μm以上0.5μm未満かつピ
ッチ15μm以下の凹凸を施し、50〜1500オング
ストロームの層厚でコーティング層を形成した場合に
は、ピンホールなどのコーティング不良を発生する事な
く、かつノズルを詰まらせたり塞いだりする事なくノズ
ル開口面に対しコーティング層が得られる。また初期〜
ワイピング10000回後までインク滴の飛行軌跡が曲
がる事なく、従って被記録体に対し良好な記録画像を長
期にわたり形成する事が出来る。しかし比較例1、2の
ようにピッチが15μmを越える場合または比較例3の
ようにRaが0.01μmより小さい場合は、初期はイ
ンク滴の直進性が良くともワイピングにより容易にコー
ティング層の剥離が発生しインク溜りが出来、次第に直
進性が損なわれ高品位の記録画像が得られなくなる。ま
た比較例4のようにRaを0.5μm以上とするとノズ
ル口の形状が歪になりインク滴がノズル開口方向と異な
る方向に飛行しインクジェット記録ヘッドとして好まし
くない。更に比較例5、7のようにコーティング層の層
厚を50オングストロームより小さくするとコーティン
グ層にピンホールが発生しインク溜りが発生してインク
滴の直進性が得られず、比較例6、8のように1500
オングストロームを越える層厚にするとノズルを塞ぎイ
ンク滴の吐出不良を招き、記録画像を形成する事が出来
ない。
【0073】
【発明の効果】以上の説明により、本発明のインクジェ
ット記録ヘッドの撥水処理方法によれば、ノズル開口面
にRa0.01μm以上0.5μm未満かつピッチ15
μm以下からなる凹凸を施した後にコーティング層を形
成する事により、長期的な使用の中でワイピングをヘッ
ドに施した後にも凹部にコーティング層が残り撥水性が
維持され、しかしながら歪な形状のノズル口にはならな
いのでメニスカスの変形やそれに伴ってインク滴がノズ
ル開口方向と異なる方向に飛行する事がなく、従って長
期的にインク滴の直進性と方向性を備えたインクジェッ
ト記録ヘッドを得る事が出来る。また前記コーティング
層の層厚を50〜1500オングストロームの範囲とす
る事によりピンホールなどのコーティング不良による撥
水不良やノズルの詰まりのないコーティング層をインク
ジェット記録ヘッドのノズル開口面に形成する事が出来
る。
【図面の簡単な説明】
【図1】従来の撥水処理方法により発生する課題を説明
するための模式的断面図である。
【図2】従来の撥水処理方法により発生する課題を説明
するための模式的断面図である。
【図3】本発明の撥水処理方法に示す好ましいコーティ
ング層厚を超過する事により発生する問題を説明するた
めの模式的断面図である。
【図4】本発明の実施例1を行う工程の一部説明図およ
び得られたインクジェット記録ヘッドの断面図である。
【図5】本発明の比較例1により得られたインクジェッ
ト記録ヘッドの断面図である。
【図6】本発明の実施例2を行う工程の一部説明図およ
び得られたインクジェット記録ヘッドの断面図である。
【図7】本発明の比較例2により得られたインクジェッ
ト記録ヘッドの断面図である。
【図8】本発明の実施例3を行う工程の一部説明図およ
び得られたインクジェット記録ヘッドの断面図である。
【図9】本発明の比較例3により得られたインクジェッ
ト記録ヘッドの断面図である。
【図10】本発明の実施例4を行う工程の一部説明図お
よび得られたインクジェット記録ヘッドの断面図であ
る。
【図11】本発明の比較例4により得られたインクジェ
ット記録ヘッドの断面図である。
【図12】本発明の実施例5により得られたインクジェ
ット記録ヘッドの断面図である。
【図13】本発明の実施例6により得られたインクジェ
ット記録ヘッドの断面図である。
【図14】本発明の比較例5により得られたインクジェ
ット記録ヘッドの断面図である。
【図15】本発明の比較例6により得られたインクジェ
ット記録ヘッドの断面図である。
【符号の説明】
1、18、27、37、42、52、57、70、7
4、80、84、88、94‥‥ノズル 2、2b、14、26、35、41、50、56、6
9、73、79、83、87、93‥‥コーティング層 3、75‥‥ノズル口 4、76‥‥メニスカス 5‥‥レジスト 6、23、36、38、51、53、59、71、7
7、81、85、91‥‥インクジェット記録ヘッド 7、24、29、39、44、54‥‥ノズルプレート 8‥‥湿式ホーニング機 9‥‥ステージ 10‥‥噴出口 11‥‥液体噴流 13、25、30、40、45、55、68、72、7
8、82、86、92‥‥ノズル開口面 15、15b、15c、65‥‥振動板 16、16b、16c、60‥‥ヘッド形成部材 17、17b、17c、17d‥‥厚電素子 19‥‥インクジェットインク 20、20b、20c、20d、20e、20f、20
g、20h、20i、20j、20k‥‥インク滴 21‥‥被記録体 22‥‥ゴミ除去ワイパー 28、43、58‥‥インク溜り 31‥‥水槽 32‥‥水 33‥‥バリアー 34‥‥ラングミュアー膜 46‥‥転写用媒体 47‥‥鏡平面 48‥‥モーター 49‥‥重合体層 63‥‥穴 64‥‥インク供給口 66‥‥切削用砥石 67‥‥スライングマシン 89‥‥ピンホール 95‥‥膜 a、b、c、d、e‥‥角度
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (56)参考文献 特開 平4−176656(JP,A) 特開 平2−48953(JP,A) 特開 平5−245047(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) B41J 2/16 B41J 2/045 B41J 2/055

Claims (6)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 インクジェット記録ヘッドのノズル開口
    面に、 平均高低差が0.01μm以上0.5μm未満かつ、ピ
    ッチが15μm以下の凹凸を設ける第1の工程と、 前記凹凸面に非晶質含弗素重合体を50〜1500オン
    グストロームの層厚でコーティングする第2の工程と、 からなることを特徴とするインクジェット記録ヘッドの
    撥水処理方法。
  2. 【請求項2】 前記第2の工程が、ディッピングによる
    方法であることを特徴とする請求項1記載のインクジェ
    ット記録ヘッドの撥水処理方法。
  3. 【請求項3】 前記第2の工程が、非晶質含弗素重合体
    を溶解させてなる重合体溶液を水面上に展開させて溶媒
    を揮発させた後、得られた展開膜を前記凹凸面に転写さ
    せてコーティング層を形成する方法であることを特徴と
    する請求項1記載のインクジェット記録ヘッドの撥水処
    理方法。
  4. 【請求項4】 前記第2の工程が、非晶質含弗素重合体
    を溶解させてなる重合体溶液を水面上に展開させて溶媒
    を揮発させた後、バリアーを移動させて展開膜をラング
    ミュアー膜とし、得られたラングミュアー膜を前記凹凸
    面に1回以上接触させてコーティング層を形成する方法
    であることを特徴とする請求項1記載のインクジェット
    記録ヘッドの撥水処理方法。
  5. 【請求項5】 前記第2の工程が、鏡平面を有する転写
    用媒体の前記鏡平面に非晶質含弗素重合体を溶解させて
    なる重合体溶液を形成し、次いで前記転写用媒体表面上
    の重合体層を前記凹凸面に転写する方法であることを特
    徴とする請求項1記載のインクジェット記録ヘッドの撥
    水処理方法。
  6. 【請求項6】 請求項1〜5のいずれかの撥水処理方法
    により作成されていることを特徴とするインクジェット
    記録ヘッド。
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