JP3700911B2 - インクジェット記録ヘッドの製造方法 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
この発明は、インクジェット記録装置に用いられるインクジェット記録ヘッドのノズル面に撥インク性皮膜を形成するための製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
図6は、インクジェット記録ヘッド(以下では記録ヘッドと略称する)の一例の構成を示す斜視図である。
【0003】
一般に、記録ヘッド10は、基板を微細加工することによって形成されたインク管路、すなわちインク供給口131 からインクを加圧するためのインク加圧室132 を経て反対面のノズル133 までの管路と、インクを加圧するための駆動部とで構成されている。インク供給口131 から供給されたインクは、インク加圧室132 の外面に貼り付けられた圧電素子14の変形に伴うインク加圧室132 の急激な体積変化によって加圧され、ノズル133 のノズル開口部134 から微小なインク滴20として吐出され、図示していない紙などの被印刷物に付着し、印字する。インクを加圧する他の方法としては、インク加圧室132 にヒータを内蔵しインクの加熱による気泡体積の急増を利用する方法もある。ノズル開口部134 は、ノズル面15と呼ばれる平面上に配列して配置されている。
【0004】
このノズル面15には、吐出されるインクのノズル面15からの切れを良くするために、撥インク性の優れた撥インク性樹脂皮膜16が形成されている。ノズル面15に付着した塵埃やインク吐出中にノズル開口部134 の周辺に付着するインクは、インクの直進性を劣化させたり、吐出インク滴の大きさや吐出速度を不安定にしたり、インクメニスカスを不安定化してノズル133 から気泡を巻き込ませたり等の不具合を生ずる。
【0005】
従来技術においては、このような撥インク性樹脂皮膜16は、以下の2つの方法で形成される。
【0006】
その1は、弗化物含有重合体等の撥インク性材料を含む樹脂からなる皮膜を記録ヘッド10のノズル面15上に直接に形成する方法であり、図6に示した記録ヘッド10はこの場合に相当する記録ヘッドである。この場合には、この発明と同一出願人による特開平7‐314693号公報に開示されているように、溶媒によって希釈された樹脂溶液が毛細管力によってノズル133 の内部へ入り込んでノズル133 を閉塞させることを防止するために、図7に示すように、ノズル133 から空気等の気体を吹き出させながら樹脂溶液を塗布し乾燥させることが必要である。乾燥後、この樹脂は熱処理されて焼き付けられ、撥インク性樹脂皮膜16となる。
【0007】
その2は、図8に示した記録ヘッド10a のような構造の記録ヘッドに相当し、撥インク性樹脂皮膜16a (樹脂皮膜でないものも含む)を形成したノズル板18を予め準備し、このノズル板18を記録ヘッドのノズル面15に貼り付ける方法であり、この方法に相当する従来例としては以下のような方法がある。
【0008】
特開平4‐339662号公報によれば、金属製のノズル板の撥インク性皮膜不要部分をフォトレジストで被覆し、弗素系高分子の共析メッキにより撥インク皮膜を形成し、この層を加熱処理してより優れた撥インク性を得ている。特開平4‐813720号公報によれば、ノズル板を含弗素重合体の溶媒溶液にディッピングして全面にその溶液を塗布し、ノズルプレートの裏面側の塗布層を研磨により除去している。また、特開平5‐162312号公報によれば、撥インク性に優れた最表面層と中程度の撥インク性の中間層とベース層とからなる多層構造の板をノズル面に接着し、ノズル位置に対応させてエキシマレーザー等でノズルを形成している。更には、特開平6‐122204号公報によれば、ノズル板のノズル開口面とは反対の面に粘着テープを貼り、例えば含弗素重合体の溶媒溶液にそのノズル板をディッピングし、引き上げ速度で塗布膜の厚さを制御して所望の厚さの撥インク性皮膜を形成している。いずれの方法においても、このようにして形成したノズル板をノズル面に接合する。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
直接にノズル面に撥インク性樹脂皮膜を形成する場合には、樹脂溶液が乾燥して流動性が小さくなりノズル内に侵入しなくなるまで空気等を吹き出し続けることが必要である。そのため、樹脂溶液の乾燥が遅過ぎる場合には、乾燥のための所要時間が多くかかり、これが量産性を妨げる要因となり、所要時間が長いとそれだけ皮膜表面に異物が付着する可能性が高くなって、付着した異物がインク拭き取り時に撥インク性樹脂皮膜の剥離を誘発する要因ともなる。更には、塗布面の傾きによって皮膜の厚さに偏りが生じ、ノズル際でこの偏りが発生するとインク吐出の直進安定性が得られなくなる。一方、樹脂溶液の乾燥が早過ぎる場合には、塗布前の樹脂溶液の組成変化が激しいのでその管理が面倒であり、また、形成された撥インク性樹脂皮膜の表面状態が悪く膜強度も低下して耐擦性が低下する。また、厚さにばらつきを生じ易いので、インク吐出特性がばらつき易い。更に、ノズル133 の閉塞を防止することができても、ノズル133 の内面に許容限度以上の深さ(ノズル開口部134 からノズル内部への距離)まで撥インク性樹脂皮膜が形成されると良好なインク吐出特性を得ることができなくなる。
【0010】
また、図7のような管路溝を形成された基板11と振動板12とを張り合わせてノズル133 を含む管路を形成する場合には、ノズル133 の開口部134 の形状が半円状となるために、インクメニスカスの不安定を招き易く、飛翔するインクの真円度が損なわれて画質の低下を招く要因となる。
【0011】
一方、ノズル板を貼り付ける方法の場合には、板状のノズル板の状態で撥インク性樹脂皮膜を形成することができるので量産性がよく、ノズルの形状を円形にすることが容易であり、その寸法精度も確保し易い。
【0012】
撥インク性皮膜不要部分をフォトレジストで被覆し、弗素系高分子の共析メッキにより撥インク皮膜を形成する方法は、望ましい領域のみに撥インク性皮膜を形成できるという特長があるが、共析メッキに使われる金属が長期間の内にインクで腐食されることが問題である。
【0013】
ディッピングによる2つの方法の場合には、ノズル内面にも撥インク性皮膜が形成される。しかし、望ましいインク吐出特性を得るためにはノズル内面に撥インク性皮膜が形成されないのが理想的である。
【0014】
表面が撥インク性の多層構造の板をノズル面に接着した後にノズルを形成する方法は、加工精度を確保するためには大がかりな設備が必要となる。
【0015】
この発明の課題は、撥インク性樹脂皮膜が形成されたノズル板の上記の特長を生かすために、ノズル板の外側表面だけに、撥インク性と耐擦性と耐薬品性とに優れた撥インク性樹脂皮膜を量産性よく形成できる記録ヘッドの製造方法を提供することである。
【0016】
【課題を解決するための手段】
この発明においては、インク加圧手段によって加圧されたインクを吐出するノズル等からなるインク流路を有し、ノズルの開口部には、表面に撥インク性樹脂皮膜を形成されたノズル板を備えている記録ヘッドの製造方法であって、撥インク性樹脂皮膜を形成する前のノズル板にはノズルとしての小孔が形成されており、ノズル板上への撥インク性樹脂皮膜の形成工程が、ノズル板の撥インク性樹脂皮膜形成面に被材としてのマスクテープを貼付する工程と、ノズル板のノズル内に撥インク性樹脂皮膜用溶液をはじく撥液材が添加された充填材を充填あるいはノズル内面へ撥インク性樹脂溶液をはじく撥液性材料を塗布する工程と、ノズル板の撥インク性樹脂皮膜形成面の被覆材としてのマスクテープを剥離する工程と、撥インク性樹脂溶液を用いてノズル板の撥インク性樹脂皮膜形成面へ撥インク性樹脂皮膜を形成する工程と、充填材あるいは撥液性材料を除去する工程とからなる(請求項1の発明)。
【0017】
この方法によれば、被覆材で被覆した部分だけに撥インク性樹脂皮膜が形成される。
【0018】
請求項1の発明において、撥インク性樹脂が、弗化アルキル基含有重合体と非環式炭化水素重合体とのブロック重合体を高分子材料に混合したものである(請求項2の発明)。
【0019】
撥インク性材料としての弗化アルキル基含有重合体と非環式炭化水素重合体とのブロック重合体は、撥インク性と耐擦性と耐薬品性に優れている。この重合体を高分子材料に混合した撥インク性樹脂は、前記ブロック重合体のもつ諸特性を保持しながらノズル板への高い密着強度を確保させることができる。
【0020】
請求項1の発明または請求項2の発明において、前記充填材が撥インク性樹脂皮膜用溶液をはじく撥液材を添加された光硬化型樹脂であり、ノズル内の充填材を除去する工程がアルカリ処理あるいは灰化である(請求項3の発明)。
【0021】
光硬化型樹脂は、光が照射された部分だけが硬化し残留するので、この樹脂を用いて残留させたい部分に選択的に光を照射することで、ノズル内部のみにこの樹脂を充填した状態を容易に実現することができる。また、この樹脂はアルカリ処理あるいは灰化によって確実且つ容易に除去できる。
【0022】
また、請求項1の発明または請求項2の発明において、前記撥液性材料が撥インク性樹脂皮膜用溶液をはじく撥液材を添加されたネガ型あるいはポジ型のフォトレジストであり、ノズル内面の撥液性材料を除去する工程がアルカリ処理あるいは灰化である(請求項4の発明)。
【0023】
撥液材を添加されたネガ型あるいはポジ型のフォトレジストを撥液性材料とするので、フォトリソグラフィ技術で、撥液性材料を塗布しておきたい部分に選択的に撥液性材料を残すことが容易に実現できる。このような撥液性材料はアルカリ処理あるいは灰化によって確実且つ容易に除去される。
【0024】
更に、請求項1の発明または請求項2の発明において、前記充填材が水溶性樹脂あるいは撥インク性樹脂皮膜用溶液をはじく撥液材を添加された水溶性樹脂であり、ノズル内の充填材を除去する工程が水による処理である(請求項5の発明)。
【0025】
充填材として水溶性樹脂を使用するので、充填材の除去工程が水による溶解処理となり非常に容易な作業となる。
【0026】
更にまた、請求項1の発明または請求項2の発明において、前記撥液性材料が雨水撥水用材料であり、ノズル内面の撥液性材料を除去する工程が加熱処理である(請求項6の発明)。
【0027】
雨水撥水用材料は入手及び処理の簡単な撥液性材料であり、簡単な加熱処理でそれを除去することができる。
【0028】
請求項1の発明または請求項2の発明において、撥インク性樹脂皮膜用溶液を用いてノズル板の撥インク性樹脂皮膜形成面へ撥インク性樹脂皮膜を形成する工程が、撥インク性樹脂皮膜用溶液を殆ど溶解させない高比重液体上に形成された撥インク性樹脂皮膜用溶液の薄層に、ノズル板の撥インク性樹脂皮膜形成面を接触させてその形成面に撥インク性樹脂皮膜用溶液の薄層を転写する工程である(請求項7の発明)。
【0029】
高比重液体上に形成された撥インク性樹脂皮膜用溶液の薄層は厚さの非常に均一な膜となるので、その薄層をノズル板の撥インク性樹脂皮膜形成面に転写すると厚さの極めて均一な撥インク性樹脂皮膜を得ることができる。
【0030】
【発明の実施の形態】
この発明による記録ヘッドの製造方法は、予めノズルを形成されたノズル板のノズル開口部のあるノズル面に選択的に撥インク性樹脂皮膜を形成する方法に関するものである。基本的な工程は、図1に示すように、ノズル板の撥インク性樹脂皮膜形成面を被覆材で被覆した(工程1)状態で、ノズル内に充填材を充填あるいは撥インク性樹脂皮膜用溶液をはじく物質(撥液性材料)を塗布した(工程2)後、撥インク性樹脂皮膜形成面の被覆材を除去し(工程3)、撥インク性樹脂皮膜形成面だけに撥インク性樹脂皮膜を形成し(工程4)、ノズル内の充填材あるいはノズル内面の撥液性材料を除去して(工程5)撥インク性樹脂皮膜付きノズル板を完成するというものである。
【0031】
以下に実施例について説明する。
【0032】
なお、従来技術と同じ機能の部分には同じ符号を付している。
【0033】
〔第1の実施例〕
図2は、第1の実施例による製造工程を示すノズル板18の断面図である。
【0034】
実施例を図2に従って説明すると、図2(a)に示したノズル板18のノズル開口部184 側の面であるノズル面185 上に、被覆材としての透明なマスクテープ2を貼付し〔図2(b)〕、反対側(図2では下側)から紫外線硬化型接着剤3を充填し、その両面から紫外線を照射して紫外線硬化型接着剤3を硬化させ〔図2(c)〕、ノズル面185 のマスクテープ2を除去した後、ノズル面185 に撥インク性樹脂皮膜用溶液を塗布して乾燥・加熱し、撥インク性樹脂皮膜16a を形成し〔図2(d)〕、最後にノズル内に充填していた紫外線硬化型接着剤3をアルカリ処理によって除去し、撥インク性樹脂皮膜16a 付きノズル板18を完成する〔図2(e)〕。
【0035】
撥インク性樹脂皮膜用溶液の組成例は以下の通りである。
基材 熱硬化性エポキシ樹脂 20 重量%
撥インク性材料 弗化物重合体 0.5重量%
希釈溶剤1 シクロヘキサン 30 重量%
希釈溶剤2 ジオキサン 49.5重量%
上記の弗化物重合体として、弗化アルキル基含有重合体とアクリル系重合体等の非環式炭化水素重合体とのブロック重合体を使用した。この重合体は撥インク性に優れており、この重合体と熱硬化性エポキシ樹脂とを混合して作成した撥インク性樹脂皮膜は、撥インク性と耐擦性と耐薬品性とに非常に優れている。熱硬化性エポキシ樹脂はノズル面185 と十分な接着強度で接合できる接着材であり、ブロック重合体の非環式炭化水素重合体がこの樹脂にアンカーとして強固に保持されて優れた耐擦性を発揮し、表面に出ている弗化アルキル基含有重合体が十分な撥インク性を発揮する。
【0036】
この実施例において、紫外線硬化型接着剤3を、紫外線硬化型水溶性樹脂、例えばスリーボンド社製3046、に代えると、ノズル内の充填材を除去する工程〔図2(e)〕が、充填材を水で溶解するという非常に容易な作業に置き換えられるようになる。
【0037】
更に、撥インク性樹脂皮膜用溶液をはじく物質(撥液材)を添加された上記のような接着剤や樹脂を充填材として使用することも有効である。
【0038】
また、充填材としての紫外線硬化型接着剤3の除去には酸素プラズマアッシング(灰化)処理も有効である。
【0039】
〔第2の実施例〕
図3は、第2の実施例による製造工程を示すノズル板18の断面図である。
【0040】
実施例を図3に従って説明すると、図2(a)と同様のノズル板18のノズル開口部184 側の面であるノズル面185 上に、被覆材としての透明なマスクテープ2を貼付し〔図3(b)〕、反対側(図3では下側)から撥液材を添加されたネガ型あるいはポジ型のフォトレジストの皮膜を塗布し乾燥させて、フォト工程によって皮膜の必要なノズル内面183 のみに撥液性皮膜4を形成し〔図3(c)〕、ノズル面185 のマスクテープ2を剥離し、ノズル板18の反対面にマスクテープ2aを貼付し〔図3(d)〕、ノズル面185 を下にして撥インク性樹脂皮膜用溶液に接触させてノズル面185 に撥インク性樹脂皮膜用溶液膜を塗布し乾燥・加熱して撥インク性樹脂皮膜16a を形成し〔図3(e)〕、マスクテープ2aを剥離した後、ノズル内面183 の撥液性皮膜4を酸素プラズマアッシング処理によって除去し、撥インク性樹脂皮膜16a 付きノズル板18を完成する〔図3(f)〕。
【0041】
ノズル面185 とは反対側の面に貼付したマスクテープ2aは、ノズル開口部184 の反対側を塞ぐことによって、撥インク性樹脂皮膜用溶液膜をノズル面185 に塗布する際に、撥インク性樹脂皮膜用溶液がノズル開口部184 からノズル内部へ侵入することを防止するために用いられている。
【0042】
また、ノズル内面183 の撥液性皮膜4の除去には専用の剥離液浸漬あるいはアルカリ処理も有効である。
【0043】
撥液性皮膜4の形成には、撥水性材料、例えば自動車の窓ガラス用雨水撥水材、を採用することもできる。この場合には皮膜を加熱処理によって除去することができる。
【0044】
なお、撥インク性樹脂皮膜用溶液の組成例は第1の実施例と同じであるので省略する。
【0045】
以上の実施例において、ノズル面185 に撥インク性樹脂皮膜用溶液を塗布する方法としては、ノズル板18を撥インク性樹脂皮膜用溶液を浸漬する方法、図4に示すような、スポンジ等の塗布媒体5によってノズル面185 に塗布する方法が一般的である。図4には、第1の実施例に相当するノズル板18で充填材として撥液材添加紫外線硬化型接着剤3aが充填されたものが示されている。
【0046】
図5は、非常に均一な厚さの撥インク性樹脂皮膜用溶液膜を塗布することができる方法を示した図である。この塗布方法は、撥インク性樹脂皮膜用溶液を殆ど溶解させない高比重液体5上に、所定量の撥インク性樹脂皮膜用溶液を滴下して、所定の厚さの撥インク性樹脂皮膜用溶液の薄層(図5では撥インク性樹脂溶液)160 を形成し、この薄層160 をノズル板18の撥インク性樹脂皮膜形成面であるノズル面に接触させ、その面に撥インク性樹脂皮膜用溶液の薄層160 を転写する。図5の場合には、第2の実施例に相当するノズル板18が示されている。高比重液体5の表面に液体を滴下すると厚さの非常に均一な膜が形成されるので、この方法はそれを利用したのである。
【0047】
以上の説明から明らかなように、これらの実施例によれば、記録ヘッドとして最も望ましい状態である、ノズル板18のノズル面185 上だけに撥インク性樹脂皮膜16あるいは16a を形成した状態を量産性よく実現することができる。
【0048】
【発明の効果】
この発明によれば、インク加圧手段によって加圧されたインクを吐出するノズル等からなるインク流路を有し、ノズルの開口部には、表面に撥インク性樹脂皮膜を形成されたノズル板を備えている記録ヘッドの製造方法であって、撥インク性樹脂皮膜を形成する前のノズル板にはノズルとしての小孔が形成されており、ノズル板上への撥インク性樹脂皮膜の形成工程が、ノズル板の撥インク性樹脂皮膜形成面に被材としてのマスクテープを貼付する工程と、ノズル板のノズル内に撥インク性樹脂皮膜用溶液をはじく撥液材が添加された充填材を充填あるいは撥インク性樹脂溶液をはじく撥液性材料を塗布する工程(以下では充填・塗布工程と略称する)と、ノズル板の撥インク性樹脂皮膜形成面の被覆材としてのマスクテープを剥離する工程と、撥インク性樹脂溶液を用いてノズル板の撥インク性樹脂皮膜形成面へ撥インク性樹脂皮膜を形成する工程と、充填材あるいは撥液性材料を除去する工程(以下では除去工程と略称する)とからなるので、被覆材で被覆した部分だけに撥インク性樹脂皮膜が形成される。したがって、ノズル板の外側表面だけに、撥インク性樹脂皮膜を量産性よく形成できる記録ヘッドの製造方法を提供することができる(請求項1の発明)。
【0049】
請求項1の発明において、撥インク性樹脂が、弗化アルキル基含有重合体と非環式炭化水素重合体とのブロック重合体を高分子材料に混合したものである。撥インク性材料としての弗化アルキル基含有重合体と非環式炭化水素重合体とのブロック重合体は、撥インク性と耐擦性と耐薬品性に優れている。この重合体を高分子材料に混合した撥インク性樹脂は、前記ブロック重合体のもつ諸特性を保持しながらノズル板への高い密着強度を確保させることができる。したがって、ノズル板の外側表面だけに、撥インク性と耐擦性と耐薬品性とに優れた撥インク性樹脂皮膜を量産性よく形成できる記録ヘッドの製造方法を提供することができる(請求項2の発明)。
【0050】
請求項1の発明または請求項2の発明において、前記充填材が撥インク性樹脂皮膜用溶液をはじく撥液材を添加された光硬化型樹脂であり、ノズル内の充填材を除去する工程がアルカリ処理あるいは灰化である。光硬化型樹脂は、光が照射された部分だけが硬化し残留するので、この樹脂を用いて残留させたい部分に選択的に光を照射することで、ノズル内部のみにこの樹脂を充填した状態を容易に実現することができる。また、この樹脂はアルカリ処理あるいは灰化によって確実且つ容易に除去される。したがって、量産性のよい充填・塗布工程と除去工程とを提供することができる(請求項3の発明)。
【0051】
また、請求項1の発明または請求項2の発明において、前記撥液性材料が撥インク性樹脂皮膜用溶液をはじく撥液材を添加されたネガ型あるいはポジ型のフォトレジストであり、ノズル内面の撥液性材料を除去する工程がアルカリ処理あるいは灰化であるので、フォトリソグラフィ技術で、撥液性材料を塗布しておきたい部分に選択的に撥液性材料を残すことが容易に実現でき、このような撥液性材料はアルカリ処理あるいは灰化によって確実且つ容易に除去される。したがって、より量産性のよい充填・塗布工程と除去工程とを提供することができる(請求項4の発明)。
【0052】
更に、請求項1の発明または請求項2の発明において、前記充填材が水溶性樹脂あるいは撥インク性樹脂皮膜用溶液をはじく撥液材を添加された水溶性樹脂であり、ノズル内の充填材を除去する工程が水による処理であるので、充填材の除去工程が非常に容易となる。したがって、より量産性のよい除去工程を提供することができる(請求項5の発明)。
【0053】
更にまた、請求項1の発明または請求項2の発明において、前記撥液性材料が雨水撥水用材料であり、ノズル内面の撥液性材料を除去する工程が加熱処理である。雨水撥水用材料は入手及び処理の簡単な撥液性材料であり、簡単な加熱処理でそれを除去することができる。したがって、作業の簡単な充填・塗布工程と除去工程とを提供することができる(請求項6の発明)。
【0054】
請求項1の発明または請求項2の発明において、撥インク性樹脂皮膜用溶液を用いてノズル板の撥インク性樹脂皮膜形成面へ撥インク性樹脂皮膜を形成する工程が、撥インク性樹脂皮膜用溶液を殆ど溶解させない高比重液体上に形成された撥インク性樹脂皮膜用溶液の薄層上に、ノズル板の撥インク性樹脂皮膜形成面を接触させてその形成面に撥インク性樹脂皮膜用溶液の薄層を転写する工程であるので、ノズル板の撥インク性樹脂皮膜形成面に厚さの極めて均一な撥インク性皮膜を形成させることができる(請求項7の発明)。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明によるインクジェット記録ヘッドの製造方法を示す工程図
【図2】第1の実施例による製造工程を示すノズル板の断面図
【図3】第2の実施例による製造工程を示すノズル板の断面図
【図4】撥インク性樹脂皮膜用溶液の塗布方法を示す説明図
【図5】撥インク性樹脂皮膜用溶液の他の塗布方法を示す説明図
【図6】インクジェット記録ヘッドの一例の構成を示す斜視図
【図7】インクジェット記録ヘッドのノズル周辺の構造例を示し、かつ撥インク性樹脂皮膜の形成方法を説明するための断面図
【図8】インクジェット記録ヘッドのノズル周辺の別の構造例を示す断面図
【符号の説明】
10, 10a インクジェット記録ヘッド
11 シリコン基板 12 振動板
131 インク供給口 132 インク加圧室
133 ノズル 134 ノズル開口部
14 圧電素子 15 ノズル面
16, 16a 撥インク性樹脂皮膜
160 撥インク性樹脂溶液
18 ノズル板 183 ノズル内面
184 ノズル開口部 185 ノズル面
2, 2a マスクテープ
3 紫外線硬化型接着剤
4 撥水性皮膜
5 塗布媒体
6 高比重液体
20 インク滴
30 空気流

Claims (7)

  1. インク加圧手段によって加圧されたインクを吐出するノズル等からなるインク流路を有し、ノズルの開口部には、表面に撥インク性樹脂皮膜を形成されたノズル板を備えているインクジェット記録ヘッドの製造方法であって、
    撥インク性樹脂皮膜を形成する前のノズル板にはノズルとしての小孔が形成されており、
    このノズル板上への撥インク性樹脂皮膜の形成工程が、
    ノズル板の撥インク性樹脂皮膜形成面に被材としてのマスクテープを貼付する工程と、
    ノズル板のノズル内に撥インク性樹脂皮膜用溶液をはじく撥液材が添加された充填材を充填あるいはノズル内面へ撥インク性樹脂溶液をはじく撥液性材料を塗布する工程と、
    ノズル板の撥インク性樹脂皮膜形成面の被覆材としてのマスクテープを剥離する工程と、
    撥インク性樹脂溶液を用いてノズル板の撥インク性樹脂皮膜形成面へ撥インク性樹脂皮膜を形成する工程と、
    充填材あるいは撥液性材料を除去する工程とからなることを特徴とするインクジェット記録ヘッドの製造方法。
  2. 前記撥インク性樹脂が、弗化アルキル基含有重合体と非環式炭化水素重合体とのブロック重合体を高分子材料に混合したものであることを特徴とする請求項1に記載のインクジェット記録ヘッドの製造方法。
  3. 前記充填材が撥インク性樹脂皮膜用溶液をはじく撥液材を添加された光硬化型樹脂であり、ノズル内の充填材を除去する工程がアルカリ処理あるいは灰化であることを特徴とする請求項1または請求項2に記載のインクジェット記録ヘッドの製造方法。
  4. 前記撥液性材料が撥インク性樹脂皮膜用溶液をはじく撥液材を添加されたネガ型あるいはポジ型のフォトレジストであり、ノズル内面の撥液性材料を除去する工程がアルカリ処理あるいは灰化であることを特徴とする請求項1または請求項2に記載のインクジェット記録ヘッドの製造方法。
  5. 前記充填材が水溶性樹脂あるいは撥インク性樹脂皮膜用溶液をはじく撥液材を添加された水溶性樹脂であり、ノズル内の充填材を除去する工程が水による処理であることを特徴とする請求項1または請求項2に記載のインクジェット記録ヘッドの製造方法。
  6. 前記撥液性材料が雨水撥水用材料であり、ノズル内面の撥液性材料を除去する工程が加熱処理であることを特徴とする請求項1または請求項2に記載のインクジェット記録ヘッドの製造方法。
  7. 撥インク性樹脂皮膜用溶液を用いてノズル板の撥インク性樹脂皮膜形成面へ撥インク性樹脂皮膜を形成する工程が、撥インク性樹脂皮膜用溶液を殆ど溶解させない高比重液体上に形成された撥インク性樹脂皮膜用溶液の薄層に、ノズル板の撥インク性樹脂皮膜形成面を接触させてその形成面に撥インク性樹脂皮膜用溶液の薄層を転写する工程であることを特徴とする請求項1または請求項2に記載のインクジェット記録ヘッドの製造方法。
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