JPH06191033A - インクジェット記録ヘッドおよびインクジェット記録装置 - Google Patents

インクジェット記録ヘッドおよびインクジェット記録装置

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JPH06191033A
JPH06191033A JP34634892A JP34634892A JPH06191033A JP H06191033 A JPH06191033 A JP H06191033A JP 34634892 A JP34634892 A JP 34634892A JP 34634892 A JP34634892 A JP 34634892A JP H06191033 A JPH06191033 A JP H06191033A
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JP
Japan
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ink
recording head
recording
ejection port
ejection
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Application number
JP34634892A
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English (en)
Inventor
Masatsune Kobayashi
正恒 小林
Akihiko Shimomura
明彦 下村
Kenji Aono
賢治 青野
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Canon Inc
Original Assignee
Canon Inc
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Publication date
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 インクジェット記録ヘッドにおいて、その吐
出口面に付着したインク滴等によって生じる吐出偏向
等、吐出の不安定性を解消するための構成の耐久性を向
上させる。 【構成】 吐出エネルギー発生素子2が設けられたイン
ク路6は、親水性を有するインク路等構成部材4によっ
て構成され、この部材4の周囲は、部材4よりも疎水性
であるインク路等構成部材5によって形成される。これ
により、インク路6の先端部の吐出口の周囲は、そのほ
とんどが疎水性の部材によって形成され、インク滴の付
着を良好に防止できる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、インクジェット記録ヘ
ッドおよび該ヘッドを用いたインクジェット記録装置に
関する。
【0002】
【従来の技術】インクジェット記録ヘッドに用いられる
吐出方式として、圧電素子の変形によりインク路内に圧
力変化を発生させて微小インク滴を吐出させるもの、あ
るいはさらに一対の電極を設けて、これによりインク滴
を偏向して吐出させるものが知られている。またインク
路内に配設した発熱素子を急激に発熱させることによっ
てインク中に気泡を生ぜしめ、その気泡の生成に基づい
て吐出口からインク滴を吐出させるもの等が種々提案さ
れてきた。
【0003】これらの中でも、熱エネルギーによって発
生する気泡の生成に基づいてインクを吐出する方式にか
かるインクジェット記録ヘッドは、吐出口を高密度に配
列することができるために高解像力の記録をすることが
可能であること、記録ヘッドとして全体的コンパクト化
も容易であること、最近の半導体分野における技術の進
歩と信頼性の向上が著しいIC技術やマイクロ加工技術
の長所を十二分に活用でき、長尺化および面状化(2次
元化)が容易であること等により、マルチノズル化およ
び高密度実装化が容易で、しかも大量生産時の生産性が
良く製造費用も廉価にできるものとして特に注目されて
いる。
【0004】上述したように、インクジェット記録ヘッ
ドは、一般に、インクを吐出するための吐出口、この吐
出口に連通するインク路およびこのインク路の一部に設
けられる吐出エネルギー発生素子を具えている。さら
に、複数のインク路の各々に連通してこれらインク路に
供給されるインクを貯留した共通液室が具えられてい
る。
【0005】そして、このようなインクジェット記録ヘ
ッドを製造する方法としては、例えば、ガラスや金属等
の基板に切削やエッチング等により、上記インク路等を
構成するための微細な溝を形成した後、この溝を形成し
た基板を他の適当な基板と接合してヘッド内にインク路
および共通液室を形成する方法が知られている。
【0006】また、特開昭61−154947号公報に
は、以下のような製造方法によるインクジェット記録ヘ
ッドが記載されている。
【0007】即ち、この記録ヘッドは、基板上にインク
路のパターン状に固体層を設ける工程と、この固体層が
設けられた前記基板上にインク路等構成部材の少なくと
も一部を設ける工程と、固体層を基板上より除去する工
程を有した製造方法によって製造される。
【0008】なお、上記固体層には、ポジ型感光性材
料,例えばポジ型のドライフィルムが用いられ、またイ
ンク路等構成部材には、液状で熱硬化,紫外線硬化,あ
るいは電子ビーム硬化などの硬化性材料が好適なものと
して用いられる。
【0009】ところで、以上示した記録ヘッドでは、使
用に際して吐出口が配設される面(以下、吐出口面とい
う)にインクが付着し、吐出されるインク滴がこの付着
インクに引張られ、吐出が十分な速度で行われなかった
り、吐出方向が偏向することがある。また、付着インク
が多くなるとスプラッシュや不吐出を生じることもあ
る。
【0010】このため、このような吐出口面へのインク
付着に対する対策が求められてきた。特に、上述の特開
昭61−154947号公報に開示されているインクジ
ェット記録ヘッドの製造方法は、以下の点で従来の記録
ヘッド製造方法に比して優れているため、それらの利点
を損わずに、上記インク付着の問題点を解決するための
構成が強く求められてきた。
【0011】すなわち、上記製造方法の利点として、
(1)ヘッド製作のための主要工程が、いわゆる印刷技
術,すなわちフォトレジストや感光性ドライフィルム等
を用いた微細加工技術に困るため、ヘッドの細密部を、
所望のパターンで、しかも極めて容易に形成することが
できるばかりか、同構成の多数のヘッドを同時に加工す
ることもできる。
【0012】(2)製造工程数が少なく、生産性が良好
である。
【0013】ことを挙げることができる。
【0014】以上示した、吐出口面へのインク付着の問
題点に対する構成として、以下の公報に開示されるもの
を例示することができる。すなわち、上記吐出口面への
インクの付着およびこれによって派生する問題は、吐出
口面の濡れ性あるいは撥水性を改善することによって解
決できるものとして、以下の各構成が例示される。
【0015】特開昭60−24957号,特開昭60−
49951号の各公報には、樹脂製記録ヘッドにおける
インク路面の濡れ性改善方法が記載されている。
【0016】また、特開昭61−141565号公報に
は、樹脂成形された記録ヘッドのインク路面の親水化処
理および吐出口面の撥水処理が記載されている。
【0017】さらに、特開昭62−59049号公報に
は吐出口面への撥水剤塗布方法が示されている。
【0018】さらに、同様な構成の他の例として、実公
昭48−36188号公報には、吐出口面をシリコーン
オイル,アラビヤゴム等で処理し撥水性を有するように
する構成が記載されている。加えて、特開昭56−89
5669号公報には、吐出口面をフロロアルキルアルコ
キシシラン等で撥水処理したものが記載されている。
【0019】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上記特
開昭60−24957号,特開昭60−49951号の
方法は、濡れ性を改善するための処理方法が技術的に困
難であること、また処理コストの増加,処理上の安全性
の問題等多くの困難な問題を生じ、かつ、濡れ性の効果
が時間とともに低下するという問題を有している。
【0020】また、上記特開昭61−141565号に
示される構成についても、処理方法の技術的困難性、ま
た、その効果の持続性に問題を有している。
【0021】さらに、上記特開昭62−59049号の
方法においても、処理面の効果の持続性に欠点を有して
いる。
【0022】さらに加えて、上記実公昭48−3618
8号に記載される構成は、溌液処理層が吐出口面を構成
するガラス,金属,樹脂等の材料との密着性がそれ程良
好でないため、溌液層の耐久性が劣るということがあ
る。また、溌液性が全てのインクに対して有効に作用せ
ず、例えば水系のインクに対して有効な溌液性を作用し
ても、アルコール系等の有機溶剤系インクに対してはほ
とんど作用しないという問題もある。
【0023】また、上記特開昭56−895669号に
記載される構成は、溌液処理を完全に行う場合、高温で
長時間加熱したり、高PHの液中で加熱する等、吐出口
形成材料を破壊する恐れがある。
【0024】なお、上述した従来の構成とは別の構成と
して、本出願人は、特願平1−327291号におい
て、吐出口面を撥水性を有する部材で形成し、最終工程
で吐出口を打抜き工程によって形成する構成を提案して
いる。しかしながら、この打抜き工程のための非常に作
業性が低下し、かつ穴抜き時のバリ発生等により記録ヘ
ッドの吐出安定性が低下する恐れを有している。
【0025】本発明は、上記従来の問題点に鑑みてなさ
れたものであり、吐出口面へのインク付着に起因した吐
出の不安定を解消するための構成の特に耐久性を向上さ
せたインクジェット記録ヘッド及び該ヘッドを用いたイ
ンクジェット記録装置を提供することにある。
【0026】
【課題を解決するための手段】そのために本発明では、
インクを吐出するための記録ヘッドにおいて、インクを
吐出するための吐出口と、該吐出口に連通するインク路
と、該インク路を構成し親水性材料よりなる第1の部材
と、該第1の部材の回りに形成されかつ前記吐出口の周
囲の面をなす疎水性材料よりなる第2の部材と、を具え
たことを特徴とする。
【0027】また、インクを吐出するための記録ヘッド
において、インクを吐出するための吐出口と、該吐出口
の周囲の面であって、原子%で、Ta30以上60以
下,Fe30以上50以下,Ni3以上7未満,Cr7
以上15以下を含むアモルファス合金が被覆された吐出
口面と、を具えたことを特徴とする。
【0028】さらに、被記録媒体にインクを吐出して記
録を行うインクジェット記録装置において、インクを吐
出するための記録ヘッドであって、インクを吐出するた
めの吐出口と、該吐出口に連通するインク路と、該イン
ク路を構成し親水性材料よりなる第1の部材と、該第1
の部材の回りに形成されかつ前記吐出口の周囲の面をな
す疎水性材料よりなる第2の部材と、を有した記録ヘッ
ドを具えたことを特徴とする。
【0029】さらに、被記録媒体にインクを吐出して記
録を行うインクジェット記録装置において、インクを吐
出するための記録ヘッドであって、インクを吐出するた
めの吐出口と、該吐出口の周囲の面であって、原子%
で、Ta30以上60以下,Fe30以上50以下,N
i3以上7未満,Cr7以上15以下を含むアモルファ
ス合金が被覆された吐出口面と、を有した記録ヘッドを
具えたことを特徴とする。
【0030】
【作用】以上の構成によれば、吐出口面の少なくともほ
ぼ全てを疎水性とすることができ、インク滴等の付着を
防止することができる。
【0031】また、上記疎水性を有する材料または層
は、摩擦等に対して耐久性があるため、疎水性を長く維
持できる。
【0032】
【実施例】以下、図面を参照して本発明の実施例を詳細
に説明する。
【0033】(実施例1)図1ないし図4は、本発明の
実施例1にかかる記録ヘッド説明するための図である。
なお、これら図には、2つの吐出口を有するインクジェ
ット記録ヘッドが示されるが、もちろんこれ以上の吐出
口を有する記録ヘッドの場合、あるいは1つの吐出口を
有する記録ヘッドの場合でも、本発明は同様に適用され
ることは言うまでもない。
【0034】図1は、本実施例1にかかる記録ヘッドの
製造工程の一部を示す斜視図である。
【0035】記録ヘッドの構造部材をなす基板1は、ガ
ラス,セラミック,プラスチック,あるいは金属等によ
って形成される。このような基板1はインク路を構成す
る部材の一部として機能し、また、後述の型およびイン
ク路等構成部材積層時の支持体として、機能する。従っ
て、これらの機能を満たすものであれば、その形状,材
質等に特に限定されることはない。
【0036】上記基板1上には、電気熱変換素子あるい
は圧電素子等の吐出エネルギー発生素子2が、吐出口の
数に応じて配設される(図1では2個)。このような吐
出エネルギー発生素子2によってインク滴を吐出させる
ためのエネルギーがインクに与えられ、吐出が行われ
る。
【0037】因に、例えば吐出エネルギー発生素子2と
して、電気熱変換素子が用いられるときには、この素子
が近傍のインクを加熱することにより、インク中に気泡
を生じさせこの気泡の生成に基づいて吐出が行われる。
また、例えば、圧電素子が用いられるときには、この素
子の機能的振動によって、インク中に圧力変動を生じさ
せこの圧力変動によって吐出が行われる。なお、これ等
の素子2には、これら素子を動作させるための吐出信号
入力用電極(不図示)が接続されている。また、一般に
は、これら吐出エネルギー発生素子の機能の十分な発
揮,保護等を目的として保護層等の各種の機能層が設け
られるが、もちろん、本例においてもこのような機能層
を設けることは一向に差しつかえない。
【0038】図2(A)および(B)は上記図1に示す
工程の次の工程を示す記録ヘッドの平面図および断面図
である。
【0039】吐出エネルギー発生素子2が設けられた基
板1上のインク路等形成予定部分に、図に示されるパタ
ーンの型3を形成する。上記型3は、後述するようなイ
ンク路等構成部材が積層された後、基板1から除去され
るものであり、この除去によって2つのインク路および
これらに連通する共通液室が構成される。
【0040】これらインク路等の形状は所望のものとす
ることが可能であり、インク路等形成のために設けられ
る型3も、インク路等の形状に応じたものとすることが
できる。本例では2つの吐出エネルギー発生素子に対応
して設けられる2つの吐出口のそれぞれからインク滴を
吐出させるため、インク路は、2つ設けられる。
【0041】このような型を形成するに際して用いられ
る材料および手段としては、例えば下記に列示するもの
が具体的に好ましいとして挙げられる。
【0042】(1)感光性ドライフィルムを用い、公知
のドライフィルムのパターン形成プロセスに従って、型
3を形成する。
【0043】(2)基板1上に所定の厚さの溶剤可溶性
ポリマーおよびフォトレジスト層を順に積層し、このフ
ォトレジスト層のパターン形成後、溶剤可溶性ポリマー
層を選択的に除去する。
【0044】(3)硬化性を有するか、または、非硬化
性の樹脂を印刷する。
【0045】なお、(1)に挙げた感光性ドライフィル
ムとしては、ポジ型のものもネガ型のものも用いること
ができる。
【0046】(2)に挙げた溶剤可溶性ポリマーとして
は、それを溶解する溶剤が存在し、コーティングによっ
て被膜形成し得る高分子化合物であればいずれでも用い
られ得る。
【0047】(3)に挙げた印刷法によって型を形成す
る材料としては、例えば蒸発乾燥型,熱硬化型あるいは
紫外線硬化型等の各々の乾燥方式で用いられる平板イン
キ,スクリーンインキ等が用いられる。
【0048】以上に挙げた材料群の中で、加工精度や除
去の容易性あるいは作業性等の点から、上記(1)に示
される感光性ドライフィルムを用いるのが好ましい。し
かしながら、後の工程で除去可能であれば、どのような
材料あるいは方法を用いて型を形成してもよい。
【0049】図3(A),(B)および(C)は、図2
に示す工程の次の工程を順を追って示す記録ヘッドの断
面図であって、図2(B)と同位置の断面を示す。
【0050】型3が形成された基板1には図3(A)お
よび(B)に示されるように、型3を覆うように2種の
インク路等構成部材4および5が積層される。
【0051】すなわち、本発明が適用されるにあたって
は、インク路等構成部材は、少なくとも2種の材料を用
い、そのうち一方は、親インク性であり、他方は前者に
比較して疎インク性である材料が用いられる。
【0052】まず、図3(A)に示されるように、基板
1上に形成された型3上に最初に親インク性材料からな
るインク路等構成部材4の層を形成し、次いで、図3
(B)に示すように、疎インク性材料からなるインク路
等構成部材5を積層する。
【0053】ここで、本発明の目的とする吐出口周囲の
インクの付着を効率的に防止するためには、インク路等
構成部材4の層をできるだけ薄くすることが望ましい。
【0054】このうちインク路等構成部材4を構成する
親インク性材料としては、液状で熱硬化,紫外線硬化あ
るいは電子ビーム硬化する硬化性材料が好ましく、中で
もエポシキ樹脂,アクリル樹脂,ジグリコールジアルキ
ルカーボネート樹脂,不飽和ポリエステル樹脂,ポリウ
レタン樹脂,ポリイミド樹脂,メラミン樹脂,フェノー
ル樹脂,尿素樹脂等が好ましく用いられる。また電解メ
ッキ,蒸着,スパッタリング等で形成できる金属も好適
に用いられる。これらを例示すれば、Cu,Ag,A
u,Ni,Cr,Sn,Pb,Zn.Al,Ti等であ
る。また蒸着やスパッタリングを用いれば、金属の酸化
物等も用いることができる。
【0055】また、インク路等構成部材5を構成する疎
インク性材料としては、シリコーン系ポリマー、または
フッ素系ポリマーが代表的なものとして挙げられるが、
実質的に水溶性で有機溶剤可溶性のフッ素系重合体およ
び重合硬化性のモノマーおよび/またはオリゴマーを主
体とする重合硬化性被覆膜形成組成物の硬化膜が特に好
ましい。
【0056】これらを例示すれば、
【0057】
【化1】
【0058】(2)CnF2n+1CH2 CH2 OCOCH
=CH2 (n=1〜16) あるいは、CnF2n+1CH2 OCOCH=CH2 (n=
1〜4) あるいは、CnF2n+1OCOCH=CH2 (n=2〜
8)と平均分子量約5,000のメチルメタクリレート
マクロマーとのモル比2:1〜4:1の共重合体(平均
分子量2,000〜40,000) (3)C1021CH2 CH2 OH,PPG−5000お
よびトリレンジインシアナートとのモル比2:1:2の
ポリウレタン(平均分子量5,900) (4)C817SO2 N(CH2 CH2 OH)2 ,ポリ
エチレングリコールおよびアジビン酸とのモル比1:
3:4のポリエステル(平均分子量4,700) 上記以外に、重合体主鎖中にポリフロロアルキレン基を
有する重合体等のフッ素系重合体と多価アルコールに
(メタ)アクリル酸が2個以上付加された多価アクリレ
ート,多価アルコールと、多塩基酸から得られるポリエ
ステルポリオール(メタ)アクリル酸が2個以上付加さ
れたポリエステルアクリレート,エポキシ樹脂のエポキ
シ基を(メタ)アクリル酸でエステル化し、官能基をア
クリロイル基としたエポキシアクリレート,多価イソシ
アネートにヒドロキシ(メタ)アクリレートを反応させ
て得られるポリウレタンアクリレート等、分子中に2個
以上の(メタ)アクリロイル基を有する多官能性モノマ
ーまたは、多官能性オリゴマーの組合わせが好ましく利
用できる。
【0059】この組合わせの場合、フッ素系重合体は、
全体の0.01重量%以上、好ましくは0.1重量%以
上含有されるものが好ましい。
【0060】以上に述べた重合硬化性被覆膜形成組成物
は、これが塗布された後、熱,光,電子線のエネルギー
を与えることによって架橋重合硬化し硬化膜を形成す
る。
【0061】この硬化において、重合開始エネルギーと
して熱を利用する場合は、アゾビスイソブチロニトリ
ル,ベンゾイルパーオキサイドのような熱重合開始剤
を、紫外線のような光を利用する場合は、ベンゾフェノ
ン,ベンジルメチルケタールのような光開始剤をそれぞ
れ用いることで硬化膜を形成できる。
【0062】電子線で硬化させる場合には、特に、開始
剤の添加を要してない。
【0063】なお、上記に述べた重合硬化性被覆膜形成
組成物中には、その他に、反応性希釈モノマー,溶剤お
よびその他各種添加剤を加えることができる。
【0064】以上、本発明に用いることができる好まし
い疎インク性材料の例を示したが、本発明に使用できる
疎インク性材料はこれらに限定されるものでなく、その
他のフッ素ポリマー,またシリコーン系ポリマーを条件
に応じて選択し、使用することが可能である。
【0065】上記に述べた2種類のインク路等構成部材
は、例えば、カーテンコート,ロールコート,スプレー
コート等の公知の手段を用い、これを塗布する等の方法
によって、所定の厚さで基板上に積層される。塗布に際
しては、材料の脱気を行った後、気泡の混入を避けなが
ら行うのが好ましい。ここで、例えば図3(A)および
(B)のようにインク路等構成部材を積層する際、例え
ば、液体の流出,流動を抑制した状態で、必要ならば、
上部に抑え板を重ね、所定の条件で硬化させることもで
きる。硬化条件が常温または、加熱硬化であれば、30
分〜2時間放置すれば良く、紫外線硬化などの場合は、
通常10分以内の短時間照射によって硬化が可能であ
る。
【0066】次いで、図3(C)に示されるように、型
3およびインク路等構成部材が積層された上記のような
基板から、型3のみを除去してインク路6および共通液
室10を形成する。型3の除去手段としては、特に限定
されるものではないが、具体的には、例えば、型を溶解
または膨張あるいは剥離する液体中に基板を浸漬して除
去する等の方法が好ましいものとして挙げられる。この
際、必要に応じて超音波処理,スプレー,加熱,撹拌,
その他の除去促進手段を用いることも可能である。
【0067】上記除去手段に対して用いられる液体とし
ては、例えば、含ハロゲン炭化水素,ケトン,エステ
ル,芳香族炭化水素,水,強アルカリを含む水等が挙げ
られる。
【0068】なお、図4は型3の溶解除去に先立ってイ
ンク供給口7を設け、その後に型を除去した後のインク
ジェット記録ヘッドの模式的斜視図である。
【0069】本例の場合、型3は、この型を溶解する液
体中に浸漬され、吐出口8と供給口7を介して溶解除去
される。
【0070】なお、溶解除去に先立ち、吐出口部分が、
露出していない場合は、例えば図4に示すC−C′線に
沿って基板全体を切削して(必要に応じ研磨する),吐
出口を露出させる。しかし、このような記録ヘッド先端
部の切断の操作は本発明の実施のために必ずしも必要で
なく、例えば、インク路等構成部材として液状の硬化性
材料を用い、この材料を積層する際に型を使用し、記録
ヘッド先端の吐出口部分が覆われてしまうことがなく、
且つ吐出口面が平滑に成型されるようにした場合等に
は、切断は不要である。
【0071】なお、図4に示される記録ヘッドにおいて
は、インク路等構成部材について、親インク性インク路
等構成部材,疎インク性インク路等構成部材を区別し
て、図示していないが、図3(C)に示すような構成で
あることは勿論である。
【0072】以上、本発明のインクジェット記録ヘッド
の製造方法について説明したが、ここでいう親インク
性、構成部材はインク路や共通液室の内壁においてイン
クの濡れが向上することを目的とするものである。この
ため、できるだけ親インク性の高い構造材を用いること
が必要であり、これは用いるインクの材料によって変化
してくるものである。本明細書中では、水性のインクを
用いることを例にとって説明している。
【0073】また、逆に疎インク性構成部材は、できる
だけインクを弾く、すなわちインクに対して濡れ性の悪
い材料を選択することが必要である。これらの2種の構
造材を積層する際に、必要に応じてその境界面をシラン
カップリング材等で処理することも可能である。
【0074】また、上述したように、親インク性材料の
インク路等構成材の層厚はできるだけ薄く、1〜10μ
mが好ましい。逆に、疎インク性材料からなる層の厚さ
は、オリフィスの周辺面(オリフィス面)での溌インク
性を充分に発揮させる意味からもできるだけ大きくして
た方が好ましい。
【0075】以上説明した製造手順によるインクジェッ
ト記録ヘッドの具体例を以下に示す。
【0076】まず、吐出エネルギー発生素子としての電
気熱変換素子(HfB2 等よりなる)を形成したガラス
基板上に、ポジ型ドライフィルム「OZATEC R2
25」(ヘキストジャパン(株))から成る厚さ50μ
mの感光層をラミネーションによって形成した。
【0077】この感光層にインク路等に相当するパター
ンのマスクを重ね、インク路や共通液室の形成予定部分
を除く部分に70mJ/cm2 の紫外線照射を行った。
この場合、インク路の長さは3mmであった。
【0078】次に1%のカセイソーダ水溶液にてスプレ
ー現像を行い、上記電気熱変換素子を含むガラス基板上
のインク路等形成予定部分に厚さ約50μmのレリーフ
の固体層から成る型を形成した。
【0079】次いで、紫外線硬化性材料である「NOR
LAND 81」(商品名,ノーランド(株)製)をそ
の基板の上にディッピング法にて約10μmの厚さに塗
布し、その後、平行度の高い紫外線照射装置である「タ
マラック」(TAMARACK scientific
co−,inc製)によって紫外線を200秒照射
し、親水性のインク路等構成部材を硬化させた。
【0080】その後、同様に以下の組成の重合硬化性被
覆膜形成組成物を塗布し、さらに紫外線を照射すること
で疎インク性のインク路等構成層を100μmの厚さに
て積層した。
【0081】
【化2】
【0082】次いで、半導体用ウェハー切断装置を用い
て、発熱素子先端から吐出口側の100μmの位置を切
断した。この切断後、その基板をエチルセロソルナアセ
テート中に浸漬し、超音波洗浄処理をして型を全て溶解
除去し、かつインク路等内を洗浄した。
【0083】このようにして製造されたインクジェット
記録ヘッドのインク路等中には型の残渣が全く存在しな
かった。
【0084】また、このインクジェット記録ヘッドを記
録装置に装着し、純水/グリセリンダイレクトブラック
154(水溶性黒色染料)=65/30/5から成るイ
ンクを用いて記録を行ったところ、吐出口の周囲にイン
クが付着せず、その結果、吐出方向の偏向や、不吐出の
ない安定な記録が可能であった。
【0085】上記実施例1の重合硬化性被覆膜形成組成
物の代りに、反応基としてアクリロイル基を含有する反
応性オリゴマーと希釈モノマーなどから形成された光ラ
ジカル重合型樹脂組成物DEFENSA7702(大日
本インキ化学工業(株)製)のフレオン溶液にて処理剤
を作成し、これを複数回塗布した後、紫外線を照射する
ことにより、85μmの疎インク性インク路等構成層を
積層した。
【0086】この材料よりなる記録ヘッドの性能を評価
したところ、吐出口の周囲にインクが付着せず、その結
果、吐出方向の偏向や不吐出のない安定した記録が可能
であった。
【0087】(実施例2)図5は本発明の実施例2にか
かる記録ヘッドの外観斜視図であり、図6はその分解斜
視図である。
【0088】これら図に示されるように、本例の記録ヘ
ッドでは、Alよりなる支持板25上に、シリコンより
なる基板21が接着される。この基板21上には熱エネ
ルギーを発生するための複数の電気熱変換素子やこれに
電力を供給するための電極配線、さらには記録信号に応
じて上記電気熱変換素子を駆動するための駆動回路等
が、半導体製造と同様の方法で形成されている。そし
て、この基板21には、樹脂をモールド成形してなる天
板22が接合される。この天板22には、上記電気熱変
換素子に対応して設けられるインク路や複数のインク路
のそれぞれに連通して一時的にインクを貯留するための
共通液室を構成するための溝が形成される。また、天板
22は、インク路それぞれの先端で開口を構成する吐出
口28が形成されたオリフィスプレート23を一体に具
える。
【0089】天板22の基板21への接合は、これらそ
れぞれの接合面に用いられる接着剤と、弾性力によって
接合力を作用する押えばね24とによって行われる。
【0090】以上の記録ヘッド主要部の他に、上記駆動
回路とホスト装置との間の信号接続等を行うための配線
が設けられた基板27や、インクタンクに貯留されるイ
ンクを、天板22に設けられる供給口27を介して共通
液室に導くためのインク路部材26が設けられる。
【0091】吐出口28を囲むオリフィスプレート23
の表面には、本発明にかかるアモルファス合金が被覆さ
れている。このアモルファス合金は溌液性(撥水性)を
有しており、これがオリフィスプレート表面に被覆され
ることにより、吐出口周囲のインク滴,水滴の付着が生
ぜず、吐出偏向等の不安定吐出を防止することができ
る。また、ゴムブレード等によるオリフィスプレート表
面のワイピングに対する耐久性を増すこともできる。
【0092】次に、上記アモルファス合金の成分組成の
限定について説明する。
【0093】吐出口を囲むオリフィスプレート表面を溌
液性にすることによって、インク滴等が付着せず、イン
クが吐出口から吐出される際、その吐出方向の偏向等を
生じないようにするので、被覆するアモルファス合金が
充分な溌液性を有するかどうかが成分組成の条件にな
る。
【0094】すなわち、アモルファス合金成分のうち、
Taは、溌液性を有する元素であり、かつ、Niあるい
はFeと共存してアモルファス構造を形成する元素であ
る。従って本例においては、充分な溌液性を保証するた
めに、Taを30原子%以上添加する必要がある。しか
し、60原子%を越えて添加しても、それ以上の溌液性
の向上は期待できないため、Taの含有量は30〜60
原子%とする。
【0095】FeはNiおよびTaと共存することによ
ってアモルファス構造を形成し得るが、Ta,Niおよ
びCrを所要量含ませてアモルファス構造とし、溌液性
を確保するためFe含有量の上限は50原子%とする。
また、20原子%よりも少ないと、アモルファス構造の
形成が困難になる。そのためFeの含有量は30〜50
原子%とする。
【0096】Niは靭性を増大させると共に、溌液性を
高める。Niが3原子%未満ではこの効果が小さいが、
7原子%以上添加してもそれ以上に靭性および溌液性は
向上しない。従って、Ni含有量は原子%で3以上7未
満とする。
【0097】Crは耐酸化性を高める。Crが7原子%
未満ではこの効果が小さい。逆に15原子%よりも多い
と脆性化するおそれがあるので、Crの含有量は7〜1
5原子%とする。
【0098】次に、アモルファス合金をオリフィスプレ
ート表面に被覆する表面処理方法について、以下に説明
する。
【0099】樹脂モールドと一体に形成されるオリフィ
スプレートに吐出口を加工する前に、メカニカルマスク
にてオリフィスプレート表面を除いた部分をマスクし、
スパッタ法にて上記組成のアモルファス合金を被覆す
る。続いて、オリフィスプレート表面の吐出口部分は精
密ドリルあるいはレーザーにて加工し吐出口を形成す
る。
【0100】なお、既にオリフィスプレートに吐出口が
形成されている場合は、メカニカルマスクにてオリフィ
スプレート表面を除いた部分をマスクし、さらに吐出口
内はワックス等特定の溶剤で溶解しうる物質を充填し
て、スパッタ法にて上記成分のアモルファス合金を被覆
する。さらに、吐出口内のワックス等を溶剤で溶解除去
する。
【0101】以上説明した本発明の実施例2にかかる記
録ヘッド製造方法のいくつかの具体例を以下に示す。
【0102】具体例1 モールド成形された樹脂製のオリフィスプレート一体型
天板にメカニカルマスクにてマスクを行った後、オリフ
ィスプレート表面にスパッタ法にて、原子%でTa:3
5 Fe:47.7 Ni:5.9 Cr:11.7の
組成からなるアモルファス合金を被覆した。なお、この
合金の膜厚が1.0μmになるようスパッタ時間をコン
トロールした。
【0103】次に、このアモルファス合金被覆したオリ
フィスプレートに吐出口に対応したマスクをした後、レ
ーザーにて吐出口を形成した。このようにして完成した
オリフィスプレート一体型天板を、電気熱変換素子等を
有する基板に接合させ記録ヘッドを構成した。
【0104】具体例2 既に、レーザーによって吐出口が加工されたオリフィス
プレート一体型天板の吐出口内(インク)路等をワック
スで充填した後、メカニカルマスクにてオリフィスプレ
ート以外をマスクし、スパッタ法にて、原子%でTa:
50 Fe:36.5 Ni:4.5 Cr9の組成か
らなるアモルファス合金を被覆した。このとき膜厚が
1.0ミクロンになるようスパッタ時間をコントロール
した。
【0105】次に、このアモルファス合金を被覆したオ
リフィスプレート一体型天板の吐出口内のワックスを溶
解除去した。さらに、このオリフィスプレート一体型天
板を電気熱変換素子等が形成された基板に接合して記録
ヘッドを構成した。
【0106】比較例1 具体例1とまったく同一の方法で、オリフィスプレート
一体型天板に、合金(SUS304)を被覆し、記録ヘ
ッドを形成した。
【0107】以上説明した具体例1,2および比較例1
によるインクジェット記録ヘッドのオリフィスプレート
における溌液性の耐久性を調べるため、以下の「摩擦耐
久試験」を行った。
【0108】この「摩擦耐久試験1」は、オリフィスプ
レート表面にインクを吹きかけ、その上を以下に示す発
泡ポリウレタンシートでこすって行った。インクは表面
の摩擦に対して厳しいと考えられる以下に示す顔料イン
クを用いた。評価は、処理した面の試験前後の水との接
触角を測定することによって行った。
【0109】試験条件は以下のようである。
【0110】インク組成:モノエタノールアミン 中和
等量の1.5倍,トナー30%,DEG20%,エタノ
ール3.5%,水46.5% こすり材料:発泡ポリウレタンシート t=2.0,気
孔径10μm(東洋ポリマー製) こすり回数:2000回 上記試験の結果を以下の表1に示す。
【0111】
【表1】
【0112】ここで、「前進」とは一般的に用いられて
いる接触角で初めて濡れる面との角度であり、「後退」
とは一度濡れた面との接触角である。
【0113】以上の試験結果における具体例1,2から
明らかなように、アモルファス合金が被覆されたオリフ
ィスプレートの撥水性は比較的良好であり(接触角が大
きく)、また、その撥水性は、摩擦試験後も比較的高い
値が維持される。
【0114】上記実施例2の変形例として、図7に示す
ような複数材料を積層して形成するタイプの記録ヘッド
に本発明を適用した具体例について述べる。
【0115】具体例3 図7に示す記録ヘッドは、実施例2と同様に電気熱変換
素子等が設けられた基板31上にインク路,共通液室用
の凹部を形成するための活性エネルギー線硬化性材料よ
りなる層39を積層した後、その上に天板部材32を積
層して構成されるものである。
【0116】この記録ヘッドの吐出口38内(インク
路)をワックスで充填し、さらにメカニカルマスクにて
吐出口を囲む面のみを残してマスクした後、スパッタ法
にて、原子%で、Ta:35 Fe:47.4 Ni:
5.9 Cr:11.7の組成からなるアモルファス合
金を被覆した。ここで、膜厚は1.0μmになるようス
パッタ時間をコントロールした。
【0117】次に、このアモルファス合金を被覆した記
録ヘッドの吐出口内のワックスをキシレンによって溶解
除去した。
【0118】比較例2 図7に示す記録ヘッドと同様の記録ヘッドの各インク路
に蒸留水を充填した。次に、フロロアルキルアルコキシ
シランの2重量%フレオンTF溶液からなる溌液処理剤
に上記記録ヘッドを浸せきした後、引き上げて乾燥させ
た。
【0119】次に、インク路内に充填した蒸留水を除去
し、記録ヘッドごと100℃のオーブン中に30分間投
入し反応硬化させた。
【0120】以上のようにして得られた具体例3および
比較例2の記録ヘッドの溌液性の耐久性を調べるため
に、クリーニング耐久試験を行った。
【0121】このクリーニング耐久試験は、上記具体例
3および比較例2の記録ヘッドを本願人よりなるプリン
タに装着し、この装置に標準で装備されているクリーニ
ングモードで行った。
【0122】クリーニングモードの動作を簡単に説明す
ると、第1にオリフィスプレート表面を発泡ポリウレタ
ンシートで拭き、つづいて吸引ポンプにより各吐出口か
らインクを若干量吸い出す。最後にゴム製のブレードで
吐出口面を拭き払うものである。
【0123】試験条件は、 インク:装置に標準のインク クリーニング回数:1000回 である。
【0124】試験結果を以下の表2に示す。
【0125】
【表2】
【0126】以上の表2から明らかなように、本例の溌
液処理を施した記録ヘッドの吐出観察、記録試験を行っ
たところ、常時所定の方向に安定した吐出を行うことが
できた。試験結果も縦線のヨレ,ベタ記録での白ヌケ等
もなく良好なものが得られた。
【0127】図8は上記各実施例にかかる記録ヘッドを
装着可能なインクジェット記録装置の要部を示す概略斜
視図である。
【0128】図8において、記録ヘッド81は、その記
録紙87と対向する面に、記録紙87の搬送方向に複数
のインク吐出口(不図示)を具える。また、記録ヘッド
81には、これらの吐出口それぞれに連通してインク路
(不図示)が設けられ、それぞれのインク路に対応し
て、記録ヘッド81を構成する基板にインク吐出のため
の熱エネルギーを発生する電気熱変換素子が形成されて
いる。電気熱変換素子は、駆動データに応じてこれに印
加される電気パルスによって熱を発生し、これにより、
インクに膜沸騰が生じこの膜沸騰による気泡の生成に伴
って上記吐出口からインクが吐出される。各インク路に
は、これらに共通に連通する共通液室が設けられてお
り、これに貯留されるインクは、各インク路での吐出動
作に応じてそのインク路に供給される。
【0129】キャリッジ82は、記録ヘッド81を搭載
し、また、記録紙87の記録面と平行に延在する1対の
ガイドレール83と摺動可能に係合する。これにより、
記録ヘッド81は、ガイドレール83に沿って移動する
ことができ、この移動に伴って所定のタイミングで上記
記録面に向けてインクを吐出することにより記録を行
う。上記移動の後、記録紙87を、図中矢印方向に所定
量搬送し、再び上記移動を行い記録を行う。このような
動作を繰り返すことにより、記録紙87に、順次記録を
行っていく。
【0130】上述した記録紙87の搬送は、その記録面
の上下にそれぞれ配設された各々1対の搬送ローラ84
および85が回転することによって行われる。また、記
録紙87の記録面の裏側には、記録面の平面性を保つた
めのプラテン86が配設されている。
【0131】なお、上述したキャリッジ82の移動は、
これに取付けられる不図示の例えばベルトがモータによ
って駆動されることによって可能となり、また、搬送ロ
ーラ84および85の回転も同様にモータの回転がこれ
らに伝達されることによって可能となる。
【0132】(その他)なお、本発明は、特にインクジ
ェット記録方式の中でも、インク吐出を行わせるために
利用されるエネルギとして熱エネルギを発生する手段
(例えば電気熱変換体やレーザ光等)を備え、前記熱エ
ネルギによりインクの状態変化を生起させる方式の記録
ヘッド、記録装置において優れた効果をもたらすもので
ある。かかる方式によれば記録の高密度化,高精細化が
達成できるからである。
【0133】その代表的な構成や原理については、例え
ば、米国特許第4723129号明細書,同第4740
796号明細書に開示されている基本的な原理を用いて
行うものが好ましい。この方式は所謂オンデマンド型,
コンティニュアス型のいずれにも適用可能であるが、特
に、オンデマンド型の場合には、液体(インク)が保持
されているシートや液路に対応して配置されている電気
熱変換体に、記録情報に対応していて核沸騰を越える急
速な温度上昇を与える少なくとも1つの駆動信号を印加
することによって、電気熱変換体に熱エネルギを発生せ
しめ、記録ヘッドの熱作用面に膜沸騰を生じさせて、結
果的にこの駆動信号に一対一で対応した液体(インク)
内の気泡を形成できるので有効である。この気泡の成
長,収縮により吐出用開口を介して液体(インク)を吐
出させて、少なくとも1つの滴を形成する。この駆動信
号をパルス形状とすると、即時適切に気泡の成長収縮が
行われるので、特に応答性に優れた液体(インク)の吐
出が達成でき、より好ましい。このパルス形状の駆動信
号としては、米国特許第4463359号明細書,同第
4345262号明細書に記載されているようなものが
適している。なお、上記熱作用面の温度上昇率に関する
発明の米国特許第4313124号明細書に記載されて
いる条件を採用すると、さらに優れた記録を行うことが
できる。
【0134】記録ヘッドの構成としては、上述の各明細
書に開示されているような吐出口,液路,電気熱変換体
の組合せ構成(直線状液流路または直角液流路)の他に
熱作用部が屈曲する領域に配置されている構成を開示す
る米国特許第4558333号明細書,米国特許第44
59600号明細書を用いた構成も本発明に含まれるも
のである。加えて、複数の電気熱変換体に対して、共通
するスリットを電気熱変換体の吐出部とする構成を開示
する特開昭59−123670号公報や熱エネルギの圧
力波を吸収する開孔を吐出部に対応させる構成を開示す
る特開昭59−138461号公報に基いた構成として
も本発明の効果は有効である。すなわち、記録ヘッドの
形態がどのようなものであっても、本発明によれば記録
を確実に効率よく行うことができるようになるからであ
る。
【0135】さらに、記録装置が記録できる記録媒体の
最大幅に対応した長さを有するフルラインタイプの記録
ヘッドに対しても本発明は有効に適用できる。そのよう
な記録ヘッドとしては、複数記録ヘッドの組合せによっ
てその長さを満たす構成や、一体的に形成された1個の
記録ヘッドとしての構成のいずれでもよい。
【0136】加えて、上例のようなシリアルタイプのも
のでも、装置本体に固定された記録ヘッド、あるいは装
置本体に装着されることで装置本体との電気的な接続や
装置本体からのインクの供給が可能になる交換自在のチ
ップタイプの記録ヘッド、あるいは記録ヘッド自体に一
体的にインクタンクが設けられたカートリッジタイプの
記録ヘッドを用いた場合にも本発明は有効である。
【0137】また、本発明の記録装置の構成として、記
録ヘッドの吐出回復手段、予備的な補助手段等を付加す
ることは本発明の効果を一層安定できるので、好ましい
ものである。これらを具体的に挙げれば、記録ヘッドに
対してのキャッピング手段、クリーニング手段、加圧或
は吸引手段、電気熱変換体或はこれとは別の加熱素子或
はこれらの組み合わせを用いて加熱を行う予備加熱手
段、記録とは別の吐出を行なう予備吐出手段を挙げるこ
とができる。
【0138】また、搭載される記録ヘッドの種類ないし
個数についても、例えば単色のインクに対応して1個の
みが設けられたものの他、記録色や濃度を異にする複数
のインクに対応して複数個数設けられるものであっても
よい。すなわち、例えば記録装置の記録モードとしては
黒色等の主流色のみの記録モードだけではなく、記録ヘ
ッドを一体的に構成するか複数個の組み合わせによるか
いずれでもよいが、異なる色の複色カラー、または混色
によるフルカラーの各記録モードの少なくとも一つを備
えた装置にも本発明は極めて有効である。
【0139】さらに加えて、以上説明した本発明実施例
においては、インクを液体として説明しているが、室温
やそれ以下で固化するインクであって、室温で軟化もし
くは液化するものを用いてもよく、あるいはインクジェ
ット方式ではインク自体を30℃以上70℃以下の範囲
内で温度調整を行ってインクの粘性を安定吐出範囲にあ
るように温度制御するものが一般的であるから、使用記
録信号付与時にインクが液状をなすものを用いてもよ
い。加えて、熱エネルギによる昇温を、インクの固形状
態から液体状態への状態変化のエネルギとして使用せし
めることで積極的に防止するため、またはインクの蒸発
を防止するため、放置状態で固化し加熱によって液化す
るインクを用いてもよい。いずれにしても熱エネルギの
記録信号に応じた付与によってインクが液化し、液状イ
ンクが吐出されるものや、記録媒体に到達する時点では
すでに固化し始めるもの等のような、熱エネルギの付与
によって初めて液化する性質のインクを使用する場合も
本発明は適用可能である。このような場合のインクは、
特開昭54−56847号公報あるいは特開昭60−7
1260号公報に記載されるような、多孔質シート凹部
または貫通孔に液状又は固形物として保持された状態
で、電気熱変換体に対して対向するような形態としても
よい。本発明においては、上述した各インクに対して最
も有効なものは、上述した膜沸騰方式を実行するもので
ある。
【0140】さらに加えて、本発明インクジェット記録
装置の形態としては、コンピュータ等の情報処理機器の
画像出力端末として用いられるものの他、リーダ等と組
合せた複写装置、さらには送受信機能を有するファクシ
ミリ装置の形態を採るもの等であってもよい。
【0141】
【発明の効果】以上の説明から明らかなように、本発明
によれば吐出口面の少なくともほぼ全てを疎水性とする
ことができ、インク滴等の付着を防止することができ
る。
【0142】また、上記疎水性を有する材料または層
は、摩擦等に対して耐久性があるため、疎水性を長く維
持できる。
【0143】この結果、吐出偏向等の無い安定した吐出
を行うための構成の耐久性を向上させることができ、常
に良好な記録が可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施例1にかかる記録ヘッドを製造工
程の一工程において示す斜視図である。
【図2】(A)および(B)は、上記記録ヘッドを製造
工程の一工程において示すそれぞれ平面図および断面図
である。
【図3】(A),(B)および(C)は、上記記録ヘッ
ドを製造工程のそれぞれ異なる工程において示す断面図
である。
【図4】上記各工程によって製造される記録ヘッドの斜
視図である。
【図5】本発明の実施例2にかかる記録ヘッドを示す斜
視図である。
【図6】上記記録ヘッドの分解斜視図である。
【図7】上記実施例2の変形例にかかる記録ヘッドの斜
視図である。
【図8】本発明を適用した記録ヘッドを装着したインク
ジェット記録装置の一例を示す概略斜視図である。
【符号の説明】
1,21,31 基板 2 吐出エネルギー発生素子 4,5 インク路等構成部材 6 インク路 7,27 インク供給口 8,28,38 吐出口 23,33 オリフィスプレート

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 インクを吐出するための記録ヘッドにお
    いて、 インクを吐出するための吐出口と、 該吐出口に連通するインク路と、 該インク路を構成し親水性材料よりなる第1の部材と、 該第1の部材の回りに形成されかつ前記吐出口の周囲の
    面をなす疎水性材料よりなる第2の部材と、 を具えたことを特徴とするインクジェット記録ヘッド。
  2. 【請求項2】 インクを吐出するための記録ヘッドにお
    いて、 インクを吐出するための吐出口と、 該吐出口の周囲の面であって、原子%で、Ta30以上
    60以下,Fe30以上50以下,Ni3以上7未満,
    Cr7以上15以下を含むアモルファス合金が被覆され
    た吐出口面と、 を具えたことを特徴とするインクジェット記録ヘッド。
  3. 【請求項3】 前記記録ヘッドは、熱エネルギーを利用
    してインクに気泡を発生させ、該気泡の生成に基づいて
    インクを吐出することを特徴とする請求項1または2に
    記載のインクジェット記録ヘッド。
  4. 【請求項4】 被記録媒体にインクを吐出して記録を行
    うインクジェット記録装置において、 インクを吐出するための記録ヘッドであって、 インクを吐出するための吐出口と、 該吐出口に連通するインク路と、 該インク路を構成し親水性材料よりなる第1の部材と、 該第1の部材の回りに形成されかつ前記吐出口の周囲の
    面をなす疎水性材料よりなる第2の部材と、 を有した記録ヘッドを具えたことを特徴とするインクジ
    ェット記録装置。
  5. 【請求項5】 被記録媒体にインクを吐出して記録を行
    うインクジェット記録装置において、 インクを吐出するための記録ヘッドであって、 インクを吐出するための吐出口と、 該吐出口の周囲の面であって、原子%で、Ta30以上
    60以下,Fe30以上50以下,Ni3以上7未満,
    Cr7以上15以下を含むアモルファス合金が被覆され
    た吐出口面と、 を有した記録ヘッドを具えたことを特徴とするインクジ
    ェット記録装置。
  6. 【請求項6】 前記記録ヘッドは、熱エネルギーを利用
    してインクに気泡を発生させ、該気泡の生成に基づいて
    インクを吐出することを特徴する請求項4または5に記
    載のインクジェット記録装置。
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