JP3177796U - 害獣威嚇装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】人間の生活領域に侵入する野生の害獣に対し、害獣や人間を傷つけることなく、安全且つ有効に威嚇・撃退する害獣威嚇装置を提供する。
【解決手段】害獣に天敵獣を想起させる擬態部20と、害獣の接近及び方向を検知する害獣位置検知装置30と、光、音のいずれか又はこれらを組合せて発する威嚇装置40と、これらに回動作動を与えることを可能に軸支する基台部50とから構成され、害獣が接近すると、害獣に正対する位置へ回動し、視覚的威嚇や聴覚的威嚇を害獣に向けて行なう構成を採用した。
【選択図】図1

Description

本考案は、野生動物が人間の生活領域に侵入すること防ぐ威嚇装置に関し、詳しくは、屋内外、田畑、果樹園、又は管理公園等に侵入する害獣に対し、天敵獣に睨まれたかのような視覚的威嚇を発揮させる位置まで回動し、併せて、その害獣の方向に対して、威嚇光や威嚇音を発することで、害獣を威嚇し撃退する害獣威嚇装置に関する。
野生動物が生息する山間などの地域においては、熊や猪等の大型の野性動物と人間が突然遭遇し、驚いた野生動物が防衛本能によって人間を攻撃し、人間が怪我を負うという事故が発生する場合がある。また、猿、ハクビシン、鹿等によって農作物が荒されるという問題や、牛舎や豚舎などの餌を食べにくる害獣により、飼育している家畜が狂牛病等の伝染病にかかってしまうなどの問題もある。このような野生動物が人間の生活領域に侵入することで生じる種々の問題に対し、従来では、人間の姿を模した案山子、天敵猛禽類の剥製、目玉を模したプラカード、黒い切れ端片、反射鏡板、反射テープなど、視覚的威嚇手段によって害獣を撃退させる方法が採られてきた。また、ネット、金網防護柵、電気防護柵などの物理的遮蔽手段を用いて害獣の侵入を防止する方法や、最近では風切り音、爆発音などの大音響を発生させて威嚇したり、照明、フラッシュ閃光など光による威嚇によって害獣を撃退する方法もある。
しかしながら、視覚や聴覚による威嚇手段の場合は、一定の方向に向かって同一の音や光を発しても、時間と共に害獣が慣れてしまい、長期的にその効果を発生することができないという問題がある。また、また、物理的遮蔽手を段用いた場合、害獣が怪我を負ったりすることがあり、自然動物の保護といった観点から問題となる場合がある。更には、捕獲した動物を生息地へ戻すまでの間に、人間が怪我を負うリスクもある。
このような問題を解決すべく、従来からも種々の技術が提案されている。例えば、全体として前傾姿勢が採られ、翼の初列風切部の先端部が尾羽の後端部から離れ、翼の次列風切部が前記初列風切部よりも外側へ突出し、肩羽が胴体部より隆起している状態となっている、猛禽類を模した模型であって、透明で光を反射する材料で構成されている眼球部と、三日月形状を単位体として、これを同じ方向へ向けて複数ちりばめた、猛禽類の胸部の模様と同様の模様が施された胸部又は腹部と、横縞模様が施された尾羽と、先端が下側へ屈曲している嘴とを有する「鳥獣威嚇装置」(特許文献1参照)の提案がある。係る技術にいれば、猛禽類特有の特徴を模型に持たせることによって、動物保護の理念を逸脱することなく、騒音も発生させずに鳥や小動物を追い払うことができ、周囲の住環境の悪化も防ぐことができるという効果が発揮される。しかしながら、係る効果が期待できる鳥は、例えば、木の実や穀物を主食とする椋鳥や雀のような比較的小さな野鳥であり、学習能力が高いカラスなどにおいてはその効果は期待できるものではなく、また、小動物も兎やイタチなどには撃退効果が発揮できても、熊や猪といった大型の野生動物にまで、その効果を期待できるものではない。また、係る技術では、風向きに応じて方向を変換するため、本願とは異なり、害獣の位置に対して動作するものではない。
また、複数本の支柱を所定間隔を介して立設し、該支柱側に付設された線止具を介して支柱間に電線を配線し、該電線に所定電圧の通電を行う電気柵において、少なくとも上記線止具の表面に電気柵に近接する獣類の接触を誘導する導電性材料よりなる的部を形成又は付設し、該的部を上記電線と接続した「獣害防止用電気柵」(特許文献2参照)の提案もある。しかしながら、ネット、金網防護柵、電気防護柵などの遮蔽手段を用いて害獣の浸入を防止する方法においては、その防護領域が広大であること、遮蔽作業ならびに工事日数や施工基材費が膨大になること、操作制御器が高価であることなど多くの経済的要因が必要となるものであった。さらに大型動物における鹿被害では高い防護柵を必要とし、熊被害では頑丈な防護柵を必要とし、猪やハクビシンの被害においては地中深く土台を埋め込まなければならないものであった。
また、周囲の明るさを検出する光センサと、害獣の接近を検出する赤外線感知センサと、赤外線感知方向に対して紫外線を照射する紫外線照射LED及び白色光照射LEDとを具備する光源と、該光源を所定の高さに設置する支柱と、光センサにより周囲の明るさが設定レベル以下となったことを検知した状態において、赤外線感知センサから害獣接近検知信号出力S7により、紫外線照射LEDと白色光照射LEDとを間欠点滅させる制御回路とで構成された「獣害撃退装置」(特許文献3参照)の提案を始めとする爆発音、照明・フラッシュ閃光、など大音響や照明手段を用いて害獣を威嚇撃退する方法においては、通常爆発音が同じ爆発音で等間隔をあけて発せられることから、学習能力が高い猿やカラスにおいての威嚇・撃退効果は長期的に持続するものではなく、また照明灯、点滅灯や赤外線、レーザービームなどの照明・点灯手段においては、害獣の現われた方向に正対して間隔を空けて発せられるものではないことから、威嚇や撃退効果を本願に係る考案と比較すると、低いものといえる。
本出願人は、上記における害獣威嚇方法の中で、比較的に幅広く害獣に効果が期待される爆発音や照明フラッシュ閃光など、大音響や照明手段を用いて害獣を威嚇・撃退する方法に着目し、安価且つ容易に設置することができ、学習能力の高い鳥獣や大型の害獣に対しても長期的威嚇効果が得られる装置であることを課題とし、光や音、或は威嚇効果を有する造形の視覚的効果を、害獣に対し正対するように回動して発すれば、その効果を高めることができるのではないかという着想の下、本考案に係る「害獣威嚇装置」の提案に至ったものである。
実用新案登録第3048465号公報 特開2008-79521号公報 実用新案登録第3153448号公報
本考案は、人間の生活領域である屋内外、田畑、果樹園、又は管理公園等に侵入する野生の害獣に対し、視覚的威嚇や聴覚的威嚇を効果的に発揮させるために、接近する害獣の位置を認識して正対するように回動し、その害獣の方向に向けて、威嚇音や威嚇光を適宜発することで、害獣や人間が傷つくことなく安全且つ有効に威嚇・撃退する害獣威嚇装置に関する技術の提供を図ることを課題とする。
本考案は、害獣に天敵獣を想起させる形状に造形した擬態部と、害獣の接近及び方向を検知する害獣位置検知装置と、光、音のいずれか又はこれらを組合せて発する威嚇装置と、これらに回動作動を与えることを可能に軸支する基台部と、から構成される害獣威嚇装置であって、前記基台部には、前記回動作動に必要な駆動装置を備え、害獣が接近すると、前記害獣位置検知装置からの信号を受けて該害獣に正対する位置へ前記擬態部正面と前記威嚇装置を回動させ、擬態部による視覚的威嚇と、該回動後に、威嚇光、威嚇音のいずれか又はこれらを組み合わせた威嚇効果を害獣に向けて発する手段を採る。
また、本考案は、前記害獣位置検知装置が、複数の赤外線センサーを地表方向に等分割した間隔に配置され、害獣から放出される赤外線受信量の大きさから害獣との距離及び方向を検知するか、同様に配置したドップラー効果を利用した赤外線又は音の送受信によって害獣との距離及び方向を検知する手段を採る。
また、本考案は、太陽光発電パネル、バッテリー、及び太陽光発電用制御装置を備え、前記害獣威嚇装置における全ての作動に必要な電力が、自然エネルギーである太陽光利用により供給される手段を採る。
本考案に係る害獣威嚇装置によれば、光、音のいずれか又はこれらを幾種類かのパターンに組み合わせて発することもできるため、フラッシュ閃光やレーザー光などの威嚇光によって害獣の目が眩んだ状態や、突然の発光に驚かせ、更にその後に爆発音や機関銃の発射音などの威嚇音を連続的又は断続的に浴びせられることによって恐怖心が増幅し、人の生活領域への侵入がなくなると共に、威嚇光や威嚇音が異なったパターンで連続的又は断続的に発せられることにより、学習能力が及ばず、長期的に威嚇効果が保てるという優れた効果を奏する。
また、本考案に係る害獣威嚇装置によれば、害獣に天敵獣を想起させる形状に造形した擬態部を用いているため、例えば猛禽類や大型肉食獣の形体を模した擬態を造形することによって遠方からの視覚的威嚇効果が得られる優れた効果を奏する。
また、本考案に係る害獣威嚇装置によれば、害獣の接近及び方向を検知する害獣位置検知装置と、基台部内に回動作動を与える駆動部を設けて害獣と威嚇装置とが正対するように回動するため、害獣は正面から指向性のある威嚇音や威嚇光を受けることになり、より高い威嚇効果を発揮できるという優れた効果を奏する。
また、本考案に係る害獣威嚇装置によれば、太陽光発電パネル、バッテリー、及び太陽光発電用制御装置を備え、害獣威嚇装置における全ての作動に必要な電力が、自然エネルギーである太陽光利用により供給されることにより電気配線を使用することなく永続的に作動するといった優れた効果を奏する。
本考案の害獣威嚇装置に係る実施形態を示す全体図である。 本考案に係る害獣位置検知装置が赤外線受信による場合の作動状態説明図である。 本考案に係る害獣位置検知装置がドップラー効果を利用した送受信による場合の作動状態説明図である。 本考案に係る威嚇装置の作動状態を示す説明図である。 本考案に係る害獣威嚇装置の構造を示す模式的断面説明図である。 本考案に係る害獣威嚇装置の別の実施形態を示す全体図である。
本考案は、害獣Mに天敵獣を想起させる形状に造形した擬態部20と、害獣Mの接近及び方向を検知する害獣位置検知装置30と、光、音のいずれか又はこれらを組合せて発する威嚇装置40と、これらに回動作動を与えることを可能に軸支する基台部50と、から構成される害獣威嚇装置10であって、基台部50には、回動作動に必要な駆動装置51、電源装置52、制御装置53等を備え、害獣Mが接近すると、害獣位置検知装置30からの信号を受けて該害獣Mに正対する位置へ擬態部20と威嚇装置40を回動させ、威嚇光S、威嚇音Bのいずれか又はこれらを組み合わせた威嚇効果を害獣Mに向けて発する手段を採ったことを最大の特徴とする。以下、実施例を図面に基づいて説明する。
なお、本考案に係る害獣威嚇装置10は、寸法、形状、材質等において特に下記の実施例に限定されるものではなく、本出願に係る考案の技術的思想としての創作の範囲内において任意に変更することができる。
図1は、本考案に係る害獣威嚇装置10の実施形態を示す全体図である。
本考案の害獣威嚇装置10は、害獣Mに天敵獣を想起させる形状に造形した擬態部20と、害獣Mの接近、距離、及び方向を検知する害獣位置検知装置30と、光S、音Bのいずれか又はこれらを組合せて発する威嚇装置40と、これらに回動作動を与えることを可能に軸支する基台部50と、から構成される。
擬態部20は、害獣Mに天敵獣を想起させる形状に造形したもので、例えば、図に示すような熊や狼などの大型肉食獣の頭部に人間の体を組み合わせたような造形とすることによって、遠方からでも視覚的な威嚇効果が得られる形状とするものである。また、擬態部20の瞳部等にLED灯Eを備え、威嚇音Bや威嚇光Sを発する前に、害獣Mの意識を向けさせる構成を採ることも有効である。更には、頭部擬態内部に大型肉食獣や人間の体臭成分を含む液体を含ませて臭覚的に威嚇する方法を併用して害獣Mを追い払う装置とすることも有効である。
害獣位置検知装置30は、周辺に水糸等を配置し、これに接触することによる物理的動作をスイッチやセンサー等により検出するような古典的な方法や、広角カメラや回転カメラ等を設置し、画像処理によって害獣Mの接近や位置等を検出する方法、あるいは非接触温度測定器により、想定する害獣Mの体温の範囲のみ検出する構成など種々の方法が考えられ、また、本考案の請求項2に係る害獣位置検知装置30の赤外線送受信による構成と同様に、ドップラー効果を利用するもの中でも、より精度を高めるために、超音波や電磁波の送受信による害獣位置検知装置30としてもよい。
請求項2に係る害獣位置検知装置30では、動物から発する赤外線Lを感知する赤外線センサー31を用いる方法、又は赤外線Lや音波を害獣位置検知装置30より発信し、該発信量に対する反射量との差異から、反射物となる害獣Mが近くに現われたこと、その距離、そしてその移動速度などを測定する。これは所謂ドップラー効果を利用した方法であり、害獣Mが接近したことの感知や、害獣Mとの距離、更には接近しているのか遠のいているのかを判断するための情報を制御装置53や威嚇装置40へ送信する。赤外線を感知する受信用の赤外線センサー31のみで構成する場合は、複数の赤外線センサー31を地表方向に等分割した間隔に配置し、害獣Mから放出される赤外線量の大きさから害獣Mとの距離を測り、また、隣設する赤外線センサー31との受信量を比較して害獣Mが現われたことの感知と、方向を検出する。
ちなみに、ドップラー効果とは、波(音波や電磁波)など)の発生源(音源・光源など)と観測者との相対的な速度によって、波の周波数が異なって観測される現象のこと。発生源が近付く場合には波の振動が詰められて周波数が高くなり、逆に遠ざかる場合は振動が伸ばされて低くなる。例えば、救急車などが通り過ぎる際、近付くときにはサイレンの音が高く聞こえ、遠ざかる時には低く聞こえるのはこの現象によるものである。
威嚇音Bを発する威嚇装置40では、指向性を有する音響発生装置41を利用して威嚇効果を狙うもので、機械音、銃撃音、爆発音、衝撃音、高周波音、低周波振動音、サイレン、人間や天敵獣の声等を発する。但し、常に同じ威嚇音Bを繰り返す威嚇では害獣が聞き慣れてしまうため、ランダムに音源データを選択したり、異なった威嚇音Bへ変化することが望ましい。具体的には、これらの音源データをメモリ等の記憶媒体に記録しておき、害獣位置検知装置30や制御装置53からの信号を受け、オンボードマイコン等により判断や演算処理を行い、制御情報をアンプやスピーカーから構成される音響発生装置41に送信して作動させる。なお、ランダムに選択した所定の威嚇音Bを発しても、害獣位置検知装置30からの信号が変化しないような場合、即ち害獣Mの距離が離れない場合や、逆に近づいていると判断できる場合は、その選択した音源データによる威嚇音Bによっては威嚇できないと判断できるため、音量を大きくしたり、別の異なる音源データに切り替えることができるようにプログラミングにしておくことが望ましい。
また、威嚇光Sを発する威嚇装置40では、白熱球や発光ダイオード等を用いた回転灯や点滅等のように、コスト的に安価なものを利用してもよいが、指向性を有するフラッシュ閃光発生装置42やレーザー発光装置等を利用して威嚇効果を狙うことが望ましい。ただし、レーザー光を用いる場合、害獣のみならず人間の目を直撃すると失明の危険があるため、1ミリワット未満の低出力のものを使用するなど、危険性について配慮することはいうまでもない。
基台部50は、擬態部20と害獣位置検知装置30と威嚇装置40とを回動自在に軸支する基台であって、内部には、該回動作動に必要な駆動装置51、電源装置52、及び制御装置53を備える。
駆動装置51は、減速機付きのギヤードモーター等を用い、電源装置52から電源の供給を受けて、擬態部20と害獣位置検知装置30と威嚇装置40を回動する。係る電源装置52は、使用するモーターの種類に対応して選択すればよく、交流モーターであれば、例えば100VのAC電源とし、直流モーターであれば、例えば12VのDC電源とし、それぞれ、コンデンサーやバッテリーなどの蓄電によりコードレスとすることが望ましい。また、制御装置53には、記憶メモリーを備えたオンボードマイコンや、威嚇装置40、害獣位置検知装置30、及びモーター用の其々の制御基板が内蔵され、害獣位置検知装置30からの信号を受信して回動量を決定する演算や、威嚇音Bの選択等を行い、作動指令情報を各装置へ送信する。具体的には、交流であればインバーター制御、直流であればPWM制御等により駆動装置51を駆動し、害獣Mに正対するように制御する。
図2は、本考案に係る害獣位置検知装置30が、赤外線受信による場合の作動状態説明図である。害獣Mが赤外線センサー31を受信可能な管理エリアに侵入すると、複数の赤外線センサー31のうちのいずれかが、まず最初に所定量以上の赤外線量を感知し、害獣Mが接近したことを認識する。更に害獣Mとの距離が縮まるにつれ、隣設する左右の赤外線センサー31も赤外線を受信するようになる。これらの複数の赤外線量を対比して、その割合から害獣Mの正確な方向を演算して求め、擬態部20と威嚇装置40が害獣Mに正対する位置へ回動させるために必要な回動量を演算し、駆動装置51を制御して害獣Mと威嚇装置40とを正対させる構成である。
図3は、本考案に係る害獣位置検知装置30が赤外線によるドップラー効果を利用した送受信による場合の作動状態説明図である。なお、請求項1に係る害獣位置検知装置30での送受信には、超音波や電磁波なども利用できるが、以下、請求項2に係る赤外線の送受信を利用した場合の実施例として作動状態を説明する。まず、一対の赤外線発信装置32と赤外線センサー31との組み合わせから構成される検知器が等方的に複数配設された害獣位置検知装置30が地面と並行となるように害獣威嚇装置10を設置する。係る設置に際しては、精度を向上させるために、近くに赤外線反射物が存在しない平坦な場所であることが望ましい。但し、岩や樹木等の反射物が近くにある場合は、設置状態における各検知器の赤外線の反射受信量を記憶し、これを初期状態とすることで対応可能である。害獣Mが管理エリア内に侵入すると、赤外線発信装置32から発信された赤外線が反射され、複数の赤外線センサー31のうちのいずれかが、まず最初に所定量以上の赤外線量を感知し、害獣Mが接近したことを認識する。更に害獣Mとの距離が縮まるにつれ、隣設する左右の検知器から発信された赤外線がそれぞれ対応する赤外線センサー31も受信するようになる。これらの複数の赤外線量を対比して、その割合から害獣Mの正確な方向を演算して求め、擬態部20と威嚇装置40が害獣Mに正対する位置へ回動させるために必要な回動量を演算し、駆動装置51を制御して害獣Mと威嚇装置40とを正対させる構成である。
図4は、本考案の害獣威嚇装置10に係る威嚇装置40の作動状態を示す説明図である。
威嚇光Sにフラッシュ閃光Fを発光させ、更に威嚇音Bを発する構成を採用した場合の実施例として、下記に威嚇装置40の作動手順を示す。
(1)前記の、害獣位置検知装置30により、害獣Mに対して威嚇装置40が正対する位置まで回動が終了すると、害獣Mの方向に向けて、威嚇装置40に内蔵されているフラッシュ閃光発生装置42から大容量のフラッシュ閃光Fを発光させる。
(2)害獣Mの目が眩むか若しくは驚いた直後に威嚇音S(例えば爆発音)を発する。
(3)それでも、害獣Mとの距離が変化しない場合や、逆に近づいていると判断できる場合には、記憶メモリーに内蔵されている異なった威嚇音S(例えば機関銃の発射音等)を音量を上げて発する。
(4)なお、害獣Mが後退せず、左右どちらかに移動した場合は、害獣位置検知装置30によりその方向を認識し、害獣Mの移動した方向に回動して、上記(1)〜から(3)を繰り返す。
以上のように大容量のフラッシュ閃光Fと、異なった威嚇音とを連続的に発射することによって、害獣Mに恐怖心を与え、以後近づかないようにする。
図5は、本考案に係る害獣威嚇装置10の構造を示す模式的断面説明図である。害獣威嚇装置10は、害獣Mに天敵獣を想起させる形状に造形した擬態部20と、害獣Mの接近及び方向を検知する害獣位置検知装置30と、光、音のいずれか又はこれらを組合せて発する威嚇装置40と、これらに回動作動を与えることを可能に軸支する基台部50とから構成され、基台部50には、前記回動作動に必要な駆動装置51を備え、害獣Mが接近すると、害獣位置検知装置30からの信号を受けて害獣Mに正対する位置へ擬態部20と威嚇装置40を回動させ、擬態部20による視覚的威嚇と、該回動後に、威嚇光Sや威嚇音Bを害獣Mに向けて発する構成である。
図6は、本考案に係る害獣威嚇装置10の別の実施形態を示す全体図である。
本考案に係る請求項3の害獣威嚇装置10では、太陽光発電パネル60、バッテリー61、及び太陽光発電用制御装置62を備え、害獣威嚇装置10における全ての作動に必要な電力が、自然エネルギーである太陽光利用により供給されるものである。
以上のように、本考案に係る害獣威嚇装置10は、屋内外や、広大な田畑ならびに果樹園、管理公園内等にピンポイントで設置することが可能であると共に、猿、鹿、熊、狸、ハクビシン、カラス、ムクドリ等の多種に亘る害獣Mに威嚇効果が期待できることから、本考案に係る「害獣威嚇装置」の産業上の利用可能性は極めて高いものと解する。
10 害獣威嚇装置
20 擬態部
30 害獣位置検知装置
31 赤外線センサー
32 赤外線発信装置
40 威嚇装置
41 音響発生装置
42 フラッシュ閃光発生装置
50 基台部
51 駆動装置
52 電源装置
53 制御装置
60 太陽光発電パネル
61 バッテリー
62 太陽光発電用制御装置
M 害獣
S 威嚇光
B 威嚇音
L 赤外線
F フラッシュ閃光
E LED灯

Claims (3)

  1. 害獣に天敵獣を想起させる形状に造形した擬態部と、
    害獣の接近及び方向を検知する害獣位置検知装置と、
    光、音のいずれか又はこれらを組合せて発する威嚇装置と、
    これらに回動作動を与えることを可能に軸支する基台部と、
    から構成される害獣威嚇装置であって、
    前記基台部には、前記回動作動に必要な駆動装置を備え、
    害獣が接近すると、前記害獣位置検知装置からの信号を受けて該害獣に正対する位置へ前記擬態部正面と前記威嚇装置を回動させ、擬態部による視覚的威嚇と、
    該回動後に、威嚇光、威嚇音のいずれか又はこれらを組み合わせた威嚇効果を害獣に向けて発することを特徴とする害獣威嚇装置。
  2. 前記害獣位置検知装置が、複数の赤外線センサーを地表方向に等分割した間隔に配置され、害獣から放出される赤外線受信量の大きさから害獣との距離及び方向を検知するか、又は、同様に配置したドップラー効果を利用した赤外線又は音の送受信によって害獣との距離及び方向を検知することを特徴とする請求項1に記載の害獣威嚇装置。
  3. 太陽光発電パネル、バッテリー、及び太陽光発電用制御装置を備え、前記害獣威嚇装置における全ての作動に必要な電力が、自然エネルギーである太陽光利用により供給されることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の害獣威嚇装置。
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