図1は本発明の野生動物撃退装置の一実施形態における全体構成を概略的に示している。
同図に示すように、本実施形態の野生動物撃退装置は、支柱10に取付けられたディスプレイ11(本発明のディスプレイ手段に対応する)と、LED発光装置12(本発明の発光手段に対応する)と、スピーカ13(本発明の音響発生手段に対応する)とを備えており、さらに、地中に埋設された発振器14(本発明の超音波発生装置及び/又は可聴音発生装置に対応する)と、野生動物の接近を検知する検知器15(本発明の検知手段に対応する)と、検知器15からの検知信号を受信すると共に、ディスプレイ11、LED発光装置12、スピーカ13及び発振器14に駆動信号を出力する制御及び駆動装置16(本発明の制御手段に対応する)とを備えている。
ディスプレイ11は、本実施形態では、画面が水平面内で互いに異なる複数の方向、具体的には、図1に示すように、画面が水平面内で互いに120°離隔して支柱10に設置された3つの液晶フラットパネル11aから構成されている。制御及び駆動装置16の駆動により、これら液晶フラットパネル11aの画面には、野生動物を威嚇する動物(例えば頂点捕食者)のカラー映像が静止画ではなく動画で表示される。各液晶フラットパネル11aに表示される映像は同じであっても、互いに異なっていても良い。動画が表示されるため、動物の像に動きがあり、また、異なる種類の動物、異なる姿、異なる動き、異なる色、異なる明るさ、異なる輝度の像を容易に表示できるため、野生動物は学習することが難しく、撃退効果を持続的に維持することが可能となる。なお、液晶フラットパネル11aの数は、2つ(互いに180°離隔)であっても良いし、4つ(互いに90°離隔)であっても良いし、それ以上であっても良い。また、液晶フラットパネルに代えて、フラットスクリーン又はフラット電光標示盤を用いても良い。
LED発光装置12は、複数のLED発光部から構成されており、各LED発光部は、例えば、光束が120ルーメン以上の高輝度の複数のLED素子から構成されている。このため、夜間だけでなく、日中においても野生動物に発光を認識させることができる。また、LED素子は-5℃以下で動作可能なものである。即ち、寒冷地で使用できるLED素子が好ましい。各LED発光部に使用されるLED素子の数は、必要に応じて適宜に選択される。LED素子の光束が120ルーメンより少ない場合、単数の場合は暗すぎて野生動物が明かりを認知しにくいか又は認知できない可能性がある。また、LED発光部は、制御及び駆動手段16の制御により5~20Hzの周波数で点滅するように構成されている。LED発光部の点滅発光は、スピーカ13からの可聴音発生と共に15分以上の停止間隔で行うように制御されることが望ましい。なお、各LED発光部を個別に点滅制御することで複雑な光の点滅が可能となり、野生動物の慣れを防止することができる。また、LED発光部の発光色は、必要に応じて適宜に設定しても良い。
スピーカ13は、野生動物を威嚇する威嚇音を、野生動物が可聴な周波数(人間が可聴な周波数及び人間が可聴できない超音波周波数)で空中に放出するものであり、本発明の可聴音発生装置及び/又は超音波発生装置に対応している。本実施形態では2つのスピーカ13が設けられているが、その数は任意である。ただし、複数のスピーカ13を設けることが望ましい。威嚇音は、野生動物を威嚇する動物(例えば頂点捕食者)の威嚇音であっても良いし、後述するようにその他の威嚇音であっても良い。また、スピーカ13は、80dB以上の威嚇音を発生することができるように構成されている。スピーカ13から発生させる威嚇音は、制御及び駆動手段16によって威嚇音の種類(パターン)をランダムに切り替え、野生動物が嫌がり、かつ慣れないものとすることができる。このため、LED発光装置12による光の点滅による威嚇と共に音による威嚇を行うことによって、より高い忌避効果を奏することができる。なお、実証実験(鹿の実験)では、威嚇音は80dB以上でないと、効果が薄かった。一方、80dB以上の威嚇音では90%以上のシカが退避した。90dBの威嚇音では100%のシカが退避した。また、威嚇音として、レーシングカーの通過音、ジェット機の音、チェーンソーの音など非日常音も高い効果(80%以上)があり、これらも大きな音量(80dB以上)が必要である。
LED発光装置12、ディスプレイ11及びスピーカ13の支柱10への上下方向の取付け順序は、図1に示した順序に限定されない。上から、ディスプレイ11、LED発光装置12及びスピーカ13の順序であっても、ディスプレイ11、スピーカ13及びLED発光装置12の順序であっても、スピーカ13、ディスプレイ11及びLED発光装置12の順序であっても良い。
発振器14は、本実施形態では、地中に埋設された超音波の発振素子であり、本発明の超音波発生装置に対応している。この発振器14は、制御及び駆動手段16から送られた駆動信号によって20kHz~40kHzの超音波振動を発生する。超音波振動に代えて、又は超音波振動と共に、制御及び駆動手段16から送られた駆動信号によって、比較的低い周波数(例えば6kHz以下)の可聴音振動を発生させても良い。この場合、発振器14は本発明の可聴音発生装置に対応する。このような可聴音や超音波は空気中では大きく減衰するが、地中では、減衰が小さく速く伝搬し易くなるため、野生動物に伝わり易くなる。本実施形態では、発振器14を地中に埋設しているが、この発振器14を、砂中、水中、雪中又は氷中に埋設しても同様の傾向効果を得ることができる。
検知器15は、野生動物が近付いたことを感知してディスプレイ11、LED発光装置12、スピーカ13及び発振器14を作動させるためのものであり、例えば、赤外線センサを用いる。この赤外線センサによって、感知範囲内に侵入してきた野生動物を感知し、制御及び駆動手段16によって制御されたパターンに基づき、ディスプレイ11の表示を作動させ、LED発光装置12を点滅させると共に、スピーカ13から可聴の威嚇音を発生させ、発振器14から20kHz~40kHzの超音波振動を発生させる。検知器15は、野生動物の発する赤外線を検知する一般的なパッシブ赤外線センサであっても良いが、線状に発せられた赤外線ビームを野生動物によって遮断されたことを検知するアクティブ赤外線センサであっても良い。
発振器14から20kHz~40kHzの超音波振動を発生させる点及び発振器14を地中に埋設した点について、その理由等を以下説明する。
都市部や住居近隣部において、80dB以上の高い音圧レベルの可聴音をスピーカ13から空中へ放出すると、野生動物撃退効果は高いものの、周辺の居住者への騒音問題が発生する。このため、音圧をこれより下げざるを得ないこととなり、これは野生動物撃退効果を低減してしまう。一方、人間には聞こえない超音波領域の音源を使用すれば、騒音問題を招くことなしに、野生動物が野生動物撃退装置に気付くことを助長できるが、超音波振動は、高周波数音であるため、可聴域である低周波数音に比べ空気中での減衰がより大きくかつ指向性も高まるので、空気中で遠くまで伝搬させることが難しかった。
そこで、20kHz~40kHzの超音波音源を地中に埋設し、地中超音波伝搬を行えば、遠くまで振動を速く伝えることができ、騒音問題及び野生動物への伝搬の問題を共に解消させることができる。超音波音源を地中に埋設することのみならず、水田などの水を張った環境があれば水中に設置しても良い。水中では、音響インピーダンスが空中の3400倍以上あるため、超音波が伝わりやすい。また、音波は、空中で340m/秒で伝わるが、水中では1500m/秒の音速となる。砂、雪及び氷などの固体中であれば、空気中より音響インピーダンスが高くなり、有効な超音波伝搬が可能である。
野生動物(エゾシカ)の超音波に対する反応を実験した。この実験は、エゾシカ飼育試験場において、1mの位置で70~80dBの音圧の超音波を断続音として発生させシカが反応したか否かを確認した。実験結果の概略を表1に示す。
野生動物は自分の命を守るために可聴域が幅広いといわれており、実際に、エゾシカの上述の実験では、表1から分かるように、20kHzから40kHzの超音波音域でも視聴がほぼ可能となっている。従って、この20kHzから40kHzの超音波領域の音源を利用すると、人間の可聴域ではないため、騒音問題もなく居住地近くでも大きな音量の威嚇が可能となる。
図2は本実施形態の野生動物撃退装置における制御及び駆動装置16の電気的構成を概略的に示している。
同図に示すように、制御及び駆動装置16は、コンピュータ16aと、このコンピュータ16aに図示しない入出力インタフェースを介して電気的に接続されているディスプレイ駆動回路16b、LED駆動回路16c、スピーカ駆動回路16d及び発振器駆動回路16eと、コンピュータ16aや上述したディスプレイ駆動回路16b、LED駆動回路16c、スピーカ駆動回路16d及び発振器駆動回路16eに電力を供給する図示しない電源装置とを備えている。ディスプレイ駆動回路16bはディスプレイ11に電気的に接続されており、LED駆動回路16cはLED発光装置12に電気的に接続されており、スピーカ駆動回路16dはスピーカ13に電気的に接続されており、発振器駆動回路16eは発振器14に電気的に接続されている。検知器15は図示しない入出力インタフェースを介してコンピュータ16aに電気的に接続されている。なお、コンピュータ16aは、図示されていないが、上述した入出力インタフェースの他に、CPU、ROM、RAM及びフラッシュメモリ等を備えており、無線又は有線の通信装置を備えていても良い。
コンピュータ16aの記憶部(ROM、RAM、フラッシュメモリなど)には、ディスプレイ11に表示する野生動物を威嚇する動物(例えば頂点捕食者)のカラー動画映像データが記憶されている。この動画映像データは、複数種類記憶されており、コンピュータ16aは、例えば、年、季節、月、週、日、時刻に応じて適宜選択して出力することができる。この動画映像データは、後から追加して記憶させることができる。
コンピュータ16aの記憶部(ROM、RAM、フラッシュメモリなど)には、また、LED発光装置12の点滅のタイミングとして複数の点滅パターンデータが記憶されている。コンピュータ16aは、記憶された点滅パターンについて、所定の点滅周波数が調整された点滅パターンをランダムに切り替え制御することができる。例えば、複数の点滅パターンの中から点滅パターンをランダムに選択して点滅させることができ、これにより、野生動物が光の点滅に慣れることを防止でき、忌避効果を持続させることができる。なお、コンピュータ16aは、点滅パターンをランダムに切り替えるだけでなく、所定の点滅パターンに固定する制御を行うこともできる。点滅パターンデータは、予め記憶されているものに限られず、野生動物の種類に応じて効果的な点滅パターンデータを後から追加して記憶させることができる。
コンピュータ16aの記憶部(ROM、RAM、フラッシュメモリなど)には、さらに、スピーカ13から出力される野生動物を威嚇するための威嚇音の複数の音声データが記憶されている。威嚇音として、例えば、実際のオオカミの肉声(鳴き声)、実際の鹿の肉声(警戒音)、実際の犬の肉声(鳴き声)、人間の肉声、銃声のうち少なくとも1種類を含む4パターン以上を有する。この記憶部に記憶される音声データは、予め記憶されているものに限られず、野生動物の種類に応じて効果的な音声データを後から追加して記憶させることができる。なお、音声データは、実際の音声(肉声)を録音したもの、又は人工的に作り出された音声を用いても良い。
コンピュータ16aは、発生させる威嚇音を制御することができる。例えば、80dB以上の威嚇音を15分以上の停止間隔で発生するように制御する。また、上述の記憶部に記憶された威嚇音をランダムに切り替え制御する。例えば、オオカミの鳴き声、鹿の警戒音、犬の鳴き声、人間の肉声、銃声の中から威嚇音をランダムに選択してスピーカ駆動回路16dを介してスピーカ13に送り、発生させる。このため、野生動物が威嚇音に慣れることを防止でき、忌避効果を持続させることができる。なお、コンピュータ16aは、威嚇音をランダムに切り替えるだけでなく、所定の威嚇音に固定する制御を行うこともできる。
電源装置は、野生動物撃退装置全体に電力を供給するためのものである。例えば、太陽光パネルを設置し、太陽光発電を行うようにすれば、電気がない場所に野生動物撃退装置を設置することができる。なお、電源装置には、蓄電池又は外部電源を用いることができる。
制御及び駆動装置16のコンピュータ16aにおいては、CPUが、ROMに格納された制御プログラムに従って、RAMをワークエリアとして使用しながら、本実施形態における野生動物撃退装置の全体の動作を制御する。
図3は制御及び駆動装置16のコンピュータ16aによって制御される、ディスプレイ11、LED発光装置12、スピーカ13及び発振器14の動作制御処理の一例を示している。この動作制御処理は、例えばタイマ等により一定時間間隔で繰り返して実行される。
コンピュータ16aは、まず、検知器15からの検知信号に応じて、野生動物を検知したか否かを判別する(ステップS1)。野生動物を検知しなかった場合(NOの場合)は、後述するステップS5へ進む。
野生動物を検知した場合(YESの場合)、コンピュータ16aは、ディスプレイ駆動回路16b、LED駆動回路16c、スピーカ駆動回路16d及び発振器駆動回路16eを介してディスプレイ11、LED発光装置12、スピーカ13及び発振器14をそれぞれ駆動し作動させる(ステップS2)。
次いで、コンピュータ16aは、これらディスプレイ11、LED発光装置12、スピーカ13及び発振器14の作動時間があらかじめ定められた第1の時間、例えば30~60秒、となったか否かを判別し(ステップS3)、作動時間が第1の時間とはなっていない場合(NOの場合)は、ステップS2へ戻ってディスプレイ11、LED発光装置12、スピーカ13及び発振器14の作動を継続する。
ステップS3において、作動時間が第1の時間以上となったと判別した場合(YESの場合)は、コンピュータ16aは、これらディスプレイ11、LED発光装置12、スピーカ13及び発振器14の作動を停止させる(ステップS4)。
次いで、コンピュータ16aは、ディスプレイ11、LED発光装置12、スピーカ13及び発振器14の作動停止時間があらかじめ定めた第2の時間、例えば15分、以上となったか否かを判別する(ステップS5)。動作停止時間が第2の時間以上となったと判別した場合(YESの場合)は、コンピュータ16aは、ステップS2に戻り、ステップS2~S5の処理を繰り返す。ステップS5において、作動停止時間が第2の時間以上ではないと判別した場合(NOの場合)は、この動作制御処理を終了する。
以上の動作制御処理により、ディスプレイ11、LED発光装置12、スピーカ13及び発振器14の動作時間は、30秒から60秒程度となり、停止時間(間隔)は15分以上となる。なお、実証実験では、停止時間が5~10分程度の場合は、慣れが生じてシカが近寄ってくる現象があった。15分以上の停止時間にする場合、5年以上効果が持続している。望ましくは30分の停止時間を推奨している。
以上説明したように、本実施形態によれば、ディスプレイ11が野生動物を威嚇する動物(例えば頂点捕食者)の映像を静止画ではなく動画で表示するように構成されているので、威嚇動物の像に動きを与えることができる。また、威嚇動物の映像をディスプレイ11に表示するように構成されているので、異なる種類の動物、異なる姿、異なる動き、異なる色、異なる明るさ、異なる輝度の像を容易に表示することができる。このため、野生動物はこの威嚇動物の映像について学習することが難しくなり、その結果、撃退効果を効果的にかつ持続的に維持することが可能となる。
図4は本発明の野生動物撃退装置の他の実施形態における一部構成を概略的に示している。
同図に示すように、本実施形態の野生動物撃退装置は、支柱110に取付けられたディスプレイ111(本発明のディスプレイ手段に対応する)と、LED発光装置112(本発明の発光手段に対応する)と、スピーカ113(本発明の音響発生手段に対応する)とを備えており、さらに、地中に埋設された図示しない発振器(本発明の超音波発生装置及び/又は可聴音発生装置に対応する)と、野生動物の接近を検知する図示しない検知器(本発明の検知手段に対応する)と、この検知器からの検知信号を受信すると共に、ディスプレイ111、LED発光装置112、スピーカ113及び発振器に駆動信号を出力する図示しない制御及び駆動装置(本発明の制御手段に対応する)とを備えている。
ディスプレイ111は、本実施形態では、画面が水平面内で周囲方向に向いた複数の有機EL曲面パネル、具体的には、図4に示すように、曲面の画面が水平面内で互いに180°離隔するように支柱110に設置された2つの有機EL曲面パネル111aから構成されている。制御及び駆動装置の駆動により、これら有機EL曲面パネル111aの画面には、野生動物を威嚇する動物(例えば頂点捕食者)のカラー映像が静止画ではなく動画で表示される。各有機EL曲面パネル111aに表示される映像は同じであっても、互いに異なっていても良い。動画が表示されるため、動物の像に動きがあり、また、異なる種類の動物、異なる姿、異なる動き、異なる色、異なる明るさ、異なる輝度の像を容易に表示できるため、野生動物は学習することが難しく、撃退効果を持続的に維持することが可能となる。なお、有機EL曲面パネル111aの数は、3つ(互いに120°離隔)であっても良いし、4つ(互いに90°離隔)であっても良いし、それ以上であっても良い。また、有機EL曲面パネルに代えて、曲面スクリーン又は曲面電光標示盤を用いても良い。
ディスプレイ111、スピーカ113及びLED発光装置112の支柱110への上下方向の取付け順序は、図4に示した順序に限定されない。上から、LED発光装置112、ディスプレイ111及びスピーカ113の順序であっても、ディスプレイ111、LED発光装置112及びスピーカ113の順序であっても、スピーカ113、ディスプレイ111及びLED発光装置112の順序であっても良い。
LED発光装置112、スピーカ113、発振器及び検知器の構成及び作用効果は、図1の実施形態の場合と同様であるため、説明を省略する。また、制御及び駆動装置の電気的構成並びに制御処理動作も図1の実施形態の場合と同様であるため、説明を省略する。
以上説明したように、本実施形態によれば、ディスプレイ111が野生動物を威嚇する動物(例えば頂点捕食者)の映像を静止画ではなく動画で表示するように構成されているので、威嚇動物の像に動きを与えることができる。また、威嚇動物の映像をディスプレイ111に表示するように構成されているので、異なる種類の動物、異なる姿、異なる動き、異なる色、異なる明るさ、異なる輝度の像を容易に表示することができる。このため、野生動物はこの威嚇動物の像について学習することが難しくなり、その結果、撃退効果を効果的にかつ持続的に維持することが可能となる。
図5は本発明の野生動物撃退装置のさらに他の実施形態における一部構成を概略的に示している。
同図に示すように、本実施形態の野生動物撃退装置は、支柱210に取付けられたディスプレイ211(本発明のディスプレイ手段に対応する)と、LED発光装置212(本発明の発光手段に対応する)と、スピーカ213(本発明の音響発生手段に対応する)とを備えており、さらに、地中に埋設された図示しない発振器(本発明の超音波発生装置及び/又は可聴音発生装置に対応する)と、野生動物の接近を検知する図示しない検知器(本発明の検知手段に対応する)と、この検知器からの検知信号を受信すると共に、ディスプレイ211、LED発光装置212、スピーカ213及び発振器に駆動信号を出力する図示しない制御及び駆動装置(本発明の制御手段に対応する)とを備えている。
ディスプレイ211は、本実施形態では、画面が水平面内で周囲方向に向いた単一の有機EL曲面パネル、具体的には、図5に示すように、曲面の画面が水平面内でほぼ全周方向に向くように支柱210に設置された単一の有機EL曲面パネル211aから構成されている。制御及び駆動装置の駆動により、この有機EL曲面パネル211aの画面には、野生動物を威嚇する動物(例えば頂点捕食者)のカラー映像が静止画ではなく動画で表示される。動画が表示されるため、動物の像に動きがあり、また、異なる種類の動物、異なる姿、異なる動き、異なる色、異なる明るさ、異なる輝度の像を容易に表示できるため、野生動物は学習することが難しく、撃退効果を持続的に維持することが可能となる。なお、有機EL曲面パネルに代えて、曲面スクリーン又は曲面電光標示盤を用いても良い。
ディスプレイ211、スピーカ213及びLED発光装置212の支柱210への上下方向の取付け順序は、図5に示した順序に限定されない。上から、LED発光装置212、ディスプレイ211及びスピーカ213の順序であっても、ディスプレイ211、LED発光装置212及びスピーカ213の順序であっても、スピーカ213、ディスプレイ211及びLED発光装置212の順序であっても良い。
LED発光装置212、スピーカ213、発振器及び検知器の構成及び作用効果は、図1の実施形態の場合と同様であるため、説明を省略する。また、制御及び駆動装置の電気的構成並びに制御処理動作も図1の実施形態の場合と同様であるため、説明を省略する。
以上説明したように、本実施形態によれば、ディスプレイ211が野生動物を威嚇する動物(例えば頂点捕食者)の映像を静止画ではなく動画で表示するように構成されているので、威嚇動物の像に動きを与えることができる。また、威嚇動物の映像をディスプレイ211に表示するように構成されているので、異なる種類の動物、異なる姿、異なる動き、異なる色、異なる明るさ、異なる輝度の像を容易に表示することができる。このため、野生動物はこの威嚇動物の像について学習することが難しくなり、その結果、撃退効果を効果的にかつ持続的に維持することが可能となる。
図6は本発明の野生動物撃退装置のまたさらに他の実施形態における一部構成を概略的に示している。
同図に示すように、本実施形態の野生動物撃退装置は、支柱310に取付けられた3次元ディスプレイ311(本発明のディスプレイ手段に対応する)と、LED発光装置312(本発明の発光手段に対応する)と、スピーカ313(本発明の音響発生手段に対応する)とを備えており、さらに、地中に埋設された図示しない発振器(本発明の超音波発生装置及び/又は可聴音発生装置に対応する)と、野生動物の接近を検知する図示しない検知器(本発明の検知手段に対応する)と、この検知器からの検知信号を受信すると共に、ディスプレイ311、LED発光装置312、スピーカ313及び発振器に駆動信号を出力する図示しない制御及び駆動装置(本発明の制御手段に対応する)とを備えている。
ディスプレイ311は、本実施形態では、動物の映像を3次元表示するホログラム表示装置などであり、具体的には、図6に示すように、ホログラム表示装置311aが支柱310の最上部に設置されている。制御及び駆動装置の駆動により、このホログラム表示装置311aが駆動されることにより、その上の水蒸気又は微粒子等によって形成されたスクリーンに、野生動物を威嚇する動物(例えば頂点捕食者)のカラー3次元映像311bが静止画ではなく動画で表示される。3次元の動画が表示されるため、動物の像に動きがあり、また、異なる種類の動物、異なる姿、異なる動き、異なる色、異なる明るさ、異なる輝度の像を容易に表示できるため、野生動物は学習することが難しく、撃退効果を持続的に維持することが可能となる。
スピーカ313及びLED発光装置312の支柱310への上下方向の取付け順序は、図6に示した順序に限定されない。上から、ディスプレイ311、LED発光装置312及びスピーカ313の順序であっても良い。
LED発光装置312、スピーカ313、発振器及び検知器の構成及び作用効果は、図1の実施形態の場合と同様であるため、説明を省略する。また、制御及び駆動装置の電気的構成並びに制御処理動作も図1の実施形態の場合と同様であるため、説明を省略する。
以上説明したように、本実施形態によれば、ディスプレイ311が野生動物を,いるので、威嚇動物の像に動きを与えることができる。また、威嚇動物の映像をディスプレイ311に表示するように構成されているので、異なる種類の動物、異なる姿、異なる動き、異なる色、異なる明るさ、異なる輝度の像を容易に表示することができる。このため、野生動物はこの威嚇動物の像について学習することが難しくなり、その結果、撃退効果を効果的にかつ持続的に維持することが可能となる。
図7は本発明の野生動物撃退装置のさらに他の実施形態における一部構成を概略的に示している。
同図に示すように、本実施形態の野生動物撃退装置は、図1の実施形態の野生動物撃退装置とは別個に、野生動物の侵入を防ぐ所定の領域の隅に複数(この場合4つ)のセンサ用支柱17を設け、各センサ用支柱17にアクティブ赤外線センサ18を取り付けてこれらアクティブ赤外線センサ18からの赤外線ビーム19がこの所定領域を囲むように構成している。アクティブ赤外線センサ18には、図1の実施形態で示した制御及び駆動装置に電気的に接続されている。
このように、本実施形態においては、アクティブ赤外線センサ18から発せられる赤外線ビーム19が所定の領域を囲み、制御及び駆動装置は、これら赤外線ビーム19に野生動物が接触(遮断)したことをアクティブ赤外線センサ18が検出した場合に、ディスプレイ11、LED発光装置12及びスピーカ13を作動させ、野生動物を撃退する。
ディスプレイ11、LED発光装置12、スピーカ13、及び発振器の構成及び作用効果は、図1の実施形態の場合と同様であるため、説明を省略する。また、制御及び駆動装置の電気的構成並びに制御処理動作も図1の実施形態の場合と同様であるため、説明を省略する。
以上説明したように、本実施形態によれば、あたかも電気柵のような赤外線ビームの柵を張り巡らすことで、人間の目に見えない柵を構成することができ、所定領域への野生動物の侵入を防止して撃退することが可能となる。これは、実際の電気柵で、課題となっている維持管理問題(煩雑な設置作業、断線故障、雑草による誤動作、感電事故など)を大きく改善することになる。また、野生動物は、赤外線ビームを見ただけで危険を認識することになり、野生動物撃退装置が稼働しなくても危険を察知して退避するようになる。
本願発明者等は、赤外線センサからの赤外線ビームが、野生動物には見えているのでは、と思われる事象を経験しているのである。おそらく、野生動物には人間には見えない波長である赤外線がある程度見えていると考えている。この赤外線ビームは、電気柵のように野生動物には見えていて、その赤外線ビームに触れると野生動物撃退装置が稼働するので、野生動物は経験的に赤外線ビームが危険だと認識し、触れないようになる。したがって、実際に柵を張らなくても、赤外線ビームで柵のように配置することで、人間の目に見えないその領域を守る柵を形成することが可能になる。
上述した種々の実施形態においては、ディスプレイに、威嚇動物の映像を表示するように構成されているが、野生動物が出現しない際に、ディスプレイに、広告,案内又は環境データ等の表示を行っても良い。特に、高速道路の無人出入口、鉄道の動物侵入防止柵付近、住居に近い場所にディスプレイが設置される場合に、効果的である。
以上述べた実施形態は全て本発明を例示的に示すものであって限定的に示すものではなく、本発明は他の種々の変形態様及び変更態様で実施することができる。従って本発明の範囲は特許請求の範囲及びその均等範囲によってのみ規定されるものである。