JP3176308B2 - 真空バルブ - Google Patents

真空バルブ

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JP3176308B2
JP3176308B2 JP05332797A JP5332797A JP3176308B2 JP 3176308 B2 JP3176308 B2 JP 3176308B2 JP 05332797 A JP05332797 A JP 05332797A JP 5332797 A JP5332797 A JP 5332797A JP 3176308 B2 JP3176308 B2 JP 3176308B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、例えば真空遮断器
に使用され、特に電極構造を改良し遮断性能を向上させ
た真空バルブに関する。
【0002】
【従来の技術】一般に真空遮断器は、図6に示す如く絶
縁容器101の両端開口部を蓋体102a,102bに
より閉塞した真空容器103内に、一対の接触子10
4,105を対向させて設けると共にこれらを前記蓋体
102a,102bを貫通させて真空容器103内に挿
入された導電棒106,107の端部にそれぞれ装着
し、その一方の導電棒107を図示しない操作機構によ
り軸方向に移動可能として、前記一方の接触子(以下固
定接触子)104に対して、他方の接触子(以下可動接
触子)105を接触または開離できるようにしてある。
【0003】この場合、蓋体102bと導電棒107と
の間には、真空容器103内を真空気密に保持しかつ導
電棒107の軸方向への移動を可能とするベローズ10
8が設けられる。なお図中109は、前記各接触子10
4,105および導電棒106,107を包囲する如く
設けられたシールドである。
【0004】以上のような真空遮断器は、通常両接触子
が接触し通電状態となる。この状態からの動作により導
電棒107が図中矢印M方向に移動すると、可動接触子
105が固定接触子104から開離し、両接触子間には
アークが発生する。このアークは陰極例えば可動接触子
105側からの金属蒸気の発生により維持され、電流が
ゼロ点(零点)に達すると金属蒸気の発生が止まってア
ークが維持できなくなり、遮断が完了する。
【0005】ところで、上記両接触子104,105間
に発生するアークは、遮断電流が大きいとアーク自身に
より生じた磁場と外部回路の作る磁場との相互作用によ
り著しく不安定な状態となる。その結果アークは接触子
面上を移動し(接触子が電極に取り付けられ一体化して
いる時には、アークは電極面上にも移動している場合も
ある、接触子(電極)の端部或いは周辺部に片寄りその
部分を局部的に過熱し、多量の金属蒸気を放出させて、
真空容器103内の真空度を低下させる。その結果、真
空遮断器の遮断性能は低下する。
【0006】従来この対策として、例えば(1)接触子
面の面積を大きくし電流密度を低下させる様にした電極
構造を有するもの、(2)接触子面や電極面にスパイラ
ル状のスリットを設けてアークを回転させる様にした電
極構造を有するもの、(3)図7の様に、接触子41,
51の背面に設けられたコイル電極42,52を流れる
自己電流の円周方向成分により、接触子ギャップ間にア
ークに平行な縦方向磁界を印加し、これによりアーク期
間中のプラズマの拡散を抑制し、接触子41,51の消
耗を小さくすることでアークを安定化させる様にした電
極構造を有するものなどを用いていた。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】上記 のような電極構
造とした場合では、やはり前述同様にアーク片寄りが発
生することがあり、接触子(電極)を局部的に溶融し、
蒸気の発生を大きくなり、遮断不能となる恐れがあっ
た。
【0008】上記 のような電極構造とした場合にも、
接触子の全面積で電流を均一に分担することは不可能で
ある為、 の場合と同様な現象が発生している。上記
のような電極構造とした場合では、接触子背面のコイル
電極に電流Iが流れると、両接触子間には接触子面に対
して垂直方向に磁界が発生する。この縦磁界により、遮
断時において両接触子間に点弧するアークは拘束され
る。したがって、アーク分布は両接触子間の磁力線と同
様になるが、この分布は必ずしも均一でなく、平行でな
い上特に各接触子の端部近傍に於いては、接触子面に対
して垂直に点弧しないばかりか、アークが接触子空間か
ら外部にはみ出す現象が発生し、予定する遮断性能が得
られない場合もある。
【0009】この様にこれまでに接触子やこれを搭載し
た電極構造の様々な改善が行われているが、或るものは
遮断性能が十分でなかったり、他のものはコスト高であ
ったりした。
【0010】本発明の目的は、電極部間に発生させる磁
束が均一で平行度の高いものとなり、しかも電極部の接
触面に垂直となり、遮断性能の向上を図る上で有利な真
空バルブを提供することにある。
【0011】
【課題を解決するための手段】前記目的を達成するた
め、請求項1に対応する発明は、絶縁容器の両端部に蓋
体が取り付けられ、その内部を真空密にした真空容器
と、各蓋体を貫通し、真空容器内部に端部が対向し、少
なくとも一方が進退自在に取り付けられた一対の導電棒
と、真空容器内部に存在する各導電棒の軸方向端部に接
合された円盤部と、円盤部の表面に取り付けられる複数
の通電ピンと、通電ピンと背面側で接続する接触子と、
通電ピンに流れる電流に基づいて軸方向磁界を発生させ
るべく通電ピンと接触子との間に介在され、通電ピンの
各々について同一円周方向の側面方向に配置される突起
部を備えた磁性体とを有し、磁性体の飽和磁束密度の大
きさが少なくとも0.5Wb/m2であることを特徴と
する。
【0012】前記目的を達成するため、請求項1に対応
する発明は、絶縁容器の両端部に蓋体が取り付けられ、
その内部を真空密にした真空容器と、前記各蓋体を貫通
し、前記真空容器内部に端部が対向し、少なくとも一方
が進退自在に取り付けられた一対の導電棒と、前記真空
容器内部に存在する各導電棒の軸方向端部に接合された
通電部と、前記通電部と背面側で接続する電極部と、前
記通電部と前記電極部との間に介在され、飽和磁束密度
の大きさが少なくとも0.5Wb/m2 である磁性体と
を有し、一方の前記通電部を流れる電流により発生する
磁束が他方の電極部側へ引寄せられて軸方向磁界が発生
するようにしたことを特徴とする真空バルブである。
【0013】前記目的を達成するため、請求項2に対応
する発明は、前記磁性体の最大透磁率の大きさは、少な
くとも1000であることを特徴とする請求項1記載の
真空バルブである。
【0014】
【0015】
【0016】前記目的を達成するため、請求項3に対応
する発明は、前記電極部の少なくとも他方の電極部と接
触する部分における材料組成は、Ag及びCuのうちの
少なくとも1種よりなる導電性成分と、1500℃以上
の溶融温度を有し、Ti、Zr、V、Nb、Ta、C
r、Mo、W若しくはこれらの炭化物及び硼化物のうち
のいずれか1種からなる耐弧性成分とを備えたことを特
徴とする請求項1または請求項2記載の真空バルブであ
る。
【0017】
【0018】
【0019】請求項1〜3のいずれかに対応する発明
は、次のような原理を応用したものである。すなわち、
磁界中に磁性体からなる部材を僅かな間隔をもって配置
すると、部材周囲の磁束が磁性体部分に集中し、磁束は
平行でしかも部材に対して垂直なものとなる。この時所
定値以上の飽和磁束密度すなわち0.5Wb/m2 以上
の磁性体を配置することで、遮断性能が向上する。
【0020】更に飽和磁束密度分布の異なる磁性体を配
置すると、電極部の接触面上の磁束密度に強弱の勾配が
現れる。これによって磁束密度に勾配の無い場合より
も、電極部の接触面上のアーク移動を安定化させる。
【0021】また、所定値以上の透磁率すなわち100
0以上の磁性体を配置することによって、小さい電流で
も所定の磁束密度を得て遮断性能が向上する。更に透磁
率分布の異なる磁性体を配置すると、遮断電流値が或る
程度変動しても、電極部の接触面上では遮断特性の安定
化に必要な磁束密度を得る。
【0022】更に、本発明は以上のべた原理以外に、透
磁率分布の異なる磁性体を配置すると、透磁率分布に勾
配の無い場合よりも、いかなる遮断電流に対しても、電
極部の接触面上では同様に遮断特性の安定化に必要な磁
束密度をうるという、原理を応用したものである。
【0023】
【発明の実施の形態】以下、表1を参照して本発明の実
施例と比較例とを対比させながら本発明の効果を明らか
にする。
【0024】
【表1】
【0025】評価方法・条件; (1)遮断特性 着脱式の真空開閉装置に所定接点電極を装着し、接点電
極表面のベーキング、電流、電圧エージング、開極速度
条件を一定同一とした後、7.2kV,50Hzで、遮
断電流値を5kAより漸次増加させながら、遮断限界電
流値を測定した。比較例1の遮断限界電流値を1.0と
し各条件下でのその値と対比し、その倍率を遮断倍率と
して表示した。
【0026】(2)アーク拡がりの状況 各接点を着脱式の真空遮断装置に装着し、接点電極表面
のベーキング、電流、電圧エージング、開極速度条件を
一定同一とした後、上記で求めた遮断限界電流値より低
い8kAを選択一定とし、7.2kV,50Hzで、4
回遮断させた時の接点電極表面の被アーク部分の面積を
測定し、各接点電極材料のアークの拡がり状況を判定し
た(比較例1の値と対比)。
【0027】(3)静耐電圧値 前記アークの拡がり量を計測した後の供試試験片を、再
度着脱式の真空遮断装置に装着し、接点電極表面のベー
キング、電流、電圧エージング、電極間距離を一定に調
整した後、1kVずつ昇電圧させスパークを発生した時
の電圧を静耐電圧値として求め相対値(比較例1と対
比)によって判定した。
【0028】供試接点電極片の製造方法; 組成分布として、外周に向かって耐弧成分の勾配を増加
させた変形例で示した接点(傾斜組成接点)素材の製造
は、例えば次のような二三の方法を適宜選択して製造す
る。
【0029】所定比率の導電性成分粉末と耐弧性成分粉
末と必要により補助成分粉末の全部もしくは一部を混合
した後、これらの溶融温度以下で加熱焼結する方法によ
って、供試片の一部分(イ)を作成、同様に供試片の他
の部分(ロ)を作成、同様に供試片の他の部分(ハ)を
作成、必要により更に他の部分(ニ)…を作成、各供試
の組成分布が微分的な勾配となる様に配置した。すなわ
ち、異なる導電性成分の量(例えば3種α,β,γの場
合、中央部分αを円盤状に他方の残りβ,γをリング状
に、)を有する混合粉末成型体を作り、これらを混合粉
末成型体のまま所定組成分布となるように組合わせ配置
し一体化させた状態でこれらの溶融温度以下の温度で加
熱焼結する方法で得る。
【0030】また一部は、異なる成分を有する複数個の
混合粉末成型体を作り、前記の様に混合粉末成型体では
なく先に焼結しその後一方をリング状とし所定の組成分
布になるように他方を組合わせる方法などによって所定
成分量勾配を有する(傾斜組成接点)供試片を得る。す
なわち空隙率か微分的な勾配を有する耐弧性成分を得
て、これをあらかじめ導電性成分の溶融温度以下で加熱
焼結し耐弧性成分スケルトンとし、残りの粉末をその溶
融温度以上に加熱した前記スケルトンの空隙中に導電性
成分を加熱溶浸する方法によって、外周に向かって耐弧
成分の勾配を増加させた供試片を作成した。
【0031】また他の一部は、銅板、接点電極片などの
基板上に所定の組成分布を有するように所定場所に所定
比率の導電性成分粉末と耐弧性成分粉末と必要により補
助成分粉末の混合粉を、吹き付け付着もしくは溶融吹き
付け付着させる方法、さらにこれに加熱処理を加える方
法によって、供試片を作成した。
【0032】勾配値を大幅に変動させるには導電性成分
粉末と耐弧性成分粉末の配合比率によって調整するのが
有利である。また勾配値を小幅に変動させるには、耐弧
性成分粉末の粒径を変化させること、耐弧性成分粉末の
成型圧力を変化させること、焼結温度、時間を変化させ
ることを適宜行うことが微調整するのが有利である。実
際にはこれらを適宜組合わせて実施する。
【0033】また一部は、複数成分を有する複数のリン
グ状(例えば2種の場合、一方をリング状に、他方を円
板状に。3種の時にはリング状片を2個、円板を1個)
の耐弧性成分粉末のみをあらかじめ溶融温度以下で加熱
焼結し、所定空隙率を有する耐弧性成分スケルトンを得
た後、残りの粉末をその溶融温度以上に加熱した前記ス
ケルトンの空隙中に加熱溶浸する方法によって、所定組
成分布を有する供試片を作成した。上記では該接点電極
は厚さ全体に、外周に向かって耐弧成分の勾配を増加さ
せたが、厚さが例えば1〜5mm程度のCu板上に、所
定組成分布を有する接点電極材料を配置した複層として
も良い。
【0034】以下、本発明の効果について図面を参照し
て説明する。図1〜3は、本発明の1実施例を示すもの
で、導電棒1と接触子5の間に複数の通電ピン2と円盤
部4および通電ピン2の同一円周方向の側面方向に中心
から外周部に向かって突出配置した磁性体3を設置して
いる。各通電ピン2の先端は、磁性体3の側面を通って
接触子5の裏側(接点面の反対面)に接続され、導電棒
1からの電流を接触子5に導く構成となっており、さら
に各通電ピン2を流れる電流により磁束が発生する。対
向する側も同じ形状であり、互いに逆磁性の磁極になる
ことから、この磁性体間に軸方向磁界が発生する。これ
により遮断性能の向上に寄与する。
【0035】図4は、本発明の1変形例を示すもので、
高飽和磁束密度磁性体と最大透磁率磁性体とを複合配置
(中心より3A−3B又は3B−3A)した磁性体3を
示すもの(実施例14)。
【0036】図5,図6は、従来の真空バルブの構成を
示すもの。上記の様な原理と構成に於いて、特に磁性体
3は所定値以上すなわち0.5Wb/m2 以上の飽和磁
束密度を有する磁性材料とすることが有益である。
【0037】また、上記の様な構成に於いて、特に磁性
体3は所定値以上すなわち1000以上の透磁率を有す
る磁性材料とすることが有益である。更に、上記の様な
構成に於いて、特に磁性体3は、2段階またはそれ以上
の飽和磁束密度を有する磁性材料を組み合わせた構成と
することが有益である。
【0038】更に、上記の様な構成に於いて、特に磁性
体3は、2段階またはそれ以上の透磁率を有する磁性材
料を組み合わせた構成とすることが有益である。更に、
上記の様な構成に於いて、特に磁性体3は、所定値以上
すなわち0.5Wb/m2 以上の飽和磁束密度を有する
磁性材料と、所定値以上すなわち1000以上の透磁率
を有する磁性材料とを同一面上で組み合わせた構成とす
ることが有益である。
【0039】<実施例1〜6、比較例1〜3> 表1に示した各材質で製造した板厚さ3mmの磁性体3
を準備し、着脱式の真空遮断装置に装着、前記した条件
によって遮断特性を評価(実施例1〜6、比較例2〜
3)すると共に、基準となる磁性体のない場合(比較例
1)の遮断特性とを、接触子としてCu−50%Cr合
金を使用して対比した。
【0040】すなわち表1によれば、磁性体として選択
したFe−14Mn−1.3C合金(比較例2)及び不
純物としてのC,Mn,P,S,Siの合計(以下Xで
表示)が、2.4%含むFe−2.4X合金(比較例
3)の場合の遮断特性は、磁性体を装着しない場合(比
較例1)の遮断特性と同等であった。これらの最大透磁
率は1〜10程度であった。
【0041】これに対して、磁性体として選択したFe
−11Al合金(実施例1),Fe−(X≧0.5)合
金(実施例2),Fe−(X<0.5)合金(実施例
3),Fe−(X<0.08)合金(実施例4),Ni
−(X<0.5)合金(実施例5),及びFe−(75
〜80)合金(実施例6)の場合の遮断特性は、磁性体
を装着しない場合(比較例1)の遮断特性と比較して、
15%〜35%の向上であった。これらの最大透磁率は
250〜100,000であった。
【0042】遮断特性評価後のアークによる接触子表面
の損傷形態の観察結果によれば、遮断電流の大小に拘ら
ず、接触子表面はその表面積の広い範囲が有効に使用さ
れている。特に遮断限界前の小電流遮断でも広い範囲が
有効に使用されているのが特徴で、最大透磁率を所定値
範囲に選択した効果である。その結果、アークの拡がり
性、耐電圧特性も良好な特性を示している。
【0043】一方の磁性体3を装着しない場合(比較例
1)および磁性体3を装着した場合(比較例2〜3)で
も、最大透磁率値が好ましい値の範囲以外では、遮断特
性評価後の接触子表面の損傷形態は、アークが停滞した
状況が局所的に観察され、アークの拡がり性が劣ると共
に耐電圧特性も、磁性体3を装着した実施例1〜6には
及ばない。
【0044】以上より本発明の効果は、磁性体3の最大
透磁率が250以上の時発揮され遮断特性の向上が得ら
れる。 <実施例7〜11、比較例4> 表1によれば、上記磁性体3と同等の大きさに製作した
100%Cu板(比較例4)を上記磁性体3と同じ位置
に装着し遮断特性を測定した。磁性体のない場合(比較
例1)の遮断特性と同等であった。
【0045】これに対して、磁性体3として選択したF
e−72Ni−14Cu−3Mo合金(実施例7),F
e−16Al合金(実施例8),Fe−9.5Si−
5.5Al合金(実施例9),Fe−(45〜50)N
i合金(実施例10),Fe−49Co−2V合金(実
施例11)の場合の遮断特性は、磁性体を装着しない場
合(比較例1)及びCuを装着した場合(比較例4)の
遮断特性100と比較して、125〜140であった。
これらの飽和磁束密度は、0.5Wb/mm2 以上であ
った。
【0046】遮断特性評価後のアークによる接触子表面
の損傷形態の観察結果によれば、特に遮断限界前に近い
大きな電流を遮断しても、高い飽和磁束密度値の磁性体
を装着した効果によって、アークは接触子表面の広い範
囲に亘り均一に拡がっていることが観察された。その結
果、遮断特性、耐電圧特性も良好な特性を示している。
【0047】一方、磁性体を装着しないでCuを装着し
た場合(比較例4)では、遮断特性評価後の接触子表面
の損傷形態は、アークが停滞した状況が局所的に観察さ
れ、アークの拡がり性が劣ると共に耐電圧特性も、磁性
体を装着した実施例7〜11には及ばない。
【0048】以上より本発明の実施例7〜11による効
果は、磁性体の飽和磁束密度値は0.5Wb/mm2
上の時発揮され遮断特性の向上が得られる。 <実施例12> 上記実施例1〜11、比較例1〜4では、磁性体は1種
類の合金を使用したが、本発明ではこれに限ることなく
複数の合金を組み合わせた磁性体3でも、前記した原理
によって同様な効果が得られている。すなわち半径線上
に実施例2で使用したFe−(X≧0.5)合金、実施
例3で使用したFe−(X<0.5)合金、実施例4で
使用したFe−(X<0.08)合金を一体化し(試料
1;表1に記入、実施例12)前記接触子の裏側に配置
した。これによって複数の磁性体の作用によって、接触
子表面には、連続的に傾斜した最大透磁率値の分布2,
500〜20,000を得た。前記同様の遮断テストに
供したところ、標準とする比較例1の100と比較して
120〜130の値を示し、特に遮断した電流の大小に
拘らず安定した遮断特性を発揮した。
【0049】遮断特性評価後のアークによる接触子表面
の損傷形態の観察結果によれば、特に遮断限界に近い大
きな電流を遮断しても、最大透磁率値の高い磁性体を装
着した効果によって、アークは接触子表面の広い範囲に
亘り均一に拡がっていることが観察された。
【0050】<実施例13> 上記実施例12では、最大透磁率値の異なる複数の磁性
体を一体化して接触子裏面に装着した。本発明ではこれ
に限ることなく飽和磁束密度値の異なる複数の磁性体3
を一体化しても、前記した原理によって同様な効果が得
られている。すなわち半径線上に実施例9で使用したF
e−9.5Si−5.5Al合金、実施例10で使用し
たFe−(45〜50)Ni合金、実施例11で使用し
たFe−49Co−2V合金を一体化し(試料2;表1
に記入、実施例13)前記接触子の裏側に配置した。こ
れによって複数の磁性体3の作用によって、接触子表面
には、連続的に傾斜した飽和磁束密度値の異なる分布
1.0〜2.2W/mm2 を得た。前記同様の遮断テス
トに供したところ、標準とする比較例1の100と比較
して130〜135の値を示し、特に遮断した電流限界
近傍の大電流を遮断した時も安定した遮断特性を発揮し
た(実施例13)。
【0051】遮断特性評価後のアークによる接触子表面
の損傷形態の観察結果によれば、特に遮断限界に近い大
きな電流を遮断しても、飽和磁束密度値分布の異る磁性
体を装着した効果によって、アークは接触子表面の広い
範囲に亘り均一に拡がっていることが観察された。
【0052】<実施例14> 上記実施例12〜13では、飽和磁束密度値または最大
透磁率値の異なる複数の磁性体3を別々に接触子裏面に
装着した。本発明ではこれらに限ることなく所定の飽和
磁束密度値を有する磁性体と所定の最大透磁率値を有す
る磁性体を複合、一体化しても、前記した原理によって
同様な効果が得られている。
【0053】すなわち半径線上に実施例6で使用したF
e−(75〜80)合金を第1の領域に、実施例11で
使用したFe−49Co−2V合金を第2の領域に一体
化(試料3;表1に記入、実施例14)し、前記接触子
の裏側に配置した。これによって複数の磁性体の作用に
よって、高い最大透磁率値80,000と飽和磁束密度
値2.3W/mm2 とを有する接触子表面を得た。
【0054】前記同様の遮断テストに供したところ、標
準とする比較例1と比較して130〜145の値を示
し、特に小さい遮断電流を遮断した時も、遮断電流限界
近傍の大電流を遮断した時も安定した遮断特性を発揮し
た(実施例14)。
【0055】遮断特性評価後のアークによる接触子表面
の損傷形態の観察結果によれば、特に遮断限界に近い大
きな電流を遮断しても、良磁性体を装着した効果によっ
て、アークは接触子表面の広い範囲に亘り均一に拡がっ
ていることが観察された。その結果、遮断特性、耐電圧
特性も良好な特性を示している。
【0056】<実施例15〜1> 上記実施例1〜14、比較例1〜4では、本発明磁性体
は主として接触子の背部(裏面)に密着接続する様に配
置した例について示したが、本発明では設計上での配慮
の上でならこれに限ることなく、接触子の背部(裏面)
に若干の間隙を持って近接する様に、所定の飽和磁束密
度値を有する磁性体又は/及び所定の最大透磁率値を有
す磁性体を配置しても、前記した原理によって同様な効
果が得られている。
【0057】すなわち、飽和磁束密度値又は及び最大透
磁率値は間隙の分だけ減ずるが、実施例11で使用した
Fe−49Co−2V合金よりなる磁性体を約1.0m
mの間隙を持って、Cu−50Cr接触子に近接配置
し、前記同様の遮断テストに供したところ、標準とする
比較例1の100と比較して120〜125の遮断特性
を示し、良好な遮断特性、耐電圧特性を示している(試
料4;表1に記入、実施例15)。飽和磁束密度値は
1.9W/mm2 であった。
【0058】また、上記実施例1〜14、比較例1〜5
では、本発明の磁性体3を接触子の背部(裏面)に密着
接続又は所定の間隙を持って近接配置した例について示
したが、本発明では設計上での配慮の上でならこれに限
ることなく、接触子の内部に埋設配置しても、前記した
原理によって同様な効果が得られている。
【0059】すなわち、接触子を製造する過程で実施例
11で使用したFe−49Co−2V合金よりなる磁性
体を接触子の内部に包み込む様に一体化し、前記同様の
遮断テストに供したところ、標準とする比較例1の10
0と比較して125〜130の遮断特性を示し、良好な
遮断特性、耐電圧特性を示している(実施例15)、接
触子を製造する過程では繁雑となるが、真空バルブを組
み立てる工程では、作業が単純化する利点を持つ(試料
5;表1に記入、実施例16)。飽和磁束密度値は2.
0W/mm2 であった。
【0060】<変形例> 上記実施例1〜16、比較例1〜4では、接触子合金と
してCu−50Cr合金を使用した時の、本発明の磁性
体3の効果の例について示したが、本発明ではこれに限
ることなく、接触子合金自身の組成分布が傾斜している
接触子を用いても前記した原理によって同様な効果が得
られている。
【0061】また、接触子合金としてはCu−50Cr
合金に限らず、本発明の磁性体との組み合わせ効果が期
待できる。すなわち好ましい接触子合金として、前記接
触子の接触面上の材料組成が、Ag,Cuの少なくとも
1つよりなる導電性成分と、1500℃以上の溶融温度
を有する耐弧性成分と、必要により補助成分とで構成さ
れた接触子合金であって、前記耐弧性成分は、Ti,Z
r,V,Nb,Ta,Cr,Mo,W若しくはこれらの
炭化物または硼化物、および必要によりBi,Te,P
b,Sbから選ばれた1つの補助成分を含有した合金が
挙げられ、いずれも本発明の磁性体との組み合わせ効果
を発揮する。
【0062】更に、接触子合金はロウ付け性を容易にす
る為に、その裏面にCu板,Ag板などを一体化した合
金を用いても良い。また、本発明の磁性体と接触子の接
触面上に作用を及ぼす所定の磁界コイル、すなわち前記
接触子の中心部分での磁界強度を或る接点径の各遮断電
流に対する最低アーク電圧より2〜5V高く、かつ該接
点の外周部分での磁界強度を或る接点径の各遮断電流に
対する最低アーク電圧を与える磁界強度の120%〜1
60%となるよう、該接点面上の磁界強度に勾配を与え
ることを可能とする磁界コイルとを組合わせることによ
り両者の相乗効果が発揮される。
【0063】
【発明の効果】以上述べた本発明によれば、接触子間の
接触面に対して垂直となるような軸方向の磁束を発生さ
せるように通電ピンの各々について同一円周方向の側面
方向に配置される突起部を備え、所定の飽和磁束密度又
は所定の最大透磁率を有する磁性体を通電ピンと接触子
との間に介在させたので、遮断性能を改善することがで
きる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明による真空バルブの第1実施形態の接触
子、磁性体、通電ピンを示す分解斜視図。
【図2】本発明による真空バルブの第2実施形態の接触
子、磁性体、通電ピンを示す分解斜視図。
【図3】本発明による真空バルブの第3実施形態の接触
子、磁性体、通電ピンを示す分解斜視図。
【図4】本発明による真空バルブの第5実施形態の接触
子、磁性体、通電ピンを示す分解斜視図。
【図5】従来の真空遮断器に使用される真空バルブの概
略構成図。
【図6】従来の真空遮断器に使用される真空バルブの概
略構成図。
【符号の説明】
1…導電棒、2…通電ピン、3…磁性体、4…円盤部、
5…接触子、101…絶縁容器、102…蓋体、103
…真空容器、104…接触子(固定接触子)、105…
接触子(可動接触子)、106…一方の導電棒、107
…他方の導電棒、108…ベローズ、109…シール
ド、41…接触子、51…接触子、42…コイル電極、
52…コイル電極。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 影長 宜賢 東京都府中市東芝町1番地 株式会社東 芝府中工場内 (72)発明者 染井 宏通 東京都府中市東芝町1番地 株式会社東 芝府中工場内 (72)発明者 大島 巖 東京都府中市東芝町1番地 株式会社東 芝府中工場内 (72)発明者 本間 三孝 東京都府中市東芝町1番地 株式会社東 芝府中工場内 (72)発明者 関 経世 東京都府中市東芝町1番地 株式会社東 芝府中工場内 (56)参考文献 特開 昭61−71520(JP,A) 特開 昭61−66322(JP,A) 特開 平8−249991(JP,A) 特開 昭58−5932(JP,A) 特開 平1−315914(JP,A) 特開 平8−264974(JP,A)

Claims (3)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】絶縁容器の両端部に蓋体が取り付けられ、
    その内部を真空密にした真空容器と、 前記各蓋体を貫通し、前記真空容器内部に端部が対向
    し、少なくとも一方が進退自在に取り付けられた一対の
    導電棒と、 前記真空容器内部に存在する各導電棒の軸方向端部に接
    合された円盤部と、 前記円盤部の表面に取り付けられる複数の通電ピンと、 前記通電ピンと背面側で接続する接触子と、 前記通電ピンに流れる電流に基づいて軸方向磁界を発生
    させるべく前記通電ピンと前記接触子との間に介在さ
    れ、該通電ピンの各々について同一円周方向の側面方向
    に配置される突起部を備えた磁性体とを有し、前記磁性
    体の飽和磁束密度の大きさが少なくとも0.5Wb/m
    2であることを特徴とする真空バルブ。
  2. 【請求項2】前記磁性体の最大透磁率の大きさは、少な
    くとも1000であることを特徴とする請求項1記載の
    真空バルブ。
  3. 【請求項3】前記接触子の少なくとも他方の接触子と接
    触する部分における材料組成は、Ag及びCuのうちの
    少なくとも1種よりなる導電性成分と、1500℃以上
    の溶融温度を有し、Ti、Zr、V、Nb、Ta、C
    r、Mo、W若しくはこれらの炭化物及び硼化物のうち
    のいずれか1種からなる耐弧性成分とを備えたことを特
    徴とする請求項1又は請求項2記載の真空バルブ。
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