JP3174707B2 - レーザ加工方法およびレーザ加工装置 - Google Patents

レーザ加工方法およびレーザ加工装置

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JP3174707B2
JP3174707B2 JP01404195A JP1404195A JP3174707B2 JP 3174707 B2 JP3174707 B2 JP 3174707B2 JP 01404195 A JP01404195 A JP 01404195A JP 1404195 A JP1404195 A JP 1404195A JP 3174707 B2 JP3174707 B2 JP 3174707B2
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雅之 管原
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、加工ヘッドと被加工物
間の距離を計測するセンサを備えたレーザ加工機を使っ
たレーザ加工方法およびレーザ加工装置に関する。
【0002】
【従来の技術】図8にレーザ加工装置の構成を示す。プ
ロセッサ1はROM2に格納された制御プログラムに基
づいて、メモリ3に格納された加工プログラムを読み出
し、レーザ加工装置全体を制御する。メモリ3には加工
プログラムの他、加工条件データ等が格納されている。
I/Oユニット4はプロセッサ1からの制御信号を変換
してレーザ発振器5へ送る。レーザ発振器5は変換され
た制御信号に従ってレーザビーム6の発射や停止をし、
またレーザ出力の変更等を行なう。このレーザビーム6
はミラー7により方向を変えられレーザ加工機8へ送ら
れる。
【0003】レーザ加工機8には被加工物9が固定され
るテーブル10と、被加工物9にレーザビームを照射さ
せる加工ヘッド11が設けられている。加工ヘッド11
に導入されたレーザビーム6は、加工ヘッド内に設けら
れた集光装置で集光され、ノズル11aを通して被加工
材9に照射される。図示していないがこのとき同時に加
工ガスもノズル11aを通じて被加工材に噴射される。
レーザ加工機8には、テーブル10をX軸、Y軸の2方
向に移動制御するためのサーボモータ12、13が設け
られている。これらのサーボモータ12、13はそれぞ
れサーボアンプ14、15に接続されており、プロセッ
サ1からの制御信号に従って回転制御される。レーザ加
工装置への指示やパラメータ設定はCRT/MDI装置
16を介して行なわれる。
【0004】加工ヘッド11には被加工物9に対するレ
ーザ光の焦点の位置を計測するため加工ヘッド11と被
加工物9間の距離を計測する距離センサ17が設けられ
ている。距離センサ17には差動トランス式、静電容量
式、光式等がある。距離センサ17の計測データはセン
サI/F18を介してプロセッサ1で処理され、焦点位
置に換算される。さらに加工条件として設定されている
焦点位置と比較され、計測位置が設定位置と等しくなる
ように、サーボアンプ19を通じてZ軸サーボモータ2
0が回転制御され、加工ヘッドが上下に移動される。こ
の制御は一般に倣い制御と呼ばれる。
【0005】図9に従来の倣い制御の処理フローチャー
トを示す。ステップS100にて距離センサ17からの
計測データを入力する。ステップS101にて入力した
計測データを設定位置と比較できる数値に換算する。例
えば設定位置が距離の形式で設定されているのなら計測
データをそのまま距離に換算すれば良い。設定位置が所
定のルールに基ずく位置の形式ならば、その形式にあっ
た換算を行なう。ステップS102にて換算した計測位
置と、予め設定されている設定位置とを比較する。計測
位置が設定位置に等しければ、焦点は所望の位置になっ
ているのでそのまま処理を終える。計測位置が設定位置
と異なる場合は、ステップS103にて計測位置と設定
位置との差から補正移動量を計算する。計測位置が設定
位置よりも高い場合はZ軸を下げるべく、低い場合はZ
軸を上げるべく移動量を算出する。ステップS104に
てその移動量をZ軸を駆動するためにサーボアンプ19
に出力する。以上の処理を周期的に行なうことにより、
焦点位置を所望の位置に保ちながら加工することができ
る。
【0006】従来のレーザ加工装置による加工プログラ
ム例を図10に示す。加工プログラムN01行の指令に
より、メモリ3に格納されている加工条件データから被
加工材に適したピアシング用条件が呼び出され設定され
る。ピアシングとは加工開始時の穴あけのことである。
加工条件データにはレーザ出力や焦点位置(倣い制御に
おいて比較の対象となる加工ヘッド高さ設定位置)等の
加工因子がまとめて含まれている。N02行の指令によ
り倣い制御がオンされる。これによりレーザ光の焦点位
置がピアシング用条件の設定位置になるように加工ヘッ
ド11が移動する。N03行の指令によりレーザ発振器
5にレーザビーム照射が指令され、ピアシング用条件に
設定されているピアシング時間だけ時間待ちを行なう。
この時間待ちの間に穴あけが完了する。加工プログラム
N04行の指令により、切断用条件が呼び出されピアシ
ング用条件から設定が切り換えられる。切断用条件の焦
点位置設定がピアシング用と異なる場合は、計測位置と
設定位置が異なることになるので、倣い制御により自動
的に加工ヘッド11が移動し、焦点位置がピアシング用
位置から切断用位置に変わる。加工プログラムN05行
からN98行の移動指令により、切断用条件に設定され
ている速度でサーボモータ12、13が駆動されテーブ
ル9が移動する。この間倣い制御により、加工ヘッド1
1は被加工物9の表面のうねりに応じて上下に移動し、
焦点位置は設定位置に保たれる。その結果被加工物9は
所望の形状に切断される。加工プログラムN99行の指
令によりレーザビームや加工ガスがオフされる。以上で
1個の被加工物の加工が終了する。引き続いて位置を移
動して次の加工が再びピアシングから始まる。
【0007】加工ヘッド11の動作例を図11に示す。
図11(a)ではピアシング位置にて倣い制御がオンさ
れ、焦点設定位置d1の位置に加工ヘッド11が保たれ
ている様子を示している。この状態では設定位置がd1
で、距離センサ17の計測する計測位置もd1である。
ピアシング後切断条件に切り替わり、焦点設定位置がd
2に変わると、設定d2に対して距離センサ17の計測
位置がd1なので、補正移動量が発生し、加工ヘッドは
計測位置がd2になるまで、図11(b)の矢印Aのよ
うに移動する。次に切断移動が開始されると被加工物9
の凹凸の応じて、倣い制御により加工ヘッドも矢印Bの
ように移動する。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】従来のレーザ加工装置
は以上のように、距離センサ17の計測データに応じて
加工中常に所望の焦点位置に保たれるように制御されて
いる。しかし、加工中距離センサ17からの計測データ
は実際の距離とは異なる不正データになる場合がある。
例えば、加工開始時のピアシング時に発生するプラズ
マ、スパッタの飛散、被加工物の突起、スパッタの堆積
により距離センサ17が正しく距離を計測できない場合
等がある。また加工終点で切断した被加工物が傾いた
り、吹き飛んだりして距離センサ17に影響し、正しく
距離を計測できない場合がある。このような場合は不正
な計測データを基に倣い制御が働き、焦点位置が設定位
置から外れ、加工不良が起こるという問題があった。
【0009】図12にセンサが正しく距離を計測できな
い例を示す。図12(a)はピアシング時にプラズマ2
1が発生している様子を示している。この場合センサは
プラズマの影響で加工ヘッド11と被加工物9間の距離
を正確に計測できなくなる。図12(b)はピアシング
時にあけた穴の周辺に突起状の細い変形が生じた様子を
示している。この場合距離センサ17はピアシング中や
ピアシング後の移動時に、突起22の影響で被加工物9
との接近または接触を示す不正データを出す。図12
(c)はピアシング時にスパッタが穴の周辺に堆積して
いる様子を示している。この場合センサはピアシング後
の移動時に堆積23の影響で被加工物9との接近または
接触を示す不正データを出す。また、加工中にピアシン
グ位置の近傍を通過する場合も堆積23の影響で不正デ
ータを出す。図11(d)は切断終了時に切り落ちた被
加工物が傾いていた様子を示している。この場合距離セ
ンサ17は切断終了時に被加工物24との接近または接
触を示す不正データを出す。
【0010】これらの問題に対し特開平4−52094
のようにピアシング中等には倣い制御を無効にする方法
がある。ところが加工によっては倣い制御を行なわない
ようにすると困る場合がある。例えば、ピアシング用の
焦点位置設定と切断用の焦点位置設定が異なる場合は、
倣い制御を行なわないと設定位置に応じて加工ヘッド1
1が移動せず、実際の焦点位置が設定位置に合わない。
また、ピアシング中に倣い制御の設定距離を少しずつ変
更して加工ヘッドを少しずつ下げ、被加工物に対してレ
ーザ光の焦点を追い込む加工方法や、逆に少しずつ被加
工物から焦点を上げていく加工方法が必要な場合も倣い
制御を行なわないと加工できない。また、切断終了直前
に焦点位置を変更して被加工物との干渉を防いだり、切
断終了時の溶け落ちを防いだりする加工方法も倣い制御
を行なわないと不可能になる。
【0011】本発明は、上記のような課題を解決するた
めになされたもので、距離センサ17の不正データに影
響されず、かつ設定された焦点位置に応じて加工を継続
できるレーザ加工装置を得ることを目的とする。
【0012】この場合の例として、図13にピアシング
から距離L1移動するまで倣い制御を無効にした場合の
加工ヘッドの動作例を示す。図13(a)ではピアシン
グ位置にて倣い制御がオンされ、焦点設定位置d1の位
置に加工ヘッド11が保たれている様子を示している。
この状態では設定位置がd1で、距離センサ17の計測
位置もd1である。ピアシング後切断条件に切り替わ
り、焦点設定位置がd2に変わると、設定d2に対して
距離センサ17の計測位置がd1だが、距離L1を移動
するまでは倣い制御が無効なので、補正移動量は発生せ
ず図13(b)の矢印Aのように移動する。その後ハイ
ト制御が有効になると加工ヘッド11は計測位置がd2
になるまで矢印Bのように移動する。その後は被加工物
9の凹凸に応じて、倣い制御により加工ヘッド11も矢
印Cのように移動する。
【0013】この発明は、上記のような課題を解決する
ためになされたもので、距離センサ17の不正データに
影響されず、かつ設定された焦点位置に応じて加工を継
続できるレーザ加工方法を得ることを目的とする。
【0014】
【課題を解決するための手段】請求項1のレーザ加工方
法においては、加工ヘッドと被加工物間の距離を計測す
る距離センサを備えたレーザ加工装置を使い、距離セン
サが計測した計測値に追従して加工ヘッドを移動させる
第1のモードと、計測値とは無関係に加工条件に対応し
て設定した値の変化により加工ヘッドを上下に駆動する
第2のモードとを有し、この2つのモードを切り換えて
使用する。
【0015】請求項2のレーザ加工方法においては、ピ
アシング中は、第2のモードで加工を行なう。
【0016】請求項3のレーザ加工方法においては、ピ
アシング後の最初の移動において所定の距離を移動する
までは、第2のモードで加工を行なう。
【0017】請求項4のレーザ加工方法においては、ピ
アシング開始からピアシング後の最初の移動において所
定の距離を移動するまでは、第2のモードで加工を行な
う。
【0018】請求項5のレーザ加工方法においては、加
工終点から所定の距離だけ前から加工終点までは、第2
のモードで加工を行なう。
【0019】請求項6のレーザ加工方法においては、ピ
アシング位置から所定の距離以内の位置では、第2のモ
ードで加工を行なう。
【0020】請求項7のレーザ加工装置においては、レ
ーザービームを発振するレーザ発振器と、レーザビーム
を照射する加工ヘッドと、加工ヘッドに対して相対的に
移動する加工テーブルと、加工ヘッドに備えられレーザ
ービーム照射方向に離れた距離を計測可能な距離センサ
と、レーザ発振器、加工ヘッドおよび加工テーブルの動
きを制御する制御装置であって、距離センサの計測した
計測値に追従して加工ヘッドを移動させる第1のモード
と、計測値とは無関係に加工条件に対応して設定した値
の変化により加工ヘッドを上下に駆動する第2のモード
とを有し、第1のモードおよび第2のモードを切り換え
る判定をするモード切換判定手段と、第1のモードおよ
び第2のモードを切り換えるモード切換手段とを備えて
いる。
【0021】
【作用】請求項1のレーザ加工方法においては、通常は
加工ヘッドと被加工物の距離を計測する距離センサの出
力する計測値に追従させて加工ヘッドを上下に移動さ
せ、計測データが不正になる様な場合は距離センサの出
力する計測値とは無関係に加工条件に対応して設定され
た値により加工ヘッドを上下に移動するので、被加工物
に対する焦点位置を常にほぼ所望の位置に保つことがで
き、加工不良を防ぐことができる。
【0022】請求項2のレーザ加工方法においては、ピ
アシング中は、距離センサの出力する計測値とは無関係
に加工条件に対応して設定された値により加工ヘッドを
上下に移動するので、ピアシング時に発生するプラズ
マ、スパッタの飛散、被加工物の突起、スパッタの堆積
に影響されず、被加工物に対する焦点位置を常にほぼ所
望の位置に保つことができ、加工不良を防ぐことができ
る。
【0023】請求項3のレーザ加工方法においては、ピ
アシング後の最初の移動において所定の距離を移動する
までは、距離センサの出力する計測値とは無関係に加工
条件に対応して設定された値により加工ヘッドを上下に
移動するので、ピアシング時に発生する被加工物の突
起、スパッタの堆積に影響されず、被加工物に対する焦
点位置を常にほぼ所望の位置に保つことができ、加工不
良を防ぐことができる。
【0024】請求項4のレーザ加工方法においては、ピ
アシング開始から、ピアシング後最初の移動において所
定の距離を移動するまでは、距離センサの出力する計測
値とは無関係に加工条件に対応して設定された値により
加工ヘッドを上下に移動するので、ピアシング時に発生
するプラズマ、スパッタの飛散、被加工物の突起、スパ
ッタの堆積に影響されず、被加工物に対する焦点位置を
常にほぼ所望の位置に保つことができ、加工不良を防ぐ
ことができる。
【0025】請求項5のレーザ加工方法においては、加
工終点から所定の距離だけ前から加工終点までは、距離
センサの出力する計測値とは無関係に加工条件に対応し
て設定された値により加工ヘッドを上下に移動するの
で、加工終点で切断した被加工物が傾いたり、吹き飛ん
だりする恐れがあっても、加工終点前で被加工物に対す
る焦点位置を常にほぼ所望の位置に保つことができ、加
工不良を防ぐことができる。
【0026】請求項6のレーザ加工方法においては、ピ
アシング位置から距離以内の位置では、距離センサの出
力する計測値とは無関係に加工条件に対応して設定され
た値により加工ヘッドを上下に移動するので、加工中に
ピアシング位置近傍を通過する場合でも、ピアシング時
に発生する被加工物の突起、スパッタの堆積に影響され
ず、被加工物に対する焦点位置を常にほぼ所望の位置に
保つことができ、加工不良を防ぐことができる。
【0027】請求項7のレーザ加工装置においては、通
常は加工ヘッドと被加工物の距離を計測する距離センサ
の出力する計測値に追従させて加工ヘッドを上下に移動
させ、計測データが不正になる様な場合は距離センサの
出力する計測値とは無関係に加工条件に対応して設定さ
れた値により加工ヘッドを上下に移動するので、被加工
物に対する焦点位置を常にほぼ所望の位置に保つことが
でき、加工不良を防ぐことができる。
【0028】
【実施例】
実施例1.図1は本発明の一実施例であるレーザ加工方
法の処理フローチャートである。図1に於てステップS
100からS104は従来の方法である図9と同等の処
理である。従来の方法と同じ倣いの第1のモードM1で
あるステップS100からS104の他に、第2のモー
ドであるS201からS205がある。まずステップS
200にて、現在の倣いモードが第2のモードであるM
2か否かを判定する(モード切換判定手段)。本実施例
の場合は第2のモードでない場合は第1のモードであ
る。倣いモードの指定はCRT/MDIからの設定、ま
たは加工プログラム中のコマンドにより指定可能である
(モード切換手段)。倣いモードが第1のモードである
M1の場合はステップS100からS104の従来と同
様の処理を行なう。倣いモードがM2の場合は、ステッ
プS201へ進む。ステップS201にてモードM2に
切り換えられた後1回目の処理かを判定し、1回目の場
合はステップS205にてその時の焦点位置設定をメモ
リ3に記憶する。2回目以降の場合はステップS202
にて、その時の焦点位置設定が前回の焦点位置設定と同
じかを判定する。同じ場合は焦点位置設定に変化が無か
ったということで処理を終える。異なる場合はステップ
S203にて、前回設定位置と今回設定位置との差から
補正移動量を計算する。設定位置の変化分だけZ軸を動
かす移動量を算出する。ステップS204にてその移動
量をZ軸を駆動するためにサーボアンプ19に出力す
る。ステップS205にて今回の新しい設定位置をメモ
リ3に記憶する。以上の処理を周期的に行なうことによ
り、モードM1時は計測位置が設定位置になるように加
工ヘッドを上下に駆動し、計測データが不正になる場合
はモードM2に切り換え、計測位置とは無関係に設定位
置の変化により加工ヘッドを上下に駆動するようでき
る。通常、計測データが不正になる状態は短いので、計
測位置とは無関係に設定位置の変化により加工ヘッド1
1を駆動しても、被加工物に対する焦点位置をほぼ所望
の位置に保つことができ、加工不良を防ぐことができ
る。
【0029】実施例2.図2は本発明の他の実施例であ
るレーザ加工方法の処理フローチャートである。ステッ
プS206以外は実施例1の図1と同様である。ステッ
プS206にてピアシング中か否か判定する(ピアシン
グ加工中判定手段)。図10の加工プログラムにおいて
N03行のピアシング実行指令を実行中ならば、ピアシ
ング中である。ピアシング中の場合は計測データが不正
な可能性があるので、S201からS205のモードM
2の処理を行なう。ピアシング中でなければ、S100
からS104のモードM1の処理を行なう。
【0030】実施例3.図3は本発明の他の実施例であ
るレーザ加工方法の処理フローチャートである。実施例
2によりピアシング中のスパッタの飛散やプラズマによ
る不正計測データの影響は防げるが、ピアシング直後の
移動でこのスパッタの堆積により計測データが不正にな
る影響は防げない。そこで、ピアシング直後の移動にお
いて、所定の距離L1を移動するまではモードM2にす
る。所定の距離L1は予めメモリ3にパラメータ等とし
て記憶しておく(基準距離設定部)。図3においてステ
ップS207、S208以外は図1と同様である。ステ
ップS207にて、ピアシング直後の移動かを判定する
(ピアシング直後の移動判定手段判定手段)。ピアシン
グ直後の移動の場合は、ステップS208にて現在まで
のピアシング位置からの移動量と所定の距離L1とを比
較する(移動距離算出手段および比較部)。移動距離が
距離L1以上の場合はS100からS104のモードM
1の処理を行なう。移動距離が距離L1以下の場合は計
測データが不正な可能性があるので、S201からS2
05のモードM2の処理を行なう。ピアシング直後の移
動の判定は、加工プログラムでピアシング実行指令以降
で最初の移動指令をピアシング直後の移動指令として判
定すればよい(履歴記憶手段)。
【0031】実施例4.図4は本発明の他の実施例であ
るレーザ加工方法の処理フローチャートである。実施例
2および実施例3を合わせて実行しても、ピアシング完
了から最初の移動指令までに移動のない別の指令があっ
た場合は、その間にスパッタの堆積による不正計測デー
タの影響がでる可能性が有る。そこで、ピアシング開始
からピアシング後に所定の距離を移動するまでは終始モ
ードM2にする。ステップS206にてピアシング中か
を判定する。ピアシング中の場合はモードM2の処理を
行なう。ピアシング中でない場合はステップS209に
て、ピアシング後に移動指令が有ったかを判定する。移
動指令がない場合は計測データが不正な可能性があるの
で、モードM2の処理を行なう。移動指令が有った場合
はステップS207にて、その指令がピアシング後最初
の移動かを判定する。ピアシング後最初の移動でない場
合はモードM1の処理を行なう。ピアシング後最初の移
動の場合はステップS208にて、現在までのピアシン
グ位置からの移動量と所定の距離L1とを比較する(移
動距離算出手段および比較部)。移動距離が距離L1以
上の場合はモードM1の処理を行なう。移動距離が距離
L1以下の場合はモードM2の処理を行なう。
【0032】この場合の加工ヘッド11の動作例を図5
に示す。図5(a)ピアシング位置にて倣い制御がオン
され、焦点設定位置d1の位置に加工ヘッド11が保た
れている様子を示している。この状態では設定位置がd
1で、距離センサ17の計測位置もd1である。ピアシ
ング後切断条件に切り替わり、焦点設定位置がd2に変
わると、モードM2の処理により、距離センサ17の計
測位置によらず、図5(b)の矢印Aのように設定位置
d1とd2の差分だけ加工ヘッド11を移動する。次に
切断が開始されても距離L1を移動するまではモードM
2なので、距離センサ17の計測位置によらず、被加工
物9の凹凸に応じず矢印Bのように移動する。その後モ
ードM1になると加工ヘッド11は計測位置がd2にな
るまで矢印Bのように移動する。その後は被加工物9の
凹凸に応じて、倣い制御により加工ヘッド11も矢印C
のように移動する。
【0033】実施例5.図6は本発明の他の実施例であ
るレーザ加工方法の処理フローチャートである。加工終
点直前で切り落ちたワークの影響による不正計測データ
の影響を受けず、かつ加工終点手前で焦点位置を変更し
たい場合のため処理フローチャートが図6である。図6
においてステップS210にて加工終点直前の移動かを
判定する(加工終点前の移動判定手段)。加工終点直前
の移動の場合は、ステップS211にて移動終点に対し
て現在までの移動距離を差し引いた残距離と所定の距離
L2とを比較する(距離算出手段および比較部)。所定
の距離L2は予めメモリ3にパラメータ等として記憶し
ておく(基準距離設定部)。残距離が距離L2以上の場
合はS100からS104のモードM1の処理を行な
う。残距離が距離L2以下の場合は計測データが不正な
可能性があるので、S201からS205のモードM2
の処理を行なう。加工終点直前の移動の判定は、加工プ
ログラムの先読み処理で切断終了の指令を読み込んだ時
に、その前の移動指令を加工終点直前の移動指令として
判定すればよい。
【0034】実施例6.図7は本発明の他の実施例であ
るレーザ加工方法の処理フローチャートである。実施例
2から実施例4ではピアシング開始から切断開始にかけ
て、堆積したスパッタの影響をうけずに焦点位置をほぼ
所望の位置に保って加工できるが、その後、形状切断中
にピアシング位置近傍を通過する場合に、堆積したスパ
ッタの影響をうける可能性が有る。そこで、ピアシング
位置からの距離で倣いモードを切り換える。ステップS
212にてピアシング指令を実行か判定する。ピアシン
グ実行ならば、ステップS213にてその時の位置を記
憶する(ピアシング位置記憶手段)。ピアシング位置を
いくつまで記憶するかは、メモリ3の容量による。ステ
ップS214では各ピアシング位置からの現在位置まで
の距離を各々計算する(ピアシング位置からの距離算出
手段)。ステップS215にて各計算距離と所定の距離
L1とを比較する(比較部)。所定の距離L1は予めメ
モリ3にパラメータ等として記憶しておく(基準距離設
定部)。計算距離すべてが距離L1以上の場合はS10
0からS104のモードM1の処理を行なう。計算距離
の少なくとも1つが距離L1以下の場合は、近くにピア
シングによるスパッタの堆積が有り計測データが不正な
可能性があるので、S201からS205のモードM2
の処理を行なう。
【0035】
【発明の効果】請求項1のレーザ加工方法においては、
加工ヘッドと被加工物間の距離を計測する距離センサを
備えたレーザ加工装置を使い、距離センサが計測した計
測値に追従して加工ヘッドを移動させる第1のモード
と、計測値とは無関係に加工条件に対応して設定した値
の変化により加工ヘッドを上下に駆動する第2のモード
とを有し、この2つのモードを切り換えて使用するの
で、通常は加工ヘッドと被加工物の距離を計測する距離
センサの出力する計測値に追従させて加工ヘッドを上下
に移動させ、計測データが不正になる様な場合は距離セ
ンサの出力する計測値とは無関係に加工条件に対応して
設定された値により加工ヘッドを上下に移動するので、
被加工物に対する焦点位置を常にほぼ所望の位置に保つ
ことができ、加工不良を防ぐことができる。
【0036】請求項2のレーザ加工方法においては、ピ
アシング中は、第2のモードで加工を行なうので、ピア
シング中は、距離センサの出力する計測値とは無関係に
加工条件に対応して設定された値により加工ヘッドを上
下に移動するので、ピアシング時に発生するプラズマ、
スパッタの飛散、被加工物の突起、スパッタの堆積に影
響されず、被加工物に対する焦点位置を常にほぼ所望の
位置に保つことができ、加工不良を防ぐことができる。
【0037】請求項3のレーザ加工方法においては、ピ
アシング後の最初の移動において所定の距離を移動する
までは、第2のモードで加工を行なうので、ピアシング
後の最初の移動において所定の距離を移動するまでは、
距離センサの出力する計測値とは無関係に加工条件に対
応して設定された値により加工ヘッドを上下に移動する
ので、ピアシング時に発生する被加工物の突起、スパッ
タの堆積に影響されず、被加工物に対する焦点位置を常
にほぼ所望の位置に保つことができ、加工不良を防ぐこ
とができる。
【0038】請求項4のレーザ加工方法においては、ピ
アシング開始からピアシング後の最初の移動において所
定の距離を移動するまでは、第2のモードで加工を行な
うので、ピアシング開始から、ピアシング後最初の移動
において所定の距離を移動するまでは、距離センサの出
力する計測値とは無関係に加工条件に対応して設定され
た値により加工ヘッドを上下に移動するので、ピアシン
グ時に発生するプラズマ、スパッタの飛散、被加工物の
突起、スパッタの堆積に影響されず、被加工物に対する
焦点位置を常にほぼ所望の位置に保つことができ、加工
不良を防ぐことができる。
【0039】請求項5のレーザ加工方法においては、加
工終点から所定の距離だけ前から加工終点までは、第2
のモードで加工を行なうので、加工終点から所定の距離
だけ前から加工終点までは、距離センサの出力する計測
値とは無関係に加工条件に対応して設定された値により
加工ヘッドを上下に移動するので、加工終点で切断した
被加工物が傾いたり、吹き飛んだりする恐れがあって
も、加工終点前で被加工物に対する焦点位置を常にほぼ
所望の位置に保つことができ、加工不良を防ぐことがで
きる。
【0040】請求項6のレーザ加工方法においては、ピ
アシング位置から距離以内の位置では、第2のモードで
加工を行なうので、ピアシング位置から距離以内の位置
では、距離センサの出力する計測値とは無関係に加工条
件に対応して設定された値により加工ヘッドを上下に移
動するので、加工中にピアシング位置近傍を通過する場
合でも、ピアシング時に発生する被加工物の突起、スパ
ッタの堆積に影響されず、被加工物に対する焦点位置を
常にほぼ所望の位置に保つことができ、加工不良を防ぐ
ことができる。
【0041】請求項7のレーザ加工装置においては、レ
ーザービームを発振するレーザ発振器と、レーザビーム
を照射する加工ヘッドと、加工ヘッドに対して相対的に
移動する加工テーブルと、加工ヘッドに備えられレーザ
ービーム照射方向に離れた距離を計測可能な距離センサ
と、レーザ発振器、加工ヘッドおよび加工テーブルの動
きを制御する制御装置であって、距離センサの計測した
計測値に追従して加工ヘッドを移動させる第1のモード
と、計測値とは無関係に加工条件に対応して設定した値
の変化により加工ヘッドを上下に駆動する第2のモード
とを有し、第1のモードおよび第2のモードを切り換え
る判定をするモード切換判定手段と、第1のモードおよ
び第2のモードを切り換えるモード切換手段とを備えて
いるので、通常は加工ヘッドと被加工物の距離を計測す
る距離センサの出力する計測値に追従させて加工ヘッド
を上下に移動させ、計測データが不正になる様な場合は
距離センサの出力する計測値とは無関係に加工条件に対
応して設定された値により加工ヘッドを上下に移動する
ので、被加工物に対する焦点位置を常にほぼ所望の位置
に保つことができ、加工不良を防ぐことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の一実施例であるレーザ加工方法の処
理フローチャートである。
【図2】 本発明の他の実施例であるレーザ加工方法の
処理フローチャートである。
【図3】 本発明の他の実施例であるレーザ加工方法の
処理フローチャートである。
【図4】 本発明の他の実施例であるレーザ加工方法の
処理フローチャートである。
【図5】 加工ヘッドの動作を示す図である。
【図6】 本発明の他の実施例であるレーザ加工方法の
処理フローチャートである。
【図7】 本発明の他の実施例であるレーザ加工方法の
処理フローチャートである。
【図8】 レーザ加工装置の構成図である。
【図9】 従来の倣い制御の処理フローチャートであ
る。
【図10】 加工プログラム例を示す図である。
【図11】 加工ヘッドの動作を示す図である。
【図12】 距離センサが正しく計測できない例を示す
図である。
【図13】 加工ヘッドの動作を示す図である。
【符号の説明】
5 レーザ発振器、6 レーザービーム、8 レーザ加
工装置、9 加工テーブル、11 加工ヘッド、17
距離センサ、S100〜S104 第1のモード、S2
01〜S205 第2のモード、S200 モード切換
判定手段、S206 ピアシング加工中判定手段、S2
07 ピアシング直後の移動判定手段、S210 加工
終点前の移動判定手段、S214 ピアシング位置から
の距離計算。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (56)参考文献 特開 平6−269970(JP,A) 特開 平6−134589(JP,A) 特開 平1−218780(JP,A) 特開 平4−52094(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) B23K 26/04 B23K 26/00 B23K 26/06

Claims (7)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 加工ヘッドと被加工物間の距離を計測す
    る距離センサを備えたレーザ加工装置を使い、上記距離
    センサの計測した計測値に追従して上記加工ヘッドを移
    動させる第1のモードと、計測値とは無関係に加工条件
    に対応して設定した値の変化により加工ヘッドを上下に
    駆動する第2のモードとを有し、この2つのモードを切
    り換えて使用することを特徴とするレーザ加工方法。
  2. 【請求項2】 ピアシング中は第2のモードで加工を行
    なうことを特徴とする請求項1に記載のレーザ加工方
    法。
  3. 【請求項3】 ピアシング後の最初の移動において所定
    の距離を移動するまでは、第2のモードで加工を行なう
    ことを特徴とする請求項1に記載のレーザ加工方法。
  4. 【請求項4】 ピアシング開始からピアシング後の最初
    の移動において所定の距離を移動するまでは、第2のモ
    ードで加工を行なうことを特徴とする請求項1乃至3の
    いずれかに記載のレーザ加工方法。
  5. 【請求項5】 加工終点から所定の距離だけ前から加工
    終点までは、第2のモードで加工を行なうことを特徴と
    する請求項1乃至4のいずれかに記載のレーザ加工方
    法。
  6. 【請求項6】 ピアシング位置から所定の距離以内の位
    置では、第2のモードで加工を行なうことを特徴とする
    請求項1乃至5のいずれかに記載のレーザ加工方法。
  7. 【請求項7】 レーザービームを発振するレーザ発振器
    と、 上記レーザビームを照射する加工ヘッドと、 上記加工ヘッドに対して相対的に移動する加工テーブル
    と、 上記加工ヘッドに備えられレーザービーム照射方向に離
    れた距離を計測可能な距離センサと、 上記レーザ発振器、上記加工ヘッドおよび上記加工テー
    ブルの動きを制御する制御装置を備えたレーザ加工装置
    であって、 上記距離センサの計測した計測値に追従して上記加工ヘ
    ッドを移動させる第1のモードと、計測値とは無関係に加工条件に対応して設定した値の変
    化により加工ヘッドを上下に駆動する 第2のモードとを
    有し、 上記第1のモードおよび上記第2のモードを切り換える
    判定をするモード切換判定手段と、 上記第1のモードおよび上記第2のモードを切り換える
    モード切換手段とを備えたレーザ加工装置。
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