JP3171884B2 - トランスファーからプラスチック−コーティング紙シートへインドアニリン染料を転写する方法 - Google Patents

トランスファーからプラスチック−コーティング紙シートへインドアニリン染料を転写する方法

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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、エネルギー源の補助に
より、トランスファー(transfer)からプラス
チック−コーティング紙シートへインドアニリン染料を
転写する新規な方法に関する。
【0002】
【従来の技術】感熱転写印刷法においては、基材上の1
又は複数のバインダ(binder)中に、適当な助剤
を有し又は有しないで、熱的に転写しうる染料を含有す
る転写シートが、短かいパルス(1秒の何分の1続く)
の間、エネルギー源、例えばサーマルプリンティングヘ
ッド又はレーザーにより背面から加熱されると、染料は
転写シートから外に移動し、そして、受容媒体の表面コ
ーティング中に拡散される。この方法の本質的な利点
は、転写される染料の量(及び、それゆえ色の濃淡)が
エネルギー源により放出されるエネルギーの調節によっ
て簡単に調節できることである。
【0003】一般に、色記録は(黒とともに、又は黒な
しで)減法混色の三原色であるイエロー、マゼンタ及び
シアンを使用して行われる。
【0004】最適な色記録を確保するために、染料は次
の特性を有しなければならない: − 容易な熱転写力 − 室温での受容媒体の表面コーティング内へ又は表面
外への移行の小さな傾向 − 高い熱的及び光化学的な安定性及び湿気及び化学物
質への抵抗性 − 減法混色の色の混合に対する適当な色相 − 高い分子吸光係数 − 転写シートの貯蔵時に晶出が起こらないこと。
【0005】これらの要求すべてを一度に満たすことが
困難であることは、経験的に知られている。
【0006】それ故に、既存の感熱転写染料の多く、特
にシアンに対するものは特性の組み合わせを要求されて
いない。
【0007】特開昭61−268493号公報及び特開
平1−249860号公報は、インドアニリン染料の転
写を開示しており、そこでは、カップリング成分はアニ
リン誘導体に由来し、これは塩素に加えて、他の置換基
として、インドアニリン基上にメチルとエトキシカルボ
ニルアミノ又はメチルアミノ及びブチルカルボニルアミ
ノを有している。
【0008】しかしながら、これらの染料は十分な結果
を与えていないことが判明した。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、使用
染料が先に述べた特性を有するものである、インドアニ
リン染料の転写のための新規方法を提供することであ
る。
【0010】
【課題を解決するための手段】ところで、この課題は、
エネルギー源の補助による拡散又は昇華によって、イン
ドアニリン染料をトランスファーからプラスチック−コ
ーティングした紙シートへ転写させる方法により達成さ
れ、この方法は、トランスファー上に1又は複数の式
I:
【0011】
【化2】
【0012】[式中、R1,R2及びR3は同一又は異な
って、それぞれ独立に、水素、メチル、フッ素又は塩素
であり、Xはフッ素又は塩素であり、Kは芳香族の炭素
環式又は複素環式基である]で表わされる染料が存在す
るトランスファーを使用することから成る。
【0013】適当な芳香族の炭素環式又は複素環式基K
は、例えば、アニリン、インドール又はキノリン系の化
合物から導かれる。
【0014】式中のKが次式:
【0015】
【化3】
【0016】の基であり、ここでR4は水素、メチル、
メトキシ、C1〜C4−モノ又はジアルキルアミノスルホ
ニルアミノ、C1〜C4−アルキルスルホニルアミノ又は
基−NHCOR9又は−NHCO29であり、R9はフェ
ニル、ベンジル、トリル又はC1〜C8−アルキル(これ
は1個又は2個の酸素原子によりエーテル性に中断され
ていてもよい)であり、R5は水素、メトキシ又はエト
キシであり、R6及びR7は同一又は異なって、それぞれ
独立に他のハロゲン、C1〜C8−アルキル(これは置換
されていてもよく、これは1個又は2個の酸素原子によ
りエーテル性に中断されていてよい)又は、C5〜C7
シクロアルキルであり、そして、R8は水素、メチル又
はメトキシである式Iの染料1種以上がトランスファー
上に存在する方法が強調されるべきである。
【0017】前記の式IIa〜IIg中に現われるいず
れのアルキルも、直鎖又は分枝状のいずれでもよい。前
記の式IIa〜IIg中に現われるいずれの置換アルキ
ルも、置換基として、例えば、シアノ、フェニル、トリ
ル、ヒドロキシル、C1〜C6−アルカノイルオキシ、C
1〜C4−アルコキシカルボニル又はC1〜C4−アルコキ
シカルボニルオキシを有することができ、最後に述べた
ものの場合に、アルコキシ基はフェニル又はC1〜C4
アルコキシにより置換されていてよい。
【0018】R2,R6,R7及びR9の適当な基は、例え
ば、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチ
ル、イソブチル及びsec−ブチルである。
【0019】R6,R7及びR9は、それぞれ、例えば、
ペンチル、イソペンチル、ネオペンチル、tert−ペ
ンチル、ヘキシル、2−メチルペンチル、ヘプチル、オ
クチル、2−エチルヘキシル、2−メトキシエチル、2
−又は3−メトキシプロピル、2−エトキシエチル、2
−又は3−エトキシプロピル、2−プロポキシエチル、
2−又は3−プロポキシプロピル、2−ブトキシエチ
ル、2−又は3−ブトキシプロピル、3,6−ジオキサ
ヘプチル又は3,6−ジオキサオクチルであってもよ
い。
【0020】R6及びR7は、それぞれ、例えば、2−シ
アノエチル、2−又は3−シアノプロピル、2−アセチ
ルオキシエチル、2−又は3−アセチルオキシプロピ
ル、2−イソブチリルオキシエチル、2−又は3−イソ
ブチリルオキシプロピル、2−メトキシカルボニルエチ
ル、2−又は3−メトキシカルボニルプロピル、2−エ
トキシカルボニルエチル、2−又は3−エトキシカルボ
ニルプロピル、2−メトキシカルボニルオキシエチル、
2−又は3−メトキシカルボニルオキシプロピル、2−
エトキシカルボニルオキシエチル、2−又は3−エトキ
シカルボニルオキシプロピル、2−ブトキシカルボニル
オキシエチル、2−又は3−ブトキシカルボニルオキシ
プロピル、2−(2−フェニルエトキシカルボニルオキ
シ)エチル、2−又は3−(2−フェニルエトキシカル
ボニルオキシ)−プロピル、2−(2−エトキシエトキ
シカルボニルオキシ)エチル、2−又は3−(2−エト
キシエトキシカルボニルオキシ)プロピル、ベンジル、
2−メチルベンジル、1−又は2−フェニルエチル、シ
クロペンチル、シクロヘキシル又はシクロヘプチルであ
ってもよい。
【0021】R4は、例えば、モノ−又はジメチルアミ
ノスルホニルアミノ、モノ−又はジエチルアミノスルホ
ニルアミノ、モノ−又はジプロピルアミノスルホニルア
ミノ、モノ−又はジイソプロピルアミノスルホニルアミ
ノ、モノ−又はジブチルアミノスルホニルアミノ、(N
−メチル−N−エチルアミノスルホニル)アミノ、メチ
ルスルホニルアミノ、エチルスルホニルアミノ、プロピ
ルスルホニルアミノ、イソプロピルスルホニルアミノ又
はブチルスルホニルアミノである。
【0022】好ましい方法は、トランスファー上に、式
中のKが式IIa又はIIcの基である式Iの染料1種
以上が存在するものである。
【0023】特に好適のものは、トランスファー上に、
式III:
【0024】
【化4】
【0025】[式中、R4は水素、メチル又はアセチル
アミノであり、R6は水素、置換されていてもよくかつ
/又は、1個又は2個の酸素原子によりエーテル性に中
断されてもよいC1〜C6−アルキル、又はC5〜C7−シ
クロアルキルであり、R8は水素であり、R1,R2,R3
及びXは上述の定義のものである]で表わされる染料1
種以上が存在する方法である。
【0026】特に式IV:
【0027】
【化5】
【0028】[式中、R4は水素、メチル又はアセチル
アミノであり、R5は水素であり、R6及びR7は、それ
ぞれ独立に、水素、又は、シアノ、C1〜C6−アルカノ
イルオキシ、C1〜C4−アルコキシカルボニル又はC1
〜C4−アルコキシカルボニルオキシで置換されていて
もよいか又は、1個の酸素原子によりエーテル性に中断
されていてもよいC1〜C6−アルキルであり、R1
2,R3及びXはそれぞれ上記で定義のとおりである]
で表わされる染料1種以上がトランスファー上に存在す
る方法である。
【0029】特に好適なものは、R1とR2がそれぞれ水
素又はメチルであり、R3とXがそれぞれ塩素である式
Iの染料1種以上がトランスファー上に存在する方法で
ある。
【0030】式Iのインドアニリン染料は、それ自体公
知の方法、例えば、先行の特許出願である、欧州特許第
416434号公開明細書及び欧州特許出願第9110
4408.9号に記載された方法により製造することが
できる。
【0031】本発明の方法で転写される式Iの染料は、
一般に、既存の方法で使用される染料に比較して、室温
における受容媒体への改善された移動特性、より簡単な
感熱転写力、高い熱及び光化学安定性、産業上のより簡
単な入手性、湿度及び化学物質に対する良好な抵抗性、
高い色強度、より良好な溶解性又は減法混色の色の混合
に対するより良好な適合性(より純度の高い色相、吸収
帯のより好都合な形状、即ち、短波側における低い半価
幅(half−value)又はより大きい急勾配)を
保持する。これらは、また、先願欧州特許第41643
4号公開明細書に記載されたトリアゾロピリジン染料と
の混合染料にとって、特に有利に適合する。これは、概
ね、より良好な転写可能性、より高いインクリボン安定
性(バインダとのより良好な相容性)、より高い耐光
性、受容媒体における転写染料のより良好な分布及び特
に、より良好な黒色混合物の調製に関して当てはまる。
【0032】本発明の方法に必要な染料トランスファー
を準備するために、染料を適当な有機溶媒又は溶媒とバ
インダ1種以上及び可能な助剤との混合物中に溶かし、
染料が好適には分子状に分散、即ち、溶解された形で存
在する印刷インクを形成させる。この印刷インクを、次
いで、ナイフコーティング及び空気乾燥により、不活性
の基材上に適用することができる。
【0033】適当なバインダは、有機溶媒に可溶性であ
り、そして、染料がこすりとられないような形で不活性
基材に染料を結合することができる、すべての樹脂又は
高分子材料である。好適なものは、印刷インクを空気乾
燥した後に、染料の目にみえる晶出が生じることなく、
きれいな透明フィルム中に染料を保持するバインダであ
る。
【0034】かかるバインダの例は、セルロース誘導
体、例えば、メチルセルロース、エチルセルロース、エ
チルヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピル
セルロース、セルロースアセテート又はセルロースアセ
トブチレート、澱粉、アルギナート、アルキド樹脂、ポ
リビニルアルコール、ポリビニルアセテート、ポリビニ
ルブチレート及びポリビニルピロリドンである。アクリ
レート又はその誘導体のポリマー及びコポリマー例え
ば、ポリアクリル酸、ポリメチルメタアクリレート又は
スチレン−アクリレート−コポリマー、ポリエステル樹
脂、ポリアミド樹脂、ポリウレタン樹脂又は天然のCH
樹脂例えばアラビアゴムを使用することも可能である。
更に好適なバインダは、西独国特許第3524519号
明細書に記載されている。
【0035】好適なバインダは、セルロース誘導体及び
ポリビニルブチレートである。
【0036】バインダ対染料の割合は、好適には、1:
1〜5:1で変化しうる。
【0037】可能な助剤は、欧州特許第227092号
公開明細書、第192435号公開明細書に記載された
及び、そこで引用されている離型剤であるが、特に、イ
ンクリボンの貯蔵時又は加熱時に転写染料が晶出するの
を防止する有機添加物例えば、コレステロール又はバニ
リンでもある。
【0038】不活性基材物質は、例えば、カーボン印画
紙、吸取り紙又はパーチメント紙及び良好な熱抵抗性を
有するプラスチックフィルム、例えば、メタル化又は非
メタル化されたポリエステル、ポリアミド又はポリイミ
ドである。不活性基材は、エネルギー源、特に、サーマ
ルプリンティングヘッドが基材物質に粘着するのを防止
するために、エネルギー源に面する側に、付加的に、潤
滑剤又は滑剤層でコーティングすることもできる。適当
な潤滑剤は、例えば、欧州特許第216483号公開明
細書及び欧州特許第227095号公開明細書に記載さ
れている。染料のための基材の厚さは、一般には3〜3
0μm、好適には5〜10μmである。
【0039】染料受容層は、基本的には、転写される染
料に対して親和性を有する、任意の熱抵抗性プラスチッ
ク層、例えば、変性されたポリカーボネート又はポリエ
ステルであってよい。受容層組成物のための適切な処方
は、詳細には、例えば、欧州特許第227094号、同
第133012号、同第133011号、同第1110
04号公開明細書、特開昭61−199997号、同第
61−283595号、同第61−237694号及び
同第61−127392号公報に記載されている。
【0040】転写方法は、エネルギー源、例えば、レー
ザー又はサーマルプリンティングヘッドを用いて実施さ
れ、後者にあっては、染料の転写が0<t<15m秒と
いう時間範囲内で生じるように300℃以上に加熱可能
であることが必要である。転写の過程において、染料は
転写シートから移動し、受容媒体の表面コーティング中
に拡散する。
【0041】その他の詳細については、以下の実施例か
ら明らかになるであろうが、実施例中では「%」は、他
の記述がない場合には「重量%」である。
【0042】染料の転写染料の転写特性の簡単な定量検
査のために、感熱転写を大きなホットプレートを用いて
実施し、転写温度は70℃<T<120℃の範囲で変
え、一方、転写時間は2分に固定した。
【0043】α)基材を染料によりコーティングするた
めの一般的な処方: 1gのバインダを40〜50℃で、8:2v/vのトル
エン/エタノール8ml中に溶かした。テトラヒドロフ
ラン30ml中の染料0.5gの溶液を撹拌しながら添
加し、必要ならば、不溶残分を濾去した。こうして得ら
れたプリントペーストを80μmのドクターナイフでポ
リエステルシート上に施与し(厚さ:6〜10μm)、
ヘアードライヤーで乾燥させた。
【0044】β)感熱転写能力の試験 使用染料を次のようにして試験した: コーティング表面中に被験用染料を含有するポリエステ
ルシートドナーを、商業的に入手しうる日立カラービデ
オプリントペーパー受容体のシート上に表を下にして置
き、押し付けた。次いで、ドナー/受容体を、アルミニ
ウムホイールに包み、2個のホットプレートの間で種々
の温度(70℃<T<120℃の範囲の温度)で加熱し
た。受容体の明るいプラスチック層へ拡散する染料の量
は、光学密度(=吸光度A)に比例する。後者を分光学
的に測定した。80〜110℃の温度範囲内で測定され
た、着色された受容体紙の吸光度Aの対数を、相応する
絶対温度の逆数に対してプロットすると、直線となり、
その傾きからこの転写実験に関する活性エネルギーΔE
Tを計算することができる:
【0045】
【数1】
【0046】特性表示を完了するために、プロットは付
加的に、着色された受容体紙の吸光度Aが値1に達する
温度T*[℃]を明らかにする。
【0047】次表に示す染料は、α)に従がって処理さ
れたものであり、得られた染料のコーティングされたト
ランスファーをβ)に従がってその転写特性を試験し
た。表は、各場合における感熱転写パラメータT*及び
ΔET、最大吸光度λmax及び使用バインダを示す。
【0048】略語の意味は次のとおりである: B=バインダ EC=エチルセルロース EHEC=エチルヒドロキシエチルセルロース MX=ポリビニルブチレートとエチルセルロースが2:
1の重量比の混合物
【0049】
【表1】
【0050】
【表2】
【0051】
【表3】
【0052】
【表4】
【0053】
【表5】
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 カール−ハインツ エッツバッハ ドイツ連邦共和国 フランケンタール カール−ボッシュ−リング 55 (56)参考文献 特開 平2−84388(JP,A) 特開 平2−219693(JP,A) 欧州特許出願公開416434(EP,A 1) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) B41M 5/38 - 5/40

Claims (1)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 エネルギー源の補助により拡散又は昇華
    によってトランスファーからプラスチック−コーティン
    グ紙シートへインドアニリン染料を転写する方法であっ
    て、トランスファー上に1又は複数の式I: 【化1】 [式中、R,R及びRは同一又は異なって、それ
    ぞれ独立に水素、メチル、フッ素又は塩素であり、Xは
    フッ素又は塩素であり、Kは式: 【化2】 の基であり、ここでR は水素、メチル、メトキシ、C
    〜C −モノ−又は−ジアルキルアミノスルホニルア
    ミノ、C 〜C −アルキルスルホニルアミノ又は基−
    NHCOR 又は−NHCO であり、R はフェ
    ニル、ベンジル、トリル又はC 〜C −アルキル(こ
    れは1個又は2個の酸素原子によりエーテル性に中断さ
    れていてもよい)であり、R は水素、C 〜C −ア
    ルキル(これは置換されていてもよく、これは1個又は
    2個の酸素原子によりエーテル性に中断されていてよ
    い)又は、C 〜C −シクロアルキルであり、そし
    て、R は水素、メチル又はメトキシである]で表わさ
    れる染料が存在するトランスファーを使用することを特
    徴とする、インドアニリン染料を転写する方法。
JP25083291A 1990-10-04 1991-09-30 トランスファーからプラスチック−コーティング紙シートへインドアニリン染料を転写する方法 Expired - Fee Related JP3171884B2 (ja)

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