JP3169089B2 - 正特性サーミスタ - Google Patents

正特性サーミスタ

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JP3169089B2 JP30468591A JP30468591A JP3169089B2 JP 3169089 B2 JP3169089 B2 JP 3169089B2 JP 30468591 A JP30468591 A JP 30468591A JP 30468591 A JP30468591 A JP 30468591A JP 3169089 B2 JP3169089 B2 JP 3169089B2
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吉晶 阿部
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隆彦 河原
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は正特性サーミスタ(以
下、PTC素子という)にかかり、詳しくは、その電極
構造に関する。
【0002】
【従来の技術】従来から、PTC素子は、電圧印加時に
大電流が流れると磁器であるサーミスタ素体の発熱によ
って抵抗が増加するという特性を有するものとして知ら
れており、その用途としては、温度検知、過熱検知、温
度制御、モータ起動、消磁用などがある。そして、例え
ば、TVブラウン管の残留磁気を消去するための自動消
磁回路においては、図3で簡略化して示すように、PT
C素子10をブラウン管コイル20と交流電源21との
間に直列接続した構成が採用されている。すなわち、こ
の自動消磁回路は、まず、残留磁気よりも大きな交流電
流を交流電源21からブラウン管コイル20に印加した
後、やがて電流を徐々に減衰させて磁束密度を零付近ま
で近づけることによって消磁を行うものであり、この自
動消磁回路ではPTC素子10によって電流を制御して
減衰させるようになっている。
【0003】ところで、このようなPTC素子10とし
ては、図4で示すように、円板状とされたサーミスタ素
体11の両主面上それぞれにニッケル(Ni)などから
なるオーミック層としての金属めっき層12を形成した
うえ、各金属めっき層12上に銀(Ag)を主成分とす
る電極層13をごく薄く塗布して焼き付けたものが一般
的である。そして、例えば、消磁用のPTC素子10な
どにおいては、消磁時間の調整あるいは静耐圧特性(電
圧を徐々に印加した時の破壊特性)を向上させるべくサ
ーミスタ素体11の厚みを厚く、例えば、3.8mm以
上というように厚くすることが行われている。さらにま
た、Agを主成分とした電極層13を用いた場合には、
このPTC素子10が使用される場所における雰囲気、
例えば、湿気や半田付け実装時に発生するフラックスガ
スなどの影響によって銀マイグレーションが引き起こさ
れやすく、破壊が生じる危険がある。そこで、このよう
な不都合の発生を未然に防止するために、電極層13の
占有面積をサーミスタ素体11の主面表面積よりも小さ
く設定し、サーミスタ素体11の主面周縁部上にギャッ
プ部分14を残しておくことが行われている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】ところが、前記従来構
成とされたPTC素子10、特に、電圧印加時に大電流
が流れる消磁用やモータ起動用として使用されるPTC
素子10において、そのサーミスタ素体11の厚みを
3.8mm以上というように厚くし、かつ、Agを主成
分とした電極層13の厚みが薄い場合には、フラッシュ
耐圧特性(F耐圧特性:突入電流に対する破壊特性)が
劣化することになる結果、サーミスタ素体11の電極層
13と対応する部分をえぐり取るような破壊(図4で
は、仮想線で示す)が生じ、PTC素子10に対する信
頼性の低下を招くという不都合が生じることになってい
た。
【0005】本発明は、このような不都合に鑑みて創案
されたものであって、F耐圧特性の劣化を防止すること
が可能で、信頼性の高いPTC素子を提供することを目
的としている。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明は、このような目
的を達成するために、3.8mm以上の厚みを有するサ
ーミスタ素体の両主面上それぞれに金属めっき層を形成
し、かつ、各金属めっき層上には銀を主成分とする電極
層を形成してなるPTC素子であって、前記電極層の厚
みを7μm以上としていることを特徴とするものであ
る。
【0007】
【実施例】以下、本発明の実施例を図面に基づいて説明
する。
【0008】図1は本実施例にかかるPTC素子の具体
的な構造を簡略化して示す外観斜視図であり、この図に
おける符号1はPTC素子である。
【0009】このPTC素子1は、3.8mm以上の厚
みを有する円板状とされたサーミスタ素体2の両主面上
それぞれにNiなどからなる金属めっき層3を形成し、
かつ、各金属めっき層3上にAgを主成分とする電極層
4を塗布して焼き付けてなるものであり、電極層4それ
ぞれの厚みは7μm以上とされている。そして、各電極
層4はサーミスタ素体2の主面周縁部上にギャップ部分
5が残るように形成されており、このギャップ部分5を
設けておくことによって銀マイグレーションの発生を防
止するようになっている。
【0010】つぎに、本発明の発明者らが本実施例品で
あるPTC素子1及び従来例品であるPTC素子10そ
れぞれの仕様が互いに異なるものを30個ずつ用意して
特性比較実験を行ったところ、表1及び図2で示すよう
な結果が得られた。なお、この実験に用いる試料として
のPTC素子それぞれは、所定成分比で調合されたセラ
ミックスからなる直径18mmの円板状とされたサーミ
スタ素体の両主面上それぞれにNiからなる金属めっき
層を形成し、かつ、各金属めっき層上にAgを主成分と
する所定厚みの電極層を形成してなるものである。そし
て、この表1中における抵抗値(R25)は25℃にお
ける試料の抵抗値を示しており、また、表1中の符号*
を付した試料は本発明の範囲外のものである。
【0011】
【表1】
【0012】すなわち、これらの表1及び図2によれ
ば、サーミスタ素体の厚みが3.0mm以下と薄い場
合には電極層の厚みが増加してもF耐圧特性の向上はさ
ほど見られない(試料1〜6)、素体厚みが3.5m
mであれば電極層の厚みの増加に伴うF耐圧特性の改善
が見られるが顕著ではない(試料7〜12)、さらに、
素体厚みが3.8mm以上と厚い場合には電極層の厚
みの増加に伴ってF耐圧特性の顕著な向上が見られる
(試料13〜25)ことが明らかである。すなわち、表
1及び図2においては、素体厚みがともに3.8mm以
上であるにも拘わらず、本発明の範囲外にある試料13
〜15,20,21の方が本発明の範囲内にある試料1
6〜18,22〜25よりも低い電圧で破壊することが
明らかであり、本発明構造の採用がF耐圧特性の劣化防
止に有効であることが分かる。
【0013】
【発明の効果】以上説明したように、本発明にかかるP
TC素子によれば、3.8mm以上の厚みを有するサー
ミスタ素体の両主面上それぞれに金属めっき層を介して
形成された銀を主成分とする電極層の厚みを7μm以上
としたので、フラッシュ耐圧特性の劣化を防止すること
が可能となり、その向上が図れることになる結果、PT
C素子における信頼性の向上を図ることができるという
効果が得られる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本実施例にかかるPTC素子を簡略化して示す
外観斜視図である。
【図2】特性比較実験の結果を示す図である。
【図3】自動消磁回路の一例を示す説明図である。
【図4】従来例にかかるPTC素子を簡略化して示す側
面図である。
【符号の説明】
1 PTC素子(正特性サーミスタ) 2 サーミスタ素体 3 金属めっき層 4 電極層
フロントページの続き (72)発明者 河原 隆彦 京都府長岡京市天神二丁目26番10号 株 式会社村田製作所内 (72)発明者 佐野 誠 京都府長岡京市天神二丁目26番10号 株 式会社村田製作所内 (56)参考文献 特開 平1−236602(JP,A) 特開 平2−305404(JP,A) 特公 昭53−29386(JP,B2) 特公 昭49−8379(JP,B1)

Claims (1)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】3.8mm以上の厚みを有するサーミスタ
    素体(2)の両主面上それぞれに金属めっき層(3)を
    形成し、かつ、各金属めっき層(3)上には銀を主成分
    とする電極層(4)を形成してなる正特性サーミスタで
    あって、 前記電極層(4)の厚みを7μm以上としていることを
    特徴とする正特性サーミスタ。
JP30468591A 1991-11-20 1991-11-20 正特性サーミスタ Expired - Lifetime JP3169089B2 (ja)

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JPH05144603A JPH05144603A (ja) 1993-06-11
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