JP3168627B2 - マイクロカプセル化硬化剤、その製造方法、同硬化剤を含む不飽和ポリエステル樹脂組成物、その硬化方法及び安定化方法 - Google Patents
マイクロカプセル化硬化剤、その製造方法、同硬化剤を含む不飽和ポリエステル樹脂組成物、その硬化方法及び安定化方法Info
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Description
脂用硬化剤に関する。詳しくは、取り扱い及び作業性が
良好で、且つ、不飽和ポリエステル樹脂中には安定に存
在し、樹脂硬化の際には、速やかな硬化を可能とする硬
化剤を芯物質として含有するマイクロカプセル化硬化
剤、同硬化剤の製造方法、同硬化剤を含有する不飽和ポ
リエステル樹脂組成物、不飽和ポリエステル樹脂硬化方
法及び貯蔵安定性の高い不飽和ポリエステル樹脂組成物
の製造方法に関する。
繊維、無機充填剤、増粘剤、安定剤、離型剤等を配合
し、硬化剤を加えて加熱硬化又は必要に応じて硬化促進
剤を配合して常温硬化することによりFRPの成形に広
く使用されている。
一般的に有機過酸化物が使用されるが、硬化剤を含む樹
脂液には可使時間(ポットライフ)があり、例えばゲル
化したりするため樹脂液が長期の保存に耐えられない。
このため、現在は樹脂と硬化剤の二者又は硬化促進剤と
の三者を使用直前に混ぜ合せて使用している。一方実用
上は樹脂液のポットライフが長く且つ、不飽和ポリエス
テル樹脂の硬化温度において速やかに硬化する硬化剤が
強く求められている。特に生産性の観点からより低温で
作用する硬化剤が望まれている。然し、硬化温度が低く
なるほど樹脂中での硬化剤の安定性は悪くなる。この相
反する条件を満たす目的で種々の研究が行われてきた。
その結果硬化剤をマイクロカプセル化すれば前記の欠点
を排除しうることが確認され、近年マイクロカプセル化
された硬化剤の開発が盛んに行われている。例えば、特
開昭48−7086号公報には、染料又は顔料によって
着色された液体又は固体状の有機過酸化物をゼラチンや
ポリスチレンのように天然もしくは合成した結晶性又は
無定形の高分子物質で被覆した硬化剤カプセルと不飽和
ポリエステル樹脂から成る、常温では安定であり所定温
度で硬化性能を有する硬化性組成物が開示されている。
しかしながら着色された硬化剤カプセルは透明成形品に
は使用出来ない。又特開昭57−12017号公報には
10時間の半減期を得るための温度が74〜158℃の
液体又は固体状の有機過酸化物及びナフテン酸コバルト
などの硬化促進剤のマイクロカプセルを含有する低温、
低圧で圧縮成形できるシート・モールディング・コンパ
ウンド(SMC)に適する不飽和ポリエステル樹脂が、
更に又、特開昭59−502018号公報には液体又は
固体状硬化剤のマイクロカプセルを含有し、所定のプロ
セス条件によって放出されるまでポリエステル樹脂から
隔離されていることを特徴とする強化ポリエステル樹脂
製品の製法が開示されている。
液体状の有機過酸化物のマイクロカプセル化物において
実際は芯物質が徐々に膜物質を溶解し、それ自身の安定
性及びそれを配合した不飽和ポリエステル樹脂組成物の
安定性が阻害される。又固体状の有機過酸化物をそのま
まマイクロカプセル化した場合、前述の公知の硬化剤の
問題点を解消しておらず、更に芯物質の形状や表面状態
により完全に膜物質で覆うことは困難であるという欠点
を持っている。
般的には極く少量の硬化剤を用いることにより達成され
ており、硬化剤をマイクロカプセル化した場合少しでも
マイクロカプセル化されていないものが樹脂中に含まれ
れば硬化が始まり貯蔵安定性著しく阻害されたことにな
る。又、強固な皮膜で硬化剤を被覆した場合には、硬化
時に硬化遅れや不均一硬化の生じる虞れがある。このよ
うに、硬化剤を単にマイクロカプセル化しただけでは、
硬化に際して速やかに硬化し、貯蔵安定性の良い不飽和
ポリエステル樹脂組成物を得ることは容易でない。
維、充填剤などを配合して得られるSMCにおいては、
硬化剤をマイクロカプセル化した場合、補強剤の摩擦に
よるマイクロカプセルの破壊が起こり、前記の性能を保
持することは困難である。そしてまた加圧や加熱だけで
は、カプセルの膜を完全に破壊し硬化剤を有効に樹脂中
に分散させることは容易ではない。
び作業性が良好で、且つ、不飽和ポリエステル樹脂に混
入した場合樹脂の貯蔵安定性を損なうことなく、しかも
樹脂の硬化に際しては速やかに、しかも均一な硬化を可
能とする有機過酸化物をマイクロカプセル化した不飽和
ポリエステル樹脂用硬化剤を開発する目的で研究した結
果、特定な有機過酸化物を特定な手段を用いて得られる
マイクロカプセル化した硬化剤により目的を達成出来る
ことを確認して本発明を完成した。
融点と熱分解温度との差が少なくとも5℃である不飽和
ポリエステル樹脂硬化用有機過酸化物である芯物質と、
(ロ)不飽和ポリエステル樹脂、前記芯物質との反応性
がなく、常温で固体であり、不飽和ポリエステル樹脂硬
化温度において溶解する性質を有し、内側皮膜が高分子
電解質からなり、外側皮膜がアクリル酸エステル、メタ
クリル酸エステル及びビニル芳香族の一種又は二種以上
からなる芯物質を覆っている膜物質とよりなる不飽和ポ
リエステル樹脂用マイクロカプセル化硬化剤;内側皮膜
形成物質水溶液に、常温で固体であり、融点と熱分解温
度との差が少なくとも5℃である芯形成用有機過酸化物
を加え、該熱分解温度以下の温度で液状混合物を生成さ
せ、次いで液状混合物を冷却して有機過酸化物芯と内側
皮膜とよりなる粒を生成させ、次に外側樹脂膜生成用単
量体の少なくとも1種を添加、該内側皮膜上に単量体重
合樹脂膜を形成させて不飽和ポリエステル樹脂用マイク
ロカプセル化硬化剤を製造する方法;不飽和ポリエステ
ル樹脂と前述のマイクロカプセル化硬化剤とより成る不
飽和ポリエステル樹脂組成物;本発明の硬化剤による不
飽和ポリエステル樹脂の硬化方法及び本発明の硬化剤を
不飽和ポリエステル樹脂に添加することにより成る貯蔵
安定性の高い不飽和ポリエステル樹脂組成物の製造方法
に関する。
0℃)で固体の有機過酸化物であり、例えばペルオキシ
ジカーボネート類としてはジミリスチルペルオイキシジ
カーボネート、ジデシルペルオキシカーボネート、ジセ
チルペルオキシカーボネート等、ジアルキルペルオキシ
ド類としてはジクミルペルオキシド、α,α′−ビス
(t−ブチルペルオキシ)−m−イソプロピルベンゼ
ン、α,α′−ビス(t−ブチルペルオキシ)−p−イ
ソプロピルベンゼン等、ケトンペルオキシド類として
は、シクロヘキサノンペルオキシド、1,1−ジヒドロ
キシジシクロヘキシルペルオキシド等、ペルオキシエス
テル類としては、2,5−ジメチル2,5−ジ(ベンゾ
イルペルオキシ)ヘキサン、ジ−t−ブチルジペルオキ
シイソフタレート等、ペルオキシケタール類としては、
1,1−ビス(t−ブチルペルオキシ)シクロドデカ
ン、1,3−ジフェニル2,2−ビス(t−ブチルペル
オキシ)プロパン、1−フェニル3,3−ビス(t−ブ
チルペルオキシ)ブタン、1−ベンゾイル2−メチル
2,2−ビス(t−ブチルペルオキシ)エタン、1,1
−ビス(t−ブチルペルオキシ)シクロドデカン等、ジ
アシルペルオキシドとしては、ジデカノイルペルオキシ
ド、ジラウロイルペルオキシド、ビス(o−メチルベン
ゾイル)ペルオキシド、ビス(m−メチルベンゾイル)
ペルオキシド等、ヒドロペルオキシドとしては、2,5
−ジヒドロペルオキシ2,5−ジメチルヘキサンα−,
α′−ビス(ヒドロペルオキシ)−m−イソプロピルベ
ンゼン等を挙げることができるが、前述の条件を満足す
れば、これら二種以上の混合物ないし他の希釈媒体との
混合物としても使用しうる。
り開始するが、50〜100℃で硬化する中温硬化と1
00℃以上で硬化する高温硬化に分類される。硬化剤で
ある有機過酸化物は前者においてはペルオキシジカーボ
ネート類、ジアシルペルオキシド類、ケトンペスオキシ
ド類、ペルオキシケタール類、ヒドロオエルオキシド類
或いはペルオキシエステル類が好ましく、単独或いは硬
化促進剤と併用で使用される。又後者にはペルオキシケ
タール類、ペルオキシエステル類或いはジアルキルペル
オキシド類が好ましい。
熱分解温度を示した。有機過酸化物の融点については、
他の物質を混入させて下げることは可能であり、本発明
を実施するに支障のない範囲で利用することができる。
しかし、この場合には融点の幅が広くなるため、より一
層速硬化を期待する場合には単独で用いるほうが好まし
い。又熱分解温度は、雑誌“安全工学”記載の加熱試験
法(北川宏ほか:安全工学、第4巻第2号P133〜1
34、136,1965年)に基づいて求めた値であ
り、具体的には一定速度で有機過酸化物の温度を上昇さ
せた時、有機過酸化物の分解が急速に起こり始める温度
を意味する。
製造法について述べる。即ち、前述の常温で固体であ
り、融点と熱分解温度との差が少なくとも5℃である有
機過酸化物を、水系においてその融点以上、熱分解温度
以下で1〜200μmの微小粒子溶融物を生成させ、そ
の表面を公知のマイクロカプセル化方法であるコアセル
ベーション法により高分子電解質で覆い内側皮膜を形成
する。コアセルベーション法の詳細は(株)総合技術セ
ンター著、“最新マイクロカプセル化技術”に記載され
ている。コアセルベーション法における高分子電解質と
しては、例えば、ゼラチン、カゼイン、アラビアゴム、
アルギン酸ソーダ、カルボキシメチルセルロース、ポリ
ビニルアルコール、メチルビニルエーテル、無水マレイ
ン酸共重合体等が使用でき、ホルムアルデヒド、グルタ
ルアルデヒド等によって硬化することができる。次いで
外側皮膜形成用単量体と重合開始剤を添加して有機過酸
化物の融点以下で重合し、前記の高分子電解質で覆われ
た有機過酸化物を更に前記単量体の重合体の外側皮膜で
覆うことにより粒径1〜200μmの本発明の不飽和ポ
リエステル樹脂用マイクロカプセル化硬化剤が得られ
る。
の製造に用いられる単量体としては具体的には以下のよ
うなものである。アクリル酸メチル及び、又はメタクリ
ル酸メチル[以下(メタ)アクリル酸メチルと総称す
る。以下同様]、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)
アクリル酸n−プロピル等の低級アルキル(メタ)アク
リル酸エステル、(メタ)アクリル酸−n−ブチル、
(メタ)アクリル酸−n−ヘキシル、(メタ)アクリル
酸−2−エチルヘキシル、(メタ)アクリル酸ラウリル
等の高級アルキル(メタ)アクリル酸エステル、ジ(メ
タ)アクリル酸ジエチレングリコール、ジ(メタ)アク
リル酸トリエチレングリコール、ジ(メタ)アクリル酸
デカエチレングリコール、ジ(メタ)アクリル酸1,3
−ブチレン、トリ(メタ)アクリル酸トリメチロールプ
ロパン、テトラ(メタ)アクリル酸ペンタエリストリー
ル、ジ(メタ)アクリル酸フタル酸ジエチレングリコー
ル等の多官能性(メタ)アクリル酸エステル、スチレ
ン、α−メチルスチレン、ビニルトルエン、ジビニルベ
ンゼン等のビニル芳香族が挙げられる。これらの単量体
は、1種又は2種以上が適宜選択して使用されるが、外
側皮膜の緻密さを上げるためには他官能性単量体を使用
することが好ましい。
物、水溶性無機過酸化物を使用し、熱又は還元剤を併用
したレドックス系により重合することにより形成され
る。
テル樹脂は、(a)不飽和二塩基酸として無水マレイン
酸、マレイン酸、フマル酸、メサコン酸、テトラコン
酸、イタコン酸、塩素化マレイン酸、飽和二塩基酸とし
て無水フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、テトラ
ヒドロフタル酸、ハロゲン化無水フタル酸、アジピン
酸、コハク酸、セバシン酸と多価アルコールとしてエチ
レングリコール、ジエチレングリコール、プロピレング
リコール、ジプロピレングリコール、ブチレングリコー
ル、ネオペンチルグリコール、ヘキシレングリコール、
水素化ビスフェノールA、2,2−ジ(4−ヒドロキシ
エトキシフェニル)プロパン、2,2−ジ(4−ヒドロ
キシエトキシフェニル)プロパン,エチレンオキシド、
プロピレンオキシド等を特定の割合で、窒素気流下17
0〜200℃で脱水縮合させて得られるアルキッド樹脂
と、(b)スチレン、o−クロルスチレン、ビニルトル
エン、メタクリル酸メチル、ジアリルフタレート、トリ
アリルイソシアネート等の架橋性モノマーの混合物であ
る。
ル化して得た硬化剤は単独で、又はレドックス系を形成
する硬化促進剤と併用して用いることができるが、その
硬化促進剤としては例えば、ナフテン酸コバルトのよう
な高級脂肪酸の金属塩、ベンゾイルチオ尿素、エチレン
チオ尿素等のチオ尿素類、エチレンジアミン、L−アス
コルビン酸、p−トルエンスルフィン酸ソーダ等が挙げ
られる。硬化剤との組合わせにより促進硬化が異なるた
め適宜選択する必要がある。
びレドックス系を形成する硬化促進剤から成る不飽和ポ
リエステル樹脂用硬化剤において、マイクロカプセル化
した硬化剤中の有機過酸化物純分と硬化促進剤の割合
は、所望の硬化速度に応じて90/10〜10/90
(重量比)の割合の中で選択できる。
おいて、不飽和ポリエステル樹脂用硬化剤中の有機過酸
化物の純分は樹脂100重量部に対して0.1〜5重量
部であり、好ましくは0.5〜3重量部である。0.1
重量部未満では硬化剤としての作用が不充分であり、又
5重量部を越えて使用しても硬化剤の作用が5重量部の
場合と同等であり経済的に好ましくない。
成物においては、成形品の強度向上の目的でロービング
クロス、チョップドストランド、チョップドストランド
マット等のガラス繊維、或いは炭素繊維のような補強剤
や炭酸カルシウム、クレー、水酸化アルミニウムのよう
な充填剤を配合することができ、その配合量は総量の1
0〜90重量%であり、少なすぎたり多すぎる場合には
成形品の強度が著しく低下するため好ましくない。更に
目的に応じて酸化マグネシウム等のアルカリ土類金属の
酸化物或いは水酸化物等の増粘剤や、熱可塑性樹脂、そ
の共重合体、或いはブロック・グラフト共重合体等の低
収縮剤、ステアリン酸亜鉛のような離型剤或いはベンゾ
キノン等の重合禁止剤を使用することができる。
硬化温度は各成形方法により適宜選択でき、成形温度と
して表される。例えばレジンコンクリートの成形、波板
や平板の連続成形、フィラメントワインディング成形或
いはレジンインジェクション成形は50〜100℃で成
形され、ペルオキシジカーボネート類、ジアシルペルオ
キシド類、ケトンペルオキシド類、ペルオキシケタール
類、ヒドロペルオキシド類或いはペルオキシエステル類
の有機過酸化物をマイクロカプセル化した硬化剤が単独
又はレドックス系を形成する硬化促進剤と併用して用い
られる。又SMC、バルク・モールディング・コンパウ
ンド(BMC)或いはマッチドダイ成形は100℃以上
で行われ、ペルオキシケタール類、ペルオキシエステル
類或いはジアルキルペルオキシド類をマイクロカプセル
化した硬化剤が用いられる。
は、上述のように、特定の有機過酸化物に特定な手段を
用いて得られているため、幾つかの優れた特徴を有して
いる。
化剤は芯物質が固体の有機過酸化物で、その周りをゼラ
チン等の高分子電解質を内側皮膜とし、アクリル酸エス
テル、メタクリル酸エステル及びビニル芳香族の一種又
はそれらの混合物の重合体を外側皮膜とする膜物質が不
溶性不浸透性の薄い隔壁を形成しているため、マイクロ
カプセル自身の貯蔵安定性に優れ、更にマイクロカプセ
ル化した硬化剤と硬化促進剤から成る硬化剤はマイクロ
カプセル化されていない同じ有機過酸化物と硬化促進剤
から成る硬化剤に比べはるかに貯蔵安定性に優れてい
る。又、本発明のマイクロカプセル化した硬化剤は外層
を親油性の樹脂膜で覆っているため球状の外観を有し、
同じ有機過酸化物をゼラチン等の高分子電解質のみで覆
ったマイクロカプセル化硬化剤に比べ、製造時の濾過及
び乾燥時間が短いため、取り扱い及び作業性が良好であ
り、不飽和ポリエステル樹脂への分散性が良好である。
又、マイクロカプセル化した硬化剤又はマイクロカプセ
ル化硬化剤と硬化促進剤から成る硬化剤を不飽和ポリエ
ステル樹脂に混合して得られる本発明の不飽和ポリエス
テル樹脂組成物は、マイクロカプセルの膜物質である高
分子電解質と前記単量体の重合体が不飽和ポリエステル
樹脂中の架橋性モノマーの浸透を防ぐため、マイクロカ
プセル化されていない同じ有機過酸化物又はそれと硬化
促進剤から成る硬化剤を混合して得られる樹脂組成物、
及び同じ有機過酸化物をゼラチン等の高分子電解質のみ
で覆った硬化剤又はそれと硬化促進剤とから成る硬化剤
を混合して成る樹脂組成物に比べ安定化され、はるかに
長いポットライフ又はフェルフライフを有する。
から液体へと状態が物理変化すると急激な体積増加を引
き起こす。即ち本発明のマイクロカプセル化した硬化剤
は、不飽和ポリエステル樹脂の硬化の際、加熱により芯
物質である有機過酸化物が液体化し、体積を増加するこ
とによって膜物質を破壊して速やかな不飽和ポリエステ
ル樹脂の硬化を可能とするものである。更に、加圧、機
械的な摩擦などによっても、この破壊は促進される。
た硬化剤及びそれを含む不飽和ポリエステル樹脂組成物
は取り扱い及び作業性に優れ、且つ、貯蔵安定性に優
れ、長ポットライフ・シェルライフを有し、硬化に際し
ては立ち上がりのシャープな硬化反応を可能にするもの
である。
に説明する。例中、部は重量部を表す。 [本発明の不飽和ポリエステル樹脂用のマイクロカプセ
ル化硬化剤の製造] 実施例 1 撹拌棒、温度計及び還流冷却器を備えた4ツ口フラスコ
にゼラチン8g、アラビアゴム8g及び水500gを添
加して混合し、撹拌しながら系内の温度を45℃にし、
この水溶液にジミリスチリルペルオキシジカーボネート
50gを添加した。次いで系内の温度を50℃にしてジ
ミリスチリルペルオキシジカーボネートを溶融させ、約
5分撹拌後、50%酢酸水溶液を添加してpHを4.4
に調節した。この後約20分かけて溶液の温度を10℃
まで低下させた。そして37%ホルムアルデヒド水溶液
を6ml添加し4分撹拌した後、10%水酸化ナトリウ
ム水溶液を用いてpHを9.0とし2時間撹拌した。次
に水250gを加えて35℃に昇温し、1%ポリビニル
アルコール水溶液を加えた後、メタクリル酸メチル(M
MA)とトリアクリル酸トリメチロールプロパン(TM
PT)の混合物(MMA/TMPT=2/8、重量否)
250g及びジイソブチリルペルオキシド(商品名パー
ロイルIB、日本油脂製)を前記MMAとTMPTの混
合物に対して2重量%添加し、35℃で4時間加熱して
MMAとTMPTとを重合させ外側重合体膜を形成させ
た。ポリプロピレン製ろ布(商品名P254、敷島カン
バス(株)製)で15分で濾過後、n−ヘキサンとエタ
ノールの混合溶液(混合比50/50、体積比)でカプ
セル化されていないジミリスチルペルオキシジカーボネ
ートを洗浄した。その後乾燥させてジミリスチルペルオ
キシジカーボネート純分を15.8%含有する内側のゼ
ラチン膜と外側の重合体膜でマイクロカプセル化した平
均粒径50μの硬化剤273gを得た。電子顕微鏡(J
EOL JSM−T300,日本電子製)の観察により
夫々の粒子が均一な球状であることがわかった。
量比)に変えた以外は実施例1に準じて、ジミリスチル
ペルオキシジカーボネート純分を15.9%含有する平
均粒径55μの硬化剤274gを得た。 実施例 3 実施例1において、MMAとTMPTの比を8/5(重
量比)に変えた以外は実施例1に準じて、ジミリスチル
ペルオキシジカーボネート純分を15.1%含有する平
均粒径60μの硬化剤250gを得た。 実施例 4 実施例1において、MMAとTMPTの混合物量を10
0gに変えた以外は実施例1に準じて、ジミリスチルペ
ルオキシジカーボネート純分を26.8%含有する平均
粒径70μの硬化剤132gを得た。
gに変えた以外は実施例1に準じて、ジミリスチルペル
オキシジカーボネート純分を66.6%含有する平均粒
径75μの硬化剤40gを得た。 実施例 6 実施例1において有機過酸化物としてシクロヘキサノン
ペルオキシドを用い75℃で溶融させ、更に外側皮膜形
成単量体としてスチレンとジビニルベンゼンの混合物
(5/5、重量比)250gを使用しt−ブチルペルオ
キシ2−エチルヘキサノエート(商品名パーブチルO、
日本油脂製)を単量体混合物に対して1重量%添加して
5時間75℃で加熱して前記単量体を重合させた以外は
実施例1に準じて、シクロヘキサノンペルオキシド純分
を15.5%含有する平均粒径55μの硬化剤270g
を得た。
の製造] 実施例 7 オルソ系中反応性不飽和ポリエステル樹脂100部に実
施例1で得られたジミリスチルペルオキシジカーボネー
トをマイクロカプセル化した硬化剤を純分として2.5
部となるように混合して不飽和ポリエステル樹脂組成物
を得た。次いでこの組成物を#450のガラスマット2
枚に積層してポリエステルフィルムで包み、10℃のイ
ンキュベーター中でゲル化が起こるまでの時間を測定し
その時間をポットライフとした。結果を表2に示す。 実施例 8 実施例で得られた硬化剤を使用した以外は実施例7に準
じてポットライフを測定した。結果を表2に示す。 実施例 9 実施例3で得られた硬化剤を使用した以外は実施例7に
準じてポットライフを測定した。結果を表2に示す。
準じてポットライフを測定した。結果を表2に示す。 実施例 11 実施例5で得られた硬化剤を使用した以外は実施例7に
準じてポットライフを測定した。結果を表2に示す。 実施例 12 実施例6で得られたシクロヘキサノンペルオキシドをマ
イクロカプセル化した硬化剤100部とナフテン酸コバ
ルト20部とを混合して硬化剤を得た。次いでオルソ系
中反応性不飽和ポリエステル樹脂100部に上記の硬化
剤16部を配合して不飽和ポリエステル樹脂組成物と
し、実施例7と同様にしてポットライフを測定した。結
果を表2に示す。
の硬化方法] 実施例 13 オルソ系中反応性不飽和ポリエステル樹脂100部に実
施例5で得られたマイクロカプセル化した硬化剤を純分
で1部となるように混合して不飽和ポリエステル樹脂組
成物を得た。次いでこの組成物を#450のガラスマッ
ト3枚に積層し、熱電対を差し込んで60℃の対流式恒
温槽で硬化させ、ゲルタイム(GT)、硬化時間(C
T)、硬度を測定した。結果を表3に示す。
ルペルオキシジカーボネートを2.5部使用した以外は
実施例7に準じてポットライフを測定した。結果を表2
に示す。 比較例 2 硬化剤としてマイクロカプセル化していないシクロヘキ
サノンペルオキシドを2.1部使用した以外は実施例1
3に準じてポットライフを測定した。結果を表2に示
す。 比較例 3 有機過酸化物としてメチルエチルケトンペルオキシド
(商品名パーメックN、日本油脂製)を用いエタノール
で洗浄した以外は実施例1に準じてメチルエチルケトン
ペルオキシド純分を15.5%含有するマイクロカプセ
ル80gを得た。芯物質が液体の有機過酸化物であるた
め洗浄工程においてマイクロカプセルの膜が破壊され易
く、収率はかなり悪化した。次いで硬化剤としてマイク
ロカプセル化したメチルエチルケトンペルオキシドを使
用した以外は実施例12に準じてポットライフを測定し
た。結果を表2に示す。
ビアゴム水溶液316gを混合し、撹拌しながら系内の
温度を45℃にし、この水溶液にジミリスチルペルオキ
シカーボネート100gを添加した。更に60℃の蒸留
水400gを添加して系内の温度を50℃にしてジミリ
スチルペルオキシカーボネートを溶融させた。溶融させ
5分撹拌後、50%酢酸水溶液を添加してpHを4.4
に調節した。この後約20分かけて溶液の温度を20℃
まで低下させた。そして37%ホルムアルデヒド水溶液
6mlを添加し4分撹拌した後、10%水酸化ナトリウ
ム水溶液を用いてpHを9.0まで上げ15分撹拌し
た。以上の処理により平均粒径30μmのジミリスチル
ペルオキシカーボネート分散液を得た。33℃の温水1
000mlにて2回洗浄し、ポリプロピレン製ろ布(P
254)で3時間かけて濾過した。次いでn−ヘキサン
とエタノール(重合比50:50、体積比)の混合溶液
でカプセル化させていないジミリスチルペルオキシカー
ボネートを洗浄した。その後乾燥させて、ジミリスチル
ペルオキシカーボネート純分を85重量%含有するゼラ
チン膜でマイクロカプセル化した平均粒径35μmの硬
化剤70gを得た。電子顕微鏡の観察から、粒子が葡萄
の房状に固まっていることが分かった。得られた硬化剤
を3部使用した以外は実施例7に準じてポットライフを
測定した。結果を表2に示す。
ルペルオキシジカーボネートを1部使用する以外は実施
例5に準じてGT、CT、硬度を測定した。結果を表3
に示す。
硬化剤単独又はレドックス系を形成する硬化促進剤を併
用した硬化剤を含む不飽和ポリエステル樹脂は比較例よ
りはるかに長いポットライフを有しており、安定化され
ていることが確認された。更に表3において硬化の立ち
上がりのシャープさの目安である(CT−GT)/CT
の値が比較例よりも小さいことから、本発明の硬化剤は
速硬化性であることが確認された。
Claims (6)
- 【請求項1】 (イ)常温で固体であり、融点と熱分解
温度との差が少なくとも5℃である不飽和ポリエステル
樹脂硬化用有機過酸化物である芯物質と、(ロ)不飽和
ポリエステル樹脂、前記芯物質との反応性がなく、常温
で固体であり、不飽和ポリエステル樹脂硬化温度におい
て溶解する性質を有し、内側皮膜が高分子電解質、外側
皮膜がアクリル酸エステル、メタクリル酸エステル及び
ビニル芳香族の一種又は二種以上の混合物の重合体から
なる該芯物質を覆っている膜質とよりなる不飽和ポリエ
ステル樹脂用マイクロカプセル化硬化剤。 - 【請求項2】 内側皮膜形成物質水溶液に、常温で固体
であり、融点と熱分解温度との差が少なくとも5℃であ
る芯形成用有機過酸化物を加え、該熱分解温度以下の温
度で液状混合物を生成させ、次いで液状混合物を冷却し
て有機過酸化物芯と内側皮膜とよりなる粒を生成させ、
次に外側樹脂膜生成用単量体の少なくとも1種を添加、
該内側皮膜上に単量体重合樹脂膜を形成させて不飽和ポ
リエステル樹脂用マイクロカプセル化硬化剤を製造する
方法。 - 【請求項3】 請求項1に記載の不飽和ポリエステル樹
脂用マイクロカプセル化硬化剤及びレドックス系硬化促
進剤からなる不飽和ポリエステル樹脂用硬化剤。 - 【請求項4】 不飽和ポリエステル樹脂と請求項1又は
3のいずれか1項に記載の硬化剤から成る不飽和ポリエ
ステル樹脂組成物。 - 【請求項5】 請求項1又は3のいずれか1項に記載の
硬化剤を用いて不飽和ポリエステル樹脂を硬化する不飽
和ポリエステル樹脂の硬化方法。 - 【請求項6】 不飽和ポリエステル樹脂に請求項1又は
3のいずれか1項に記載の硬化剤を添加することよりな
る貯蔵安定性の高い不飽和ポリエステル樹脂組成物の製
造方法。
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JP26694891A JP3168627B2 (ja) | 1991-09-19 | 1991-09-19 | マイクロカプセル化硬化剤、その製造方法、同硬化剤を含む不飽和ポリエステル樹脂組成物、その硬化方法及び安定化方法 |
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---|---|
JPH0578411A JPH0578411A (ja) | 1993-03-30 |
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- 1991-09-19 JP JP26694891A patent/JP3168627B2/ja not_active Expired - Fee Related
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