JP3164362U - 布書き用筆記具セット - Google Patents

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Abstract

【課題】テンプレートを用いて布帛に筆記した場合であっても、筆跡に滲みが生じ難く、型抜部内壁にインキが付着することや、該インキ付着に伴って布帛を汚す虞のない布書き用筆記具セットを提供する。【解決手段】ボール抱持部31後方に直円筒状外面32を有するストレート状チップ3を先端に備えたボールペンと、射出成形により型抜部が形成されたテンプレートとからなる布書き用筆記具セットを構成する。さらに、前記ボールペンチップ3の最大外径W:テンプレート型抜部の最小内径は1:1〜1:2の範囲とする。【選択図】図2

Description

本考案は布書き用筆記具セットに関する。更には、ボールペンとテンプレートとからなる布書き用筆記具セットに関する。
従来、名前等を布帛に筆記する場合、洗濯時に筆跡の滲みや消色が生じ難いことから油性インキを収容するマーキングペンが用いられる。その際、均一な形状の文字を書くためにテンプレートが使用される(例えば特許文献1参照)。
前記テンプレートは、アクリル等の樹脂やステンレス等の金属からなる薄板に、ひらがなや数字等の文字をレーザー加工等で型抜きしたものであり、該型抜部に沿って筆記具で紙面や布帛に文字を書くものである。
しかしながら、前記薄肉タイプのテンプレートを布帛筆記用に用いた場合、筆記時にテンプレートを抑えつけることで型抜部から布帛が浮き出てしまったり、テンプレートが変形(湾曲)してしまうため、安定した状態できれいな筆跡を書き難いものであった。
また、前記マーキングペンタイプの筆記具による筆跡は、収容するインキの粘度が低いため、布帛に筆記した際に布帛上で広がりやすいものである。そのため細い線や小さい文字を書くと文字が潰れてしまい読み難くなる。更に、マーカー用チップは先端だけでなく、露出する部分全体にインキが浸透しているため、筆記時にテンプレートにインキが付着し、更に被筆記物である布帛を汚してしまうことがある。
そこで布帛筆記用の筆記具として、円錐状切削チップ(ボール抱持部後方が2.0mm以上のテーパー状に広がる形状のチップ)を備えた油性ボールペンが開示され、更に、円錐状切削チップに適したテンプレートが開示されている(例えば特許文献2、3参照)。
特開平8−85297号公報 実開2003−11575号公報 実開昭56−165695号公報
前記特許文献2の円錐状切削チップを備えたボールペンは、耐滲み性や耐洗濯性の面でマーキングペンに対して優れているものの、テンプレートを用いて小さな文字を書く場合、特許文献3のようにチップ差込口(テンプレートの上方)を広くした形状の型抜部を形成する必要があるため、布帛に形成される筆跡に比べて型抜部が大きくなってしまい、テンプレート全体を大きくしなくてはならなかった。また、型抜部にペン先を入れる際、型抜部内壁の傾斜部分にインキが付着してチップを汚したり、更に布帛を汚してしまうことがあった。
本考案は、テンプレートを用いて布帛に筆記した場合であっても、筆跡に滲みが生じ難く、型抜部内壁にインキが付着することや、該インキ付着に伴って布帛を汚す虞のない布書き用筆記具セットを提供するものである。また、テンプレート全体を大きくすることなく小さな文字を筆記できるものである。
本考案は、ボール抱持部後方に直円筒状外面を有するストレート状チップを先端に備えたボールペンと、射出成形により型抜部が形成されたテンプレートとからなる布書き用筆記具セットを要件とする。
更に、前記ボールペンチップの最大外径:テンプレート型抜部の最小内径=1:1〜1:2の範囲にあること、前記テンプレートが、アクリル、ポリプロピレン、ポリスチレン、ポリカーボネート、アクリルニトリル−ブチレン−スチレン共重合体から選ばれる樹脂からなること、前記ボールペンチップの出長さが、0.8mm〜4.5mmの範囲でテンプレートの厚みより長く設定されること、前記ボールペンが、着色剤と有機溶剤を含む油性インキ組成物を収容してなること、前記油性インキ組成物中に剪断減粘性付与剤を含むことを要件とする。
本考案の布書き用筆記具セットは、テンプレートを用いて布帛に筆記した際に、筆跡の滲みや、型抜部内壁へのインキ付着や、該インキ付着に伴う布帛の汚染を生じることがなく、所望の筆跡を簡単且つ確実に形成できるものである。また、筆跡となる文字に対してテンプレートの型抜部を大きくすることなく名前書きに適した大きさの文字を形成できるものである。
本考案の布書き用筆記具セットは、ボール抱持部後方に直円筒状外面を有するストレート状チップ(ニードル状チップ)を先端に備えたボールペンと、射出成形により少なくとも型抜部が形成された厚肉のテンプレートとで構成される。
前記ボールペンは、筆記部分にストレート状チップ(ボール抱持部後方に直円筒状外面を有するチップ)を備えるものであり、該チップとして具体的には、金属製のパイプの先端近傍を外面より内方に押圧変形させたボール抱持部にボールを抱持してなるチップ(ストレート状パイプチップ)や、金属材料をドリル等による切削加工によりボール抱持部と直円筒状外面を有するインキ流通部を形成し、前記ボール抱持部にボールを抱持してなるチップ(ストレート状切削チップ:先端にテーパー部を有する場合、1辺が1.5mm以下)、更に、前記チップに抱持するボールをバネ体により前方に付勢させたもの等が適用できる。
また、前記ボールは、超硬合金、ステンレス鋼、ルビー、セラミック、樹脂、ゴム等の0.3〜2.0mm、好ましくは0.4〜1.8mm、より好ましくは0.45〜1.6mm径程度のものが適用できる。
前記ボールを抱持するストレート状チップの外径としては、最大部分が0.5〜2.4mm、好ましくは0.6〜2.1mm、より好ましくは0.7〜1.9mm径程度のものが適用できる。
前記ストレート状チップの出長さ、即ち、ボールペンチップの筆記先端(筆記時に布帛と接触するボール部分)から、ボールペンチップを保持するホルダーの端部までの距離Lは、0.8mm〜4.5mm、好ましくは1.0〜4.2mmの範囲でテンプレートの厚みより長くなるように設定されている。
これにより、筆記時にチップがぐらつくことなく保持できると共に、テンプレートを使用した際には確実に布帛に接触して鮮明な筆跡が形成できる。
尚、ストレート状チップの出長さ部分には、直円筒状外面部分に沿って筆記先端をガイドするストレート状の保持部(チップ用パイプの補強の為に使用される略円筒状保持部)を含むものである。
尚、ボールペン自体の構造、形状は特に限定されるものではなく、例えば、軸筒内部に収容した繊維束からなるインキ吸蔵体にインキを含浸させ、筆記先端部にインキを供給する構造、軸筒内部に直接インキを収容し、櫛溝状のインキ流量調節部材や繊維束からなるインキ流量調節部材を介在させる構造、軸筒内にインキ組成物を充填したインキ収容管を有し、該インキ収容管はボールを先端部に装着したチップに連通しており、さらにインキの端面には逆流防止用の液栓が密接している構造のボールペンを例示できる。
インキ組成物を収容するインキ収容管は、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエチレンテレフタレート、ナイロン等の熱可塑性樹脂からなる成形体が用いられる。
前記インキ収容管にはチップを直接連結する他、接続部材を介して前記インキ収容管とチップを連結してもよい。
尚、インキ収容管はレフィルの形態として、前記レフィルを軸筒内に収容するものでもよいし、先端部にチップを装着した軸筒自体をインキ収容体として、前記軸筒内に直接インキを充填してもよい。
前記ボールペンに収容するインキとしては、少なくとも着色剤と有機溶剤を含む油性インキ組成物が好適である。
前記着色剤としては従来汎用の染料や顔料を使用できる。前記染料としては、例えば、カラーインデックスにおいてソルベント染料として分類される有機溶剤可溶性染料が挙げられる。
前記ソルベント染料の具体例としては、バリファストブラック3806(C.I.ソルベントブラック29)、同3807(C.I.ソルベントブラック29の染料のトリメチルベンジルアンモニウム塩)、スピリットブラックSB(C.I.ソルベントブラック5)、スピロンブラックGMH(C.I.ソルベントブラック43)、バリファストレッド1308(C.I.ベーシックレッド1の染料とC.I.アシッドイエロー23の染料の造塩体)、バリファストイエローAUM(C.I.ベーシックイエロー2の染料とC.I.アシッドイエロー42の染料の造塩体)、スピロンイエローC2GH(C.I.ベーシックイエロー2の染料の有機酸塩)、スピロンバイオレットCRH(C.I.ソルベントバイオレット8−1)、バリファストバイオレット1701(C.I.ベーシックバイオレット1とC.I.アシッドイエロー42の染料の造塩体)、スピロンレッドCGH(C.I.ベーシックレッド1の染料の有機酸塩)、スピロンピンクBH(C.I.ソルベントレッド82)、ニグロシンベースEX(C.I.ソルベントブラック7)、オイルブルー613(C.I.ソルベントブルー5)、ネオザポンブルー808(C.I.ソルベントブルー70)等が挙げられる。
顔料としては、カーボンブラック、群青、二酸化チタン顔料等の無機顔料、アゾ系顔料、フタロシアニン系顔料、インジゴ顔料、チオインジゴ顔料、スレン顔料、キナクリドン系顔料、アントラキノン系顔料、スレン系顔料、ジケトピロロピロール系顔料、ジオキサジン系顔料、ペリレン系顔料、ペリノン系顔料、イソインドリノン系顔料等の有機顔料、アルミニウム粉やアルミニウム粉表面を着色樹脂で処理した金属顔料、透明又は着色透明フィルムにアルミニウム等の金属蒸着膜を形成した金属光沢顔料、フィルム等の基材に形成したアルミニウム等の金属蒸着膜を剥離して得られる厚みが0.01〜0.1μmの金属顔料、金、銀、白金、銅から選ばれる平均粒子径が5〜30nmのコロイド粒子、蛍光顔料、蓄光性顔料、芯物質として天然雲母、合成雲母、ガラス片、アルミナ、透明性フィルム片の表面を酸化チタン等の金属酸化物で被覆したパール顔料等が挙げられる。
前記着色剤は一種又は二種以上を混合して用いてもよく、インキ組成中3〜40重量%の範囲で用いられる。
前記有機溶剤としては、例えば、エチルアルコール、n−プロピルアルコール、イソプロピルアルコール、n−ブチルアルコール、イソブチルアルコール、sec−ブチルアルコール、tert−ブチルアルコール、tert−アミルアルコール、ベンジルアルコール、エチレングリコール、ジエチレングリコール、プロピレングリコール、ベンジルグリコール、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールジエチルエーテル、エチレングリコールモノイソプロピルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、エチレングリコールモノヘキシルエーテル、エチレングリコールモノフェニルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノフェニルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノフェニルエーテル、ジプロピレングリコールモノエチルエーテル、ジプロピレングリコールモノフェニルエーテル、トリプロピレングリコールモノメチルエーテル、トリプロピレングリコールモノエチルエーテル、トリプロピレングリコールモノフェニルエーテル、n−ヘプタン、n−オクタン、イソオクタン、メチルシクロヘキサン、エチルシクロヘキサン、トルエン、キシレン、エチルベンゼン、メチルイソブチルケトン、メチルn−プロピルケトン、メチルn−ブチルケトン、ジ−n−プロピルケトン、ギ酸n−ブチル、ギ酸イソブチル、酢酸n−プロピル、酢酸イソプロピル、酢酸n−ブチル、酢酸イソブチル、プロピオン酸エチル、プロピオン酸n−ブチル、酪酸メチル、酪酸エチル等を例示できる。
前記有機溶剤は一種又は二種以上を混合して用いてもよく、インキ組成中40〜80重量%の範囲で用いられる。
更に、筆跡の滲み抑制、定着性向上、堅牢性付与等の目的で樹脂を添加することもできる。
具体的には、ケトン樹脂、ケトン−ホルムアルデヒド樹脂、アミド樹脂、アルキッド樹脂、ロジン変性樹脂、ロジン変性フェノール樹脂、フェノール樹脂、キシレン樹脂、ポリビニルピロリドン、α−及びβ−ピネン・フェノール重縮合樹脂、ポリビニルブチラール樹脂、アクリル樹脂等を例示できる。
また、所望によりカルナウバワックス、キャンデリラワックス、ライスワックス、みつろう、オゾケライト、セレシン、モンタンワックス、モンタン酸ワックス、モンタンエステルワックス等のワックス類を添加することもできる。
更に、オレイン酸等の高級脂肪酸、長鎖アルキル基を有するノニオン性界面活性剤、ポリエーテル変性シリコーンオイル、チオ亜燐酸トリ(アルコキシカルボニルメチルエステル)やチオ亜燐酸トリ(アルコキシカルボニルエチルエステル)等のチオ亜燐酸トリエステル等の潤滑剤を必要により添加することもできるが、特に、ポリオキシエチレンアルキルエーテル又はポリオキシエチレンアルキルアリールエーテルのリン酸モノエステル、ポリオキシエチレンアルキルエーテル又はポリオキシエチレンアルキルアリールエーテルのリン酸ジエステル、或いは、それらの金属塩、アンモニウム塩、アミン塩、アルカノールアミン塩等を用いるとボール受け座の摩耗防止効果に優れる。
また、クルクミン、システアミン、チオグリセロール等の酸化防止剤を添加してエアの発生を抑制することもできる。
更に、剪断減粘性付与剤を添加することもできる。
前記剪断減粘性付与剤を添加することによって、不使用時のボールとチップの間隙からのインキ漏れだしを防止したり、筆記先端部を上向き(正立状態)で放置した場合のインキの逆流を防止することができる。また、布帛に筆記した際の筆跡滲みを抑えることができる。
尚、剪断減粘性付与剤を添加する場合は、20℃でのE型粘度計による3.84S−1の剪断速度におけるインキ粘度が10mPa・s(20℃)以上、好適には10〜10000mPa・sであり、且つ、剪断減粘指数を0.3〜0.99の範囲に調整することが好ましく、前記した粘度範囲及び剪断減粘指数を示すことによって、更にインキ漏れだし、インキの逆流を防止することができる。
また、着色剤として顔料を用いた場合には、前記顔料の凝集・沈降を抑制することができる。
インキ粘度が10mPa・s未満では剪断減粘性による効果が適正ではなく、インキ吐出性及び筆跡性能に支障を来すこともある。
尚、剪断減粘指数(n)は、剪断応力値(T)及び剪断速度値(j)の如き粘度計による流動学測定から得られる実験式T=Kj(Kは非ニュートン粘性係数)にあてはめることによって計算される値である。
前記剪断減粘性付与剤としては、架橋型アクリル樹脂、架橋型アクリル樹脂のエマルションタイプ、非架橋型アクリル樹脂、架橋型N−ビニルカルボン酸アミド重合体又は共重合体、非架橋型N−ビニルカルボン酸アミド重合体又は共重合体、水添ヒマシ油、脂肪酸アマイドワックス、酸化ポリエチレンワックス等のワックス類、ステアリン酸、パルミチン酸、オクチル酸、ラウリン酸のアルムニウム塩等の脂肪酸金属塩、ジベンジリデンソルビトール、N−アシルアミノ酸系化合物、スメクタイト系無機化合物、モンモリロナイト系無機化合物、ベントナイト系無機化合物、ヘクトライト系無機化合物、特開2007−84634号公報等で示されるアクリル共重合体、アクリル酸又はメタクリル酸とアクリル酸エステル又はメタクリル酸エステルの共重合体等を例示できる。
尚、前記剪断減粘性付与剤は併用することもできる。
前記剪断減粘性付与剤を添加することによって筆跡の滲みを抑制することができるので、本願のように浸透性の高い布帛等の繊維材料に筆記しても筆跡が滲むことなく、良好な筆跡を形成できる。そのため、布帛筆記用としては剪断減粘性付与剤の添加が有効である。
また、前記インキ組成物を収容したインキ収容管内には、インキの後端に接触するようにインキ逆流防止体を充填することもできる。
前記インキ逆流防止体組成物は不揮発性液体又は難揮発性液体からなり、具体的には、ワセリン、スピンドル油、ヒマシ油、オリーブ油、精製鉱油、流動パラフィン、ポリブテン、α−オレフィン、α−オレフィンのオリゴマーまたはコオリゴマー、ジメチルシリコーンオイル、メチルフェニルシリコーンオイル、アミノ変性シリコーンオイル、ポリエーテル変性シリコーンオイル、脂肪酸変性シリコーンオイル等があげられ、一種又は二種以上を併用することもできる。
更に、前記不揮発性液体及び/又は難揮発性液体には、ゲル化剤を添加して好適な粘度まで増粘させることが好ましく、表面を疎水処理したシリカ、表面をメチル化処理した微粒子シリカ、珪酸アルミニウム、膨潤性雲母、疎水処理を施したベントナイトやモンモリロナイトなどの粘土系増粘剤、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸アルミニウム、ステアリン酸亜鉛等の脂肪酸金属石鹸、トリベンジリデンソルビトール、脂肪酸アマイド、アマイド変性ポリエチレンワックス、水添ひまし油、脂肪酸デキストリン等のデキストリン系化合物、セルロース系化合物を例示できる。
更に、前記液状のインキ逆流防止体組成物と、固体のインキ逆流防止体を併用することもできる。
前記ボールペンと共に用いられるテンプレートは、アクリル、ポリプロピレン、ポリスチレン、ポリカーボネート、アクリルニトリル−ブチレン−スチレン共重合体等の樹脂を射出成形することで形成される。特に、前記樹脂のうち、耐溶剤性を備えることからポリプロピレンが好適であり、なかでも、成形物の透明度が高く、筆記時にテンプレートの裏側が透けて見えると共に、適度な柔軟性を有し、折り曲げた際に破損し難いことからポリプロピレンのランダム重合体が好ましい。
また、前記樹脂中に着色剤を添加したり、成形物を塗装することにより、テンプレートを着色することもできる。特に、テンプレートを着色透明とすることで、白色や淡色の布帛上に置いた際、型抜部を容易に確認できると共に、テンプレートを介して先に布帛に筆跡された文字が確認できるため、筆記するべき位置を簡単且つ確実に決定できることから、より使い易いものとなる。
更に、型抜部を備えた成形物周辺等に別部材(加飾用や固定用等)を組み付けて装飾性や使用性を向上させることもできる。
射出成形により形成される型抜部には、ひらがな、カタカナ、アルファベット、数字等の文字や、円、楕円、多角形、星形、波線等の図形や記号を模したものが形成され、テンプレートの肉厚(少なくとも型抜部が形成された部分)は0.5mm〜4mmの範囲とすることが好ましい。前記範囲内であれば、布帛上に載置して使用しても、かすれ等を生じることなく対応するボールペンによる筆記が確実にできる。更に、通常インキが載り難い筆記面である表面加工が施された熱融着性の布帛(アイロンプリント)等に筆記する場合、複数回なぞり書きしても、描線がはみだしたり滲んだりすることなく鮮明な筆跡を形成することができる。
また、テンプレートを用いて文字を書く場合、型抜部の内壁に沿って筆記するため、特に柔軟性の高いものや厚手の布帛に筆記した際には型抜部内でチップが動いてしまい、描線が所望の位置からはみ出してしまうことがある。そのため、型抜部が文字等の場合に形成される抜線部(文字の一辺)の内径として、ボールペンチップの最大外径に対して、1:1〜1:2、好ましくは1:1.1〜1:1.9、より好ましくは1:1.1〜1:1.8の範囲に設定される。これにより、筆記時に布帛の種類に影響を受け難くなり、安定した描線を書くことができる。
前記型抜部はストレート状(テンプレート厚肉方向に垂直状態)に形成することで、1枚のテンプレートに比較的小さい文字を複数形成した場合であっても、該テンプレート全体を大きくする必要が無くなる。また、筆記先端部が型抜部内壁面に接触し難いため、内壁にインキが付着したテンプレートを布帛に載せた際に生じる汚染を抑制できる。
しかしながら、上方(チップ差込口)が広くなるようにテーパー状に形成することも可能である。
以下に実施例及び比較例を示す。尚、本考案はこれらの実施例に限定されるものではない。
実施例1
黒色油性インキ組成物の調製
n−プロピルアルコール58.5重量部、乳酸メチル10重量部からなる溶剤中に剪断減粘性付与剤(架橋型合成ポリマー、日本純薬(株)製)1.2重量部を溶解した後、黒色染料(C.I.ソルベントブラック7、オリエント化学工業(株)製)10重量部、ケトン−ホルムアルデヒド樹脂15重量部、リン酸エステル(第一工業製薬(株)製、商品名:プライサーフA207H)5重量部、シリコーンオイル(信越化学工業(株)製、商品名:シリコーンKF−615A)0.3重量部を投入して攪拌溶解することで黒色油性インキ組成物を得た。尚、このインキの粘度(20℃、3.84S−1)は256mPa・sであり、剪断減粘指数nは0.73であった。
ボールペンの作製(図1、2参照)
前記黒色インキ4を、直径0.5mm、0.7mm、1.0mmのボールをボール抱持部31に抱持する3種類のステンレススチール製パイプチップ3(最大外径Wが順に0.8mm、1.0mm、1.3mm)がホルダー22を介してポリプロピレン製インキ収容筒21の一端に嵌着された3種類のボールペンレフィル2に充填し、更に、前記インキ後端面に密着させてインキ逆流防止体5を充填した後、前記ボールペンレフィル2を、尾栓61を備えた軸筒6に組み込み口金62を取り付けることで3種類のボールペン1を得た。尚、これらのボールペン1のチップは、ボール抱持部31の後方に直円筒状外面部32が形成されており、チップ出長さLはいずれも3.0mmである。
テンプレートの作製(図3参照)
ポリプロピレンランダム重合体中に青色顔料を添加した後、射出成形により85mm×150mmの長方形状で肉厚が1.0mmの青色透明テンプレート7を成形した。該テンプレートには、1字が10mm×10mm内の大きさで設定されるひらがなと数字と各種図形を模した型抜部8が形成され、文字の一辺(チップを挿入する型抜部内の幅D)は約1.4mmに設定されている。
前記テンプレートは柔軟性を有するため、折り曲げられた場合であっても割れを伴う破損を生じることがなく使用性に優れるものであった。
布帛用筆記具セットの作製
前記ボール径の異なる3種類のボールペン1と、前記青色透明テンプレート7とを組み合わせて布帛用筆記具セットとした。
前記テンプレート7を白色布帛上に載置し、各ボールペン1を用いて所望の文字を書いた際、筆跡に滲みやかすれを生じることなく筆跡を形成できた。その際、直円筒状外面部32が型抜部8内壁と接触した状態で筆記できるので、型抜部8内壁へのインキ付着も生じなかった。
更に、布帛に形成した文字の横に他の文字を形成する際、テンプレート7をずらしても先に書いた文字がテンプレート7を介して視認できるため、次の文字の位置決めを容易に行うことが可能であった。また、型抜部8のみが白色(布帛の色)に視認されるため、確実に所望の型抜部8にチップ3を挿入でき、他の箇所にインキが付着することを予防できるものとなった。
また、表面処理された布帛(名前プリント用シート)に筆記する際、テンプレート7の型抜部8内でチップ3がぶれることなく複数回なぞることができるため、描線がはみ出すことなく鮮明な筆跡を得ることができた。
実施例2
青色油性インキ組成物の調製
n−プロピルアルコール72重量部中に剪断減粘性付与剤(脂肪酸アマイド分散体、共栄社化学(株)製、商品名:ターレンBA600、固形分30%)2重量部を溶解した後、青色染料(C.I.ソルベントブルー5、オリエント化学工業(株)製)10重量部、ケトン−ホルムアルデヒド樹脂15重量部、リン酸エステル(第一工業製薬(株)製、商品名:プライサーフA207H)1重量部を投入して攪拌溶解することで青色油性インキ組成物を得た。尚、このインキの粘度(20℃、3.84S−1)は1331mPa・sであり、剪断減粘指数nは0.28であった。
ボールペンの作製
前記青色インキを、直径0.5mm、0.7mmのボールをボール抱持部(0.7mmのテーパー部を備える)に抱持する2種類のボールを抱持するステンレス製ストレート状切削チップ(最大外径が順に1.0mm、1.2mm)がポリプロピレン製パイプの一端に嵌着された2種類のボールペンレフィルに充填し、更に、前記インキ後端面に密着させてインキ逆流防止体を充填した後、前記ボールペンレフィルを軸筒に組み込み、2種類のボールペンを得た。尚、これらのボールペンのチップは、ボール抱持部の後方(テーパー部後端)に直円筒状外面部が形成されており、チップ出長さ(ボール前端から切削形成された直円筒状外面部後端までの長さ)はいずれも3.5mmである。
テンプレートの作製
ポリプロピレンランダム重合体中に赤色顔料を添加した後、射出成形により70mm×120mmの長方形状で肉厚が2.5mmの赤色透明テンプレートを成形した。該テンプレートには、1字が13mm×13mm内の大きさで設定されるアルファベットと数字を模した型抜部が形成され、文字の一辺(チップを挿入する型抜部内の幅)は約1.7mmに設定されている。
前記テンプレートは柔軟性を有するため、折り曲げられた場合であっても割れを伴う破損を生じることがなく使用性に優れるものであった。
布帛用筆記具セットの作製
前記ボール径の異なる2種類のボールペンと、前記赤色透明テンプレートとを用いて布帛用筆記具セットとした。
前記テンプレートを白色布帛上に載置し、各ボールペンを用いて所望の文字を書いた際、筆跡に滲みやかすれを生じることなく筆跡を形成できた。その際、直円筒状外面部が型抜部内壁と接触した状態で筆記できるので、型抜部内壁へのインキ付着も生じなかった。
更に、形成した文字の横に他の文字を形成する際、テンプレートをずらしても先に書いた文字がテンプレートを介して視認できるため、次の文字の位置決めを容易に行うことが可能であった。また、型抜部のみが白色(布帛の色)に視認されるため、所望の型抜部に確実にチップを挿入でき、他の箇所にインキが付着することを予防できるものとなった。
また、表面処理された布帛(名前プリント用シート)に筆記する際、テンプレートの型抜部内でチップがぶれることなく複数回なぞることができるため、描線がはみ出すことなく鮮明な筆跡を得ることができた。
比較例1
前記実施例1のボールペンのチップ出長さを0.6mmとし、テンプレートが肉厚0.3mmのアクリルシートを用いてレーザー加工による型抜きで作成された以外は同様の布帛用筆記具セットを作製した。
前記筆記具セットは、紙面への筆記では不具合なく使用できるものの、テンプレートを布帛に載置すると、支持体が柔軟なために安定感がなく変形してしまい使用し難いものであった。また、テンプレートを押圧すると布帛が型抜部から突出するため、きれいな筆跡が得られなかった。
比較例2
前記実施例1のテンプレート7において、型抜部8が文字の一辺(チップを挿入する型抜部内の幅D)を約2.7mmに設定されるように成形し、直径0.5mmのボールを抱持するボールペン(チップの最大外径Wが0.8mm)と組み合わせて布帛用筆記具セットを作製した。その際、テンプレート7全体は大きなものとなった。
前記テンプレート7を布帛上に載置して押圧固定した際、布帛が型抜部8から浮き出してしまい、きれいな筆跡が得られなくなった。
また、型抜部の一辺の幅Dとチップの最大外径Wとの差が大きいため、筆記時(特に重ね書き時)に型抜部8内でボールペンチップ3がぶれて描線がはみ出してしまい、きれいな筆跡が得られ難くなった。
比較例3
前記実施例2のボールペンのチップを円錐状切削チップ(テーパー部3.2mm、最大外径2.7mm)とした以外は同様の構成で黒色ボールペンを作成した。
その際、前記チップが型抜部に挿入できるように文字の一辺(チップを挿入する型抜部内の幅)を約3.7mmに設定した。そのため、実施例2と同様の筆跡を得るためには、実施例2で用いたテンプレートの型抜部よりも1字(抜線)が大きくなると共に、テンプレート全体も大きくなってしまった。
また、型抜部が大きくなったため、柔軟な布帛に筆記した際、テンプレートを載置すると布帛が型抜部から浮き出てしまい、きれいな筆跡が得られ難くなった。
本考案の布帛用筆記具セットに適用されるボールペンの一実施例を示す外面図である。 図1の要部拡大図である。 本考案の布帛用筆記具セットに適用されるテンプレートの一実施例を示す外面図である。
1 ボールペン
2 ボールペンレフィル
21 インキ収容筒
22 ホルダー
3 ボールペンチップ
31 ボール抱持部
32 直円筒状外面部
4 インキ
5 インキ逆流防止体
6 軸筒
61 尾栓
62 口金
7 テンプレート
8 型抜部
D 型抜部に形成された文字の一辺の幅
L チップのストレート部の出長さ
W チップの最大外径

Claims (6)

  1. ボール抱持部後方に直円筒状外面を有するストレート状チップを先端に備えたボールペンと、射出成形により型抜部が形成されたテンプレートとからなる布書き用筆記具セット。
  2. ボールペンチップの最大外径:テンプレート型抜部の最小内径=1:1〜1:2の範囲にある請求項1記載の布書き用筆記具セット。
  3. 前記テンプレートが、アクリル、ポリプロピレン、ポリスチレン、ポリカーボネート、アクリルニトリル−ブチレン−スチレン共重合体から選ばれる樹脂からなる請求項1又は2に記載の布書き用筆記具セット。
  4. 前記ボールペンチップの出長さが、0.8mm〜4.5mmの範囲でテンプレートの厚みより長く設定される請求項1乃至3のいずれかに記載の布書き用筆記具セット。
  5. 前記ボールペンが、着色剤と有機溶剤を含む油性インキ組成物を収容してなる請求項1乃至4のいずれかに記載の布書き用筆記具セット。
  6. 前記油性インキ組成物中に剪断減粘性付与剤を含む請求項5記載の布書き用筆記具セット。
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