JP3164135U - 内燃機関のためのピストン - Google Patents

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Abstract

【課題】ピストン上側部分とピストン下側部分とが確実に互いに結合されているピストンを提供する。【解決手段】内燃機関のための複数の部分から成るピストン10であって、ピストン上側部分11とピストン下側部分12とを備えており、ピストン上側部分11はピストンヘッド13と、環状のトップランド15と、環状のリング部分16とを有しており、ピストン上側部分11とピストン下側部分12とは固定手段により互いに結合されていて、かつ、環状の冷却通路21を形成し、ピストン上側部分11とピストン下側部分12とを結合する固定手段は、冷却通路21内に配置されており、熱を伝える材料から成る冷却エレメント28として形成されている。【選択図】図1−2

Description

本考案は内燃機関のための複数の部分から成るピストンであって、ピストン上側部分とピストン下側部分とを備えており、ピストン上側部分はピストンヘッドと、環状のトップランドと、環状のリング部分とを有しており、ピストン上側部分とピストン下側部分とは固定手段により互いに結合されていて、環状の冷却通路を形成する。
自体公知の複数の部分から成るこのような冷却通路ピストンにおいては、ピストン上側部分とピストン下側部分とを応力を回避しつつ確実に互いに結合する、という問題がある。さらに冷却通路内に設けられている冷却油の冷却作用の最適化が求められる。冷却油は冷却通路を循環し、ピストン運動によって引き起こされるシェーカ効果(Shakerefekkt)に基づき運動する。DE10244512A1では、環状の冷却通路にピストンヘッドに向けられている孔が、冷却油のより良好な分配を達成するために備え付けられていることが提案されている。しかし、特に高く負荷されているピストンにおいては、冷却油の運動によりもたらされる排熱が充分ではない。
したがって本考案の目的は、冷却通路内において循環する冷却油の良好な冷却作用を備えた、上位概念部に記載した複数の部分から成るピストンを改良して、ピストン上側部分とピストン下側部分とが確実に互いに結合されているピストンを提供することである。
上記目的を達成するために、請求項1の特徴を備えた複数の部分から成るピストンを提案する。本考案によれば、ピストン上側部分とピストン下側部分とを結合する固定手段は、熱を伝える材料から成る、冷却通路内に配置されている冷却エレメントとして構成されているようになっている。
本考案に係るピストンは、複数の理由を有する良好な冷却作用を特徴とする。冷却エレメントは冷却室における付加的な冷却表面であり、付加的な冷却表面を介してピストンヘッドから冷却エレメントに伝えられる熱は冷却エレメントを周流する冷却油に放出される。さらにピストンヘッドから冷却エレメントを介して冷却油への直接的な熱流が保証される。このことにより特に燃焼室寄りのピストンヘッドの熱負荷を迅速かつ確実に減じる。付加的に冷却エレメントからピストン下側部分への放熱が行われる。したがって、燃焼室窪みを備えるピストンヘッドを有するピストンにおいて、特に窪み縁部は特別に効果的に負荷軽減される。
冷却エレメントとして構成されている固定手段は、ピストンの半径方向の外側領域、つまりリング部分の直ぐ近く、すなわち環状の冷却通路に均等に分配されているので、ピストン上側部分とピストン下側部分との特に応力が少なくかつ確実な結合が達成される。さらに冷却エレメントとして構成されている固定手段は、本考案に係るピストンの形状安定性の改良をもたらす。したがって、本考案に係るピストンを、冷却エレメントが設けられているにもかかわらず、従来のピストンと比較して重量増大が回避されるように構成することが可能である。このことは、可能な限り低い密度を有する適切な材料が冷却エレメントに選択される一方で、改良された形状安定性により、環状の冷却通路と、本考案に係るピストンの隣り合う構造エレメントとの間における壁厚を減じることができることによりもたらすことができる。適切な構成においてはそれどころか、従来のピストンと比較して重量低減が可能である。
本考案に係る構成は、複数の部品から成る全てのピストンタイプに適しており、材料選択及び構造に関する複数のバリエーションを可能にする。本考案に係るピストンは、例えば鋼、鋳鉄、軽金属及びこれらの材料の組合せから成っていてよく、例えば冷却油噴霧部を備えて若しくは備えずに構成されていてよい。
有利な構成が従属請求項に記載されている。
各冷却エレメント若しくは冷却エレメントとして構成されている各固定手段は、2つの切欠き内に収容されている。一方の切欠きはピストン上側部分に設けられており、他方の切欠きはピストン下側部分に設けられている。ピストン下側部分に設けられている切欠きは、例えば止まり孔(Sackbohrung)又は貫通孔として構成されていてよい。したがって、冷却エレメントは簡単に、例えばピストン上側部分又はピストン下側部分内に挿入すること、場合によっては自体公知の形式において、センタリングリングによって配向することができ、取り付けられていないピストン部分を冷却エレメントに被せ嵌めることができる。その結果、冷却エレメントは対応する孔に係合する。冷却エレメントの取付けは、有利には圧入、プレス嵌め又は収縮嵌めによって行われる。
この構成においてピストン上側部分に設けられている切欠きは、ピストンヘッドに対する材料厚さのさらなる低減をもたらす。ピストンヘッドが、窪み縁部に対しての材料厚さを減じる燃焼室窪みを備えていると特に有利である。このことは冷却エレメントへの、改良され促進された熱伝達をもたらす。冷却エレメントは同時に、切欠きによりもたらされる可能性のある安定性損失を補償することにより、本考案のピストンの充分な形状安定性も提供する。このことは結果として、個々の構成において提案されている燃焼室窪みの直径を、先行技術と比べてさらに拡大することができることになる。このことはまたさらに冷却エレメントへの熱導出及び冷却エレメントから冷却油への熱導出を改良する。冷却エレメントの数は、改良された形状安定性に基づき、特に多く選択することができるので、効果的な冷却表面を最適化する。付加的には、ピストンヘッドによって吸収される熱がリング部分の領域に侵入することは防がれる。
さらに有利な構成はリングセグメント形の冷却エレメントを提供する。リングセグメント形の冷却エレメントに場合によっては、冷却油の完全混合を最適化するために冷却油のための貫通開口を設けることができる。本考案に係る特に有利なピストンの構成は、ピン状の冷却エレメントが設けられていることにある。この構成は、冷却表面の最大限の拡大を伴うので、冷却エレメントから冷却油への特に効果的な放熱がもたらされる。
冷却エレメントは、有利には全金属冷却エレメント(Vollmetall−Kuehlelemente)として構成されており、例えば銅、アルミニウム、銅合金、アルミニウム合金又は銅アルミニウム合金から成っている。
有利な構成において、ピストン上側部分とピストン下側部分とは、冷却作用のサポートのために付加的に内側の冷却室を有する。内側の冷却室は環状の分離壁により、環状の延在している冷却通路から分離されている。ピストン上側部分とピストン下側部分とは、分離壁の領域に付加的な結合エレメントを有していてよく、付加的な結合エレメントはピストン上側部分とピストン下側部分との結合をサポートする。この結合エレメントは、冷却効果のさらなる改良のために冷却エレメントとして構成されていてもよい。
有利には、分離壁は冷却油のための少なくとも2つの溢流開口を有していてよい。これらの溢流開口は、冷却油の混合を最適化するために環状の冷却通路と内側の冷却室とを互いに結合する。
ピストン上側部分及びピストン下側部分のための材料は任意に選択することができ、互いに組み合わせることができる。例えば鋼材料及び軽金属材料が適している。
本考案に係るピストンの第1の実施の形態の断面図である。 図1記載のピストンを部分的に断面した平面図である。 本考案に係るピストンの第2の実施の形態の拡大した区分の断面図である。 本考案に係るピストンの第3の実施の形態のピストン上側部分の拡大した区分の断面図である。
以下に、本考案の実施の形態を添付の図面に基づいて説明する。図面は概略的であり、寸法通りではない。
図1,2には本考案に係るピストン10の第1の実施の形態を示している。図1の左半分の記載は右半分の記載に対して90°だけ回転させられている。
本考案に係るピストン10はピストン上側部分11とピストン下側部分12とから構成される。ピストン上側部分11は燃焼室窪み14を備えたピストンヘッド13と、環状のトップランド15及びピストンリング(図示せず)を収容するための環状のリング部分16を備えた側壁とを有している。ピストン下側部分12はピストンスカート17と、ピストンピン(図示せず)を収容するためのボス孔18aを備えたボス18と、ボス支持部19を有している。ボス支持部19はピストンスカート17と結合されている。ピストン上側部分11とピストン下側部分12とは環状の外側の冷却通路21と内側の冷却室22とを形成する。外側の冷却通路21と内側の冷却室22とは分離壁29により互いに分離されている。実施の形態において、分離壁29には溢流通路27が設けられている。溢流通路27は冷却通路21と冷却室22とを互いに結合している。
ピストン上側部分11はリング部分16に接続している外側の載置面23を有し、ピストン上側部分11の下側には、リング状に環状の内側の支持面24を有している。同様にピストン下側部分12は上側において外側の載置面25と、リング状に環状の内側の支持面26とを有する。組み合わされた状態において、ピストン上側部分11とピストン下側部分12とは、2つの支持面24,26及び2つの載置面23,25が重なっているように互いに配向されている。支持面24,26の領域には、組み合わされた状態において分離壁29が形成される。
ピストン上側部分11とピストン下側部分12との材料は任意に選択することができ、互いに組み合わせることができる。例えば耐熱鋼(Warmmetall)、AFP鋼又は軽金属合金、特にアルミニウム合金である。例えばピストン上側部分11を耐熱鋼から鍛造することができ、ピストン下側部分12をAFP鋼から鍛造することができる。またピストン上側部分11をAFP鋼から鍛造することができ、ピストン下側部分12をアルミニウム合金から鋳造することもできる。ピストン上側部分11をまたアルミニウム合金から鍛造することもでき、ピストン下側部分をアルミニウム合金から鋳造することができる。
本実施の形態においては、ピストン10の冷却通路21には複数のピン状の、冷却エレメント28として形成された固定手段が配置されている。冷却エレメント28は、有利には低密度を有する良好に熱を伝える材料から成っている。例えばアルミニウム、銅、アルミニウム合金、銅合金又は銅アルミニウム合金といった金属製の材料が適している。冷却エレメント28の自由端部は孔として形成されている切欠き31,32内に収容されている。止まり孔として構成されている切欠き31はピストン上側部分11によって形成された、冷却通路21の壁区分内に配置されていて、ピストンヘッド13に向けられている。貫通孔として構成されている切欠き32はピストン下側部分12によって形成されている、冷却通路21の壁区分内に配置されている。冷却エレメント28は本実施の形態において、ピストン上側部分11にもピストン下側部分12にもプレス嵌め又は収縮嵌めにより固定されている。
したがって冷却エレメント28は同時に固定手段でもある。固定手段を介してピストン上側部分11とピストン下側部分12とは実質的に応力なしに互いに結合されている。このことは、固定手段はピストン10の半径方向の外側領域、つまりリング部分15の直ぐ近くに、即ち環状の冷却通路21に均等に分配されて配置されている、ということに起因する。さらに冷却エレメント28として構成されている固定手段は、本考案に係るピストン10の形状安定性の改良をもたらす。したがって燃焼室窪み14と切欠き31との間の壁厚は特に小さく形成されている。このことに材料減少及び重量減少が伴う。さらに熱は燃焼室窪み14から特に迅速に冷却エレメント28に導出される。
複数の冷却エレメント28の表面は、冷却通路21における付加的な大きな冷却表面として作用する。冷却表面を介して、ピストンヘッド13から冷却エレメント28へ伝えられる熱は特に迅速に冷却油に放出される。冷却油は冷却エレメント28の周囲を流れる。さらにピストンヘッド13から冷却通路21への直接的な熱流、及び冷却通路21から冷却油及びピストン上側部分12への直接的な熱流が保証される。このことは特にピストンヘッド13及び燃焼室窪み14の窪み縁部の熱負荷を効果的に減じる。
さらに図1に記載の実施の形態において、分離壁29にはピン状の結合エレメント30が設けられており、ピン状の結合エレメント30は冷却エレメント28として形成されている固定手段と同様に、ピストン上側部分11若しくはピストン下側部分12に設けられている切欠き内に、例えばプレス嵌め又は収縮嵌めにより収容されている。結合エレメント30は冷却エレメント28として構成されている固定手段によってもたらされる、ピストン上側部分11とピストン下側部分12との間の結合を支持する。結合エレメント30は、ピストンヘッド13からピストン下側部分12への排熱を促進するために、冷却エレメントとして構成されていてもよい。
図3には複数の部分から成るピストン110の別の実施の形態が部分的に示されている。同じ構成部材には同じ符号を使用する。図3には単にピストン上側部分11の一部分及びピストン下側部分12の一部分、冷却通路21及び冷却エレメント128が示されている。ピストン110は図1に示したピストン10と正確に同じように構成されている。唯一の相違点は、冷却エレメント128の下側の自由端部が止まり孔として構成された、ピストン下側部分12に設けられている切欠き132内に収容されている点にある。冷却エレメント128の上側の自由端部は、ピストン10と同じように、止まり孔として構成されている、ピストン上側部分11に設けられている切欠き31内に収容されている。冷却エレメント28は本実施の形態においても、例えばプレス嵌め又は収縮嵌めにより固定されていてもよい。冷却エレメント128は、図1の冷却エレメント28に関して記載されている同じ効果及び利点を有している。
図4には、図1〜3に記載したピストン10若しくは110と同じように複数の部分から成るピストン210のピストン上側部分11のさらに別の実施の形態が示されている。分離壁29の領域には結合エレメント30が配置されていることを見て取ることができる。唯一の相違点は、ピン状の冷却エレメントの代わりにリングセグメント形に構成された冷却エレメント228が設けられているという点である。冷却エレメント228の上側の自由端部は、同様に、ピストン上側部分11によって形成されている冷却通路21の壁区分内に配置されている切欠き(図示せず)内に収容されている。冷却エレメント228は既述したように適切な形式で、例えば収縮嵌め又はプレス嵌めにより固定されている。組み合わされた状態において、同様に、冷却エレメント228の下側の自由端部はピストン下側部分に設けられている切欠き内に収容されていて固定されている(図示せず)。冷却エレメント228は、冷却通路11内に収容される冷却油の最適な完全混合を保証するために、貫通開口239を有している。冷却エレメント228は、図1記載の冷却エレメント28に関して記載されているのと同じ作用及び利点を有している。

Claims (13)

  1. 内燃機関のための複数の部分から成るピストン(10,110,210)であって、ピストン上側部分(11)とピストン下側部分(12)とを備えており、該ピストン上側部分(11)は、ピストンヘッド(13)と、環状のトップランド(15)と、環状のリング部分(16)とを有しており、前記ピストン上側部分(11)と前記ピストン下側部分(12)とは固定手段により互いに結合されていて、かつ、環状の冷却通路(21)を形成する、内燃機関のための複数の部分から成るピストンにおいて、
    前記ピストン上側部分(11)と前記ピストン下側部分(12)とを結合する前記固定手段は、前記冷却通路(21)内に配置された、熱を伝える材料から成る冷却エレメント(28,128,228)として構成されていることを特徴とする、内燃機関のための複数の部分から成るピストン。
  2. 各冷却エレメント(28,128,228)は、前記ピストン上側部分(11)に設けられている切欠き(31)内に収容されており、かつ、前記ピストン下側部分(12)に設けられている切欠き(32,132)内に収容されていることを特徴とする、請求項1記載のピストン。
  3. 前記ピストン下側部分(12)に設けられている切欠き(32,132)は貫通孔又は止まり孔として構成されていることを特徴とする、請求項1又は2記載のピストン。
  4. 冷却エレメント(28,128,228)はプレス嵌め又は収縮嵌めにより切欠き(31,32,132)内に収容されていることを特徴とする、請求項2又は3記載のピストン。
  5. 冷却エレメント(228)はリングセグメント形に形成されていることを特徴とする、請求項1から4までのいずれか一項記載のピストン。
  6. リングセグメント形に形成されている冷却エレメント(228)は冷却油のための貫通開口(239)を有していることを特徴とする、請求項5記載のピストン。
  7. 冷却エレメント(28,128)はピン状に形成されていることを特徴とする、請求項1から4までのいずれか一項記載のピストン。
  8. 前記冷却エレメント(28,128,228)は銅、アルミニウム、銅合金、アルミニウム合金又は銅アルミニウム合金から成る全金属冷却エレメントとして構成されていることを特徴とする、請求項1から7までのいずれか一項記載のピストン。
  9. 前記ピストン上側部分(11)と前記ピストン下側部分(12)とは内側の冷却室(22)を形成しており、該冷却室(22)は前記環状の分離壁(29)により環状の冷却通路(21)から分離されていることを特徴とする、請求項1から8までのいずれか一項記載のピストン。
  10. 前記ピストン上側部分(11)と前記ピストン下側部分(12)とは前記分離壁(29)の領域に、前記ピストン上側部分(11)と前記ピストン下側部分(12)とを互いに結合する結合エレメント(30)を有していることを特徴とする、請求項9記載のピストン。
  11. 前記結合エレメント(30)は冷却エレメントとして構成されていることを特徴とする、請求項10記載のピストン。
  12. 分離壁(30)は冷却油のための、前記環状の冷却通路(21)と前記内側の冷却室(22)とを互いに結合する少なくとも2つの溢流通路(27)を有していることを特徴とする、請求項9から11までのいずれか一項記載のピストン。
  13. 前記ピストン上側部分(11)及び/又は前記ピストン下側部分(12)は鋼材料又は軽金属材料から成っていることを特徴とする、請求項1から12までのいずれか一項記載のピストン。
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