JP3162892B2 - 液体噴射記録装置及び該装置におけるヘッド温度制御方法 - Google Patents

液体噴射記録装置及び該装置におけるヘッド温度制御方法

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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、インクなどの液体を吐
出する液体噴射ヘッドを用いた液体噴射記録装置及び該
装置におけるヘッド温度制御方法に関し、詳しくは、例
えば紙や布、不織布、OHP用紙などのプリント媒体に
対して所定のプリントを行う装置に関するものである。
特に本発明は、長時間あるいは1m以上のプリント幅の
布に連続してプリントを行うような記録装置に有効な発
明を提供するものである。具体的な適用例としては、例
えばプリンタ、複写機、ファクシミリ装置などの事務機
器や捺染装置等の大量生産機器、更には吐出した液体を
用いて舞台を駆動する装置等を挙げることができる。
【0002】
【従来の技術】インク滴を紙や布等の被記録媒体に吐出
して記録を行うインクジェット記録方式には、記録ヘッ
ドの電気熱変換体(発熱抵抗体)を設け、この発熱抵抗
体を所定温度以上に加熱してインクに膜沸騰を生じさ
せ、これによるインク容積の増加によりインク滴を吐出
させる方式がある。このような方式のインクジェットヘ
ッドでは、吐出されるインク量を安定させて記録濃度を
ほぼ一定に保つために、いつも記録ヘッドを所定温度以
上に加熱している。
【0003】この場合、長時間に亙って非プリント状態
が続くと、記録ヘッドが常に加熱されているために、ヘ
ッドノズルよりのインク水分の蒸発がより加速され、イ
ンク染料がノズル内に固着してインクの不吐出が生じ
る。この様な問題を解決するために、例えば、非プリン
ト状態が所定時間以上続いた場合には、所定の回復動作
(インク加圧、吸引、予備吐出動作、ブレードワイピン
グなど)を行うことが考えられる。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら上記従来
例において、回復動作(インク加圧、吸引、予備吐出)
を頻繁に行うと無駄にインクが消費されてインク消費量
が増大し、ランニングコスト高の原因となるといった欠
点があった。
【0005】又、ワイピング動作或いは上記各回復動作
とワイピング動作を並用する場合、特に捺染装置のよう
な大型のプリント装置では、安全性の面から好ましくな
い。即ち、このような大型の装置では、ヘッドキャリッ
ジ自体も大型で、その重量も大きいため、極めてトルク
の高いキャリッジモータが使用されている。また、装置
の保守、清掃(レール、キャリッジ等)のために、人が
装置内での作業を行う場合があり、この作業中に大型の
ヘッドキャリッジが回復動作のために突然動きだすよう
なことがあると、人を負傷させる等の災害を招く虞れも
ある。
【0006】本発明は上記従来例に鑑みてなされたもの
で、記録を行わない状態において液体噴射ヘッドを長時
間加熱したままにしないことにより、液体が乾燥するこ
とによる液体の不吐出の発生を回避液体噴射記録装置
び該装置におけるヘッド温度制御方法を提供することを
目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため
に本発明の液体噴射記録装置は以下のような構成を備え
る。即ち、加熱用ヒータを備えた液体噴射ヘッドを用
い、該液体噴射ヘッドから記録媒体に対して所定の液体
を吐出させることにより画像を記録する液体噴射記録装
置において、前記加熱用ヒータの駆動を制御することに
より前記液体噴射ヘッドの温度を制御する制御手段と、
前記液体噴射ヘッドによる記録動作の終了からの経過時
間を計時する計時手段とを有し、前記制御手段は、前記
液体噴射ヘッドによる記録動作の終了後から前記計時手
段により所定時間が計時されるまで前記液体噴射ヘッド
の温度を第1の温度に保持するよう前記加熱用ヒータの
駆動を制御するとともに、前記計時手段により前記所定
時間を計時した後、前記液体噴射ヘッドの温度を前記第
1の温度よりも低い第2の温度に保持するよう前記加熱
用ヒータの駆動を制御することを特徴とする。
【0008】上記目的を達成するために本発明の液体噴
射記録装置におけるヘッド温度制御方法は以下のような
工程を備える。即ち、加熱用ヒータを備えた液体噴射ヘ
ッドを用い、該液体噴射ヘッドから記録媒体に対して所
定の液体を吐出させることにより画像を記録する液体噴
射記録装置におけるヘッド温度制御方法であって、前記
液体噴射ヘッドによる記録動作終了から所定時間が経過
するまで、前記液体噴射ヘッドの温度を第1の温度に保
持するよう前記加熱用ヒータの駆動を制御し、前記液体
噴射記録ヘッドによる記録動作終了から前記所定時間の
経過後に、前記液体噴射ヘッドの温度を前記第1の温度
よりも低い第2の温度に保持するよう前記加熱用ヒータ
の駆動を制御することを特徴とする。
【0009】
【作用】以上の構成において、液体噴射ヘッドによる記
録動作終了から所定時間が経過するまで、液体噴射ヘッ
ドの温度を第1の温度に保持するよう加熱用ヒータの駆
動を制御し、その液体噴射記録ヘッドによる記録動作終
了から所定時間の経過後に、液体噴射ヘッドの温度を第
1の温度よりも低い第2の温度に保持するよう加熱用ヒ
ータの駆動を制御するように動作する。
【0010】
【実施例】以下、添付図面を参照して本発明の好適な実
施例を詳細に説明する。
【0011】図1は本発明を適用した一実施例の複写シ
ステムの構成を模式的に示した図である。
【0012】この複写システムの構成は、デザイナ等が
作成した原画像を読取る読取部1、読取った原画データ
を加工する画像処理部2、画像処理部2で作成されたイ
メージデータを2値化処理する2値化処理部3、及び2
値化されたイメージデータに基づいて記録媒体である布
帛上に印刷を施す画像印刷部4を備えている。
【0013】読取り部1では、CCDイメージセンサに
より原画像が読み取られ電気信号として画像処理部2へ
出力される。画像処理部2においては、入力された原画
データから後述するマゼンタ(M)、シアン(C)、イ
エロー(Y)、ブラック(Bk)の4色のインクを吐出
するインクジェット記録部5を駆動するための記録デー
タを作成する。この記録データの作成の際には、原画像
をインクのドットで再現するための画像処理、色調を決
定する配色、レイアウトの変更、拡大、縮小等の図柄の
大きさの選択がなされる。
【0014】画像印刷部4においては、記録データによ
りインクを吐出させるインクジェット記録部5と、この
インクジェット記録部5へ布帛を給送する布帛給送部
6、さらに前記インクジェット記録部5に対向して設け
られ、布帛を精密搬送する記録搬送部7、更には記録済
みの布帛に対し後処理を行うと共に、その記録済みの布
帛を収納する後処理部8より構成される。90は本実施
例の複写システム全体を制御する制御部で、図4を参照
して後述するように、CPUや各種メモリ等を備えてい
る。
【0015】以下、まずインクジェット記録部5の構成
について説明する。このインクジェット記録部5は、布
帛の搬送方向に対して上下2箇所にインクジェットヘッ
ドが配置されているが、これらの各インクジェットヘッ
ドの構成及びプリント動作は基本的に同じであるため、
図2及び図3では、一方の記録部(下方)について説明
する。
【0016】インクジェットヘッド9による記録部は、
図2に示したように、大別して2本のガイドレール15
a,15b、インクジェットヘッド(記録ヘッド)9と
そのキャリッジ44、インク供給装置とヘッド回復装置
20及び図示していない電装系を有している。インク供
給装置は、インクを貯留して記録ヘッド9に必要な量の
インクを供給するためのものであり、インクタンク14
やインクポンプ13などを有する。このインク供給装置
と記録ヘッド9とはインク供給チューブ12により接続
されており、通常は毛細管作用により記録ヘッド9から
吐出された分だけ自動的に記録ヘッド9にインクが供給
される。また、後述するようなヘッド回復動作の時に
は、インクポンプ13を用いて強制的にインクを記録ヘ
ッド9に供給する。
【0017】これら記録ヘッド9及びインク供給装置は
それぞれヘッドキャリッジ44、インクキャリッジの各
々に搭載されている。このキャリッジ44は、プーリ1
7a,17bの間に張設されたベルト16に固定されて
おり、このキャリッジ44はキャリッジモータ19の回
転軸18に取り付けられたプーリ17bの回転に伴って
ガイドレール15a,15bに沿って矢印S方向へ往復
移動を行うように構成されている。
【0018】ヘッド回復装置20は、記録ヘッド9の安
定性を維持するために、ホームポジションHPにおける
記録ヘッド9に対向して設けられており、具体的には次
に述べるような動作を行う。即ち、非動作時に矢印f方
向に前進移動させて、記録ヘッド9のノズル内からイン
クの蒸発を防ぐためにホームポジションにおいて記録ヘ
ッド9のキャッピングを行う(キャッピング動作)、或
いは画像記録を開始する前にノズル内の気泡やゴミなど
を排出するためにインクポンプを用いて記録ヘッド9の
インク流路を加圧してノズルから強制的にインクを排出
するといった動作を行う必要があるが(加圧回復動
作)、その際に排出インクを回収するなどの機能を果た
す。
【0019】図3は、このようなインクジェット記録ヘ
ッド9の概略構成を示した斜視図で、このヘッド9は、
エッチング・蒸着・スパッタリング等の半導体製造プロ
セス行程を経て、基板21上に製膜された電気熱変換体
22、電極23、ノズル壁24、天板25等から構成さ
れている。
【0020】記録用インクは、図2のインクタンク14
からインク供給チューブ12を通して記録ヘッド9の共
通液室26内に供給される。図3において、27は供給
管用コネクタである。こうして共通液室26内に供給さ
れたインクは、毛管現象によりノズル28内に供給さ
れ、ノズル先端の吐出口面でメニスカスを形成すること
により安定に保持される。ここで、電気熱変換体22に
通電することにより、電気熱変換体面上のインクが加熱
されて発泡現象が発生し、その発泡のエネルギーにより
吐出口面29からインク液滴が吐出する。
【0021】上述したような構成により、ノズル密度、
16ノズル/mmといった高密度のノズル配置で、128
ノズル或いは256ノズルというマルチノズルのインク
ジェット記録ヘッドを製造することが可能となる。
【0022】図4は本実施例の複写システムの制御部9
0とインクジェット記録部5との接続及び概略構成を示
すブロック図で、記録ヘッド9の各ノズルからのインク
の吐出量を安定させるために、記録ヘッド9の温度を上
昇させるためのヘッド加熱用ヒータ501と、記録ヘッ
ド9の温度を検出するためのサーミスタ502を設けて
いる。制御部90は、5全体を制御するCPU900、
CPU900の制御プログラムや各種データを記憶する
ROM901、CPU900による制御の実行時、ワー
クエリアとして使用され各種データを記憶するRAM9
02を備えている。また、903はタイマで、CPU9
00の指示により経過時間を計時すると共に、その経過
した時間をCPU900に通知する。
【0023】本実施例の複写システムは、染料濃度5%
以上、特に10%以上の高濃度で、かつ水分蒸発性の高
いインクに対して有効である。例えば、 C.I.Reactive Red 24 11.0部 チオジグリコール 10.0部 ジエチレングリコール 20.0部 水 59.0部 C.I.Reactive Yellow 95 11.0部 チオジグリコール 25.0部 ジエチレングリコール 10.0部 水 54.0部 のインクに対して有効である。
【0024】これらインクを用い、記録ヘツド9を本体
内キャップ状態で放置した後の吐出状態を示す実験結果
を図5〜図6に示す。この内、図5は37℃に記録ヘッ
ド9を加熱した場合を示し、図6は記録ヘッド9の加熱
をオフした後、室温(20℃)のままで放置した後、プ
リント直前にヒータによる加熱を行った時のインク吐出
結果を示したものである。
【0025】図5より、37℃で放置した時間が4時間
以内であれば、記録ヘッド9の全ノズルよりインクが吐
出されるが、6時間放置すると不吐出ノズルの数が5
本、8時間放置すると100本になることが分かる。こ
れにより、37℃での連続放置時間は、長くても4時間
以内に抑える必要があることが分かる。
【0026】また図6より、室温(20℃)で放置した
時は、8時間経過しても全ノズルよりインクが吐出され
ることがわかる。
【0027】図8は本実施例のインクジェット記録部の
動作を示すフローチャートで、この処理を実行する制御
プログラムは制御部90のROM901に記憶されてお
り、この制御プログラムはCPU900により実行され
る。
【0028】図8に示す処理は、記録動作の終了と同時
に開始され、まずステップS1で記録ヘッド9の加熱用
ヒータ501をオンにする。なお、このヒータ501が
記録動作中もオンされていれば、このステップは省略さ
れても良いことはもちろんである。次にステップS2に
進み、タイマ903に指示して計時を開始し、ステップ
S3で所定時間t0 (例えばt0 =2時間で、この間、
記録ヘッド9の温度は約37℃に保持されている)が経
過したかを調べ、経過していない時はステップS4に進
み、プリント開始コマンドが入力されるかをみる。プリ
ントコマンドが入力されない時はステップS3に戻る
が、プリント開始コマンドが入力されるとステップS1
1に進み、プリント動作を開始する。
【0029】ステップS3で、連続してプリントされな
い時間がt0 (例えば2時間)を越えた場合はステップ
S5に進み、加熱用ヒータ501をオフして記録ヘッド
9の加熱を中断する。そしてステップS6に進み、エラ
ー表示により記録ヘッド9の温度調整を停止しているこ
とをオペレータに知らせる。次にステップS7に進み、
プリント開始コマンドが入力されたかを調べ、入力され
るとステップS8に進み、エラー表示を解除する。そし
てステップS9で、ヘッド加熱用ヒータ501をオンに
し、ステップS10でサーミスタ502よりの信号を基
に、記録ヘッド9の温度が約37℃になるのを待つ。こ
の後ステップS11に進み、プリント動作を開始する。
【0030】図7は、この場合の実験結果を示す図であ
る。
【0031】図7は連続してプリントされない時間が2
時間経過し、その間、記録ヘッド9の温度を約37℃に
保ち、その後に記録ヘッド9の加熱を停止して、本体の
動作が連続して休止している間の休止時間と吐出状態と
の関係を示す図である。
【0032】このように、プリントされない状態で記録
ヘッド9の温度を2時間だけ約37℃に保ち、その後、
ヒータ501の加熱を停止する。そして8時間以上放置
された後であっても、プリントの開始前に記録ヘッド9
の温度を約37℃にまで上げることにより、記録ヘッド
9の全ノズルよりインクを吐出させることができる。こ
うすることで、長期間の連続放置に充分耐えうることが
わかる。
【0033】[他の実施例]前述の実施例では、記録ヘ
ッド9の加熱手段であるヒータ501による加熱を所定
時間経過後に完全に停止するようにしたが、本発明はこ
れに限定されるものでなく、例えば、所定時間が経過し
た後、記録ヘッド9の温度をより低温(例えば20℃)
に保つようにしても良い。
【0034】この処理を示したのが図9のフローチャー
トである。この場合も、この処理を実行する制御プログ
ラムはROM901に記憶され、この処理はCPU90
0により実行される。
【0035】図9において、記録動作を終了するとステ
ップS21でタイマ903による計時を開始し、ステッ
プS22で所定時間t1 (例えば2時間)が経過したか
をみる。所定時間t1 が経過していない時はステップS
23に進み、プリント開始コマンドが入力されたかを調
べ、入力されるとステップS31に進んでプリント動作
を開始する。
【0036】ステップS22で、プリントコマンドが入
力しないまま所定時間t1 が経過すると(この間ヘッド
温度は約37℃に保持されている)ステップS24に進
み、加熱用ヒータ501への通電量を少なくするか、或
いは通電を停止して、記録ヘッド9の温度を約20℃ま
で低下させる。このようにヘッド温度を約20℃に保持
した状態で、ステップS26でエラー表示を行って、ヘ
ッド温度が低下していることをオペレータに知らせ、ス
テップS27でプリント開始コマンドが入力されるのを
待つ。
【0037】プリント開始コマンドが入力されるとステ
ップS27からステップS28に進み、前述のステップ
S8と同様にエラー表示を解除した後、ステップS29
でヒータ501への通電量を増やし、ヘッド温度を上昇
させる。そしてステップS30で、記録ヘッド9の温度
が約37℃になるとステップS31に進み、プリント動
作を開始する。
【0038】この様にすることで、環境温度が極端に低
い場合でも、前述の実施例と同様の効果が得られ、更に
記録ヘッド9の温度が約20℃に保持されているので、
プリント可能なヘッド温度である約37℃までヘッド温
度を上昇させる時間が短くて済む。
【0039】本発明は、特にインクジェット記録方式の
中でも熱エネルギーを利用して飛翔的液滴を形成し、記
録を行うインクジェット方式の記録ヘッド、記録装置に
おいて優れた効果をもたらすものである。
【0040】その代表的な構成や原理については、例え
ば、米国特許第4723129号明細書、同第4740
796号明細書に開示されている基本的な原理を用いて
行うものが好ましい。この方式はいわゆるオンデマンド
型、コンティニュアス型のいずれにも適用可能である
が、特に、オンデマンド型の場合には、液体(インク)
が保持されているシートや液路に対応して配置されてい
る電気熱変換体に、記録情報に対応していて核沸騰を越
える急速な温度上昇を与える少なくとも1つの駆動信号
を印加することによって、電気熱変換体に熱エネルギー
を発生せしめ、記録ヘッドの熱作用面に膜沸騰を生じさ
せて、結果的にこの駆動信号に1対1で対応した液体
(インク)内の気泡を形成できるので有効である。この
気泡の成長、収縮により吐出用開口を介して液体(イン
ク)を吐出させて、少なくとも1つの滴を形成する。こ
の駆動信号をパルス形状をすると、即時適切に気泡の成
長収縮が行われるので、特に応答性に優れた液体(イン
ク)の吐出が達成でき、より好ましい。
【0041】このパルス形状の駆動信号としては、米国
特許第4463359号明細書、同第4345262号
明細書に記載されているようなものが適している。な
お、上記熱作用面の温度上昇率に関する発明の米国特許
第4313124号明細書に記載されている条件を採用
すると、優れた記録を行うことができる。
【0042】記録ヘッドの構成としては、上述の各明細
書に開示されているような吐出口、液路、電気熱変換体
の組み合わせ構成(直線状液流路または直角液流路)の
他に熱作用面が屈曲する領域に配置されている構成を開
示する米国特許第4558333号明細書、米国特許第
4459600号明細書を用いた構成としても良い。加
えて、複数の電気熱変換体に対して、共通するスリット
を電気熱変換体の吐出部とする構成を開示する特開昭5
9−123670号公報や熱エネルギーの圧力波を吸収
する開口を吐出部に対応させる構成を開示する特開昭5
9−138461号公報に基づいた構成とすることもで
きる。
【0043】さらに、記録装置が記録できる最大記録媒
体の幅に対応した長さを有するフルラインタイプの記録
ヘッドとしては、上述した明細書に開示されているよう
な複数記録ヘッドの組み合わせによってその長さを満た
す構成や、一体的に形成された1個の記録ヘッドとして
の構成のいずれでもよい。
【0044】加えて、装置本体に装着されることで、装
置本体との電気的な接続や装置本体からのインクの供給
が可能になる交換自在のチップタイプの記録ヘッド、あ
るいは記録ヘッド自体に一体的にインクタンクが設けら
れたカートリッジタイプの記録ヘッドを用いてもよい。
【0045】また、本発明の記録装置の構成として設け
られる、記録ヘッドに対しての回復手段、予備的な補助
手段等を付加することは本発明の効果を一層安定にでき
るので好ましいものである。これらを具体的に挙げれ
ば、記録ヘッドに対してのキャッピング手段、クリーニ
ング手段、加圧あるいは吸引手段、電気熱変換体あるい
はこれとは別の加熱素子あるいはこれらの組み合わせに
よる予備加熱手段、記録とは別の吐出を行う予備吐出モ
ードを行うことも安定した記録を行うために有効であ
る。
【0046】さらに、記録装置の記録モードとしては黒
色等の主流色のみの記録モードだけではなく、記録ヘッ
ドを一体的に構成するか複数個の組み合わせによってで
も良いが、異なる色の複色カラー、または混色によるフ
ルカラーの少なくとも1つを備えた装置とすることもで
きる。
【0047】以上説明した本発明実施例においては、イ
ンクを液体として説明しているが、室温やそれ以下で固
化するインクであって、室温で軟化するもの、もしくは
液体であるもの、あるいは上述のインクジェット方式で
はインク自体を30°C以上70°C以下の範囲内で温
度調整を行ってインクの粘性を安定吐出範囲にあるよう
に温度制御するものが一般的であるから、使用記録信号
付与時にインクが液状をなすものであればよい。
【0048】加えて、積極的に熱エネルギーによる昇温
をインクの固形状態から液体状態への状態変化のエネル
ギーとして使用せしめることで防止するか、またはイン
クの蒸発防止を目的として放置状態で固化するインクを
用いるかして、いずれにしても熱エネルギーの記録信号
に応じた付与によってインクが液化し、液状インクとし
て吐出するものや、記録媒体に到達する時点では既に固
化し始めるもの等のような、熱エネルギーによって初め
て液化する性質のインクの使用も本発明には適用可能で
ある。このような場合インクは、特開昭54−5684
7号公報あるいは特開昭60−71260号公報に記載
されるような、多孔質シート凹部または貫通孔に液状ま
たは固形物として保持された状態で、電気熱変換体に対
して対向するような形態としてもよい。本発明において
は、上述した各インクに対して最も有効なものは、上述
した膜沸騰方式を実行するものである。
【0049】さらに加えて、本発明に係る記録装置の形
態としては、上述のようなリーダ等と組み合わせた複写
装置の他、ワードプロセッサやコンピュータ等の情報処
理機器の画像出力端末として一体または別体に設けられ
るもの、さらには送受信機能を有するファクシミリ装置
の形態を取るものであっても良い。
【0050】以上説明したように本実施例によれば、ラ
ンニングコストを上げずに、かつ安全に、不吐出のない
長期間に亙る記録を可能とする。
【0051】
【発明の効果】以上説明したように本発明によれば、記
録を行わない状態において液体噴射ヘッドを長時間加熱
したままにすることがないので、液体が乾燥することに
よる液体の不吐出の発生を回避できるという効果があ
る。また本発明によれば、先の記録動作の終了から所定
時間経過する前に記録開始の指示があったとしても、液
体噴射ヘッドの温度は比較的高い温度に保持されている
ため、速やかに記録動作を開始できるという効果があ
る。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施例の複写システムの構成を示す
ブロック図である。
【図2】本実施例のインクジェット記録部の機構部を示
す斜視図である。
【図3】本実施例のインクジェットヘッドの構成を示す
図である。
【図4】本実施例の複写システムにおける制御部とイン
クジェット記録部との接続を示す図である。
【図5】ヘッド温度37℃で放置した場合の放置時間と
インク吐出状態との関係を示す図である。
【図6】ヘッド温度20℃で放置した場合の放置時間と
インク吐出状態との関係を示す図である。
【図7】ヘッド温度37℃で2時間放置した後、20℃
で放置した時の放置時間とインク吐出状態との関係を示
す図である。
【図8】本実施例の制御部による処理を示すフローチャ
ートである。
【図9】他の実施例の制御部による処理を示すフローチ
ャートである。
【符号の説明】
1 読取り部 2 画像処理部 5 インクジェット記録部 9 記録ヘッド 20 回復装置 90 制御部 501 加熱用ヒータ 502 サーミスタ 900 CPU 901 ROM 903 タイマ
フロントページの続き (56)参考文献 特開 平5−84916(JP,A) 特開 平4−121256(JP,A) 特開 平4−97854(JP,A) 特開 平4−142937(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) B41J 2/01 B41J 2/175

Claims (5)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 加熱用ヒータを備えた液体噴射ヘッドを
    用い、該液体噴射ヘッドから記録媒体に対して所定の液
    体を吐出させることにより画像を記録する液体噴射記録
    装置において、前記加熱用ヒータの駆動を制御することにより前記液体
    噴射ヘッドの温度を制御する制御手段と、 前記液体噴射ヘッドによる記録動作の終了からの経過
    間を計時する計時手段とを有し、 前記制御手段は、前記液体噴射ヘッドによる記録動作の
    終了後から前記計時手段により所定時間が計時されるま
    で前記液体噴射ヘッドの温度を第1の温度に保持するよ
    う前記加熱用ヒータの駆動を制御するとともに、前記計
    時手段により前記所定時間を計時した後、前記液体噴射
    ヘッドの温度を前記第1の温度よりも低い第2の温度に
    保持するよう前記加熱用ヒータの駆動を制御する ことを
    特徴とする液体噴射記録装置。
  2. 【請求項2】 前記制御手段は、前記計時手段により前
    記所定時間を計時した後の記録開始指示に基づいて前記
    液体噴射ヘッドの温度を前記第1の温度範囲にまで上昇
    させるよう前記加熱用ヒータの駆動を制御することを特
    徴とする請求項1に記載の液体噴射記録装置。
  3. 【請求項3】 前記液体噴射ヘッドは電気熱変換体を有
    し、前記電気熱変換体により前記所定の液体を加熱する
    ことにより吐出口から前記所定の液体を吐出することを
    特徴とする請求項1又は2に記載の液体噴射記録装置。
  4. 【請求項4】 加熱用ヒータを備えた液体噴射ヘッドを
    用い、該液体噴射ヘッドから記録媒体に対して所定の液
    体を吐出させることにより画像を記録する液体噴射記録
    装置におけるヘッド温度制御方法であって、 前記液体噴射ヘッドによる記録動作終了から所定時間
    経過するまで、前記液体噴射ヘッドの温度を第1の温度
    に保持するよう前記加熱用ヒータの駆動を制御し、 前記液体噴射記録ヘッドによる記録動作終了から前記所
    定時間の経過後に、前記液体噴射ヘッドの温度を前記第
    1の温度よりも低い第2の温度に保持するよう 前記加熱
    用ヒータの駆動を制御することを特徴とするヘッド温度
    制御方法。
  5. 【請求項5】 前記液体噴射記録ヘッドによる記録動作
    終了から前記所定時間の経過後の記録開始指示の入力に
    基づいて前記液体噴射ヘッドの温度を前記第1の温度範
    囲にまで上昇させるよう前記加熱用ヒータの駆動を制御
    することを特徴とする請求項4に記載のヘッド温度制御
    方法。
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