JP3110538B2 - インクジェット記録装置 - Google Patents

インクジェット記録装置

Info

Publication number
JP3110538B2
JP3110538B2 JP2272792A JP2272792A JP3110538B2 JP 3110538 B2 JP3110538 B2 JP 3110538B2 JP 2272792 A JP2272792 A JP 2272792A JP 2272792 A JP2272792 A JP 2272792A JP 3110538 B2 JP3110538 B2 JP 3110538B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
temperature
heating
ink
recording
head
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Expired - Fee Related
Application number
JP2272792A
Other languages
English (en)
Other versions
JPH05220965A (ja
Inventor
規文 小板橋
博司 田鹿
正人 片山
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Canon Inc
Original Assignee
Canon Inc
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Canon Inc filed Critical Canon Inc
Priority to JP2272792A priority Critical patent/JP3110538B2/ja
Publication of JPH05220965A publication Critical patent/JPH05220965A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP3110538B2 publication Critical patent/JP3110538B2/ja
Anticipated expiration legal-status Critical
Expired - Fee Related legal-status Critical Current

Links

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明はインクジェット記録装置
に関する。
【0002】
【従来の技術】インクジェット記録ヘッドにおいて、そ
のインクの吐出安定性や吐出量を一定に保つためには、
インク温度が非常に重要なパラメーターである。すなわ
ち、インクの粘度や表面張力は温度によって変化し、こ
れにより吐出されるインク滴の量(吐出量)が変化す
る。特に、吐出量に関していえば、吐出量は温度に対し
てほぼリニアに変化するため、低温環境では吐出量が小
さくなり、濃度低下や、濃度ムラを生じ、また、カラー
記録装置では色味等が変化してしまう。そこで、低温環
境ではインクを一定の温度まで加熱する必要があり、そ
のための構成として、記録ヘッドの外部や、内部にヒー
タ等を設けることが多い。
【0003】インクジェット方式の中で、記録ヘッドの
吐出口に連通する部位に設けられた吐出用ヒータを駆動
して発熱させ、これによりインク中に発泡を生じさせる
ことでインクを吐出させる方式の記録ヘッドにおいて
も、上述のインク温度制御は必要なことである。この場
合、上記吐出用ヒータが設けられるのと同一面(ヒータ
ボード)に、吐出用ヒータとは別に、保温用ヒータ(サ
ブヒータ)等の加熱源を設け、これにより、インクを直
接的あるいは間接的に加熱する構成が提案されている。
【0004】一方、上記発泡によって吐出する方式の記
録ヘッドにおいては、吐出用ヒータ自身が、加熱源とな
り、これを吐出が生じない程度に駆動することにより、
直接インクを加熱する構成も提案されている。
【0005】上記サブヒータを用いてインクを一定の温
度に制御する(温調)方法としては、例えば、インク温
度を直接あるいは間接に検知し(以下、この温度をヘッ
ド温度という)、所定の温度になるまでサブヒータに通
電することにより駆動し、所定の温度以上になったら通
電を中断し、その後ある温度以下になったら再び通電す
るような方式がある。
【0006】また、上記吐出用ヒータを用いた温調は、
非吐出時に、発泡しない程度の電気パルスを吐出用ヒー
タに印加することにより駆動し、このヒータの周囲のイ
ンクを直接加熱して行うものである。その際、記録ヘッ
ドの温度を検知し、所定の温度になるまで駆動を行い、
所定の温度以上になったら、駆動を中断するといったこ
とを繰り返すものである。
【0007】上記サブヒータあるいは吐出用ヒータを用
いたヘッド温度制御(温調)は、いずれの方式も比較的
簡易な構成でその制御を行うことができる。
【0008】また、吐出用ヒータを用いた温調では、記
録ヘッド内のインクの中でも吐出に供されるインクを直
接加熱するため、その加熱が効果的になされ、所定目標
温度に到達する時間が比較的短くて済むという利点もあ
る。すなわち、温調において比較的小さな電力で速やか
なインク温度の上昇を達成できる。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上記サ
ブヒータまたは上記吐出用ヒータを個々に用いたそれぞ
れの温調方式には、以下に示す問題点がある。
【0010】サブヒータを用いた温調において、目的の
所定温度に到る時間を短くしようとする場合、サブヒー
タに供給する電力を大きくすることが考えられる。しか
しながら、この場合、目的温度近傍における温度リップ
ルが大きくなり、ヘッド温度が安定しない。これを回避
するように供給電力を小さくすると、温度リップルは小
さくなり、ヘッド温度を安定化させることは容易だが、
目的温度に到達する時間が長くなる。
【0011】以上のような温調に対して、サブヒータに
PID制御を用いた温調を行うことが知られている。こ
れによれば、大きな電力が供給されるサブヒータを用い
ることにより比較的短い時間で、しかもヘッド温度のリ
ップルも比較的少なく所定の温度に制御することが可能
である。しかし、実質的にリップルを小さくしようとす
ると温度のサンプリング間隔を短くする必要があり、そ
のための構成にハード的な制約を生じることが多い。ま
た、大きな電力のサブヒータを用いるため、大容量の電
源が必要となる。これとともに、万一、この電源を用い
る駆動回路が何らかのトラブルで故障し、サブヒータに
電流が流れる状態が長時間に及ぶと、サブヒータの温度
が異常に上昇し、発火する場合がある。このため、安全
上の問題としても大きな電力のサブヒータを使用するこ
とは好ましくない。
【0012】また、上記吐出用ヒータを用いた温調の問
題として、記録ヘッド内に気泡が発生する問題がある。
すなわち、吐出用ヒータを、インク吐出がなされないよ
うに駆動した場合でも、この駆動の際に、瞬間的に到達
する吐出用ヒータの温度が高くなりすぎると、インクに
発泡を生じることがある。これにより生じたインク中の
気泡は、記録ヘッド内に溜まり、吐出に悪影響を及ぼし
たり吐出口に連通する部位を塞ぎ不吐出を生じさせる場
合がある。また、吐出用ヒータを用いた温調を記録中に
行う場合、インク吐出の合間に行わなければいけないた
め、そのための制御が比較的困難なものとなる。
【0013】本発明は以上の問題点に鑑みてなされたも
のであり、サブヒータと吐出用ヒータとを併用した温調
を行うことにより、上記各問題点を解消するとともに、
立上がりが速く、定常時リップルが小さいより良好な記
録ヘッドの温度制御を行い濃度むらのない画像を記録す
ることを可能とするインクジェット記録装置を提供する
ことを目的とする。
【0014】
【課題を解決するための手段】そのために本発明では、
被記録媒体にインクを吐出して記録を行うインクジェッ
ト記録装置において、インクを吐出するための記録ヘッ
ドと、前記記録ヘッド内のインクを加熱し、該加熱によ
ってインクに生じる気泡の生成に基づきインクを吐出さ
せることが可能な吐出用加熱手段と、前記記録ヘッドを
加熱するためのサブ加熱手段と、前記記録ヘッドの温度
を検出するための温度検出手段と、該温度検出手段が検
出する温度が第1温度までは、少なくとも前記吐出用加
熱手段によって加熱を行わせ、前記第1温度より高い第
2温度までは前記サブ加熱手段によって加熱を行わせる
ヘッド温度制御手段とを具えたことを特徴とする。別の
形態では、被記録媒体にインクを吐出して記録を行うイ
ンクジェット記録装置において、インクを吐出するため
の記録ヘッドと、前記記録ヘッド内のインクを加熱し、
該加熱によってインクに生じる気泡の生成に基づきイン
クを吐出させることが可能な吐出用加熱手段と、前記記
録ヘッドを加熱するためのサブ加熱手段と、前記記録ヘ
ッドの温度を検出するための温度検出手段と、該温度検
出手段が検出する温度が第1温度までは、少なくとも前
記吐出用加熱手段によって加熱を行わせ、前記第1温度
より高い第2温度までは前記サブ加熱手段によって加熱
を行わせ、前記吐出用加熱手段によって当該吐出に到る
加熱を行わせることにより前記第2温度より高い第3温
度に上昇させ、その後前記サブ加熱手段によって前記第
3温度を維持させるヘッド温度制御手段とを具えたこと
を特徴とする。さらに別の形態では、被記録媒体にイン
クを吐出して記録を行うインクジェット記録装置におい
て、インクを吐出するための記録ヘッドと、前記記録ヘ
ッド内のインクを加熱し、該加熱によってインクに生じ
る気泡の生成に基づきインクを吐出させることが可能な
吐出用加熱手段と、前記記録ヘッドを加熱し、前記吐出
用加熱手段より加熱エネルギーが小さいサブ加熱手段
と、前記記録ヘッドの温度を検出するための温度検出手
段と、該温度検出手段が検出する温度が目的温度に到達
までは少なくとも前記吐出用加熱手段によって加熱を行
わせ、前記目的温度に到達後は前記サブ加熱手段によっ
て前記目的温度を維持させるヘッド温度制御手段とを具
えたことを特徴とする。
【0015】
【作用】通常電力で効果的な加熱を行うことのできる吐
出用加熱手段によって速やかな温度上昇を得ることがで
き、その後は、その制御が容易なサブ加熱手段によって
一定の記録ヘッド温度に維持される。
【0016】
【実施例】以下、図面を参照して本発明の実施例を詳細
に説明する。
【0017】図1は本発明を適用したインクジェット記
録装置の斜視図を示し、複写装置の記録部を構成するも
のである。しかしながら、本発明を適用したインクジェ
ット記録装置は、プリンタ,ファクシミリの記録部等、
広範囲な装置の記録部として用いることができるのは勿
論である。
【0018】この装置は交換可能な記録ヘッドを黒(B
k),シアン(C),マゼンタ(M),イエロー(Y)
4色のインクに対応して備えたフルカラーシリアルタイ
プの記録装置である。本装置に使用した記録ヘッドは、
解像度400dpi,駆動周波数4KHzで、128個
の吐出口を有している。
【0019】図1において、CはY,M,C,Bkの各
インクに対応した4個の記録ヘッドカートリッジであ
り、記録ヘッドとこれにインクを供給するインクを貯留
したインクタンクとが一体に形成されている。各記録ヘ
ッドカートリッジCはキャリッジ2に対して不図示の構
成によって着脱自在に装着される。キャリッジ2は、ガ
イド軸11と摺動可能に係合し、また、不図示の主走査
モータによって移動する駆動ベルト52の一部と接続す
る。これにより、記録ヘッドカートリッジCはガイド軸
11に沿った移動が可能となる。15,16および1
7,18は記録ヘッドカートリッジCの走査領域の図中
奥側および手前側においてガイド軸11とほぼ平行に延
在する搬送ローラである。搬送ローラ15,16および
17,18は不図示の副走査モータによって駆動され記
録媒体Pを搬送する。この搬送される記録媒体Pは記録
ヘッドカートリッジCの走査領域に対応して記録面を構
成する。
【0020】記録ヘッドカートリッジCによる記録領域
に隣接するカートリッジCの移動可能な領域に臨んで回
復系ユニットが設けられる。回復系ユニットにおいて、
300は記録ヘッドを有する複数のカートリッジCにそ
れぞれ対応して設けたキャップユニットであり、キャリ
ッジ2の移動に伴なって図中左右方向にスライド可能で
あるとともに、上下方向に昇降可能である。そしてキャ
リッジ2がホームポジションにあるときには、記録ヘッ
ド部と接合してこれをキャッピングする。また、回復系
ユニットにおいて、401および402は、それぞれワ
イピング部材としての第1および第2ブレード、403
は第1ブレード401をクリーニングするための、例え
ば吸収体でなるブレードクリーナである。
【0021】さらに、500はキャップユニット300
を介して記録ヘッドの吐出口およびその近傍からインク
等を吸収するためのポンプユニットである。
【0022】図2は上記インクジェット記録装置におけ
る制御系の構成例を示すブロック図である。
【0023】ここで、800は主制御部をなすコントロ
ーラであり、後述されるシーケンス等を実行する例えば
マイクロコンピュータ形態のCPU801、その手順に
対応したプログラムやテーブル,ヒートパルスの電圧
値,パルス幅その他の固定データを格納したROM80
3、および画像データを展開する領域や作業用の領域等
を設けたRAM805を有する。810は画像データの
供給源をなすホスト装置(画像読取りのリーダ部であっ
てもよい)であり、画像データその他コマンド,ステー
タス信号等はインターフェース(I/F)812を介し
てコントローラと送受信される。
【0024】820は電源スイッチ822、記録(コピ
ー)開始を指令するためのコピースイッチ824および
大回復の起動を指示するための大回復スイッチ826
等、操作者による指令入力を受容するスイッチ群であ
る。830はホームポジションやスタートポジション等
キャリッジ2の位置を検出するためのセンサ832、お
よびリーフスイッチ530を含みポンプ位置検出のため
に用いるセンサ834等、装置状態を検出するためのセ
ンサ群である。
【0025】840は記録データ等に応じて記録ヘッド
の電気熱変換体(吐出用ヒータ)を駆動するためのヘッ
ドドライバである。また、ヘッドドライバの一部はサブ
ヒータ30A,30Bを駆動することにも用いられる。
さらに、温度センサ20A,20Bで検出された温度検
出値はコントローラ800に入力する。850はキャリ
ッジ2を主走査方向(図10の左右方向)に移動させる
ための主走査モータ、852はそのドライバである。8
60は副走査モータであり、記録媒体を搬送(副走査)
するために用いられる。
【0026】図1,2に示した装置に装着される記録ヘ
ッドを以下に示す。
【0027】図3は図1に示すインクジェット記録装置
のキャリッジ2に搭載可能なヘッドカートリッジCの一
構成例を示す。本例に係るカートリッジCは、インクタ
ンクユニットITとヘッドユニット(記録ヘッド)IJ
Uとを一体に有しており、また、これらは互いに着脱で
きるようになっている。ヘッドユニットのインク吐出部
101を駆動するための信号等を受容するとともにイン
ク残量検知信号の出力を行うための配線コネクタ102
は、ヘッドユニットIJUおよびインクタンクユニット
ITに並ぶ位置に設けてある。従って、このカートリッ
ジCを後述のキャリッジに装填した際にとる姿勢におい
て、その高さHを低くすることができるとともに、カー
トリッジCの厚みを薄形化することができる。これによ
り図1に示すようにカートリッジCを並べて配置すると
きにキャリッジ2を小さく構成することが可能である。
【0028】ヘッドカートリッジCのキャリッジ2への
装着にあたっては、吐出部101を下側にした状態でイ
ンクタンクユニットITに設けたつまみ201を把持し
てキャリッジ2上に配置することができる。このつまみ
201は、カートリッジCの装着動作を行うためのキャ
リッジ2に設けたレバー(図1には不図示)に係合す
る。そして、その装着時にはキャリッジ側に設けたピン
がヘッドユニットIJUのピン係合部103に係合し、
ヘッドユニットIJUの位置決めがなされる。
【0029】本例に係るヘッドカートリッジCには、イ
ンク吐出部101の表面をワイピングしてこれを清掃す
る部材をクリーニングするための吸収体104が、イン
ク吐出部101に並置されている。また、インク消費に
伴って空気を導入する大気連通口203が、インクタン
クユニット200のほぼ中央に設けられている。
【0030】図4はヘッドユニット(記録ヘッド)IJ
Uを構成するヒータボードを模式的に示す平面図であ
る。
【0031】ヒータボード853は、シリコンよりなる
基板上に温度センサ20A,20B、サブヒータ30
A,30B,吐出用ヒータ101h等が配設されること
により構成される。図4において、温度センサ20Aお
よび20Bは、ヒータボード上において、複数の吐出用
ヒータ101hの配列の左右側にそれぞれ配置される。
また、ヒータボードの左右端には、それぞれサブヒータ
30A,30Bが配設される。これら吐出用ヒータ10
1h、サブヒータ30A,30Bおよび温度センサ20
A,20Bは、駆動回路(ヘッドドライバ)840とと
もに半導体製造プロセスと同様のプロセスで一括形成さ
れる。
【0032】特に、温度センサ20A,20Bは駆動回
路840の一部としてのダイオード(不図示)と同時に
形成されたダイオードの出力温度特性を用いて温度セン
サとしている。本実施例の温度センサは、温度検出時に
200μAの定電流駆動を行っており、これにより、2
5℃で出力電圧が575±25mVで、温度依存性がほ
ぼ2.5mV/℃という出力特性を示す。この温度セン
サは、その製造上、温度依存性のばらつきは少ないが出
力電圧の振れが大きく、約25℃のばらつきを生ずる場
合がある。これに対して、本実施例で必要とする温度検
知精度は2℃前後であるため、記録ヘッドの出荷時に補
正値を測定して記録ヘッドに情報を持たせなければなら
ない。そのためには、12ランクの識別情報が必要とな
る。温度センサのばらつきを製造工程で抑えることも可
能であるが、そのために、記録ヘッドの製造コストが増
大することは明らかであり、本実施例のように交換を前
提とした記録ヘッドの場合には、非常に不利である。そ
こで、本実施例では、記録装置本体に設けた基準センサ
で記録ヘッドの温度センサの補正を実施するように校正
している。検知温度の補正を行うことによって、吐出の
安定化に重要な、天板8fの一部によって囲まれた共通
液室内のインクの温度、特に、吐出部のインク温度を高
精度で検出することができ、これにより、吐出の安定化
を実現することが可能となる。
【0033】以上説明したインクジェット記録装置にお
ける記録ヘッド(ヘッドユニット)の温度制御につい
て、以下に説明する。
【0034】本発明の実施例を説明する前に、比較例と
して、サブヒータおよび吐出用ヒータをそれぞれ単独で
用いた温調について説明する。
【0035】ここでは、環境温度5℃で、25℃の温調
を行う場合を例として説明する。
【0036】(サブヒータ単独による温調)仮に、サブ
ヒータとして2Wのものを2個用いた場合、記録ヘッド
の温度は5℃から25℃まで数秒で達し、温度上昇を非
常に早く行うことができるが、図5中aで示すように温
度リップルが大きく、安定した制御ができない。また、
駆動回路が故障した場合等、サブヒータの温度はかなり
上昇し発火する恐れがある。以上のようなサブヒータの
問題点を回避するために、より小さな出力である1.2
Wのサブヒータが用いられる。
【0037】1.2Wのサブヒータ2個を、図4に示す
ようにヒータボード上に配置した場合の昇温特性を図5
の曲線bに示す。温調方法は一定の時間間隔で記録ヘッ
ド温度を検出し、これが25℃未満であればサブヒータ
をオン状態(通電)にし、25℃以上になったらオフに
することを繰り返すものである。図5の曲線bから明ら
かなように、温度リップルは減少するもののヘッド温度
が5℃から記録可能な25℃まで昇温するのに、1分近
くかかってしまう。このように低温環境下では、記録指
令があってから温調を開始すると、実際の記録を開始す
るのが遅れてしまい、実質上の記録スピードが遅くなる
ことになる。
【0038】これに対してスタンバイ中に温調を行い、
記録指令(コピーオン)を受けたときに即時に記録を開
始することが考えられるが、ヘッド温度が目的温度の例
えば25℃になるまで比較的時間を要するのは上記した
場合と同じであり、また、環境温度と温調による目的温
度との温度差が大きいと、このスタンバイ中に記録ヘッ
ドの吐出口等を介してインク中の揮発性成分、特に水分
の蒸発量が増大し、そのために記録ヘッド内のインクが
増粘したり、インク中の染料濃度が増大して吐出不安定
になったり、記録濃度や色味が変化するなどの不具合が
生じ易い。さらにはスタンバイ時間が長い場合にはイン
ク水分蒸発や記録ヘッドの比較的高温状態によってイン
ク内で気泡の発生および成長が促進され、インクの吐出
安定性に悪影響を与え易くなる。
【0039】上述したように、サブヒータ単独での温調
には限界があり、記録速度の低下あるいは記録ヘッドの
吐出不安定化を招く。
【0040】(吐出用ヒータ単独による温調)吐出用ヒ
ータによる温調の方法は、通常、吐出のために駆動され
るヒータを、非吐出時に、発泡しない程度のパルス幅
(短パルス)で駆動することで、その周囲のインクを直
接加熱するものである。本比較例では、具体的には記録
ヘッド中の全吐出ヒータに2μsec程度のパルス幅の
電圧を印加し、最大駆動周波数の4KHzで駆動する。
このときのパルス幅2μsecは以下のようにして定め
られる。すなわち、吐出時のパルス幅は5μsecであ
り、実験では3μsec以上では発泡してしまうことが
確かめられているので、それ以下のパルス幅を設定する
必要がある。また、2.5μsec程度のパルス幅の場
合、1回のパルス印加で発泡を生じないようにしても、
4KHzで5秒以上駆動させると発泡を生じることがあ
る。このため、温調の際のパルス幅は2μsecに設定
される。ここで、なぜ短いパルス幅であるとインクが発
泡しないかと言えば、吐出用ヒータに印加する時間が短
いためにヒータ上の最高到達温度が低くなり、インク温
度が発泡するのに必要な温度まで上昇しないからであ
る。
【0041】このように短パルスによる駆動によれば、
インクを直接熱すること、およびインクが吐出されない
のでインクの吐出と共に熱が排出されないという理由
で、効果的にヘッド温度を上昇させることが可能とな
り、所定の温度に到達する時間が早くなる。すなわち、
記録ヘッド温度を昇温させるために比較的小さな電力で
速やかに温度を上げることが可能となる。
【0042】しかしながら、記録中に温調を行う場合、
吐出と吐出の間に温調を行わなければならないため温調
の制御が困難である。また、これを回避するための一方
法として、記録直前までは温調を行い記録中に温調を行
わないとすると、記録時間が長い場合にはヘッド温度が
目的温度に対してかなり低くなる不具合を生ずる。
【0043】ところで、上記説明は、図12(C),
(D)に示すようなシングルパルスを吐出用ヒータに印
加して駆動する方法における説明であったが、これに対
して、吐出用ヒータの駆動方法として複数の分割したパ
ルスを吐出用ヒータに印加して駆動する方法が提案され
ている。これは1つの吐出信号に対して何発かの短パル
スを印加した後、最後に比較的長い幅のパルスを印加し
てインク滴を吐出させるものである。このような駆動も
吐出用ヒータによる温調に用いることができる。
【0044】ここでは、図12(A),(B)に示すよ
うな、2つのパルスによる駆動について説明すると、1
つの吐出信号に対して、まず2μsec程度の比較的短
いパルス(プレパルス)を印加し(これによってインク
は発泡しない)、次に4μsec程度の比較的長いパル
ス(メインパルス,プレパルスがなくても発泡するパル
ス幅)を印加する。この駆動の利点はメインパルスだけ
では発泡の大きさを制御しにくいのを、プレパルスによ
りヒータ周囲のインク温度を上昇させることで、発泡を
大きくできることである。
【0045】このようなマルチパルスでの駆動が可能な
電気回路構成を有する記録ヘッドでは温調を行うに際し
て次のような利点がある。
【0046】上述した温調の際のシングルパルスによる
加熱は、2μsecのパルス幅で4KHzの駆動周波数
で行うものであったが、ダブルパルスによる温調はプレ
パルスおよびメインパルスのいずれも1μsecのパル
ス幅として、実質的に1μsec幅のパルスによる8K
Hzの駆動となる。この場合、シングルパルスの場合と
同じ熱量を供給した場合に吐出ヒータの最大到達温度を
低くすることが可能となるのである。
【0047】すなわち、上述したように、ヒータパルス
を印加する時間が長い程、ヒータの最高到達温度は高い
ものになるが、同じ幅のパルスでも、これを時分割して
印加すれば、時分割しないものに比べてヒータの最高到
達温度は低いが同じだけの熱量を供給することが可能と
なる。よって長い間短パルス加熱による温調を行っても
発泡してしまうという不具合が生じにくくなる。
【0048】しかしながら、このようなマルチパルスを
用いても、吐出の間に吐出用ヒータを用いた温調を行う
ことの困難性は解消されないままである。
【0049】以上説明したように、サブヒータ,吐出用
ヒータを単独で用いて行うそれぞれの温調には、何らか
の不具合があり、これを解消するための本発明のいくつ
かの実施例を以下に説明する。
【0050】(実施例1)本実施例においては、コピー
スイッチが押された場合に温調がスタートし、所定の目
的温度に達するとほぼ同時に記録をスタートさせる。こ
こでも上記比較例と同様に5℃の環境下において、目的
温度25℃の温調をするものとする。
【0051】本例の処理を図6および図9を参照して説
明する。
【0052】まず、コピースイッチが押された場合、図
6に示すように、ステップS101,S102でヘッド
温度をモニターし、これが23度未満であれば、ステッ
プS103で、吐出用ヒータを用いた短パルス駆動によ
る加熱をスタートさせる。ここで行う短パルス駆動は、
上述したダブルパルスによる擬似8KHz駆動であるが
シングルパルスでも同様なことは言うまでもない。以上
の短パルス加熱によるエネルギーは以下の通りとなる。
吐出用ヒータ1個の抵抗が約100Ω,印加パルスの電
圧が18.5Vであり、このような吐出用ヒータに通電
を続けると、吐出用ヒータ1個当りの加熱エネルギーは
約2.42Wとなる。しかしながら吐出しない程度の短
パルス加熱は4KHzの駆動周波数(250μsec周
期)でパルス幅1μsec×2=2μsecの駆動を行
うため、吐出用ヒータ1個が発するエネルギーは上記の
場合の2/250となる。吐出用ヒータは128個ある
ため、トータルのエネルギーはP=3.42×(2/2
50)×128≒3.5Wとなる。
【0053】これにより、図9に示されるようにヘッド
温度は23℃近傍まで速やかに上昇する。
【0054】ステップS102でヘッド温度をモニター
し、これが23℃となったらステップS104で短パル
ス加熱を停止し、次にサブヒータによる加熱を行う。こ
こで用いるサブヒータは1.2Wのエネルギーを発生す
るものであり、これが上述のようにヒータボードの両端
に1個ずつ設けられるのでトータルの出力エネルギーは
2.4Wとなり、吐出用ヒータのエネルギーよりも小さ
い。これは、83Ωの抵抗を有するサブヒータにそれぞ
れ10Vの電圧を印加することにより発生する。また、
ここでは23℃になるまで短パルス加熱を行っているが
特に23℃である必要はなく、次のサブヒータ温調によ
って即時にかつ安定して温調できる温度であれば良い。
【0055】ステップS101で、サブヒータによる加
熱によりヘッド温度が25℃以上であると判別される
と、ステップS105でサブヒータをオフとしてから、
ステップS106でコピー動作を行う。このコピー動作
の間はサブヒータ温調を行う。
【0056】すなわち、コピー動作では、一定の時間間
隔でその動作を抜け出し、ステップS107以降の処理
が行われるよう制御される。まず、ステップS107で
コピーが終了していないと判断すると、ステップS10
8およびステップS109,S110で、ヘッド温度を
モニターしその値が25℃未満ではサブヒータをオン状
態とし、25℃以上でオフとする。これにより、図9に
示す温度リップルの少ない25℃の温調が可能となる。
【0057】以上の温調によれば、5℃という低温環境
下でも、コピースイッチが押されてから約6秒で濃度む
らのない安定した画質の記録を開始することが可能とな
る。
【0058】(実施例2)本発明の第2実施例を図7お
よび図10を参照して説明する。
【0059】本実施例においては、本体装置の電源スイ
ッチがオンとなった場合にスタンバイ温調がスタート
し、所定の目的温度に達するとスタンバイ(当然温調は
継続して動作している。)となり、その後コピースイッ
チが押されると記録時温調がスタートし所定の目的温度
に達するとほぼ同時に記録をスタートさせる。ここでも
比較例と同様に5℃の環境下において、目的温度25℃
の記録時温調をするものとする。
【0060】また、スタンバイ時目的温度は20℃であ
る。このようにスタンバイ温調を設けたのは、上述した
ようにスタンバイ時に環境温度とヘッド温度の差が大き
いと、インク中の水分蒸発による各種弊害が起き易いた
めそれを防ぐこと、およびコピースイッチが押されてか
ら素早く温調され記録が開始することを可能とするため
である。
【0061】まず、電源スイッチが押された場合、図7
のステップS201,S202でヘッド温度をモニター
し、その値が18℃未満であるときは、ステップS20
3で短パルス加熱による温調をスタートさせる。ここで
行う短パルス加熱はダブルパルスによる擬似8KHz駆
動である。ここでもシングルパルスによる短パルス加熱
でも良いことは言うまでもない。そして18℃になった
ら、ステップS204で短パルス加熱を停止し、同時に
サブヒータによる加熱を行う。ここで用いるサブヒータ
は実施例1と同様のものである。また、ここでは18℃
になるまで短パルス加熱行っているが、特に18℃であ
る必要はなく、次のサブヒータによって即時にスタンバ
イ温調できれば良い。
【0062】ステップS201で、ヘッド温度が20℃
に達すると、ステップS205でサブヒータをオフとす
る。以上により、図10に示される電源オン直後の急加
熱およびスタンバイ時温調を行うことができる。
【0063】次に、ステップS206でスタンバイ時に
コピースイッチが押されたと判断されると、記録前の空
吐出(予備吐出)を行う(ステップS207)。これは
スタンバイ中に増粘した吐出口近傍のインクをリフレッ
シュするためであるが、そのときにヘッド温度が上昇す
ることを利用し、比較的高周波数の駆動を行うことで、
図10に示されるように瞬時に25℃までヘッド温度を
上昇させる。この温度上昇は、具体的には4KHzで全
吐出口から約0.2秒空吐出を行うことで達成される。
その後、実施例1にて説明したのと同様のサブヒータに
よる温調を開始し、それとほぼ同時にコピー動作(記
録)をスタートさせる。
【0064】以上の実施例によれば、電源オン時には3
秒程度で速やかにスタンバイ状態になり、かつコピース
イッチオン時には、ほぼ同時に記録を開始しても濃度む
らのない高品質な記録をすることが可能となる。
【0065】また、長時間スタンバイ状態でも、20℃
の温調であるため、25℃で記録を待機する場合に比べ
て、比較的インク中の水分蒸発量も少なく、またインク
中の気泡も生じにくい。
【0066】(実施例3)本発明の第3実施例を図8お
よび図11を参照して説明する。
【0067】本実施例においてはコピースイッチが押さ
れた場合に温調がスタートし、所定の目的温度に達する
とほぼ同時に記録をスタートさせる。ここでも比較例と
同様に5℃の環境下において、目的温度25℃の温調を
行うものとする。
【0068】コピースイッチが押されると、図8に示す
ように、ステップS301,S302で記録ヘッド温度
をモニターし、これが23℃以下の場合は、短パルス駆
動しサブヒータによる加熱を同時にスタートさせる。こ
こで行う短パルス駆動およびサブヒータは上記実施例
1,2と同様なものである。
【0069】ステップS302でヘッド温度をモニター
し23℃になったら短パルス加熱をやめ、引き続きサブ
ヒータによる加熱を行う。そして、ステップS301で
ヘッド温度が25℃になったと判断すると、ステップS
305でサブヒータをオフとして、ステップS306以
降のコピー動作を行う。このコピー動作およびこの間の
サブヒータ温調は実施例1と同様のものである。
【0070】上記実施例によれば、5℃という低温環境
下でも、コピースイッチが押されてから約2秒という比
較的早い時間で、濃度むらのない安定した画質の記録を
開始することが可能となる。
【0071】(他の実施例)上記実施例1〜3の説明で
は、温調の方法として温度センサによりヘッド温度をモ
ニターしながらその値によって短パルス加熱およびサブ
ヒータによる加熱のオン・オフを併用するというものだ
ったが、温調開始直前のヘッド温度の値に応じて所定の
時間の間だけ、ヘッド温度をモニターせず所定の加熱動
作を行い、その後は上記説明したような方法で一定の時
間間隔でヘッド温度をモニターしながらサブヒータによ
る温調を行う方法を行っても良い。
【0072】この方法によれば、電源オン時の各種処理
を行う装置の場合には、はじめにヘッド温度を検知して
から所定の加熱を行う所定時間の間はヘッド温度をモニ
ターする必要がないことから、その他の処理を集中して
行うことが可能であるという利点がある。
【0073】(その他)なお、本発明は、特にインクジ
ェット記録方式の中でも、インク吐出を行わせるために
利用されるエネルギとして熱エネルギを発生する手段
(例えば電気熱変換体やレーザ光等)を備え、前記熱エ
ネルギによりインクの状態変化を生起させる方式の記録
ヘッド、記録装置において優れた効果をもたらすもので
ある。かかる方式によれば記録の高密度化,高精細化が
達成できるからである。
【0074】その代表的な構成や原理については、例え
ば、米国特許第4723129号明細書,同第4740
796号明細書に開示されている基本的な原理を用いて
行うものが好ましい。この方式は所謂オンデマンド型,
コンティニュアス型のいずれにも適用可能であるが、特
に、オンデマンド型の場合には、液体(インク)が保持
されているシートや液路に対応して配置されている電気
熱変換体に、記録情報に対応していて核沸騰を越える急
速な温度上昇を与える少なくとも1つの駆動信号を印加
することによって、電気熱変換体に熱エネルギを発生せ
しめ、記録ヘッドの熱作用面に膜沸騰を生じさせて、結
果的にこの駆動信号に一対一で対応した液体(インク)
内の気泡を形成できるので有効である。この気泡の成
長,収縮により吐出用開口を介して液体(インク)を吐
出させて、少なくとも1つの滴を形成する。この駆動信
号をパルス形状とすると、即時適切に気泡の成長収縮が
行われるので、特に応答性に優れた液体(インク)の吐
出が達成でき、より好ましい。このパルス形状の駆動信
号としては、米国特許第4463359号明細書,同第
4345262号明細書に記載されているようなものが
適している。なお、上記熱作用面の温度上昇率に関する
発明の米国特許第4313124号明細書に記載されて
いる条件を採用すると、さらに優れた記録を行うことが
できる。
【0075】記録ヘッドの構成としては、上述の各明細
書に開示されているような吐出口,液路,電気熱変換体
の組合せ構成(直線状液流路または直角液流路)の他に
熱作用部が屈曲する領域に配置されている構成を開示す
る米国特許第4558333号明細書,米国特許第44
59600号明細書を用いた構成も本発明に含まれるも
のである。加えて、複数の電気熱変換体に対して、共通
するスリットを電気熱変換体の吐出部とする構成を開示
する特開昭59−123670号公報や熱エネルギの圧
力波を吸収する開孔を吐出部に対応させる構成を開示す
る特開昭59−138461号公報に基いた構成として
も本発明の効果は有効である。すなわち、記録ヘッドの
形態がどのようなものであっても、本発明によれば記録
を確実に効率よく行うことができるようになるからであ
る。
【0076】さらに、記録装置が記録できる記録媒体の
最大幅に対応した長さを有するフルラインタイプの記録
ヘッドに対しても本発明は有効に適用できる。そのよう
な記録ヘッドとしては、複数記録ヘッドの組合せによっ
てその長さを満たす構成や、一体的に形成された1個の
記録ヘッドとしての構成のいずれでもよい。
【0077】加えて、上例のようなシリアルタイプのも
のでも、装置本体に固定された記録ヘッド、あるいは装
置本体に装着されることで装置本体との電気的な接続や
装置本体からのインクの供給が可能になる交換自在のチ
ップタイプの記録ヘッド、あるいは記録ヘッド自体に一
体的にインクタンクが設けられたカートリッジタイプの
記録ヘッドを用いた場合にも本発明は有効である。
【0078】また、本発明の記録装置の構成として、記
録ヘッドの吐出回復手段、予備的な補助手段等を付加す
ることは本発明の効果を一層安定できるので、好ましい
ものである。これらを具体的に挙げれば、記録ヘッドに
対してのキャッピング手段、クリーニング手段、加圧或
は吸引手段、電気熱変換体或はこれとは別の加熱素子或
はこれらの組み合わせを用いて加熱を行う予備加熱手
段、記録とは別の吐出を行なう予備吐出手段を挙げるこ
とができる。
【0079】また、搭載される記録ヘッドの種類ないし
個数についても、例えば単色のインクに対応して1個の
みが設けられたものの他、記録色や濃度を異にする複数
のインクに対応して複数個数設けられるものであっても
よい。すなわち、例えば記録装置の記録モードとしては
黒色等の主流色のみの記録モードだけではなく、記録ヘ
ッドを一体的に構成するか複数個の組み合わせによるか
いずれでもよいが、異なる色の複色カラー、または混色
によるフルカラーの各記録モードの少なくとも一つを備
えた装置にも本発明は極めて有効である。
【0080】さらに加えて、以上説明した本発明実施例
においては、インクを液体として説明しているが、室温
やそれ以下で固化するインクであって、室温で軟化もし
くは液化するものを用いてもよく、あるいはインクジェ
ット方式ではインク自体を30℃以上70℃以下の範囲
内で温度調整を行ってインクの粘性を安定吐出範囲にあ
るように温度制御するものが一般的であるから、使用記
録信号付与時にインクが液状をなすものを用いてもよ
い。加えて、熱エネルギによる昇温を、インクの固形状
態から液体状態への状態変化のエネルギとして使用せし
めることで積極的に防止するため、またはインクの蒸発
を防止するため、放置状態で固化し加熱によって液化す
るインクを用いてもよい。いずれにしても熱エネルギの
記録信号に応じた付与によってインクが液化し、液状イ
ンクが吐出されるものや、記録媒体に到達する時点では
すでに固化し始めるもの等のような、熱エネルギの付与
によって初めて液化する性質のインクを使用する場合も
本発明は適用可能である。このような場合のインクは、
特開昭54−56847号公報あるいは特開昭60−7
1260号公報に記載されるような、多孔質シート凹部
または貫通孔に液状又は固形物として保持された状態
で、電気熱変換体に対して対向するような形態としても
よい。本発明においては、上述した各インクに対して最
も有効なものは、上述した膜沸騰方式を実行するもので
ある。
【0081】さらに加えて、本発明インクジェット記録
装置の形態としては、コンピュータ等の情報処理機器の
画像出力端末として用いられるものの他、リーダ等と組
合せた複写装置、さらには送受信機能を有するファクシ
ミリ装置の形態を採るもの等であってもよい。
【0082】
【発明の効果】以上の説明から明らかなように、本発明
によれば通常電力で効果的な加熱を行うことのできる吐
出用加熱手段によって速やかな温度上昇を得ることがで
き、その後は、その制御が容易なサブ加熱手段によって
一定の記録ヘッド温度に維持される。この結果、それぞ
れの加熱手段の利点のみを利用して記録ヘッドの温度を
制御することができ、これにより、良好なヘッド温度制
御が可能となるとともに、濃度むらのない高品位の画像
記録が可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明を適用可能なインクジェット記録装置の
一例を示す斜視図である。
【図2】図1に示した装置の制御構成を示すブロック図
である。
【図3】図1に示した装置されるヘッドカートリッジを
示す斜視図である。
【図4】上記ヘッドカートリッジを構成する記録ヘッド
のヒータボードを示す模式的平面図である。
【図5】本発明の比較例にかかる温調を説明するための
線図である。
【図6】本発明の第1実施例にかかる温調処理を示すフ
ローチャートである。
【図7】本発明の第2実施例にかかる温調処理を示すフ
ローチャートである。
【図8】本発明の第3実施例にかかる温調処理を示すフ
ローチャートである。
【図9】上記第1実施例による温調を説明するための線
図である。
【図10】上記第2実施例による温調を説明するための
線図である。
【図11】上記第3実施例による温調を説明するための
線図である。
【図12】(A),(B),(C)および(D)は、本
発明の実施例で用いることが可能な吐出用ヒータの駆動
パルスをそれぞれ示す波形図である。
【符号の説明】
20A,20B 温度センサ 30A,30B サブヒータ 101h 吐出用ヒータ(電気熱変換体) 801 CPU 803 ROM 805 RAM 853 ヒータボード C ヘッドカートリッジ
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (56)参考文献 特開 平1−192562(JP,A) 特開 平3−5151(JP,A) 特開 平3−240544(JP,A) 特開 平4−18359(JP,A) 特開 平3−292161(JP,A) 特開 平3−63137(JP,A) 特開 平2−3324(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) B41J 2/125 B41J 2/05

Claims (9)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 被記録媒体にインクを吐出して記録を行
    うインクジェット記録装置において、 インクを吐出するための記録ヘッドと、 前記記録ヘッド内のインクを加熱し、該加熱によってイ
    ンクに生じる気泡の生成に基づきインクを吐出させるこ
    とが可能な吐出用加熱手段と、 前記記録ヘッドを加熱するためのサブ加熱手段と、 前記記録ヘッドの温度を検出するための温度検出手段
    と、 該温度検出手段が検出する温度が第1温度までは、少な
    くとも前記吐出用加熱手段によって加熱を行わせ、前記
    第1温度より高い第2温度までは前記サブ加熱手段によ
    って加熱を行わせるヘッド温度制御手段とを具えたこと
    を特徴とするインクジェット記録装置。
  2. 【請求項2】 前記サブ加熱手段は、前記吐出用加熱手
    段より、加熱エネルギーが小さいことを特徴とする請求
    項1に記載のインクジェット記録装置。
  3. 【請求項3】 前記第温度まで上昇させる前記吐出用
    加熱手段による加熱は、少なくとも当該吐出に至らない
    加熱を含むことを特徴とする請求項1または2に記載の
    インクジェット記録装置。
  4. 【請求項4】 前記サブ加熱手段を用いて前記温度を前
    記第2温度とする制御は、前記記録ヘッドが前記記録の
    ためにインクを吐出している期間に行われることを特徴
    とする請求項1ないし3のいずれかに記載のインクジェ
    ット記録装置。
  5. 【請求項5】 被記録媒体にインクを吐出して記録を行
    うインクジェット記録装置において、 インクを吐出するための記録ヘッドと、 前記記録ヘッド内のインクを加熱し、該加熱によってイ
    ンクに生じる気泡の生成に基づきインクを吐出させるこ
    とが可能な吐出用加熱手段と、 前記記録ヘッドを加熱するためのサブ加熱手段と、 前記記録ヘッドの温度を検出するための温度検出手段
    と、 該温度検出手段が検出する温度が第1温度までは、少な
    くとも前記吐出用加熱 手段によって加熱を行わせ、前記
    第1温度より高い第2温度までは前記サブ加熱手段によ
    って加熱を行わせ、前記吐出用加熱手段によって当該吐
    出に到る加熱を行わせることにより前記第2温度より高
    い第3温度に上昇させ、その後前記サブ加熱手段によっ
    て前記第3温度を維持させるヘッド温度制御手段とを具
    えたことを特徴とするインクジェット記録装置。
  6. 【請求項6】 前記温度が前記第温度に制御される期
    間は、前記記録のための動作を待機している期間である
    ことを特徴とする請求項5に記載のインクジェット記録
    装置。
  7. 【請求項7】 前記ヘッド温度制御手段は、前記サブ加
    熱手段をさらに用いて、前記温度を前記第1温度から前
    記第2温度まで上昇させることを特徴とする請求項1な
    いし4のいずれかに記載のインクジェット記録装置。
  8. 【請求項8】 被記録媒体にインクを吐出して記録を行
    うインクジェット記録装置において、 インクを吐出するための記録ヘッドと、 前記記録ヘッド内のインクを加熱し、該加熱によってイ
    ンクに生じる気泡の生成に基づきインクを吐出させるこ
    とが可能な吐出用加熱手段と、 前記記録ヘッドを加熱し、前記吐出用加熱手段より加熱
    エネルギーが小さいサブ加熱手段と、 前記記録ヘッドの温度を検出するための温度検出手段
    と、 該温度検出手段が検出する温度が目的温度に到達までは
    少なくとも前記吐出用加熱手段によって加熱を行わせ、
    前記目的温度に到達後は前記サブ加熱手段によって前記
    目的温度を維持させるヘッド温度制御手段とを具えたこ
    とを特徴とするインクジェット記録装置。
  9. 【請求項9】 前記ヘッド温度制御手段により維持され
    る目的温度は、前記記録のための動作を待機している期
    間の第1目的温度と、前記第1目的温度よりも高く前記
    記録のための動作をしている期間の第2目的温度である
    ことを特徴とする請求項8に記載のインクジェット記録
    装置。
JP2272792A 1992-02-07 1992-02-07 インクジェット記録装置 Expired - Fee Related JP3110538B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2272792A JP3110538B2 (ja) 1992-02-07 1992-02-07 インクジェット記録装置

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2272792A JP3110538B2 (ja) 1992-02-07 1992-02-07 インクジェット記録装置

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JPH05220965A JPH05220965A (ja) 1993-08-31
JP3110538B2 true JP3110538B2 (ja) 2000-11-20

Family

ID=12090792

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2272792A Expired - Fee Related JP3110538B2 (ja) 1992-02-07 1992-02-07 インクジェット記録装置

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP3110538B2 (ja)

Families Citing this family (6)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP4573973B2 (ja) * 2000-09-06 2010-11-04 キヤノン株式会社 インクジェット記録ヘッド
JP5037762B2 (ja) 2001-07-31 2012-10-03 キヤノン株式会社 インクジェット記録装置、及びインクジェット記録装置におけるヘッド温度制御方法
JP2007268762A (ja) 2006-03-30 2007-10-18 Canon Inc インクジェット記録装置およびその温度制御方法
JP5534740B2 (ja) * 2008-08-29 2014-07-02 キヤノン株式会社 液体吐出ヘッド用基板及びこれを用いた液体吐出ヘッド
JP7167733B2 (ja) * 2018-03-14 2022-11-09 株式会社リコー 液滴吐出装置、液滴吐出方法及びプログラム
JP7171320B2 (ja) * 2018-08-31 2022-11-15 キヤノン株式会社 インクジェット記録装置、その制御方法、及びプログラム

Also Published As

Publication number Publication date
JPH05220965A (ja) 1993-08-31

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP3247412B2 (ja) インクジェット記録方法、インクジェット記録装置、およびインクジェット記録ヘッド
JPH07323552A (ja) インク滴吐出量制御方法、インクジェット記録装置および情報処理システム
JPH0839807A (ja) インクジェットプリント方法および装置
JPH1016228A (ja) インクジェットプリント装置および該装置用プリントヘッドの保温制御方法
JPH03227636A (ja) 液体噴射記録装置
JP2877971B2 (ja) インクジェット記録装置
JP3110538B2 (ja) インクジェット記録装置
JPH1086405A (ja) 記録ヘッド及びその記録ヘッドを用いた記録装置
JP3247404B2 (ja) インクジェット記録ヘッドの吐出制御方法およびインクジェット記録装置
JPH07323550A (ja) インクジェットプリント装置の制御方法およびインクジェットプリント装置
JPH11192724A (ja) インクジェットプリント装置およびインク有無判定方法
WO2013080405A1 (ja) インクジェット記録装置およびインクジェット記録装置の制御方法
JPH09207358A (ja) インクジェット記録方法およびその装置
JPH1029321A (ja) インクジェットプリント装置およびプリント方法
JP3162892B2 (ja) 液体噴射記録装置及び該装置におけるヘッド温度制御方法
JP3313751B2 (ja) インクジェット記録ヘッドの吐出制御方法
JPH0531918A (ja) インクジエツト記録装置
US7377612B2 (en) Inkjet recording apparatus
JP2952083B2 (ja) インクジェット記録装置
JP3155762B2 (ja) インクジェット記録装置
JP2966121B2 (ja) インクジェット記録装置および該装置のインクリフレッシュ方法
JP3183798B2 (ja) インクジェット装置およびインクジェット方法
JP2001096732A (ja) インクジェット記録装置
JPH09277503A (ja) 記録装置及び方法
JP3183796B2 (ja) インクジェット装置およびインクジェット方法

Legal Events

Date Code Title Description
FPAY Renewal fee payment (prs date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20070914

Year of fee payment: 7

FPAY Renewal fee payment (prs date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20080914

Year of fee payment: 8

FPAY Renewal fee payment (prs date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20090914

Year of fee payment: 9

FPAY Renewal fee payment (prs date is renewal date of database)

Year of fee payment: 9

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20090914

FPAY Renewal fee payment (prs date is renewal date of database)

Year of fee payment: 10

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20100914

FPAY Renewal fee payment (prs date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20100914

Year of fee payment: 10

FPAY Renewal fee payment (prs date is renewal date of database)

Year of fee payment: 11

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20110914

LAPS Cancellation because of no payment of annual fees