JP2952083B2 - インクジェット記録装置 - Google Patents

インクジェット記録装置

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JP2952083B2
JP2952083B2 JP19318791A JP19318791A JP2952083B2 JP 2952083 B2 JP2952083 B2 JP 2952083B2 JP 19318791 A JP19318791 A JP 19318791A JP 19318791 A JP19318791 A JP 19318791A JP 2952083 B2 JP2952083 B2 JP 2952083B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、記録ヘッドから被記録
材に対しインクを吐出させて記録を行うインクジェット
記録装置に関する。
【0002】
【従来の技術】プリンタ、複写機、ファクシミリ等の記
録装置は、画像情報に基づいて、紙やプラスチック薄板
等の被記録材上にドットパタ−ンからなる画像を記録し
ていくように構成されている。前記記録装置は、記録方
式により、インクジェット式、ワイヤドット式、サ−マ
ル式、レ−ザ−ビ−ム式等に分けることができ、そのう
ちのインクジェット式(インクジェット記録装置)は、
記録ヘッドの吐出口からインク(記録液)滴を吐出飛翔
させ、これを被記録材に付着させて記録するように構成
されている。
【0003】近年、数多くの記録装置が使用されるよう
になり、これらの記録装置に対して、高速記録、高解像
度、高画像品質、低騒音などが要求されている。このよ
うな要求に応える記録装置として、前記インクジェット
記録装置を挙げることができる。記録ヘッドからインク
を吐出させて記録を行うインクジェット記録装置では、
上記要求を満たすために必要なインク吐出の安定化、イ
ンク吐出量の安定化は、吐出部のインクの温度に影響さ
れる部分が大きい。すなわち、インクの温度が低過ぎる
とインクの粘度が異常に低下し通常の吐出エネルギーで
は吐出できなくなったり、逆に温度が高すぎると吐出量
が増大して記録紙上でインクが溢れるなどして画像品質
の低下を招いてしまう。
【0004】このため、従来のインクジェット記録装置
にあっては、記録ヘッド部に温度センサ−を設け、記録
ヘッドの検出温度に基づいて吐出部のインクの温度を所
望範囲に制御する方法や吐出回復処理を制御する方法が
採られていた。なお、上記温度制御用のヒ−タとして
は、記録ヘッド部に接合した加熱用のヒ−タ部材や、熱
エネルギ−を利用して飛翔的液滴を形成して記録を行う
インクジェット方式の記録装置、すなわち、インクの膜
沸騰による気泡成長によりインク液滴を吐出させるもの
に於いては吐出用ヒ−タ自体が用いられている場合もあ
る。なお、上記吐出用ヒ−タを用いる場合に発泡しない
程度に通電する必要がある。
【0005】熱エネルギ−を用いて固体インクや液体イ
ンクに気泡を形成することに応じて吐出インク液滴を得
る記録装置に於いては、記録ヘッドの温度により吐出特
性が大きく変化するので、吐出部のインク及びそれに多
大に影響する記録ヘッドの温度管理は、特に重要であ
る。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】しかし、記録ヘッドの
温度管理の上で重要となる吐出特性への影響が大きい吐
出部のインク温度の測定は、吐出部が熱源でもあること
から管理上必要となるインクの温度変動以上にセンサの
検出温度が大きく変動することと、インク自体が移動す
ることにより非常に難しい。そのため、吐出時のインク
の温度の測定を高精度で行うために単純に温度検知セン
サを記録ヘッドの近傍に配置しても、却ってインク自体
の温度変動は測定しにくくなっていた。
【0007】インクの温度管理の手段のひとつとして、
記録ヘッドの温度の安定化により間接的にインク温度の
安定化を実現するインクジェット記録装置の提案があ
る。米国特許第4910528号明細書には、吐出ヒ−
タのごく近傍に設置した温度センサの検出温度を基準に
して、引き続き行われる所定時間内での吐出ヒータの駆
動量の予測に応じて記録時の記録ヘッドの温度を安定化
する手段を持つインクジェットプリンターが開示されて
いる。すなわち、予測温度に応じて記録ヘッドの加熱手
段、吐出ヒータへの通電手段、記録ヘッドの温度を所定
値以下に維持するためのキャリッジ駆動制御手段、キャ
リッジ走査の遅延手段、キャリッジ走査速度の低減手
段、記録ヘッドからの液滴吐出の記録シーケンスの変更
手段などを制御することにより、記録ヘッドの温度を安
定化するものである。
【0008】しかしながら、米国特許第4910528
号明細書に開示されたインクジェットプリンタは、記録
ヘッドの温度安定化を優先させる余り、記録速度の低下
などの不都合を生ずる場合もあり十分なものではなかっ
た。
【0009】そこで、本発明は上述の問題点を解決する
ためになされたもので、吐出部のインク温度を高精度で
予測し、インク温度の変動に応じて吐出の安定化を行う
ことを目的とする。
【0010】
【課題を解決するための手段及び作用】本発明は上記目
的を達成するために、記録時に温度変動を伴う記録ヘッ
ドと、記録ヘッドを記録が可能な環境温度よりも高い所
定の保温温度に維持する保温手段と、記録に先立って記
録時の吐出部のインク温度の変化を予測する温度予測手
段と、吐出部のインク温度に応じて吐出の安定化を行う
吐出安定化手段とをインクジェット記録装置に具備する
ものである。
【0011】より詳しくは、前記保温手段を記録ヘッド
に設けられた加熱部材と記録ヘッドとは熱的に略隔絶し
た記録装置本体に設けた環境温度検知部材とで構成する
とともに、保温のための温度推定手段として、前記環境
温度検知部材の検知温度に加え、吐出部の熱時定数に基
づき少なくとも前記加熱部材の過去の加熱履歴およびイ
ンク吐出のために過去に記録ヘッドに供給した投入エネ
ルギ−の履歴とを用いて現在の温度を演算推定する現在
温度推定手段を有し、前記温度予測手段として、前記現
在温度推定手段の推定温度に加え、記録時に記録ヘッド
に供給する予定の投入エネルギ−と吐出部の熱時定数と
に基づいて前記吐出部のインクの温度変動を演算する温
度予測演算手段を具備するものであって、前記温度予測
演算手段は記録期間を所定の基準期間に分割するととも
に、基準期間に記録する予定のドット数と所定の基準駆
動パルスないしは記録開始時の駆動パルスを基に演算し
て各基準期間の平均投入エネルギ−とするとともに前記
保温温度に対してひとつの基準期間での平均投入エネル
ギ−と吐出部の熱時定数とから決定される昇温分とそれ
以前の各基準期間の平均投入エネルギ−に応じてその基
準期間に残余している昇温分とを記録開始時の推定温度
に順次積算して各基準期間での吐出部のインクの温度を
予測するか、ひとつの基準期間に記録する予定のドット
数とそれ以前の基準期間の駆動パルスとを基に演算して
その基準期間の平均投入エネルギ−とするとともに前記
保温温度に対してその基準期間での平均投入エネルギ−
と吐出部の熱時定数とから決定される昇温分とそれ以前
の各基準期間の平均投入エネルギ−に応じてその基準期
間に残余している昇温分とを記録開始時の推定温度に積
算してその基準期間の記録ヘッドの温度を予測するもの
である。
【0012】あるいは、記録時に温度変動を伴う記録ヘ
ッドと、記録ヘッドに熱的に結合し記録ヘッドを記録が
可能な環境温度よりも高い所定の保温温度に維持する自
己温度制御型の加熱部材と前記加熱部材の動作時間を管
理する保温タイマーとで構成した保温手段と、記録に先
立って記録時の吐出部のインク温度の変化を予測する温
度予測手段と、吐出部のインク温度に応じて吐出の安定
化を行う吐出安定化手段とを具備するものである。
【0013】より詳しくは、前記保温タイマーが所定の
時間経過するまでは記録動作を禁止ないしは警告すると
ともに、前記所定時間経過後の記録時は、前記温度予測
手段として前記保温温度に加え、記録時に記録ヘッドに
供給する予定の投入エネルギ−と吐出部の熱時定数とに
基づいて前記吐出部のインクの温度変動を演算する温度
予測演算手段を具備するか、環境温度を検出する環境温
度検出手段を有し、前記保温タイマーが環境温度に応じ
て定まる所定の時間経過するまでは保温タイマーの経過
時間と前記自己温度制御型の加熱部材と吐出部のインク
を含めた記録ヘッドの熱時定数とから現在温度を推定
し、前記所定の時間経過後は前記保温温度を現在温度と
する現在温度推定手段を具備し、前記温度予測手段とし
て前記現在温度に加え、記録時に記録ヘッドに供給する
予定の投入エネルギ−と吐出部の熱時定数とに基づいて
前記吐出部のインクの温度変動を演算する温度予測演算
手段を具備するものである。 さらに詳しくは、前記吐
出安定化手段は、吐出部のインクの予測温度に基づいて
記録ヘッドへの投入エネルギ−を変更する記録ヘッド駆
動信号変調手段を具備するとともにひとつの液滴の吐出
に際して記録ヘッド駆動信号を単数または複数のプレパ
ルスとメインパルスとで構成した上で少なくともプレパ
ルスによる投入エネルギ−を前記予測温度に応じて変調
するものであり、あるいは、インクの予測温度に基づい
て記録条件を変更するものか、吐出部のインクの予測温
度に基づいて記録ヘッドの回復条件を変更するものであ
る。
【0014】さらに、好ましくは、前記記録ヘッドは、
熱エネルギーによってインクに状態変化を生起させ、該
状態変化に基いてインクを吐出させるものである。
【0015】
【実施例】以下、本発明の実施例について図面を参照し
て詳細に説明する。図1は、本発明が実施もしくは適用
される好適なインクジェット記録装置IJRAの構成を
示す斜視図である。図1において、5001はインクタ
ンク(IT)であり、5012はそれに結合された記録
ヘッド(IJH)である。図2に示すように、5001
のインクタンクと5012の記録ヘッドで一体型の交換
可能なカ−トリッジ(IJC)を形成するものである。
5014は、そのカ−トリッジ(IJC)をプリンタ−
本体に取り付けるためのキャリッジ(HC)であり、5
003はそのキャリッジを副走査方向に走査するための
ガイドである。
【0016】5000は、Pで示す被印字物を主走査方
向に走査させるためのプラテンロ−ラである。5024
は、装置内の環境温度を測定するための温度センサ−で
ある。なお、キャリッジ5014には、記録ヘッド50
12に対して駆動のための信号パルス電流やヘッド温調
用電流を流すためのフレキシブルケ−ブル(図示せず)
が、プリンタ−をコントロ−ルするための電気回路(上
記温度センサ−5012等)を具備したプリント板(図
示せず)に接続されている。
【0017】図2は交換可能なカ−トリッジを示し、5
029はインク滴を吐出するためのノズル部である。さ
らに、上記構成のインクジェット記録装置IJRAを詳
細に説明する。この記録装置IJRAは駆動モ−タ50
13の正逆回転に連動して駆動力伝達ギア5011、5
009を介して回転するリ−ドスクリュ−5005の螺
旋溝5004に対して係合するキャリッジHCはピン
(不図示)を有し、矢印a,b方向に往復移動される。
5002は紙押え板であり、キャリッジ移動方向にわた
って紙をプラテン5000に対して押圧する。500
7、5008はフォトカプラでキャリッジHCのレバ−
5006のこの域での存在を確認してモ−タ5013の
回転方向切換等を行うためのホ−ムポジション検知手段
である。5016は記録ヘッドの前面をキャップするキ
ャップ部材5022を支持する部材で、5015はこの
キャップ内を吸引する吸引手段であり、キャップ内開口
5023を介して記録ヘッド5012の吸引回復を行
う。
【0018】5017は、クリ−ニングブレ−ドで、5
019はこのブレ−ド5017を前後方向に移動可能に
する部材であり、本体支持板5018にこれらは支持さ
れている。ブレ−ドは、この形態でなく周知のクリ−ニ
ングブレ−ドが本例に適用できることはいうまでもな
い。また、5021は、吸引回復の吸引を開始するため
のレバ−で、キャリッジHCと係合するカム5020の
移動に伴って移動し、駆動モ−タからの駆動力がクラッ
チ切換等の公知の伝達手段で移動制御される。
【0019】これらのキャッピング、クリ−ニング、吸
引回復は、キャリッジHCがホ−ムポジション側領域に
きたときに、リ−ドスクリュ−5005の作用によって
それらの対応位置で所望の処理が行えるように構成され
ているが、周知のタイミングで所望の作動を行うように
すれば、本例にはいずれも適用できる。
【0020】図3は記録ヘッド5012の詳細を示すも
のであり、支持体5300の上面に半導体製造プロセス
により形成されたヒ−タボ−ド5100が設けられてい
る。このヒ−タボ−ド5100に同一の半導体製造プロ
セスで形成された、記録ヘッド5012を保温し、温調
するための温調用ヒ−タ(昇温用ヒ−タ)5110が設
けられている。符号5200は前記支持体5300上に
配設された配線基板であって、該配線基板5200と温
調用ヒ−タ5110及び吐出用(メイン)ヒ−タ511
3とがワイヤ−ボンディング等により配線されている
(配線は不図示)。また、温調用ヒ−タ5110は、支
持体5300等にヒ−タボ−ド5100とは別のプロセ
スにより形成されたヒ−タ部材を貼りつけたものでもよ
い。
【0021】5114は吐出用ヒ−タ5113によって
加熱されて発生したバブルである。5115は吐出され
たインク液滴を示す。5112は吐出用のインクが記録
ヘッド内に流入するための共通液室である。
【0022】以下、本発明の実施例を図面を参照して具
体的に説明する。図4は、本発明が適用可能なインクジ
ェット記録装置の概略図である。ここで、8aはインク
ジェットカートリッジであり、上方にインクタンク部、
下方に記録ヘッド8b(図示せず)を有し、記録ヘッド
8bを駆動するための信号などを受信するためのコネク
タを設けてある。9はキャリッジで、4個のカートリッ
ジ(それぞれ異なった色のインクを収納しており、例え
ばブラック、シアン、マゼンタ、イエローなど)を位置
決めして搭載する。更に、記録ヘッドを駆動するための
信号などを伝達するためのコネクタホルダーを設けてあ
り、記録ヘッド8bと電気的に接続される。
【0023】9aはキャリッジ9の主走査方向に延在
し、キャリッジ9を摺動自在に支持する走査レール、9
cはキャリッジ9を往復動させるための駆動力を伝達す
る駆動ベルトである。また、10cおよび10dは、記
録ヘッドによる記録位置の前後に配置されて記録媒体の
挟持搬送を行うための搬送ローラ対、11は紙などの記
録媒体で、記録媒体11の被記録面を平坦に規制するプ
ラテン(不図示)に圧接されている。この時キャリッジ
9に搭載されたインクジェットカートリッジ8aの記録
ヘッド8bはキャリッジ9から下方へ突出して記録媒体
搬送用ローラ10c、10d間に位置し、記録ヘッド部
の吐出口形成面は、プラテン(不図示)の案内面に圧接
された被記録材11に平行に対向するようになってい
る。なお、駆動ベルト9cは主走査モータ63によって
駆動され、搬送ローラ対10c、10dは副走査モータ
64(図示せず)によって駆動される。
【0024】本例のインクジェット記録装置において
は、回復系ユニットを図1の左側にあるホームポジショ
ン側に配設してある。回復系ユニットにおいて、300
は記録ヘッド8bを有する複数のインクジェットカート
リッジ8cにそれぞれ対応して設けたキャップユニット
であり、キャリッジ9の移動にともなって図中左右方向
にスライド可能であるとともに、上下方向に昇降可能で
ある。そしてキャリッジ9がホームポジションにあると
きには記録ヘッド8bと接合してこれをキャッピング
し、記録ヘッド8bの吐出口内のインクが蒸発して増粘
・固着して吐出不良になるのを防いでいる。
【0025】又、回復系ユニットにおいて、500はキ
ャップユニット300に連通したポンプユニットであ
り、記録ヘッド8bが万一吐出不良になった場合、キャ
ップユニット300と記録ヘッド8bとを接合させて行
う吸引回復処理などに際して負圧を生じさせるのに用い
る。さらに、回復系ユニットにおいて、401はゴムな
どの弾性部材で形成されたワイピング部材としてのブレ
ード、402はブレード401を保持するためのブレー
ドホルダーである。
【0026】ここでは、キャリッジ9に搭載された4個
のインクジェットカートリッジはブラックインク(以下
Kと略す)、シアンインク(以下Cと略す)、マゼンタ
インク(以下Mと略す)、イエローインク(以下Yと略
す)を用いており、この順にインクを重ね合わせるよう
にした。カラー中間色はC,M,Yの各色のインクドッ
トを適当に重ね合わせることにより実現できる。即ち、
赤はMとY、青はCとM、緑はCとYを重ね合わせるこ
とにより実現できる。黒はC,M,Yの3色を重ねるこ
とにより実現できるが、この時の黒の発色が悪いのと精
度良く重ねることが困難なため、有彩色の縁どりが生じ
るのと単位時間当たりのインクの打ち込み密度が高くな
りすぎる。そこで、黒だけは別に打ち出す(黒インクを
用いる)ようにしている。
【0027】(制御構成)次に、上述した装置構成の各
部の記録制御を実行するための制御構成について、図5
を参照して説明する。同図において、60はCPU、6
1はCPU60が実行する制御プログラムを格納するプ
ログラムROM、62は各種データを保存しておくバッ
クアップRAMである。63は記録ヘッド搬送のための
主走査モータ、64は記録用紙搬送のための副走査モー
タで、ポンプによる吸引動作にも用いられる。65はワ
イピング用ソレノイド、66は給紙制御に用いる給紙ソ
レノイド、67は冷却用のファン、68は紙幅検知動作
のときにONする紙幅検知用LEDである。69は紙幅
センサ、70は紙浮きセンサ、71は給紙センサ、72
は排紙センサ、73は吸引ポンプの位置を検知する吸引
ポンプ位置センサである。74はキャリッジのホームポ
ジションを検知するキャリッジHPセンサ、75はドア
の開閉を検知するドアオープンセンサである。
【0028】78は4色のヘッドに対する記録データの
供給制御を行うゲートアレイ、79はヘッドを駆動する
ヘッドドライバ、8aは4色分のインクカ−トリッジ、
8bは4色分の記録ヘッドであり、ここでは8a,8b
としてブラック(Bk)を代表して示す。インクカ−ト
リッジ8aは、インクの残量を検知するインク残量セン
サ8fを有する。ヘッド8bは、インクを吐出させるた
めのメインヒータ8c、ヘッドの温調制御を行うサブヒ
ータ8d、ヘッドの各種情報を記憶しているROM85
4を有する。
【0029】図6は本実施例で使用しているヘッドのヒ
ーターボード(H.B)853の模式図を示している。
温調用(サブ)ヒーター8d、吐出用(メイン)ヒータ
ー8cが配された吐出部列8g、駆動素子8hが同図で
示される様な位置関係で同一基板上に形成されている。
この様に各素子を同一基板上に配することでヘッド温度
の検出、制御が効率よく行え、更にヘッドのコンパクト
化、製造工程の簡略化を計ることができる。また同図に
は、H.Bをインクで満たされる領域と、そうでない領
域とに分離する天板の外周壁断面8fの位置関係を示
す。
【0030】(実施例1)次に、上述の記録装置に本発
明を適用した一実施例を図面を参照して、具体的に説明
する。
【0031】(温度予測の概要)本実施例は記録ヘッド
からインク液滴を吐出して記録を行うにあたり、環境温
度を計測する環境温度センサを本体側に持たせ、吐出部
のインクの温度の変動をインクの吐出エネルギ−と記録
ヘッドの保温のためのサブヒータの供給エネルギーの計
算処理により過去から現在、未来のインク温度を推定・
予測することにより、インク温度に応じた吐出安定化を
行うものである。すなわち、記録ヘッドの温度を直接検
出するための温度検知部材を用いない。記録ヘッドの温
度を直接検出するための温度検知部材を本実施例の様な
IJCを用いるインクジェット記録装置に装備するに
は、コスト的に難しく、また、温度測定回路のIJCと
の接合点の静電気対策が必要となるなど記録装置がやや
複雑化するので、そうした面で本実施例は有利である。
【0032】概略的には、吐出部のインクの温度変化を
記録ヘッドやインクを含めた吐出部の熱時定数とインク
温度に実質的に関係する過去から未来の範囲の投入エネ
ルギーを予め計算した温度変化テーブルで評価する事に
より推定・予測するものである。そのインク温度に基づ
いて、更にはヘッドを昇温させるヒータ(サブヒー
タ)、及び吐出ヒータの分割パルス幅変調駆動法(PW
M駆動法)によりヘッドを制御するものである。
【0033】本発明では、記録時のヘッドの保温温度を
本発明のインクジェット記録装置が通常使用されると想
定した環境温度よりも十分高い温度に設定している。そ
こで、この制御の駆動方法の一つとしては、サブヒータ
を用いて記録ヘッドを環境温度よりも高い保温温度に昇
温・維持することによりインクの温度を環境温度より高
い所定の温度以上に保つとともに、インクの温度に基づ
いた後述のPWM吐出量制御で吐出量が一定になるよう
に制御しようとするものである。すなわち、吐出量の安
定化により、1ライン内の濃度変化やページ内の濃度変
化の解消を図る事が可能となる。また、同時に、記録条
件や回復条件の最適化も行うことにより、吐出不良や記
録紙上のインク溢れによる画像品質の劣化を防止するも
のである。
【0034】(PWM制御)次に、図面を参照して本実
施例のPWM吐出量制御方法を詳細に説明する。図7は
本実施例にかかる分割パルスを説明するための図であ
る。同図において、VOPは駆動電圧、P1 は複数の分割
されたヒートパルスの最初のパルス(以下、プレパルス
という)のパルス幅、P2 はインターバルタイム、P3
は2番目のパルス(以下、メインパルスという)のパル
ス幅である。T1 ,T2 ,T3 はP1 ,P2 ,P3 を決
めるための時間を示している。駆動電圧VOPは、この電
圧を印加される電気熱変換体がヒータボードと天板とに
よって構成されるインク液路内のインクに熱エネルギー
を発生させるために必要な電気エネルギーを示すものの
一つである。その値は電気熱変換体の面積,抵抗値,膜
構造や記録ヘッドの液路構造によって決まる。
【0035】本実施例のPWM吐出量制御はプレパルス
幅変調駆動法とも言え、ひとつのインク液滴の吐出に際
してP1 ,P2 ,P3 の幅で順次パルスを与えるととも
に、インク温度に応じてプレパルスの幅を変調する。プ
レパルスは主に液路内のインク温度を制御するためのパ
ルスであり、本実施例の吐出量制御の重要な役割を荷っ
ている。このプレヒートパルス幅は、その印加によって
電気熱変換体が発生する熱エネルギーによってインク中
に発泡現象が生じないような値に設定するのが好まし
い。インターバルタイムは、インク液路内のインクへの
プレパルスのエネルギー伝達のための時間を確保するも
のである。メインパルスは液路内のインク中に発泡を生
ぜしめ、吐出口よりインクを吐出させるためのものであ
り、その幅P3 は電気熱変換体の面積,抵抗値,膜構造
や記録ヘッドのインク液路の構造によって決定するのが
好ましい。
【0036】例えば、図8(A)および(B)に示すよ
うな構造の記録ヘッドにおけるプレパルスの作用につい
て説明する。同図(A)および(B)は、本発明を適用
可能な記録ヘッドの一構成例を示すそれぞれインク液路
に沿った概略縦断面図および概略正面図である。同図に
おいて、電気熱変換体(吐出ヒータ)は上記分割パルス
の印加によって熱を発生する。この電気熱変換体は、こ
れに分割パルスを印加するための電極配線等とともにヒ
ータボード上に配設される。ヒータボードはシリコンに
より形成され、記録ヘッドの基板をなすアルミ板によっ
て支持される。天板には、インク液路等を構成するため
の溝が形成されており、天板とヒータボード(アルミ
板)とが接合することによりインク液路や、これにイン
クを供給する共通液室が構成される。また、天板には吐
出口が形成され、それぞれの吐出口にはインク液路が連
通している。
【0037】図8に示される記録ヘッドにおいて、駆動
電圧 VOP=18.0(V),メインパルス幅P3 =
4.114[μsec]とし、プレパルス幅P1 を0〜
3.000[μsec]の範囲で変化させた場合、図9
に示すような吐出量Vd [pl/drop]とプレパル
ス幅P1 [μsec]との関係が得られる。同図は吐出
量のプレパルス幅依存性を示す線図であり、図におい
て、V0 はP1 =0[μsec]のときの吐出量を示
し、この値は図8に示すヘッド構造によって定まる。因
に、本実施例でのV0は環境温度TR =25℃の場合でV
0 =18.0[pl/drop]であった。
【0038】図9の曲線aに示されるように、プレパル
スのパルス幅P1 の増加に応じて、吐出量Vd はパスル
幅P1 が0からP1LMTまで線形性を有して増加し、パル
ス幅P1 がP1LMTより大きい範囲ではその変化が線形性
を失い、パルス幅P1MAXで飽和し最大となる。このよう
に、パルス幅P1 の変化に対する吐出量Vd の変化が線
形性を示すパルス幅P1LMTまでの範囲は、パルス幅P1
を変化させることによる吐出量の制御を容易に行える範
囲として有効である。因に、曲線aに示す本実施例では
P1LMT=1.87(μs)であり、このときの吐出量は
VLMT =24.0[pl/drop]であった。また、
吐出量Vd が飽和状態となるときのパルス幅P1MAXは、
P1MAX=2.1[μs]であり、このときの吐出量VMA
X=25.5[pl/drop]であった。
【0039】パルス幅がP1MAXより大きい場合、吐出量
Vd はVMAX より小さくなる。この現象は上記範囲のパ
ルス幅を有するプレパルスが印加されると電気熱変換体
上に微小な発泡(膜沸騰の直前状態)を生じ、この気泡
が消泡する前に次のメインパルスが印加され、上記微小
気泡がメインパルスによる発泡を乱すことによって吐出
量が小さくなる。この領域をプレ発泡領域と呼び、この
領域ではプレパルスを媒介にした吐出量制御は困難なも
のとなる。
【0040】図9に示すP1 =0〜P1LMT[μs]の範
囲の吐出量とパルス幅との関係を示す直線の傾きを、プ
レパルス依存係数と定義すると、プレパルス依存係数: KP =ΔVdp/ΔP1 [pl/μsec・drop] となる。この係数KP は温度によらずヘッド構造・駆動
条件・インク物性等によって定まるものである。すなわ
ち、図9中曲線b,cは他の記録ヘッドの場合を示して
おり、記録ヘッドが異なると、その吐出特性が変化する
ことが分かる。このように、記録ヘッドが異なるとプレ
パルスP1の上限値P1LMTが異なるため、後述するよう
に記録ヘッド毎の上限値P1LMTを定めて吐出量制御を行
う。因に本実施例の曲線aで示される記録ヘッドおよび
インクにおいては、KP =3.209[pl/μsec
・drop]であった。
【0041】一方、インクジェット記録ヘッドの吐出量
を決定する別の要因として、吐出部のインク温度(記録
ヘッドの温度で代用できる場合がある)がある。図10
は吐出量の温度依存性を示す線図である。同図の曲線a
に示すように、記録ヘッドの温度TH (この場合はスタ
ティックな温度特性なので吐出部のインク温度と等し
い)の増加に対して吐出量Vd は直線的に増加する。こ
の直線の傾きを温度依存係数と定義すると、温度依存係
数: KT=ΔVdT/ΔTH [pl/℃・drop] となる。この係数KT は駆動条件にはよらず、ヘッドの
構造・インク物性等によって定まる。図10においても
他の記録ヘッドの場合を曲線b,cに示す。因に本実施
例の記録ヘッドにおいては、KT =0.3[pl/℃・
drop]であった。
【0042】以上、図9および図10に示す関係を実際
の制御図として図11に示す。同図でT0 は記録ヘッド
の保温温度であり、吐出部のインク温度がT0 よりも低
い場合はサブヒータにより記録ヘッドを加熱する。した
がって、インク温度に応じた吐出量制御であるPWM制
御はT0 以上の温度で行うことになる。本発明では保温
温度を通常の環境温度よりも高い温度に設定している。
これは、前述のごとくプレ発泡領域よりも小さいプレパ
ルスで吐出量制御を行うのが好ましく、PWM制御可能
な温度範囲がある程度限定されるため、記録ヘッドの自
己昇温を考えると保温温度を高く設定したほうが吐出量
を安定化し易くなるためである。
【0043】例えば、保温温度を20℃設定とすれば通
常の環境で使用する場合にはほとんどサブヒータの加熱
は不必要となり加熱のための若干の待ち時間もなくなる
メリットはあるが、PWM制御可能な上限温度TL は3
8℃となり、30℃程度の高温環境では記録ヘッドが自
己昇温しても吐出量制御可能な温度範囲が狭くなってし
まう。それに対して本発明では、保温温度を36℃とし
ているので上限温度TL は54℃となり、通常の環境条
件では吐出量制御可能な温度範囲が狭くならず、記録ヘ
ッドが多少自己昇温しても吐出量が安定した良好な記録
が可能である。また、記録ヘッドの温度を直接温度セン
サで測定してPWM制御を行う場合には、サブヒータの
加熱や吐出ヒータの記録時の発熱による検出温度のリッ
プルという弊害はなくせる点で有利である。しかし、本
実施例では吐出部のインク温度を直接測定していないの
で、そうした弊害はもともとなくせる。さらに、昇温し
すぎた吐出部のインク温度を降温させる場合は記録ヘッ
ドへの放熱が主であり、記録ヘッドの降温速度が早いほ
どインク温度も早く低下するので、記録時の保温温度と
環境温度との差が大きいほど有利である。
【0044】図11でPWM領域と示した温度範囲が吐
出量を安定化できる温度範囲であり、本実施例では吐出
部のインク温度が34〜54℃の範囲である。同図では
プレパルスを11ステップで変化させた場合の吐出部の
インク温度と吐出量の関係を示しており、吐出部のイン
ク温度が変化してもインク温度に応じて温度ステップ幅
△T毎にプレパルスのパルス幅を変えることにより、目
標吐出量Vd0に対して△Vの幅で吐出量を制御すること
ができる。 図12(A)はインク温度とプレパルスの
対応表である。本実施例では、記録ヘッドとして交換可
能なIJCを用いているが、カートリッジ毎に吐出量が
異なる場合にはヘッドごとにインク温度とプレパルスの
対応表を変えても良い。例えば、吐出量の小さめのカー
トリッジの場合に図12(B)の表を、大きめの場合に
図12(C)の表を用いても良いし、さらに吐出量のプ
レパルス依存係数や温度依存係数に応じて表を持たせて
も良い。
【0045】(温度予測制御)次に上記構成よりなる記
録装置を用いて記録を行う場合の動作について、図13
乃至図15のフローチャートを参照して説明する。
【0046】ステップS100で電源がONされると、
機内昇温補正タイマーをリセット/セットする(S11
0)。次に、本体プリント基板(以下、PCBという)
上の温度センサー(以下、基準サーミスターという)の
温度を読みとり(S120)、周囲環境温度を検出す
る。しかし基準サーミスターはPCB上にあるためにP
CB上の発熱体(例えばドライバー)等の影響を受けて
正確なヘッドの周囲環境温度を検出出来ない場合があ
る。よって、本体電源ONからの経過時間によって検出
値を補正し周囲環境温度を求める。即ち、機内昇温補正
タイマーから電源ONからの経過時間を読みとり、機内
昇温補正テーブル(表1)を参照して発熱体の影響を補
正した正確な周囲環境温度を求める(S140)。
【0047】
【表1】 次に、S150で温度予測テーブル(図16)を参照し
て現状のヘッドチップ温度(β)を予測し、印字信号の
入力を待つ。現状のヘッドチップ温度(β)の予測は、
S140で求めた周囲環境温度に、単位時間当たりのヘ
ッドの投入エネルギー(通電比率)に対するヘッド温度
と環境温度との温度差のマトリックスで決まる値を加え
て更新することによって行う。電源投入時では、印字信
号が無く(投入エネルギーは0)、ヘッド温度と環境温
度との温度差も0なので、マトリックス値0(熱平衡)
を加えることになる。印字信号の入力が無ければS12
0に戻り基準温度サーミスタ温度読み込みから繰り返
す。本実施例ではヘッドチップ温度予測のサイクルは
0. 1secとした。
【0048】図16の温度予測テーブルは、ヘッドの熱
時定数とヘッドに投入したエネルギーにより決定される
単位時当たりの昇温特性を示したマトリックステーブル
である。通電比率が大きいとマトリックス値も大きくな
り、一方、ヘッド温度と環境温度との温度差が大きくな
ると熱平衡に達しやすくなるので、マトリックス値は小
さくなる。熱平衡には、投入エネルギーと放射エネルギ
ーが等しい時達する。なお、上記テーブル中、通電比率
が500%とは、サブヒーターを通電した場合を通電比
率に換算したものである。
【0049】単位時間毎に、常にこのテーブルに基づい
てマトリックス値を積算する事によりヘッドのその時点
の温度を推定できると供に、これから将来の印字、また
はサブヒータ等のヘッドへの投入エネルギーをインプッ
トしてやる事により、これからのヘッドの温度変化を予
測することが出来る。
【0050】次に、印字信号が入力された場合には目標
(駆動)温度テーブル(表2)を参照し、現状の環境温
度で最適な駆動が行えるヘッドチップの印字目標温度
(α)を求める(S170)。表2において、環境温度
により目標温度が異なるのは、ヘッドのシリコンヒータ
ボード上の温度をある一定に制御してもそこに流入して
くるインクの温度が低く、熱時定数が大いために、結果
的にヘッドチップ廻りの系としては平均温度的に考える
と低くなってしまうからである。そのために、環境温度
が低くなるほど、ヘッドのシリコンヒータボードの目標
温度を上げてやる必要が有るからである。したがって、
制御上の目標温度変更により低温環境でも前述の保温温
度を達成できる。
【0051】
【表2】 次に、S180で印字目標温度(α)と現状のヘッドチ
ップ温度(β)の偏差γ(=α−β)を算出する。そし
て、S190でサブヒータコントロールテーブル(表
3)を参照し、上記偏差(γ)を縮める目的の印字前サ
ブヒータのON時間(t)を求める。これは、印字開始
時にヘッドの推定温度と目標温度の偏差が有る場合に、
まずサブヒータでヘッドチップ全体の温度を上げる機能
である。これにより、吐出部のインクを含めたヘッドチ
ップ全体の温度を目標温度に出来るだけ近づけることが
できる。
【0052】
【表3】 印字前サブヒータのON時間(t)を求めたら、温度予
測テーブル(図16)を参照し、サブヒータが上記設定
時間ONされたと仮定した場合の印字開始直前の(将来
の)ヘッドチップ温度を予測する(S200)。そし
て、印字目標温度(α)と該ヘッドチップ温度(β)の
偏差(γ)を算出する(S210)。ここで、印字目標
温度とヘッドチップ温度との差が保温温度とインク温度
との差であると考えられるので、インク温度は実質的に
保温温度と偏差(γ)との和で求められる(S22
0)。言うまでもなく偏差(γ)が0である事が望まし
いが、保温温度で印字したときと同等の吐出量となるよ
うに、図12(A)に示した吐出部インク温度−プレパ
ルステーブルを参照してインク温度の予測値に応じた駆
動を行えば、吐出量は安定化できる。
【0053】本実施例では、上述のサブヒータを用いて
印字前にはインク温度を少なくとも保温温度以上にする
ことを前提としており、高dutyでの連続印字などで
記録ヘッドが蓄熱し、それにともなってインク温度が上
昇して吐出量が大きくなることを補正する手法を用いて
いる。この実施例では、目標値と残りの偏差による吐出
量をPWMの手法で補正している。
【0054】ここで、1ライン印字中にヘッドはその吐
出デューティーによってチップ温度は変化する。即ち、
1ライン中の中でも上記偏差(γ)は時々変化するの
で、その変化に応じて1ライン中にプレパルス値を最適
化していく事が望ましい。本実施例では1ラインを印字
するのに1.0secの時間を要する。ヘッドチップの
温度予測サイクルが0.1secであるので、本実施例
では1ラインを10のエリアに分割した。先に設定した
印字書き出し時のプレパルス値(S230)は第1エリ
ア書き出し時のプレパルス値である。
【0055】次に、第2〜第10エリア書き出し時のプ
レパルス値の決め方を述べる。S240でn=1を設定
し、S250でnをインクリメントする。ここでnはエ
リアを示し、第10エリアまでなのでnが10を越えた
時点で以下のループから脱する(S260)。
【0056】まず、ループの1順目は第2エリアの書き
出し時のプレパルス値を設定する。方法は、第1エリア
のドット数と第1エリアのPWM値から第1エリアの通
電比率を算出する(S270)。ここで、通電比率は温
度予測テーブルを参照するときの縦軸の値に相当する。
また、この実施例で単にドット数(印字デューティー)
を用いないのは、同じドット数でもプレパルス値が異な
ればヘッドチップに供給するエネルギーも異なるからで
ある。通電比率という概念を用いることで、PWM制御
を行った時でも、サブヒーターをONした時でも同一の
テーブルを用いることができる。
【0057】ここで通電比率を上記通電比率を温度予測
テーブル(図16)に当てはめて(表を参照して)、第
1エリア印字終了(即ち第2エリア印字開始時)のヘッ
ドチップ温度(β)を予測する(S280)。ステップ
S290で前記印字目標温度(α)と該ヘッドチップ温
度(β)の差から、再び偏差(γ)を求める。そして、
該偏差(γ)から第2エリアを印字するためのプレパル
ス値を図12(A)を参照する事により求め、第2エリ
アのプレパルス値をメモリー上に設定する(S300、
S310)。
【0058】以下、順次前エリアのドット数とプレパル
ス値から該エリア内通電比率を算出し、該エリア印字終
了時ヘッドチップ温度(β)を予測して、印字目標温度
(α)との偏差(γ)から次エリアのプレパルス値を設
定していく(S250〜S310)。 その後、1ライ
ン内の10エリア全てのプレパルス値が設定されたらS
260からS320へ移行し、印字前サブヒータ加熱を
行った後、設定プレパルス値に従い1ラインの印字を行
う(S330)。ステップS330で1ラインの印字が
終了したら、ステップS120の基準サーミスタ温度読
み込みに戻り、上述の制御を順次繰り返す。
【0059】以上のように制御する事により、実際の吐
出量はインク温度によらず安定して制御でき濃度が均一
で高品位な記録画像を得ることができる。
【0060】上記吐出量制御について再度説明すると、
本実施例ではヘッドの吐出/吐出量安定化を、以下の2
点を制御する事で達成している。
【0061】吐出部のインクを含めた記録ヘッド温度
が少なくとも保温温度に到達するように環境温度に応じ
て「目標温度テーブル」から目標温度を定め、必要に応
じてサブヒーターを用いて加熱する。すなわち、本実施
例では吐出部のインク温度は、目標温度と環境温度との
差を演算により求めた温度から差し引いた温度となる。
【0062】目標温度とヘッドの現状の温度のとズレ
(偏差)を推定する。保温温度とその偏差との和が吐出
部のインク温度と考え、インク温度に応じてプレパルス
値を設定して吐出量を安定化する。
【0063】ここで、外部インターフェイスを通して送
られてくる記録信号等は、ゲートアレイ78の受信バッ
ファ78aにまず蓄えられる。受信バッファ78aに蓄
えられた該データは「吐出する/吐出しない」の2値信
号(0、1)に展開され、プリントバッファ78bに移
される。CPU60は必要に応じて該プリントバッファ
78bから記録信号を参照出来る。
【0064】また、ゲートアレイ78にはラインデュー
ティーバッファ78cが2つ用意されている。記録時の
1ラインを等間隔に(例えば10のエリアに)分解し、
各エリアの印字デューティー(比率)を演算して蓄えて
いる。「ラインデューティーバッファ78c1」は現在
印字中のラインの各エリア毎の印字デューティーデータ
が格納されている。「ラインデューティーバッファ78
c2」には現在印字中の次のラインの各エリア毎の印字
デューティーデータが格納されている。CPU60は必
要に応じていつでも現在印字中のライン、及び次ライン
の各エリア毎の印字デューティーを参照できる。CPU
60は、上述した温度予測制御中にラインデューティー
バッファ78cを参照することで、各エリアの印字デュ
ーティーを得ることができる。従って、CPU60の演
算負荷を軽減することができる。尚、本実施例では吐出
量を制御するためにダブルパルスのPWMを用いたが、
シングルパルスのPWMを用いても、トリプルパルス以
上のパルスのPWMを用いても良い。
【0065】また、本発明では、保温温度を通常の環境
温度より高く設定し、吐出量制御可能な温度範囲を高温
域に広く設定しているので、吐出量制御ができないより
高温の非制御領域にインク温度が達してしまう場合に
は、キャリッジの走査速度を遅くして温度予測をやり直
しても良く、またはキャリッジの走査開始タイミングを
遅らせて温度予測をやり直しても良い。
【0066】この実施例では、記録ヘッドの温度を直接
測定する温度センサーを用いることなく将来のヘッド温
度を予測することができるので、実際の印字前に種々の
ヘッド制御を行うことが可能となり、より適切な記録を
行うことができる。
【0067】なお、本実施例内で用いている1ライン中
のエリア分割数(10分割)や温度予測のサイクル
(0.1sec)等の定数は一例であり、本発明を拘束
するものではない。
【0068】(実施例2)インクジェット記録装置にお
いて印字比率(以下、印字dutyという)から現在の
温度を推定し、吐出の安定化を図るために回復シーケン
スを制御する方法について説明する。本発明では、印字
時の保温温度を環境温度よりも高く設定しているので、
吐出部のインクが蒸発し易く記録ヘッドの温度的な履歴
に応じた回復制御が重要となる。
【0069】本実施例では、上述の実施例1と同様にし
て、現在のヘッドの温度を印字dutyから推定して、
ヘッドの推定温度に応じて吸引条件を変えている。吸引
条件の制御は吸引圧(初期ピストン位置)ないしは吸引
量(体積変化量あるいは負圧保持時間)によって行われ
る。図17に負圧保持時間と吸引量のヘッド温度依存性
を示す。一定の区間は負圧保持時間によって吸引量を制
御できるが、それ以外では吸引量は負圧保持時間によら
なくなる。また、印字dutyから推定したヘッド温度
によって吸引量は影響されるが、ヘッド推定温度に応じ
て負圧保持時間を変化させる。このようにすることでヘ
ッド温度が変化する場合でも吐出量を一定(最適量)に
維持でき、吐出の安定化を図れる。
【0070】さらに複数のヘッドを用いる場合には、ヘ
ッドの配列に応じた放熱補正を行うことにより、ヘッド
温度の推定をより正確に行う。キャリッジ端部は中央部
に比べて放熱しやすく、温度分布にばらつきが生じてし
まうため、温度に大きく影響される吐出もばらついてし
まう。そこで、端部での放熱を100%、中央部での放
熱を95%として補正している。この補正によって熱的
なばらつきを防いで、安定した吐出を可能としている。
さらに、ヘッド毎にヘッドの特徴や状態に応じて吸引条
件を変えても良い。
【0071】さらに、この実施例では吸引時のヘッド温
度降下推定を行う。環境温度とヘッド温度との差がある
場合、吸引によって高温状態のインクは排出され、イン
クタンクから新たに低温のインクが供給される。その供
給されたインクによって高温状態のヘッドは冷却され
る。表4に環境温度とヘッド推定温度との差と吸引時の
温度降下補正を示す。印字dutyからヘッド温度を推
定する場合、環境温度との差から吸引時の温度降下を補
正することができ、吸引後のヘッド温度も同時に予測す
ることができる。
【0072】
【表4】 交換可能なヘッドの場合は、インクタンクの温度推定が
必要となる。インクタンクはヘッドに密接しているた
め、吐出による温度上昇がインクタンクへ影響を与え
る。そこで過去10分間の温度平均からインクタンク温
度を推定している。これにより、吸引時の温度降下にフ
ィードバックすることができる。
【0073】パーマネントヘッドの場合は、ヘッドとイ
ンクタンクが離れているため、供給されるインクの温度
が環境温度と等しく、インクタンクの温度予測しなくと
も良い。
【0074】さらに、図18のようなサブタンク系の場
合には、インクが高温状態の時に吸引しても吸引量が多
くなってしまうため、液面引き上げ効果が期待できなく
なり、インクの供給不良の原因となってしまう可能性も
ある。そこで、印字dutyから予測されるヘッド温度
が高温である時、吸引回数増やして十分に液面引き上げ
効果があるようにする。表5に環境温度とヘッド推定温
度との差と吸引回数の関係を示す。ヘッドの推定温度と
環境温度との差があるほど吸引回数を多くするように設
定している。これによって液面引き上げ効果が損なわれ
ないようにしている。
【0075】
【表5】 (実施例3)実施例2と同様に、現在のヘッド温度を印
字dutyから推定しているが、本実施例ではヘッドの
推定温度に応じて予備吐出条件を変化させている。
【0076】高温時は吐出部のインクが蒸発し易く、そ
こで、インク温度の推定値に応じて予備吐出の間隔ない
しは予備吐出数を変えれば良い。本実施例では予備吐出
時のインクの推定温度に応じて予備吐出数を表6に示す
ように変えている。同時に、高温時ほど吐出量は増える
ので、パルス幅を小さくして吐出量を抑制している。
【0077】
【表6】 また、高温時ほどノズル間の温度のばらつきが大きくな
るため、予備吐出数分布を最適化しても良い。例えば、
常温時でのノズル端部と中央部との予備吐出数の差に比
べて、高温になるほど予備吐出数の差も大きくするなど
の制御を行っても良い。
【0078】さらに複数ヘッドの場合には、インク色毎
に予備吐出の温度テーブルを変えても良い。ヘッド温度
が高温の場合、Y(イエロー)、M(マゼンタ)、C
(シアン)に比べて、染料の多いBk(ブラック)は増
粘しやすいので予備吐出数を多めにするなどの制御を行
っても良く、また、ヘッド毎にインク温度が異なる場合
にはヘッド毎に予備吐出制御を行っても良い。
【0079】さらに、ノズル数が多い場合には図19
(A)のようにノズルを分割してヘッド温度の推定を行
う方法も可能である。同図(B)に示すように、それぞ
れのノズル領域毎に独立に印字dutyを求めるカウン
タ1、2を設け、独立に求めた印字dutyからヘッド
温度を推定して、それぞれ独立に予備吐出条件を設定す
ることができる。これにより、印字dutyによるヘッ
ド温度予測の誤差を軽減することができ、より安定した
吐出が期待できる。
【0080】(実施例4)本実施例は、所定の期間内の
過去の平均ヘッド温度を、本体に設けた基準温度センサ
と印字dutyとから推定して、平均ヘッド温度に応じ
て最適に設定される間隔で所定の回復手段を作動する例
を示す。本実施例で平均ヘッド温度に応じて制御する回
復手段は、吐出の安定化を図るために印字中(キャップ
開放時)に所定の時間毎に行う予備吐出およびワイピン
グである。予備吐出は、インクジェット技術では周知の
如く、ノズル口からのインクの蒸発によって生ずる不吐
出や濃度変化などを防止する目的で行われるものであ
る。インクの蒸発がヘッド温度によって異なることに着
目して、本実施例では平均ヘッド温度に応じて最適の予
備吐出間隔および予備吐出数を設定して時間的にあるい
はインク消費の面から効率的な予備吐出を行うものであ
る。
【0081】本実施例の主たる構成要素であるオープン
ループ温度制御、すなわち本体に設けた基準温度センサ
の検出温度と過去の印字dutyとからその時点の温度
を算出・推定する方式では、本実施例で必要となる過去
の所定期間のヘッドの平均温度を容易に得ることができ
る。インクの蒸発は各々の時点でのヘッド温度に関係し
ており、所定期間のインク蒸発の総量はその期間の平均
ヘッド温度と強い相関があることに本実施例では着目し
た。
【0082】本実施例で制御するもう一つの吐出安定化
手段であるワイピングは、オリフィス形成面上に付着し
たインクや水蒸気などの不要な液体や、紙粉やほこりな
どの固形異物を除去する目的で行うものである。本実施
例では、インクなどによる濡れ量がヘッドの温度によっ
て異なること、さらにはインクや異物の除去を難しくす
る濡れの蒸発がヘッド温度(オリフィス形成面の温度)
に関係することに着目して、ヘッドの過去の平均温度に
応じて最適なワイピング間隔を設定することにより効率
的なワイピングを行うものである。ワイピングに関係す
る上記の濡れ量や濡れの蒸発は、ワイピングを実施する
時点のヘッド温度よりも過去のヘッドの平均温度の方が
相関が強いので、本実施例のヘッド温度推定手段が好適
である。図20は本実施例のインクジェット記録装置の
印字時の概略シーケンスを示すフローチャートである。
印字信号が入力されるとプリントシーケンスが実行さ
れ、まず、予備吐出タイマーがその時点の平均ヘッド温
度に応じて設定され、スタートする。さらに、ワイピン
グタイマーも同様にその時点の平均ヘッド温度に応じて
設定されスタートする。次に、紙が無ければ給紙した
後、データの入力が完了次第、キャリッジ走査(印字ス
キャン)を行い1行分印字する。
【0083】印字を終了する場合は紙を排出してスタン
バイ状態にもどり、印字を続ける場合は所定量の紙送り
をして紙後端チェックを行う。次に、ヘッドの平均温度
に応じて設定されているワイピングタイマー及び予備吐
出タイマーのチェック&再設定を行い、必要に応じてワ
イピングあるいは予備吐出を行い再スタートさせる。こ
のとき、動作の実施有無に関わらず平均ヘッド温度の算
出を行い、それに応じてワイピングタイマーおよび予備
吐出タイマーの再設定を行う。
【0084】すなわち、本実施例では、印字行毎に平均
ヘッド温度の変化に応じてワイピング及び予備吐出のタ
イミングをきめ細かく再設定することで、インクの蒸発
や濡れの状況に応じた最適なワイピングおよび予備吐出
を行うことができる。所定の回復動作後にデータ入力の
完了を待って、再び印字スキャンを行うように上述のス
テップを繰り返す。
【0085】表7は本実施例に於ける、過去12秒間の
平均ヘッド温度に応じた予備吐出の間隔および予備吐出
数の対応表であり、また、ワイピングの間隔に関しては
過去48秒間の平均ヘッド温度に応じた対応表である。
本実施例では、平均ヘッド温度が高くなるにしたがって
間隔を短く予備吐出数を少なくなるように、逆に平均ヘ
ッド温度が低くなるにしたがって間隔を長く予備吐出数
を多くなるように設定している。このような設定はイン
クの蒸発・増粘特性に応じた吐出特性と濃度変化などの
特性を考慮して適宜設定すれば良く、不揮発性の溶剤量
が多く蒸発による粘度増加よりも温度上昇による粘度減
少が想定されるインクの場合は逆に、高温時に予備吐出
の間隔が長くなるように設定しても良い。
【0086】
【表7】 ワイピングに関しては、通常の液体インクでは温度が高
くなるにしたがって濡れの量や除去の困難さが増す傾向
にあるので、本実施例では高温時に頻繁にワイピングを
行うようにしている。本実施例では、記録ヘッドがひと
つの場合について説明したが、複数のヘッドを用いてカ
ラー化や高速化を実現している装置の場合には、記録ヘ
ッド毎に平均ヘッド温度による回復条件の制御を行って
も良く、また、最も短い間隔の記録ヘッドに併せて同時
に動作させても良い。
【0087】なお、上記実施例1で説明した様に、ヘッ
ド温度は現時点での推定温度に限らず将来のヘッド温度
をも容易に予測できる。よって、将来の吐出状況も加味
して最適予備吐出間隔、予備吐出発数を設定する様にし
ても良い。
【0088】(実施例5)本実施例では、実施例4と同
様、平均ヘッド温度の推定に基づく回復制御の例とし
て、比較的長時間に亘る過去の平均ヘッド温度の推定値
に応じた吸引回復の例を示す。インクジェット記録装置
の記録ヘッドはノズル口でのメニスカス形状安定化の目
的で、ノズル口で負の水頭圧になるように構成する場合
がある。インク流路の不如意な気泡はインクジェット記
録装置における各種の問題の原因となるが、負の水頭圧
に維持された系では、特に問題となり易い。
【0089】すなわち、記録動作を行わなくても単純に
放置するだけで、インク中の溶存気体の解離や流路構成
部材を介してのガス交換などにより、正常な吐出の障害
となる気泡が流路中に成長してきて問題となる。吸引回
復手段はそうした流路中の気泡やノズル口先端部で蒸発
により増粘したインクの除去を目的として用意されるも
のである。インクの蒸発は前述の如くヘッドの温度によ
り変化するが、流路中の気泡の成長はさらにヘッド温度
の影響を受け易く高温ほど発生しやすい。本実施例で
は、表7に示す如く、過去12時間の平均ヘッド温度に
応じて吸引回復の間隔を設定しており、平均ヘッド温度
が高いほど頻繁に吸引回復を行うようにしている。平均
温度の再設定は、例えば1頁毎に行っても良い。
【0090】複数のヘッドを用いて比較的長時間に亘る
過去の平均ヘッド温度の推定を行う場合には、先の図4
に示すように、複数のヘッドを熱的に結合させた上で、
複数のヘッドの平均dutyと本体の基準温度センサと
から平均ヘッド温度の推定を行い、複数のヘッドがほぼ
同一であるとして簡略に制御しても良い。図4における
ヘッドの熱的な結合は、熱伝導性に優れたアルミニウム
などの材料で、ヘッドの共通支持部を含めた一部分ない
しは全体が構成されたキャリッジに、記録ヘッドの熱伝
導性に優れた基材部を直接当接するように取り付けるこ
とによって実現している。
【0091】なお、上記実施例1で説明した様に、ヘッ
ド温度は現時点での推定温度に限らず将来のヘッド温度
をも容易に予測できる。よって、将来の吐出状況も加味
して最適吸引回復制御を設定する様にしても良い。
【0092】例えば、現時点での推定ヘッド温度では高
デューティー印字を行ったときに吐出不良が心配であっ
ても、将来高デューティー印字を行わない事が判ってい
れば吸引動作を先延ばしにすることで、記録媒体の給排
紙時に吸引を行うようにし、トータルの印字時間を短縮
することができる。
【0093】(実施例6)本実施例は、本体の基準温度
センサと印字dutyとから推定した温度の履歴に応じ
て回復系の制御を行う例を示す。
【0094】オリフィス形成面上にインクなどの異物が
堆積して吐出方向を偏奇させたり、時には、吐出不良と
なったりする場合がある。そうした、吐出特性の劣化の
回復手段としてワイピング手段が設けられるが、さらに
強い摺擦力を有する拭き部材が準備される場合やワイピ
ング条件の一時的な変更により拭き取り性を増す場合も
ある。本実施例では、ゴムブレードにより構成されたワ
イピング部材のオリフィス形成面への侵入量(食い込み
量)を大きくして、拭き取り性を一時的に増大させてい
る(擦り取りモード)。
【0095】擦り取りが必要となる異物の堆積は、濡れ
インク量とワイピング時の拭き残り量およびその蒸発に
関わり、吐出回数と吐出時の温度との相関が強いことが
実験的に確認された。そこで、本実施例では、擦り取り
モードをヘッドの温度で重み付けした吐出回数に応じて
制御している。表8は、印字dutyから推定されたヘ
ッドの温度に応じて印字dutyの基データである吐出
回数に乗ずる重み付け係数を示すものである。すなわ
ち、濡れないし拭き残りが発生しやすい高温時ほど堆積
物の指標となる吐出回数が制御上大きくなるようにして
いる。
【0096】
【表8】 重み付けされた吐出回数が500万回に達したら擦り取
りモードを動作させるようにしている。擦り取りモード
は堆積物の除去には効果があるが、摺擦力が強いのでオ
リフィス形成面への機械的なダメージも生ずる場合もあ
るので、必要最小限にすることが望ましく、本実施例の
ように、異物の堆積に直接的に相関のあるデータを基に
制御することは構成が簡易であり、かつ確実性が高い。
複数のヘッドを有するシステムでは、例えば、色毎に印
字dutyを管理して、堆積特性の異なるインク色毎に
擦り取りモードの制御を行っても良い。
【0097】なお、上記実施例1で説明した様に、ヘッ
ド温度は現時点での推定温度に限らず将来のヘッド温度
をも容易に予測できる。よって、「重み付け吐出回数」
の算出に将来の吐出状況も加味した「重み付け吐出回
数」を用い、最適制御を設定するようにしても良い。
【0098】(実施例7)本実施例では、実施例5と同
様に吸引回復の例を示すが、本実施例では放置による気
泡の増加(放置泡)の推定に加えて、印字時に生ずる気
泡(印字泡)の推定を行うことによって、より精度良く
流路内の泡の推定が可能となる。前述の如くインクの蒸
発はヘッドの温度により変化するが、流路中の気泡の成
長はさらにヘッド温度の影響を受け易く高温ほど発生し
やすい。このことから、放置泡の推定はヘッド温度によ
って重み付けした放置時間を計数すればよいことがわか
る。印字泡は吐出時のヘッド温度が高いほど発生し易く
また、吐出回数にも当然正の相関がある。そこで、印字
泡もヘッド温度によって重み付けした吐出回数を計数す
れば良いことがわかる。本実施例では、表9に示す如
く、放置時間に応じたポイント数(放置泡)と吐出回数
に応じたポイント数(印字泡)を設定し、合計のポイン
トが1億ポイントに達した場合、流路内の気泡が吐出に
影響を与える恐れがあると判断して吸引回復を行い、気
泡を除去する。
【0099】
【表9】 印字泡と放置泡のポイントの整合性は、温度条件一定で
それぞれの要因単独で吐出不良が生ずるときのポイント
が同一になるように実験的に求めた。また、温度に応じ
た重み付けも実験的に求めて換算した値である。気泡の
除去手段としては、本実施例の吸引手段でも、加圧手段
でも良く、さらに意識的に流路中のインクをなくしたの
ち吸引手段を作動させるようにしても良い。
【0100】なお、上記実施例1で説明した様に、ヘッ
ド温度は現時点での推定温度に限らず将来のヘッド温度
をも容易に予測できる。よって、「インクの蒸発特性」
や「流路中の気泡の成長」の推定、予測に将来の吐出状
況をも加味した「インクの蒸発特性」や「流路中の気泡
の成長」を用い、最適制御を設定するようにしても良
い。
【0101】なお、上記実施例2〜7は上記実施例1で
説明した吐出量制御を合わせておこなっても良いし、行
わなくても良い。吐出量制御を行わない場合は、PWM
制御やサブヒート制御にかかわるステップを省略すれば
良い。
【0102】なお、この実施例ではヘッドへの投入エネ
ルギーの指標として通電時間を用いたが、これに限られ
るものではない。例えば、PWM制御を行わないか、ま
たは高精度の温度予測が要求されない場合は、単に印字
ドット数用いても良い。更に、印字デューティーに大き
な変動が無い場合には印字時間と、非印字時間とを用い
ても良い。
【0103】(実施例8)本実施例は、記録ヘッドに熱
的に結合し記録ヘッドを記録が可能な環境温度よりも高
い所定の保温温度に維持する自己温度制御型の加熱部材
と前記加熱部材の動作時間を管理する保温タイマーとで
構成した保温手段と、記録に先立って記録時の吐出部の
インク温度の変化を予想する温度予測手段と、吐出部の
インク温度に応じて吐出の安定化を行う吐出安定化手段
を具備したインクジェット記録装置の例を示す。
【0104】実施例1〜7で説明したインクジェット記
録装置に対して本実施例で異なるのは、記録ヘッドに設
けた加熱部材がヒータボード上ではなく記録ヘッドの基
材であるアルミベースプレートに当接させた自己温度制
御型のヒータである点にある。自己温度制御型のヒータ
は、特別な温度検出機構がなくても所定の温度になると
自発的に発熱を抑制するもので、例えば、PTC特性
(正の抵抗温度係数を有するもの)のチタン酸バリウム
などの物質で構成されたものである。あるいは、ヒータ
素材自体にPTC特性がなくても構成の工夫で同様の特
性が得られるものもあり、例えば、電気絶縁性の耐熱樹
脂中に導電性のグラファイトなどを分散させたもので加
熱により樹脂が膨張してグラファイト粒子が離れて抵抗
値が上昇する様にするものもある。こうした、自己温度
制御型のヒータは、組成や構成を調整することにより制
御温度を所望の温度にすることが可能で、本実施例で
は、ほぼ36℃の制御温度を示すヒータを用いた。本実
施例では、記録開始時の吐出部のインクを含めた記録ヘ
ッドの温度は基本的には自己温度制御型ヒータの制御温
度であるので、記録時の吐出部のインク温度の変動はそ
の制御温度に記録時に吐出ヒータに供給する予定のエネ
ルギーと吐出部のインクを含めた記録ヘッドの熱時定数
とに基づいて予測演算することができる。
【0105】したがって、前記実施例に比べてインク温
度の予測が簡略にできる。すなわち、本実施例のごとき
記録ヘッドの構成では吐出部のインク温度に関して支配
的な熱容量を持つアルミベースプレートが常に制御温度
に維持されているので、インク温度の昇温・降温は制御
温度を基準として吐出ヒータの発熱による昇温と記録ヘ
ッドの熱時定数による放熱を予測するだけで良い。
【0106】本実施例では、ある基準期間での通電比率
に応じた基準温度(保温温度)に対する残余昇温分を、
その基準期間からの経過時間毎に示した図13の降温テ
ーブルにより、インク温度を推定する対象の基準期間の
時点で有効な(残余昇温分が0とならない)対象基準期
間以前の全ての基準期間の残余昇温分を積算したもの
と、保温温度との和を対象基準期間のインク温度とす
る。ここで、1ラインの印字時間を0.7秒、この期間
を35分割した期間(0.02秒)を基準期間とする。
【0107】例えば、保温完了後、第1基準期間で20
%、第2基準期間で80%、第3基準期間で50%の通
電比率で初めて記録を行うとすれば、第4基準期間での
吐出部のインクの温度は、それ以前の3個の基準期間の
残余昇温分から推定できる。すなわち、第1基準期間の
残余昇温分は、20%で0.06秒後の85×10-3
eg(同図中(a))であり、第2基準期間の残余昇温
分は、80%で0.04秒後の369×10-3deg
(同図中(b))であり、第3基準期間の残余昇温分
は、50%で0.02秒後の250×10-3deg(同
図中(c))であるので、その積算は704×10-3
egとなり、それと保温温度の36℃との和である3
6.704℃が第4基準期間の吐出部のインク温度と予
測する。
【0108】本実施例では、実施例1で説明したインク
温度の予測に基づいた吐出量制御を行うことが可能であ
る。
【0109】本実施例では保温タイマーが所定の時間を
経過するまでは記録動作を禁止ないしは使用者に警告す
る様にして、自己温度制御型ヒータによる保温完了後に
記録を行う様にしている。そのため、放熱に関係するア
ルミベースプレートの温度は素子の制御温度である保温
温度に維持されているという前提で、インク温度の予測
が簡略化できている。しかし、前記実施例のごとく環境
温度を検出する環境温度検知手段を加えれば、保温動作
が完了していなくてもそれぞれの時点のアルミベースプ
レートの温度が予測できるので、その温度を基準温度と
して吐出部のインク温度を検出する様に構成して、保温
完了前の記録を可能にしても良い。また、環境温度検知
手段があれば、保温動作完了までの時間が演算予測でき
るので、その値に応じて保温タイマーの時間を変更して
も良い。
【0110】また、本実施例の温度制御方式でも、実施
例2〜7で示したのと同様な吐出安定化を行うことが可
能であり、その中でも、温度予測が簡略化されることが
期待できる。
【0111】
【発明の効果】以上説明した様に、本発明によれば、記
録ヘッドを環境温度よりも高い温度に保温するととも
に、記録に先立って推定した記録時の吐出部のインク温
度に応じて、吐出の安定化を図ることで、記録速度の大
幅な低下を招かずに吐出量及び吐出の安定化を実現し、
濃度の一様性に優れた高品位の画像を得ることができ
る。また、記録ヘッドに温度センサ−を設けることなく
インク温度の推定を行うことで、記録装置本体及び記録
ヘッドを簡略化することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明が実施もしくは適用される好適なインク
ジェット記録装置の構成を示す斜視図である。
【図2】交換可能なカ−トリッジを示す斜視図である。
【図3】記録ヘッドの断面図である。
【図4】回復系ユニットの模式的斜視図である。
【図5】記録制御フロ−を実行するための制御構成を示
すブロック図である。
【図6】本実施例で使用しているヘッドのサブヒ−タ
−、吐出用(メイン)ヒ−タ−の位置関係を示す図であ
る。
【図7】分割パルス幅変調駆動法の説明図である。
【図8】本発明を適用可能な記録ヘッドの一構成例を示
すそれぞれインク液路に沿った概略縦断面図および概略
正面図である。
【図9】吐出量のプレパルス依存性を示す線図である。
【図10】吐出量の温度依存性を示す線図である。
【図11】吐出量制御に関する説明図。
【図12】吐出量制御のためのインク温度とプレパルス
変換テーブル。
【図13】温度予測制御に関するフローチャートであ
る。
【図14】温度予測制御に関するフローチャートであ
る。
【図15】温度予測制御に関するフローチャートであ
る。
【図16】温度予測テーブルである。
【図17】負圧保持時間と吸引量の温度依存性を示す線
図である。
【図18】サブタンク系を示す構成図である。
【図19】ヘッド温度予測の他の構成を示す説明図であ
る。
【図20】印字時の概略シーケンスを示すフローチャー
トである。
【図21】降温テーブル。
【符号の説明】
8b 記録ヘッド 8c 吐出用(メイン)ヒーター 8d サブヒーター 9 キャリッジ 60 CPU 78 ゲートアレイ 78b プリントバッファ 78c ラインデューティーバッファ 108 吐出口 300 キャップ 500 ポンプユニット 5012 記録ヘッド 5013 吐出用(メイン)ヒーター 5014 サブヒーター
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 高橋 喜一郎 東京都大田区下丸子3丁目30番2号キヤ ノン株式会社内 (72)発明者 杉本 仁 東京都大田区下丸子3丁目30番2号キヤ ノン株式会社内 (72)発明者 松原 美由紀 東京都大田区下丸子3丁目30番2号キヤ ノン株式会社内 (56)参考文献 特開 平3−92354(JP,A) 特開 昭64−26454(JP,A) 特開 平3−293149(JP,A) 特開 昭60−172545(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.6,DB名) B41J 2/175 B41J 2/12 B41J 2/125

Claims (12)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 記録時に温度変動を伴い、吐出部からイ
    ンクを吐出する記録ヘッドと、 前記記録ヘッドを、記録が可能な環境温度範囲よりも高
    い所定の保温温度に維持する保温手段と、 記録時の環境温度を検出するための環境温度検出手段
    と、 この環境温度検出手段によって検出された環境温度を用
    い、記録に先立って記録時の前記吐出部のインク温度を
    予測する温度予測手段と、 前記温度予測手段によって予測した前記吐出部のインク
    温度に応じて、前記吐出部からのインク吐出の安定化を
    行う吐出安定化手段とを具備したことを特徴とするイン
    クジェット記録装置。
  2. 【請求項2】 前記環境温度検出手段は前記記録ヘッド
    とは熱的に略隔絶した記録装置本体に設けた環境温度検
    知部材を有し、 前記保温手段は前記記録ヘッドに設けた加熱部材と、保
    温のための温度推定手段として前記環境温度検知部材の
    検知温度に加え前記吐出部の熱時定数に基づき少なくと
    も前記加熱部材の過去の加熱履歴およびインク吐出のた
    めに過去に前記記録ヘッドに供給した投入エネルギ−の
    履歴とを用いて現在の温度を演算推定する現在温度推定
    手段とを有し、 前記温度予測手段は前記現在温度推定手段の推定温度に
    加え、記録時に前記記録ヘッドに供給する予定の投入エ
    ネルギ−と前記吐出部の熱時定数とに基づいて前記吐出
    部のインクの温度変動を演算する温度予測演算手段を有
    したことを特徴とする請求項1記載のインクジェット記
    録装置。
  3. 【請求項3】 前記温度予測演算手段は記録期間を所定
    の基準期間に分割し、前記基準期間に記録する予定のド
    ット数と所定の基準駆動パルスないしは記録開始時の駆
    動パルスを基に演算して各基準期間の平均投入エネルギ
    −とし、前記保温温度に対してひとつの基準期間での平
    均投入エネルギ−と前記吐出部の熱時定数とから決定さ
    れる昇温分とそれ以前の各基準期間の平均投入エネルギ
    −に応じてその基準期間に残余している昇温分とを記録
    開始時の推定温度に順次積算し、各基準期間での前記吐
    出部のインクの温度を予測することを特徴とする請求項
    2記載のインクジェット記録装置。
  4. 【請求項4】 前記温度予測演算手段は記録期間を所定
    の基準期間に分割し、ひとつの基準期間に記録する予定
    のドット数とそれ以前の基準期間の駆動パルスとを基に
    演算してその基準期間の平均投入エネルギ−とし、前記
    保温温度に対してその基準期間での平均投入エネルギ−
    と前記吐出部の熱時定数とから決定される昇温分と、そ
    れ以前の各基準期間の平均投入エネルギ−に応じてその
    基準期間に残余している昇温分とを記録開始時の推定温
    度に積算してその基準期間の記録ヘッドの温度を予測す
    ることを特徴とする請求項2記載のインクジェット記録
    装置。
  5. 【請求項5】 記録時に温度変動を伴い、吐出部からイ
    ンクを吐出する記録ヘッドと、 前記記録ヘッドに熱的に結合し、前記記録ヘッドを記録
    が可能な環境温度範囲よりも高い所定の保温温度に維持
    する自己温度制御型の加熱部材と前記加熱部材の動作時
    間を管理する保温タイマーとで構成した保温手段と、 記録に先立って記録時の前記吐出部のインク温度を予測
    する温度予測手段と、 前記温度予測手段によって予測した前記吐出部のインク
    温度に応じて、前記吐出部からの吐出の安定化を行う吐
    出安定化手段とを具備したことを特徴とするインクジェ
    ット記録装置。
  6. 【請求項6】 前記保温タイマーが所定の時間経過する
    までは記録動作を禁止ないしは警告するとともに、前記
    所定時間経過後の記録時は、前記温度予測手段として前
    記保温温度に加え、記録時に記録ヘッドに供給する予定
    の投入エネルギ−と前記吐出部の熱時定数とに基づいて
    前記吐出部のインクの温度変動を演算する温度予測演算
    手段を具備したことを特徴とする請求項5記載のインク
    ジェット記録装置。
  7. 【請求項7】 環境温度を検出する環境温度検出手段を
    有し、前記保温タイマーが環境温度に応じて定まる所定
    の時間経過するまでは保温タイマーの経過時間と前記自
    己温度制御型の加熱部材と前記吐出部のインクを含めた
    前記記録ヘッドの熱時定数とから現在温度を推定し、前
    記所定の時間経過後は前記保温温度を現在温度とする現
    在温度推定手段を具備し、 前記温度予測手段として前記現在温度に加え、記録時に
    前記記録ヘッドに供給する予定の投入エネルギ−と前記
    吐出部の熱時定数とに基づいて前記吐出部のインクの温
    度変動を演算する温度予測演算手段を具備したこと特徴
    とする請求項5記載のインクジェット記録装置。
  8. 【請求項8】 前記吐出安定化手段は前記吐出部のイン
    クの予測温度に基づいて記録ヘッドへの投入エネルギ−
    を変更する記録ヘッド駆動信号変調手段を少なくとも有
    し、ひとつの液滴の吐出に際して記録ヘッド駆動信号を
    単数または複数のプレパルスとメインパルスとで構成す
    るとともに少なくともプレパルスによる投入エネルギ−
    を前記予測温度に応じて変調することを特徴とする請求
    項1乃至7のいずれかに記載のインクジェット記録装
    置。
  9. 【請求項9】 前記吐出安定化手段は前記吐出部のイン
    クの予測温度に基づいて記録条件を変更する記録条件制
    御手段を少なくとも具備したことを特徴とする請求項1
    乃至8のいずれかに記載のインクジェット記録装置。
  10. 【請求項10】 前記吐出安定化手段は前記吐出部のイ
    ンクの予測温度に基づいて前記記録ヘッドの回復条件を
    変更する回復条件制御手段を具備したことを特徴とする
    請求項1乃至9のいずれかに記載のインクジェット記録
    装置。
  11. 【請求項11】 前記記録ヘッドは、熱エネルギーによ
    ってインクに状態変化を生起させ、該状態変化に基いて
    インクを吐出させることを特徴とする請求項1乃至10
    のいずれかに記載の記録装置。
  12. 【請求項12】 記録時に温度変動を伴い、吐出部から
    インクを吐出する記録ヘッドと、 記録時の環境温度を検出するための環境温度検出手段
    と、 この環境温度検出手段によって検出された環境温度を用
    いて、前記記録ヘッドを、記録が可能な環境温度範囲よ
    りも高い所定の保温温度に維持する保温手段と、 記録に先立って記録時の前記吐出部のインク温度を予測
    する温度予測手段と、 前記温度予測手段によって予測した前記吐出部のインク
    温度に応じて、前記吐出部からのインク吐出の安定化を
    行う吐出安定化手段とを具備したことを特徴とするイン
    クジェット記録装置。
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