JP3162415B2 - 発泡シート材料及びその製造方法 - Google Patents

発泡シート材料及びその製造方法

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JP3162415B2 JP09631091A JP9631091A JP3162415B2 JP 3162415 B2 JP3162415 B2 JP 3162415B2 JP 09631091 A JP09631091 A JP 09631091A JP 9631091 A JP9631091 A JP 9631091A JP 3162415 B2 JP3162415 B2 JP 3162415B2
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満正 堀井
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、吸臭性に優れた発泡シ
ート材料及びその製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】従来より建造物、車両その他の諸室内の
内装材や壁装材等のシート材料としては、シート基材上
に軟質塩化ビニル系樹脂等の合成樹脂を積層したものが
一般的に用いられている。特に、これらシート材料を内
装材として用いる場合には、該シート材料表面層にエン
ボス加工やプリント模様、艶消し処理等が施され、装飾
性を付与している。
【0003】処で、近年生活水準の向上と共に、建造物
や車両その他の室内の気体雰囲気中の臭気、悪臭等につ
いてこれら臭気、悪臭等をさらに低減する充分な対策が
要求されるようになってきた。これら臭気、悪臭等は、
一般家庭においては閉空間の臭い、例えばトイレの臭
い、押入の臭い及び湿気、台所の生ゴミ臭或は集会場、
談話室等の大勢人の集まる場所における口臭、体臭、タ
バコ臭等の臭いがある。
【0004】前記臭気、悪臭等を除去する方法として
は、活性炭等の吸着剤や液体脱臭剤を散布又は揮発せし
める方法等があるが、その吸臭効果は一時的なもので、
満足するような効果は得られない。
【0005】また、浄化装置を取付けてその除去を試み
ているが、小型のものでは充分な効果が得られず、大型
のものは装置が大掛かりとなり室内空間が狭められ、ま
たコスト高となる。
【0006】このような社会的背景から需要者、産業
界、特に住宅産業界からの強い要請から優れた吸臭性を
有する材料の開発が切望されていた。
【0007】この吸臭性を有する材料としては、セルロ
ース繊維に含水珪酸マグネシウム質粘土鉱物(以下粘土
鉱物という)を混入した吸臭材料がある(特開昭61−
136436号公報、同61−136437号公報、同
61−136438号公報、同61−136439号公
報)。これら吸臭材料は、確かに優れた吸臭性能を有し
ているが、繊維質ゆえに内装材とした場合、その汚れを
除去する際表面に傷がつき易いという問題点があり、内
装材としての長期の使用には必ずしも満足できるもので
はない。
【0008】また、粘土鉱物を混入したシート状吸臭材
料がある(特開昭62−282926号公報、同62−
282927号公報)。前記公報に開示されているもの
は優れた吸臭性能を有しているが、合成樹脂層を発泡層
に形成する場合、粘土鉱物を多量に添加すると発泡層の
セル荒れ、発泡倍率の低下等の不具合現象が発生し、更
に粘土鉱物が若干着色しており、該粘土鉱物に起因する
色彩がシート材料に付与され、特に淡色系の製品には使
用できないという欠点がある。
【0009】それに加えて粘土鉱物の添加量が多量のた
め高価なものとなり、更に前記公報に開示されているも
のは非発泡構造のため施工下面の凹凸が出易く、外観ボ
リューム感に乏しいという問題があった。本発明者等は
これら従来の欠点を解決すべく鋭意研究の結果、本発明
を達成するに至ったものである。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、合成樹脂発
泡層のセル荒れがなく、また粘土鉱物含有に起因する着
色がなく、しかも吸臭性に優れた発泡シート材料及び簡
単に製造できる製造方法を提供することにある。
【0011】
【課題を解決するための手段】第1の発明はシート状基
材表面に、塩化ビニル系樹脂100重量部に対し、粘土
鉱物2〜10重量部を含有している発泡倍率3〜7倍の
発泡塩化ビニル系樹脂層が形成され吸臭性に優れてい
発泡シート材料という構成のものであり、第2の発明
は粘土鉱物がセピオライト、パリゴルスカイト、シロタ
イル又はラフリナイトである吸臭性に優れた発泡シート
材料という構成のものである。
【0012】また、第2の発明はシート状基材上に、塩
化ビニル系樹脂、可塑剤、充填剤。安定剤、発泡剤と、
更にこれに含水珪酸マグネシウム質粘土鉱物を前記樹脂
100重量部に対し2〜10重量部混合し、塩化ビニル
系樹脂の融点以上にて加熱して、発泡倍率3〜7倍に
泡させ、シート状基材の被覆用樹脂層とする吸臭性に優
れた発泡シート材料の製造方法という構成のものであ
る。
【0013】また、第4の発明は発泡塩化ビニル系樹脂
層の厚さ方向に、多数の微細な空孔部が穿設されている
吸臭性に優れた発泡シート材料という構成のものであ
り、第5の発明は発泡塩化ビニル系樹脂層表面に表面積
拡大手段が施されている吸臭性に優れた発泡シート材料
という構成のものである。
【0014】本発明で使用する粘土鉱物は、含水珪酸マ
グネシウムを主成分とし、その表面に反応性に富む水酸
基を有する粘土鉱物であって、直径が0.005〜0.
6μm程度の繊維からなり、該繊維に平行に約10×6
或は6×6程度の長方形の断面を持つ細孔(チャン
ネル)が存在するもので、該チャンネルが気体中の湿気
を吸収したり放出したりする性質を有している。また、
上記チャンネルの破断部が臭気性ガス状物質の受容部と
して機能し、気体中の臭気性ガス状物質を吸臭し、また
湿気等をも吸放湿する性質を有している。
【0015】前記粘土鉱物は、マグネシウムの一部がア
ルミニウム、鉄、ナトリウム、ニッケル等に置換されて
いる場合もある。具体的にはセピオライト(Sepiolit
e),ファルコンドアイト(Falcondoite)又はパリゴルス
カイト(Palygorskite) シロタイル、ラフリナイト等の
1種又は2種以上を使用する。該粘土鉱物を400〜8
00℃で仮焼したものを用いてもよい。また、通称でマ
ウンテンコルク(Mountain colk),マウンテンウッド
(Mountain wood)、マウンテンレザー(Mountain leath
er) 、海泡石(Meers-chaum)、アタパルジャイト(Atta
pulgite)等がこれに当る。
【0016】該粘土鉱物は粉末状、粒状或は板状の何れ
の形でも良いが、該粘土鉱物の有する孔が残留する程度
に、かつJIS規格の300メッシュの篩を通過する程
度に粉砕し、該粉砕物は長さが10μm以下で、アスペ
クト比(繊維長/繊維径)が100以下の範囲内にある
微結晶の集合体であることが好ましく、その粉砕はミキ
サー、ピンシル、叩解機等を用い、湿式粉砕又は乾式粉
砕により行う。該粘土鉱物は通常付着水、吸着水、結合
水或は構造水と呼ばれる種々の形態の水分を保持してい
るものである。
【0017】本発明においては、前記粘土鉱物はその含
有水分を予め除去し、5重量%未満の含水率のものを用
いるのが好ましい。これは含水率が5重量%を超える
と、本発明のシート材料の形成加工時に該水分が気化
し、後述発泡塩化ビニル系樹脂層にセル荒れが発生し、
不均質となり、目的とする製品が得られないからであ
る。
【0018】本発明の発泡シート材料の製造は、先ず
紙、難燃紙、不織布、織布、編織布、ポリエチレンテレ
フタレート、アルミニウム等のシート状基材上に、発泡
剤、粘土鉱物及び可塑剤、充填剤、安定剤等を添加した
塩化ビニル系樹脂組成物を形成する。本発明で使用する
塩化ビニル樹脂としては、塩化ビニル樹脂のホモポリマ
ー以外に塩化ビニル−酢酸ビニル等の共重合体、塩化ビ
ニル−エチレン−酢酸ビニル共重合体等のような塩化ビ
ニルと各種モノマーとのグラフト共重合体を含み、さら
にこれら共重合体と塩化ビニルホモポリマーとの混合物
及び塩化ビニルホモポリマ−と他の熱可塑性樹脂との混
合物も用いることができる。尚、これらの塩化ビニル系
樹脂は懸濁重合、乳化重合等何れの重合法のものも使用
できるが、塩ビゾルの場合は乳化重合法のものが好まし
い。
【0019】また、本発明の塩化ビニル系樹脂組成物に
は、発泡剤、粘土鉱物に加え一般に使用するDOP、D
HP、DIDP、塩素化パラフイン等の可塑剤の外充填
剤、着色剤、安定剤、滑剤、ケレーター等を混合使用す
る。尚、該樹脂層は着色、不着色何れのものも使用でき
るが、特に透明層とする場合には、その使用素材の種
類、添加量を適宜選択して使用すれば良い。また、塩ビ
ゾルの場合、塗料粘度の調整及び出来上がり製品の硬さ
調整のため、n−パラフイン、アルキルベンゼン、ミネ
ラルスピリット、ポリエチレングリコール等の粘度調整
剤を使用すれば良い。
【0020】塩化ビニル系樹脂層に添加する粘土鉱物の
混入量は、塩化ビニル樹脂100重量部に対し、2〜1
0重量部、特に3〜7重量部の添加が好ましい。2重量
部未満では吸臭性並びに吸湿性の作用、効果が不充分と
なり、また10重量部を超えると上記の諸作用は増大す
るが、該シート製造時上記粘土鉱物中の含有水分の気化
等により発泡層のセル荒れ及び発泡倍率の低下等の不具
合が発生し好ましくない。
【0021】また、特に塩化ビニル系樹脂組成物がペー
スト状塗料(塩ビゾル)の場合、上記粘土鉱物の特異な
構造のため、10重量部を超えるとゾル粘度が急激に上
昇し、このため加工性が著しく低下し好ましくない。
【0022】前記の如き塩化ビニル系樹脂層を基材上に
塗工、形成する方法としてはコーティング法、カレンダ
ー法、押出法等の各種方法が使用できるが、高発泡化が
容易であり、かつ他の工法に比較して連続通気性の付与
度の高いコーティング法が好ましい。また、コーティン
グ法は、比較的に少量の粘土鉱物の混入で吸臭性並びに
吸湿性の作用、効果を引出すことができるという利点も
ある。尚、コーティングの方法としては、ナイフコータ
ー、バーコーター、リバースコーター又はロータリース
クリーン若しくはグラビア印刷機によるベタ塗り方法等
が適用できる。
【0023】前記のようにして形成された塩化ビニル系
樹脂層を、該塩化ビニル系樹脂の融点以上の温度で加熱
軟化させて発泡せしめる。この場合、発泡倍率としては
3〜7倍とする。なぜなら、3倍未満では倍率が低すぎ
るために、後述連続通気性の付与度が減少し、このため
吸臭性並びに吸湿性の作用、効果も不十分なものとな
り、他方、7倍を超えると前記諸作用には問題はない
が、高倍率故に耐摩耗性、耐引っかき性等の物性強度が
低下し、耐久性に乏しいものとなり、かつ製造、運搬及
び施工の際、多少の荷重、衝撃に対して発泡層が潰れ易
く、一旦潰れが発生した場合は外観不具合となり、商品
価値がなくなるからである。
【0024】前記塩化ビニル系樹脂層の形成方法として
は、基材上に直接コーティングする方法の外、離型材上
に塩ビゾルをコーティングし、加熱ゲル化発泡後、直ち
に基材と接合するか若しくは接着剤を介して接合し、離
型材を剥離して発泡シートを製造する方法があり何れを
用いても良い。
【0025】上記何れの方法を用いるにしても該発泡塩
化ビニル系樹脂層の厚みは発泡後0.3〜3.0mmが
好ましく、0.3mm未満では物性強度的に問題が発生
し易く、かつ発泡性シート材特有の柔軟性、風合いの良
さがなくなり、また3.0mmを超えた場合には強靱で
物性強度的に問題はないが、重量的に重く、かつ諸内装
材として使用する場合、装着、縫製等がし難くなり、施
工上の問題が発生し好ましくない。
【0026】尚、塩化ビニル系樹脂層の発泡方法として
は、アゾジカルボンアマイド(ADCA)に代表される
化学発泡が用いられ、熱可塑性樹脂用として一般に用い
られている発泡機、即ち雰囲気温度〜250℃程度まで
温度変化可能な加熱炉を使用し、例えば220℃×30
秒加熱し発泡すれば良い。尚、前記方法に限られず気体
の熱膨張を利用したマイクロカプセル発泡又は機械的攪
拌等による方法等何れを用いても良い。また、塩化ビニ
ル系樹脂層の発泡タイミングは特に制約はなく後述エン
ボス模様を施す前、後の何れでも良い。
【0027】前記塩化ビニル系樹脂発泡層は、その上に
表面強度を向上させるため粘土鉱物を含有した非発泡塩
化ビニル系樹脂層を積層しても良い。この場合の非発泡
塩化ビニル系樹脂層への粘土鉱物の混入量は、特開昭6
2−282927号公報に開示した如く、塩化ビニル系
樹脂100重量部に対し5〜50重量部、特に10〜4
0重量部の添加が好ましい。また、発泡塩化ビニル系樹
脂層上に積層する非発泡塩化ビニル系樹脂層の厚みは
0.05〜0.50mmが最適であり、0.05mm未
満では強度的な問題を生じ、0.50mm超えると重く
なり、また内装材として使用する際、前述と同様の施工
性に問題が生じ、かつ風合いも硬くなり好ましくない。
【0028】また、非発泡塩化ビニル系樹脂層を積層し
た場合、発泡性塩化ビニル系樹脂層の連続通気的構造を
阻害する形となるため、前記非発泡塩化ビニル系樹脂層
の表面から適宜間隔を存して設けられた多数の金属針を
有する針ロール又は多数の金属針を付設した平板等の刺
通装置を用いて針穴加工を行い、少なくとも発泡性塩化
ビニル系樹脂層に達する多数の針穴加工による微細な空
孔部を穿設し、吸臭性並びに吸湿性の作用、効果の実を
あげることが好ましい。
【0029】以上のようにして得られた発泡シート材料
は、発泡塩化ビニル系樹脂層表面にエンボス模様若しく
は印刷模様又はその両者を施し、内装装飾用素材として
の立体的で多彩な意匠性を付与せしめる。また、場合に
より発泡塩化ビニル系樹脂層表面に表面処理剤を用い表
面処理層を形成できる。
【0030】この場合表面処理層として使用する表面処
理剤としては、一般的な塩化ビニル系樹脂用表面処理剤
であれば特に制約なく使用することができる。例えば、
塩化ビニル−アクリル系、ウレタン系、アミノ酸系表面
処理剤等が挙げられる。また、表面処理剤として吸臭性
塗料、例えばダイムシューVSW2527−16M(大
日精化社製、商品名)を使用すれば、吸臭性を一層高め
ることができる。
【0031】前記印刷模様の形成方法は、グラビア印刷
機、スクリーン印刷機、ロータリースクリーン印刷機等
を用いて印刷模様を形成するか又はバレープリント機を
用いることによりさらに複雑で立体的な模様を付与せし
めることができる。
【0032】また、エンボス模様を賦形する方法は、熱
可塑性樹脂一般に用いられているエンボス方法であれば
如何なる方法を使用しても良いが、ロールエンボス方
法、即ち塩化ビニル系樹脂層を加熱し冷エンボスロール
で賦形するか又は加熱エンボスロールで賦形するエンボ
ス方法が能率的であり、量産化の点で好ましい。
【0033】尚、前記エンボス模様の形状は如何なるも
のでも良いが、でき得れば凹凸段差が大で、かつ凹凸密
度が極めて高い形状のものが好ましい。これは外気雰囲
気との接触表面積がより大となり吸臭性、吸湿性の諸効
果を増大せしめることができるからである。
【0034】表1は粘土鉱物添加量と塩ビゾルの粘度、
塗工性との関係及び塩化ビニル系樹脂層をコーター法に
てコーティングすることによって作成した発泡シート材
料の物性との関係について示したものである。
【表1】
【0035】表1に示すように、粘土鉱物混入量10重
量部までは比較的良好であるのに対し、混入量10重量
部を超えると塩ビゾルの粘度上昇が著しく、このため塗
工性に支障を来し、外観及び発泡セル状態とも劣り、実
用性のないものであり、かつ発泡倍率の減少を伴うもの
であった。
【0036】
【実施例】以下実施例に基づいて本発明を具体的に説明
する。図1は発泡倍率5倍とした第1の発明の一実施例
の電子顕微鏡写真(×40)の立体的な概略図を示した
ものであって、発泡シート材料1はシート状基材2の上
に発泡塩化ビニル系樹脂層3が積層されたものであり、
該発泡塩化ビニル系樹脂層3は内部が多数のセル4に形
成されており、またその内部に粘土鉱物5が均一に分散
して含有されている。該発泡塩化ビニル系樹脂層3の表
面6には加熱軟化発泡時、自然発生的に生じた表面空孔
部7が形成されていると共に、前記セル4は、図2に示
すように加熱軟化発泡時、セル4の隔壁8にも自然発生
的に生じた多数のセル隔壁空孔部9が形成されている。
【0037】前記表面空孔部7及びセル隔壁空孔部9に
より、外気雰囲気内の悪臭並びに湿気が発泡塩化ビニル
系樹脂層3に含有されている粘土鉱物5との接触面積及
び接触度合が大となり、吸臭性並びに吸湿性の作用、効
果を高めている。これに対し、発泡倍率2倍とした場合
の電子顕微鏡写真においては、自然発生的に生じる表面
空孔部7及びセル隔壁空孔部9はほとんど認められなか
った。
【0038】図3は発泡倍率5倍とした第4の発明の一
実施例の立体的な概略図であって(図1と同一符号は同
一部材である)、発泡塩化ビニル系樹脂層3の表面6か
ら厚さ方向に針穴加工を施して穿設した針穴空孔部10
が設けられている。該針穴空孔部10の形成によって雰
囲気中の臭気及び湿気が粘土鉱物に接触する度合が増大
し臭気及び湿気の除去が一層促進できる。尚、針穴加工
空孔部10はシート状基材2を貫通しても良い。
【0039】実施例1 壁紙用裏打難燃紙に粘土鉱物としてセピオライト5重量
部混入した下記塩ビゾル配合組成物を発泡前シート厚味
0.20mmで塗工積層し、続いてこれを加熱炉を用い
160℃×30秒でプリゲル化し、更に220℃×30
秒で塩化ビニル樹脂層を発泡させて発泡シートを得た。
得られたシート材料は、塗工性及び外観、発泡セルとも
に良好なものであり、壁材装飾用内装材として使用する
のに何等支障のないものであった。
【0040】塩ビゾル配合組成: 塩化ビニル樹脂(平均重合度=800) 100重量部 DOP 50 〃 塩素化パラフイン 10 〃 Ba−Zn系液状安定剤 3 〃 炭酸カルシウム 50 〃 チタン白顔料 10 〃 ADCA系発泡剤 3 〃 n−パラフイン(粘度調整剤) 8 〃 セピオライト(含水率5%以下) 5 〃
【0041】実施例2 実施例1と同一の方法で同一構成の発泡シート材料を作
成し、次いでその裏面より多数の細い金属針を付設した
平板を用いて多数の微細な空孔を施して発泡シート材料
を得た。得られた発泡シート材料は、実施例1と同様、
内装材としての適合性を有するものであった。
【0042】比較例1 実施例1の塩ビゾル配合組成より粘土鉱物素材のみを除
いた配合組成物を用いて、実施例1と同一条件で発泡シ
ート材料を得た。得られた発泡シート材料は、実施例1
と同様、内装材として使用するのに何等支障のないもの
であったが、後述のように吸臭性及び吸湿性の少ないも
のであった。
【0043】実施例3 実施例1の塩ビゾル配合組成より、粘土鉱物混入量のみ
を3重量部とした配合組成物を用い、実施例1と同一の
壁紙用裏打難燃紙上に、コーティング機を用いて発泡前
シート厚味約0.20mmで塗工積層し、約180℃×
10秒でプリゲル化した。次に、発泡機を使用し、約2
20℃×30秒で連続的に塩化ビニル系樹脂層を発泡さ
せて発泡シート材料を得た。
【0044】続いて、上記発泡シート材料をエンボス機
を使用し、該層表面を遠赤外線ヒーターで加熱し、凹凸
段差が大で、目のこんだ布目調柄模様を有するエンボス
ロールを用いてエンボス模様を施し、更にエンボス模様
が施された該発泡シート材料の裏面より多数の細かい金
属針を付設した針ロールで多数の微細な空孔を施して製
品を得た。得られた製品は実施例1と同様内装材として
有用で、意匠性に富んだものであった。
【0045】比較例2 実施例3の塩ビゾル配合組成より粘土鉱物のみを除いた
配合組成物を用いて実施例3と同一加工条件で発泡シー
ト材料を得、更に実施例3と同一条件でエンボス模様を
施して製品とした。得られた製品は実施例3と同様内装
材としての適合性を有し、意匠性に富んだものであった
が、後述のように吸臭性、吸湿性の少ないものであっ
た。
【0046】比較例3 実施例3と同一の壁紙用裏打難燃紙を基材とし、これに
下記配合の軟質塩化ビニル系樹脂組成物を約150℃の
ミキシングロールで混練し、続いてこれを約160℃の
カレンダーロールを用いて厚味約0.2mmの非発泡層
を積層した後、実施例3と同一加工条件でエンボス模様
を施して製品を得た。得られた製品は実施例3と同様内
装材としての適合性を有していたが、ボリューム感に乏
しく、かつ後述のように吸臭性、吸湿性の少ないもので
あった。 塩化ビニル系樹脂層配合組成: 塩化ビニル樹脂(平均重合度=1,100) 100 重量部 DOP 50 〃 塩素化パラフイン 15 〃 Ca−Zn系複合安定剤 2.5 〃 ケレーター 1 〃 チタン白顔料 10 〃 炭酸カルシウム 100 〃
【0047】前記実施例1〜比較例3で得られた各製品
の吸臭性及び吸湿性テスト結果を表2に示す。
【0048】
【表2】
【0049】茲に、吸臭性は、タバコの煙中に含まれる
成分であるピリジン及びタバコの煙中、トイレの臭気等
に含まれているアンモニアの2つの所定時間後の除去率
を求めることにより評価した。また、吸湿性について
は、JASSのテスト方法に準拠した試験を行い、吸湿
性を評価した。具体的な試験法及び評価方法は次の通り
である。
【0050】1.吸臭性テスト (1)ピリジン吸臭性 予め表面を20×10cm露出
させ、裏面をアルミニウム箔が中間層に介在するポリエ
ステルフィルムでマスキングした被験材を、前記と同様
のフィルム製の袋(サイズ約30×60cm)中に入
れ、更に乾燥空気バランス方式にて約180ppm濃度
に調整されたピリジン含有気体5リットルを前記袋中に
導入、密閉し、8時間経過後のピリジン濃度をガスクロ
マトグラフで測定し、ピリジンガスに対する除去率を式
1を用いて算出した。吸臭性は値が大きい程性能が優れ
ていることを示している。
【0051】 ピリジン除去率=(CbーCt)/Cb×100(%) (1) ここで、Cb;8時間後のピリジン自然減衰(ブランク)濃度 Ct;8時間後の被験材を入れた容器内ピリジン濃度
【0052】(2)アンモニア吸臭性 天井部分を被験
材とし、他の5つの面をアクリル樹脂板で囲った内容積
91リットル(45×45×45cm)のボックスを用
い、室温24℃の該ボックス内に、25%濃度のアンモ
ニア水溶液を該ボックス内のアンモニア初期濃度が約1
00ppmになるように注入し(約25マイクロリット
ル)、150分経過後の該ボックス内のアンモニア濃度
を検知管にて測定し、アンモニアガスに対する除去率を
式2を用いて算出した。
【0053】 アンモニア除去率=(CbーCt)/Cb×100(%) (2) ここで、Cb;150分経過後のアンモニア自然減衰(ブランク)濃度 Ct;150分経過後の被験材を入れた容器内アンモニア濃度
【0054】2.吸湿性テスト テスト方法 JASS 23M−102のテスト方法に準拠し、被験
材(150mm×150mm)の大きさに裁断し、これ
と同一寸法に裁断したアクリル樹脂板に酢酸ビニル樹脂
系接着剤を用いて前記被験材と接合した後、デシケータ
ー中で24時間乾燥し、乾燥後の該接合材の重量を測定
し、続いて直ちに温度50℃、湿度98%に調整した恒
温、恒湿槽内に6時間放置した後、該接合材の重量を測
定し、その放置前後の重量を求め、式3を用いて吸湿性
の値を算出した。この値が大きい程吸湿性能に優れてい
ることを示す。
【0055】 吸湿性=吸湿量/被試験材の表面積 (g/m2 ) (3) ここで、吸湿量=放置前後の重量差
【0056】
【発明の作用、効果】本発明の発泡シート材料は、塩化
ビニル系樹脂層中に、塩化ビニル系樹脂100重量部に
対して吸臭性に優れた粘土鉱物を2〜10重量部含有す
ること及び発泡倍率を3〜7倍とすることによって、吸
臭性に優れ、かつ物性強度的にも優れた発泡シート材料
を得ることができ、更に、淡色系の製品にも使用できる
発泡シート材料たらしめることができ、これを室内又は
自動車等の内装材として使用することによって何等特別
な浄化装置を取り付けることなく、該内装材中の粘土鉱
物が雰囲気中の悪臭を吸収し、室内の空気を浄化できる
という著効がある。
【0057】しかも本発明は、発泡セル荒れ、発泡倍率
の低下もないものであるため、外観は立体的なボリュー
ム感を有しており、しかも施工下面の凹凸もなく内装材
としての優れた装飾性を具備しているものである。
【0058】また、特開昭62−282927号公報に
開示されているものと比較して粘土鉱物の混入量を軽減
できるから、製造コストを低廉ならしめ、かつ発泡層セ
ル荒れによる不均一が改良でき、粘土鉱物によるシート
着色も殆どなく、従って該シートの色目の制限(淡色系
にも適用可能)がなくなる利点がある。
【0059】更に、本発明の製造方法は従来の発泡塩化
ビニル樹脂シートを製造すると同様に塩化ビニル系樹脂
に、適宜可塑剤、充填剤、安定剤、発泡剤に加えて粘土
鉱物を配合する以外は従来のシート製造法及び発泡処理
手段がそのまま使用できるため、製造方法も簡単で、か
つ容易に製造することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】第1の発明の要部斜視図である。
【図2】発泡シートの一部拡大図である。
【図3】第4の発明の要部斜視図である。
【符号の説明】
1 発泡シート材料 2 シート状基材 3 発泡塩化ビニル系樹脂層 4 セル 5 粘土鉱物 6 表面 7 表面空孔部 8 セル隔壁 9 セル隔壁空孔部 10 針穴空孔部
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 永岡 努 愛知県豊田市トヨタ町1番地 トヨタ自 動車株式会社内 (72)発明者 石原 重親 愛知県豊田市トヨタ町1番地 トヨタ自 動車株式会社内 (72)発明者 酒井 幹一郎 愛知県豊田市トヨタ町1番地 トヨタ自 動車株式会社内 (72)発明者 川合 浩史 愛知県豊田市トヨタ町1番地 トヨタ自 動車株式会社内 (72)発明者 堀井 満正 愛知県愛知郡長久手町大字長湫字横道41 番地の1 株式会社 豊田中央研究所内 (72)発明者 小野田 誠次 愛知県愛知郡長久手町大字長湫字横道41 番地の1 株式会社 豊田中央研究所内 (72)発明者 杉浦 正治 愛知県愛知郡長久手町大字長湫字横道41 番地の1 株式会社 豊田中央研究所内 (56)参考文献 特開 昭62−282927(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) B32B 1/00 - 35/00

Claims (5)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 シート状基材表面に、塩化ビニル系樹脂
    100重量部に対し、含水珪酸マグネシウム質粘土鉱物
    2〜10重量部を含有している発泡倍率3〜7倍の発泡
    塩化ビニル系樹脂層が形成された吸臭性に優れているこ
    とを特徴とする発泡シート材料。
  2. 【請求項2】 含水珪酸マグネシウム質粘土鉱物が、セ
    ピオライト、パリゴルスカイト、シロタイル又はラフリ
    ナイトであることを特徴とする特許請求の範囲第1項記
    載の発泡シート材料。
  3. 【請求項3】 シート状基材上に、塩化ビニル系樹脂、
    可塑剤、充填剤。安定剤、発泡剤と、更にこれに含水珪
    酸マグネシウム質粘土鉱物を前記樹脂100重量部に対
    し2〜10重量部混合し、塩化ビニル系樹脂の融点以上
    で加熱して、発泡倍率3〜7倍に発泡させた吸臭性に優
    れている発泡シート材料の製造方法。
  4. 【請求項4】発泡塩化ビニル系樹脂層の厚み方向に、多
    数の微細な空孔部が穿設されていることを特徴とする特
    許請求の範囲第1項記載の発泡シート材料。
  5. 【請求項5】 発泡塩化ビニル系樹脂層表面に表面積拡
    大手段が施されていることを特徴とする特許請求の範囲
    第1項記載の発泡シート材料。
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