JP3161093B2 - 気泡発生浴槽システム - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本発明は、浴槽内に噴出する気泡
混じりの浴湯の噴出形態を調節できる気泡発生浴槽シス
テムに関するものである。

【０００２】

【従来の技術】従来、気泡発生浴槽システムにおいて、
浴槽に取付けた噴出ノズルから噴出する気泡混じりの浴
湯の流量調節は、吐出管等に設けた流量調節弁により行
っており、例えば、強・中・弱の切換えを可能としてい
た。

【０００３】そして、上記気泡混じりの浴湯の流量の調
節は、流量調節弁に連結した駆動モータにより、同調節
弁の開閉角度を変えることにより行っていた。

【０００４】しかし、近年、ユーザーのニーズに応える
ために、あるいは、他社製品との差別化を図るために、
気泡混じりの浴湯の噴出量の調節の多様化が求められて
きており、強、中、弱を瞬時に切り換える直接切換式の
他に、例えば、強→中→弱→中→強とゆるやかに連続的
に切り換えるウエーブ式等が採用されてきた。

【０００５】かかるウエーブ式は、流量調節弁の開閉を
ゆっくりと連続的に行うように制御しており、このよう
な精密な制御を行うために、一般に、駆動モータとして
はステッピングモータが用いられている。

【０００６】

【発明が解決しようとする課題】ところが、上記した気
泡発生浴槽における流量調節弁は、未だ、以下のような
解決すべき課題を有していた。

【０００７】即ち、ステッピングモータには、２相励磁
方式、１−２相励磁方式等の複数の励磁方式があり、２
相励磁方式、１−２相励磁方式で比較した場合、回転が
遅い場合には１−２相励磁方式が適しており、回転が速
い場合には２相励磁方式が適するという特徴を有してい
る。

【０００８】ところで、気泡混じりの浴湯を噴出する場
合、上記した強→中→弱→中→強とゆるやかに連続的に
切り換えるウエーブ式の噴出形態のような精密な制御を
行うためには、流量調節弁をゆっくりと回転させるの
で、モータの回転数も小さい。

【０００９】また、強・弱等を瞬時に切換える直接切換
式においては、流量調節弁を速く回転させる必要があ
り、モータの回転も速くなる。

【００１０】従って、ウエーブ式には１−２相励磁方
式、直接切換式には２相励磁方式の方が適していると考
えられる。

【００１１】ところが、図７及び図８に示すように、ス
テッピングモータは、同じ電圧範囲においては、出力ト
ルク、巻線温度（巻線の発熱量）に関して言えば、１−
２相励磁方式の方が２相励磁方式に比べて共に大きいと
いう特徴を有するものである。

【００１２】従って、同じ電圧範囲内においては、１−
２層励磁方式における巻線温度の過上昇、２相励磁方式
における出力トルク不足等を引き起こすという問題があ
った。

【００１３】例えば、巻線温度が過上昇すると、絶縁体
が破壊される虞があり、駆動モータの故障の原因となっ
たり、出力トルク不足になると、流量調節弁の所望の回
転速度を得ることができず、噴出量の調節が不正確にな
るといった不具合を発生してしまうものであった。

【００１４】このようなことから、切換式でも、ウエー
ブ式でも何ら問題なく、且つ、正確な流量調節を可能と
する流量調節弁が望まれていた。

【００１５】本発明は、上記した課題を解決することの
できる気泡発生浴槽システムを提供することを目的とす
る。

【００１６】

【課題を解決するための手段】本発明では、浴槽本体
と、同浴槽本体の外部に設置した循環ポンプとの間に、
浴湯吸込流路と浴湯強送流路とからなる浴湯循環流路を
介設すると共に、浴槽本体に設けた浴湯強送流路の開口
部に噴出ノズルを取付け、しかも、浴湯強送流路と空気
取入部とを連通連結して同ノズルから浴槽本体内へ気泡
混じりの浴湯を噴出可能とし、さらに、浴湯強送流路を
構成する吐出管に、浴湯の噴出形態を可変にするための
流量調節弁を設けて構成した気泡発生浴槽システムにお
いて、上記流量調整弁を駆動する駆動モータの励磁方式
を、噴出形態に応じて切換え可能とし、切換えた励磁方
式に応じて、駆動モータへの印加電圧を変化させ、さら
に、上記駆動モータの励磁方式を１−２相励磁方式と２
相励磁方式とに切換え可能とすると共に、２相励磁方式
における駆動モータへの印加電圧を１−２相励磁方式よ
りも高くし、上記１−２相励磁方式は、流量調整弁をゆ
っくり回転させて噴出量をゆるやかに連続的に切り換え
る噴出形態で用いる一方、上記２相励磁方式は、流量調
整弁を早く回転させて噴出量を瞬時に切り換える噴出形
態で用いるようにしたことを特徴とする気泡発生浴槽シ
ステムを提供せんとするものである。

【００１７】

【００１８】

【実施例】本発明の実施例を図面に基づき、具体的に説
明する。

【００１９】図１は本発明に係る流量調節弁Ｖを具備す
る気泡発生浴槽システムＡの概略説明図であり、図２は
同システムＡを示す模式的説明図である。

【００２０】気泡発生浴槽システムＡは、図１に示すよ
うに、同システムＡの浴槽本体１を浴室Ｃの床面に設置
し、同浴槽本体１と浴室壁体２を隔てて浴室Ｃの外部に
設置したポンプユニットＵとの間に、浴湯吸込流路B1と
浴湯強送流路B2とからなる浴湯循環流路Ｂを介設して構
成している。３は給湯機等の屋外機である。

【００２１】そして、浴槽本体１を上方開口の箱形に形
成すると共に、周縁に一定幅の鍔状縁部1aを形成し、短
辺側の浴槽壁1b,1b にそれぞれ２個づつの足用の噴出ノ
ズル4,4 と背用の噴出ノズル5,5 とを取付けている。

【００２２】また、縁部1aの一隅部に空気取入部27を設
けており、同空気取入部27と上記の各噴出ノズル4,5 と
を吸気管28を介して連結している。

【００２３】また、長辺側の浴槽壁1cには浴湯吸入口６
を設け、さらに、底部1dには浴湯排水口７を設けてい
る。

【００２４】ポンプユニットＵは、図２〜図５に示すよ
うに、平面視長方形状の箱形に形成したケーシング８内
に、循環ポンプＰと、同循環ポンプＰを駆動するモータ
ｍと、循環ポンプＰに連結して浴湯を濾過する濾過機Ｄ
と、同濾過機Ｄやモータｍ、さらに、後述する流路調節
弁Ｖの駆動モータＭ等を制御する制御部Ｊ等を収納して
いる。

【００２５】また、図３〜図５に示すように、ケーシン
グ８の正面側板8aに循環ポンプＰの吸入管９と、配水マ
ニホールド19を介して中途で二又に分岐した吐出管10,1
0 とを突設し、ケーシング８内において、吐出管10,10
には、それぞれ浴槽１への気泡混じりの浴湯の噴出形態
を可変とするために、流量調節弁V,V を取付けている。

【００２６】また、吸入管９及び吐出管10,10 のそれぞ
れの端部に開口する吸入口11及び吐出口12,12 は、ケー
シング８の正面側板8aに、それぞれ上下縦方向に同一垂
直線上に開口しており、かかる吸入口11及び吐出口12,1
2 に吸入連結管13及び吐出連結管14,14 の一端をそれぞ
れ連結している。

【００２７】そして、吸入連結管13の他端に形成した連
結口を浴槽本体１の浴湯吸入口６に循環パイプＧを介し
て連通連結すると共に、吐出連結管14,14 の他端に形成
した連結口を、同様に、それぞれ噴出ノズル4,5 に循環
パイプＧを介して連通連結し、浴湯吸込流路B1と浴湯強
送流路B2とからなる浴湯循環流路Ｂを構成している。

【００２８】即ち、上記循環パイプＧは、図１に示すよ
うに、それぞれ略同一径の浴湯吸入管16と足側強送管1
7、背側強送管18とから構成しており、浴湯吸入管16は
その一端を浴槽本体１の浴湯吸入口６に連結すると共
に、他端を吸入連結管13の連結口に螺着している。

【００２９】また、足側強送管17及び背側強送管18は、
それぞれの一端を二又に分岐して浴槽本体１の足側用の
噴出ノズル4,4 及び背側噴出ノズル5,5 に連結すると共
に、他端を吐出連結管14,14 の連結口に螺着している。

【００３０】また、ケーシング８内には、圧力センサＳ
を配設しており、同センサＳは浴湯の水位や給湯吸入口
６のフィルタの目詰まり等を検知可能としている。

【００３１】なお、図２において、P1は循環ポンプＰの
インペラ室であり、同インペラ室P1内に、モータｍに連
結する駆動軸m1に取付けたインペラP2を配設し、同イン
ペラP2をモータｍにより回転させて浴湯を循環可能とし
ている。

【００３２】また、図３〜図５中、20は流路切換弁、21
は切換弁引込みパイプ、22は濾過用浴湯引込みパイプ、
23は濾過剤浴湯戻しパイプ、24は排水パイプ、25はエア
抜きホース、26はケーシング支持脚、29は取っ手、ｂは
空気抜き弁、42は空気抜きホースである。

【００３３】本実施例の気泡発生浴槽システムＡは上記
のように構成されており、循環ポンプＰを作動させるこ
とにより、浴槽本体１内の浴湯を、浴湯吸入口６→浴湯
吸入管16→吸入連結管13→循環ポンプＰの吸入管９→循
環ポンプＰ→配水マニホールド19→循環ポンプＰの吐出
管10,10 →吐出連結管14,14 →足側及び背側強送管17,1
8 →足側及び背側噴出ノズル4,5 と循環させて浴槽本体
１内に噴出可能としている。

【００３４】このときに、エジェクタ効果により、各噴
出ノズル4,5 内に空気取入部27より吸気管28を介して空
気を取入れて、浴槽本体１内に気泡混じりの浴湯を噴出
可能として、気泡発生浴槽Ａとしての機能を果たすよう
にしている。

【００３５】さらに、流量調節弁V,V によって浴湯の噴
出形態を、例えば、強、中、弱を瞬時に切り換える直接
切換式と、強→中→弱→中→強とゆるやかに連続的に切
り換えるウエーブ式とに切換可能としている。

【００３６】かかる流量調節弁V,V は、駆動モータＭに
より開閉可能とされており、しかも、同調節弁Ｖの回転
速度と開閉角度の調節によって噴出圧を変え、浴槽本体
１に取付けた噴出ノズル4,5 からの気泡混じりの浴湯の
噴出形態を調節可能としている。そして、同流量調節弁
Ｖの制御を、前記した制御部Ｊにより行っている。

【００３７】本発明の要旨となるのは、上記構成の気泡
発生浴槽システムＡの吐出管10,10に取付けた流路調整
弁Ｖを駆動する駆動モータＭの励磁方式を噴出形態に応
じて切換えると共に、切換えた励磁方式に応じて駆動モ
ータＭへの印加電圧を変化させたことにある。

【００３８】即ち、図６に示すように、流路調節弁Ｖを
駆動する駆動モータＭにはステッピングモータを使用し
ており、同駆動モータＭは１−２相励磁方式と２相励磁
方式とに切換可能となっている。しかも、図７及び図８
で分かるように、同モータＭの出力トルクと巻線温度と
に関しては、同じ電圧範囲において、出力トルク、巻線
温度（巻線の発熱量）に関しては１−２相励磁方式の方
が２相励磁方式に比べて共に大きいという特徴を有す
る。

【００３９】また、同駆動モータは、回転が速い場合に
は２相励磁方式が適しており、回転が遅い場合には１−
２相励磁方式が適するという特徴も有している。

【００４０】ところで、気泡混じりの浴湯を噴出する場
合、ウエーブ式では流量調節弁Ｖをゆっくりと回転させ
る必要があり、このときの駆動モータＭの回転は遅い。

【００４１】従って、この場合には１−２層励磁方式の
方が適しており、また、切換式においては、流量調節弁
Ｖを速く回転させる必要があるので、モータの回転も速
く、この場合には２相励磁方式の方が適することにな
る。

【００４２】ところが、前述したように、同じ電圧範囲
において、出力トルク、巻線温度（巻線の発熱量）に関
しては１−２相励磁方式の方が２相励磁方式に比べて共
に大きいので、同じ電圧範囲内において使用すると、１
−２層励磁方式においては巻線温度の過上昇、また、２
相励磁方式においてはトルク不足等を引き起こす虞があ
る。

【００４３】そこで、図７及び図８に示すように、１−
２相励磁方式と２相励磁方式において、駆動モータＭへ
のそれぞれの適性な印加電圧を設定し、各励磁方式に応
じて適性電圧に変化させることにより、十分な出力トル
クの確保を可能とすると共に、巻線温度の過上昇を防ぐ
ことを可能としている。

【００４４】本実施例では、適性な印加電圧を、１−２
相励磁方式においては10.33V±10%とし、２相励磁方式
においては12.9V ±10% に設定している。また、必要最
低出力トルクを15kgfcm 、コイルの許容温度を110 °C
としている。

【００４５】ここで、励磁方式に応じて印加電圧を変化
させるための回路について、図６を参照して説明すると
以下の通りである。

【００４６】図６は、本実施例における駆動モータＭの
駆動回路Ｑを示すブロック図であり、同駆動回路Ｑの大
部分は制御部Ｊ内に配設され、駆動モータＭは吐出管1
0,10に取付けた流路切換弁Ｖに連設している。

【００４７】駆動回路Ｑは、所定の電圧を印加する電源
部Ｅと、駆動モータＭの各励磁コイルに駆動信号をR1〜
R4まで順次シフトしながら分配する励磁分配部30と、同
電源部Ｅ及び励磁分配部30に接続するＣＰＵ部31とから
なり、同ＣＰＵ部31は、１−２相励磁、２相励磁を選択
可能とした励磁モード切換部32と、駆動モータＭを正逆
切換るための正逆切換部33と、駆動モータＭの起動・停
止を行わせる起動部34等から構成している。

【００４８】また、上記励磁分配部30には、パルスジェ
ネレータ35を接続して、同パルスジェネレータ35より一
定周期の信号を発生させて励磁分配部30に入力するよう
にしており、同信号により励磁分配部30から駆動モータ
Ｍへ出力される信号が定まるようになっている。

【００４９】さらに、励磁分配部30と駆動モータＭとの
間には、同励磁分配部30から駆動モータＭの各励磁コイ
ルに分配する駆動信号を適宜増幅するための増幅部36を
介設し、駆動モータＭの大きさに対応させるようにして
いる。

【００５０】上記構成の駆動回路Ｑにおいて、励磁モー
ド切換部32により１−２相励磁方式を選択した場合は、
ＣＰＵ部31より電源部Ｅに指示信号が入力されて１−２
相励磁方式に適した電圧に制御するようにしている。本
実施例においては、10.33V±10% である。

【００５１】また、２相励磁方式を選択した場合は、同
様に12.9V ±10% の電圧が印加されるように制御してい
る。

【００５２】このように、流量調節弁Ｖの弁調節に使用
する駆動モータＭを、１−２相励磁方式と２相励磁方式
とで使い分けるときに、それぞれの適性な印加電圧に変
化させるようにしたことにより、各励磁方式において十
分な出力トルクの確保ができると共に、巻線温度の過上
昇を防ぐことができる。

【００５３】

【発明の効果】本発明では、流量調整弁を駆動する駆動
モータの励磁方式を、噴出形態に応じて切換え可能と
し、切換えた励磁方式に応じて、駆動モータへの印加電
圧を変化させ、さらに、上記駆動モータの励磁方式を１
−２相励磁方式と２相励磁方式とに切換え可能とすると
共に、２相励磁方式における駆動モータへの印加電圧を
１−２相励磁方式よりも高くし、上記１−２相励磁方式
は、流量調整弁をゆっくり回転させて噴出量をゆるやか
に連続的に切り換える噴出形態で用いる一方、上記２相
励磁方式は、流量調整弁を早く回転させて噴出量を瞬時
に切り換える噴出形態で用いるようにしたことにより、
各励磁方式において必要な出力トルクを確保することが
でき、噴出形態に応じて、流量調節弁の正確な調節が可
能となって精密な制御が行えるとともに、駆動モータの
コイルの過剰な温度上昇を防止でき、絶縁体が破壊され
ることもなく、駆動モータの故障を未然に防ぐことがで
き、高品質の気泡発生浴槽システムを提供することがで
きる。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明に係る流量調節弁を具備する気泡発生浴
槽システムの概略説明図である。

【図２】同気泡発生浴槽システムを示す模式的説明図で
ある。

【図３】同システムにおけるポンプユニットの内部構造
が分かる平面図である。

【図４】同側面図である。

【図５】同正面図である。

【図６】流量調節弁の駆動モータの駆動回路を示すブロ
ック図である。

【図７】１−２相励磁方式における出力トルクと巻線温
度を示すグラフである。

【図８】２相励磁方式における出力トルクと巻線温度を
示すグラフである。

【符号の説明】

１ 浴槽本体 ４ 噴出ノズル ５ 噴出ノズル 10 吐出管 Ｂ 浴湯循環流路 B1 浴湯吸込流路 B2 浴湯強送流路 Ｍ 駆動モータ Ｐ 循環ポンプ Ｖ 流量調節弁

───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (58)調査した分野(Int.Cl.⁷，ＤＢ名) A61H 23/00 536 G05D 7/01 H02K 37/00

Claims (1)

(57)【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】浴槽本体と、同浴槽本体の外部に設置した
   循環ポンプとの間に、浴湯吸込流路と浴湯強送流路とか
   らなる浴湯循環流路を介設すると共に、浴槽本体に設け
   た浴湯強送流路の開口部に噴出ノズルを取付け、しか
   も、浴湯強送流路と空気取入部とを連通連結して同ノズ
   ルから浴槽本体内へ気泡混じりの浴湯を噴出可能とし、
   さらに、浴湯強送流路を構成する吐出管に、浴湯の噴出
   形態を可変にするための流量調節弁を設けて構成した気
   泡発生浴槽システムにおいて、 上記流量調整弁を駆動する駆動モータの励磁方式を、噴
   出形態に応じて切換え可能とし、切換えた励磁方式に応
   じて、駆動モータへの印加電圧を変化させ、さらに、上
   記駆動モータの励磁方式を１−２相励磁方式と２相励磁
   方式とに切換え可能とすると共に、２相励磁方式におけ
   る駆動モータへの印加電圧を１−２相励磁方式よりも高
   くし、上記１−２相励磁方式は、流量調整弁をゆっくり
   回転させて噴出量をゆるやかに連続的に切り換える噴出
   形態で用いる一方、上記２相励磁方式は、流量調整弁を
   早く回転させて噴出量を瞬時に切り換える噴出形態で用
   いるようにしたことを特徴とする気泡発生浴槽システ
   ム。