JP3158026B2 - 回転機 - Google Patents

回転機

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JP3158026B2
JP3158026B2 JP30530395A JP30530395A JP3158026B2 JP 3158026 B2 JP3158026 B2 JP 3158026B2 JP 30530395 A JP30530395 A JP 30530395A JP 30530395 A JP30530395 A JP 30530395A JP 3158026 B2 JP3158026 B2 JP 3158026B2
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polyester
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信雄 園田
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、発電機や電動機等
として用いられる回転機に関する。
【0002】
【従来の技術】従来よりプラスチックフィルムは、高い
絶縁性能を有するために信頼性の必要な部品、部材とし
て、ケ−ブル被覆絶縁、プリント配線基板、回転機のス
ロット絶縁などの電子、電気機器や、フィルムコンデン
サなど電子部品に応用されている。このようなプラスチ
ック絶縁フィルムの開発の経緯は、機器絶縁としては、
耐環境性に優れたプラスチック材料のフィルム開発が進
められ、特に耐熱性の優れたエンジニアリングプラスチ
ックの合成開発が進められ、実用化されてきた。
【0003】回転機の絶縁材としては、耐熱性がある汎
用のフィルムとしてポリエチレンテレフタレート(PE
T)などのポリエステルフィルムが、優れた絶縁性能、
耐熱性、加工成形性、コストなどの観点から、鉄心と界
磁コイルとのスロット絶縁部のスロット絶縁、スロット
スペーサ、くさびなどに用いられてきた。また、さらに
高い耐熱性が要求される場合には、ポリエステルフィル
ムにアラミッド紙と組み合わせて用いられてきた。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】最近では高度情報化社
会に対応した大量の情報を蓄積し、高速に処理、高速に
伝達するための電子機器では、プラスチック材料にも高
性能化が要求されている。特に、高周波化に対応した電
気的特性として、低誘電率化、低誘電正接化が求められ
ている。特に電動機などの回転機では、高効率化、高機
能化のため精密制御できるインバ−タ制御が行われるこ
とが多くなっている。その結果として、絶縁部材におけ
る高周波成分の漏洩電流の増加が生じるために、電気的
特性としてそれを防ぐ低誘電率化が求められている。漏
洩電流を低減するには、スロット絶縁部の厚さを増加す
ることでも効果があるが、この方法では鉄心スロットの
利用効率が低下し、結果として回転機のサイズ、重量、
効率など重要特性を犠牲にせねばならない。
【0005】また、材料的にこの問題を解決するには、
従来は低い誘電率の材料を選択する必要があった。しか
し、通常、物質の誘電率は材料に依存しており、例え
ば、代表的なプラスチックの誘電率としては、耐熱性に
優れたエンジニアリングプラスチックのポリエチレンテ
レフタレート(PET)では約3.1、ポリイミド(P
I)では約3.3であり、小さな誘電率を有するポリエ
チレン(PE)で約2.3、最も小さな誘電率を有する
ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)で約2.1で
ある。しかし、このようなプラスチックのバルク物性の
誘電率には限界があり、それはその分子構造から決定さ
れるため各材料において固有の値を有している。一般に
PETなどの耐熱性の優れたエンジニアリングプラスチ
ックは、芳香族成分を多く含み、密度が高いために誘電
率の高いものが多い。
【0006】さらに、誘電率から材料を選択する場合に
は、加工性や耐熱性など他の物性も合わせて満たす必要
がある。低誘電率の面では優れているPTFEなどのふ
っ素樹脂では耐熱性は十分であるがコストが高く成形加
工性の課題があり、PEなどのオレフィン樹脂では耐熱
性が100℃程度までで十分ではなかった。
【0007】本発明は、上述のように回転機の制御の高
周波化に対応するために、バルク物性から決まる値以下
の低い誘電率を有し、かつ耐熱性、加工性、経済性に優
れたプラスチックフィルムをスロット絶縁部材料として
用いて、高周波漏洩電力を低減した回転機を得ることを
目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】前記の目的を達成するた
めに、本発明では、回転機の鉄心と界磁コイルとのスロ
ット絶縁部が、多孔質構造の空隙部を内含して構成され
てなるポリエステルフィルムであって、独立気泡を有す
る発泡構造体であることを特徴とする。
【0009】このポリエステルフィルムは、空隙部の容
積率が10vol%以上で構成されるときに高周波での
回転機の漏洩電流の低減効果が十分に発揮される。
【0010】さらに、このポリエステルフィルムが、空
隙部の容積率10vol%以上のポリエステルフィルム
と、空隙部を内含しないポリエステルフィルム、あるい
は空隙部の容積率10vol%以下のポリエステルフィ
ルムとで多層化されて構成されるときにも高周波での漏
洩電流の低減効果が十分に発揮される。
【0011】また、このポリエステルフィルムの空隙部
が多孔質構造であるときに、スロット絶縁部を構成する
ときの成形加工性の点で適している。この多孔質構造の
平均孔径が10μm以下であり、空孔率が10vol%
以上である場合には、空隙部を内含しないポリエステル
フィルムと同じ作業性を有する。このとき、多孔質構造
は、独立気泡を有する発泡構造体であるのが、回転機を
冷媒液や油液に含浸して使用する際などに液の侵入を防
ぐために好ましい。
【0012】また、空隙部が多孔質構造であるポリエス
テルフィルムは、空孔率が10vol%以上である多孔
質構造部が、フィルム全体の50vol%以上、98v
ol%以下の範囲であるのが適している。さらに、空孔
を有さない、あるいは空孔率10vol%以下のスキン
フィルム層を有してなり、このスキンフィルム層がフィ
ルムの表層両面から1%以上、25%以下の範囲である
のが適している。また、空孔率10vol%以上の多孔
質なポリエステルフィルムと、空孔を有さないポリエス
テルフィルム、あるいは空孔率10vol%以下の多孔
質なポリエステルフィルムとで多層化されてなるのが適
している。
【0013】このスロット絶縁部を構成するポリエステ
ルフィルムの誘電率が2.5以下であるときに、空隙部
を内含しないポリエステルに比べて優れた効果が得られ
る。さらに、優れた性能の回転機を得るには、誘電率が
2以下のポリエステルフィルムをスロット絶縁部に用い
る。
【0014】また、これら本発明の回転機のスロット絶
縁部には、上記のポリエステルフィルムを複数枚多層化
して用いても良い。
【0015】ここで、誘電率は周波数による分散がある
が、少なくとも60Hから1MHzの周波数範囲で誘電
率の平均的な値を比較すれば良い。また、耐熱温度は連
続耐熱温度での条件を有すればよく、IEC規格の耐熱
区分でY種以上であればよい。
【0016】ところで、高周波化に対応してプラスチッ
ク材料に求められる電気物性としては、低誘電率、低誘
電正接、高絶縁耐圧がある。これらのニーズは、電子・
電気機器に用いられる絶縁材料について以下のような関
係が成り立つことから、重要性が高まっている。
【0017】プラスチックフィルムが交流機器の絶縁部
に用いられる場合には、その絶縁部で漏洩する電力損失
Plossは(数1)式に示すように周波数f、比誘電率ε
r 、誘電正接tan δの積に比例する。したがって、周波
数が高くなると電力損失が増加する。それを防ぐために
は、比誘電率を低く、誘電正接を小さくする必要があ
る。また、以下でも同様であるが、誘電率や誘電正接は
周波数によって値が異なる誘電分散を有するために使用
周波数範囲で変化が小さいことも必要である。
【0018】
【数1】Ploss ∝ f・εr ・tan δ 回転機の絶縁部の場合には、図1に示す一般的なスロッ
ト絶縁部の断面模式図のような構成であり、電流の流れ
る界磁コイル2と鉄心部1との間にエナメルなどのコイ
ル被覆絶縁部3と、さらにスペーサとしての効果も有す
るフィルム絶縁部4が設けられてなる。この界磁コイル
2と鉄心1との間の交流電流の漏洩に対する等価回路
は、図2のように示される。このときの漏洩電流のイン
ピーダンスZは、(数2)式のように示される。
【0019】
【数2】 Z = Z0 + Z1 = 1/(G0+jωC0)+1/(G1+jωC1) ここで、j=√(ー1)、角周波数ω=2πf、fは交流
周波数、Z0、G0、C 0はそれぞれコイル被覆絶縁部の
インピーダンス、コンダクタンス、キャパシタンスであ
り、Z1、G1、C1はそれぞれスロット絶縁のフィルム
絶縁部のインピーダンス、コンダクタンス、キャパシタ
ンスである。このインピーダンスZの大きさの自乗値
は、(数3)式に示される。
【0020】
【数3】|Z|2 = {G0/(G0 2+ω20 2)+G1
(G1 2+ω21 2)}2+ω2・{C0/(G0 2+ω20 2)+
1/(G1 2+ω21 2)}2 (数3)式では、スロット絶縁のフィルム絶縁部の誘電
正接 tanδ1=G1/ωC1が1より小さいときには、周
波数一定、すなわちωが一定ならば、フィルム絶縁部の
誘電率ε1の値が大きくキャパシタンスC1が大きいほ
ど、インピーダンスZの大きさは単調減少する。したが
って、一般にプラスチックフィルムの場合にはtanδ<
1の関係が成り立つため、フィルムの誘電率が低いほ
ど、また誘電正接が小さいほどインピーダンスが大きく
なり、回転機のスロット絶縁部における漏洩電流が低下
する。
【0021】また、高周波化の課題に限らず、プラスチ
ック材料の交流破壊電圧Ebdは実験的に(数4)式で表
される関係式が知られており、比誘電率が低く、誘電正
接が小さいものほど絶縁耐圧が高いことが知られてお
り、高周波化に伴う材料の低誘電率化は絶縁性の向上に
も効果が得られる取組みとなる。なお、(数4)式中の
A、Bは定数、ρv は体積抵抗率である。
【0022】
【数4】 Ebd = A+B・log (ρv /(εr ・tan δ)) 上述のように、スロット絶縁部に用いる絶縁フィルムと
して、低誘電率の材料を選択すれば機器の高周波化に伴
う漏洩電流を低下することができるが、材料を選択する
際に課題が存在する。すなわち、プラスチック材料の誘
電率について考えると、物質の誘電率はその分子構造に
よって決定され、(数5)式のクラジウス−モソッティ
の式で示される。
【0023】
【数5】εr =(1+2a)/(1−a) ここで、(数5)式中のaは、a=Pm /Vm 、Pm は
モル分極、Vm はモル比容であり、プラスチック材料の
分子構造中の各官能基の種類とその分極率、分子の対称
性で決定する。したがって、物質の誘電率は固有の値と
して決まってしまう。ここで、分極率が小さなC−F結
合のみを有し、対称性が有るPTFEはプラスチック材
料の中では最も小さな誘電率の値を示すが、PTFEで
も誘電率は約2.1であり材料の選択において下限の限
界がある。加えて、耐熱性やスロット部へ組み込むため
の成型加工性など他の特性も必要であるために単純な材
料の置き換えでは対応できない。
【0024】そこで、本発明の特徴は、従来より回転機
の鉄心と界磁コイルとのスロット絶縁部に用いられてい
るポリエステル材料を選択し、スロット絶縁部を低誘電
率化するために空隙部を内含して構成されてなるポリエ
ステルフィルムを用いて回転機を構成することにある。
この構成では、スロット絶縁部のポリエステルフィルム
中に、固体部分に比較して誘電率の非常に小さい気体を
有する空間部分が存在するために、フィルムの誘電率は
プラスチックのバルクの誘電率より低下する。その関係
は、近似的には(数6)式で示される。
【0025】
【数6】 εr(f) = εr(g)・Vg +εr(b)・(1−Vg ) ここで、εr(f)は本発明で構成されたフィルムの比誘電
率、εr(g)は気体の存在する空間部分の気体の比誘電率
(空気では1)、εr(b)はプラスチック材料のバルクの
比誘電率である。また、Vg はプラスチック全体に対す
る気体の存在する空間部の容積比率であり、多孔質なプ
ラスチックの場合には空孔率に相当する。例えば、PE
Tでは通常約3.1のバルクの比誘電率が、空隙部とし
て孔径約20μmの気泡が均一に10vol%形成され
たPETフィルムでは約2.8となる。この多孔質なP
ETフィルムをスロット絶縁部に用いることによって、
誘電率の低減効果だけで回転機の交流漏洩電流の約10
%程度の低減効果が発揮される。
【0026】特に回転機の鉄心部からの交流漏洩損失を
低減するのに効果のある比誘電率の値としては、比誘電
率2.5以下の値が有効である。(数6)式から明らか
なように、耐熱性や成型加工性等の特性を有するポリエ
ステルフィルムとして、空隙部の容積率約30vol%
以上のフィルムをスロット絶縁部に用いると比誘電率
2.5以下となり、10%以上の低減効果が得られる。
また、空隙部の容積率によっては、バルクのポリエステ
ルでは実現しない比誘電率2以下の非常に低い誘電率と
なるため、このフィルムの使用によってさらに交流電力
損失を低下できる。
【0027】また、このポリエステルフィルムの空隙部
が多孔質構造であるときに、スロット絶縁部を構成する
ときの成形加工性の点で適している。この多孔質構造の
平均孔径が10μm以下であり、空孔率が10vol%
以上である場合には、空隙部を内含しないポリエステル
フィルムと同じ作業性を有する。このとき、多孔質構造
は独立気泡を有する発泡構造体であれば、回転機を冷媒
液や油液に含浸して使用する際などに液の侵入を防ぐた
めに効果が発揮できる。
【0028】さらに、このポリエステルフィルムが、空
隙部の容積率10vol%以上のポリエステルフィルム
と、空隙部を内含しないポリエステルフィルム、あるい
は空隙部の容積率10vol%以下のポリエステルフィ
ルムとで多層化されて構成されるときにも高周波での漏
洩電流の低減効果が十分に発揮される。実際にスロット
絶縁部に使用して回転機を構成した場合には鉄心部に密
に接触した状態が好ましい。フィルムの表面性が悪い場
合などには、鉄心部との間にできたボイド部でコロナ放
電などによる絶縁劣化を生じやすい。また、回転機など
では潤滑油や液冷媒などの液体中において使用される場
合もあり、これらの環境でも空隙部を維持し、液体が空
孔部に浸入して、空孔部の誘電率が増加することによる
全体の誘電率が増加するのを防ぐことができる。さら
に、フィルムの側面部を塞いでおくことも空隙部への液
体物質の浸透に対してより効果がある。
【0029】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態例につ
いて図面を参照して説明する。
【0030】本発明の回転機に用いたポリエステルフィ
ルムの1例を図3に示す。これは、気泡6が形成されて
なる空孔率10vol%以上の多孔質なポリエステル部
7を有して構成される、耐熱性100℃以上のポリエス
テルフィルム5である。この構成によって、誘電率が低
く、電気的特性や成形加工性に優れた絶縁フィルムが得
られている。そして、絶縁フィルムとして回転機のスロ
ット絶縁部に挿入されて使用される。また、実際に用い
るフィルムの厚さとしては、一般的には0.1μmから
1mm位までの範囲のものが適用できるが、均一に分布
した空孔を形成し、かつ成型加工性の得られる厚さとし
て、1μmから500μmが適している。
【0031】このような空隙部を内含してなるポリエス
テルフィルムは、耐熱性、成形加工性、電気特性を満た
せば様々な方法で作製されたものを使用することができ
る。特に適した特性が得られる多孔質構造とするために
は、発泡剤や配向処理などによる一般的な発泡技術を用
いることができる。
【0032】具体的な発泡技術の適用できる例として
は、(1)原料となるプラスチックに発泡剤を含有し、
それをフィルムに成形した後に、熱などエネルギーを加
えることで発泡する方法、(2)原料となるプラスチッ
ク、またはそのフィルムを発泡剤によって膨潤させてお
き、フィルムの形態において液体を気化させて発泡する
方法、(3)原料となるプラスチックフィルムに、発泡
ガスを吸収、溶解させておき、減圧、または常圧での圧
力の解放、または熱などエネルギーを加えることによる
気化などによって発泡する方法、(4)原料となるプラ
スチックに発泡核を含有し、それをフィルム成形時、ま
たは成形後に、延伸など配向処理を行うことで空孔を形
成する方法、などがある。これら以外にも、プラスチッ
クに機械的に気体を混入する方法や、プラスチックに他
の空孔形成用の材料を混入しておき、それを溶剤によっ
て除去する方法など様々な方法がある。また、発泡の際
に用いる発泡ガスとしては、水、低沸点の有機化合物な
どを用いることができるが、他にはヘリウム、アルゴ
ン、キセノンなどの不活性ガス、窒素、酸素、空気、二
酸化炭素などの気体を用いることができる。特に二酸化
炭素は、プラスチックに対して反応性がなくプラスチッ
クに対する浸透性が高いために、高圧液体状態で容易に
含浸でき、また超臨界流体状態で十分にプラスチックに
溶解することができるために好ましく、常温常圧状態で
も比較的吸収量が多く発泡制御を行いやすいために適し
ている。
【0033】形成されている空孔は、各空孔が連続的に
つながっている連通気泡でも、独立な独立気泡でも良い
が、液体中に含浸したり、湿度の影響などを防ぐために
は独立気泡である方がよい。独立気泡は、独立気泡率で
80%以上であることが好ましい。すなわち、空孔率1
0vol%以上の多孔質なプラスチックが、平均孔径が
10μm以下であり、独立気泡を有する発泡構造体であ
れば良好な回転機のスロット絶縁部を提供できる。
【0034】また、空隙部を有するポリエステルフィル
ム部材の構成としては、空隙容積率10vol%以上の
ポリエステル部材を用いることができる。例えば、その
ようなポリエステル部材として耐熱性100℃以上のポ
リエステル繊維からなる織物を空隙形成部材として用い
ることができる。フィルム形態とするためには、通常の
空隙部を含まないポリエステルフィルムで多層化し挟み
込むなどして空隙容積率10vol%以上とすることが
できる。こうすることで、鉄心部や界磁コイルとの密着
性に優れ、絶縁性が高く、成形加工性に優れた耐熱温度
がスロット絶縁部が得られる。このような空隙容積率1
0vol%以上のポリエステル部材としては、スクリー
ン印刷用のポリエステルメッシュのようなプラスチック
繊維からなる織物などを用いることができるが、他の部
材としてはエンボス加工などで凹凸を形成して空隙容積
率を10vol%以上にしたポリエステルフィルム、プ
ラスチック粒子の充填構造、ハニカム構造、波形構造、
ジグザグ構造など両面を挟むポリエステルフィルムを支
持体として空間を維持できる構造であればよい。
【0035】次に、本発明の回転機に用いたポリエステ
ルフィルムの他の1実施の形態例を図4に示す。図3と
同様に、気泡2が形成されてなる空孔率10vol%以
上の多孔質なポリエステル部7を有して構成されるポリ
エステルフィルム5を用い、この構成では空孔を有さな
いプラスチックフィルム8とで多層化されてなり、フィ
ルム全体の表層両面から1%以上、25%以下の厚さの
範囲で形成されている。この構成によって、導体部との
密着性に優れ、絶縁性の高く、成形加工性に優れたスロ
ット絶縁フィルムが得られる。この際、多孔質なプラス
チック部5とプラスチックフィルム8の材質としては異
なっていても良いが、同材質を使用するのが好ましい。
このように多層化する際には、両者を密着させる方法と
しては、耐熱性のある接着層を介してラミネートしても
良いし、合わせて熱を加えて溶融押出しのようにラミネ
ートして構成しても良い。接着層を設けるときには、耐
熱性のある樹脂成分のものを使用する必要があり、ポリ
エステル系の耐熱性のある接着剤が好ましい。
【0036】また、空孔を有さないかあるいは空孔率が
10vol%以下のフィルム部は多層化構造だけでな
く、スキンフィルム層でも良い。この層は、空孔形成時
にフィルム両面を平滑な平面の治具で挟んで作製するこ
とで空孔径が傾斜配置したスキンフィルム層が形成され
る方法も適用できる。
【0037】具体的なポリエステルとしては、ポリエチ
レンテレフタレート(PET)、ポリブチレンテレフタ
レート(PBT)、ポリエチレンナフタレート(PE
N)などの芳香族ポリエステルや、耐熱性を向上させる
ための架橋ポリエステルなど一般的なポリエステルフィ
ルムを空隙部を内含するように形成されたものであれば
よい。 (実施例1)(表1)に示した多孔質のポリエステルフ
ィルムをスロット絶縁部のフィルム絶縁として用いて、
電動機の固定子を作製した。
【0038】
【表1】
【0039】それぞれフィルムの厚みは350μmとし
た。各PET、PENの連続使用耐熱温度、周波数60
Hzから100kHzの領域の平均的なフィルムのバル
クの比誘電率、各空孔率を有する多孔質なフィルムの誘
電率、およびそれらフィルムを用いて作製した固定子の
スロット絶縁部を漏洩する電流の測定結果を示した。漏
洩電流の測定は、界磁コイルに60Hz、100Vを印
加しておき、鉄心部をアースした際に漏洩して流れる平
均電流値を通常のPETフィルムを用いた値を100と
して比較した。なお、各多孔質部の孔径は約5μmから
約50μmの範囲であったが、平均孔径は約10μmで
あった。(表1)に示されるように、誘電率の低下に伴
って漏洩電流値を低減できた。 (実施例2)フィルム厚さ250μm、空孔率14vo
l%の多孔質なPETフィルムであって、その誘電率が
測定周波数10kHzにおいて2.8を用いた。このフ
ィルムを2枚のフィルム厚さ10μmのPETフィルム
で挟み、耐熱性120℃以上を得られる不飽和ポリエス
テル架橋形の接着層を介して温度150℃でラミネート
して多層化したPETフィルムを、同じ周波数にて比誘
電率を測定すると2.9が得られた。このフィルムを実
施例1と同様に、電動機の固定子を作製してその漏洩電
流を測定したところ、同じ厚さのPETフィルムに対し
て約7%の漏洩電流の低減効果が得られた。 (実施例3)直径5μmのポリエステル繊維で編まれて
いる織物を、フィルム厚さ8μmのPETフィルムで、
ポリエステル系接着層を介してラミネートして厚さ35
0μmの空隙部を内含する誘電率2.6のポリエステル
シートを形成した。このシートを用いて回転機を作製し
て、その漏洩電流を実施例1と同様に測定したところ、
通常の同じ厚さのPETフィルムに対して約15%の漏
洩電流の低減効果が得られた。
【0040】なお、このフィルムの耐熱性は110℃で
あり、成型加工性については織物部分のクッション性に
よってバルクの同じ厚さのフィルムよりも向上してい
た。
【0041】
【発明の効果】以上述べたところから明らかなように、
本発明は、経済性が良く、耐熱性、成型加工性があり、
空隙部を内含したポリエステルフィルムを回転機のスロ
ット絶縁部に用いることによって、バルクのポリエステ
ルフィルムでは得られなかったスロット絶縁部の低誘電
率を得ることができ、回転機の交流成分の漏洩電流を絶
縁性能を維持しながら効果的に低減することができる。
【0042】本発明によって、今後、電気・電子機器の
高周波化に対応して、回転機の効率化をさらに進めるこ
とが可能になるとともに、小型化、低コスト化にも貢献
でき、本発明は工業的価値の大なるものである。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の回転機におけるスロット絶縁部の構成
を示す断面模式図である。
【図2】本発明の回転機におけるスロット絶縁部での電
気的漏洩の等価回路である。
【図3】本発明の実施の形態例における回転機のスロッ
ト絶縁部に用いられるポリエステルフィルムの構成を示
す模式図である。
【図4】本発明の他の実施の形態例における回転機のス
ロット絶縁部に用いられるポリエステルフィルムの構成
を示す模式図である。
【符号の説明】
1 鉄心部 2 界磁コイル 3 界磁コイルの被覆絶縁部 4 スロット絶縁のフィルム絶縁部 5 空孔率10vol%以上の多孔質なポリエステルフ
ィルム 6 気泡 7 ポリエステル部 8 空隙部を内含しないポリエステルフィルム
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (56)参考文献 特開 昭50−116537(JP,A) 特開 昭53−1900(JP,A) 特開 平1−101340(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) H02K 3/30 - 3/52 H01F 27/32 C08J 5/00 - 9/42

Claims (6)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】鉄心と界磁コイルとのスロット絶縁部が、
    多孔質構造の空隙部を内含して構成されてなるポリエス
    テルフィルムであって、独立気泡を有する発泡構造体で
    あることを特徴とする回転機。
  2. 【請求項2】鉄心と界磁コイルとのスロット絶縁部が、
    空隙部を内含して構成されてなるポリエステルフィルム
    であって、前記ポリエステルフィルムの空隙部の容積率
    が10vol%以上であることを特徴とする回転機。
  3. 【請求項3】鉄心と界磁コイルとのスロット絶縁部が、
    空隙部を内含して構成されてなるポリエステルフィルム
    であって、前記ポリエステルフィルムが、空隙部の容積
    率10vol%以上のポリエステルフィルムと、空隙部
    を内包しないポリエステルフィルム、あるいは空隙部の
    容積率10vol%以下のポリエステルフィルムとで多
    層化されてなることを特徴とする回転機。
  4. 【請求項4】前記ポリエステルフィルムの空隙部が多孔
    質構造である請求項2又は3記載の回転機。
  5. 【請求項5】多孔質構造の平均孔径が10μm以下であ
    り、空孔率が10vol%以上である請求項1又は4記
    載の回転機。
  6. 【請求項6】前記ポリエステルフィルムの誘電率が2.
    5以下である請求項1記載の回転機。
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