JP2013232463A - 静止誘導電器 - Google Patents
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Abstract
【課題】
コイル間スペーサーの本来の役割を果たすことは勿論、巻線振動の減衰性及びコイル間の絶縁特性に優れていること。
【解決手段】
本発明の静止誘導電器は、上記課題を解決するために、脚部とヨーク部からなる鉄心と、該鉄心の脚部に巻回され、上下ヨーク部間に配置された巻線部と、該巻線部のコイル間に配置され、該コイルを支持する絶縁性のコイル間スペーサーとを備え、前記コイル間スペーサーは、第1のコイル間スペーサーと、前記コイルと接する第2のコイル間スペーサーとで形成され、かつ、前記第1のコイル間スペーサーの密度と比誘電率が、前記第2のコイル間スペーサーのそれより低いことを特徴とする。
【選択図】図2
コイル間スペーサーの本来の役割を果たすことは勿論、巻線振動の減衰性及びコイル間の絶縁特性に優れていること。
【解決手段】
本発明の静止誘導電器は、上記課題を解決するために、脚部とヨーク部からなる鉄心と、該鉄心の脚部に巻回され、上下ヨーク部間に配置された巻線部と、該巻線部のコイル間に配置され、該コイルを支持する絶縁性のコイル間スペーサーとを備え、前記コイル間スペーサーは、第1のコイル間スペーサーと、前記コイルと接する第2のコイル間スペーサーとで形成され、かつ、前記第1のコイル間スペーサーの密度と比誘電率が、前記第2のコイル間スペーサーのそれより低いことを特徴とする。
【選択図】図2
Description
本発明は静止誘導電器に係り、特に、変圧器やリアクトル等の如く、鉄心に巻回される巻線部を構成するコイル間に配置されてコイルを支持するコイル間スペーサーを備えているものに好適な静止誘導電器に関する。
従来、変圧器やリアクトル等の静止誘導電器においては、脚部とヨーク部からなる鉄心と、この鉄心の脚部を巻回し上下ヨーク部間に配置された巻線部とから概略構成され、巻線部のコイル間には、コイルを支持する絶縁性のコイル間スペーサーが配置されている。
上述のコイル間スペーサーには、主にコイルを支持し、コイル間の絶縁距離を確保する目的で、セルロースを主成分としたクラフトパルプ、或いはアラミド繊維を原料とし、繊維を抄紙、積層、圧縮し、板状にしたプレスボード或いはアラミドボードを単層、又は2乃至3層重ねたものが用いられている。
例えば、特許文献1には、コイル導体間に間隔片(コイル間スペーサー)を設けて巻線部を形成してなる変圧器やリアクトル等の静止誘導電器において、巻線部の少なくとも軸方向中央部付近に、樹脂積層板等の圧縮弾性率の高い硬質の間隔片を用いることが開示されている。
一方、特許文献2には、変圧器やリアクトル等の油入誘導電器の円板巻線コイル間の間隔片について記載され、少なくともコイルに接する部分の間隔片を、平角線の絶縁被覆材であるクラフト紙より誘電率の低い、クラフト紙とプラスチック紙とからなる合成絶縁紙で形成することが開示されている。
ところで、2001年に国際電気標準会議(IEC)において、変圧器の通電時の騒音が規格化された。このため、静止誘導電器の低騒音化に対する関心が高まっている。
変圧器の通常運転時、巻線には電磁機械力が発生し、巻線軸方向に振動することが知られているが、この振動が、変圧器のタンクや放熱器に伝わり、外部に騒音として放射される。この騒音は鉄心励磁騒音に比べて、一般の設計では無視しうるほど小さい。
しかし、鉄心の励磁騒音を極度に低くした特別の設計では、巻線の振動騒音は無視することができなくなり、巻線の振動を低減する必要がある。
図9に、従来の変圧器における巻線部を示す。該図に示す如く、変圧器は、上部ヨーク3A及び下部ヨーク3Bと共に鉄心を構成する鉄心脚2の周りを外側巻線4が、外側巻線4の内周側に内側巻線5が巻回されると共に、この外側巻線4は絶縁筒7Aに、内側巻線5は絶縁筒7Bにより覆われ、その全体が図示しない絶縁油により油含浸されて概略構成されている。
また、外側巻線4及び内側巻線5の上下端は、強化木16を介して図示しない鉄心締付金具により上部ヨーク3A及び下部ヨーク3Bに押し付けられると共に、上下軸方向に受ける電磁機械力に耐えるように構成されている。外側巻線4及び内側巻線5を構成するコイル8は、図示しない導体が絶縁物で被覆されており、各々のコイル8間には、コイル間スペーサー10が配置されてコイル8を支持している。
図10に、図9に示した従来の変圧器における巻線力学モデル図を示す。該図に示す如く、図10では、図示しない締付金具で押し付けられている巻線を構成する強化木16、コイル間スペーサー10は、それぞればね定数と粘性減衰係数を有している。コイル間スペーサー10のばね定数は、コイル間スペーサー材料の密度に依存する。一方,粘性減衰はコイル間スペーサー材料の内部粘性や含浸されている絶縁油の粘性抵抗に起因すると考えられ、コイル間スペーサー10の粘性減衰係数は、コイル間スペーサー材料の密度のほか絶縁油の粘度などにも依存すると考えられる。ここでは、ばね定数をばね19、粘性減衰係数をダッシュポット20で表している。
この時の運動方程式は、数1となる。
この式を解くと、電磁力により強制振動しているコイル8の振幅は、数2となる。
前記式において、基本的には振幅A0を小さくするようにコイル間スペーサー10の材質、構成、諸定数を選定する必要がある。
しかしながら、特許文献1は、硬質の間隔片を用いることは、コイルの電磁力が大きい部分の振動を低減するという観点では有効であるが、コイル間の絶縁耐力向上という観点から、より一層の絶縁耐力向上のためには、巻線中央部分においても従来通りのクラフトパルプ、或いはアラミド繊維を原料としたプレスボード或いはアラミドボードを使用したコイル間スペーサーの構成が必要となる。
また、コイルとコイル間スペーサーの間には、くさび状のギャップが形成され、比誘電率の小さいくさび状のギャップに、電界が集中する。
一般に絶縁、冷却媒体となる液体又はガスの絶縁強度は、コイル間スペーサー及び巻線被覆等の固体絶縁物より低いため、この部分が破壊の出発点になり、電界集中が大きい程絶縁耐力は低下する。従って、この部分の電界強度を、低減しなければならない。
一方、特許文献2は、プレスボードの両側の面にクラフト紙とプラスチック紙とからなる合成絶縁紙を貼り付けたコイル間スペーサーにより、くさび状のギャップの電界強度を低減するという観点では有効である。
しかしながら、特許文献2では、コイル間スペーサーがプレスボードに絶縁紙を貼り付けて形成されるため、製造プロセスが増える可能性がある。更に、前記合成絶縁紙を構成するプラスチック紙が、絶縁媒体によって膨潤する可能性があり、プラスチック紙が膨潤すると、コイルの支持というコイル間スペーサー本来の役割を果たすことができない恐れがあり、あまり好ましくない。
本発明は上述の点に鑑みなされたもので、その目的とするところは、コイル間スペーサーの本来の役割を果たすことは勿論、巻線振動の減衰性及びコイル間の絶縁特性に優れた静止誘導電器を提供することにある。
本発明の静止誘導電器は、上記目的を達成するために、脚部とヨーク部からなる鉄心と、該鉄心の脚部に巻回され、上下ヨーク部間に配置された巻線部と、該巻線部のコイル間に配置され、該コイルを支持する絶縁性のコイル間スペーサーとを備え、前記コイル間スペーサーは、第1のコイル間スペーサーと、前記コイルと接する第2のコイル間スペーサーとで形成され、かつ、前記第1のコイル間スペーサーの密度と比誘電率が、前記第2のコイル間スペーサーのそれより低いことを特徴とする。
また、前記第1のコイル間スペーサーは、前記コイルに接する前記第2のコイル間スペーサーに上下に挟まれていることを特徴とする。
また、この時の第1のコイル間スペーサーは、クラフト紙、アラミド紙等の絶縁紙から成り、前記第2のコイル間スペーサーは、プレスボード、アラミドボード等の絶縁ボードから成ることを特徴とする。
また、前記第1のコイル間スペーサーの密度は、1.00×103kg/m3以下で、かつ、記第2のコイル間スペーサーの密度は、1.35×103kg/m3以下であることを特徴とする。
また、前記第1のコイル間スペーサー材料の比誘電率は、絶縁油が含浸された状態で、80℃下で4.1以下であり、かつ、第2のコイル間スペーサーの比誘電率は、絶縁油が含浸された状態で、80℃下で5.1以下であることを特徴とする。
また、前記巻線部に設置された前記第1のコイル間スペーサーの総厚みは、前記第2のコイル間スペーサーの総厚みの1.5%〜10%であることを特徴とする。
また、前記第1のコイル間スペーサーである前記絶縁紙の1枚当たりの厚みが50〜150μmであり、前記第2のコイル間スペーサーである絶縁ボードの1枚当たりの厚みが1.5〜1.6mmであることを特徴とする。
また、前記第1及び第2のコイル間スペーサーは、クラフトパルプ、アラミド繊維のどちらか一方を含んでいること特徴とする。
本発明によれば、コイル間スペーサーの本来の役割を果たすことは勿論、巻線振動の減衰性及びコイル間の絶縁特性に優れた静止誘導電器を得ることができる。
以下、図示した実施例に基づいて、本発明の静止誘導電器について説明する。尚、符号は、従来と同一のものは同符号を使用する。
以下の実施例において、コイル間スペーサーの巻線振動の低減の指標となる振動減衰性は、以下の方法で測定した。即ち、プレスボード及び絶縁紙のヒステリシス評価は、GABO社製EPLEXOR4000動的粘弾性装置にて行った。試料に1MPaの初期荷重を加えた後、測定温度は80℃、ひずみ0.005で、種々の周波数での正弦波の変形を試料に加えた。
また、以下の実施例において、コイル間スペーサーの比誘電率は、以下の方法で測定した。即ち、測定端子取り出し口を有する密閉容器の中に、Φ65mmの平行平板電極、ガード電極を配置し、いずれも横河電機製のシェ−リングブリッジ、標準コンデンサ、検出器、50Hz高圧電源を用い、シェーリングブリッジ法により測定した。
また、以下の実施例において、変圧器の騒音レベル測定は、以下の方法で測定した。即ち、音圧測定はIEC60651に準拠し、ISO3746の5.2に従い校正した小野測器社製積分平均サウンドレベルメーターClass1 LA−4440にて行った。
図1及び図2に、本発明の静止誘導電器の実施例1である油入変圧器を示す。
図1及び図2に示す如く、変圧器1の鉄心は、鉄心脚2と上部ヨーク3A及び下部ヨーク3Bとからなり、鉄心脚2の周りを外側巻線4、内側巻線5が、また、場合により図示しないタップ巻線が巻回され、外側巻線4は絶縁筒7A、内側巻線5は絶縁筒7Bにより覆われていると共に、これら全体がタンク15に収納され、そのタンク15の中は絶縁油で満たされている。更に、強化木16を介して図示しない締付金具により上部ヨーク3A及び下部ヨーク3Bに押し付けられると共に、上下軸方向に受ける圧縮電磁機械力に耐えるように構成されている。
そして、本実施例では、外側巻線4及び内側巻線5を構成するコイル8は、図示しない導体が絶縁物で被覆されており、各々のコイル8間には、第1のコイル間スペーサー11Aと第2のコイル間スペーサー11Bから成ると共に、第1のコイル間スペーサー11Aの密度と比誘電率が、第2のコイル間スペーサー11Bのそれより低いコイル間スペーサー11が配置されてコイル8を支持している。
この時、コイル8には第2のコイル間スペーサー11Bが接触し、そのコイル8に接触するように配置された第2のコイル間スペーサー11Bの間に第1のコイル間スペーサー11Aが設置される。即ち、第1のコイル間スペーサー11Aは、コイル8に接する第2のコイル間スペーサー11Bで上下に挟まれている構造である。
この際、コイル8に第2のコイル間スペーサー11Bが接触するように設置されることが重要であり、コイル8に接触する第2のコイル間スペーサー11Bの間での第1のコイル間スペーサー11Aの設置と、コイル8に接触しない第2のコイル間スペーサー11Bの設置順序は特に問わない。
図3に示す如く、外側巻線4及び内側巻線5を構成するコイル8は、導体がコイル被覆9で被覆されていて、第1のコイル間スペーサー11Aと第2のコイル間スペーサー11Bとから成るコイル間スペーサー11により支持されている。
送配電系統に短絡事故が発生すると、その系統に接続されている変圧器には過大な短絡電流が流れ、コイルないしコイル間スペーサーに大きな機械力が加わる。変圧器はこの短絡電流に対し、所定の時間、機械的、熱的に損傷を受けることなく耐えねばならない。
よって、コイル間スペーサー11の本来の役割であるコイル8の支持が不安定にならないためには、巻線6に設置された第1のコイル間スペーサー11Aの総厚みは、第2のコイル間スペーサー材料11Bの総厚みの10%以下であることが望ましい。
また、第1のコイル間スペーサー11Aの総厚みが、第2のコイル間スペーサー11Bの総厚みの1.5%以下だと微小な変位でも塑性変形してしまう嫌いがある。
より望ましくは、第1のコイル間スペーサー11Aである絶縁紙の1枚当たりの厚みが50〜150μmであり、第2のコイル間スペーサー11Bである絶縁ボードの1枚当たりの厚みが1.5〜1.6mmであると良い。これも、薄いと微小な変位でも塑性変形してしまう嫌いがあり、厚いとコイル8の支持が不安定になるからである。
また、図4に示す如く、変圧器1の巻線6にあっては、コイル8と第2のコイル間スペーサー11Bの接する部分に、くさび状のギャップ17が生じることがあるが、本実施例では、第1のコイル間スペーサー11Aが第2のコイル間スペーサー11Bよりも低誘電率であるため、誘電率が低い方に電界が集中することから電界が分担され、くさび状のギャップ17の電界強度を低減することができる。
この時の第1のコイル間スペーサー11Aの比誘電率は、絶縁油等の絶縁媒体よりも高く、第2のコイル間スペーサー11Bよりも低い必要があり、本実施例では、第1のコイル間スペーサー11Aの比誘電率は、80℃下で3.2以下であり、かつ、第2のコイル間スペーサー11Bの比誘電率は、鉱油で含浸された状態で、80℃下で5.1以下であることが望ましい。これは、第1及び第2のコイル間スペーサー11A、11Bの比誘電率が、上記した数値以上だと、くさび状のギャップ17の電界強度が高くなる嫌いがあるからである。
次に、図5に示す如く、第1のコイル間スペーサー11Aと第2のコイル間スペーサー11Bで構成されるコイル間スペーサー11は、それぞればね定数と粘性減衰係数を有している。コイル間スペーサー11のばね定数は、第1のコイル間スペーサー11Aと第2コイル間スペーサー11Bの密度に関係し、他方、粘性減衰係数は第1のコイル間スペーサー11Aと第2のコイル間スペーサー11B材料の密度に関係し、例えば材料の内部粘性、絶縁油の粘性抵抗に起因する。尚、ここでは、ばね定数をばね19、粘性減衰係数をダッシュポット20で表している。
よって、コイル間スペーサー11の密度が高ければ弾性が高く、粘性減衰性が低くなり、密度が低ければ弾性が低く、粘性減衰性が高くなる。
本実施例では、第1のコイル間スペーサー11Aの密度は、1.00×103kg/m3以下で、かつ、第2のコイル間スペーサー11Bの密度は、1.35×103kg/m3以下であることが望ましい。これは、第1のコイル間スペーサー11Aの密度が、1.00×103kg/m3以上だと絶縁特性が悪くなるし、振動低減の効果が少なく、また、第2のコイル間スペーサー11Bの密度が、1.35×103kg/m3以上だと絶縁特性が悪くなるからである。
本実施例の構成において、背景技術で説明した式のコイル振動の振幅A0を鑑みると、第1のコイル間スペーサー11Aを用いた場合でも、巻線6は変圧器1に設置される時、軸方向に締付けられて設置されるため、第1のコイル間スペーサー11Aと第2のコイル間スペーサー11Bが各々の弾性率に応じて圧縮され密度が高くなるため、コイル間スペーサー11全体としては、弾性率はあまり変わらない。一方、巻線6が軸方向に締付けられた後も、第1のコイル間スペーサー11Aは、第2のコイル間スペーサー11Bよりも低密度であるため、コイル間スペーサー11全体としては、粘性減衰係数cが大きくなる。よって、巻線振動の振幅を低減することができる。
また、第1のコイル間スペーサー11Aと第2のコイル間スペーサー11Bの誘電率の違いによって第1のコイル間スペーサー11Aに電界が分担されるため、コイル間スペーサー11と隣接するコイル8のくさび状のギャップ17の電界強度が低減される。一方、第1のコイル間スペーサー11Aを用いない従来構造では、コイル間スペーサー11Bと隣接するコイル8のくさび状のギャップ17の電界強度は低減されない。
図6に、本実施例のコイル間スペーサー11におけるコイル間スペーサー11の振動減衰特性を示す。測定周波数は、10Hzである。また、図中試料No.1は、厚さ1.6mmのプレスボードを2枚重ねた時の実験結果であり、No.2は、厚さ1.6mmのプレスボードの間に厚さ50μmのセルロース系絶縁紙であるクラフト紙を挟んだ時の実験結果である。図6は、一般にヒステリシスループと呼ばれており、曲線内の面積が振動の低減の指標であるコイル間スペーサー11の粘性減衰性を表している。
該図から明らかな如く、No.2のヒステリシスループの面積が、No.1のヒステリシスループの面積より16%程度大きくなっており、本実施例のコイル間スペーサー11における振動の低減効果を確認できる。
図7に、本実施例のコイル間スペーサー11におけるコイル間スペーサー11の振動エネルギー吸収特性を示す。測定周波数は10Hzである。また、図中試料No.1は、厚さ1.6mmのプレスボードを2枚重ねた時の実験結果であり、No.3は、厚さ1.6mmプレスボードの間に厚さ55μmのアラミド系絶縁紙であるアラミド紙を挟んだ時の実験結果である。
該図から明らかな如く、No.3のヒステリシスループの面積が、No.1のヒステリシスループの面積より9%程度大きくなっており、本実施例のコイル間スペーサー11における振動の低減効果を確認できる。
表1に、変圧器用絶縁材料の80℃下での特性評価結果を示す。評価結果は、測定回数5回の平均値を示している。
表1より、絶縁紙はボード材よりも比誘電率が低く、その傾向は絶縁油の種類が変わっても同様であることが分かる。また、絶縁紙はボード材よりも密度が低い。
よって、第1のコイル間スペーサー11Aとしてアラミド紙或いはクラフト紙、第2のコイル間スペーサー11Bとしてプレスボード或いはアラミドボードを用いることにより、巻線振動の低減及びくさび状のギャップ17にかかる電界強度を低減できる。
図8は、変圧器の騒音レベル評価時の状態を示すものであり、変圧器の鉄心と巻線部分のみで構成されたタンク無しの変圧器を用いて測定を行った。測定条件は、定格周波数50Hzに設定し、励磁率100%で実施した。マイクロフォンの位置pの測定距離Dは300mm、高さは鉄心高さの1/2とした。
表2に、図8で測定した騒音レベル評価結果を示す。非補正平均A特性音圧レベルと平均A特性背景音圧レベルの差が、3dB以上であり、環境補正値7dB以下であることを確認して測定を行った。
表2より、本発明の巻線構造を用いた変圧器の騒音レベルは、従来構造の変圧器よりも約6dB(A)低いことが分かった。
尚、本発明は上記した実施例に限定されるものではなく、様々な変形例が含まれる。例えば、上記した実施例は本発明を分かり易く説明するために詳細に説明したものであり、必ずしも説明した全ての構成を備えるものに限定されるものではない。また、ある実施例の構成の一部を他の実施例の構成を置き換えることが可能であり、また、ある実施例の構成に他の実施例の構成を加えることも可能である。また、各実施例の構成の一部について、他の構成の追加・削除・置換をすることが可能である。
1…変圧器、2…鉄心脚、3A…上部ヨーク、3B…下部ヨーク、4…外側巻線、5…内側巻線、6…巻線、7A、7B…絶縁筒、8…コイル、9…コイル被覆、10、11…コイル間スペーサー、11A…第1のコイル間スペーサー、11B…第2のコイル間スペーサー、12…絶縁油、15…タンク、16…強化木、17…くさび状のギャップ、19…ばね、20…ダッシュポット、22A…電界、23A…電界、23B…電界。
Claims (9)
- 脚部とヨーク部からなる鉄心と、該鉄心の脚部に巻回され、上下ヨーク部間に配置された巻線部と、該巻線部のコイル間に配置され、該コイルを支持する絶縁性のコイル間スペーサーとを備え、
前記コイル間スペーサーは、第1のコイル間スペーサーと、前記コイルと接する第2のコイル間スペーサーとで形成され、かつ、前記第1のコイル間スペーサーの密度と比誘電率が、前記第2のコイル間スペーサーのそれより低いことを特徴とする静止誘導電器。 - 請求項1に記載の静止誘導電器において、
前記第1のコイル間スペーサーは、前記コイルに接する前記第2のコイル間スペーサーで上下に挟まれていることを特徴とする静止誘導電器。 - 請求項1又は2に記載の前記静止誘導電器において、
第1のコイル間スペーサーは絶縁紙から成り、前記第2のコイル間スペーサーは絶縁ボードから成ることを特徴とする静止誘導電器。 - 請求項3に記載の前記静止誘導電器において、
前記絶縁紙はクラフト紙、アラミド紙であり、前記絶縁ボードはプレスボード、アラミドボードあることを特徴とする静止誘導電器。 - 請求項1乃至4のいずれか1項に記載の前記静止誘導電器において、
前記第1のコイル間スペーサーの密度は、1.00×103kg/m3以下で、かつ、前記第2のコイル間スペーサーの密度は、1.35×103kg/cm3以下であることを特徴とする静止誘導電器。 - 請求項1乃至4のいずれか1項に記載の前記静止誘導電器において、
前記第1のコイル間スペーサー材料の比誘電率は、絶縁油が含浸された状態で、80℃下で4.1以下であり、かつ、前記第2のコイル間スペーサーの比誘電率は、絶縁油が含浸された状態で、80℃下で5.1以下であることを特徴とする静止誘導電器。 - 請求項1乃至6のいずれか1項に記載の前記静止誘導電器において、
前記巻線部に設置された前記第1のコイル間スペーサーの総厚みは、前記第2のコイル間スペーサーの総厚みの1.5%〜10%であることを特徴とする静止誘導電器。 - 請求項3又は4に記載の前記静止誘導電器において、
前記第1のコイル間スペーサーである前記絶縁紙の1枚当たりの厚みが50〜150μmであり、前記第2のコイル間スペーサーである絶縁ボードの1枚当たりの厚みが1.5〜1.6mmであることを特徴とする静止誘導電器。 - 請求項1乃至8のいずれか1項に記載の前記静止誘導電器において、
前記第1及び第2のコイル間スペーサーは、クラフトパルプ、アラミド繊維のどちらか一方を含んでいること特徴とする静止誘導電器。
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