JP3157568B2 - 二重管放電灯 - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本発明は二重管放電灯に関するも
のであり、特に、高圧始動型放電灯を硬質ガラスの外套
管内に封入してなる二重管放電灯に関する。

【０００２】

【従来の技術】従来、キセノン短アークランプを使用し
た照明ランプ装置は、映写用に使用されたり、各種フィ
ルタとの組合わせで、耐光・耐候試験用の疑似太陽光光
源装置として使用されたりしている。

【０００３】図２は、従来の二重管放電灯の要部を示す
断面図である。同図において、二重管放電灯は、外套管
１およびこの外套管１の内部に組込まれたアークランプ
２、ならびに外套管１の頂部に設けられた口金部３から
なる。

【０００４】前記外套管１は硬質ガラスで作られた反射
鏡４と前面レンズ５とで構成され、外套管１の内部と外
部とは気密となっている。外套管１の頂部には、外套管
１内の雰囲気を不活性ガスで置換するための排気管１３
および導線９を支持するステム１４、ならびに導線１０
を支持するステム１５が設けられている。

【０００５】一方、前記アークランプ２は支持部材８に
接合された支持リング８ａ，８ｂによってその両端直管
部が把持され、外套管１内の所定位置に位置するように
保持される。

【０００６】前記アークランプ２両端の給電部の一方に
は、導線９の一端が接続され、他方には、導線１６の一
端が接続されている。導線１６の他端は支持部材８に接
続され、さらに支持部材８には前記導線１０が溶接され
ている。

【０００７】前記導線９および１０の、前記外套管１の
内側に突出した部分および支持部材８は、アークランプ
２を支持できる強度と、通電のための導電性とを有する
板状または棒状の金属部材が使用される。

【０００８】また、導線９および１０の、外套管１の外
部に突出した端末部分には、ニッケルメッキされた銅の
より線９ａ，１０ａの一端が、ニッケルのスリーブ９
ｂ，１０ｂで接続され、前記より線９ａ，１０ａの他端
は、接触子１２と口金７とにそれぞれ接合されている。
接触子１２と口金７との間には、両者を所定間隔で支持
する絶縁がいし１１が設けられている。

【０００９】上記構成の二重管放電灯は口金７を灯具の
ソケットに螺入して使用し、アークランプ２の両端に高
圧が印加されて点灯される。このような二重管放電灯
は、例えば特開平１−２４６７０４号公報に開示され、
さらに詳しく説明されている。

【００１０】

【発明が解決しようとする課題】上記の二重管放電灯に
は次のような問題点があった。この二重管放電灯を組立
てるための外套管１の密封手順としては、まず、外套管
１の頂部に設けられたステム１４および１５と導線９お
よび１０とのそれぞれの接触部分を加熱することによっ
て導線９，１０を封着する。次に外套管１の前面を前面
レンズ５で封止し、最後に、排気管１３を通じて内部雰
囲気を混合ガスで置換した後、この排気管１３の先端を
加熱して封止する。

【００１１】このように、従来の二重管放電灯では、外
套管１の頂部にステムや排気管が集中し、これらをそれ
ぞれ封着するための作業が繁雑であった。

【００１２】ところで、当該二重管放電灯は振動の激し
い場所で使用されることがあるが、このような場合に
も、外套管１内部の所定位置にアークランプ２がしっか
りと固定されていることが望ましい。そのために、支持
部材８の反対位置に、アークランプ２を挟んでもう１本
の金属線を支持部材として設け（図示せず）、これを外
套管１の頂部に封着固定することがある。このように構
成したときには、外套管１の頂部は一層繁雑となり、能
率的な封着作業が行えないという問題点があった。

【００１３】本発明の目的は、上記の問題点を解消し、
外套管の頂部が繁雑になるのを避けて外套管の密封作業
を容易にすると共に、外套管内部の所定位置にアークラ
ンプを確実に固定することもできる二重管放電灯を提供
することにある。

【００１４】

【課題を解決するための手段】 上記の課題を解決し、
目的を達成するための本発明は、アークランプを封入す
る外套管の頂部に設けられた排気管と、アークランプ両
端の給電部の一方に接続され、かつアークランプを所定
位置に保持する支持部材とを具備し、前記支持部材が、
前記排気管を貫通し、かつこの排気管に封着された点に
特徴がある。

【００１５】

【作用】上記の特徴を有する本発明によれば、アークラ
ンプ給電部に接続された導線およびアークランプを外套
管内の所定位置に保持するための支持部材を支持用ステ
ムで外套管の頂部に封着固定する際、支持用ステムの一
つと排気管とを共通化させることができ、その結果、外
套管頂部の構造を簡素化することができる。

【００１６】

【実施例】以下、図面を参照して本発明を詳細に説明す
る。図１は本発明の一実施例を示す二重管放電灯の断面
図であり、図２と同符号は同一または同等部分を示す。

【００１７】同図において、アークランプ２は、その両
端に給電部を有し、そのうちの一方には棒状の導線９が
接続され、他方には導線１６が接続されている。導線１
６は導電性の良いニッケルの板を用いるのが良いが、組
立てを容易にするため、撚り線（より線）を使用するこ
ともできる。

【００１８】外套管１の頂部には、その中心軸が外套管
１の中心軸と一致するように配置された排気管１７が設
けられ、前記導線９はこの排気管１７を貫通して外套管
１の外部に引出されている。導線９は排気管１７を加熱
することによって封着されており、この封着を確実にす
るため、導線９にはあらかじめビード２０が接合され
る。このビード２０には導線９と外套管１との中間的な
熱膨脹率を有する材料、または外套管１と同一の材料が
使用される。

【００１９】アークランプ２の両端円筒部分を把持して
いる支持リング８ａ，８ｂには、支持部材８および１８
が接合され、この支持部材８，１８は、外套管１頂部
の、前記排気管１７を中心とする対称位置に配置された
ステム１５，１９に固定されている。この支持部材８，
１８も、前記導線９と同様、ステム１５，１９を加熱す
ることによってそれぞれ封着されている。

【００２０】前記支持部材８は前記導線１６と接続され
ていて導線の一部をなしているので、アークランプ２の
支持に必要な十分な強度を有することに加えて通電のた
めの導電性をも備えていることが必要である。これに対
し、支持部材１８は、アークランプ２の支持に必要な強
度を有していれば、導電性は特に考慮しなくてもよい。
但し、アークランプ２に近接して設けられるので、耐熱
性の材料で作られていることが望ましい。

【００２１】上記の二重管放電灯は次のような順序で組
立てられる。まず、アークランプ２を外套管１内の所定
位置に位置決めし、支持部材８，１８をステム１５，１
９でそれぞれ封着する。続いて、前面レンズ５と外套管
１の本体部分４ａとの会合部５ａを封止する。そして、
排気管１７を、図示しない排気系統に接続し、内部の空
気を排出して不活性ガスで置換する。その後、排気管１
７を加熱して導線９を封着する。最後に、口金７、がい
し１１、および接触子１２からなる口金部３を外套管１
の頂部に固着して組立てを終える。

【００２２】以上説明したように、本実施例では、アー
クランプ２の一端に接続された導線９を固定するための
支持用ステムと排気管とを共通化した。

【００２３】本実施例では、導線９の支持用ステムと排
気管とを共通化したが、このような構成に限定されず、
ステム１５または１９を排気系統に接続して外套管１の
雰囲気を置換した後、これを封着するようにしてもよ
い。この場合、排気管１７は、単に導線９の支持用ステ
ムとしての役目を果たすだけなので、外套管１の雰囲気
を置換する前に封着するようにする。

【００２４】また、本実施例では、アークランプ２を支
持するための支持部材を２本設けた例を示したが、これ
は上述のように支持用ステムと排気管とを共通化するこ
とによる省スペースの結果として、その配設が容易にな
ったものである。

【００２５】したがって、振動が比較的小さい場所で使
用される二重管放電灯では、必ずしも２本の支持部材を
設けることはなく１本だけでもよい。このように、支持
部材を１本だけにする場合でも、排気管と支持用ステム
を共通化することによって外套管頂部の構成が簡素化さ
れることには変わりない。

【００２６】

【発明の効果】以上の説明から明らかなように、本発明
によれば、外套管頂部の構造を簡素化できるので、外套
管の頂部に設けられたステムおよび排気管の封着作業が
容易になる。その結果、二重管放電灯の製造時間が短縮
され、コスト低減に繋がる。

【００２７】また、外套管頂部の構造を簡素化できるの
で、アークランプの支持部材を複数設け、かつこれらを
固定するためのステムを外套管頂部に設けることが容易
になり、二重管放電灯の耐振動性の向上をはかることが
できる。その結果、振動の激しい場所での使用が可能に
なり、かつ運搬時の破損を防止することもできる。

【図面の簡単な説明】

【図１】 本発明の一実施例を示す二重管放電灯の断面
図である。

【図２】 従来の二重管放電灯の断面図である。

【符号の説明】

１…外套管、 ２…アークランプ、 ３…口金部、 ４
ａ…外套管本体、 ５…前面レンズ、 ７…口金、
８，１８…支持部材、 ８ａ，８ｂ…支持リング、９，
９ａ，１０ａ，１６…導線、 １１…絶縁がいし、 １
２…接触子、 １５，１９…ステム、 １７…排気管、
２０…ビード

フロントページの続き (58)調査した分野(Int.Cl.⁷，ＤＢ名) H01J 61/36 H01J 61/34

Claims (1)

(57)【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 アークランプと、 前記アークランプを封入する外套管と、 前記アークランプ両端に設けられた給電部の一方に接続
   され、かつアークランプを所定位置に保持する支持部材
   と、 前記外套管の頂部に設けられた排気管とを具備した二重
   管放電灯において、前記支持部材が、前記排気管を 貫通し、かつこの排気管
   に封着されていることを特徴とする二重管放電灯。