JP3155137B2 - 自動車用バンパーおよび自動車用バンパー製造方法 - Google Patents

自動車用バンパーおよび自動車用バンパー製造方法

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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、塗装を施したポリオレ
フィン系樹脂組成物よりなる成形物回収品を自動車用バ
ンパーのコア層に再利用した機械的強度の高い自動車用
バンパーに関するものである。
【0002】
【従来技術】機械的強度、熱的強度、成形性等に優れた
ポリオレフィン系樹脂組成物は、自動車用バンパーに利
用されており、その商品性を高めるために、バンパー表
面に塗装が施されている。
【0003】このように塗装を施したポリオレフィン系
樹脂製自動車用バンパーをリサイクル資源として再利用
した場合、公害をもたらす液剤を用いずに塗膜を母材か
ら剥離することが困難であるため、特開平4−267114号
公報に記載しているように、塗装を施したポリオレフィ
ン系樹脂製自動車用バンパー再生材を粉砕し、この粉砕
品を押出機にて加熱溶融し、該バンパー再生材をコア材
とし、他のポリオレフィン系樹脂組成物を表皮材として
用い、多層射出成形を行なっていた。
【0004】この多層射出成形を行なうには、特開平4
−353414号公報に記載のように、表皮層を形成する軟質
樹脂材を最初に金型のキャビティ内に射出し、次いでコ
ア層を形成する硬質樹脂材を射出し、表皮層の間にコア
層をサンドイッチ状に形成していた。
【0005】
【解決しようとする課題】特開平4−353414号公報に記
載された方法を、バンパー射出成形に適用した場合、2
種類の樹脂をそれぞれ異なった押出機でもって金型のキ
ャビティの入口にタイミングをずらして供給するように
なっているため、バンパー射出成形が完了して、次の新
しいバンパー射出成形を開始する際には、両押出機の出
口合流部から金型キャビティ入口迄の成形材料供給通路
中に残留しているバンパー再生コア材が、異種材料の混
入を嫌うバージン表皮材に混入して、金型キャビティ内
に浸入してしまい、その結果、次のバンパー成形品の表
皮層に、塗膜が混在したバンパー再生材が混合し、曲げ
強度を負担するバンパー表皮層の耐衝撃性が低下すると
ともに、外観性が著しく低下した。
【0006】
【課題を解決するための手段および作用効果】本発明
は、このような難点を克服した自動車用バンパーの改良
に係り、熱硬化性樹脂製塗膜の塗装を施したポリオレフ
ィン系樹脂組成物よりなる成形物の回収品が用いられた
コア層と、該コア層の外周部に形成された他の樹脂より
なる表皮層を有する自動車用バンパーにおいて、該バン
パーの少なくとも一部にて前記コア層の芯部に前記表皮
層の他の樹脂層が形成されていることを特徴とするもの
である。
【0007】本発明は前記したように構成されているの
で、自動車用バンパーの少なくとも一部が、中心の表皮
層、その両側のコア層および該コア層の両外側の表皮層
よりなる5層に積層された構造となり、その結果、外観
性の劣るコア層がバンパー表面に露出せず、商品性が低
下することが避けられるとともに、5層の積層構造体に
よる機械的強度、特に曲げ強度の向上が期待できる。
【0008】また本発明は、前記請求項1記載の表皮層
を構成する他の樹脂を一方の押出機でもって金型のキャ
ビティに射出し、次いで前記請求項1記載のコア層を構
成する樹脂組成物を他方の押出機でもって金型のキャビ
ティに射出し、最後に前記表皮層を構成する他の樹脂を
前記一方の押出機でもって射出して、自動車用バンパー
を製造することを特徴とするもので、このような製造方
法を適用することにより、コア層を構成する樹脂組成物
の射出完了後における2個の押出機の出口合流部から金
型キャビティ入口迄の成形材料供給通路中に残留してい
るバンパー再生コア材が、最後の射出成形で前記一方の
押出機から射出される他の樹脂によって金型キャビティ
内に押込まれ、射出成型作業終了時では、2個の押出機
の出口合流部から金型キャビティ入口迄の成形材料供給
通路を該他の樹脂でもって充満させることができるの
で、次のバンパー成型開始時に、一方の押出機でもって
金型キャビティ内に新たに射出される他の樹脂に、熱硬
化性樹脂製塗膜が混在したバンパー再生コア材が混入す
ることが未然に阻止され、バンパー表皮層は他の樹脂の
みで構成される。
【0009】このように新たに成形された自動車用バン
パーの表皮層が他の樹脂のみで構成されるため、外観を
損なうバンパー再生コア材がバンパー表皮層に露出せ
ず、外観性の低下が未然に阻止されるとともに、曲げ強
度を最も良く効率的に負担するバンパー外表層の耐衝撃
性が向上し、バンパーの曲げ強度を高い水準に維持する
ことが可能となる。
【0010】また本発明によれば、自動車用バンパーの
射出成形完了直前の金型キャビティ内に射出される材料
と、次の自動車バンパーの射出成形開始時の金型キャビ
ティ内に射出される材料とが同一であるため、自動車用
バンパーの射出成形作業を円滑に続行することができ、
生産性を向上させることができる。
【0011】
【実施例】以下図面に図示された本発明の一実施例につ
いて説明する。本発明が適用される図1に図示の1は、
フロントバンパーで、その横断面形状は、図2に図示さ
れるように形成されている。自動車用バンパー1の表皮
層2は、バージン材であって、ポリオレフィン系樹脂組
成物の1つとして、ポリプロピレンとプロピレン−エチ
レンゴムを用い、これにタルク、顔料、耐光剤、熱安定
剤を添加して造粒機で溶融練りし、80〜100メッシュの
網を通して粗大粒子を除去し、内径1mm程度の細管を通
して線状となったものを1〜数mmの長さに切断して表皮
層用ペレット3を造粒し、この表皮層用ペレット3を原
料としている。
【0012】また自動車用バンパー1のコア層4は、熱
硬化性樹脂系塗料の1種の塗料として2液ウレタン系塗
料にて塗装された回収ポリプロピレン製バンパーを粉砕
機で粉砕した後、造粒機で溶融練りする際に、回収バン
パーに対し重量比で2〜20%のオレフィンを主鎖として
カルボキシル基、アクリル基、OH基、グリヒジル基をグ
ラフト重合または共重合あるいは両末端に付加した有機
化合物よりなる相溶化剤を添加し、塗膜粒径を0.3 mm以
下に微細化するとともに塗膜粒子の表面とこれに隣接す
るポリプロピレンの接触面との密着度を高め、前記表皮
層2に用いられる表皮層用ペレット3と略同程度の大き
さのコア層用ペレット5を造粒し、このコア層用ペレッ
ト5を原料としている。
【0013】これら表皮層用ペレット3およびコア層用
ペレット5のポリプロピレン系組成樹脂は、ポリプロピ
レンとプロピレン−エチレンゴムであったが、ポリエチ
チレン、ポリ4−メチルペンテン−1、ポリブテン、エ
チレン−ブテンゴム、EPDMゴム等を1種または2種
以上混合して用いてもよい。
【0014】この表皮層用ペレット3およびコア層用ペ
レット5を、図3に図示された押出機6,7のホッパ
8,9よりシリンダ10,11に充填し、下記のような工程
で、押出し成形を行う。
【0015】押出機6,7のシリンダ10,11の外周に
は、図示されない加熱器が配設され、シリンダ10,11内
のスクリュー12,13はそれぞれ図示されない原動機で回
転駆動されるようになっており、シリンダ10,11に充填
された表皮層用ペレット3,コア層用ペレット5は加熱
溶融される。
【0016】まず図3に図示するように、シリンダ10内
のスクリュー12を回転駆動させ、シリンダ10内で200 °
Cに加熱溶融された表皮層材料14を合流部16から金型18
の入口20を介してキャビティ19内に射出し、その射出量
がキャビティ19の容積の略半分に達した時に、スクリュ
ー12の回転を止めて、シリンダ10内からの表皮層材料14
の射出を停止し、また場合によっては、スクリュー12の
回転を止めずに、シリンダ10内からの表皮層材料14の射
出を続けることもできる。
【0017】次に図4に図示するように、シリンダ11内
のスクリュー13を回転駆動させ、シリンダ11内で溶融さ
れたコア層材料15を合流部16からキャビティ19内に射出
すると、既にキャビティ19に注入された表皮層材料14中
にコア層材料15が進入し、コア層4の両側方に表皮層2
が配置される。
【0018】最後に、図5に図示するように、押出機6
を再び稼働させ、シリンダ11内の溶融表皮層材料14を合
流部16からキャビティ19内に射出することにより、コア
層材料15の中に表皮層材料14が進入し、キャビティ19の
入口20付近(図2にては自動車用バンパー1の下部に位
置している)では、自動車用バンパー1の外面から表皮
層2,コア層4,表皮層2,コア層4,表皮層2と5層
が積層される。
【0019】図示の自動車用バンパー1では、耐衝撃性
等の機械的強度の高い表皮層2がこれよりも機械的強度
の低いコア層4の外側にサンドイッチ状に配設されてい
るので、自動車用バンパー1に加えられる曲げ荷重に対
してこれを有効に負担することができる。
【0020】また自動車用バンパー1の外面には、コア
層4が存在していないため、コア層4中の熱硬化性樹脂
製塗膜の粒子が表面に露出することがなく、自動車用バ
ンパー1の表面は平滑な面となって、その上に塗装され
る塗膜が滑らかな面となり、外観がよく、しかも塗装の
際に従来必要とされている前処理剤(111 −トリクロル
エタン)で自動車用バンパー1の表面を脱脂する必要が
ない素材を選定することができ、環境保全の面で好まし
い効果があり、かつコストダウンを図ることができる。
【0021】さらに自動車用バンパー1の射出成形完了
時には、合流部16からキャビティ19の入口20迄の成形材
料供給通路17内にコア層材料15が存在せず表皮層材料14
のみが存在するため、次の自動車用バンパー1の射出成
形作業を開始するべく、押出機6より金型18のキャビテ
ィ19に表皮層材料14を射出した際に、それ以前の射出成
形作業に残留した表皮層材料14を除去することなく、そ
のまま押出機6より表皮層材料14を射出でき、その結
果、成形作業能率を大巾に向上させることができ、しか
も表皮層2にコア層材料15が混入することがないので、
自動車用バンパー1の機械的強度を高い水準に維持でき
る。
【0022】しかも、キャビティ19の入口20付近では、
表皮層2から3層、コア層4が2層と交互に積層されて
いるので、その付近の機械的強度はより一層高い。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施例のバンパーが自動車の前部に
装着された状態を図示した斜視図である。
【図2】図1のII−II線に沿って截断した横断側面図で
ある。
【図3】本発明の射出成形の第1工程を図示した説明図
である。
【図4】前記射出成形の第2工程を図示した説明図であ
る。
【図5】前記射出成形の第3工程を図示した説明図であ
る。
【符号の説明】
1…自動車用バンパー、2…表皮層、3…表皮層用ペレ
ット、4…コア層、5…コア層用ペレット、6,7…押
出機、8,9…ホッパ、10,11…シリンダ、12,13…ス
クリュー、14…表皮層材料、15…コア層材料、16…合流
部、17…成形材料供給通路、18…金型、19…キャビテ
ィ、20…入口。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 板倉 達也 埼玉県和光市中央1丁目4番1号 株式 会社本田技術研究所内 (56)参考文献 特開 平4−353414(JP,A) 特開 平5−267114(JP,A) 特開 昭59−199227(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) B60R 19/03

Claims (2)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 熱硬化性樹脂製塗膜の塗装を施したポリ
    オレフィン系樹脂組成物よりなる成形物の回収品が用い
    られたコア層と、該コア層の外周部に形成された他の樹
    脂よりなる表皮層を有する自動車用バンパーにおいて、
    該バンパーの少なくとも一部にて前記コア層の芯部に前
    記表皮層の他の樹脂層が形成されていることを特徴とす
    る自動車用バンパー。
  2. 【請求項2】 前記請求項1記載の表皮層を構成する他
    の樹脂を一方の押出機でもって金型のキャビティに射出
    し、次いで前記請求項1記載のコア層を構成する樹脂組
    成物を他方の押出機でもって金型のキャビティに射出
    し、最後に前記表皮層を構成する他の樹脂を前記一方の
    押出機でもって射出して、自動車用バンパーを製造する
    ことを特徴とする自動車用バンパー製造方法。
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JP2832692B2 (ja) * 1995-11-02 1998-12-09 本田技研工業株式会社 自動車用バンパの製造方法
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