JP3153256B2 - 悪酔改善剤 - Google Patents

悪酔改善剤

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JP3153256B2 JP04378391A JP4378391A JP3153256B2 JP 3153256 B2 JP3153256 B2 JP 3153256B2 JP 04378391 A JP04378391 A JP 04378391A JP 4378391 A JP4378391 A JP 4378391A JP 3153256 B2 JP3153256 B2 JP 3153256B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、ケンポナシの溶剤抽出
物を含有する悪酔改善剤に関する。
【0002】
【従来の技術】飲酒、特に過飲による悪酔症状は、たと
えば皮膚紅潮、熱感、動悸、瀕脈、頭痛、頭重、悪心、
吐気、口臭、尿臭などの症状として現われる。そして、
このような悪酔症状の改善には、一般に飲みすぎによる
胃のもたれ、むかつき、胸やけなどを局所的に抑える方
法が用いられているのが実情である。たとえば、各種胃
腸薬、生薬製剤などがこれにあたり、上記不快症状の軽
減がはかられている。今日、このような悪酔症状の主な
原因は、アルコール代謝の代謝生成物であるアセトアル
デヒドが十分に代謝されないで、そのまま体内に残留し
ているためであるといわれている。井尻らは、清酒摂取
時の悪酔症状と血中アルコール量、アセトアルデヒド
量、尿中カテコールアミン排泄量の相関について研究
し、その結果アセトアルデヒド濃度の上昇がカテコール
アミン分泌を促進させ、顔面紅潮、脈拍増加等の諸症状
があらわれると報告している〔Japan J. Stud. Alcoho
l, 9(1), 35〜39,1974〕。このような立場から、特開昭
62-74269号公報及び特開昭62-277325 号公報では、アセ
トアルデヒド脱水素酵素を活性化し、アセトアルデヒド
の代謝を促進させることで悪酔症状を改善している。し
かしながら、慢性飲酒によりアセトアルデヒドに対する
感受性が変化し、アセトアルデヒド濃度が高値を示して
いるにもかかわらず、悪酔症状がでないという報告、ま
た、アセトアルデヒド代謝生成物であるアセテートが心
拍出量、冠血流量などを上昇させるという報告〔J. Cli
n. Invest., 62, 1029〜1038, 1978〕もあり、これらが
悪酔症状に関与しているとも考えられ、アセトアルデヒ
ド代謝促進のみが悪酔症状の改善に関係しているとはい
えないのが現状である。従って、このような悪酔症状の
改善を評価する場合、質問紙による主観的な悪酔状態の
評価にたよらなければならず、これらの症状の客観的な
生理評価が望まれる。また、もう1つの悪酔症状として
過飲時の平衡感覚低下、千鳥足といった症状が挙げら
れ、これはエタノール摂取時の筋力低下に由来すると考
えられる〔Japan. J. Pharmacol., 27, 117, 1977〕。
一般に、飲酒運転時の判定にこのような平衡感覚低下の
程度を評価する試みがなされているが、客観的な行動評
価法が試みられたことはないのが現状である。
【0003】一方、ケンポナシは中国で古来より漢方と
して用いられ、利尿、口渇に効果があるとされている
が、その生理効果の証明は、ウサギを用いた利尿作用、
抗う蝕作用が報告されている(特開平2-78609 号公報)
のみで、ケンポナシ抽出物の悪酔改善に対する生理的実
験は行われておらず、ましてケンポナシ抽出物を簡便に
摂取し得る飲食物については全く報告されていない。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】従って、本発明は、悪
酔改善に優れた効果を有する薬剤を提供することを目的
とするものである。
【0005】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、上記の目
的を達成するために、人を用いた悪酔症状の生理反応評
価、具体的には顔面紅潮の指標としてサーモグラフィー
による顔の表面皮膚温度の計測、ならびに心拍機能の指
標として心拍数、心拍間隔変動係数(CVR-R )を算出
し、評価試験を実施した。被験者は、エタノールパッチ
テスト〔Lancet.,1, 629, 1987〕及び東大式ALDH2表現
型スクリーニングテスト(TAST)〔アルコール研究と薬物
依存, 22, 4, Suppl., 5288, 1987〕により、皮膚紅
潮、心悸亢進といった症状を呈しやすい人を用い、悪酔
改善効果が明確に評価できるような方法を用いた。一
方、エタノール摂取時の筋力低下の指標としては、マウ
スを用いたトラクションテストによる評価を利用した。
このような評価系を用いて悪酔改善作用を有する組成物
を探索した結果、ケンポナシの果実、果柄、種子又は果
枝の溶剤抽出物が極めて効果的に悪酔状態の諸症状を改
善するという驚くべき事実を見出し、本発明を完成し
た。
【0006】すなわち、本発明は、ケンポナシの溶剤抽
出物を含有する悪酔改善剤を提供するものである。
【0007】本発明の薬剤に含まれる抽出物の原料であ
るケンポナシ(枳ぐ)はクロウメモドキ科のケンポナシ
(Hovenia dulcis Thunb)の成熟した果実、種子、果柄
又は果枝を乾燥したものであるが、特に果実、果柄が好
ましい。本発明の薬剤の主成分の抽出物は、ケンポナシ
を有機溶剤で抽出、濃縮することによって製造される。
有機溶剤としては、例えばエタノール、イソプロパノー
ル、メタノール等のアルコール、アセトン等のケトン類
等の親水性有機溶剤、水又はこれらの混合物が使用され
る。本発明において、ケンポナシの溶剤抽出物とは、ケ
ンポナシをこれら溶剤で抽出した場合にケンポナシから
溶剤に移行した成分を言い、この抽出物は溶剤を除去し
た後の乾燥物の状態で使用することも、また溶剤に溶解
した状態で使用することもできる。ただし後者の場合
は、抽出溶剤は本発明の悪酔改善剤中の基材の一部を構
成するものであり、従ってこの場合には人体に対して有
害な作用を有しない溶剤を使用する必要があり、例えば
水、エタノール又はこれらの混合物を用いるのが好まし
い。抽出に際してケンポナシは、乾燥原料としてそのま
ま使用することもでき、また破砕して使用し、溶剤との
接触を改良することもできる。ケンポナシと溶剤との比
率は特に限定されないが、抽出効率及び便利さの観点か
らケンポナシ乾燥物100gあたり 0.1〜20lの溶剤
を使用するのが好ましい。抽出温度は、室温〜常圧下で
の溶剤の沸点の範囲とするのが便利であり、抽出時間は
抽出温度等により異なるが、好ましくは、1.5 時間〜1
週間の範囲が好ましい。更に好ましくは、10倍量の溶
剤を用い、室温〜常圧下での溶剤の沸点の範囲で3時間
〜12時間抽出するのが望ましい。本発明抽出物は、溶
媒に水を用いた場合、溶剤をすべて除去せずにエキスと
して用いることができる。この場合、水に不溶な沈澱物
を濾過して用いることもでき、また抽出溶液にクエン酸
を加えてpH2以下に下げて沈澱物を除去して用いること
もできる。
【0008】本発明薬剤中の該抽出物含量は、ケンポナ
シ抽出物が人体に対し毒性を有しないので、特に制限さ
れることなく広い範囲から選択することができるが、有
効濃度、経済性の点から、Brix60%の抽出エキスであ
れば、0.01〜30重量%、特に 0.1〜20重量%とする
のが好ましい。なお、Brix62%の熱水抽出ケンポナシ
エキスを8週令CD−1雄性マウスに5g/kg経口投与
しても何ら異常は認められなかった。
【0009】本発明薬剤は、その形態に特に制限はな
く、固形状、液状の何れであってもよく、また、例え
ば、常用されている任意の基材を用いて清涼飲料、ジュ
ース、コーヒー、紅茶などの飲料類、飴、チューイング
ガム、キャンディー、チョコレート、グミなどの菓子類
とすることができる。
【0010】本発明薬剤には、この発明の効果を損なわ
ない限りにおいて、従来から用いられている公知の悪酔
改善成分を含有せしめることができる。これらの成分と
しては例えば、柿果汁、アラニン、グルタミン、オルニ
チンなどのアミノ酸類、タンニンなどのアルコール吸収
阻害物質などが挙げられる。本発明の悪酔改善剤は、飲
酒の前、後あるいは飲酒中の何れの時点で摂取しても効
果を奏することができるが、特に飲酒前又は飲酒中に摂
取するのが望ましい
【0011】本発明における悪酔改善効果の評価は、飲
酒時の顔面紅潮と心悸亢進の状態を直接的に、しかも客
観的に測定する方法として、顔面紅潮の指標としてサー
モグラフィーによる皮膚表面温度の測定を、心悸亢進の
指標として心拍数と心拍間隔変動係数測定の技術を導入
した。これらの評価指標は、悪酔症状の作用機序がまだ
完全に解明されていない現在、直接的で最も客観的な指
標であるといえる。更に、本評価試験では、自覚的な悪
酔症状を質問紙により調べ客観的評価と対応させること
により、更に厳密な効果判定を実施した。サーモグラフ
ィーは、人体から輻射される赤外線を検出する装置で、
表面皮膚温度分布の瞬時変化を無侵襲的にとらえること
が可能である。従って今日では、血管拡張薬の薬効判定
(Biomedical Thermography, 6, 1, 133〜135, 1986)
や乳癌の臨床診断等に積極的に応用されている。心拍機
能評価は、心悸亢進の状態が最も直接的に反映される心
拍数と副交感神経機能を反映し、更に鋭敏な評価指標と
なる心拍間隔変動係数を応用した。心拍間隔変動係数に
よる副交感神経機能評価は、今日では、糖尿病や各種自
律神経疾患の臨床応用がなされている(Diabetologia,
18, 471〜478, 1980, 神経内科,19, 127〜132, 198
3)。本発明者らは、これらの評価系を用いることで無
侵襲的に被験者に負担をかけることなく健常人の悪酔改
善効果を判定することに成功した。更に、本発明で用い
た顔面紅潮度は、悪酔症状の原因の1つであると考えら
れる血中アセトアルデヒド濃度の上昇とも相関があるこ
とが知られている。溝井らは、飲酒時に顔面紅潮を呈す
被験者と呈さない被験者の血中アセトアルデヒド濃度を
測定した結果、顔面紅潮を示す被験者では、ピーク時の
血中アセトアルデヒド濃度が5倍程度高いことを報告し
ている(Pharmacology Biochemistry & Behavior, 10,
303〜311, 1979)。更に、飲酒時の筋力低下、平衡感覚
喪失の指標としてマウスを用いたトラクションテストに
よる評価試験を実施した。これは、マウスを両前肢で懸
垂させ、落下するまでの時間を測定するもので、各種向
精神薬の中枢抑制作用を判定するのに応用されている。
従って、飲酒時の中枢抑制による筋力低下を行動指標と
してとらえるものであり、客観的な評価が実施できる。
【0012】
【実施例】次に実施例を挙げて、本発明を更に詳細に説
明する。
【0013】実施例1 ケンポナシの果実、果柄及び種子100gを1000mlの蒸
留水で、90℃、3時間浸漬し、抽出液を得た。これを
ガーゼ濾過、珪藻土濾過し、減圧下(40mmHg)で濃縮
し、ケンポナシ抽出物(Brix60%)を30.2g 得た。5
週齢ddy 系雄性マウスを1用量につき10匹用い、20
%エタノール水溶液を2g/kg経口投与し、30分後の
トラクションテスト時の懸垂時間を測定した。トラクシ
ョンテストは、水平に張った針金にマウス前肢を懸垂さ
せ、落下するまでの時間を測定し、表1のようなスコア
で評定した。
【0014】
【表1】
【0015】以上のような、エタノールのみの経口投与
時に対して、前述のケンポナシ抽出物を固形分換算で0.
625 又は、1.25g/kgを同時に経口投与した際のトラク
ションスコアを比較したところ図1に示すような結果を
得た。このように、エタノール単独投与時にみられる懸
垂時間低下を有意に抑制し、特に1.25g/kg投与では、
エタノール非投与時の懸垂時間とほぼ同程度のトラクシ
ョンスコアを示すなどの筋力低下の回復が認められた。
【0016】実施例2 ケンポナシの果実、果柄及び種子100gを1000mlの蒸
留水で、90℃、3時間浸漬し、抽出液を得た。これを
ガーゼ濾過、珪藻土濾過し、クエン酸を加え、pHを2以
下に下げて、5℃で12時間放置し、再び珪藻土濾過
し、生成した沈澱物を除去した。これを減圧下(40mm
Hg)で濃縮し、ケンポナシ抽出物(Brix60%)を19.8
g得た。実施例1と同様の方法で、マウスによるトラク
ションテストを実施したところ、図2のような結果とな
った。図2に示すようにエタノール3.0g/kg単独投与に
比べ、上記ケンポナシ抽出物を固形分換算で1.25g/kg
同時投与時には有意にトラクションスコア値の改善がみ
られ、筋力低下が抑制されていることが確認できた。
【0017】実施例3 ケンポナシの果実、果柄及び種子100gを20%エタ
ノール1000mlで常温下12時間浸漬し、抽出液を得た。
これをガーゼ濾過、珪藻土濾過し、これを濃縮してケン
ポナシ抽出物(Brix60%)33gを得た。実施例1と
同様の方法で、マウスによるトラクションテストを実施
したところ、2.0g/kgエタノール単独投与時のトラクシ
ョンスコアが2.0 であったのに対し、上記抽出物を固形
分換算で0.625g/kg同時投与時には、同スコアが3.2 に
改善され、有意な筋力低下抑制が確認できた。
【0018】実施例4 ケンポナシ果枝100gを1000mlの蒸留水で90℃、3
時間浸漬し、抽出液を得た。これをガーゼ濾過、珪藻土
濾過し、減圧下(40mmHg)で濃縮し、ケンポナシ抽出
物(Brix60%)15gを得た。実施例1と同様の方法
で、マウスによるトラクションテストを実施したとこ
ろ、2.0g/kgエタノール単独投与時のトラクションスコ
アが3.3 であったのに対し、上記ケンポナシ抽出物を固
形分換算で0.625g/kg同時投与時には、同スコアが4.6
に改善されたが有意な筋力低下抑制は認められなかっ
た。
【0019】実施例5 ケンポナシ果実、果柄、種子及び果枝を含む総体物10
0gを1000mlの蒸留水で90℃、3時間浸漬し、抽出液
を得た。これをガーゼ濾過、珪藻土濾過し、減圧下(4
0mmHg)で濃縮し、ケンポナシ抽出物(Brix60%)3
4gを得た。実施例1と同様の方法で、マウスによるト
クラションテストを実施したところ、3.0g/kgエタノー
ル単独投与時のトラクションスコアが2.7 であったのに
対し、上記ケンポナシ抽出物を固形分換算で0.625g/kg
同時投与時には、同スコアが4.5 に大幅に改善され、有
意な筋力低下抑制が確認できた。
【0020】実施例6 エタノールパッチテストでアセトアルデヒド脱水素酵素
欠損型と判定された健常成人5名(年齢、28〜35
才、男性3名、女性2名)を用い、ショ糖7.5gを5
0mlの水道水に溶解させ、クエン酸でpH3.5に調
整したドリンクサンプル(プラセボドリンク)もしくは
実施例5と同様な方法で調製したケンポナシエキス7.
5g(固形分換算で)を50ml水道水に溶解させ、ク
エン酸でpH4.4に調整したドリンクサンプル(ケン
ポナシドリンク)をそれぞれビール飲酒20分前に摂取
した際の、同一被験者間における生理評価試験の結果を
比較した。なお、プラセボドリンク、ケンポナシドリン
クの2回のサンプルの与え方には、順序効果を考慮し
た。 (1)生理評価試験 各被験者には、プラセボドリンク、ケンポナシドリンク
の2回のサンプル摂取時の生理評価試験を同一時間帯に
日を変えて実施した。測定は、電磁シールドルーム内で
行い、飲酒前の安静時のサーモグラフィー(日本電気三
栄社製、医用サーモトレーサー6T67)による2分ご
との顔の表面温度の計測、同時にポリグラフ(日本電気
三栄社製、多用途ポリグラフmodel 363)によ
る10分間の心電図測定を行った。なお生理指標測定中
は、覚醒レベル低下防止のため簡単なボタン押しの作業
を行わせた。安静測定後、前述のいずれかのサンプルド
リンクを摂取させ、20分の安静状態を経て、被験者の
飲酒レベルに応じてビール(アルコール分4.5%)2
00〜350ml(平均330ml)を飲酒させ、飲酒
後の生理反応測定を安静時と同様な方法で40分間測定
した。また、飲酒後20分での自覚症状を質問紙で回答
させ、両ドリンク摂取時の主観症状の比較を実施した。 (2)顔の表面温度の解析 サーモグラフィー(日本電気三栄社製、医用サーモトレ
ーサー6T67)により赤外線カメラで計測された顔の
表面温度分布の熱画像データは、各被験者ごとに3つの
エリア(A:前額部、B:鼻部を含む顔面中央部、C:
顎部から首にかけての領域)に分けてエリア内の平均皮
膚温を算出した。得られた平均皮膚温データを飲酒前安
静時を基準として、5人の被験者の飲酒後のCエリアで
の皮膚温上昇度を平均化し比較した結果は、図3のとお
りである。図3が示すように、本発明飲食物のドリンク
サンプルを摂取した場合には、顔の表面温度の上昇が有
意に抑制することが確認できた。 (3)心拍機能の解析 心電図は、右足首を不感電極として頸部、左足首より導
出し生体アンプで増幅した後(日本電気三栄社製、多用
途ポリグラフmodel 363)、得られた心電図波
形データからR波を自動検出し、R−R間隔を算出した
(日本電気社製、PC−9801RA)。得られたR−
R間隔の時系列データから1分間あたりの心拍数、更に
数式1によって求められる10分間の心拍間隔変動係数
(CVR−R)を指標として飲酒後の変化を比較した。
【数1】 飲酒時のプラセボドリンク及びケンポナシドリンク摂取
時の5人の被験者の平均心拍数の変化を図4に示した。
図4から、ビール摂取前の心拍数にはサンプル間で有意
差がないのに対し、ビール摂取後の、ケンポナシサンプ
ル摂取時には心拍数の有意な上昇抑制が確認できた。更
に、飲酒時の5人の被験者における平均の心拍間隔変動
係数の変化の比較を図5に示した。図5から、プラセボ
ドリンク摂取時の対照群ではビール摂取により副交感神
経系が抑制され、心拍間隔変動係数が低下して回復しな
いのに対し、ケンポナシサンプル摂取時には飲酒後時間
経過に伴って、回復傾向がみられ、飲酒後30〜40分
では有意な心拍間隔変動係数の低下の抑制が認められ
た。これらの結果から、本発明飲食物の摂取により、飲
酒時の心悸亢進の症状があきらかに改善されたことが裏
付けられた。 (4)自覚症状調査 ビール摂取後、20分における各被験者の酔いに関する
自覚症状を5段階評定の質問紙を用いて実施した。5人
の被験者のプラセボドリンク摂取時の対照群とケンポナ
シドリンク摂取時の平均スコアの比較を図6に示した。
図6のように、自覚症状からも対照群に比べ、本発明飲
食物摂取時には、悪酔症状の大幅な改善が認められ、特
に「顔のほてり」に関しては有意な症状改善が確認でき
た。
【0021】実施例7 本発明薬剤はエキス成分として用いるほか、次のように
粉末として精製することもできる。実施例1と同様な方
法で得られたケンポナシ抽出液を固形分20重量%まで
減圧濃縮し、このエキス100gに対し賦形剤としてデ
キストリン20gを加え、噴霧乾燥機を用いて170〜
180℃で乾燥させ、デキストリン50%配合ケンポナ
シエキス粉末品37.4gを得た。
【0022】実施例8(清涼飲料) 濃縮レモン果汁 5 (重量部) クエン酸ナトリウム 0.2 L−アスコルビン酸 0.02 ケンポナシ抽出エキス 5 (固形分) 香料 0.01 クエン酸 0.2炭酸水 残量 全量 100.00
【0023】実施例9(ジュース) 濃縮オレンジ果汁 5.0 (重量部) 砂糖 7.0 クエン酸 0.2 L−アスコルビン酸 0.02 ケンポナシ抽出エキス 5.0 (固形分) 香料 0.1水 残量 全量 100.00
【0024】実施例10(乳酸菌飲料) 乳固形分21%発酵乳 14.76(重量部) 果糖葡萄糖液糖 10.31 ペクチン 0.5 クエン酸 0.08 ケンポナシ抽出エキス 5.0 (固形分) 香料 0.15水 残量 全量 100.00
【0025】実施例11(紅茶) 茶葉1.2 重量部を適量の湯(80℃)に入れ、十分浸出
させた後、茶殻を濾別し、浸出液に砂糖1.0 重量部、炭
酸水素ナトリウム0.08重量部、L−アスコルビン酸0.1
重量部、ケンポナシ抽出エキス5.0 重量部(固形分)を
添加し残余の水(20℃)を加え、100重量部とし
た。
【0026】実施例12(チューインガム) ガムベース 20.0 (重量部) 香料 1.0 クエン酸 1.0 ケンポナシ抽出エキス 5.0 (固形分)砂糖 残量 全量 100.00
【0027】実施例13(キャンディー) 砂糖 45.0 (重量部) 香料 1.0 ケンポナシ抽出エキス 5.0 (固形分)水飴 残量 全量 100.00
【0028】実施例14(飴) 粉末ソルビトール 96.94(重量部) 50%デキストリン配合 ケンポナシエキス粉末 3.0 香料 0.01ソルビトールシード 0.05 全量 100.00
【0029】実施例15(チョコレート) カカオマス 18.0 (重量部) カカオバター 18.0 粉乳 15.0 砂糖 45.5 レシチン 0.5 50%デキストリン配合ケンポナシエキス粉末 3.0 全量 100.00
【0030】実施例16(カプセル剤) 50%デキストリン配合 ケンポナシエキス粉末 150mg 乳糖 48mgステアリン酸マグネシウム 2mg 計 200mg 以上を1カプセル当たりの量とする。上記の割合でケン
ポナシエキス粉末と乳糖を混合し、打錠したのち粉砕
し、ステアリン酸マグネシウムを混ぜ、混合物をそれぞ
れ2号カプセルに充填した。
【0031】実施例17(粉剤) 50%デキストリン配合 ケンポナシエキス粉末 800mg 乳糖 95mgオキシプロピルセルロース 5mg 計 900mg 以上を1用量単位とする。上記の割合で三者を混合した
のち少量の水を加え、練合機で練合;整粒し、乾燥して
再び整粒し、上記の単位毎に分包した。
【0032】
【発明の効果】叙上の如く、本発明の悪酔改善剤は、飲
酒の前、後あるいは飲酒中に摂取すれば、飲酒により惹
起する悪酔を有利に防止することができる。
【0033】
【図面の簡単な説明】
【図1】 エタノール投与によるマウスの筋力低下に対
する実施例1のケンポナシ熱水抽出物の効果を示す。
【図2】 エタノール投与によるマウスの筋力低下に対
する実施例2のケンポナシ熱水抽出物の効果を示す。
【図3】 アルコール摂取時におけるケンポナシ熱水抽
出物の投与による顔面皮膚温の変化を示す。
【図4】 アルコール摂取時におけるケンポナシ熱水抽
出物の投与による心拍数の変化を示す。
【図5】 アルコール摂取時におけるケンポナシ熱水抽
出物の投与による心拍間隔変動係数の変化を示す。
【図6】 アルコール摂取時におけるケンポナシ熱水抽
出物の投与による酔いの自覚症状主観評価を示す。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI A23L 2/38 A23L 2/38 C A61P 39/02 A61P 39/02 // A23L 1/30 A23L 1/30 B (72)発明者 辻村 英雄 大阪府三島郡島本町大字山崎1023−1 サントリー株式会社 基礎研究所内 (56)参考文献 特開 平2−78609(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) A61K 35/78 A23G 1/00 A23G 3/00 101 A23G 3/30 A23L 1/212 A23L 2/38 A61P 39/02 A23L 1/30 BIOSIS(DIALOG) CA(STN) MEDLINE(STN)

Claims (3)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 ケンポナシの溶剤抽出物を有効成分とす
    る悪酔改善剤。
  2. 【請求項2】 ケンポナシの溶剤抽出物が、ケンポナシ
    の果実、果柄、種子、果枝の1種もしくは2種以上又は
    その破砕物を溶剤抽出したものである請求項1記載の悪
    酔改善
  3. 【請求項3】 抽出溶剤が、アルコール、水又はその混
    合物である請求項1又は2記載の悪酔改善剤。
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