JP3146120B2 - 繊維強化樹脂成形品の製造方法 - Google Patents

繊維強化樹脂成形品の製造方法

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JP3146120B2
JP3146120B2 JP03573595A JP3573595A JP3146120B2 JP 3146120 B2 JP3146120 B2 JP 3146120B2 JP 03573595 A JP03573595 A JP 03573595A JP 3573595 A JP3573595 A JP 3573595A JP 3146120 B2 JP3146120 B2 JP 3146120B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、繊維強化樹脂成形品の
製造方法に関し、特に強化繊維材に液状樹脂を含浸させ
加圧して成形する繊維強化樹脂成形品の製造方法に関す
る。
【0002】
【従来の技術】繊維強化樹脂成形品の製造方法の1つに
雌雄一対の成形型を用いる方法がある。この方法では、
成形型内に強化繊維材を配置し、この強化繊維材にエポ
キシ樹脂などの液状樹脂を含浸させた後、成形型を型締
めして加圧すると同時に加熱する。この結果、成形型の
型形状に対応した外形を有する繊維強化樹脂成形品が得
られる。なお、強化繊維材としては、例えば、強化材と
してガラス繊維などをバインダー樹脂で固めた繊維束か
ら構成されるシート状のものが使用される。
【0003】しかし、従来の方法では、得られる成形品
にボイドが発生する場合が多く、1つ1つ成形品を点検
しなければならなかったり、実用に供さない成形品が多
く製造される等の問題がある。上記のような問題を解決
するために、強化繊維材への樹脂含浸性を向上させる方
法が特開平4−316811に開示されている。この方
法では、まず、型内に強化繊維材を配置する。次に、上
下の型の間隔を製品の厚さよりも大きい間隔に設定した
状態で液状樹脂を注入し、注入完了後に加熱・硬化を行
うという方法である。この方法によれば、樹脂の注入が
容易になり強化繊維材中に樹脂が含浸しやすくなるが、
締切り速度によって成形品上面側にリング状にボイドが
形成されやすくなり、成形品の力学的特性が低下すると
いう問題がある。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】本発明が解決しようと
する課題は、成形品にボイドが発生するのを防ぎ、品質
性能の良好な成形品を得ることである。本発明が解決し
ようとする別の課題は、液状樹脂が成形品全体に行き渡
り易くすることである。
【0005】本発明が解決しようとするさらに別の課題
は、成形品の樹脂注入口側にボイドが形成されるのを防
ぐことである。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明の一見地に立つ繊
維強化樹脂成形品の製造方法は、上型と下型とが開閉自
在に設けられた成形型を用い、下記(a)〜(c)の工
程を順次行う繊維強化樹脂成形品の製造方法であって、
液状樹脂の強化繊維材の厚さ方向の浸透性(以下、単に
厚さ方向の浸透性という)よりも液状樹脂の強化繊維材
の面方向の浸透性(以下、単に面方向の浸透性という)
が大きくなるようにすることを特徴とする。
【0007】(a)強化繊維材を下型に配置する配置工
程 (b)型開量を設定して強化繊維材に液状樹脂を注入し
た後、型締めすることにより含浸させる液状樹脂含浸工
程 (c)液状樹脂が含浸した強化繊維材を圧縮し、成形硬
化する成形硬化工程 前記液状樹脂含浸工程は、上型と下型との型締め速度を
調整することで厚さ方向の浸透性よりも面方向の浸透性
が大きくなるようにすることを特徴としていてもよい。
【0008】前記配置工程において配置された強化繊維
材は、その厚さ方向の浸透性よりも面方向の浸透性が大
きくなっていることを特徴としていてもよい。前記配置
工程において配置された強化繊維材は、その厚さ方向に
みて、上型と下型のうち少なくとも一方に形成された液
状樹脂の注入口に近い位置の強化繊維材ほど、その厚さ
方向の浸透性がより小さくなっていることを特徴として
いてもよい。
【0009】前記配置工程において配置された強化繊維
材は、その厚さ方向にみて、上型と下型のうち少なくと
も一方に形成された液状樹脂の注入口に近い位置ほど、
その目付量がより大きくなっていることを特徴としてい
てもよい。前記配置工程は、厚さ方向の浸透性が面方向
の浸透性よりも大きくならない範囲で、強化繊維材の型
開量を設定する工程であることを特徴としていてもよ
い。
【0010】本発明の他の見地に立つ繊維強化樹脂成形
品の製造方法は、上型と下型とが開閉自在に設けられた
成形型を用い、下記(a)〜(e)の工程を順次行う繊
維強化樹脂成形品の製造方法であって、基材の前記注入
口側表面を被覆することを特徴とする。 (a)強化繊維材を下型に配置する配置工程 (b)型開量を設定して前記強化繊維材に液状樹脂を注
入した後、型締めすることにより含浸させる液状樹脂含
浸工程 (c)液状樹脂が含浸した強化繊維材を圧縮し、成形硬
化する第1成形硬化工程 (d)工程(c) で得られた成形品である基材の表面に被
覆材料を注入する被覆材料注入工程 (e)下型と上型とを型締めし、被覆材料を含む基材を
圧縮・加熱して成形硬化させる第2成形硬化工程 以下、本発明を詳細に説明する。
【0011】本発明で使用する強化繊維材は、強化材と
しての繊維をバインダー樹脂で固めた繊維束で構成され
ている。前記強化材としての繊維は、例えば、無機質と
しては、ガラス、溶融シリカ、炭化ケイ素、炭素、窒化
ホウ素、アルミナ、ジルコニア、アルミニウム、銅、チ
タニウム、ステンレス鋼などがあげられ、有機質として
は、ナイロン、芳香族系ポリアミドなどがあげられ、こ
れらは単独で使用してもよく、異なる2種類以上の素材
を混合して用いてもよい。強化繊維材の形状は、例え
ば、織物状、編物状、平均繊維長が5〜30mmの長さ
に切断されたチョップドストランドマット、不織布、繊
維束をランダムに絡ませたシート状、フエルト状、さら
に前記の形状物を三次元的に構成した積層状、マット状
などの形状であり、単独で使用してもよく、異なる2種
類以上の形状物を組み合わせて用いてもよい。強化繊維
材は、操作性の向上を図るため、変形加工により型キャ
ビティ形状と対応した形状となっていることが好まし
い。
【0012】前記液状樹脂としては、例えば、ポリエス
テル系樹脂、不飽和ポリエステル系樹脂、エポキシ系樹
脂、ジアリールフタレート系樹脂、フェノール系樹脂、
ビニルエステル樹脂、アクリル樹脂等が用いられる。本
発明において、厚さ方向の浸透性と面方向の浸透性との
大小を比較する場合、例えば下記の式で示される値を用
いて行うことができる。
【0013】厚さ方向の浸透性を表す値をKzとして Kz=62Φ3 /(1−Φ)2 … (1) 面方向の浸透性を表す値をKxとして Kx=241v+40exp(5.45Φ) … (2) ここで、vは前記液状樹脂の流速を表し、Φは前記強化
繊維材の空隙率を表す。なお、ここでいう液状樹脂の流
速とは、樹脂注入時に形成される強化繊維材の樹脂充填
領域の直径をD1とし、型締めを行ってからT秒後に形
成される樹脂充填領域の直径をD2のとする場合、下記
(3)の式で定義される値であり、上型と下型との型締
め速度によって変化する値である。
【0014】D2=D1+2vT … (3) 本発明では、上記の式から算出したKzとKxとを比較
し、Kx>Kzとなるように型締め速度を調整したり、
また、Kx>Kzである強化繊維材を使用することでボ
イドの発生を抑制する。本発明では、特に、繊維強化プ
ラスチック表面のボイド発生を抑制するために、強化繊
維材に液状樹脂を含浸させ、これを圧縮し、成形硬化し
て得られる成形品を基材として、基材の表面に被覆材料
を注入し、これを圧縮・加熱して成形硬化させる。
【0015】前記被覆材料としては、基材成形に使用可
能な前述の材料と同じ材料を使用することができる。前
記被覆材料を注入する際は、減圧下、常圧下または加圧
下のいずれの圧力下でも行うことができる。また、被覆
材料の注入口は、上型に1か所であってもよく、複数か
所であってもよい。さらに、被覆材料が複数の注入口か
ら繊維強化樹脂成形品の表面に注入される場合、それぞ
れの樹脂注入方向は、すべて同じ方向であってもよく、
互いにほぼ垂直な方向であってもよい。
【0016】前記液状樹脂含浸工程は、減圧下、常圧下
または加圧下のいずれの圧力下でも行うことができる。
また、液状樹脂の注入口は1か所であってもよく、複数
か所あってもよいが、一般には型キャビティ内の隅々ま
で液状樹脂が行き渡るようにするため複数か所あること
が好ましい。液状樹脂の注入口の位置は、上型と下型の
一方だけでもよく、両方にあってもよいが、一般には型
キャビティ内の隅々まで液状樹脂が行き渡るようにする
ため両方にあることが好ましい。液状樹脂が複数の樹脂
注入口から型キャビティ内へ注入される場合、それぞれ
の注入口の樹脂注入方向は、すべて同じ方向であっても
よく、反対方向であってもよい。また、樹脂注入方向が
互いにほぼ垂直な方向であってもよい。
【0017】本発明で使用する成形型は、上型が凸型で
ある成形型を使用してもよく、下型が凸型である成形型
を使用してもよい。また、成形条件は、通常の繊維強化
樹脂成形品の製造条件と同様の範囲が採用でき、加圧力
や加熱温度、硬化時間などは、液状樹脂の種類や成形品
の形状などに合わせて変更できる。本発明では、成形品
にボイドが発生するのを防ぐために、(a)型締め速度
を調整する、(b)Kx>Kzである強化繊維材を使用
する、(c)基材に被覆膜を形成する、という3つの手
段を提案している。これらの手段は単独で使用してもよ
いし、2つ以上の手段を併用してもよい。
【0018】
【作用】従来の繊維強化樹脂成形品の製造方法では、強
化繊維材に対する液状樹脂の浸透性を考慮せずに型締め
を行っていた。本発明の一例として使用するKzは強化
繊維材の空隙率によって決まるが、Kxは型締め速度に
よって液状樹脂の流速が変わることにより変化する。K
zがKxより大きい場合にボイドが形成されるやすいと
考えられる。空隙率と浸透係数との関係を図1に示す。
【0019】空隙率は強化繊維材の種類によって異な
り、樹脂注入時にKx<Kzとなっている場合でも、注
入が進むにつれて空隙率が減少してくると図1のように
KxとKzの大小関係が逆転する。また、図1に示すよ
うに、型締め速度が速い場合と型締め速度が遅い場合と
では、KxとKzの大小関係の逆転ににかかる時間が異
なり、型締め速度によってボイドが発生したりしなかっ
たりする場合がある。
【0020】そこで、本発明は(1)液状樹脂含浸工程
で型締め速度を調整する、(2)Kx>Kzである強化
繊維材を使用する、ということで液状樹脂の強化繊維材
の厚さ方向の浸透性よりも面方向の浸透性が大きくなる
ようにする。さらに別の手段として、前記基材の液状樹
脂の注入口側の面を被覆することで、ボイドの発生を抑
制する。
【0021】
【実施例】以下、本発明の繊維強化樹脂成形品の製造方
法の一実施例を図面を参照しながら説明する。本発明に
係る繊維強化樹脂成形品の製造方法の一例では、下記の
〔成形型〕を用いて、以下、〔配置工程〕、〔液状樹脂
含浸工程〕、〔成形硬化工程〕、〔脱型工程〕の工程を
順次行う。 〔成形型〕図2に示すように、成形型は何れも金属から
なる上型10と下型20からなる。下型20は、上向き
に配置され中央が断面台形状に凹んだ型面22を有す
る。型面22の外周には水平方向に延びる平坦な型合わ
せ面24を有する。型合わせ面24には全周に沿ってシ
リコンパッキン30が設けられている。
【0022】上型10は、下向きに配置され中央が断面
台形状に突出した型面12を有する。型面12は、下型
20の型面22に対応する形状を有する。図4に示すよ
うに、型締め状態では、上型10の型面12は側面部分
にわずかなクリアランスを有するのみでほぼ密着した状
態で下型20の型面22と接する。型面12と型面22
の上下の対向面には間隔があいており、この間隔部分が
成形空間となる。
【0023】上型10の型面12の外周部分には水平方
向に延びる平坦な型合わせ面14を有する。型締め状態
では、上型10の型合わせ面14と下型20の型合わせ
面24とが間にパッキン30を挟んで接し、加圧成形時
に液状樹脂が型外に漏れるのを防いでいる。上型10に
は樹脂供給路16を有する。樹脂供給路16は、一端が
型面12の中央に下向きに開口し、他端が上型10の側
面に開口している。図3に示すように、上型10の側面
に配置された樹脂供給路16の開口は配管52やホース
を経て樹脂供給装置50に連結されている。
【0024】上記のような成形型を用いた繊維強化樹脂
成形品の製造工程を順次説明する。 〔配置工程〕図2に示すように、下型20の型面22内
に連続ガラス繊維マットからなる強化繊維材40を配置
する。このとき、型面12は強化繊維材40と接してい
る。上型10と下型20の間隔は、下型20の型面22
への強化繊維材40の配置作業が容易に行えるように設
定しておく。強化繊維材40の外形は、下型20の型面
22の内周形状に合わせて成形されている。 〔液状樹脂含浸工程〕図3に示すように、樹脂供給装置
50から樹脂供給配管52を経て上型10の樹脂供給路
16にエポキシ樹脂などの液状樹脂60を供給する。液
状樹脂60は、上型10の下面に開口する樹脂供給路1
6から下方に落下して、下型20の型面22内に注入さ
れる。液状樹脂60は、強化繊維材40に含浸されて型
面22の内周全体に拡がる。液状樹脂60は凹形状をな
す型面22の外周でせき止められるので外部に漏れ出る
心配はない。 〔成形硬化工程〕図4に示すように、下型20に対して
上型10を下降させて型締めする。上型10の型面12
と下型20の型面22とが側面で接し、型合わせ面14
と型合わせ面24とがパッキン30を介して接する。上
型10の型面12と下型20の型面22との間には間隔
H0 があく。この実施例では、間隔H0 を3mmに設定し
ている。
【0025】この実施例では、強化繊維材40の空隙率
が0.9291であるものを使用し、型締め速度を20
mm/s に設定すると、Kx=6844、Kz=6833
となる。この型締め速度で液状樹脂60を含む強化繊維
材40を圧縮し、型締め状態で1.3MPa の加圧力を作
用させる。また、金型温度130℃に加熱して、液状樹
脂の硬化時間を30分間に設定しておく。
【0026】この結果、上型10の型面12と下型20
の型面22との間で液状樹脂60が強化繊維材40と一
体化して成形硬化し、繊維強化樹脂成形品が得られる。 〔脱型工程〕図5に示すように、下型20に対して上型
10を上方に引き離して型開きを行う。下型20の型面
22内には、所定の形状に成形された繊維強化樹脂成形
品Mが得られる。
【0027】上記した実施例では、Kx>Kzの関係を
成立させるために型締め速度を調整しているので、成形
品Mにボイドが発生しにくく、強化機能の優れた成形品
が得られる。 −その他の実施例− (A)他の実施例を示す。
【0028】この実施例では、以下の条件の強化繊維材
を使用している。 目付量:600g/m2 強化繊維質量:6枚積層時180g(密度ρ=2.54
g/cm3 ) 空隙率:0.8 Kx=5600cm2 、Kz=1000cm2 (型締め速度を5mm/minにした場合の値) 型締め速度を100mm/min、5mm/minに設定し、注
入時型開量を7mmとしたこと以外は上記実施例と同じ
操作を行う。
【0029】上記した実施例では、Kx>Kzとなるよ
うな空隙率を有する強化繊維材を配置しているため、型
締め速度によらず、成形品Mにボイドが発生しにくく、
強化機能の優れた成形品が得られる。 (B)他の実施例を示す。この実施例では、以下の条件
の強化繊維材を使用すること以外は、上記実施例(A)
と同様の操作を行う。
【0030】目付量:450g/m2 強化繊維質量:6枚積層時135g(密度ρ=2.54
g/cm3 ) 空隙率:0.85 Kx=6700cm2 、Kz=1900cm2 上記した実施例では、Kx>Kzとなるような空隙率を
有する強化繊維材を配置しているため、型締め速度によ
らず、成形品Mにボイドが発生しにくく、強化機能の優
れた成形品が得られる。
【0031】(C)他の実施例を示す。 この実施例では、以下の条件の強化繊維材を使用するこ
と以外は、上記実施例(A)と同様の操作を行う。 目付量:300g/m2 強化繊維質量:6枚積層時135g(密度ρ=2.54
g/cm3 ) 空隙率:0.9 Kx=8100cm2 、Kz=4300cm2 上記した実施例では、Kx>Kzとなるような空隙率を
有する強化繊維材を配置しているため、型締め速度によ
らず、成形品Mにボイドが発生しにくく、強化機能の優
れた成形品が得られる。
【0032】(D)図6に他の実施例を示す。 この実施例では、配置工程で下型20の型面22内に配
置された強化繊維40上に、予め電気炉内でバインダー
除去した強化繊維41が配置されている。型締め速度を
100mm/min、5mm/minに設定し、型開量を6m
m、9mm15mmに設定したこと以外は前記実施
例と同じ操作を行う。
【0033】なお、樹脂材料を注入した時のKx、Kz
はそれぞれ、Kx=55cm2 、Kz=30cm2 であっ
た。上記した実施例では、材質等が大きく変わらない範
囲では、樹脂注入口側に近い位置ほど空隙率が小さい強
化繊維材を配置しているので、型開量、型締め速度によ
らず、成形品Mにボイドが発生しにくく、強化機能の優
れた成形品が得られる。
【0034】(E)図7に他の実施例を示す。この実施
例では、配置工程で樹脂注入口16aに近い位置ほど目
付量(g/mm2 )が大きくなるように、下型20の型
面22内に強化繊維材40a、40b、40cを配置し
ている。この実施例では、以下の条件の強化繊維材を使
用している。
【0035】40a:ランダム配向連続ガラス繊維マッ
ト(目付量:600g/m2 ) (空隙率:0.8、Kx=5600cm2 、Kz=100
0cm2 ) 40b:ランダム配向連続ガラス繊維マット(目付量:
450g/m2 ) (空隙率:0.85、Kx=6700cm2 、Kz=19
00cm2 ) 40c:ランダム配向連続ガラス繊維マット(目付量:
300g/m2 ) (空隙率:0.9、Kx=8100cm2 、Kz=430
0cm2 ) 型締め速度を100mm/s、5mm/sに設定したこと以
外は前記実施例(D)と同じ操作を行う。
【0036】上記した実施例では、目付量の異なる強化
繊維材を積層している。一般に、目付量が小さい程、単
位体積に占める強化繊維材の割合が低下し、空隙率が大
きくなる。樹脂注入口側に近い位置ほど目付量が大きい
強化繊維材を配置すれば、樹脂注入口側に近い位置ほど
空隙率が小さくなるので、厚さ方向の浸透性急変部でボ
イドが発生しにくくなる。その結果、型開量、型締め速
度によらず、成形品Mにボイドが発生しにくく、強化機
能の優れた成形品が得られる。
【0037】(F)他の実施例を示す。この実施例で
は、Kx>Kzに関係が成立するように、配置工程で樹
脂注入時の型開量を調整している。ここで型開量とは型
面12下端から型面22底面までの距離H1(図3参
照)のことである。型開量を6mm、12mm1
8mmに設定したこと以外は前記実施例(E)と同じ操
作を行う。
【0038】この結果、Kx>Kzとなるように型開量
を設定した場合では、得られた繊維強化プラスチック
の表面にはボイドは発生していなかったが、Kx<Kz
となるように型開量を設定した場合(と)では、得
られた繊維強化プラスチックの表面にボイドが発生して
いた。上記した実施例では、型開量を調整してKx>K
zの関係が成立するようにしているので、型締め速度に
よらず、成形品Mにボイドが発生しにくく、強化機能の
優れた成形品が得られる。
【0039】(G)図8に他の実施例を示す。この実施
例では、上型10には被覆材料供給部17を有する。被
覆材料供給部17の一端は型面12の樹脂供給口16a
と上型10の側面側に端との間に下向きに開口してい
る。被覆材料供給部17の他端は、図8に示すように、
配管72やホースを経て樹被覆材料供給装置70に連結
されている。
【0040】また、図9に示すように、下型20に対し
て上型10を上方に引き離して型開きを行う。下型20
の型面22内には、樹脂注入口16a側の面が被覆材料
80で被覆され、所定の形状に成形された繊維強化樹脂
成形品Mが得られる。この実施例では、以下の条件の強
化繊維材を使用している。 強化繊維材: ランダム配向連続ガラス繊維マット 樹脂 : 不飽和ポリエステル樹脂 被覆材料: ビニルエステル樹脂 強化繊維質量: 6枚積層時135g(密度ρ=2.5
4g/cm3 ) キャビティ 形状: 250mm×200mm×3mm 上記の条件で強化繊維材40を下型20の型面22内に
配置した後、図2に示すようにして液状樹脂60を注入
する。次に、図3に示すようにして、型締め速度10
0mm/min、5mm/minに設定して型締めした後、加圧
力:1.3MPaの圧縮条件で圧縮し、成形型を130
℃に設定して12分間加熱硬化(1次硬化)を行う。
加熱硬化を行った後、型開きして被覆材料80を注入す
る。さらに、型締め速度を1mm/minに設定して型締め
し、加圧力:1.3MPaの圧縮条件で圧縮した後、成
形型を130℃に設定して18分間加熱硬化(2次硬
化)を行う。
【0041】この結果、型締め速度によらず、得られた
繊維強化プラスチックの表面にはボイドは発生していな
かった。上記した実施例では、成形品Mの樹脂注入口1
6a側の面を被覆材料80で被覆しているので、型締め
速度によらず、成形品Mの樹脂注入口16a側の面にボ
イドが発生しにくく、強化機能の優れた成形品が得られ
る。
【0042】
【発明の効果】本発明に係る繊維強化樹脂成形品の製造
方法によれば、成形硬化工程で型締め速度を調整するこ
とにより、液状樹脂の強化繊維材の厚さ方向の浸透性よ
りも面方向の浸透性が大きくなるようにすることができ
る。この結果、成形品にボイドが発生するのを防ぎ、品
質性能の良好な成形品を得ることができる。
【0043】本発明に係る別の繊維強化樹脂成形品の製
造方法によれば、配置工程で強化繊維材の空隙率に着目
し、液状樹脂の強化繊維材の厚さ方向の浸透性よりも面
方向の浸透性が大きい強化繊維材を使用することで、液
状樹脂が成形品の全体に行き渡り易くすることができ
る。本発明に係るさらに別の繊維強化樹脂成形品の製造
方法によれば、1度成形硬化して得られた基材の注入口
側の面を被覆材料で被覆することで、成形品の樹脂注入
口側にボイドが形成されるのを防ぐことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】強化繊維材料の空隙率と浸透係数との関係図。
【図2】強化繊維材の配置工程の一例を表す断面図
【図3】液状樹脂の液状樹脂含浸工程の一例を表す断面
【図4】液状樹脂の成形硬化工程の一例表す断面図
【図5】成形品の脱型工程の一例を表す断面図
【図6】強化繊維材の配置工程の一例を表す断面図
【図7】強化繊維材の配置工程の一例を表す断面図
【図8】被覆材料注入工程の一例を表す断面図
【図9】成形品の脱型工程の一例を表す断面図
【符号の説明】
10 上型 12 型面 20 下型 22 型面 40 強化繊維材 60 液状樹脂 M 繊維強化樹脂成形品
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (56)参考文献 特開 平4−316811(JP,A) 特開 平1−237124(JP,A) 特開 平6−328482(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) B29C 70/06 B29C 43/00 - 43/58

Claims (7)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】上型と下型とが開閉自在に設けられた成形
    型を用い、 (a)強化繊維材を前記下型に配置する配置工程 (b)型開量を設定して前記強化繊維材に液状樹脂を注
    入した後、型締めすることにより含浸させる液状樹脂含
    浸工程 (c)前記液状樹脂が含浸した前記強化繊維材を圧縮
    し、成形硬化する成形硬化工程の各工程を順次行う繊維
    強化樹脂成形品の製造方法であって、 前記液状樹脂の前記強化繊維材の厚さ方向の浸透性より
    も前記液状樹脂の前記強化繊維材の面方向の浸透性が大
    きくなるようにすることを特徴とする繊維強化樹脂成形
    品の製造方法。
  2. 【請求項2】前記液状樹脂含浸工程は、前記上型と前記
    下型との型締め速度を調整することで前記厚さ方向の浸
    透性よりも前記面方向の浸透性が大きくなるようにする
    ことを特徴とする、請求項1に記載の繊維強化樹脂成形
    品の製造方法。
  3. 【請求項3】前記配置工程において配置された前記強化
    繊維材は、その厚さ方向の浸透性よりもその面方向の浸
    透性が大きくなっていることを特徴とする、請求項1記
    載の繊維強化樹脂成形品の製造方法。
  4. 【請求項4】前記配置工程において配置された前記強化
    繊維材は、その厚さ方向にみて、前記上型と前記下型の
    うち少なくとも一方に形成された前記液状樹脂の注入口
    に近い位置の強化繊維材ほど、その厚さ方向の浸透性が
    より小さくなっていることを特徴とする、請求項1に記
    載の繊維強化樹脂成形品の製造方法。
  5. 【請求項5】前記配置工程において配置された前記強化
    繊維材は、その厚さ方向にみて、前記上型と前記下型の
    うち少なくとも一方に形成された前記液状樹脂の注入口
    に近い位置ほど、その目付量がより大きくなっているこ
    とを特徴とする、請求項1に記載の繊維強化樹脂成形品
    の製造方法。
  6. 【請求項6】前記液状樹脂含浸工程は、前記厚さ方向の
    浸透性が前記面方向の浸透性よりも大きくならない範囲
    で、前記強化繊維材の型開量を設定する工程であること
    を特徴とする、請求項1に記載の繊維強化樹脂成形品の
    製造方法。
  7. 【請求項7】上型と下型とが開閉自在に設けられた成形
    型を用い、 (a)強化繊維材を前記下型に配置する配置工程 (b)型開量を設定して前記強化繊維材に液状樹脂を注
    入した後、型締めすることにより含浸させる液状樹脂含
    浸工程 (c)前記液状樹脂が含浸した前記強化繊維材を圧縮
    し、成形硬化する第1成形硬化工程 (d)前記工程(c) で得られた成形品である基材の前記
    液状樹脂の注入口側表面に被覆材料を注入する被覆材料
    注入工程 (e)前記下型と前記上型とを型締めし、前記被覆材料
    を含む前記基材を圧縮・加熱して成形硬化させる第2成
    形硬化工程 の各工程を順次行う繊維強化樹脂成形品の製造方法であ
    って、 前記基材の前記注入口側表面を被覆することを特徴とす
    る、繊維強化樹脂成形品の製造方法。
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