JP3145821B2 - オクタジエニルエーテルの製造方法及び新規化合物3−エチル−3−〔(2,7−オクタジエニルオキシ)メチル〕−オキセタン - Google Patents

オクタジエニルエーテルの製造方法及び新規化合物3−エチル−3−〔(2,7−オクタジエニルオキシ)メチル〕−オキセタン

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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、環式ヒドロキシエーテ
ル及び1,3−ブタジエンからのオクタジエニルエーテ
ルの製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】オクタジエニルエーテルは共役ジエンと
のテロメリゼーションによりアルコールから製造できる
(R.Ugoにより公刊されたAspects of
Homogeneous Catalysis、第5巻
(1984)におけるA.Behr著、“Telome
risation of Dienes by Hom
ogeneous Transition Metal
Catalysis”参照)。こうした工程において
アルコールの代わりに環式ヒドロキシエーテルを使用す
ることは、エーテル橋が反応条件下で開裂することが予
想されるので、明らかにされていなかった。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】又酸触媒下で最初に
2,7−オクタジエノールをエピクロルヒドリンと反応
させ、これを水酸化ナトリウム又はアルミン酸ナトリウ
ムの存在において閉環するという二段階法でグリシドー
ル 2,7−オクタジエン−1−イルエーテルを製造する
ことは既知である(日本国特許公開公報76−4005
3参照)。この場合の欠点は2,7−オクタジエノール
がブタジエンのように入手し易くないことであり、反応
が二段階(酸性及びアルカリ性)で行われ、エピクロル
ヒドリンがその取り扱いに際して安全確認技術の点で特
別な経費を必要とする有毒物質であることである。
【0004】
【課題を解決するための手段】式(I)
【0005】
【化5】
【0006】上式中、Rは下式
【0007】
【化6】
【0008】を表わす、のオクタジエニルエーテルの製
造方法が新規に見出され、該方法は式(II)
【0009】
【化7】 R−OH (II) 上式中、Rは上記と同じ意味を有する、の環式ヒドロキ
シエーテルを、パラジウム触媒及び有機燐助触媒の存在
において、1ないし20バールの圧力下で、25ないし
100℃の温度で1,3−ブタジエンと反応させること
を特徴とする方法である。
【0010】本発明に従って使用される環式ヒドロキシ
エーテルはグリシドール及び3−エチル−3−ヒドロキ
シメチル−オキセタンであり、両者共市販の製品であ
る。それらは工業的に利用し得る純度で使用できる。
1,3−ブタジエンも同様に工業用品の純度で使用でき
る。
【0011】1,3−ブタジエン対式(II)の環式ヒ
ドロキシエーテルのモル比は例えば1.4ないし2.2:
1であることができる。グリシドールを使用する場合は
この比は1.4ないし1.8:1であることが好適であ
り、3−エチル−3−ヒドロキシメチル−オキセタンを
使用する場合はこの比は1.7ないし2.2:1であるこ
とが好適である。
【0012】使用し得るパラジウム触媒は例えばPd
(0)及びPd(II)化合物である。好適な触媒は酢
酸パラジウム(II)及びパラジウム(II)アセチル
アセトネートのようなPd(II)化合物であり、特に
パラジウム(II)アセチルアセトネートが好適であ
る。
【0013】使用し得る有機燐助触媒は例えばトリアリ
ールホスファン及びトリアリールホスファイトである。
トリフェニルホスファンが好適である。
【0014】パラジウム触媒は式(II)の環式ヒドロ
キシエーテル1モル当たり例えば10-6ないし10-3
ルの量で使用でき、及び有機燐助触媒はパラジウム触媒
1モル当たり例えば1ないし10モルの量で使用でき
る。
【0015】好適な反応温度は40ないし85℃の範囲
の温度であり、好適な圧力は3ないし12バールの範囲
の圧力である。3ないし12バールの一定の圧力下で
1,3−ブタジエンを装入することが特に好適である。
【0016】本発明による方法は溶剤の存在又は不存在
下に行われる。使用し得る溶剤は例えば低級第二及び第
三アルコール及び低級ケトンであり、一例を挙げればイ
ソプロピルアルコール、tert−ブチルアルコール、アセ
トン、メチルエチルケトン及びメチルイソブチルケトン
である。しかし溶剤を添加しない方が好ましい。
【0017】本発明による方法の特に好適な具体化は下
記のように行われる:最初に式(II)の環式ヒドロキ
シエーテル、パラジウム(II)アセチルアセトネート
及びトリフェニルホスファンを窒素で洗浄された耐圧性
装置中に導入する。次いで合計量の5ないし15重量%
の1,3−ブタジエンを室温で添加し、混合物を反応温
度まで加熱し、そして引き続き残りのブタジエンを一定
圧力下で装入する。ブタジエンの添加が終了した時に、
引き続き更に混合物を1ないし5時間反応温度で撹拌
し、次いで室温に冷却し、過剰の1,3−ブタジエンが
存在すれば窒素を導入することにより除去する。次いで
要すれば酸化防止剤を添加した後に(特に3−エチル−
3−ヒドロキシメチルオキセタンの反応から得られた反
応混合物を蒸留する場合に有利である)、反応混合物を
真空中で蒸留する。こうして得られた粗製生成物を例え
ばもう一度真空蒸留することにより更に精製することが
できる。
【0018】本発明による方法は工業的な単純な方式で
容易に入手し得る原料物質から一段階工程で良好な収率
及び選択性を以て、及び特に有毒な化学物質の使用を回
避しつつ、式(I)のオクタジエニルーテルの製造を可
能とする。驚くべきことにはエーテル橋の開裂は事実上
生起しない。
【0019】本発明の方法によって製造された式(I)
のオクタジエニルエーテルはポリエステル及び樹脂の製
造における単量体単位として使用することができる。そ
れらは又有機合成の、例えば香料、医薬及び植物保護剤
の製造のための興味ある中間生成物である。
【0020】本発明は更に新規化合物である式(II
I)
【0021】
【化8】
【0022】の3−エチル−3−〔(2,7−オクタジ
エニルオキシ)メチル〕−オキセタンに関する。この化
合物の製造及び用途は上記の通りである。特にオキセタ
ン基を含み、PVC重合体の改質剤として使用できる樹
脂が、3−エチル−3−〔(2,7−オクタジエニルオ
キシ)メチル〕−オキセタンとアクリロニトル、スチレ
ン又はメチルスチレンのような樹脂形成単量体との共重
合により製造できる。オキセタン基を含むこれらの改質
剤を用いて製造されたPVC配合物は、オキセタン基を
含まない改質剤を用いて製造されたPVC配合物と比較
して、加工及び加熱下の貯蔵の際の熱変形耐性及び熱安
定性が一段と増大する。
【0023】
【実施例】
実施例1 最初に1160gの3−エチル−3−ヒドロキシメチル
−オキセタン、1.5gのパラジウム(II)アセチル
アセトネート及び10gのトリフェニルホスファンの混
合物を窒素でフラッシュした耐圧容器中に導入した。次
いで110gの1,3−ブタジエンを室温で添加し、引
き続き混合物を70℃に加熱した。この温度で7時間か
けて980gの1,3−ブタジエンを装入した。その後
引き続き混合物を更に70℃で3時間撹拌した。窒素を
導入することにより未反応のブタジエンを除去した。粗
製生成物に0.5重量%の2,5−ジtert−ブチルハイド
ロキノンを添加して真空中で分別蒸留した。0.4mバ
ールの真空下で79ないし81℃において純度99重量
%の3−エチル−3−〔(2,7−オクタジエニルオキ
シ)メチル〕−オキセタンが主生成物として留出した。
3−エチル−3−ヒドロキシメチル−オキセタンの転化
は74%であった。所望のエーテルは98%の選択率で
形成された。1,3−ブタジエンの転化は約80%であ
った。1,3−ブタジエンの二量体化によりオクタトリ
エンが約7%の収率で副生物として形成された。
【0024】3−エチル−3−〔(2,7−オクタジエ
ニルオキシ)メチル〕−オキセタン(フィルム)のIR
スペクトルは下記の吸収帯を有していた(数値はc
-1):2930、2860、1105、980及び9
10。
【0025】3−エチル−3−〔(2,7−オクタジエ
ニルオキシ)メチル〕−オキセタンの1H−NMRスペ
クトル(270MHz;CDCl3)は下記の信号(数
値はppm)を示した: 0.90 トリプレット 1.50 マルチプレット 1.75 マルチプレット 2.10 マルチプレット 3.55 シングレット 3.95 ダブレット 4.40 ダブル−ダブレット 5.00 マルチプレット 5.50 マルチプレット及び 5.80 マルチプレット。
【0026】実施例2 最初に670gのグリシドール、0.15gのパラジウ
ム(II)アセチルアセトネート及び1285gのトリ
フェニルホスファンの混合物を窒素でフラッシュした耐
圧容器中に導入した。次いで110gの1,3−ブタジ
エンを室温で添加し、引き続き混合物を70℃に加熱し
た。この温度で7時間かけて990gの1,3−ブタジ
エンを装入した。その後引き続き混合物を更に70℃で
3時間撹拌し、窒素を導入することにより未反応のブタ
ジエンを除去した。引き続き残留した残渣をガスクロマ
トグラフィーにより分析した。
【0027】99%のグリシドールの転化率において、
グリシドールの1,3−ブタジエンテロマーが67%の
選択率で得られた。
【0028】実施例3 最初に800gのグリシドール、0.055gのパラジ
ウム(II)アセチルアセトネート及び0.470gの
トリフェニルホスファンの混合物を窒素でフラッシュし
た耐圧容器中に導入した。次いで81gの1,3−ブタ
ジエンを室温で添加し、引き続き混合物を70℃に加熱
した。この温度で7時間かけて730gの1,3−ブタ
ジエンを装入し、その後引き続き混合物を更に70℃で
3時間撹拌した。窒素を導入することにより未反応のブ
タジエンを除去した。残留した残渣をガスクロマトグラ
フィーにより分析した。
【0029】81%のグリシドールの転化率において、
グリシドールの1,3−ブタジエンテロマーが90%の
選択率で得られた。
【0030】本発明の主なる特徴及び態様は以下の通り
である。
【0031】1. 式(I)
【0032】
【化9】
【0033】上式中、Rは下式
【0034】
【化10】
【0035】を表わす、のオクタジエニルエーテルの製
造方法において、式(II)
【0036】
【化11】 R−OH (II) 上式中、Rは上記と同じ意味を有する、の環式ヒドロキ
シエーテルを、パラジウム触媒及び有機燐助触媒の存在
において、1ないし20バールの圧力下で25ないし1
00℃の温度で1,3−ブタジエンと反応させることを
特徴とする、オクタジエニルエーテルの製造方法。
【0037】2.1,3−ブタジエン対式(II)のア
ルコールのモル比が1.4ないし2.2:1である、上記
1に記載の方法。
【0038】3.パラジウム触媒としてPd(0)化合
物又はPd(II)化合物が使用され、及び有機燐触媒
としてトリアリールホスファン又はトリアリールホスフ
ァイトが使用される、上記1及び2に記載の方法。
【0039】4.パラジウム触媒が式(II)の環式ヒ
ドロキシエーテル1モル当たり10-6ないし10-3モル
の量で使用され、及び有機燐助触媒がパラジウム触媒1
モル当たり1ないし10モルの量で使用される、上記1
ないし3に記載の方法。
【0040】5.40ないし85℃の範囲の温度で及び
3ないし10バールの範囲の圧力下で反応が行われる、
上記1ないし4に記載の方法。
【0041】6.溶剤を添加することなく反応が行われ
る、上記1ないし5に記載の方法。 7.式(III)の化合物、3−エチル−3−〔(2,
7−オクタジエニルオキシ)メチル〕−オキセタン。
【0042】
【化12】
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI C08F 16/26 C08F 16/26 20/44 20/44 (72)発明者 ハンス−ヨアヒム・トレンクナー ドイツ連邦共和国デー5090レーフエルク ーゼン1・アンデルシユタインリユツチ ユ30 (72)発明者 アルフレード・ビユスト ドイツ連邦共和国デー5064レスラト・ジ ーベンゲビルクスベーク14 (56)参考文献 特公 昭51−40053(JP,B1) Chemical Abstract s,抄録番号109:231376(1988年) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) C07D 305/00 - 305/06 C07D 303/00 - 303/22 CA(STN) REGISTRY(STN)

Claims (2)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 式(I) 【化1】 上式中、Rは下式 【化2】 を表わす、のオクタジエニルエーテルの製造方法におい
    て、式(II) 【化3】 R−OH (II) 上式中、Rは上記と同じ意味を有する、の環式ヒドロキ
    シエーテルを、パラジウム触媒及び有機燐助触媒の存在
    において、1ないし20バールの圧力下で25ないし1
    00℃の温度で1,3−ブタジエンと反応させることを
    特徴とする、オクタジエニルエーテルの製造方法。
  2. 【請求項2】 式(III)の化合物、3−エチル−3
    −〔(2,7−オクタジエニルオキシ)メチル〕−オキ
    セタン。 【化4】
JP35115692A 1991-12-11 1992-12-07 オクタジエニルエーテルの製造方法及び新規化合物3−エチル−3−〔(2,7−オクタジエニルオキシ)メチル〕−オキセタン Expired - Fee Related JP3145821B2 (ja)

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