JP3145204B2 - 冷凍鮮魚介類の解凍方法 - Google Patents

冷凍鮮魚介類の解凍方法

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JP3145204B2 JP26868992A JP26868992A JP3145204B2 JP 3145204 B2 JP3145204 B2 JP 3145204B2 JP 26868992 A JP26868992 A JP 26868992A JP 26868992 A JP26868992 A JP 26868992A JP 3145204 B2 JP3145204 B2 JP 3145204B2
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美紀夫 山本
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は冷凍鮮魚介類の解凍方法
に関する。
【0002】
【従来の技術】冷凍鮮魚介類の解凍方法として特開昭6
3−276441号公報に示されているように、冷凍鮮
魚介類を弱塩基性〜pH12に塩基性化された塩化ナトリウ
ムを含むアルカリ性水に浸漬して解凍する冷鮮魚介類の
解凍方法がある。当該解凍方法は、主としてアルカリ性
水による魚介類の色合いの悪変防止作用、および主とし
て塩化ナトリウムによる魚介類のドリップの発生防止作
用の両作用を有効に利用して冷凍鮮魚介類を解凍しよう
とするものであり、これにより魚介類の解凍後のドリッ
プの発生の防止と、魚介類の色合いの向上を図ってい
る。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】ところで、上記した解
凍方法においてはアルカリ性水として、炭酸水素ナトリ
ウム、炭酸ナトリウム、炭酸水素カリウム、炭酸カリウ
ム、炭酸水素アンモニウム、燐酸二ナトリウム等の無毒
の塩基性化剤を使用して調製されたアルカリ性水を採用
している。この塩基性化剤を使用してアルカリ性水を所
定のpHに調整するにあたってはその適当量を正確に制御
することが困難で、通常その使用量が多くなりがちであ
り、解凍直後の魚介類の表面にこれらの塩基性化剤が残
留するという問題が生じる。
【0004】この問題に対処するには解凍後の魚介類を
水洗すればよいが、魚介類に残留する塩基性化剤を確実
に除去するには水洗を十分にする必要があり、水洗に要
する時間が無駄になるとともに、解凍後の魚介類の肉質
に水分が浸透して味を低下させることにもなる。また、
この問題に対処するため強塩基性化剤を小量使用する方
法が考えられるが、強塩基性化剤を使用して希薄でかつ
解凍に最適な濃度のアルカリ性水を調製することは非常
に困難なことである。従って、本発明の目的は、これら
の問題に対処することにある。
【0005】
【課題を解決するための手段】本発明は、冷凍鮮魚介類
を弱塩基性〜pH12に塩基性化された塩化ナトリウムを含
むアルカリ性水に浸漬して解凍する冷凍鮮魚介類の解凍
方法において、前記アルカリ性水として、低濃度の塩化
ナトリウム水溶液を電気分解して得られるアルカリ性水
を採用することを特徴とするものである。当該解凍方法
においては、前記アルカリ性水として、隔膜にて区画さ
れたアノード室とカソード室を備えた電解槽に塩化ナト
リウム水溶液を供給して電解されて生成されるカソード
側生成水を採用することが好ましい。
【0006】
【発明の作用・効果】本発明の解凍方法においては、上
記した従来の解凍方法と同様に、主としてアルカリ性水
による魚介類の色合いの悪変防止作用、および主として
塩化ナトリウムによる魚介類のドリップの発生防止作用
の両作用を有効に利用して冷凍鮮魚介類を解凍し得るも
ので、魚介類の解凍後のドリップの発生の防止と、魚介
類の色合いの向上を図ることができる。
【0007】しかして、本発明においては、解凍用水と
して使用するアルカリ性水として、塩化ナトリウム水溶
液を電気分解して得られるアルカリ性水を採用してい
る。このアルカリ性水は強塩基性ではあるが希薄なアル
カリ性水であるため、解凍直後の魚介類の肉質自身のpH
緩衝作用によって十分に中和され、肉質表面に上記した
従来の解凍方法のごとく塩基性化剤が残留することは全
く無く、従って解凍された魚介類を十分に水洗をする必
要がなくて長時間の水洗を解消することができるととも
に、長時間の水洗に伴う魚介類の肉質への水分の浸透を
防止し得て味の低下を防止することができる。
【0008】
【実施例】本実施例では鮮魚介類として冷凍のキハダ鮪
(以下冷凍鮪という)を採用し、冷凍鮪の解凍実験を行
った。
【0009】(実験装置)解凍実験に採用した解凍装置
の概略構成が図1に示されている。当該解凍装置は、希
薄塩水供給槽11、電解槽12、シャワー殺菌洗浄器1
3、塩濃度調整槽14および解凍槽15により構成され
ている。当該解凍装置において、電気槽12は中央部に
配設された隔膜12aにより各電極12b,12cを配
置したアノード室Raとカソード室Rcとに区画されてい
るもので、これら各室Ra,Rcには希薄塩水供給槽11
から0.05〜0.1%(重量%)の濃度の食塩水が供給され
る。各室Ra,Rcに供給された食塩水は各室Ra,Rcに
おいて下記のごとく反応し、アノード室Ra側からは次
亜塩素酸(HClO)を含む酸性水が流出するとともに、カ
ソード室Rc側からは水酸化ナトリウム(NaOH)からな
るアルカリ性水が流出する。本発明においては、上記酸
性水が次亜塩素酸が40〜50ppm含まれるpH2.7以下の酸性
水に調製されるとともに、上記アルカリ性水がpH11前後
のアルカリ性水に調製される。
【0010】アノード室Ra側 2Cl- → Cl2 + 2e- Cl2 + 2H2O → H+ + Cl- + HClO カソード室Rc側 2Na+ + 2H2O + 2e- → 2NaOH + H2 アノード室Raにて生成された酸性水はシャワー殺菌洗
浄器13に供給され、殺菌洗浄器13からシャワー状態
で解凍槽15に配置した多孔板15a上に噴射される。
酸性水は約室温に調整される。一方、カソード室Rcに
て生成されたアルカリ性水は塩濃度調整槽14に供給さ
れ、同調整槽14において食塩を添加されて食塩濃度が
調整される。食塩の濃度が調整されたアルカリ性水は解
凍槽15へ供給され、解凍槽15内に供給されたアルカ
リ性水は解凍時所定の設定温度に調整されて流動され
る。本発明においては、アルカリ性水は塩濃度を0.5%
〜3.5%(重量%)の範囲でまた温度を0℃〜10℃の範囲
で適宜に調整される。解凍槽15においては冷凍鮪が多
孔板15a上に載置され、先づ第1に殺菌洗浄器13か
ら酸性水が冷凍鮪の表面にシャワー状に供給されて表面
処理され、表面処理後塩濃度調整槽14からアルカリ性
水が十分に供給されて冷凍鮪が浸漬され、この状態でア
ルカリ性水が流動されて冷凍鮪が解凍される。
【0011】(解凍実験)本実験では図1に示した解凍
装置を使用して、下記に示す処理条件で酸性水とアルカ
リ性水とによる冷凍鮪の第1解凍処理および第2解凍処
理を行い、解凍処理後の鮪の菌数または色合いを測定し
た。得られた菌数の結果を表1〜表3に示すとともに、
色合いの結果を図2〜図4のグラフに示す。
【0012】第1解凍処理(菌数測定)の条件 被電解液:0.07%(重量%)食塩希薄水溶液,酸性
水:次亜塩素酸を45ppm含むpH2.7の酸性水,アルカリ
性水:pH11、塩濃度2.0%(重量%)で温度5℃のアルカ
リ性水,冷凍鮪:約1kgの鮪の棒状コロ,酸性水処
理:1分間連続して冷凍鮪の全面に20℃の酸性水をシワ
ー状に噴射,アルカリ性水処理:5℃のアルカリ性水
を流動した状態で15分間浸漬,冷やし込み:0℃に設
定した冷蔵庫内で30分間保存,サク取り:約300gの長
方形状に切断。
【0013】以上の条件で3個のコロについて解凍実験
を行い、解凍直後、0℃、5℃、10℃に設定された冷蔵庫
に1日、2日保存した各サクについて菌数測定を行った。
なお、比較例として水洗い、常温での15℃の流水解凍、
0℃での1時間の冷やし込み、その後のサク取り等の一連
の工程からなる従来の解凍方法を採用して得られた各サ
クについての結果を併記する。
【0014】
【表1】
【0015】
【表2】
【0016】
【表3】
【0017】第2解凍処理(色合い測定)の条件 被電解液:0.07%(重量%)食塩希薄水溶液,酸性
水:次亜塩素酸を45ppm含むpH2.7の酸性水,アルカリ
性水:pH11、塩濃度1.0%(重量%)で温度5℃のアルカ
リ性水,冷凍鮪:約300gの鮪の長方形状のサク,酸
性水処理:40秒間連続して冷凍鮪の全面に27℃の酸性水
をシワー状に噴射,アルカリ性水処理:5℃のアルカ
リ性水を流動した状態で30分間浸漬。
【0018】以上の条件で5枚のサクについて解凍実験
を行い、各サクについて色彩色差計(ミノルタ株式会社
製CR300型色差計)を使用してJIS Z 8730-1980 色差表
示方法に従い色合いの測定を行い、その結果をLab値
で表示する。Lab値においては明度をLとして表示
し、かつ色相および彩度をa,bで表示するもので、a
は赤−緑方向を、bは黄−青方向を示す。従って、L値
が高い場合には白っぽく、a値が高い場合には赤みが強
い。鮪の場合には色合いは鮮赤色であることが望ましい
とされているため、色合いはa値を主としb値を副とし
て判定することが好ましい。なお、比較例として27℃で
の40秒間の水洗い(シャワー)、30分間の塩水浸漬によ
る解凍(塩濃度1%,5℃)の工程からなる従来の解凍方
法を採用して得られた各サクについての結果を図2〜図
4のグラフに併記する。
【0019】(考察その1)本実験においては解凍鮪の
色合いの測定を行ったが、図2〜図4のグラフに示して
いるように、第2解凍処理により解凍された鮪は従来の
解凍方法により解凍された鮪に比較して鮮やかな赤色を
呈していることが認められる。この理由は、冷凍鮪をア
ルカリ性水で解凍することにより、死後酸性(pH5〜6)
に移行した鮪の肉質表面を微アルカリ性(pH7.5〜8.0)
にすることができ、肉質に含まれるデオキシミオグロビ
ンがオキシミオグロビンに変化する反応が円滑に生じ、
鮮赤色の発色が良好になるものと理解される。従って、
本発明の解凍方法を採用することにより、鮪を鮮魚とし
て高い品質に解凍することができて、市場での商品価値
を著しく極めて高めることができる。
【0020】(考察その2)一方、本実験においては、
pH2.7という強酸性ではあるが希薄な酸性水を使用して
短時間の酸性水処理を行っているので、鮪の肉質表面に
対して酸による短時間の急速解凍の効果があり、鮪の肉
質表面に肉眼では判別し難い薄い凝固層が形成されると
ともにその下層には急速解凍による緻密肉質層が形成さ
れる。このため、その後の解凍処理において、鮪の肉質
内部への水の浸透が規制されて水の浸透を最小限に抑制
することができ、ドリップの発生を防止することができ
るとともに味の低下を防止することができる。このこと
は、本発明の解凍方法によれば、冷凍鮪を切身にして解
凍しても味の低下が殆どないこと、換言すれば業界では
不可能とされていた冷凍鮪を切身の状態で水解凍による
低濃度急速解凍が可能であることを意味している。
【0021】なお、本実験に使用した鮪のコロは、急速
凍結された1本の冷凍鮪をバンドソーによる切断により
適宜の大きさに分割加工して冷凍庫に保管してあったも
ので、肉質内部は無菌状態にあるが、表面は分割加工の
工程で汚れて多くの細菌類が存在している。本発明の処
理方法を採用した第1解凍処理によれば、酸性水として
塩化ナトリウム水溶液を電気分解して得られる殺菌能力
の高い酸性水を採用しているため、表1〜表3に示され
ているように、解凍直後の鮪については勿論のこと冷蔵
庫内で1〜2日保存後の鮪においても、一般細菌および
大腸菌群の両者共著しく低下していることが明かであ
る。これに対して、従来の処理方法を採用した解凍方法
(比較例)においては、解凍前後の鮪において一般細菌
および大腸菌群両者の数に殆ど変化がなく、殺菌効果が
ないことが明かである。また、上記酸性水は塩素系の殺
菌剤および酸性化剤を使用して調製するものではないこ
とから、解凍後の鮪に塩素系の物質が残留することがな
くて食品の解凍処理として極めて好ましいものである。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の処理方法を採用した解凍装置の概略構
成図である。
【図2】解凍鮪の色合いの測定結果を示すL値の継時変
化のグラフである。
【図3】解凍鮪の色合いの測定結果を示すa値の継時変
化のグラフである。
【図4】解凍鮪の色合いの測定結果を示すb値の継時変
化のグラフである。
【符号の説明】
11…希薄塩水供給槽、12…電解槽、13…シャワー
殺菌洗浄器、14…塩濃度調整槽、15…解凍槽。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 熊谷 郁代 愛知県豊明市栄町南館3番の16 ホシザ キ電機株式会社内 (56)参考文献 特開 昭63−276441(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) A23B 4/07 A23L 3/365 JICSTファイル(JOIS)

Claims (2)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】冷凍鮮魚介類を弱塩基性〜pH12に塩基性化
    された塩化ナトリウムを含むアルカリ性水に浸漬して解
    凍する冷凍鮮魚介類の解凍方法において、前記アルカリ
    性水として、塩化ナトリウム水溶液を電気分解して得ら
    れるアルカリ性水を採用することを特徴とする冷凍鮮魚
    介類の解凍方法。
  2. 【請求項2】前記アルカリ性水として、隔膜にて区画さ
    れたアノード室とカソード室を備えた電解槽に塩化ナト
    リウム水溶液を供給して電解されて生成されるカソード
    側生成水を採用することを特徴とする請求項1に記載の
    冷凍鮮魚介類の解凍方法。
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CN110309530B (zh) * 2019-04-18 2022-10-11 中国水产科学研究院渔业机械仪器研究所 一种采用comsol软件仿真模拟解冻过程并优化解冻工艺的方法

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