JP3144955B2 - 回転電機用回転子の製造方法 - Google Patents

回転電機用回転子の製造方法

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JP3144955B2
JP3144955B2 JP16200493A JP16200493A JP3144955B2 JP 3144955 B2 JP3144955 B2 JP 3144955B2 JP 16200493 A JP16200493 A JP 16200493A JP 16200493 A JP16200493 A JP 16200493A JP 3144955 B2 JP3144955 B2 JP 3144955B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、回転子鉄心にかご形導
体を設けて成る回転電機用回転子の製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】例えば誘導電動機に用いられる鉄心は、
電磁鋼板をプレス打ち抜き加工して得た単位鋼板を多数
枚積層して構成することが一般的となっており、固定子
鉄心及び回転子鉄心の何れにもスロットが設けられる。
この場合、誘導電動機において最も広く使用されている
かご形回転子にあっては、回転子鉄心の外周部に多数の
スロットを備えた形状となっており、それらのスロット
内に導体を収納すると共に、各導体の両端を端絡環によ
り連結する構成となっている。
【0003】ところで、このような誘導電動機において
は、良く知られているように、スロットの存在に起因し
て高調波磁束が発生するという性質があるため、その高
調波磁束による電磁力が固定子及び回転子の相互間に作
用して磁気騒音の発生原因になるという欠点がある。
【0004】このような欠点を解消するための一般的な
手段としては、従来より、回転子鉄心のスロットにスキ
ューを施したり、或いは回転子鉄心の毎極毎相のスロッ
ト数が非整数となるように全スロット数を変更すること
などが知られている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】近年では、誘導電動機
の始動及び速度制御を円滑に行うために、その電源を可
変周波数電源であるインバータ装置から得ることが多く
なってきており、このような電源を利用する場合には、
上記のようなスキュー或いはスロット数の変更というよ
うな手段では前述の欠点を解消できなくなってきてい
る。
【0006】具体的には、インバータ装置は一種のスイ
ッチング電源であるため、その出力電圧及び電流の波形
が非正弦波状になることが避けられず、誘導電動機の起
磁力中には、正弦波電源時よりさらに多くの高調波磁束
成分が含まれることになる。ところが、スキュー或いは
スロット数の変更という通常の手段では特定次数の高調
波磁束成分を低減できるだけであるため、その低減効果
が不十分であり、結果的に磁気騒音の低減が困難になる
という事情がある。
【0007】一方、可変周波数電源を利用するような状
況下において磁気騒音の低減を図るためには、回転子鉄
心に設けるスロット数を極端に多くすれば良いことが判
明している。しかしながら、このようにスロット数を極
端に多くするためには、各スロットを極めて小さな形状
とする必要があるのに対して、回転子鉄心は、電磁鋼板
をプレス打ち抜き加工して得た単位鋼板を積層して構成
されるものであるから、そのスロットを小形状化するの
に自ずと限度があり、実際には、回転子鉄心に設けるス
ロット数を極端に多くすることにより磁気騒音の低減を
図ることは実現困難であった。
【0008】本発明は上記事情に鑑みてなされたもので
あり、その目的は、回転子鉄心に対して極めて多数のス
ロットを形成することが可能となって、可変周波数電源
を利用するような状況下においても磁気騒音を効果的に
低減できると共に、スロット数の設定及び変更を容易に
行い得るようになるなどの効果を奏する回転電機用回転
子の製造方法を提供することにある。
【0009】
【課題を解決するための手段】本発明は、固定子内に回
転自在に支持される回転子鉄心を備えた回転電機用回転
子の製造方法において、前記回転子鉄心の軸方向へ長尺
な短冊状に形成された板状磁性体の両側若しくは片側に
導電体を一体的に固着して成る単位短冊板を形成する第
1の工程と、前記単位短冊板をその長手方向と直交した
断面の形状が弧状となるように屈曲変形させる第2の工
程と、多数枚の単位短冊板をその弧面が互いに接触した
状態となるように配列して一体化することにより全体と
して円筒状をなす外皮部材を形成する第3の工程とを順
次行い、この後に前記外皮部材を前記回転子鉄心の周囲
に嵌め込んで固定すると共に当該外皮部材の軸方向両端
部分に一対の端絡環を連結して回転子を完成させる第4
の工程、若しくは前記外皮部材の軸方向両端部分に一対
の端絡環を連結すると共にこれら外皮部材及び端絡環の
一体物を前記回転子鉄心の周囲に嵌め込むことにより回
転子を完成させる第5の工程の何れかを実行するように
したものである(請求項1)。
【0010】この場合、以下に述べるような第1の工程
及び第2の工程を行った後に、前記第3の工程、並びに
前記第4及び第5の工程の何れかを行う構成とすること
もできる。即ち、前記回転子鉄心の軸方向へ長尺な短冊
状に形成された板状磁性体をその長手方向と直交した断
面の形状が弧状となるように屈曲変形させる第1の工程
を行った後に、前記板状磁性体の両側若しくは片側に当
該板状磁性体と類似した形状の導電体を一体的に固着す
ることにより単位短冊板を形成する第2の工程を行う
(請求項2)。
【0011】さらに、回転電機用回転子の製造方法にお
いて、前記回転子鉄心の軸方向へ長尺な短冊状に形成さ
れた板状磁性体の両側若しくは片側に導電体を一体的に
固着することにより長手方向と直交する断面が矩形状を
なす単位短冊板を形成する第1の工程と、多数枚の単位
短冊板を円柱状治具の外周面全体にその軸方向へ指向さ
せた状態で配列してそれら単位短冊板群を環状に配置す
る第2の工程と、前記単位短冊板群の先端側を前記円柱
状治具の周方向へ屈曲させることにより全体として円筒
状をなす外皮部材を形成する第3の工程とを順次行い、
この後に前記外皮部材を前記回転子鉄心の周囲に嵌め込
んで固定すると共に当該外皮部材の軸方向両端部分に一
対の端絡環を連結して回転子を完成させる第4の工程、
若しくは前記外皮部材の軸方向両端部分に一対の端絡環
を連結すると共にこれら外皮部材及び端絡環の一体物を
前記回転子鉄心の周囲に嵌め込むことにより回転子を完
成させる第5の工程の何れかを実行するように構成した
上で、前記第3の工程を、前記円柱状治具の外径寸法を
d、前記第2の工程を経て環状配置された状態の単位短
冊板群の外径寸法をD0 とした場合に、前記外皮部材の
外径寸法Dが次式の条件を満足した状態となるように実
行することもできる(請求項3)。
【0012】
【数2】 また、板状磁性体の両側若しくは片側に板上導電体を一
体的に固着して成る単位短冊板を形成するに当たって
は、板状磁性体の両側若しくは片側に導電材料を電気鍍
金するという手段を採用することもできる(請求項
4)。
【0013】
【作用】請求項1、2、3に夫々記載された回転電機用
回転子の製造方法によれば、第1の工程〜3の工程と、
第4及び第5の工程の何れかを経て完成された回転子
は、回転子鉄心の外周面に、複数の板状磁性体及び導電
体が、当該回転子鉄心の軸方向へ指向した状態で交互に
配列された状態となる。このため、それら板状磁性体の
各間にスロットが形成され且つそのスロット内に導電体
が収納された状態と等価の状態になると共に、それら導
電体群の両端部分が一対の端絡環により連結された状態
となり、以てスロット内に収納された状態の導電体の両
端を端絡環により連結した形態のかご形回転子が構成さ
れることになる。
【0014】この場合、板状磁性体及び導電体の各厚み
寸法並びにそれらの配列ピッチは、これらを大幅に小さ
い状態に設定することが可能であるから、回転子鉄心に
対して極めて多数のスロットを形成することが可能にな
るものである。しかも、板状磁性体の厚み寸法及びその
配列ピッチを変更するだけでスロット数の設定及び変更
を容易に行い得るようになる。さらに、前記板状磁性体
及び導電体は、回転子鉄心の外周面に配列された状態で
先端側が当該回転子鉄心の周方向へ屈曲された形状に形
成されることになるから、それら板状磁性体及び導電体
間に生ずる空隙を小さくすることができ、結果的に導電
体の占積率が向上するようになる。
【0015】特に、請求項3に記載の回転電機用回転子
の製造方法では、円柱状治具の外周面に環状に配置され
た断面矩形状の単位短冊板群の先端側を当該円柱状治具
の周方向へ屈曲させることにより全体として円筒状をな
す外皮部材を形成する第3の工程を行うに当たって、当
該外皮部材の外径寸法Dが次式の条件を満足した状態と
なるようにしている(但し、次式において、dは回転子
鉄心の直径寸法、D0は上記第3の工程前の状態におけ
る回転子鉄心と板状磁性体及び導電体との一体物の直径
寸法である)。
【数3】 このような条件を満足した場合には、後に記載の実施例
中の説明により明らかなように、屈曲後における板状磁
性体及び導電体間に生ずる空隙を略零にすることがで
き、導電体の占積率を大幅に向上させ得るようになる。
【0016】請求項4記載の回転電機用回転子の製造方
法のように、単位短冊板を形成するに当たって、板状磁
性体の両側若しくは片側に導電材料を電気鍍金する構成
とした場合には、板状磁性体に対する導電体の固着状態
が強固なものになると共に、単位短冊板全体の寸法管理
が容易になるなどの利点がある。
【0017】
【実施例】以下、本発明の第1実施例について図1〜図
7を参照しながら説明する。図1及び図2には、完成状
態の回転子1が示されている。この回転子1は、例えば
誘導電動機のもので、回転子軸2を備えた回転子鉄心3
の周囲に円筒状の外皮部材4を嵌め込んで固定すること
により構成されている。上記外皮部材4は、その軸方向
へ指向する多数枚の単位短冊板5を互いに隣接した状態
で配列すると共に、それら単位短冊板5両端の端面部分
(特には後述する導電体8の端面)に一対の端絡環6、
6を突き合わせ状に連結した構造となっている。尚、上
記回転子鉄心3は、環状に形成された所定枚数の電磁鋼
板を軸方向に積層した周知構成のものである。
【0018】ここで、上記単位短冊板5は、実際には数
百枚のオーダーで設けられるものであるが、これを図面
上で表現することは困難であるため、図1及び図2で
は、実際の状態より単位短冊板5の数を減らした状態で
示している。従って、図1、図2及び他の図面で示され
る単位短冊板5は、その厚み寸法(回転子1の周方向へ
の寸法)が実際の寸法より大きい状態で描かれている。
【0019】また、単位短冊板5は、回転子鉄心3の軸
方向へ長尺な短冊状をなすもので、電磁鋼板より成る板
状磁性体7の両側に、同じく短冊状をなす導電体8、8
を重ね合わせた形態となっており、図2に示すように、
その長手方向と直交した断面の形状が弧状となるように
形成されている。尚、図1では、板状磁性体7及び導電
体8の区別を容易にするために板状磁性体7の表面に斜
線帯を施した状態で示している。
【0020】しかして、以下においては、上記のような
回転子1の製造方法について説明する。第1の工程で
は、図3に示すように、回転子鉄心3の軸方向へ長尺な
短冊状に形成された平板状の板状磁性体7の両側に、そ
の板状磁性体7と同様の短冊状(厚さ寸法は必ずしも同
じでなくて良い)をなす導電体8、8を一体的に固着す
ることにより、長手方向と直交した断面が矩形状の単位
短冊板5を形成する。
【0021】第2の工程では、図4に示すように、単位
短冊板5をその長手方向と直交した断面の形状が弧状と
なるように屈曲変形させる。
【0022】第3の工程では、図5に示すように、多数
枚の単位短冊板5をその弧面が互いに接触した状態とな
るように配列して一体化することにより、全体として円
筒状をなす外皮部材4を形成する。
【0023】この後には、図6、図7に示すように、外
皮部材4を回転子鉄心3の周囲に焼き嵌めなどの手段に
より固定すると共に、当該外皮部材4の軸方向両端部分
に一対の端絡環6、6を連結して図1、図2に示すよう
な回転子1を完成させるという第4の工程を行う。
【0024】上記のような構成の本実施例によれば、以
下に述べるような作用・効果を奏し得るようになる。即
ち、本実施例では、回転子鉄心3の外周面に、その軸方
向へ指向するように多数枚の板状磁性体7及び導電体8
が交互に配列された形態となっているから、それら板状
磁性体7の各間にスロットが形成され、且つそのスロッ
ト内に導電体8が二次導体として収納された状態と等価
の状態となる。また、上記のような導電体8の両端部分
が一対の端絡環6により連結される結果、回転子1は、
スロット内に収納された状態の導体群の両端を端絡環に
より連結した形態のかご形回転子として構成されること
になる。
【0025】この場合、板状磁性体7び導電体8の各厚
み寸法は極めて小さな値(例えば1mm程度以下)に設定
可能であると共に、それらの配列ピッチも大幅に小さく
に設定することが可能であるから、電磁鋼板のプレス打
ち抜き加工によってスロットを形成する従来構成に比べ
て、回転子鉄心3に対して極めて多数のスロットを形成
することが可能になるものである。また、スロット数の
設定及び変更を行うに当たっては、板状磁性体7の厚み
寸法(必要に応じて導電体8の厚み寸法)及びその配列
ピッチ(つまり単位短冊板5の寸法)を変更するだけで
済むものであり、そのスロット数の設定及び変更を容易
に行い得るようになる。
【0026】一般的に、誘導電動機では、スロットの存
在に起因した高調波磁束を発生するものであるが、固定
子スロットによる高調波磁束の次数μ、並びに回転子ス
ロットによる高調波磁束の次数νは次式で得られる。 μ=(k1 ・z1 /P)+1 ν=(k2 ・z2 /P)+1 但し、Pは極対数、k1 、k2 は整数、z1 は固定子ス
ロット数、z2 は回転子スロット数である。
【0027】上記のような固定子及び回転子における高
調波磁束が相互干渉して、固定子鉄心、フレームを変形
させる力或いは回転子鉄心を振動させるさせる電磁力が
働き、これらが振動・騒音の発生源となる。特に、上記
のような電磁力は、鉄心をM角形に変形させる所謂多角
形力として作用するものであり、上記Mは次式で得られ
る。
【0028】 M=P・(μ±ν) =(k1 ・z1 +P)±(k2 ・z2 +P) この場合、通常では、高調波磁束が一番強くなるk1 =
k2 =1を考えれば十分であり、従って、M=z1 +z
2 +2P、または、M=z1 −z2 で得られることにな
る。このように得られるMが小さいときに前述のような
振動・騒音が発生しやすいものであり、z1 及びz2 が
近似しているときに大きな振動・騒音が発生することに
なる。これに対して、本実施例に構成のように、回転子
鉄心3に対して極めて多数のスロットを形成した場合に
は、z1 がz2 より大幅に大きい関係となるから、Mが
大となって振動・騒音が発生し難くなる。
【0029】また、高調波磁束によって発生する振動・
騒音の周波数Fは、次式で与えられる。但し、次式にお
いて、fは電源周波数、sはすべりである。
【数4】 例えば、2極(対極数P=1)で、回転子スロット数が
600、電源周波数f=50Hz、すべりs=0であっ
た場合には、上式(1)から、F=30000Hz、2
9900Hz、30100Hzが得られる。このような
各周波数帯域は、人間の可聴周波数範囲を外れており、
従って、前述したように多数のスロットを形成可能な本
実施例の構成によれば、高調波磁束による振動が発生し
たとしても、これが騒音の原因になる虞がなくなる。ま
た、誘導電動機を可変周波数電源であるインバータ装置
により駆動する場合には、そのインバータ装置のキャリ
ア周波数が上記のような電源周波数f=50Hzの数十
倍にも及ぶから、高調波磁束によって発生する振動・騒
音の周波数Fはさらに高い値となり、固定子スロット数
がある程度以上あれば、上述のような騒音防止効果を十
分に発揮できるものである。
【0030】さらに、本実施例では、板状磁性体7及び
導電体8より成る単位短冊板5が、回転子鉄心3の外周
面に配列された状態で先端側が当該回転子鉄心3の周方
向へ屈曲された形状を呈しているから、単位短冊板5の
各間に生ずる空隙を小さくすることができ、結果的に導
電体8の占積率が向上するようになる。
【0031】図8及び図9には、上記第1実施例と同様
の効果を奏する本発明の第2実施例が示されており、以
下これについて第1実施例と異なる部分のみ説明する。
即ち、この第2実施例は、回転子1を完成させるための
前記第4の工程に代えて、以下に述べる内容の第5の工
程を行うようにしたことに特徴を有する。
【0032】この第5の工程では、図8に示すように、
外皮部材4の軸方向両端部分に一対の端絡環6、6を連
結し、この後に図9に示すように、これら外皮部材4及
び端絡環6の一体物を回転子鉄心1の周囲に焼き嵌めな
どの手段により固定することによって回転子1を完成さ
せる。
【0033】尚、上記した第1、第2実施例では、平板
状の板状磁性体7の両側に導電体8、8を一体的に固着
することにより単位短冊板5を形成する第1の工程を実
行した後に、その単位短冊板5を屈曲させる第2の工程
を実行する構成としたが、このような手順を逆に行うよ
うにしても良いものである。
【0034】具体的には、回転子鉄心3の軸方向へ長尺
な短冊状に形成された板状磁性体をその長手方向と直交
した断面の形状が弧状となるように屈曲変形させる第1
の工程を行った後に、板状磁性体の両側若しくは片側に
当該板状磁性体と類似した形状の導電体を一体的に固着
することにより単位短冊板を形成する第2の工程を行う
構成とすることができる。
【0035】図10〜図13には本発明の第3実施例が
示されており、以下これについて前記第1実施例と異な
る部分のみ説明する。即ち、この実施例では、前述同様
の第1の工程を経て形成された多数枚の単位短冊板5
を、図10に示すように、円柱状治具9の外周面全体に
その軸方向へ指向させた状態で配列して、それら単位短
冊板5群を環状に配置するという第2の工程を行う。こ
の場合における単位短冊板5の配列数は、それらの基端
部が円柱状治具9の外周面上において互いに接触するだ
けの数に設定される。
【0036】この後には、単位短冊板5の先端側を、図
11に示すように、円柱状治具9の周方向へ屈曲させる
ことにより、全体として円筒状をなす外皮部材10を形
成するという第3の工程を行う。この第3の工程では、
円柱状治具9の外径寸法をd(図10、図11参照)、
前記第2の工程を経て環状配置された状態の単位短冊板
5群の外径寸法をD0 (図10参照)とした場合に、上
記外皮部材10の外径寸法D(図11参照)が次式の条
件を満足した状態となるように実行されるものである。
【0037】
【数5】 そして、この後には、図12、図13に示すように、外
皮部材10を回転子鉄心3の周囲に嵌め込んで固定する
と共に、その外皮部材10の軸方向両端部分に一対の端
絡環6、6を突き合わせ状に連結して回転子1を完成さ
せるという第4の工程を行う。
【0038】このような構成とした第3実施例において
も前記第1実施例と同様の効果を奏するものであり、特
に、本実施例では、回転子1の製造時において、円柱状
治具9の周囲に環状配置した単位短冊板5群を屈曲させ
て外皮部材10を形成する際に、円柱状治具9の外径寸
法をd、環状配置された状態の単位短冊板5群の外径寸
法をD0 とした場合に、完成状態の外皮部材10の外径
寸法Dが前記式の条件を満足するように構成されてい
るから、屈曲後における単位短冊板5の各間に生ずる空
隙を略零にすることができ、従って導電体8の占積率を
大幅に向上させ得るようになる。
【0039】具体的には、屈曲後における単位短冊板5
の各間に生ずる空隙を零にするためには、図10に示し
た単位短冊板5群の合計断面積Saが、図11に示した
外皮部材10の断面積Sbと等しくなることが条件とな
る。
【0040】この場合、屈曲前の単位短冊板5における
断面の幅寸法及び長さ寸法をw、h(図10参照)とし
た場合、単位短冊板5単体の断面積はw・hで表され、
図10の状態での単位短冊板5の配列個数はπ・d/w
で表され、また、図10から理解できるように、h=
(D0 −d)/2であるから、前記断面積Saは次式
で表される。 Sa=w・h・π・d/w =h・π・d =π・d・(D0 −d)/2 ……
【0041】また、前記断面積Sbは、図11から理解
できるように、直径Dの円の面積から直径dの円の面積
を差し引いたものであるから次式で表される。 Sb=π・(D/2)−π・(d/2) =π・(D−d)/4 ……
【0042】ここでSaとSbとが略等しいものとした
場合、つまり
【数6】 とした場合には、この式を展開して、
【数7】 が得られるから、この式から前記式を得ることがで
きる。
【0043】従って、単位短冊板5を屈曲させる際に、
この式の条件を満足するようにした本実施例によれ
ば、外皮部材10における単位短冊板5の各間に生ずる
空隙を略零にすることができるものであり、これにより
導電体8の占積率の一層の向上を実現できるようにな
る。
【0044】図14及び図15には、上記第3実施例と
同様の効果を奏する本発明の第4実施例が示されてお
り、以下これについて第3実施例と異なる部分のみ説明
する。即ち、この第4実施例は、第3実施例において回
転子1を完成させるための第4の工程に代えて、以下に
述べる内容の第5の工程を行うようにしたことに特徴を
有する。
【0045】この第5の工程では、図14に示すよう
に、外皮部材10の軸方向両端部分に一対の端絡環6、
6を連結し、この後に図15に示すように、これら外皮
部材10及び端絡環6の一体物を回転子鉄心1の周囲に
焼き嵌めなどの手段により固定することによって回転子
1を完成させる。
【0046】尚、上記した各実施例では、板状磁性体7
の両側に導電体8、8を固着して成る単位短冊板5を設
ける構成としたが、図16、図17に示す本発明の第5
実施例のように、板状磁性体7の片側のみに導電体8を
固着して成る単位短冊板5′を設ける構成としても良い
ものである。この場合、図16に示すような単位短冊板
5′は、最終的にその長手方向と直交した断面の形状が
弧状となった図17に示す状態に屈曲変形されることに
なる。
【0047】さらに、上記した各実施例において、単位
短冊板5を形成するに当たっては、夫々別途に用意され
た板状磁性体7及び導電体8を一体的に固着する構成と
したが、板状磁性体の両側若しくは片側に導電材料を電
気鍍金することにより、単位短冊板を形成する構成とし
ても良いものであり、この場合には、板状磁性体に対す
る導電体の固着状態が強固なものになると共に、単位短
冊板全体の寸法管理が容易になるなどの利点がある。
【0048】その他、本発明は上記したような各実施例
に限定されるものではなく、例えば回転子鉄心としてブ
ロック鉄心を用いる構成としても良いなど、その要旨を
逸脱しない範囲で種々変形して実施できるものである。
【0049】
【発明の効果】以上の説明によって明らかなように、請
求項1〜3に記載した回転電機用回転子の製造方法によ
れば、回転子鉄心の周囲に嵌め込まれる円筒状の外皮部
材を構成する板状磁性体及び導電体が、当該回転子鉄心
の周方向へ交互配列された状態になるものであるが、そ
の製造時において、それら板状磁性体及び導電体の各厚
み寸法並びにそれらの配列ピッチを小さい値に設定する
ことによって、回転子鉄心に対して極めて多数のスロッ
トを形成することが可能になる。従って、可変周波数電
源を利用するような状況下においても磁気騒音を効果的
に低減できると共に、スロット数の設定及び変更を容易
に行い得るようになるという優れた効果を奏することが
できる。しかも、回転子鉄心の外周面に配列された状態
の板状磁性体及び導電体は、回転子鉄心の軸方向と直交
した断面の形状が弧状となるように屈曲変形されるもの
であるから、それら板状磁性体及び導電体間に生ずる空
隙を小さくができて、導電体の占積率向上を実現し得る
ようになる。
【0050】特に、請求項3に記載の回転電機用回転子
の製造方法では、円柱状治具の外周面に配列した単位短
冊板の先端側を当該円柱状治具の周方向へ屈曲させるこ
とにより前記外皮部材を形成する工程を行うに当たっ
て、その屈曲後の外皮部材の外径寸法が所定の条件式を
満足した状態となるようにしたから、当該単位短冊板を
構成する板状磁性体及び導電体間に生ずる空隙を略零に
することができて、導電体の占積率を大幅に向上させ得
るようになる。
【0051】また、請求項4に記載の回転電機用回転子
の製造方法では、板状磁性体の両側若しくは片側に導電
材料を電気鍍金することによって前記単位短冊板を形成
する構成としたから、板状磁性体に対する導電体の固着
状態を強固にできると共に、単位短冊板全体の寸法管理
を容易に行い得るようになるなどの効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1実施例による回転子の斜視図
【図2】同回転子の横断面図
【図3】屈曲前の状態の単位短冊板を示す斜視図
【図4】屈曲された状態の単位短冊板を示す斜視図
【図5】外皮部材の斜視図
【図6】製造途中の状態を示す斜視面その1
【図7】製造途中の状態を示す斜視面その2
【図8】本発明の第2実施例を示す図6相当図
【図9】図7相当図
【図10】本発明の第3実施例を示すもので、製造途中
の状態での要部の横断面図その1
【図11】製造途中の状態での要部の横断面図その2
【図12】図6相当図
【図13】図7相当図
【図14】本発明の第4実施例を示す図6相当図
【図15】図7相当図
【図16】本発明の第5実施例を示す図3相当図
【図17】図4相当図
【符号の説明】
図面中、1は回転子、2は回転子軸、3は回転子鉄心、
4、10は外皮部材、5、5′は単位短冊板、6は端絡
環、7は板状磁性体、8は導電体、9は円柱状治具を示
す。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 中村 嘉伸 三重県三重郡朝日町大字繩生2121番地 株式会社東芝 三重工場内 (72)発明者 八木澤 猛 横浜市鶴見区末広町2丁目4番地 株式 会社東芝 京浜事業所内 (72)発明者 小澤 繁雄 三重県三重郡朝日町大字繩生2121番地 株式会社東芝 三重工場内 (72)発明者 開道 力 千葉県富津市新富20−1 新日本製鐵株 式会社 鉄鋼研究所内 (56)参考文献 特開 昭57−199461(JP,A) 特開 昭63−51601(JP,A) 特開 昭53−135408(JP,A) 特開 平6−335209(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) H02K 17/16

Claims (4)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 固定子内に回転自在に支持される回転子
    鉄心を備えた回転電機用回転子の製造方法において、 前記回転子鉄心の軸方向へ長尺な短冊状に形成された板
    状磁性体の両側若しくは片側に導電体を一体的に固着し
    て成る単位短冊板を形成する第1の工程と、 前記単位短冊板をその長手方向と直交した断面の形状が
    弧状となるように屈曲変形させる第2の工程と、 多数枚の単位短冊板をその弧面が互いに接触した状態と
    なるように配列して一体化することにより全体として円
    筒状をなす外皮部材を形成する第3の工程とを順次行
    い、 この後に前記外皮部材を前記回転子鉄心の周囲に嵌め込
    んで固定すると共に当該外皮部材の軸方向両端部分に一
    対の端絡環を連結して回転子を完成させる第4の工程、
    若しくは前記外皮部材の軸方向両端部分に一対の端絡環
    を連結すると共にこれら外皮部材及び端絡環の一体物を
    前記回転子鉄心の周囲に嵌め込むことにより回転子を完
    成させる第5の工程の何れかを実行することを特徴とす
    る回転電機用回転子の製造方法。
  2. 【請求項2】 固定子内に回転自在に支持される回転子
    鉄心を備えた回転電機用回転子の製造方法において、 前記回転子鉄心の軸方向へ長尺な短冊状に形成された板
    状磁性体をその長手方向と直交した断面の形状が弧状と
    なるように屈曲変形させる第1の工程と、 前記板状磁性体の両側若しくは片側に当該磁性体と類似
    した形状の導電体を一体的に固着することにより単位短
    冊板を形成する第2の工程と、 多数枚の単位短冊板をその弧面が互いに接触した状態と
    なるように配列して一体化することにより全体として円
    筒状をなす外皮部材を形成する第3の工程とを順次行
    い、 この後に前記外皮部材を前記回転子鉄心の周囲に嵌め込
    んで固定すると共に当該外皮部材の軸方向両端部分に一
    対の端絡環を連結して回転子を完成させる第4の工程、
    若しくは前記外皮部材の軸方向両端部分に一対の端絡環
    を連結すると共にこれら外皮部材及び端絡環の一体物を
    前記回転子鉄心の周囲に嵌め込むことにより回転子を完
    成させる第5の工程の何れかを実行することを特徴とす
    る回転電機用回転子の製造方法。
  3. 【請求項3】 固定子内に回転自在に支持される回転子
    鉄心を備えた回転電機用回転子の製造方法において、 前記回転子鉄心の軸方向へ長尺な短冊状に形成された板
    状磁性体の両側若しくは片側に導電体を一体的に固着す
    ることにより長手方向と直交する断面が矩形状をなす単
    位短冊板を形成する第1の工程と、 多数枚の単位短冊板を円柱状治具の外周面全体にその軸
    方向へ指向させた状態で配列してそれら単位短冊板群を
    環状に配置する第2の工程と、 前記単位短冊板群の先端側を前記円柱状治具の周方向へ
    屈曲させることにより全体として円筒状をなす外皮部材
    を形成する第3の工程とを順次行い、 この後に前記外皮部材を前記回転子鉄心の周囲に嵌め込
    んで固定すると共に当該外皮部材の軸方向両端部分に一
    対の端絡環を連結して回転子を完成させる第4の工程、
    若しくは前記外皮部材の軸方向両端部分に一対の端絡環
    を連結すると共にこれら外皮部材及び端絡環の一体物を
    前記回転子鉄心の周囲に嵌め込むことにより回転子を完
    成させる第5の工程の何れかを実行するように構成さ
    れ、 前記第3の工程は、前記円柱状治具の外径寸法をd、前
    記第2の工程を経て環状配置された状態の単位短冊板群
    の外径寸法をD0 とした場合に、前記外皮部材の外径寸
    法Dが次式の条件を満足した状態となるように実行され
    ることを特徴とする回転電機の回転子の製造方法。 【数1】
  4. 【請求項4】 板状磁性体の両側若しくは片側に導電材
    料を電気鍍金することにより、板状磁性体の両側若しく
    は片側に導電体を一体的に固着して成る単位短冊板を形
    成することを特徴とする請求項1、2または3記載の回
    転電機用回転子の製造方法。
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