JP3142574U - 自転車用サドルカバー - Google Patents

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Abstract

【課題】ゲルを使用しつつ、そのゲルが外部に漏れ出さないもの且つ内部のゲル等が移動しない自転車用のサドルカバーを提供する。
【解決手段】サドルの上面を被覆する上面部10とサドルの周側面乃至下面を被覆する周側面部とを縫製してサドルを被覆できる形状とし、周側面部の下端開口縁部にはサドルへの固定手段が設けられる。上面部10及び周側面部はPVCシートから形成する。上面部10は、PVCシートを2枚重ね合わせ、その間に熱可塑性樹脂からなる柔軟変形部材12を介在させ、その後その全周縁部を高周波溶着したものを使用する。前記柔軟変形部材12の上面に更にウレタンフォーム等のクッション部材14を重ね合わせて、その後その全周縁部を溶着してもよい。
【選択図】図2

Description

本考案は、自転車のサドルに被覆して使用するサドルカバーの改良に関するものである。
自転車のサドルに被覆して使用するサドルカバーとしては、従来から種々のものが存在している。その目的は、クッション性を高めるため、雨よけや埃よけのため、或いは、サドルの傷や汚れを隠すため等であり、その目的に応じて種々のタイプのものが存在している。
これらの内、スポーツサイクル等に使用されている硬いサドルのためのクッション性を高めるものとして、ゲル(TPR等の熱可塑性樹脂)入りのサドルカバーが市販されている。
このゲル入りサドルカバーは、サドルの上面を被覆する上面部と、サドルの周側面乃至下面を被覆する周側面部とからなり、前記上面部の全周縁部に前記周側面部を縫製してサドルを被覆できる形状とし、上面部の内部にはゲルを内装したものである。周側面部の下端全周縁部には紐挿通部が設けられ、この紐挿通部内に紐を挿通し、この紐の両端部を絞り、縛り付けることによってカバーがサドルに固定されるものである。
サドルへの装着に際しては、周側面部の下端開口部を広げ、サドルの上方から被せて、上面部をサドルの上面に適合させ、紐挿通部に挿通されている紐の両端部を相互に縛り付け、或いは紐の両端部に取り付けられたストッパー部材により絞り上げて、カバーをサドルに固定することができる。
カバーの上面部に内装されたゲルの有する柔軟性又は弾力性によって、自転車使用者の臀部の痛みが解消されることとなる。
このような従来のゲル入りサドルカバーの場合には、ゲル自体は、柔軟性等はあるものの、平面方向に大きな伸縮性を有するものではないため、カバーの上面部は、自転車のサドルの平面視形状とほぼ同様の形状と大きさに形成され、その周側面部の生地において伸縮性を保持させ、上面部の周縁部でこの周側面部を縫着してカバーが形成されている。
従って、従来のこの種のサドルカバーにおいては、その全体が織地等から形成されており、その上面部はネオプレンゴム等が使用されているが、その表面に撥水処理や防水処理が施されているにもかかわらず、周側面部に雨水等がしみ込んだり、上記縫製部から雨水等が浸入することを防止することができず、雨等の場合には、カバーをサドルから外さなければならなかった。
そこで、本考案者は、ゲル等の柔軟性部材を利用した柔軟性に富んだサドルカバーであって、しかも、雨水等の浸入もほぼ完全に防止でき、降雨時でも装着したままにしておけるタイプのものを提供すべく下記特許文献に記載のツーピースのサドルカバーを提案したのである。
このツーピースから成るサドルカバーは、サドルの上面に載置されるクッション部材と、サドルの上面及び周側面のほぼ全体を被覆できる袋状のカバー部の2つの部材からなり、
カバー部は、防水性を有する伸縮自在のシート状のものから形成され、カバー部下面開口部の周縁部にはこのカバーをサドルに固定するための固定手段が設けられ、前記クッション部材をサドルの上面に載置した後、前記カバー部を伸張させてサドルに被覆し、前記固定手段によってカバー部をサドルに固定すると共に、クッション部材もサドルの上面に配置、固定されるように構成したものであった。
実用新案登録第3118052号公報
しかしながら、上記のツーピースから成るサドルカバーにおいては、その内側でサドル上面に載置されるクッション部材が外側のカバー部内部で移動してしまうということが生じた。
更にもう一つ重要な問題として、上記従来のスポーツサイクル用のゲル入りカバーにおいても孕む問題であるが、カバー上面部に配設したゲルが外部に漏れ出すという問題が生じたのである。
ゲルは、TPR(Thermoplastic Rubber)等の熱可塑性樹脂から出来ており、外気が摂氏50度を超えると軟化して、外部を被覆する生地の縫目から漏れ出すという問題が生じた。また、外部の生地が破損した場合も同様にゲルが外部に漏れ出してしまう。
そこで、本考案においては、ゲルを使用しつつカバーの柔軟性を保持させると共に、そのゲルが外部に漏れ出さないものを提供することをその第一の課題としている。
また、ゲルが設けられた部分がサドルの上面部から移動してしまわないカバーを提供することもその課題とする。
即ち、ツーピースタイプのカバーのように、内部の柔軟部材又はクッション部材が移動してしまわないようにすることも本考案の課題である。
上記課題を解決するために、本考案の第1のものは、サドルの上面を被覆する上面部とサドルの周側面乃至下面を被覆する周側面部とを縫製してサドルを被覆できる形状とし、周側面部の下端開口縁部にはサドルへの固定手段が設けられたサドルカバーにおいて、上面部及び周側面部をPVC等の合成皮革素材から形成し、上面部は、上記合成皮革素材を2枚重ね合わせ、その間にTPR等の熱可塑性樹脂からなる柔軟変形部材を介在させ、その後その全周縁部を溶着したものを使用し、この上面部に前記周側面部を縫着したことを特徴とする自転車用サドルカバーである。
ここで、PVCとは、polyvinyl chloride(ポリ塩化ビニル)を意味し、TPRとは、thermoplastic rubber(熱可塑性ゴム状素材)を意味する樹脂である。
本考案の第2のものは、上記第1の考案において、上面部に介在させた柔軟変形部材の上面に更にウレタンフォーム等のクッション部材を重ね合わせ、その後その全周縁部を溶着したことを特徴とする自転車用サドルカバーである。
本考案の第3のものは、上記第1又は第2の考案において、全周縁部が溶着された上面部の裏面に更にウレタンフォーム等のクッション部材を積層したことを特徴とする自転車用サドルカバーである。
本考案の第1のものにおいては、先ず、その上面部及び周側面部の素材をPVC等の合成皮革素材から形成しているために、防水性を有し、雨が降った場合であっても、水がしみ込む恐れがなく、降雨時でも本考案に係るカバーをサドルにつけたままにしておくことが可能となる。
また、上面部の全外周縁部が高周波等により溶着されているために、その内部に配備されている熱可塑性樹脂からなる柔軟変形部材が外部に漏れ出したり、はみ出したりすることが防止できる。
更に、本考案は、上面部と周側面部を縫製して一体的に形成しているために、その一部分が移動することもなく、柔軟変形部材は、常にサドルの上面に位置したままの状態を維持することとなる。
本考案の第2のものにおいては、上面部の内部に配設した熱可塑性樹脂からなる柔軟変形部材の上面に更にウレタンフォーム等のクッション部材を積層したために、その柔軟変形部材に更に反発性を加味して、より弾力性、クッション性を向上させた。
本考案の第3のものにおいても、上記第2の考案と同様に、クッション部材を上面部の裏面に更に積層してそのクッション性を向上させたものである。
以下、添付の図面と共に本考案の最良の実施形態について説明する。
図1は、本考案の実施形態に係るサドルカバーの全体を示し、その(A)が上面側から見た斜視図であり、その(B)が下面側の説明図である。
本考案に係るサドルカバーは、それぞれPVCシートから成る上面部10と周側面部20とから形成され、上面部10の外周縁部に周側面部20を縫着したものである。
両者を縫着する際には、後に説明するが、従来の製法と同様にパイピング用の帯状部材15を2つ折して両者の縫着箇所に介在させて縫製する。
(B)図から解る通り、カバーの周側面部20の下端開口縁部の後方側には、弾力性を有するゴム紐からなる弾性帯状部材21が縫着され、その前方側には、ハトメ24が4箇所に設けられ、これらのハトメ24を利用して締着用紐25、25を用いて、自転車のサドルにこのカバーを固定することができる。
この固定手段は、種々の構成を採用することができ、周側面部20の下端開口縁部の全体に挿通部を形成して、紐状部材を前記挿通部に挿通して、前記紐状部材を絞って縛り付けることによりサドルに固定することもできる。
図1からは、明瞭に見て取ることができないが、本考案の特徴部分であるカバーの上面部10の構成は、後の図2において詳述するが、2枚のほぼ同一形状のPVCシートを重ね合わせ、その間にTPRからなる熱可塑性樹脂を介在させている。
実際には、2枚の内の下側のPVCシートの上面に前記熱可塑性樹脂からなる柔軟変形部材を所定厚み接合接着しておくのである。
更に、本考案の実施形態においては、上記柔軟変形部材の上面に7mm程度のウレタンフォームのシート状体からなるクッション部材を更に重ね合わせ、その後に2枚のPVCシートの周縁部全体を高周波溶着にて接合接着し、上記柔軟変形部材とクッション部材を内部に密閉して上面部10を形成している。
本考案では、更に、上記上面部10の裏面に、(B)図に表われているウレタンフォームからなるクッション部材18を裏打している。19は、このクッション部材18を上面部10の裏面に保持する保持部材を示している。
図2は、図1のD−D線断面図で、前記実施形態に係る上面部のみを図示したものである。
既に説明した通り、上面部10は、表面PVCシート10sと裏面PVCシート10rの間に柔軟変形部材12とクッション部材14とが積層されて、介在されて成るものである。
柔軟変形部材12としては、TPR(thermoplastic rubber)という熱可塑性樹脂を使用しており、このTPRは厚さ約7mm程度のもので、これを裏面PVCシート10rの上面に接合接着したものを用いている。
そして、この裏面PVCシート10rにTPRが接着されたものの更に上面に厚さ約7mm程度のウレタンフォームからなるクッション部材14を重ね合わせ、その後表面PVCシート10sを更に積層し、この周縁部の全体を高周波溶着Hするのである。
図2では、構造を明瞭に示すため、柔軟変形部材12とその上のクッション部材14との間に少しの空間を設けて描いているが、実際には密着した状態となっている。
ここで、クッション部材14は、上面部10の反発力をより向上させるために積層したものであるが、このクッション部材14を積層せずに実施することも可能である。
このクッション部材14を積層せずに上面部を形成すると、低反発クッションのような感触となる。とりわけスポーツサイクル等の極めて硬い素材からなるサドルの場合にはこのクッション部材を積層せずに実施するのが望ましいが、このカバー上面部の柔軟性、反発性等はやはり使用者の好みにより選択されるべきものである。
柔軟変形部材12は、TPRからなり、その表面は、粘着性質を有しているために、クッション部材14は、柔軟変形部材12の上に単に重ね合わせるのみでよく、何ら接着手段を必要としない。即ち、上記のように上面部10の全周を溶着しておくのみで、クッション部材14がその内部で移動してしまう恐れはない。
後は、上記上面部10の周縁部に周側面部を縫製すればよいのである。
図3は、上記本考案の実施形態に係る上面部に周側面部を縫着する部位の拡大説明図である。
この上面部の外周縁部と周側面部との縫着方法は、従来の所謂ハイデックス加工法を採用している。
即ち、その外周縁部全体が高周波溶着された上面部10の周縁部10pを内側方向に折り込み、帯状部材15を略2つ折して略パイプ状にして、更に周側面部20の上縁部20pを内側方向に折り込んで、これらの縁部を縫着Mするのである。
上記の説明では、図面との整合性を図るために、上面部10の周縁部10p及び周側面部20の上縁部20pを内側方向に折り込んで縫製すると記載したが、実際にはこれらの縁部は平面的に重ね合わせてミシンで縫製する。つまり、周側面部20を丁度図3で上面部10の上面側に反転させて平らな状態として、その間に帯状部材15を挟み込んで縫製するのである。
これにより、縫製後の外観において、その縫製部位にパイプ状のラインが表われ、この帯状部材15は、その美観と共に、縫製部位の補強、水漏れ防止の機能を保持させるものである。
このハイデックス加工の他に、パイピング加工方法も採用することができ、このパイピング加工では、上記帯状部材15の代わりに、すでにパイプ状の部材を用いてそのまま縫製ラインで共に縫着することにより、上記ハイデックス加工と同様の機能及び外観を付加することができるものである。
最後に、本実施形態においては、上面部10の裏面、つまり裏面PVCシート10rの下面に更に略20mm程度のウレタンフォームからなるクッション部材18を内設している。
このクッション部材18は、前記図1(B)で説明したように、保持部材19で保持するように構成することができるが、その他ネット状のものにより保持させることもでき、その内設保持方法は、全く自由に設計することができる。
以上、本考案の一実施形態について説明したが、本考案においては種々設計変更することができる。
上面部の表面シートと裏面シート、及び周側面部は、PVCシートを使用したが所謂合成皮革として採用できる素材であれば、どのような素材をも使用することが可能である。要は、適度な柔軟性を有し、防水性と、皮革のような外観を有していればよいものである。
柔軟変形部材も、上記実施形態ではTPRを使用したが、所謂ゲル構造を有するもので柔軟性を有するものであればどのような素材を使用してもよい。
更にクッション部材も、ウレタンフォームを使用したが、その他弾力性を発揮するものであれば採用可能である。
勿論、カバーの大きさ、形状、色、模様、固定手段等は、必要に応じて自由に設定することが可能である。
以上、本考案は、所謂ゲルを使用し、更にその反発性を高めるためのクッション部材をも付加し、そして上面部の周囲を溶着させる構造を採用することにより前記ゲルが漏れ出さず、柔軟反発部位もずれてしまうことのない極めて多機能且つ効果の優れた自転車用サドルカバーを提供することができた。
本考案の実施形態に係るサドルカバーの全体を示し、その(A)が上面側から見た斜視図であり、その(B)が下面側の説明図である。 図1のD−D線断面図で、前記実施形態に係る上面部のみを図示したものである。 本考案の実施形態に係る上面部に周側面部を縫着する部位の拡大説明図である。
符号の説明
10 上面部
10s 表面PVCシート
10r 裏面PVCシート
10p 周縁部
12 柔軟変形部材
14、18 クッション部材
20 周側面部
20p 上縁部
H 高周波溶着
M 縫着

Claims (3)

  1. サドルの上面を被覆する上面部とサドルの周側面乃至下面を被覆する周側面部とを縫製してサドルを被覆できる形状とし、周側面部の下端開口縁部にはサドルへの固定手段が設けられたサドルカバーにおいて、
    上面部(10)及び周側面部(20)をPVC等の合成皮革素材から形成し、
    上面部(10)は、上記合成皮革素材を2枚重ね合わせ、その間にTPR等の熱可塑性樹脂からなる柔軟変形部材(12)を介在させ、その後その全周縁部を溶着したものを使用し、
    この上面部(10)に前記周側面部(20)を縫着したことを特徴とする自転車用サドルカバー。
  2. 上面部(10)に介在させた柔軟変形部材(12)の上面に更にウレタンフォーム等のクッション部材(14)を重ね合わせ、その後その全周縁部を溶着したことを特徴とする請求項1に記載の自転車用サドルカバー。
  3. 全周縁部が溶着された上面部(10)の裏面に更にウレタンフォーム等のクッション部材(18)を積層したことを特徴とする請求項1又は2に記載の自転車用サドルカバー。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2018039464A (ja) * 2016-09-09 2018-03-15 有限会社大久保製作所 自転車用サドルカバーの製造方法

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