JP5859766B2 - 防水靴 - Google Patents
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Description
例えば、特許文献1〜3,5,6に記載の靴では、帯(テープ)状の多孔性の素材を、表甲の下端部に配置することで、射出成形されたプラスチック材料が、その多孔性素材を浸透し、縫目などを密封する事で防水性をもたせている。
しかしながら、これらの防水構造では、表甲と裏布とが下端部にて連結されていることから、表甲と裏布とでは材料や形状が通常異なるので、表甲と裏布に大きさや伸びの違いが生じやすく、結果として、ラストモールドへの吊込の際に、表甲や裏布のあちこちに、シワ、ツレが発生するなどの問題があった。さらに、下端部での連結時の縫い付けのズレが生じた場合、シワ、ツレは一層大きくなり、部分的に縫い付け部が切れたり、アッパーのラストモールドへの吊り込み時の位置ズレが生じ多孔性素材に部分的にしかプラスチック材料が浸透しなかったりして、水密不良が生じる場合があった。
加えて、特許文献2,3,6では下端部が中底面にまで及ぶことから、上記のシワ、ツレが大きくなると、足の裏面に裏布のシワ等が当たり、履き心地が悪くなることがあった。
しかし、この方法では、中底材に設けられた切り欠き部が大きい場合、ラストモールドへの吊り込み時に、土踏まず部などで広がりやすいので、外層(表甲)全体にテンションがかかりにくく、位置ズレなどが生じやすくなる。この広がりを防止する為、保持体(14)を別途設ける必要があり、手間が余計にかかることになる。
一方、切り欠き部の面積を小さくすると、プラスチック材料が十分に浸透せず、水密されない部分が生じやすくなり問題となる。
しかし、この方法では、前述の段落〔0002〕で説明したのと同じく、下端部が連結されていることから、吊込時のシワ、ツレの問題があり、粘着物(31)の位置ズレが生じた場合、シワ、ツレが大きくなって、裏布等が切れ、水密不良が生じる場合があった。
更に、この手法では、裏布の一部のみが粘着物(31)で表甲に固定されているだけなので、吊込時に、裏布の下端がめくれて足当たりが生じる可能性が高い。
本発明は、以上のような諸点を考慮し、アッパー部のラストモールドへの吊り込み時に、表甲・裏布等の位置ズレ・切れが生じず、完全な水密構造が確保でき、しかも、表甲や裏布にシワがよることがなく外観良好で、高い防水性と優れた履き心地を備えた高品質な防水靴を提供することを課題とする。
さらに、アッパー部を裏布により構成される内袋体と、表甲により構成される外袋体との2重構造とすることで、ラストモールドへの吊り込み時に、表甲は表甲全体に均等なテンションがかかり易くなり、裏布は裏布全体に均等なテンションがかかり易くなる結果、アッパー部の位置ズレ、シワ、ツレ等を確実に防止できることを見出し、本発明を完成するに至った。
表甲、防水性機能層を有する裏布、中底を含むアッパー部(I)と、プラスチック製の底材を射出成形して形成されるソール部(II)とからなる防水靴であって、
前記アッパー部(I)は、前記裏布を下方終端同士で縫い合わせた内袋体と、前記表甲の下方終端を前記中底の周縁部と縫い合わせた外袋体との2重袋体の構造を有し、
該中底は、射出成形された液状の底材が浸透通過することができる開口率が50%以上の多孔性材料により構成され、かつ靴底の全面に配置され、
前記ソール部(II)は、前記プラスチック製の底材が、射出成形によって、前記多孔性材料からなる中底の下方から中底内を浸透通過し、前記裏布の防水性機能層側の少なくとも下方終端と密着するように形成されていることを特徴とする。
また、前記アッパー部(I)が、前記内袋体に前記外袋体を被せてなり、部分的に一体化されていることが好ましく、
裏布を下方終端同士で縫い合わせる位置、または、裏布の下方終端を内中底の周縁部と縫い合わせる位置を、サイドモールド嵌合部よりソール部(II)側にすることがより好ましい。
また、本発明において、「プラスチック」とは、射出成形が可能なものを概念的に指しており、例えば、PVC、PU(2液)、TPU、合成ゴム、熱可塑性エラストマーなどを含むものである。
本発明における「液状の底材」とは、射出成形時の底材の挙動をわかりやすく表現したものであり、底材によっては高粘度の流動体である場合も液状とみなして説明を行っている。
(あ)テープ状の多孔性部材の作成や、該テープ状部材の表甲などへの縫合が不要である。
例えば、本発明の多孔性中底については、平面の材料を通常の中底の形状にカットするだけでよく、別途テープ状に加工し直す必要がないし、縫製作業においても、通常の中底付け作業を実施するだけで済むので非常に簡便である。
(い)さらに内中底を設けることで、より優れた履き心地が得られ、別途インソールなどを設ける必要がない。この内中底についても、通常の中底の形状にカットするだけで良く、縫製作業においても、通常の中底付け作業を実施するだけですむ。
(う)裏布と表甲がそれぞれ別々の袋体を形成しており、アッパー部のラストモールドへの吊り込み時の位置ズレ、シワ・ツレの発生がほとんど生じない。
(え)多孔性中底をラストモールドの底面全面に配置するので、ラストモールドの底面全体に均一にプラスチック製の底材が浸透通過し、内側にある裏布の防水性機能層側の少なくとも下方終端の下方終端同士の縫い目付近、あるいは、防水性機能層側の少なくとも下方終端と内中底の周縁部との縫い目付近が、該底材と完全に密着する、又は該底材に完全に埋没するので、確実な防水性が得られる。
(お)裏布の下方終端部の縫い目付近における水密構造は、ソール部の射出成形だけによって、つまりあらかじめヒートシール、接着またはこれと類似の処理をしなくても、確実に達成されるものである。また、本発明の防水靴は、外観も履き心地も極めて良好であり、高品質で実用性が高い。
本発明の防水靴10は、図1に示すように、表甲1、裏布材21に防水性機能層22を積層してなる裏布2、多孔性中底4を含むアッパー部(I)と、プラスチック製の底材5を射出成形して形成されるソール部(II)とからなり、アッパー部(I)は、防水性機能層22が表面(内袋体の表面)にくるように裏布2を下方終端2−1同士で縫い合わせた内袋体と、表甲1の下方終端1−1を多孔性中底4の周縁部と縫い合わせた外袋体との2重構造を有する。
図中、符号6−2は、裏布2の下方終端2−1同士を縫い合わせる縫糸(縫い目)を、符号6−1は、表甲1の下方終端1−1と多孔性中底4の周縁部とを縫い合わせる縫糸(縫い目)をそれぞれ示す。
また、表甲1に撥水性がない場合、水の吸収が多く、浸透することが多くなる。
これらに対し、本発明では、図1に示すように、裏布2と表甲1とが、それぞれ別々の袋を形成しており、基本的には繋がっていないので、表甲1に浸透した水が直接裏布2側に伝わることがない。
このような多孔性中底として、開孔率が50%以上、好ましくは70%以上のものを用いれば、底材5が浸透通過しやすくなる。
前述した特許文献5,6では、表甲下端と裏布下端とを連結させるバンドの素材として、毛細管現象が起こりやすいマルチフィラメントではなく、モノフィラメントが推奨されているが、本発明の防水靴では、表甲1と裏布2とが下方終端にて連結することなく、それぞれ別々の袋体を形成していることから、表甲1に浸透した水は、裏布2ではなく多孔性中底4に伝わっていくので、モノフィラメントでもマルチフィラメントでもよく、それらを組み合わせたものや、三次元構造布なども用いることができる。
具体的には、ポリエステル製のモノフィラメントとマルチフィラメントとで編んだメッシュ材、モノフィラメントのみで編んだメッシュ材、マルチフィラメントのみで編んだメッシュ材、又はそれらの織布、編布などが挙げられ、素材としては他にナイロン、レーヨン、綿などが挙げられる。また、これらのメッシュ材や織布、編布には、液状の底材5が浸透通過することを阻害しない程度に、必要に応じて、撥水処理や樹脂コーティングなどの表面処理を施したものも使用できる。
例えば、撥水処理剤としては、フッ素系やシリコン系などが用いられる。
また、樹脂コーティングとしては、アクリル、ウレタン、酢酸ビニル、ポリビニルアルコール、ゴム等、繊維に処理できるものは何でもよく、特に制限はしない。このように、多孔性中底4に樹脂コーティングすれば、伸び止め効果が得られる。伸びが大きい素材を使用する場合は、甲部材の設計の際にその大きさを実物よりも小さくする必要があり、伸びが少ない方が良好である。
例えば、図1に示すように、裏布材21に、機能として防水性および水蒸気透過性(透湿性)をもつ層である防水性機能層22を貼り合わせた積層体とすることもできる。
防水性機能層22としては、例えば、防水性のあるポリウレタン等の樹脂フィルム、具体的には、ディアプレックス社製 商品名"ディアプレックス"、東レ社製 商品名"エントラント"などが使用できる。
裏布材21としては、例えば、フレンチパイル、無起毛トリコット、レーヨン、ナイロンなど、履き心地のよい適宜の織布、編布、不織布で構成すればよい。
必要により、裏布材21と防水性機能層22の間に、ウレタンフォームなどを積層させた多層構造としてもよい。また、防水性機能層22の他の表面(内袋体の表面)側に、織布、編布、不織布などの繊維材を張り合わせた多層構造としてもよい。この場合、繊維材が防水性機能層22を保護するので、防水性機能層22が破損して水が浸入するなど、防水性が損なわれることもないので、好ましい。
このような裏布2の厚さは、5〜300μm程度とすればよい。
防水テープとしては、防水性機能層22はもとより射出成形底材5とも接着しやすいタイプを選ぶことはもちろんであるが、必要により、防水テープに、防水性機能層22や底材5と接着しやすくする処理を行ってもよい。
それら縫糸としては、ポリエステル、ナイロン、レーヨン、綿などが挙げられ、マルチフィラメントでもモノフィラメントでもよい。例えば、東レ社製 商品名"テトロン"などを好適に用いることができる。縫糸の太さは、特に限定されず、20番、30番、50番などを用いればよい。
縫い方についても、ジグザグ縫い、伸縮縫い、ロック縫い、ストロベール縫い、本縫いなど特に限定されないが、ジグザグ縫いが好ましい。
図3は、図2に示したアッパー部(I)において、縫糸6−1を部分的にほどき、多孔性中底4を開いた状態を示している。図中の符号1'は表甲1の裏側を、符号4'は多孔性中底4の裏側を示している。
図1〜3において共通あるいは同一の部分は同じ符号で示している。
また、多孔性中底4は、靴底の全面に配置されることになるので、履き心地がよいばかりか、底面全面に均一に底材5が浸透通過し、裏布2の防水性機能層22側の少なくとも下方終端が底材5と密着する、または裏布2の下方終端の縫い目付近が埋没するので、確実な防水性が得られる。
しかも、本発明では、"アッパー部(I)を、裏布2により構成される内袋体と、表甲1により構成される外袋体との2重袋体の構造とすること"と、"多孔性中底4を、前記したような材料から構成すること"により、ラストモールドへの吊り込み時の位置ズレ、シワ・ツレの発生を確実に防止できるので、縫い目6−1の一部が埋没されないということがなく、完全な水密構造が確保でき、しかも、表甲1や裏布2にシワがよることがなく外観良好で、非常に高品質なものが得られる。
この場合、表甲裏側と裏布との連結を全面行うことが一般的である。
これに対し、本発明の防水靴では、アッパー部(I)をラストモールドに吊り込む際に、位置ズレやシワ、ツレが生じにくくするために、アッパー部(I)が、前述の内袋体に前述の外袋体を被せてなり、部分的に一体化されていることが好ましい。部分的に一体化(連結)する手段としては、糊、接着剤などによる貼着が挙げられる。なお、表甲の形状によっては、表甲と裏布との連結は全く行わなくてもよい。
全面に亘って一体化してしまうと、表甲、裏布とそれぞれ別々の袋体とした2重構造によって、それぞれが別々に均等なテンションがかかる様にしているにも拘らず、伸び等の物性が異なる表甲、裏布どちらもそれぞれのテンションの影響を受け、シワ・ツレの発生のもとになりやすい。結果として、アッパー部の位置ズレが生じやすくなり、場合によっては、底材5が浸透通過すべき多孔性中底4の位置ズレが生じる。位置ズレが生じると、射出成形で底材5を形成する際に、多孔性中底4が底材5に全面埋没されず、多孔性中底4の一部が底材5から露出する状態、さらには、裏布の防水性機能層22の下方終端の一部が底材5から露出する状態を招き、水密不良を発生することとなる。
図4(A)に、多孔性中底(非図示)を浸透通過した底材5が、裏布2の下方終端2−1と密着している状態、図4(B)に、多孔性中底(非図示)を浸透通過した底材5が、下方終端部2−1の縫い目6−2の隙間から侵入し、下方終端部2−1が底材5に埋没した状態を示す。すなわち、前述したように、「密着」とは、底材5が裏布2の下方終端2−1の防水性機能層22側に強固に接しているが、裏布2の裏布材21側まで至っていない場合であり、底材と防水性機能層との界面に水が浸透することがない状態である。本発明では、図4(B)に示すように、裏布2の下方終端の縫い目6−2の隙間から底材が侵入し、裏布の下方終端が底材に埋没した状態であってもよい。
これに対し、別途インソールなどを設けて、露出した底材5を見えないようにすることもできるが、図5に示すように、裏布2の防水性機能層22側から防水テープ7を貼ることにより、底材5の露出を事前に防止してもよい。
なお、表甲1と、防水性機能層22を有する裏布2との間に、表甲1から浸透した水がたまる場合があるが、底材5が裏布の下方終端の縫い目6−2付近を完全に密着または埋没しているので、水は靴の内室側に伝わることはない。
本発明の防水靴20は、図6に示すように、表甲1、防水性機能層を有する裏布2、多孔性中底4を含むアッパー部(I)と、プラスチック製の底材5を射出成形して形成されるソール部(II)とからなり、アッパー部(I)が内中底3を有し、裏布2の下方終端2−1を内中底3の周縁部と縫い合わせた内袋体と、表甲1の下方終端1−1を多孔性中底4の周縁部と縫い合わせた外袋体との2重袋体の構造を有する。この実施形態においても、裏布2と表甲1とが、それぞれ別々に袋体になっていて、基本的につながっていないので、表甲1に浸透した水が直接的に裏布2側に伝わることがない。
なお、本実施形態においても、理論的には、内袋体と外袋体とを別々にラストモールドへ吊り込むことも可能であるが、作業性を考慮すると、表甲1と裏布2とは、それぞれの上方終端(例えば、履き口など)において、互いに連結(縫合)していてもよく、その場合に、ラストモールドに吊り込む際にテンションのかからない部分のみを貼り合わせておいてもよいことはもちろんである。
図6中、図1〜5と共通あるいは同一の部分は同じ符号で示している。
このような内中底を設けることで、別途インソールなどを設けずとも、履き心地をより快適なものにすることができる。
図7は、本実施形態のアッパー部(I)において、縫糸6−1を部分的にほどき、多孔性中底4を開いた状態である。図中の符号1'は表甲1の裏側を、符号4'(斜線部)は多孔性中底4の裏側を示す。
このように、内中底3も、前記した多孔性中底4と同様、上記のような平面の材料を通常の中底の形状にカットするだけでよく(テープ状などに加工し直す必要がない)、縫製作業においても、通常の中底付け作業を2回実施する(すなわち、内中底3の周縁部と裏布2との縫合6−2と、多孔性中底4の周縁部と表甲との縫合6−1)だけで済むので、非常に簡便である。よって、本発明の防水靴は、図6に示す実施形態にあっても、高品質なものを、容易に製造できる。
さらに、図6からも明らかなように、射出された底材5により、表甲1、縫糸6−1、多孔性中底4は、ソール部(II)では、裏布2、縫糸6−2、内中底3と接していない。すなわち、水は、表甲1から、縫糸6−1を介して多孔性中底4に伝わる可能性はあるが、底材5の存在により、裏布2、縫糸6−2、内中底3には伝わらず、それらに浸透する通路の遮断が達成されている。
このため、裏布2を下方終端2−1同士で縫い合わせる位置、または、裏布2の下方終端2−1を内中底3の周縁部と縫い合わせる位置を、サイドモールド嵌合部よりソール部(II)側にすることで、プラスチック製の底材が、縫い合わせ部分である裏布の防水性機能層側の下方終端に密着した状態、または下方終端が埋没している状態にすることが、容易かつ確実となり、水密構造が形成しやすい。
なお、モールドの形状により、裏布と表甲との間に、射出された液状の底材が浸透しにくい場合は、裏布を下方終端同士で縫い合わせる位置、または裏布の下方終端を内中底の周縁部と縫い合わせる位置を、表甲の下方終端と多孔性中底の周縁部との縫合部(縫い目)より、ラストモールド底面中心側(内側)に設置すれば、底材が裏布の防水性機能層側の下方終端に密着している状態、または下方終端が埋没している状態となりやすく、望ましい。
図8に示すように、本発明の防水靴では、図1や図6の内袋体(すなわち、裏布2)において、必要に応じて、ラストモールド底面側(例えば、踵部など)に、衝撃緩衝材などの機能素材等を配置させるための穴hを形成してもよい。この場合、穴hの周縁部が、表甲の下方終端と多孔性中底の周縁部との縫合部(縫い目)より、ラストモールド底面中心側(内側)であって、液状の底材により埋没しやすい位置であれば、防水性に問題は生じない。
このように、内袋体の底面側の一部に穴が空いた状態でも、上記したように、穴の場所を適切な位置に設定することで、防水性に問題が生じることもなく、しかも、一部に穴を開けることで、内袋体に掛かるテンションの更なる緩和が生じ、アッパー部のラストモールドへの吊り込み時の位置ズレやシワ、ツレが生じにくくなる傾向にある。
ちなみに、寸法のバラツキ等により内袋体が少し小さくなってしまった場合には、アッパー部のラストモールドへの吊り込みの際、内袋体にテンションがかかりすぎることがあるが、一部に穴が開いているため、その穴の部分が広がりテンションを緩和し、防水テープの切れ、裏布の切れ、防水性機能層の破れ等の発生を予防することにもなる。
図1および図6に示す実施形態の防水靴10,20において、底材5の射出成形を行ったところ、いずれのアッパー部(I)も、位置ズレが生じることなく、正常な状態でソール部(II)が形成され、しかも得られた防水靴の表甲1や裏布2にシワがよることがなく、履き心地に優れるものであった。
このように本発明によれば、アッパー部(I)を、裏布2により構成される内袋体と、表甲1により構成される外袋体との2重袋体の構造とすることにより、ラストモールドへの吊り込み時の位置ズレ、シワ・ツレの発生を確実に防止できるので、防水靴としたときに、外観や履き心地が良好で、非常に高品質なものが得られると言える。
図1および図6に示す実施形態の防水靴10,20について、それぞれ、接地面から4cmの高さまで水に浸した状態を8時間継続させた。なお、このとき、ソール部(II)は完全に水没している状態である。その結果、いずれの防水靴10,20も、靴内部への水の染み込みを確実に防止できる十分な防水性を備えていることがわかった。
このように本発明の防水靴では、例えば、雨天時や水溜りなどの歩行に際して、表甲1から水が染み込むことがあっても、染み込んだ水は、防水性機能層を有する裏布2により確実に遮断されるか、あるいは、表甲1に沿ってソール部(II)の方へと這い伝わったとしても、裏布の防水性機能層22側の少なくとも下方終端の縫い目付近において完全な水密構造が形成されているので、靴下が濡れるような不快感が生じることはないと言える。
したがって、ブーツをはじめとして、オックスフォード・タイプのシューズやスリッポン・タイプのシューズなどにも好適なものである。
1−1 表甲の下方終端
2 裏布
2−1 裏布の下方終端
21 裏布材 22 防水性機能層
3 内中底
4 多孔性中底 4' 多孔性中底の裏側
5 底材 55 ソールエッジ
6−1,6−2 縫糸(縫い目)
7 防水テープ
10,20 防水靴
(I) アッパー部
(II) ソール部
h 穴
Claims (4)
- 表甲、防水性機能層を有する裏布、中底を含むアッパー部(I)と、プラスチック製の底材を射出成形して形成されるソール部(II)とからなる防水靴であって、
前記アッパー部(I)は、前記裏布を下方終端同士で縫い合わせた内袋体と、前記表甲の下方終端を前記中底の周縁部と縫い合わせた外袋体との2重袋体の構造を有し、
該中底は、射出成形された液状の底材が浸透通過することができる開口率が50%以上の多孔性材料により構成され、かつ靴底の全面に配置され、
前記ソール部(II)は、前記プラスチック製の底材が、射出成形によって、前記多孔性材料からなる中底の下方から中底内を浸透通過し、前記裏布の防水性機能層側の少なくとも下方終端と密着するように形成されていることを特徴とする防水靴。 - さらに、前記アッパー部(I)が内中底を有し、裏布の下方終端を該内中底の周縁部と縫い合わせた内袋体であり、
前記ソール部(II)は、前記プラスチック製の底材が、射出成形によって、前記多孔性材料からなる中底の下方から中底内を浸透通過し、前記裏布の防水性機能層側の少なくとも下方終端と前記内中底の周縁部に密着するように形成されていることを特徴とする請求項1に記載の防水靴。 - 前記アッパー部(I)が、前記内袋体に前記外袋体を被せてなり、部分的に一体化されていることを特徴とする請求項1または2に記載の防水靴。
- 裏布を下方終端同士で縫い合わせる位置、または、裏布の下方終端を内中底の周縁部と縫い合わせる位置を、サイドモールド嵌合部よりソール部(II)側にすることを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項に記載の防水靴。
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