JP3140144B2 - 冷却剤 - Google Patents
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- JP3140144B2 JP3140144B2 JP4974292A JP4974292A JP3140144B2 JP 3140144 B2 JP3140144 B2 JP 3140144B2 JP 4974292 A JP4974292 A JP 4974292A JP 4974292 A JP4974292 A JP 4974292A JP 3140144 B2 JP3140144 B2 JP 3140144B2
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Description
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は冷却剤に関し、さら詳細
には優れた冷却性能を有すると同時に使用中に万一冷却
剤を収納した外袋が破れても薬液が飛散する恐れのない
冷却剤に関する。
には優れた冷却性能を有すると同時に使用中に万一冷却
剤を収納した外袋が破れても薬液が飛散する恐れのない
冷却剤に関する。
【0002】従来、電源などを必要としない携帯用冷却
材料として蓄熱容量の大きい物質を用いた蓄冷材および
2種以上の薬剤を混合する際に生ずる吸熱を利用した冷
却剤が知られており、人体、食品などの簡易冷却用とし
て普及しつつある。このうち蓄冷剤は使用前に冷蔵庫や
冷凍庫などであらかじめ冷却する必要がある。一方、後
者の冷却剤は事前の冷却操作を必要とせず、使用時に薬
剤を混合するだけで冷却効果が得られるので便利であ
る。
材料として蓄熱容量の大きい物質を用いた蓄冷材および
2種以上の薬剤を混合する際に生ずる吸熱を利用した冷
却剤が知られており、人体、食品などの簡易冷却用とし
て普及しつつある。このうち蓄冷剤は使用前に冷蔵庫や
冷凍庫などであらかじめ冷却する必要がある。一方、後
者の冷却剤は事前の冷却操作を必要とせず、使用時に薬
剤を混合するだけで冷却効果が得られるので便利であ
る。
【0003】このような冷却剤としては無機アンモニウ
ム塩と水とを組合せたもの、あるいは無機塩類と結晶水
を保有する塩類とを組合せたものがよく知られている。
無機アンモニウム塩としては硝酸アンモニウム、塩化ア
ンモニウム、硫酸アンモニウム、臭化アンモニウムなど
が使用される。また、結晶水を保有する塩としては炭酸
ナトリウム10水和物、炭酸ナトリウム7水和物、硫酸
ナトリウム10水和物、燐酸2ナトリウム12水和物な
どが知られているが、さらに優れた冷却性能が得られる
結晶水を保有する塩として本発明者らによる水酸化スト
ロンチウム8水和物またはこれにメタ珪酸ナトリウム9
水和物などを併用した冷却剤がある(特願平03−10
4013号)。
ム塩と水とを組合せたもの、あるいは無機塩類と結晶水
を保有する塩類とを組合せたものがよく知られている。
無機アンモニウム塩としては硝酸アンモニウム、塩化ア
ンモニウム、硫酸アンモニウム、臭化アンモニウムなど
が使用される。また、結晶水を保有する塩としては炭酸
ナトリウム10水和物、炭酸ナトリウム7水和物、硫酸
ナトリウム10水和物、燐酸2ナトリウム12水和物な
どが知られているが、さらに優れた冷却性能が得られる
結晶水を保有する塩として本発明者らによる水酸化スト
ロンチウム8水和物またはこれにメタ珪酸ナトリウム9
水和物などを併用した冷却剤がある(特願平03−10
4013号)。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】これらの冷却剤はいず
れも薬剤の混合による吸熱反応が進むにつれて元の粉末
や粒状などの固体状から液状となるため、薬液が袋の中
で移動して不安定になるばかりでなく短時間で温度が上
昇するという不都合があり、また、アンモニアの生成に
よってPHが10前後と高くなるため、使用中または使
用後に誤って袋が破損したときにアンモニアを含む薬液
が飛散し、皮膚に付着したり目に入るなどの恐れがあっ
た。このため必要に応じ、でんぷん、カルボキシメチル
セルローズ、アルギン酸、ゼラチンなどの増粘剤やでん
ぷん−アクリル酸グラフト共重合物、マレイン酸共重合
物、ポリビニルアルコールなどの高分子保水剤を添加す
るなどの試みがおこなわれている。しかしながら、増粘
剤や高分子保水剤を用いた場合には十分な増粘効果吸水
効果が得られなかったり、その種類によっては冷却性能
が著しく阻害されるなどの欠点があるため、十分な冷却
性能を有するとともに安全性の高い冷却剤を得ることは
できなかった。
れも薬剤の混合による吸熱反応が進むにつれて元の粉末
や粒状などの固体状から液状となるため、薬液が袋の中
で移動して不安定になるばかりでなく短時間で温度が上
昇するという不都合があり、また、アンモニアの生成に
よってPHが10前後と高くなるため、使用中または使
用後に誤って袋が破損したときにアンモニアを含む薬液
が飛散し、皮膚に付着したり目に入るなどの恐れがあっ
た。このため必要に応じ、でんぷん、カルボキシメチル
セルローズ、アルギン酸、ゼラチンなどの増粘剤やでん
ぷん−アクリル酸グラフト共重合物、マレイン酸共重合
物、ポリビニルアルコールなどの高分子保水剤を添加す
るなどの試みがおこなわれている。しかしながら、増粘
剤や高分子保水剤を用いた場合には十分な増粘効果吸水
効果が得られなかったり、その種類によっては冷却性能
が著しく阻害されるなどの欠点があるため、十分な冷却
性能を有するとともに安全性の高い冷却剤を得ることは
できなかった。
【0005】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、これらの
課題に対処し、優れた冷却性能を有するとともに薬液が
飛散することがなく、安全性の高い冷却剤を得るべく研
鑽を重ねた結果、無機アンモニウム塩と、水酸化ストロ
ンチウム8水和物及び/またはメタ珪酸ナトリウム9水
和物からなる冷却材に、架橋構造を持たない高分子凝集
剤を用いることによってこれらの目的を達成しうること
を見い出し、本発明に到達した。すなわち本発明は、無
機アンモニウム塩と、結晶水を保有する塩として水酸化
ストロンチウム8水和物及び/またはメタ珪酸ナトリウ
ム9水和物を混合することにより吸熱を生ずる冷却剤で
あって、無機アンモニウム塩または該結晶水を保有する
塩のいずれか一方または双方に架橋構造を持たない高分
子凝集剤が添加されてなることを特徴とする冷却剤であ
る。
課題に対処し、優れた冷却性能を有するとともに薬液が
飛散することがなく、安全性の高い冷却剤を得るべく研
鑽を重ねた結果、無機アンモニウム塩と、水酸化ストロ
ンチウム8水和物及び/またはメタ珪酸ナトリウム9水
和物からなる冷却材に、架橋構造を持たない高分子凝集
剤を用いることによってこれらの目的を達成しうること
を見い出し、本発明に到達した。すなわち本発明は、無
機アンモニウム塩と、結晶水を保有する塩として水酸化
ストロンチウム8水和物及び/またはメタ珪酸ナトリウ
ム9水和物を混合することにより吸熱を生ずる冷却剤で
あって、無機アンモニウム塩または該結晶水を保有する
塩のいずれか一方または双方に架橋構造を持たない高分
子凝集剤が添加されてなることを特徴とする冷却剤であ
る。
【0006】本発明において、少なくとも無機アンモニ
ウム塩と、結晶水を保有する塩として水酸化ストロンチ
ウム8水和物及び/またはメタ珪酸ナトリウム9水和物
が用いられ、これに架橋構造を持たない高分子凝集剤が
添加される。本発明に用いられる高分子凝集剤は、同じ
電解質高分子であっても、架橋構造を持ち水にほとんど
溶解しない高分子保水剤に対し、橋かけ構造がなく任意
の水に溶解しうる点で高分子保水剤とは基本的に異なる
物質である。本発明に用いられる高分子凝集剤にはカチ
オン系、アニオン系およびノニオン系がありその種類に
は特に制限はないが、アンモニアなどのアルカリ系にお
いても凝集効果が大きいことなどから、カチオン系より
もアニオンまたはノニオン系のものが一般的に好まし
い。アニオン系の高分子凝集剤としては、例えばポリア
クリル酸ソーダ、アクリルアミド−アクリル酸ソーダ共
重合物、ポリアクリルアミド部分加水分解物などがあ
り、市販品では例えば、コーナンフロックZH−90
0、ZH−860、ZH−850S(以上、興南化学
(株)製)、ダイヤフロックAP−825、A−52
0、AP−410、AP−410H(以上、ダイヤフロ
ック(株)製)、サンフロックAH−400、AH−2
025P、AM−170P、AL−130P、AS−1
10P、AA−300P(以上、三洋化成(株)製)、
FA−70、FA−50、FA−40、FA−30(以
上、住友化学(株)製)などがある。また、ノニオン系
のものとしては、例えばポリアクリルアミド、ポリエチ
レンオキサイドなどがあり、市販品ではコーナンフロッ
クZH−750S、ZH−760、ZH−760K、ダ
イヤフロックNP−800L、NP−800、NP−8
00N、サンフロックN−505P、N−500P、ス
ミフロックFA−20、FA−15、FN−10H、F
N−10Pなどが挙げられる。高分子凝集剤はこれらの
1種を用いてもよく、また、2種以上を併用してもよ
い。
ウム塩と、結晶水を保有する塩として水酸化ストロンチ
ウム8水和物及び/またはメタ珪酸ナトリウム9水和物
が用いられ、これに架橋構造を持たない高分子凝集剤が
添加される。本発明に用いられる高分子凝集剤は、同じ
電解質高分子であっても、架橋構造を持ち水にほとんど
溶解しない高分子保水剤に対し、橋かけ構造がなく任意
の水に溶解しうる点で高分子保水剤とは基本的に異なる
物質である。本発明に用いられる高分子凝集剤にはカチ
オン系、アニオン系およびノニオン系がありその種類に
は特に制限はないが、アンモニアなどのアルカリ系にお
いても凝集効果が大きいことなどから、カチオン系より
もアニオンまたはノニオン系のものが一般的に好まし
い。アニオン系の高分子凝集剤としては、例えばポリア
クリル酸ソーダ、アクリルアミド−アクリル酸ソーダ共
重合物、ポリアクリルアミド部分加水分解物などがあ
り、市販品では例えば、コーナンフロックZH−90
0、ZH−860、ZH−850S(以上、興南化学
(株)製)、ダイヤフロックAP−825、A−52
0、AP−410、AP−410H(以上、ダイヤフロ
ック(株)製)、サンフロックAH−400、AH−2
025P、AM−170P、AL−130P、AS−1
10P、AA−300P(以上、三洋化成(株)製)、
FA−70、FA−50、FA−40、FA−30(以
上、住友化学(株)製)などがある。また、ノニオン系
のものとしては、例えばポリアクリルアミド、ポリエチ
レンオキサイドなどがあり、市販品ではコーナンフロッ
クZH−750S、ZH−760、ZH−760K、ダ
イヤフロックNP−800L、NP−800、NP−8
00N、サンフロックN−505P、N−500P、ス
ミフロックFA−20、FA−15、FN−10H、F
N−10Pなどが挙げられる。高分子凝集剤はこれらの
1種を用いてもよく、また、2種以上を併用してもよ
い。
【0007】高分子凝集剤は単独で小袋などに充填した
状態で他の薬剤とともに外袋などに収納してもよいが、
通常は無機アンモニウム塩または結晶水を保有する塩の
いずれかまたは双方に添加して用いられ、特に無機アン
モニウム塩に添加することが好ましい。添加量は無機ア
ンモニウム塩および結晶水を保有する塩の種類、割合な
どによって異なり一概に特定はできないが、高分子凝集
剤を含む冷却剤の全重量に対し、通常は0.01〜10
%、好ましくは0.05〜5%とされる。例えば、結晶
水を保有する塩にメタ珪酸ナトリウム9水和物を使用し
たときにはアンモニウム塩との吸熱反応中に生成する二
酸化珪素が凝集作用を助成するので高分子凝集剤の添加
量は幾分少なめでよい。また、市販の高分子凝集剤は一
般的には粒状のものが多く、これらをそのまま使用して
もよいが、さらに細かく砕いて使用してもよい。
状態で他の薬剤とともに外袋などに収納してもよいが、
通常は無機アンモニウム塩または結晶水を保有する塩の
いずれかまたは双方に添加して用いられ、特に無機アン
モニウム塩に添加することが好ましい。添加量は無機ア
ンモニウム塩および結晶水を保有する塩の種類、割合な
どによって異なり一概に特定はできないが、高分子凝集
剤を含む冷却剤の全重量に対し、通常は0.01〜10
%、好ましくは0.05〜5%とされる。例えば、結晶
水を保有する塩にメタ珪酸ナトリウム9水和物を使用し
たときにはアンモニウム塩との吸熱反応中に生成する二
酸化珪素が凝集作用を助成するので高分子凝集剤の添加
量は幾分少なめでよい。また、市販の高分子凝集剤は一
般的には粒状のものが多く、これらをそのまま使用して
もよいが、さらに細かく砕いて使用してもよい。
【0008】本発明に用いられる無機アンモニウム塩と
しては、例えば硝酸アンモニウム、硫酸アンモニウム、
酸性硫酸アンモニウム、燐酸アンモニウム、燐酸水素2
アンモニウム、メタバナジン酸アンモニウム、塩化アン
モニウム、臭化アンモニウム、沃化アンモニウムなどで
あり、これらのうちでも硝酸アンモニウム、塩化アンモ
ニウム、臭化アンモニウムなどが好ましい。これらの無
機アンモニウム塩は単独で用いてもよく、また、2種以
上を併用してもよい。
しては、例えば硝酸アンモニウム、硫酸アンモニウム、
酸性硫酸アンモニウム、燐酸アンモニウム、燐酸水素2
アンモニウム、メタバナジン酸アンモニウム、塩化アン
モニウム、臭化アンモニウム、沃化アンモニウムなどで
あり、これらのうちでも硝酸アンモニウム、塩化アンモ
ニウム、臭化アンモニウムなどが好ましい。これらの無
機アンモニウム塩は単独で用いてもよく、また、2種以
上を併用してもよい。
【0009】本発明において、無機アンモニウム塩とと
もに結晶水を保有する塩として水酸化ストロンチウム8
水和物、メタ珪酸ナトリウム9水和物が使用される。こ
れらのうちでもとりわけ優れた冷却性能が得られること
から水酸化ストロンチウム8水和物単独または水酸化ス
トロンチウム8水和物を主成分とし、その他の結晶水を
保有する塩を併用したものが好ましく、併用の場合には
メタ珪酸ナトリウム9水和物を用いることが特に好まし
い。
もに結晶水を保有する塩として水酸化ストロンチウム8
水和物、メタ珪酸ナトリウム9水和物が使用される。こ
れらのうちでもとりわけ優れた冷却性能が得られること
から水酸化ストロンチウム8水和物単独または水酸化ス
トロンチウム8水和物を主成分とし、その他の結晶水を
保有する塩を併用したものが好ましく、併用の場合には
メタ珪酸ナトリウム9水和物を用いることが特に好まし
い。
【0010】無機アンモニウム塩と結晶水を保有する塩
との混合比率は、通常は重量比で1対0.1〜10.
0、好ましくは1対0.25〜4.0、より好ましくは
1対0.5〜2.0である。また、水酸化ストロンチウ
ム8水和物を用いる場合には、結晶水を保有する塩全体
に対する水酸化ストロンチウム8水和物の重量割合とし
ては、通常は10%以上、好ましくは30%以上であ
る。本発明の冷却剤は無機アンモニウム塩または結晶水
を保有する塩に高分子凝集剤添加し、両者をそれぞれ別
の容器に保存し、使用時にこれらを取り出して混合して
もよいが、携帯用などとする場合には、通常は取り除き
が容易な隔離手段を有する1つの袋、容器などに両者を
隔離して収納した状態で保存される。隔離手段として
は、例えば、一方の薬剤を外部から衝撃を加えることに
よって容易に破ることができる小袋内に充填し、他方の
薬剤とともに外袋に密封する形態、袋の中央部などに外
から引っ張ることなどによって容易に剥がれるシール機
構を設けるかあるいはクリップで挟むなどで袋内を2分
し、その左右にそれぞれ薬剤を収納して密封する形態な
どがある。これらの冷却剤を充填した冷却袋の使用時に
は、この隔離手段を取り除いて両者を混合することによ
って薬剤は互いに反応し、液状化が進行して冷却が開始
され、冷却目的に供せられるが、本発明の冷却剤では、
反応によって生成した水と高分子凝集剤によって冷却剤
全体がゲル状化する。
との混合比率は、通常は重量比で1対0.1〜10.
0、好ましくは1対0.25〜4.0、より好ましくは
1対0.5〜2.0である。また、水酸化ストロンチウ
ム8水和物を用いる場合には、結晶水を保有する塩全体
に対する水酸化ストロンチウム8水和物の重量割合とし
ては、通常は10%以上、好ましくは30%以上であ
る。本発明の冷却剤は無機アンモニウム塩または結晶水
を保有する塩に高分子凝集剤添加し、両者をそれぞれ別
の容器に保存し、使用時にこれらを取り出して混合して
もよいが、携帯用などとする場合には、通常は取り除き
が容易な隔離手段を有する1つの袋、容器などに両者を
隔離して収納した状態で保存される。隔離手段として
は、例えば、一方の薬剤を外部から衝撃を加えることに
よって容易に破ることができる小袋内に充填し、他方の
薬剤とともに外袋に密封する形態、袋の中央部などに外
から引っ張ることなどによって容易に剥がれるシール機
構を設けるかあるいはクリップで挟むなどで袋内を2分
し、その左右にそれぞれ薬剤を収納して密封する形態な
どがある。これらの冷却剤を充填した冷却袋の使用時に
は、この隔離手段を取り除いて両者を混合することによ
って薬剤は互いに反応し、液状化が進行して冷却が開始
され、冷却目的に供せられるが、本発明の冷却剤では、
反応によって生成した水と高分子凝集剤によって冷却剤
全体がゲル状化する。
【0011】
実施例1 厚さ50ミクロンで100×200mmの長方形に裁断
した無色透明ポリエチレンフィルム2枚を重ね合わせ、
両長辺をそれぞれ5mm巾で熱シールして両端が開口し
た扁平状の袋を製作した。この袋の中央部を直径6m
m、長さ130mmの金属性の棒状クリップを用いて長
辺に対し直角方向に挟んで袋内を2つに仕切った。袋の
一方の開口部から薬剤Aとしてアニオン系の高分子凝集
剤、サンフロックAH−2025P(三洋化成工業
(株)製)2gを添加した硝酸アンモニウム40gを入
れ、他方の開口部から薬剤Bとして水酸化ストロンチウ
ム8水和物40gとメタ珪酸ナトリウム9水和物20g
の混合物を入れ、それぞれの開口部を熱シールして密封
し、冷却剤のサンプルとした。次に、雰囲気温度を30
℃とした室内空間で、このサンプルの棒状クリップを取
り外し、手に持って軽く振りながら薬剤AおよびBを混
合した。その結果、反応開始とともに袋の温度が低下
し、約5分後には−10℃に達した。その後温度は徐々
に上昇したが10℃に達するまでの冷却持続時間は60
分であった。生成した水は高分子凝集剤と順次作用し、
内容物が不安定に移動することがなく、反応終了25分
後には内容物は完全にゲル状化していた。 また、袋内
のアンモニア濃度を測定したところ約2%であり、袋を
切り裂いて見たが、液が飛散することなくアンモニア臭
も小さかった。
した無色透明ポリエチレンフィルム2枚を重ね合わせ、
両長辺をそれぞれ5mm巾で熱シールして両端が開口し
た扁平状の袋を製作した。この袋の中央部を直径6m
m、長さ130mmの金属性の棒状クリップを用いて長
辺に対し直角方向に挟んで袋内を2つに仕切った。袋の
一方の開口部から薬剤Aとしてアニオン系の高分子凝集
剤、サンフロックAH−2025P(三洋化成工業
(株)製)2gを添加した硝酸アンモニウム40gを入
れ、他方の開口部から薬剤Bとして水酸化ストロンチウ
ム8水和物40gとメタ珪酸ナトリウム9水和物20g
の混合物を入れ、それぞれの開口部を熱シールして密封
し、冷却剤のサンプルとした。次に、雰囲気温度を30
℃とした室内空間で、このサンプルの棒状クリップを取
り外し、手に持って軽く振りながら薬剤AおよびBを混
合した。その結果、反応開始とともに袋の温度が低下
し、約5分後には−10℃に達した。その後温度は徐々
に上昇したが10℃に達するまでの冷却持続時間は60
分であった。生成した水は高分子凝集剤と順次作用し、
内容物が不安定に移動することがなく、反応終了25分
後には内容物は完全にゲル状化していた。 また、袋内
のアンモニア濃度を測定したところ約2%であり、袋を
切り裂いて見たが、液が飛散することなくアンモニア臭
も小さかった。
【0012】実施例2 高分子凝集剤としてアニオン系高分子凝集剤を用いる代
わりにノニオン系の高分子凝集剤としてスミフロックF
N−10H(住友化学(株)製)を0.5g添加した他
は実施例1と同様の冷却袋を制作し、同様の条件で冷却
試験をおこなった。その結果、反応開始とともに袋の温
度が低下し、約5分後には−10℃に達した。その後温
度は徐々に上昇したが10℃に達するまでの冷却持続時
間は60分であった。生成した水は高分子凝集剤と順次
作用し、反応終了25分後には内容物は完全にゲル状化
していた。また、袋内のアンモニア濃度を測定したとこ
ろ約1.5%であり、袋を切り裂いて見たが、液が飛散
することなくアンモニア臭も小さかった。
わりにノニオン系の高分子凝集剤としてスミフロックF
N−10H(住友化学(株)製)を0.5g添加した他
は実施例1と同様の冷却袋を制作し、同様の条件で冷却
試験をおこなった。その結果、反応開始とともに袋の温
度が低下し、約5分後には−10℃に達した。その後温
度は徐々に上昇したが10℃に達するまでの冷却持続時
間は60分であった。生成した水は高分子凝集剤と順次
作用し、反応終了25分後には内容物は完全にゲル状化
していた。また、袋内のアンモニア濃度を測定したとこ
ろ約1.5%であり、袋を切り裂いて見たが、液が飛散
することなくアンモニア臭も小さかった。
【0013】実施例3 高分子凝集剤としてノニオン系の高分子凝集剤として実
施例2で使用したスミフロックFN−10Hをさらに細
かくして250meshとしたFN−10Pを0.5g
添加した他は実施例1と同様の冷却袋を制作し、同様の
条件で冷却試験をおこなった。その結果、反応開始とと
もに袋の温度が低下し、約5分後には−10℃に達し
た。その後温度は徐々に上昇したが10℃に達するまで
の冷却持続時間は60分であった。生成した水は高分子
凝集剤と作用して粘度が上昇し、内容物が不安定に移動
することがなく、反応終了10分後には完全にゲル状化
していた。また、袋内のアンモニア濃度を測定したとこ
ろ約1.5%であり、袋を切り裂いて見たが、液が飛散
することなくアンモニア臭も僅かであった。
施例2で使用したスミフロックFN−10Hをさらに細
かくして250meshとしたFN−10Pを0.5g
添加した他は実施例1と同様の冷却袋を制作し、同様の
条件で冷却試験をおこなった。その結果、反応開始とと
もに袋の温度が低下し、約5分後には−10℃に達し
た。その後温度は徐々に上昇したが10℃に達するまで
の冷却持続時間は60分であった。生成した水は高分子
凝集剤と作用して粘度が上昇し、内容物が不安定に移動
することがなく、反応終了10分後には完全にゲル状化
していた。また、袋内のアンモニア濃度を測定したとこ
ろ約1.5%であり、袋を切り裂いて見たが、液が飛散
することなくアンモニア臭も僅かであった。
【0014】比較例1 高分子凝集剤を添加しなかった他は実施例1と同様の冷
却剤を用い、実施例1と同様の条件で冷却試験をおこな
った。その結果、反応により袋の温度が低下し、約5分
後に−10℃に達した。その後温度は徐々に上昇した
が、10℃に達するまでの冷却持続時間は60分であっ
た。冷却中は生成した水によって内容物は液状化し、内
容物が不安定に移動するため不快感を生じた。また、反
応終了後も液状のままであり、防災面を着用して袋を切
り裂くと液が飛びだし、強いアンモニア臭が発生した。
このときのアンモニア濃度を測定したところ約5%であ
った。
却剤を用い、実施例1と同様の条件で冷却試験をおこな
った。その結果、反応により袋の温度が低下し、約5分
後に−10℃に達した。その後温度は徐々に上昇した
が、10℃に達するまでの冷却持続時間は60分であっ
た。冷却中は生成した水によって内容物は液状化し、内
容物が不安定に移動するため不快感を生じた。また、反
応終了後も液状のままであり、防災面を着用して袋を切
り裂くと液が飛びだし、強いアンモニア臭が発生した。
このときのアンモニア濃度を測定したところ約5%であ
った。
【0015】比較例2 実施例1と同様な冷却剤で、高分子凝集剤の代わりに高
分子保水剤としてスミカゲルS−50(住友化学(株)
製)を45g添加した冷却剤を用い、実施例1と同様の
条件で冷却試験をおこなった。その結果、反応により袋
の温度が低下したが最低温度は0℃であり、10℃に上
昇するまでの冷却持続時間は30分であった。また、内
容物の粘度は若干上昇しが、反応終了後も溶液状のまま
でゲル状化しなかった。また、袋を切り裂くと液は特に
飛散しなかったが、強いアンモニア臭が感じられた。こ
のときのアンモニア濃度を測定したところ約4%であっ
た。
分子保水剤としてスミカゲルS−50(住友化学(株)
製)を45g添加した冷却剤を用い、実施例1と同様の
条件で冷却試験をおこなった。その結果、反応により袋
の温度が低下したが最低温度は0℃であり、10℃に上
昇するまでの冷却持続時間は30分であった。また、内
容物の粘度は若干上昇しが、反応終了後も溶液状のまま
でゲル状化しなかった。また、袋を切り裂くと液は特に
飛散しなかったが、強いアンモニア臭が感じられた。こ
のときのアンモニア濃度を測定したところ約4%であっ
た。
【0016】比較例3 実施例1と同様な冷却剤で、高分子凝集剤の代わりに高
分子保水剤としてアクアキープET(住友精化(株)
製)を8g添加した冷却剤を用い、実施例1と同様の条
件で冷却試験をおこなった。その結果、反応により袋の
温度が低下したが最低温度は−5℃であり、10℃に上
昇するまでの時間は40分であった。また、反応終了後
の内容物は比較例1に比べて若干粘度が高かったが、溶
液状のままでゲル状化しなかった。また、袋を切り裂く
と液は特に飛散しなかったが、強いアンモニア臭が感じ
られた。このときのアンモニア濃度を測定したところ約
5.5%であった。
分子保水剤としてアクアキープET(住友精化(株)
製)を8g添加した冷却剤を用い、実施例1と同様の条
件で冷却試験をおこなった。その結果、反応により袋の
温度が低下したが最低温度は−5℃であり、10℃に上
昇するまでの時間は40分であった。また、反応終了後
の内容物は比較例1に比べて若干粘度が高かったが、溶
液状のままでゲル状化しなかった。また、袋を切り裂く
と液は特に飛散しなかったが、強いアンモニア臭が感じ
られた。このときのアンモニア濃度を測定したところ約
5.5%であった。
【0017】比較例4 実施例1と同様な冷却剤で、高分子凝集剤の代わりに高
分子保水剤としてKIゲル(クラレ(株)製)を25g
添加した冷却剤を用い、実施例1と同様の条件で冷却試
験をおこなった。その結果、反応により袋の温度が低下
したが最低温度は8℃であり、10℃に上昇するまでの
時間は5分であった。また、反応終了後の内容物は比較
例1に比べて幾分粘度が高かったが、溶液状のままでゲ
ル状化しなかった。また、袋を切り裂くと液は特に飛散
しなかったが、強いアンモニア臭が感じられた。このと
きのアンモニア濃度を測定したところ約3.5%であっ
た。
分子保水剤としてKIゲル(クラレ(株)製)を25g
添加した冷却剤を用い、実施例1と同様の条件で冷却試
験をおこなった。その結果、反応により袋の温度が低下
したが最低温度は8℃であり、10℃に上昇するまでの
時間は5分であった。また、反応終了後の内容物は比較
例1に比べて幾分粘度が高かったが、溶液状のままでゲ
ル状化しなかった。また、袋を切り裂くと液は特に飛散
しなかったが、強いアンモニア臭が感じられた。このと
きのアンモニア濃度を測定したところ約3.5%であっ
た。
【0018】
【発明の効果】本発明の冷却剤は、無機アンモニウム塩
と、結晶水を保有する塩として水酸化ストロンチウム8
水和物及び/またはメタ珪酸ナトリウム9水和物を混合
する冷却剤に、架橋構造を持たない高分子凝集剤を添加
することによって、反応中に生成する水と前記高分子凝
集剤との作用によって全体がゲル状化するため、液状化
した薬剤が袋のなかで不安定に移動することがなく、ま
た、万一袋が破袋しても内容物が飛び散って目に入った
り皮膚に付着したりすることがなく、アンモニア濃度お
よび臭気が低く安全で、しかも優れた冷却性能を有する
ものである。
と、結晶水を保有する塩として水酸化ストロンチウム8
水和物及び/またはメタ珪酸ナトリウム9水和物を混合
する冷却剤に、架橋構造を持たない高分子凝集剤を添加
することによって、反応中に生成する水と前記高分子凝
集剤との作用によって全体がゲル状化するため、液状化
した薬剤が袋のなかで不安定に移動することがなく、ま
た、万一袋が破袋しても内容物が飛び散って目に入った
り皮膚に付着したりすることがなく、アンモニア濃度お
よび臭気が低く安全で、しかも優れた冷却性能を有する
ものである。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 我妻 直人 神奈川県平塚市田村5181番地 日本パイ オニクス株式会社 平塚工場内 審査官 藤原 浩子 (56)参考文献 特開 昭56−103274(JP,A) 特開 昭63−234082(JP,A) 特開 平2−173102(JP,A) 特開 昭57−63305(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) C09K 5/00 - 5/18 CA(STN)
Claims (6)
- 【請求項1】 無機アンモニウム塩と、結晶水を保有す
る塩として水酸化ストロンチウム8水和物及び/または
メタ珪酸ナトリウム9水和物を混合することにより吸熱
を生ずる冷却剤であって、無機アンモニウム塩または該
結晶水を保有する塩のいずれか一方または双方に架橋構
造を持たない高分子凝集剤が添加されてなることを特徴
とする冷却剤。 - 【請求項2】 高分子凝集剤の添加量が冷却剤の全重量
に対し、0.01〜10%である請求項1に記載の冷却
剤。 - 【請求項3】 高分子凝集剤がアニオン系の凝集剤であ
る請求項1に記載の冷却剤。 - 【請求項4】 高分子凝集剤がノニオン系の凝集剤であ
る請求項1に記載の冷却剤。 - 【請求項5】 無機アンモニウム塩が硝酸アンモニウ
ム、塩化アンモニウム、臭化アンモニウムから選ばれる
1種または2種以上である請求項1に記載の冷却剤。 - 【請求項6】 無機アンモニウム塩または結晶水を保有
する塩のいずれか一方の薬剤が外部から衝撃を与えるこ
とによって容易に破れる小袋に充填され、他方の薬剤が
該小袋とともに外袋に収納された請求項1に記載の冷却
剤。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP4974292A JP3140144B2 (ja) | 1992-03-06 | 1992-03-06 | 冷却剤 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP4974292A JP3140144B2 (ja) | 1992-03-06 | 1992-03-06 | 冷却剤 |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPH05247452A JPH05247452A (ja) | 1993-09-24 |
JP3140144B2 true JP3140144B2 (ja) | 2001-03-05 |
Family
ID=12839643
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP4974292A Expired - Fee Related JP3140144B2 (ja) | 1992-03-06 | 1992-03-06 | 冷却剤 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP3140144B2 (ja) |
-
1992
- 1992-03-06 JP JP4974292A patent/JP3140144B2/ja not_active Expired - Fee Related
Also Published As
Publication number | Publication date |
---|---|
JPH05247452A (ja) | 1993-09-24 |
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Legal Events
Date | Code | Title | Description |
---|---|---|---|
LAPS | Cancellation because of no payment of annual fees |