JP3138524U - 額 - Google Patents

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Abstract

【課題】鑑賞者の注意力を作品に集中させ、かつ作品をより引き立てる効果を奏する構造簡単で作品の入れ替えも容易な額を提供する。
【解決手段】本考案にかかる額10は、板状作品1よりも大きな平面を有する基台部11と、磁石13を利用して基台部11の周縁部に固着され、基台部11と協働して板状作品1を保持する枠体部12とから構成される。板状作品1の周囲を囲む枠体部12の開口部周囲には明示帯12bが設けられており、枠体部12の外周端面12aには明示帯は設けられず、基台部11の平面に略垂直な面、または板状作品1の正面から離れるに従って拡大する角度に傾斜した面のいずれかの端面12aに形成される。基台部11と枠体部12の表面には鳥の子紙ほかによる表面処理層の装飾が施されることが好ましい。
【選択図】図1

Description

本考案は、絵画、写真等の作品を壁面などに展示、掲載、装飾する際に使用する額に関する。より具体的に、本考案は、絵画、写真等の平板状作品を基台部と枠体部の中間に挟んで保持する構造簡単な額に関する。
絵画、写真等の平板状の作品を展示、掲示する際、当該作品をより引き立たせるために額に掲げることが広く行われている。一般に額(額縁ともいう)は、正面からみて作品の周囲を囲む額枠体部と、作品を背後からバックアップし、前記額枠体部の背面側に固定される支持板とから構成されている。額を壁等に吊るす際には、額枠体部から延びる支持紐などをフックに掛けるか、あるいは額枠体部自身がフックに掛けられる。卓上に飾る場合などでは額枠体部の背後が支え棒で支えられる。
上述した古典的な額形式に対し、近年では磁性体を利用し、例えば絵画等の背後に位置する額本体部に磁性体(あるいは着磁体)を提供し、この額本体部に対して展示される絵画などの作品の背後に磁石を貼り付けることによって当該作品を額本体部に取り付ける形式の額が提案されている(例えば、特許文献1参照。)。この方式によれば、絵画などを入れ替える際、古典的な額形式では額枠体部全体を壁から外すことが必要になるのに対し、額本体部をそのままにして磁力の作用で固着した作品のみを額本体部から取り外すだけでよく、短時間で簡単に入れ替えを行うことができる利点がある。卓上に飾る場合においても同様である。
しかしながら、特許文献1に示す方式では、額本体部に作品を取り付けるには、取り付けられる作品のすべてがその背面に磁石などの帯磁した平面部を有していなければならない。このため、気に入った作品をその場の気分に応じて取り替えたいというような場合にあっても、その作品を直ぐには入れ替えることはできないという不都合があった。
この問題を解消するため、磁性体からなる基台部と、磁石を備えた枠体部とからなり、両者の中間で作品を保持する形式の額が開示されている(例えば、特許文献2参照)。この形式によれば、作品は単に挟み込むだけとなり、枠体部を基台部に重ねるだけで簡単に作品の取り換えが可能になるという利点を有する。
特開2002−205498号公報 登録実用新案登録第3133042号公報
しかしながら、特許文献2に示す額にも未だ改善の余地があった。特許文献2に開示された額の枠体部には、作品の周囲を囲う開口部の内周縁及び外周縁に1〜2mm幅の明示帯が設けられている。この内、内周縁の明示帯は、作品とその外周部になる枠体部との間で両者の区画を明瞭にし、作品を引き立たせる作用を果たす上で有効に機能している。しかしながら、外周縁に同様に設けられた明示帯は、基台部と枠体部との境界を際立たせる結果、作品によってはこれが目障りとなって鑑賞者の視点をそらせることにもつながり、ややもすれば鑑賞者の目を作品の方に引き付ける注力を散漫にすることがあり得た。
特に特許文献2では、基台部及び枠体部の正面から見える部分は黒色とし、明示帯は白色が好ましいとされているため、かかる状況下では上述した障害がより強調される傾向にあった。以上より、本考案ではこのような障害を排除し、鑑賞者の注意力を作品に集中させることで作品をより引き立てる効果を生む形式の額を提供することを目的としている。
なお、作品によっては、あるいは鑑賞者の見方によっては、むしろ枠体部の外周縁にも明示帯が存在する方が望ましい場合もあり得る。したがって、本考案にかかる額と特許文献2に開示された額とは、鑑賞者の好みに応じて選び得る選択肢とみることができる。また、本考案にかかる額では、上述した絵画、写真のほか、例えば布を利用したパッチワーク、キルティングなどの作品、さらには薄い石膏ボードや木版、ガラス板、エッチングなどの作品も掲示可能であり、本明細書ではこれらの作品を総称して「板状作品」、または単に「作品」と呼ぶものとする。
本考案では、枠体部の外周縁に位置する端面に明示帯を設けることなく、これを枠体部(または基台部)の平面に垂直な端面、あるいは額を正面から見た場合に枠体部の背後に隠れるように傾斜した端面とすることにより上述した問題を解消するもので、具体的には以下の内容を含む。
すなわち、本考案にかかる1つの態様は、載置される板状作品よりも大きな平面を有する基台部と、前記板状作品の周囲を覆い、磁力の作用により前記基台部の周縁部に固着されて前記基台部と協働して前記板状作品を保持する枠体部とから構成される額であって、前記板状作品の周囲を囲む前記枠体部の開口部の周囲には前記板状作品と前記枠体部との境界を画する明示帯が設けられていること、そして前記枠体部の外周端面は、前記基台部の平面に略垂直な端面、または前記板状作品の正面から見た場合に前記枠体部の背後に隠れる方向に傾斜した端面のいずれかであることを特徴とする額に関する。
前記額を正面から見た場合、前記枠体部の外周の輪郭及び寸法は、前記基台部の外周の輪郭及び寸法とほぼ同一にすること、または前記基台部の外周よりも約5mm〜約15mm内側に位置する輪郭及び寸法にすることができる。
前記基台部の額正面側の面と前記枠体部の額正面側の面とのいずれか一方または双方は、鳥の子紙または布地によって装飾されていることが好ましい。特には、前記鳥の子紙または布地が黒色であり、前記明示帯が白色であることが好ましい。
本考案に係る額を実施することにより、簡単な構造で絵画、写真等の板状作品を容易に展示、入れ替えをすることができ、展示された作品をより引き立たせる効果を生む額を提供することができる。
以下、本考案の実施の形態について、図面を参照して説明する。図1は、本実施の形態の額10を示しており、当該額10は、載置される板状作品1の背後に位置してこれをバックアップする基台部11と、板状作品1に対して基台部11の反対側に位置し、基台部11と協働して板状作品1を挟んでこれを保持する枠体部12とから構成されている。なお、以下の説明では、板状作品1の正面側となる矢印20の方向から見る面を正面、この逆となる裏側から見る面を背面、矢印20に直交する方向から見る面を側面と呼ぶものとする。
基台部11は、板状作品1の平面において板状作品1の周囲よりも外部に延伸する部分を有しており、すなわち板状作品1よりも広い平面を有している。本実施の形態では、基台部11は鉄板などの磁性体材料を含んでおり、例えば鉄板の周囲を折り曲げて筐状に形成したもの、あるいは木枠を組んだ上に板状作品1が載置される側の面に鉄板や他の磁性体からなる板状部材を配置してもよい。後述するように、基台部11の正面側となる表面は、装飾紙、布などで覆うか、塗料を塗布するなどの表面処理層が設けられていることが望ましい。
枠体部12は、板状作品1の周囲を囲う開口部を有する枠体であり、本実施の形態では正面側から見たその周囲の形状は、基台部11の周囲の形状と一致させている。すなわち、板状作品1を挟んで枠体部12を基台部11上に重ねた場合、正面から見て基台部11は枠体部12(及び板状作品1)により完全に背後に隠れるよう構成されている。ただし、後述するように、本考案はこの構成に限定はされない。
枠体部12の材質は、板状作品1を保持する強度が確保される限り任意であるが、例えば鉄板などの磁性体、プラスチック材(中高密度の発泡材を含む)、板材、厚紙などが利用可能である。基台部11と同様、枠体部12の正面側に位置する表面は、後述するように装飾紙、布などで覆うか、塗料を塗布するなどによる表面処理層が施されていることが望ましい。
枠体部12の基台部11に対向する側の面(図の裏側の面)には破線で示す磁石13が貼り付けられている。これはテープ状またはリボン状となったプラスチック又はゴム体の磁石を適切な長さに切って両面接着テープで固定すれば簡単に取り付けられる。枠体部12自身が鉄板などの磁性体で作られている場合には、磁石そのものを枠体部12の背後に配することでもよい。
枠体部12の周囲は端面12aで終息しており、枠体部12の中央にある開口部に面した内周縁(板状作品1の外周縁)の端面には明示帯12bが設けられている。端面12aと明示帯12bの詳細を、図2に示している。図2は、板状作品1、基台部11、枠体部12の一部の側面断面を示したもので、図の左側は省略している。図において、枠体部12の端面12aは、基台部11の側面11aと略平行に、すなわち板状作品1の平面に対して略垂直な面に形成されている。これにより、基台部11と枠体部12の周囲が同じ形状、同じ寸法とした本実施の形態にかかる額では、両者をぴったり合わせて重ねた場合に側面11aと端面12aとは面一となり、矢印20で示す正面から見た場合に基台部11は枠体部12の背後に隠れる。
また、枠体部12の内周縁は図示のように枠体部12の平面に対して傾斜して設けられており、これにより内周縁の傾斜した面によって明示帯12aが形成される。例えば、枠体部11を白色の高密度発泡樹脂製とし、枠体部11の表面に黒色の塗膜または装飾の表面処理層12cが形成されていれば、正面から見た場合に黒色の枠体部12と板状作品1との間の境界を白色の明示帯12aが明瞭に画するものとなる。図の矢印20に示す正面から見た明示帯12aの幅aは、約1mm〜約2mm程度とすることが好ましい。
枠体部12の正面には、上述した板状作品1を引き立たせるよう装飾が施されていることが好ましい。本実施の形態では、黒色に染めた鳥の子紙により当該表面を覆った表面処理層12cとしている。鳥の子紙は古くから知られたがんぴ(雁皮)を原料とする和紙の一種であり、光沢があり緻密で粘りがあり、優雅な紙肌であることが知られている。ただし、作品を引き立たせるものであれば他の和紙や、クロスほか表装材料として使用される布地の貼付、塗装など他の表面処理層でもよく、また色も黒には限定されず、作品や展示される室内の色調との調和した色彩が選択されてよい。
重複となるが、以上のように構成された額10の使用時の動作は、図1の破線矢印にその概要を示すように、基台部11の正面の中央付近に、基台部11周縁が周囲に現れるよう板状作品1を載置し、さらにその上から板状作品1の周囲を覆うように枠体部12を重ねて枠体部12を基台部11に固着する。この際の固着力は、基台部11に含まれる磁性体材料と、枠体部12の背後に貼り付けられた磁石13による吸引力が利用される。板状作品1を基台部11と枠体部12との間に挟んで保持することにより、板状作品1は両者から脱落することなく、展示の間に安定した状態で保持される。板状作品1を入れ替える際は、磁石13の吸引力に抗して枠体部12を基台部11から分離し、板状作品1を取り外した後に上述した手順を繰り返すことにより容易に行うことできる。
板状作品1を挟んで枠体部12を基台部11に固着することにより、正面から見た場合に基台部11は完全に背後に隠れるものとなり、板状作品1とその板状作品1の周囲に位置する枠体部12のみが表面に現れ、板状作品1の周囲は明示帯12aにより区画されて作品が一際引き立った状態で展示されるものとなる。
なお、磁力を利用した基台部11と枠体部12との固着は、図1に示すものは単に一例であり、磁石13を基台部11側に貼付けて枠体部12を磁性体とすることでも、あるいは基台部11と枠体部12とをいずれも磁性体として両者の間に磁石を配することでもよい。
また、板状作品1として薄板、石膏ボード、ガラスなどのやや厚めの板状作品を展示する場合には、枠体部12の板厚も厚めにし、作品の周囲となる開口部周囲の背面に段差を設けてこれら作品をはめ込むようにし、またこれらの重量に耐えるようやや強力な磁石を使用することで、本考案の額を同様に使用することができる。
次に、本発明に係る第2の実施の形態の額について、図面を参照して説明する。本実施の形態は、枠体部12の端面12aの各種処理に関するもので、その内容を図3に示している。図はいずれも額の右側の側面の部分断面を示しており、左側の部分は省略している。まず、図3aに示す態様では、枠体部12の外周縁の寸法を基台部11の外周縁の寸法よりも短くし、枠体部12を基台部11に重ねた際に枠体部12が内側に位置して基台部11との間で段差部が形成されるよう構成されている。この際、枠体部12の端面12aよりも外部に延在することとなる基台部11の幅Aは、全周に亘って約5mm〜約15mm程度となるよう寸法採りがされる。
上述した段差部が形成されることにより、枠体部12に立体感を持たせる効果を生み、なおかつ板状作品1に対する鑑賞者の視線の集中を阻害する要素となり得る外周側の明示帯は存在しない。基台部11及び枠体部12の正面から見える面には、鳥の子紙による装飾のほか、先の実施の形態に示したものと同様の表面処理層を施すことができる。
次に、図3bに示す態様では、図3(a)に示す枠体部11の端面12aに対しても鳥の子紙や黒色塗装などの表面処理層12dを設けている。図3aでは、端面12aを切断したままの状態としており、枠体部12を例えば白色の樹脂材製とした場合、端面12aは同様に白色の面として現れる。板状作品1及び額10を真正面から見た場合には端面12aは見えないが、少しでも角度を持った位置から見ると、当該端面の白色部が鑑賞者の目に入り、作品に対する視線の集中を阻害するものとなる。端面12aに表面処理層12dを設けることにより、このような角度を持った位置から平板作品1を見ても枠対部12の端面12aが目立つことなく、鑑賞者の視線を害することがなくなる。
さらに図3cに示す態様では、枠体部12の端面12aを枠体部平面(あるいは、基台部11の正面側の平面)に対する垂直な面に対して、枠体部12の正面から離れるに従って広がる方向に角度rだけ傾斜した面となるよう形成されている。これにより、鑑賞者が真正面に対して角度を持った位置から作品を見たときであっても、枠体部12の端面12aは枠体部12自身の背後に隠れて目に入ることがなく、あるいは非常に目立ちにくくなるため、作品の鑑賞を阻害されることがない。枠体部12表面の垂直面に対する傾斜角度rは任意であるが、約20°〜約45°程度とすることが好ましい。
図3dでは、図3cに示す傾斜した端面12aを有する枠体部12を、その外周縁が基台部11の外面11aと同一位置、もしくは外面11aよりも僅かに外部に延びるような大きさの寸法としている。この構成により、額10を正面から見た場合、枠体部12のみが正面に現れ、かつ枠体部12の端面12aは正面から隠れるようになる。正面から見てシンプルな構成になると共に、作品の入れ替えのために枠体部12を外す際に指先が容易に枠体部12を捉えることができて作業を容易にする効果を奏する。
以上、本考案にかかる額の各実施の形態について述べてきたが、本考案はこれらに限定されるものではなく、各種の改造が可能である。例えば枠体部12は図の矩形形状に限らず、円形、台形、3角形又は他の多角形の形状とすることができる。また、枠体部12の寸法を基台部11よりも小さ目にして両者間に段差を設ける態様では、上下方向または左右方向のいずれか一方においてのみ段差を設け、他方は枠体部12の背後に基台部11が隠れるようにしてもよい。これらの変更は、いずれも本考案の技術的範囲に含まれるものとする。
本考案に係る額は、平板状の芸術作品を展示、販売する産業分野において幅広く利用することができる。
本考案の実施の形態にかかる額を示す分解斜視図である。 図1に示す額の端末部詳細を示す部分側面断面図である。 本考案の他の実施の形態にかかる額の端末部分を示す部分側面断面図である。
符号の説明
1:板状作品、 10.額、 11.基台部、 11a.側面、 12.枠体部、 12a.端面、 12b.明示帯、 12c.表面処理層、 12d.表面処理層、 13.磁石、 20.矢印。

Claims (4)

  1. 載置される板状作品よりも大きな平面を有する基台部と、前記板状作品の周囲を覆い、磁力の作用により前記基台部の周縁部に固着されて前記基台部と協働して前記板状作品を保持する枠体部とから構成される額において、
    前記板状作品の周囲を囲む前記枠体部の開口部の周囲に前記板状作品と前記枠体部との境界を画する明示帯が設けられ、前記枠体部の外周端面が、前記基台部の平面に略垂直な端面、または前記板状作品の正面から見た場合に前記枠体部の背後に隠れる方向に傾斜した端面のいずれかであることを特徴とする額。
  2. 前記額を正面から見た場合、前記枠体部の外周の輪郭及び寸法が、前記基台部の外周の輪郭及び寸法とほぼ同一であること、または前記基台部の外周よりも約5mm〜約15mm内側に位置する輪郭及び寸法であることを特徴する、請求項1に記載の額。
  3. 前記基台部の額正面側の面と前記枠体部の額正面側の面とのいずれか一方または双方が、鳥の子紙または布地によって装飾されていることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の額。
  4. 前記鳥の子紙または布地が黒色であり、前記明示帯が白色であることを特徴とする、請求項3に記載の額。
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Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2011055648A1 (ja) * 2009-11-05 2011-05-12 株式会社和蘭画房 扁平状装飾物用の額縁
JP2017029553A (ja) * 2015-08-05 2017-02-09 有限会社ハートブレーン 発光和紙額縁

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