JP3138378U - 車両用滑り止めマット - Google Patents

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Abstract

【課題】建築物や鉄道車両、バス等の乗物の出入口部に敷設する滑り止めマットにおいて、汚れが着きにくく、掃除がし易いポリオレィン系樹脂製の車両用滑り止めマットであって、周辺縁部の剥がれないものを提供する。
【解決手段】オレフィン系樹脂組成物からなる車両用滑り止めマット1において、周辺縁部の立面を斜めに削り取ることによって、剥がれ方向にかかる力を分散することになり、周辺縁部が剥がれにくくなり、汚れが着きにくく、掃除がし易い車両用滑り止めマットが得られる。
【選択図】図1

Description

本考案は、建築物や鉄道車両、バス等の乗物の出入口部で使用される滑り止めマットに関するものである。
従来から、建築物や、鉄道車両、バス等の乗物の出入口部には、表面を凹凸形状にした塩化ビニル樹脂(PVC)や加硫ゴムからなる滑り止めマットが多く採用されていた。これらは、一定の性能を発揮するうえに、加工が容易で経済的にも優れた滑り止めマットとされている。
しかしながら、PVC製の滑り止めマットは火災時において、多量の発煙と共に塩化水素等の有毒ガスを発生することから、火災にみまわれた避難者がこれら有毒ガス等を吸入し、人命が危機にさらされてしまう等の問題や、また廃棄時に焼却する場合には、その強い酸化作用によって、焼却施設を著しく損傷してしまうだけでなく、適切でない焼却処理によっては、有害なダイオキシンを発生させ環境汚染をもたらすという問題があった。
そこで、近年ではPVC材料に代えて、燃焼時に有毒ガスの発生が少ない、エチレンー酢酸ビニル共重合体、ポリプロピレン樹脂、ポリエチレン樹脂、エチレン−ビニルアルコール共重合樹脂、ポリエステル樹脂等のポリオレフィン系樹脂製の床材が多く使われるようになってきている。
また、加硫ゴムからなる滑り止めマットにおいては、滑り止めとしては確かな性能を発揮するものではあるが、汚れ易くまた汚れが取れにくいことから、濃色に着色せざるをえず、意匠的に限定されることから好ましいものではなかった。
特許文献1においては、滑り抵抗係数の異なる2種類の樹脂を混合し、表面に現われる露出割合を略一定として、表面が平坦で清掃性に優れた防滑性床材を開示している。また、出願人は特許文献2において、意匠性及び清掃性に優れたポリオレフィン系樹脂製の滑り止めマットについて提案している。いずれの滑り止めマットにおいても、通常の歩行では何も問題はないのであるが、接着敷設して使用中に、女性のハイヒールの踵等によって、マット周辺縁部に予想もしない過酷なまでの荷重がかかったりすると、滑り止めマットの周辺縁部から剥がれが発生し、見栄えのよいものではなかった。
特開2001−254504号報 特願2006−265037号報
本考案は、かかる技術的背景に鑑みてなされたものであって、建築物や鉄道車両、バス等の乗物の出入口部に接着敷設する滑り止めマットにおいて、汚れが着きにくく、掃除がし易いポリオレィン系樹脂製の車両用滑り止めマットであって、接着敷設して使用している間に周辺縁部の剥がれないものを提供することを課題とする。
上記目的を達成するために、本考案は以下の手段を提供する。
[1]オレフィン系樹脂組成物からなる車両用滑り止めマットにおいて、表面樹脂層の上面側に巾方向に平行で直線的に連続した凹凸形状の加工が施され、前記表面樹脂層の下面側に粘着剤層を積層した車両用滑り止めマットであって、車両用滑り止めマットの底面を上面より広くし、周辺縁部の立面を斜めにしたことを特徴とする車両用滑り止めマット。
[2]前記車両用滑り止めマットの厚みが2.0〜3.5mm、凹凸形状の高低差が0.3〜2.0mmであって、周辺縁部の立面を斜めにした部分の角度を30°〜50°としたことを特徴とする前項1に記載の車両用滑り止めマット。
オレフィン系樹脂組成物のみからなる滑り止めマットであるので、汚れにくく燃焼時有害ガスを発生しないので安全である。表面に凹凸形状の加工が施されているので、滑り抵抗値が大きくなり滑りにくくなる。また巾方向に平行で直線的に連続した凹凸形状としているので、端まで汚れを移動しやすく掃除がし易く、周辺縁部の立面を斜めにしているので、女性のハイヒールの踵等で踏み込まれたとしても剥がれにくくすることができる。
また、前記車両用滑り止めマットの厚みが2.0〜3.5mmと薄いので、段差とはならず、人が歩行中に周辺縁部に足を引っかけるようなことはない。また、凹凸形状の高低差を0.3〜2.0mmとしているので、滑り抵抗値が確保でき滑りにくくなる。また、周辺縁部を斜めにした部分の角度を30°〜50°としたので、女性のハイヒールの踵等で踏み込まれたり、滑り込まれたとしても、車両用滑り止めマットの周辺縁部にかかる剥がし方向の力が分散され、剥がれにくく耐久性のよいマットとすることができる。
以下、図面を参照して更に詳しく説明する。図1は、本実施形態の車両用滑り止めマットを示す概略斜視図であり、2は凸部(山)、3は凹部(谷)、4は凸部(山)の巾、5は凹部(谷)の巾、6は凸部と凹部の高さの差を示している。本考案の車両用滑り止めマットはオレフィン系樹脂組成物のみからなっており、表面の巾方向に平行に直線的に連続した凹凸形状の加工が施されことを特徴としている。オレフィン系樹脂組成物の樹脂としては、ポリプロピレン樹脂、ポリエチレン樹脂、ポリブテン樹脂、エチレン酢酸ビニル共重合体、エチレンメチルアクリレート、ポリスチレン樹脂等を例示できる。中でもポリプロピレン樹脂がよい。凹凸の形状としては特に限定しないが、矩形であったり、畝状やノコギリ状であってもかまわない。但し、凹凸形状の谷と山の高さは一定で巾方向に平行で直線的に連続して加工されていることがよい。これは、谷に溜まった土や砂などの汚れを端まで移動して取り除きやすいからである。
また、前記凹凸形状の凹部の巾は0.3〜10mm、凸部の巾が0.3〜10mmで凹凸の厚さの差が0.3〜2.0mmであることが好ましい。この凸部間隔があまり広いと、床材の滑り抵抗値と差がなくなってしまい、車両用滑り止めマットの意味をなさなくなってしまう。また、凸部間隔が狭くなると滑り抵抗値が減少し、かえって滑りやすくなってしまい危険である。好ましくは1.0〜5mmである。また、凹凸の厚さの差が0.3mmより少ないとほとんど凹凸差がなくなってしまい、滑り抵抗値を上げることが出来ない。2.0mmを超えて滑り抵抗値を上げるような構造にすると、かえって通行する人の歩行運動の妨げになり好ましくない。より好ましい凹凸の厚さの差は0.5〜1.5mmである。
また、図2のように凸部のなかにさらに凸部を2個形成したものにおいては、滑り抵抗値を適度に上げることができ、車両用滑り止めマットとして好ましい形状である。
車両用滑り止めマットの厚みは2.0〜3.5mmと薄く設定するのがよい。3.5mmより厚くなると、お年よりには段差となり歩行中につまづく原因になりやすい。また、2.0mmより薄くなると、車両用滑り止めマットの強度不足になったり、凹凸形状の差が得られなくなり、滑り抵抗値を確保できなくなり、好ましくない。
本考案の車両用滑り止めマットの凹凸の付け方は、オレフィン系樹脂組成物の樹脂板から削り出したり、加熱したエンボスロールを加圧して作ってもよいが、図3のように、加熱溶融したオレフィン系樹脂組成物12をエンボスロール10と加圧ロール11の間を通過させ冷却する方法が効率的で好ましい。
本考案の車両用滑り止めマットの周辺縁部の立面を斜めにするには、指定の大きさに裁断したあと電動カンナ等によって、周辺縁部の立面を斜めに30°〜50°に削り落とせばよい。30°を下回る角度では、周辺縁部に擦り切れや亀裂が発現しやすく好ましくない。また、50°を上回る角度では、周辺縁部の立面に横方向に力がかかった場合剥がれやすく好ましくない。
また、本考案の車両用滑り止めマットを床材に貼着する方法は、予め車両用滑り止めマットの製造工程において粘着剤を塗布し離型紙を貼り、施工時に離型紙を剥がして床材に貼着する方法が簡単で好ましい。また、粘着剤としては、アクリル系2液架橋型のものが、接着力が強く、また凝集力も強いことからベタツキもなく好ましい。粘着剤の塗布量としては、100〜300g/m(乾燥時)が好ましい。本考案の車両用滑り止めマットを床材に貼着したときの剥離強度としては、25N/25mm以上あることが望ましい。
車両用滑り止めマットを構成するオレフィン系樹脂の主成分として、ポリプロピレン樹脂50〜80重量%とするのが好ましい。50重量%を下回ると、汚染性、耐磨耗性に問題が発現する。80重量%を超えると車両用滑り止めマットは硬くなり施工がし難くなる。より好ましくは60〜75重量%がよい。また、前記オレフィン系樹脂組成物には、柔軟性を付与して施工性のよい車両用滑り止めマットとするために、オレフィン系熱可塑性エラストマー系相容化樹脂を20〜50重量%添加している。より好ましくは25〜40重量%がよい。オレフィン系熱可塑性エラストマー系相容化樹脂としては、ポリプロピレン樹脂に微分散するエチレン・プロピレン共重合体の樹脂を挙げる事が出来る。
また、加工性を向上させるために、石油樹脂系の低分子量域の樹脂や熱可塑性オリゴマーや天然系樹脂を0〜10重量%まで添加してもよい。石油樹脂系の低分子量域の樹脂としてはC系石油樹脂、天然系樹脂としてはテルペン樹脂を挙げる事が出来る。
またその他顔料、染料などの着色剤や帯電防止剤、難燃剤、酸化防止剤などの薬剤を、本考案の効果をそこなわない範囲で添加することができる。
次に、この考案の具体的実施例について説明する。
<実施例1>
ポリプロピレン樹脂59.8重量%、EPDM(エチレンプロピレンジエン三元共重合体)樹脂35重量%(オレフィン系熱可塑性エラストマー系相容化樹脂)、テルペン樹脂(天然樹脂系の低分子量域の樹脂)5重量%、光安定剤0.1重量%及び紫外線吸収剤0.1重量%を混合し、加熱溶融してカレンダー機にて1.4mm厚のシートにした後直ぐに図3のように、図1の凹凸形状となるエンボスロール10と加圧ロール11の間を通過させ、凹部の巾は2.5mm、凸部の巾が2.5mmで凹凸の厚さの差が1.0mmのシートを得た。次に別の工程で、粘着層を塗布し離型紙を積層した。なお、粘着層としてはアクリル系2液架橋型のものを使用した。こうしてできた離型紙付きの前記シートをマットの形状に裁断し、周辺縁部の立面を斜めに40°の角度に電動カンナで削り落として車両用滑り止めマットを作製した。車両と同等の床試料に貼り付け、剥がし試験を行ったところ500回繰り返してもわずかに傷が付いた程度で、剥がれることはなかった。また、剥離強度は30N/25mmで十分な強度であった。
<比較例1>
実施例1において、周辺縁部を40°に削り落とさないでそのまま(90°)の車両用滑り止めマットとした。剥離強度は30N/25mmで十分な強度であったが、剥がし試験では、10回で剥がれてしまった。
<実施例2>
実施例1において、周辺縁部を50°に削り落とした以外は実施例1と同様にして車両用滑り止めマットを得た。剥離強度は30N/25mmで十分な強度であった。剥がし試験では、実施例1よりもきつい傷となったが、剥がれることはなかった。
<比較例2>
実施例1において、周辺縁部を20°に削り落とした以外は実施例1と同様にして車両用滑り止めマットを得た。剥離強度は30N/25mmで十分な強度であったが、剥がし試験では、100回で材料破壊を起こしてしまっていた。
<剥がし試験評価方法>
摩耗試験機を利用し、ヘッドが車両用滑り止めマット周辺縁部の立面に当たるようにセットし、繰り返しヘッドを当てて剥がし試験とした。約98N/5mmの力が繰り返し加えられることに相当するようにした。
接着して使用するもので、使用中に剥がれると、見ばえや安全上問題となるようなものの周辺縁部の形状に関するもので、応用範囲は広い。
本考案の一実施形態を示す概略斜視図である。 本考案の一実施形態を示す概略斜視図である。 凹凸形状を付けるエンボス工程の概略斜視図である。
符号の説明
1 車両用滑り止めマット
2 凸部(山)
3 凹部(谷)
4 凸部(山)の巾
5 凹部(谷)の巾
6 凸部と凹部の高さの差
7 周辺縁部立面角度
8 周辺縁部立面角度
9 総厚
10 エンボスロール
11 加圧ロール
12 加熱溶融したオレフィン系樹脂組成物

Claims (2)

  1. オレフィン系樹脂組成物からなる車両用滑り止めマットにおいて、表面樹脂層の上面側に巾方向に平行で直線的に連続した凹凸形状の加工が施され、前記表面樹脂層の下面側に粘着剤層を積層した車両用滑り止めマットであって、車両用滑り止めマットの底面を上面より広くし、周辺縁部の立面を斜めにしたことを特徴とする車両用滑り止めマット。
  2. 前記車両用滑り止めマットの厚みが2.0〜3.5mm、凹凸形状の高低差が0.3〜2.0mmであって、周辺縁部の立面を斜めにした部分の角度を30°〜50°としたことを特徴とする請求項1に記載の車両用滑り止めマット。
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