JP2016220725A - 防滑性に優れたタイルカーペット - Google Patents

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修一 米澤
繁 奥村
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繁 奥村
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【課題】フローリング床面に対して優れた防滑性を発揮すると共に、乾燥工程を省くことができるタイルカーペットを安価に提供する。【解決手段】タイルカーペット1は、基布の上面にパイルが植設されてなるパイル布帛層2と、パイル布帛層2の下面側に積層された裏打ち層3を備えたタイルカーペットであって、裏打ち層3の下面側に滑り止め樹脂層4が積層されてなり、滑り止め樹脂層4が熱可塑性樹脂で形成されている。【選択図】図1

Description

本発明は、フローリング床等の床面に敷設するものであって、フローリング床面に置くだけで、フローリング床面との間に滑りが生じにくいタイルカーペットに関する。
従来よりタイルカーペットは、ロールカーペットに比べて施工し易い、持ち運びが容易、部分的な張り替えが可能などの利点から、オフィスや商業施設の床材として使用されてきました。また、タイルカーペットの施工方法は、施工時に接着剤を床面に塗布してからタイルカーペットを施工する方法と、粘着性のある接着樹脂をタイルカーペットの裏打ち層の下面側に塗布し、接着剤を床面に塗布しなくても施工できる方法が公知である。
近年では、一般家庭用にも簡単に張り替えることができ、自由に組み合わせることができるインテリア商材として、タイルカーペットの裏打ち層の下面側に粘着樹脂層を有するタイルカーペットが多く見られるようになってきた。しかしながら、粘着樹脂層を有するタイルカーペットでは、流通過程において、タイルカーペットの裏打ち層の下面側に粘着性樹脂層の粘着性が損なわれないようにするために剥離紙によって被膜保護されている。
しかしながら、その剥離紙は、タイルカーペットの施工後には廃棄されるものであり、その廃棄処理に手間取るばかりでなく、コスト低減の点でも、剥離紙を使用せずに済むようにすることが望まれていた。
例えば、特許文献1では縦横の方向を確認することなく一方を裏返して他方に重ね合わせて梱包しても、施工時に2枚の粘着性タイルカーペットに剥離することができることが提案されている。
なお、出願人は特許文献2を出願しており、タイルカーペットの下面側に滑り止め効果としてアクリル系重合体を有するエマルジョンを発泡したフォームを塗布して乾燥することにより、滑り止め用樹脂層を形成することを提案した。
特開2013−118913号公報 特開2005−256527号公報
しかしながら、特許文献1では、粘着剤同士を合わせても塗布部分が重ならないように塗布のあり方に工夫するというものであって、根本的な解決には至らなかった。なお、出願人は特許文献2を出願しており、アクリル系共重合体を有するエマルジョンを用いることにより、剥離紙を要らないタイルカーペットを提案したが、滑り止め効果のある樹脂を塗布してから乾燥させる工程が必要となり、生産速度を上げることができず、コストアップしてしまうことが問題であった。
本発明は、かかる技術的背景を鑑みてなされたものであって、フローリング床面に対して優れた防滑性を発揮すると共に、乾燥工程を省くことができるタイルカーペットを安価に提供することが目的である。
前記目的を達成するために、本発明は以下の手段を提供する。
[1] 基布の上面にパイルが植設されてなるパイル布帛層と、該パイル布帛層の下面側に積層された裏打ち層を備えたタイルカーペットであって、前記裏打ち層の下面側に滑り止め樹脂層が積層されてなり、前記滑り止め樹脂層が熱可塑性樹脂で形成されていることを特徴とするタイルカーペット。
[2]前記熱可塑性樹脂が、スチレン−エチレン・ブチレン−スチレン共重合体(SEBS)である前項1に記載のタイルカーペット。
[3]前記滑り止め樹脂層の塗布量が20g/m〜150g/mであり、前記滑り止め樹脂層の塗布面積がタイルカーペット裏面の全面積に対して10%〜70%であり、前記滑り止め樹脂層の高さが0.1mm〜2.0mmである前項1又は2に記載のタイルカーペット。
[1]の発明では、滑り止め樹脂層が熱可塑性樹脂で形成されているから、乾燥工程が不要となり省くことができると共に、フローリング床面に対して優れた防滑性を発揮することができる。
[2]の発明では、熱可塑性樹脂がスチレン−エチレン・ブチレン−スチレン共重合体(SEBS)であるから、フローリング床面に対して防滑性をさらに向上させることができる。
[3]の発明では、滑り止め樹脂の塗布量が20g/m〜150g/mであるから、少ない塗布量でも滑り止め効果が得られる。また、滑り止め樹脂の塗布面積がタイルカーペット裏面の全面積に対して10%〜70%であるから、タイルカーペットの裏面全体に滑り止め効果が得られる。さらに、滑り止め樹脂の高さが0.1mm〜2.0mmであるから、フローリング床面の凹凸にも対応して安定した滑り止め効果が得られる。
本発明に係るタイルカーペットの一実施形態を示す断面図である。 図1の裏面図である。 本発明に係るタイルカーペットの他の実施形態を示す概略裏面図である。
本発明に係るタイルカーペットの一実施形態に係るタイルカーペット1を図面に基づいて説明する。図1に示すように、本実施形態のタイルカーペット1は、パイル布帛層2の下面側に裏打ち層3が積層され、該裏打ち層3の下面側に滑り止め樹脂層4が積層一体化されてなるタイルカーペット1であり、前記滑り止め樹脂層4が熱可塑性樹脂で形成されていることを特徴とする。
前記滑り止め樹脂層4を構成する樹脂として熱可塑性樹脂で形成させなければならない。滑り止め樹脂層4を熱可塑性樹脂で形成させることにより、滑り止め樹脂を乾燥させる工程が要らなくなるため、生産速度を上げることができるようになり、コストアップしてしまう問題を解決することができる。
前記滑り止め樹脂層4が熱可塑性樹脂で形成されているから、フローリング床面に対して優れた防滑性を発揮することができる。
前記滑り止め樹脂層4を構成する樹脂としてはポリエチレン(PE)、エチレン−酢酸ビニル共重合体(EVA)、スチレン−エチレン・ブチレン−スチレン共重合体(SEBS)等が挙げられ、中でもスチレン−エチレン・ブチレン−スチレン共重合体(SEBS)がより好ましい。この場合、フローリング床面に対して防滑性をさらに向上させることができる。
前記滑り止め樹脂層4の塗布量が20g/m 〜150 g/mに設定されるのが好ましい。20g/m未満では滑り止め効果が得られず、150g/mを超えるとフローリング床面との接着性が強くなりすぎ、引き剥がしにくくなると共にコスト的にも好ましくない。中でも70g/m〜100g/mであることがより好ましい。また、前記滑り止め樹脂層4の塗布面積は、タイルカーペット裏面の全面積に対して10%〜70%に設定されるのが好ましい。10%未満では滑り止め効果が得られず、70%を超えるとフローリング床面との接着性が強くなりすぎ、引き剥がしにくくなると共にコスト的にも好ましくない。中でも30%〜50%であることがより好ましい。また、前記滑り止め樹脂層4の高さが0.1mm〜2.0mmに設定されるのが好ましい。0.1mm未満では滑り止め効果が得られず、2.0mmを超えると床面との接着性が悪くなる。中でも0.8mm〜1.5mmであることがより好ましい。
前記滑り止め樹脂層4の滑り係数が0.1〜1.5に設定されるのが好ましい。0.1未満では滑り止め効果が得られず、1.5を超えるとフローリング床面への裏移り性及び滑り止め樹脂層の剥離性が悪くなるので好ましくない。中でも0.5〜1.0であることがより好ましい。
前記滑り止め樹脂層4の曲げ弾性率が0.1×10kgf/mm〜0.3×10kgf/mmに設定されるのが好ましい。0.1×10kgf/mm未満では滑り止め樹脂面同士を重ね合わせた後に引き剥がした時に、滑り止め樹脂がタイルカーペットの裏面から剥離してしまうので好ましくなく、0.3×10kgf/mmを超えても滑り止め樹脂面同士を重ね合わせた後に引き剥がした時に、滑り止め樹脂がタイルカーペットの裏面から剥離してしまうので好ましくない。中でも0.15×10kgf/mm〜0.25×10kgf/mmであることがより好ましい。
前記滑り止め樹脂層4には、酸化防止剤、紫外線吸収剤、帯電防止剤、着色剤、無機充填剤等の各種添加剤を必要に応じて含有せしめても良い。
前記滑り止め樹脂層4をタイルカーペット1の裏打ち層3の下面側に、塗布する形状は特に限定しないが、例えば、ビード状、ドット状、スパイラル状、スプレイ状、スティップル状等が挙げられる。中でもビード状、ドット状がより好ましい。
前記滑り止め樹脂層4を形成する方法としてホットメルトアプリケーターを用いる方法が好ましい。ホットメルトアプリケーターを用いることにより、塗布量、塗布面積、塗布する樹脂の厚みを制御することができる。
前記滑り止め樹脂層4を塗布する製造方法としては、前記パイル布帛層2と前記裏打ち層3を積層一体化し、指定サイズに裁断した後、タイルカーペットの前記裏打ち層3の下面側に前記滑り止め樹脂層4を形成する方法が好ましい。
前記パイル布帛層2は特に限定しない。基布にパイルが植設されてなるものであり、特に限定されるものではないが、例えば、タフテッドカーペット、織カーペット、編カーペット、電着カーペット等が挙げられる。
前記裏打ち層3は特に限定しない。前記裏打ち層3として、ニードルパンチ不織布層、ポリ塩化ビニル樹脂(PVC)樹脂、ポリオレフィン樹脂層等が挙げられる。
前記裏打ち層3として、ポリ塩化ビニル樹脂(PVC)からなる樹脂層に前記滑り止め樹脂層4を形成する場合は、前記裏打ち層3と前記滑り止め樹脂層4の間に、不織布層を積層させることが好ましい。
前記不織布層を構成する繊維としては、ポリエステル繊維、ナイロン繊維、ポリオレフィン系繊維等の合成繊維等が挙げられる。
次に、本発明の具体的実施例について説明するが、本発明はこれら実施例のものに特に限定されるものではない。
<使用材料>
(パイル布帛層)
目付90g/mのポリエステル繊維製不織布(基布)に、ナイロン繊維からなるパイル糸がループパイルとしてタフティングされたもの
(目止め層)
炭酸カルシウムを50質量%含有するSBR(スチレン−ブタジエン−ゴム)ラテックス
(裏打ち層)
ニードルパンチ不織布(厚み4mm、目付450g/m
(滑り止め樹脂層)
スチレン−エチレン・ブチレン−スチレン共重合体(SEBS)
<実施例1>
パイル布帛層の下面側に目止め層をロールコーティングにて200g/m塗布し、さらに目止め層の下面側にニードルパンチ不織布を裏打ち層として積層し、150℃×15分乾燥させ、最後に500mm角の正方形に裁断することによって、タイルカーペットとした。さらに、裏打ち層がニードルパンチ不織布からなるタイルカーペットの下面側に、滑り係数が0.8であり、曲げ弾性率0.2kgf/mmであるスチレン−エチレン・ブチレン−スチレン共重合体(SEBS)樹脂を、ホットアプリケーターを用いて塗布量80g/m、塗布面積を40%、高さを1.0mmの条件でドット状に塗布することによって、図1に示すタイルカーペット1を得た。
<実施例2>
滑り止め樹脂層の塗布量を120g/m、滑り止め樹脂層の塗布面積を60%に設定した以外は、実施例1と同様にして、図1に示すタイルカーペット1を得た。
<実施例3>
滑り止め樹脂層の塗布面積を60%、滑り止め樹脂層の高さを0.7mmに設定した以外は、実施例1と同様にして、図1に示すタイルカーペット1を得た。
<実施例4>
滑り止め樹脂層の塗布量を100g/m、滑り止め樹脂層の高さを1.2mmに設定した以外は、実施例1と同様にして、図1に示すタイルカーペット1を得た。
<実施例5>
滑り止め樹脂層の滑り係数を0.2に設定した以外は、実施例1と同様にして、図1に示すタイルカーペット1を得た。
<実施例6>
滑り止め樹脂層の曲げ弾性率を0.3×10kgf/mmに設定した以外は、実施例1と同様にして、図1に示すタイルカーペット1を得た。
<比較例1>
滑り止め樹脂層を塗布しなかった以外は、実施例1と同様にして、タイルカーペットを得た。
なお、滑り止め樹脂層の滑り係数は、下記滑り係数測定法により測定された滑り係数である。
<滑り係数測定法>
JIS A 1454−2010に準拠して、滑り試験機を用いて、清掃・乾燥状態で滑り係数を測定した。
また、滑り止め樹脂層の曲げ弾性率は、下記曲げ弾性率測定法により測定された曲げ弾性率である。
<曲げ弾性率測定法>
ASTM D−790に準拠して、曲げ速度1.4mm/min、支点間距離51.2mmの条件で曲げ弾性率(kgf/mm)を測定した。
上記のようにして得られた各タイルカーペットに対して、下記評価方法に基づいて評価を行った。これらの評価結果を表1に示す。
<防滑性評価>
防滑性評価として、滑り荷重試験を行い、測定した。フローリング床面の上に幅210mm×長さ290mmの試験サンプルを置き、幅200mm×長さ200mm×荷重8kgの錘をのせて垂直荷重を均一にかけ、錘をのせたままの状態で試験サンプルを水平方向に速度200mm/minで引っ張り、最大摩擦力を引張試験機で測定し、150N以上を「◎」とし、50N以上150N未満を「〇」とし、50N未満を「×」とし、「○」以上を合格とした。
<荷重除去後の防滑性評価>
荷重除去後の防滑性評価として、荷重除去後の滑り荷重試験を行い、測定した。フローリング床面の上に幅210mm×長さ290mmの試験サンプルに、幅200mm×長さ200mm×荷重8kgの錘をのせて垂直荷重を均一にかけて1分後放置した。しかる後、錘を除去してから、試験サンプルを水平方向に速度200mm/minで引っ張り、最大摩擦力を引張試験機で測定し、150N以上を「◎」とし、50N以上150N未満を「〇」とし、50N未満を「×」とし、「○」以上を合格とした。
<裏移り性の評価>
裏移り性の評価として、幅500mm×長さ500mmの試験サンプルをフローリング床面の上に置き、人が4隅から真ん中に向かって時計回りに25回踏んだ後、タイルカーペットを剥がし、フローリング床面への接着樹脂の移行性を測定した。全く移行していないものを「◎」とし、ほんの僅かな程度移行は認められたものの実用上問題がないと判断できるものを「〇」とし、フローリング床面への接着樹脂の移行が目立って発生したものを「×」とし、「○」以上を合格とした。
<剥離性の評価>
剥離性の評価として、幅500mm×長さ500mmの試験サンプルの滑り止め樹脂面同士を重ねあわせて、1箱に20枚入れて24時間放置した。しかる後、箱を開封し真ん中からタイルカーペットを2枚重なった状態で取り出し、2枚のタイルカーペットを引き剥がし、滑り止め樹脂がタイルカーペットの裏打ち層から剥離するかどうかを測定した。全く剥離していないものを「◎」とし、ほんの僅かな程度剥離は認められたものの実用上問題がないと判断できるものを「〇」とし、剥離が目立って発生したものを「×」とし、「○」以上を合格とした。
表1から明らかなように、本発明の実施例1〜5のタイルカーペットは、防滑性、荷重除去後の防滑性、裏移り性及び剥離性に優れていた。
これに対して、比較例1のタイルカーペットは、滑り止め樹脂層を積層しないため、防滑性、荷重除去後の防滑性が劣っており、裏移り性及び剥離性は評価できなかった。
本発明に係るタイルカーペットは、例えば、一般家庭等のフローリング床面などに敷設して使用されるタイルカーペットとして好適である。
1・・・タイルカーペット
2・・・パイル布帛層
3・・・裏打ち層
4・・・滑り止め樹脂層
t・・・高さ

Claims (3)

  1. 基布の上面にパイルが植設されてなるパイル布帛層と、該パイル布帛層の下面側に積層された裏打ち層を備えたタイルカーペットであって、前記裏打ち層の下面側に滑り止め樹脂層が積層されてなり、前記滑り止め樹脂層が熱可塑性樹脂で形成されていることを特徴とするタイルカーペット。
  2. 前記熱可塑性樹脂が、スチレン−エチレン・ブチレン−スチレン共重合体(SEBS)である請求項1に記載のタイルカーペット。
  3. 前記滑り止め樹脂層の塗布量が20g/m〜150g/mであり、前記滑り止め樹脂層の塗布面積がタイルカーペット裏面の全面積に対して10%〜70%であり、前記滑り止め樹脂層の高さが0.1mm〜2.0mmである請求項1又は2に記載のタイルカーペット。
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Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
CN109965647A (zh) * 2017-12-27 2019-07-05 天津香玉地毯有限公司 一种新型防滑地毯
GB2596172A (en) * 2020-03-13 2021-12-22 Ningbo Huido Weaving Co Ltd Self-adhesive floor mat with spaced adhesive backings

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