JP3138133B2 - 焼却灰や焼却飛灰の溶融装置及びその溶融方法 - Google Patents

焼却灰や焼却飛灰の溶融装置及びその溶融方法

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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、廃棄物の焼却灰や焼却
飛灰の溶融装置及びその溶融方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】近年、都市ゴミ、産業廃棄物、下水汚泥
等の廃棄物は増加の一途をたどっている。廃棄物の処分
方法としては、焼却して減容化する方法が一般的であ
る。焼却処理によって生じた焼却灰および焼却飛灰は埋
め立て処分されている。
【0003】しかし、最近では埋立地の不足や埋め立て
に伴う公害が大きな問題になっている。そこで、焼却灰
や焼却飛灰を溶融固化することによって、一層の減容化
を図ると共に、灰を無害化して再利用することが提案さ
れている。
【0004】実際、焼却灰や焼却飛灰の溶融装置を備え
た幾つかのプラントが稼働段階にある。しかし、灰溶融
物の物性と耐火物に関する研究は充分でなく、通常の炉
壁用耐火物がそのまま溶融炉の内張材として用いられて
いた。また、従来の溶融炉では一般にケーシングを水冷
する構成になっていた。
【0005】他方、従来の溶融装置ではプラズマトーチ
やバーナー、電気抵抗、コークス混合等の加熱方式が採
用されていた。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、従来の
溶融装置では、炉内壁が灰溶融物によって激しく侵食さ
れるため炉は極めて短命であった。灰溶融物が、通常の
炉壁用耐火物に対して極めて強い侵食性を有するからで
ある。また、異物による摩耗や、溶融炉の底部に滞留す
る金属も炉内壁の消耗を早めていた。
【0007】また、ケーシングを水冷すると炉内壁が不
安定になり、水蒸気爆発の危険もあった。溶融した金属
は密度が大きく蓄熱量も大きいため、冷却に時間がかか
り簡単に凝固しない。このため、溶融炉が損傷して、一
度溶融金属が炉外に流れ出すと容易に止められず、非常
に危険であった。
【0008】このため、溶融装置の耐用寿命を延ばし、
安全性を確保することが強く望まれている。そのために
は、灰溶融物に対する耐侵食性が大きく、かつ耐摩耗性
も有する特別な耐火物で炉内壁を構成しなければならな
い。
【0009】他方、プラズマトーチ、バーナー、コーク
ス混合等の従来の加熱方式では、炎の流速が大きいた
め、灰が吹き飛んで溶融効率が悪かった。また、電気抵
抗による加熱方式では、灰に含まれる金属酸化物によっ
て電極が酸化侵食を受けるため、金属電極の場合にはす
ぐに消耗してしまった。カーボン電極を使用しても、ア
ーク溶融方式の場合には炎で灰が飛散するため、やはり
溶融効率が悪かった。
【0010】以上のような従来技術の問題点に鑑み、本
発明の第1の目的は、灰溶融物に対して十分な耐侵食性
を有し、長時間安定した溶融操作が可能な焼却灰や焼却
飛灰の溶融装置を提供することである。
【0011】本発明の第2の目的は、灰を溶融してスラ
グと金属に分離する溶融操作を長時間安定して継続する
ことができる焼却灰や焼却飛灰の溶融方法を提供するこ
とである。
【0012】
【課題を解決するための手段】第1発明は、廃棄物の焼
却灰や焼却飛灰を溶融するための装置において、溶融炉
内壁の少なくとも底部の一部分にカーボン耐火物を用
い、少なくとも側部の一部分にZrO2 を85重量%以
上含有するジルコニア耐火物を用いたことを特徴とする
溶融装置を要旨としている。
【0013】第2発明は、前記溶融装置において、電極
としてカーボン電極を使用し、カーボン電極を溶融浴中
に埋没して通電し、焼却灰や焼却飛灰を溶融することを
特徴とする焼却灰や焼却飛灰の溶融方法を要旨としてい
る。
【0014】
【作用】本発明者達の分析によれば、廃棄物の焼却灰及
び焼却飛灰の化学成分は、一般にSiO2 が15〜35
重量%、Al2 3 が10〜20重量%、Na2 Oが
2.5〜15重量%、CaOが5〜45重量%、FeO
及びFe2 3 が1〜20重量%であり、他にCd、Z
n、Cu、As、Cr、Pb、Hg等の金属及びS、C
l等の揮発成分が含まれている。
【0015】特に、焼却飛灰は、廃棄物の焼却時に発生
する排ガスをアルカリやアルカリ土類成分剤により処理
した際に生成する灰である。この処理によって、排ガス
中の硫黄酸化物、リン酸化物や塩素ガス等を除去するの
である。従って、焼却飛灰にはアルカリやアルカリ土類
成分、とくにCaOがかなり多量に含まれるものと考え
られる。
【0016】前述のように、多量のCaOが酸化鉄と共
存しているため、焼却灰や焼却飛灰は特異な侵食形態を
示すことになる。また、酸化鉄の一部は還元されて金属
となり、他の金属と共に炉の底部に滞留する。なお、灰
は全体としてみれば1300〜1400℃で十分に溶融
状態となる。
【0017】本発明者達は前記分析結果を参照しつつ、
数多くの試験を行って、灰溶融物が各耐火物に及ぼす影
響を丹念に調べた。以下、詳細に述べる。
【0018】Al2 3 耐火物は、灰溶融物中のCaO
と反応して比較的低温で灰溶融物中に溶け出すことが判
った。Cr2 3 を多く含む耐火物も、耐火物中のCr
2 3 がCaOやFeO、Fe2 3 と反応して低融点
化合物を生成し、脆弱化した耐火物組織内に灰溶融物が
深く浸透し、侵食が助長されることが判明した。このた
め、請求項2に記載されているように、Al2 3 の含
有量は5重量%以下に抑えることが望ましいのである。
【0019】これに対し、ZrO2 を多く含む耐火物の
ZrO2 は、灰溶融物と反応せず灰溶融物への溶解や反
応がほとんど起こらないことが判った。また、ZrO2
の結晶は硬度が大きく、特に溶融して作製した電鋳耐火
物は組織が緻密であるため、焼結して作製した焼成耐火
物に比べて耐侵食性、耐摩耗性に一層優れていることが
判明した。
【0020】この試験結果に基づき、本発明では、溶融
炉内壁の材料としてジルコニア耐火物を積極的に用いる
構成になっている。すなわち、請求項1に記載のよう
に、溶融炉内壁の少なくとも側部の一部分にZrO2
85重量%以上含有するジルコニア耐火物を用いるので
ある。ZrO2 が85重量%未満の場合には、十分な耐
侵食性が得られない。ジルコニア電鋳耐火物は、特殊な
ガラスに対する耐侵食性に優れ、かつストーン傾向(侵
食された特に耐火物が石となってガラス中に入り込みガ
ラスの品質を低下させる性質)が特に小さく、物理的に
は荷重軟化特性に優れた耐火物である。
【0021】ジルコニア耐火物としては、例えばCa
O、MgOまたはY2 3 を安定化剤として添加、成形
し、焼成して得た焼成耐火物や、P2 5 、B2 3
アルカリ酸化物、アルカリ土類酸化物を含有するガラス
相を形成している電鋳耐火物等を用いることができる。
また、ジルコニア粒子を粘土などの結合材と共にスタン
プして使用しても良い。ZrO2 の含有量は前述したよ
うに85重量%以上、好ましくは90重量%以上に設定
する。Al2 3 は含有量が多いと成形体の製造が困難
となるので、5重量%以下に抑えるのが好ましい。
【0022】さて、焼却灰や焼却飛灰が溶融すると、炉
の底部には溶融金属が滞留する。本発明者達はこの溶融
金属が各耐火物に及ぼす影響も詳細に調べた。
【0023】その結果、溶融金属に対しては、ZrO2
を含む耐火物はアルミナ系およびクロミア系耐火物より
も優れた耐侵食性を有するが、カーボン耐火物の方がも
っと優れた耐侵食性を有することが判明した。これはカ
ーボンが溶融金属に対して濡れ難いためである。
【0024】従って、本発明においては、溶融炉内壁の
少なくとも底部の一部分にカーボン耐火物を用いる構成
になっている。
【0025】カーボン耐火物としては、例えばピッチコ
ークス、石油コークス及び無煙炭等の原料を仮焼・粉砕
し、結合材としてピッチ、タール又は粘土を添加・混練
し、これを成形・焼成して製造したカーボン耐火物を用
いることができる。また、黒鉛化した粒子を粘土などの
結合材と共にスタンプして使用しても良い。なお、カー
ボン耐火物のカーボン含有量は95重量%以上、好まし
くは98重量%以上に設定する。
【0026】カーボン耐火物の使用効果を高めるために
は、溶融物を完全に還元状態に保つ必要がある。従っ
て、本発明方法では、カーボン電極を使用しかつ電極を
溶融浴中に浸漬させながら通電し溶融する方法が採用さ
れている。本発明方法によれば、アーク溶融の時のよう
にアークによって灰溶融物が飛散してしまうこともな
く、有害な金属酸化物を還元することによって、灰溶融
物をスラグと金属とに容易に分離可能である。なお、金
属電極は、灰溶融物中の金属酸化物と容易に反応し電極
の耐用期間を著しく短くしてしまうため不適当である。
【0027】
【実施例】本発明者等は、焼却灰および焼却飛灰中にS
iO2 、CaOやアルカリ酸化物成分、さらにFeO、
Fe2 3 などの金属酸化物及び金属が含まれることに
着目し、製鉄用として賞用されているカーボン耐火物と
ガラス溶融に用いられているジルコニア耐火物とを組み
合わせて溶融炉を構成するのが有効であり、特にジルコ
ニア耐火物としては、ガラス溶融分野で最近注目されて
いるジルコニア電鋳耐火物が好ましいことを見出した。
さらに、本発明者等は、カーボン電極を溶融浴中に埋没
させて溶融物を還元状態にする溶融方法が有効であり、
この方法によって灰溶融物を飛散させずに溶融すること
ができ、しかも有害な酸化物を金属に還元して炉の底部
に滞留させることによって、スラグと金属を容易にかつ
効果的に分離できることを見出した。
【0028】特に、本発明者達は、焼却灰及び焼却飛灰
がアルカリ・アルカリ土類成分を5〜60重量%含んで
いて通常のガラス組成とは異なる特殊な組成を持ってい
ることを考慮し、以下に述べる数多くの試験を行って、
一般のガラス溶解用として使用されている耐火物が焼却
灰や焼却飛灰の溶融装置にそのまま適用できるか否か、
さらに、カーボン耐火物および前記ガラス溶解用耐火物
が炉の底部に滞留する溶融金属に対して十分な耐侵食性
を持っているか否かについて詳細に検討を行ったのであ
る。
【0029】試験方法は、焼却灰および焼却飛灰が溶融
してスラグ状になった時のスラグによる侵食量と、炉の
底部に滞留する溶融金属による侵食量とを同時に判定で
きるようにルツボ法を採用した。
【0030】まず、供試耐火物からそれぞれ一辺が約1
00×100×100mmの立方体を切り出し、その一
面の中央部からコアードリルを用いて直径約50mm×
深さ約75mmの穴を開けてルツボを作製した。次に、
切り出したコアーを約25mmの厚さに切断してルツボ
の底面に置いた。そして、焼却灰または焼却飛灰をルツ
ボに入れ、上部から加熱して1500℃の温度に96時
間保持した。
【0031】加熱終了後にルツボを半切し、スラグライ
ン部断面における耐火物の溶損深さをノギスで測定し、
スラグライン侵食量とした。さらに、コアー試料の溶損
深さをノギスで測定し、ルツボの底部に滞留した溶融金
属によるボトム侵食量と見なした。なお、ジルコニア耐
火物のボトム侵食量は電鋳耐火物にて試験した。
【0032】カーボン耐火物については酸化雰囲気とな
る部分では、カーボンがガス化して消失することが予期
されるので、高ジルコニア電鋳耐火物でルツボを作り、
ルツボの底部に置く約25mmの厚さのコアーのみをカ
ーボン耐火物で作製して試験を行った。この試験に使用
した灰の化学組成は表1に示すとおりである。
【0033】先ず、Al2 3 を多く含有する耐火物、
たとえばAl2 3 系、Al2 3−SiO2 系、Al
2 3 系−ZrO2 −SiO2 系、Al2 3 系−Cr
2 3 系の耐火物について検討を行った。これらの耐火
物はその製法上の如何を問わず、灰溶融物に対する侵食
量が著しく大きく、溶融炉の内壁用耐火物には不向きで
あった。すなわち、これらの耐火物を焼却灰および焼却
飛灰の溶融炉内壁に使用すると、灰溶融物により耐火物
が短期間で侵食又は溶解してしまった。
【0034】そこで、次に、Al2 3 をほとんど含ま
ない耐火物について調べてみた。Al2 3 系を含まな
い耐火物としてはSiO2 系、Cr2 3 系、ZrO2
−SiO2 系、SnO2 系、ZrO2 系、Cr2 3
MgO系、MgO系の耐火物等がある。
【0035】MgO系とCr2 3 −MgO系耐火物に
ついては、耐火物中のMgOが溶融ガラスに溶出した
り、CaOと置換することによって耐火物組織が崩れ、
耐侵食性が極めて悪くなるということが知られている。
SiO2 系の耐火物も、耐侵食性の面で劣るため採用で
きない。Cr2 3 系の耐火物に関しても、灰溶融物中
のCaO、FeOやFe2 3 と反応して低融点の生成
物をつくり強い侵食を受けることが判った。また、Ca
Oと反応した場合、高次酸化クロムを生成することから
環境的問題も生ずる。また、Cr2 3 の電気抵抗が低
いことからジュール熱による加熱が極めて難しく、電気
抵抗炉には採用できない。SnO2 系の耐火物はその電
気抵抗の低さと熱的スポーリングに対して弱いことから
使用は困難である。ZrO2 −SiO2 系の耐火物の場
合は、耐火物中のSiO2 が灰溶融物中に溶解して結晶
形態が変わってしまうことから組織が崩れ、耐侵食性が
極めて低くなるという欠点がある。
【0036】溶融金属に対してはAl2 3 系耐火物、
MgO系耐火物、Cr2 3 系耐火物は、溶融金属特有
のメタルダウンウアードドリリング作用によって強い侵
食を受けることが判った。これに対して、ZrO2 系耐
火物は比重も大きく溶融金属に対しても強い耐侵食性を
有し十分耐用し、さらに、カーボン耐火物の方が優れた
耐侵食性を発揮することが判明した。これは、カーボン
が溶融金属に対して濡れ難い性質を持っているためであ
る。
【0037】表2には、試験に用いたAl2 3 系耐火
物(比較例1〜5)の化学組成が、またCr2 3 系耐
火物(比較例6、7)の化学組成が示されている。
【0038】表3は、ZrO2 を85重量%以上含有す
る電鋳耐火物の4例(実施例1〜4)の化学組成を示し
ている。
【0039】表4は、同じくZrO2 を85重量%以上
の焼成耐火物の別の4例(実施例5〜8)の化学組成を
示している。
【0040】表5は、カーボン耐火物の4例(実施例9
〜12)の化学組成を示している。
【0041】表6には、実施例1〜13および比較例1
〜7の溶融スラグに対する侵食量と底部に滞留した溶融
金属による侵食量が、それぞれスラグライン侵食量(単
位mm)およびボトム侵食量(単位mm)として示され
ている。
【0042】表6の結果から明らかなように、実施例1
〜4の耐火物は、廃棄物の焼却灰および焼却飛灰の溶融
に対しては、ほとんど侵食されなかった。一方、実施例
5〜8のMgO、Y2 3 、CaOなどで安定化した焼
成ジルコニア耐火物も灰溶融物に対して強い耐侵食性を
示した。しかし、安定化剤が溶融物の中へ溶け込んでし
まうことから電鋳耐火物に比較すると組成的に多少劣る
ことが判った。
【0043】溶融金属による侵食ではカーボン耐火物の
侵食が非常に少なかった。ジルコニア耐火物もかなり耐
侵食性があるがカーボン耐火物と比較すると劣ることが
判明した。特にCd、Hg、Pbなどの重金属を多く含
む焼却飛灰Aに対してジルコニア耐火物の侵食は大きか
った。カーボン耐火物が溶融金属の侵食に対して強いの
はカーボンが金属と濡れ難く反応し難いためである。
【0044】比較例のAl2 3 耐火物およびCr2
3 耐火物は、金属にかなり侵食された。これは金属の比
重が大きく、アルミナやクロミアなどはジルコニアに比
較して比重が小さいことから、金属と耐火物組織の化学
的な反応が進み置換が進行したためである。
【0045】前述の実施例1〜8及び比較例1〜7の実
験結果より、ZrO2 が85重量%以上の耐火物、又は
ZrO2 が85重量%以上でAl2 3 が5重量%以下
である耐火物を溶融炉の底部を除く内壁に用い、底部に
はカーボン耐火物を使用することにより耐用寿命の長い
溶融炉が得られることが判明した。
【0046】他方、溶融方法に関しては次のことが判明
した。すなわち、電極としてはカーボン電極が適してお
りカーボン電極を溶融浴中に埋没させながら溶融する電
気抵抗加熱方式が有効である。そして、溶融炉の内壁用
耐火物としては前記溶融炉の溶融灰(スラグ)と接触す
る側壁部好ましくは灰融液の上表面(スラグライン)と
接触する側壁部、すなわちガラス溶融炉におけるグラス
ラインに相当する部分にジルコニア耐火物を用い、溶融
金属の滞留する底部にはカーボン耐火物を用いることが
有効であることが判った。このような構成にすることに
よって、溶融炉の寿命を延ばし安定した溶融操作を長時
間連続して続けることができるのである。 図1は、本
発明による溶融装置の一実施例を概念的に示す縦断面図
である。炉本体1の上部には、開閉可能な炉蓋2が設定
されている。炉本体1の内壁は次のような耐火物で形成
されている。すなわち、溶融金属6が滞留する底部はカ
ーボン耐火物3、溶融スラグ7と接触する側部はジルコ
ニア耐火物4で形成されている。ジルコニア耐火物は、
特にスラグライン9の部分に好適である。炉蓋2には、
灰8の投入口12およびカーボン電極5のために孔が設
けられている。カーボン電極5は、炉蓋2を通してスラ
グに埋没させておく。そして、カーボンに通電し、発生
するジュール熱で灰を加熱溶融する。灰に含まれる金属
酸化物は、還元され金属となって底部に滞留する。溶融
スラグはスラグ取出口10から排出され、溶融金属6は
金属取出口11から炉外に排出される。
【0047】以上述べたように、本発明者達は、焼却灰
や焼却飛灰の溶融炉内壁用耐火物として、溶融炉の底部
以外の部分にはジルコニア電鋳耐火物が最適であり、底
部の金属の滞留する部分にはカーボン耐火物が最も優れ
ていることを見出したのである。本発明の前記特徴事項
は、本発明者達が数多くの体系的な試験を行い、その結
果を総合的に分析することによって、創到されたもので
ある。なお、本発明は前述の実施例に限定されず、様々
な変形が可能である。
【0048】
【発明の効果】本発明の溶融装置は、焼却灰や焼却飛灰
の加熱溶融による激しい侵食作用や摩耗にも十分に耐
え、化学的及び物理的にも優れた安定性を有している。
従って、長期間使用しても炉内壁の溶損が少なく、十分
な耐久性を有し、従来の溶融装置に比べて炉の寿命が大
幅に長く、実用上極めて有用である。
【0049】また、本発明方法によれば、灰を溶融して
スラグと金属に分離することができる。つまり、不安定
で有害な金属酸化物を金属として安定化・無害化して取
り出すことができるのである。従って、産業上の利用価
値が非常に大きい。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明による溶融装置の実施例を概念的に示す
縦断面図。
【符号の説明】
1 炉本体 2 炉蓋 3 カーボン耐火物 4 ジルコニア耐火物 5 カーボン電極 6 溶融金属 7 溶融スラグ 8 灰 9 スラグライン 10 スラグ取出口 11 金属取出口
【表1】
【表2】
【表3】
【表4】
【表5】
【表6】
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 土屋 伸二 東京都中央区日本橋久松町4番4号 糸 重ビル 東芝モノフラックス株式会社内 (56)参考文献 特開 平5−223458(JP,A) 特開 平2−172583(JP,A) 実開 平2−65472(JP,U) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) F23J 1/00 B09B 3/00 F23M 5/00 F27D 1/00 - 1/18

Claims (5)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 廃棄物の焼却灰や焼却飛灰を溶融するた
    めの装置において、溶融炉内壁の少なくとも底部の一部
    分にカーボン耐火物を用い、少なくとも側部の一部分に
    ZrO2 を85重量%以上含有するジルコニア耐火物を
    用いたことを特徴とする溶融装置。
  2. 【請求項2】 前記ジルコニア耐火物のZrO2 含有量
    が85%以上であり、Al2 3 含有量が5重量%以下
    であることを特徴とする請求項1に記載の溶融装置。
  3. 【請求項3】 前記ジルコニア耐火物が電鋳耐火物であ
    ることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の溶
    融装置。
  4. 【請求項4】 前記カーボン耐火物が実質的に天然黒鉛
    または人造黒鉛から成ることを特徴とする請求項1〜3
    のいずれか1項に記載の溶融装置。
  5. 【請求項5】 請求項1に記載の溶融装置において、電
    極としてカーボン電極を使用し、カーボン電極を溶融浴
    中に埋没して通電し、焼却灰や焼却飛灰を溶融すること
    を特徴とする焼却灰や焼却飛灰の溶融方法。
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