JP3375758B2 - 廃棄物を溶融する炉 - Google Patents

廃棄物を溶融する炉

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JP3375758B2
JP3375758B2 JP27720994A JP27720994A JP3375758B2 JP 3375758 B2 JP3375758 B2 JP 3375758B2 JP 27720994 A JP27720994 A JP 27720994A JP 27720994 A JP27720994 A JP 27720994A JP 3375758 B2 JP3375758 B2 JP 3375758B2
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茂男 遠藤
正樹 中西
格 橋本
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東芝モノフラックス株式会社
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は廃棄物を溶融する炉に関
し、さらに具体的には、少なくとも部分的にジルコニア
耐火物を用いた廃棄物溶融炉に関するものである。
【0002】
【従来の技術】近年、都市ゴミ、産業廃棄物、下水汚泥
などの廃棄物は増加の一途をたどってている。
【0003】これら廃棄物の処分方法の一つとして、廃
棄物を焼却や乾燥処理によって減容化させることが行わ
れている。その際、焼却処理で生じた焼却灰および焼却
飛灰や、乾燥処理で生じた下水汚泥ケーキは、埋め立て
処分されている。
【0004】しかし、最近では埋め立て地の不足や公害
の問題が予想されるようになってきた。このため、焼却
灰、焼却飛灰、下水汚泥ケーキなどの廃棄物を高温で溶
融してから固化して減容化・無害化をはかり、さらに再
利用することが考えられている。
【0005】廃棄物を溶融する炉は、すでにいくつかが
稼動している。例えば、バーナー、電気抵抗、アーク、
プラズマ、コークス混合等の加熱方法による各種溶融炉
がある。
【0006】プラズマにより加熱するプラズマ炉はコン
パクトなプラズマトーチとよばれる水冷電極を用いるの
で、炉の設置面積を小さくできる利点がある。プラズマ
トーチによる加熱方式では、高温部で2〜3万℃、比較
的低い外周部でも3000℃以上の極めて高い温度が得
られるので、溶融物を均質にできる。炉の内張には、A
2 3 −SiC系、MgO−Cr2 3 系、SiC系
などの耐火物が使用されている。
【0007】焼却灰、焼却飛灰および下水汚泥ケーキの
化学組成は、一般にSiO2 15〜45重量%、Al2
3 10〜20重量%、Na2 O1〜15重量%、Ca
O5〜45重量%である。この他にS、Clなどの揮発
成分が含まれている。焼却灰や焼却飛灰には、特にF
e、Cd、Pb、Zn、Cu、As、Cr、Hgなどの
金属が含まれている。
【0008】焼却飛灰は、廃棄物の焼却時に発生する排
ガス中の硫黄酸化物、塩素ガスなどを除去する目的で排
ガスをアルカリやアルカリ土類成分剤により処理した際
に生成する灰である。従って、焼却飛灰にはアルカリや
アルカリ土類成分、特にCaOが多く含まれている。ま
た、下水汚泥ケーキにはアルカリ土類成分はもちろん、
2 5 が多く含まれている。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】これらの成分を含む廃
棄物を溶融する際に、異物による摩耗、灰の特異な侵食
性の強さ、さらには灰に含まれる金属が炉底に溜まるこ
となどから、炉の内張に使用される耐火物は侵食および
摩耗が激しい。特に取出口や溶融物の液面と接する部分
は温度が高くなる。また、そのような部分は溶融物の流
動による物理的侵食も受けやすい場所である。それゆ
え、耐火物が激しく損傷される。
【0010】プラズマ炉では溶解温度が通常1500℃
前後になり、時には1900℃に達する場合がある。こ
のように高温になるために、比較的耐食性が高いとされ
るAl2 3 −SiC系、MgO−Cr2 3 系やSi
C系の焼成耐火物でも著しく侵食される。
【0011】本発明は、廃棄物の溶融に際して十分な耐
侵食性、耐摩耗性を有し、長時間の使用に耐える廃棄物
溶融炉を提供することを目的としている。
【0012】
【課題を解決するための手段】この目的を達成するため
に種々の研究を重ねた結果、本発明は、化学組成が、S
iO 2 15〜45重量%、Al 2 3 10〜20重量%、
Na 2 O1〜15重量%、CaO5〜45重量%で、こ
の他に揮発成分と金属が含まれている廃棄物を溶融する
炉であって、少なくとも溶融物の液面に接触する部分と
取出口の溶融物が流れ出るときに接触する部分を、Zr
2を85重量%以上含有するジルコニア耐火物で構成
したことを特徴とする廃棄物を溶融する炉を要旨とし
ている。
【0013】
【作用】一般に前述のような廃棄物はその化学組成から
1300〜1400℃で溶融状態となる。この溶融状態
の廃棄物と各耐火物の反応性は次のとおりである。
【0014】Al2 3 を多く含む耐火物は、耐火物中
のAl2 3 が溶融中のCaOと反応して1360℃付
近で溶融物に溶け出す。そして、溶け出して空洞化した
耐火物組織内に溶融物が浸透し、侵食が助長される。
【0015】これに対し、ZrO2 を多く含む耐火物の
ZrO2 は、1900℃でも溶融物と反応せず、溶解は
おこらない。また、ZrO2 の結晶は硬度が大きく、特
に電鋳耐火物は組織の緻密さから焼成耐火物に比べて一
層耐摩耗性に優れている。
【0016】ZrO2 の含有量は、85重量%以上特に
90%以上が好ましい。ZrO2 含有量が85重量%よ
りも少ないと、その利点が生かせない。
【0017】
【実施例】本発明者等は、焼却灰および焼却飛灰中にS
iO2 、CaOやアルカリ酸化物成分が含有されている
ことに着目して、廃棄物の溶融炉に使用する耐火物とし
てジルコニア耐火物が使用可能であることを発明した。
【0018】廃棄物の組成はアルカリ酸化物、アルカリ
土類酸化物成分が10〜40重量%であり、通常のガラ
ス組成とは大きく異なり、非常に特殊である。このた
め、一般に使用されているガラス溶融用耐火物が廃棄物
溶融炉に使用できるか否かを検討した。
【0019】先ず、Al2 3 を多く含有する耐火物、
例えばAl2 3 系、Al2 3 −SiO2 系、Al2
3 −ZrO2 −SiO2 系、Al2 3 −Cr2 3
系耐火物について検討を加えた。
【0020】これらの耐火物はその製法上の如何を問わ
ず、廃棄物の溶融物に耐する侵食量が著しく多く、使用
できない。すなわち、これらの耐火物の溶融炉に使用す
ると、溶融物により耐火物が容易に侵食または溶解して
しまう。
【0021】そこで、次に、Al2 3 をほとんど含ま
ない耐火物について検討した。
【0022】Al2 3 を含まない耐火物としては、S
iO2 系、ZrO2 −SiO2 系、SnO2 系、ZrO
2 系、Cr2 3 系、MgO−Cr2 3 系、MgO系
の耐火物などがある。
【0023】SiO2 系耐火物は耐侵食性の面で劣るた
め使用できない。ZrO2 −SiO2 系耐火物の場合
は、耐火物中のSiO2 が溶融物中に溶解して、耐火物
の組織が崩れ、耐侵食性が極めて低くなる。
【0024】SnO2 系の耐火物はその電気抵抗の低さ
と熱的ポーリングに対して弱いことから使用は困難であ
る。
【0025】Cr2 3 を含む耐火物は溶融物に対する
耐侵食性が少なく、かつクロム自身の毒性による環境問
題もある。
【0026】MgOを含む耐火物は、耐火物中のMgO
が溶融物に溶出したり、溶解したりすることによって、
耐火物の組織が崩れ、耐侵食性が極めて悪い。
【0027】以上の結果は、本発明者等の行った数多く
の試験から判明したものである。
【0028】
【表1】 表1に試験に用いたAl2 3 系耐火物の化学組成を比
較例1〜5として示し、Cr2 3 系耐火物の化学組成
を比較例6、7として示し、MgO−Cr2 3 系耐火
物の化学組成を比較例8として示し、Al2 3 −Si
C系耐火物の化学組成を比較例9、10として示す。
【0029】
【表2】 表2に比較例1〜10の溶融物に対する侵食量を示す。
比較例2、6、8、9、10は焼成耐火物の例である。
その他の比較例は電鋳耐火物の例である。
【0030】侵食量の試験方法は次の通りであった。各
耐火物からそれぞれ直径20mm、長さ80mmの大き
さの試験片を取り出し、廃棄物をいれた内容積1600
ccのルツボに、これらの試験片を、試験片が溶融物に
浸るように設置し、1550℃の炉内で48時間保持し
た。加熱後、試験片を半切して断面に現れた凹部の深さ
をノギスで測定した。それを侵食量としてmm単位で表
し、評価した。
【0031】この試験に使用した溶融物の化学組成は表
7のとおりである。
【0032】
【表7】 次に、本発明者等は、最近、特殊なガラスを溶解するた
めに耐侵食性や荷重軟化特性に優れた耐火物として提案
されて使用されているジルコニア電鋳耐火物に着目して
検討した。その結果、ジルコニア電鋳耐火物は廃棄物の
溶融炉用耐火物として十分使用し得ることを見出した。
【0033】
【表3】 表3はZrO2 を85重量%以上含有する電鋳耐火物4
例(実施例1〜4)の化学組成を示す。
【0034】
【表4】 表4は安定化ジルコニア粒を配合したZrO2 85重量
%以上の焼成耐火物の4例(実施例5〜8)の化学組成
を示す。
【0035】
【表5】 表5は高ジルコニア電鋳耐火物の粒を配合したZrO2
85重量%以上の焼成耐火物の2例(実施例9、10)
の化学組成を示す。
【0036】
【表6】 表6に実施例1〜10の耐火物の溶融物に対する侵食性
(単位mm)を示す。
【0037】侵食量の試験方法は前述した比較例1〜1
0の時と同様である。
【0038】表6の結果から明らかなように、実施例1
〜4の耐火物は、廃棄物の溶融物に対して、ほとんど侵
食されない。一方、実施例5〜8の、MgO、Y
2 3 、CaOなどで安定化した焼成耐火物も、溶融物
に対して強い耐侵食性を示す。しかし、安定化剤が溶融
物の中へ溶け込んでしまうことから電鋳耐火物に比較す
ると組成的に多少劣る。実施例9、10の耐火物は実施
例5〜8と同程度の強い耐侵食性を示す。
【0039】前述の実施例1〜10及び比較例1〜10
の実験結果により、ZrO2 を85重量%以上含有する
ジルコニア耐火物を廃棄物溶融炉の液面接触部分や取出
口に用いると、種々の効果が得られることが判明した。
この耐火物はプラズマ炉に使用すると特に効果的であ
る。
【0040】図示例 図1は廃棄物を溶融するプラズマ炉の模型の縦断面図で
ある。炉1は、シェル2の内側全体に断熱材3と高耐食
性材4の耐火物が2層になるように内張してある。この
ように耐火物を内張した炉1の天井にプラズマトーチ1
1が垂直に設けてある。それに対応して炉底に電極12
が垂直に設けてある。図の左上の投入口17から炉1に
入れられた廃棄物(図示せず)は炉内で溶融されて、炉
1の下部に溜まる。この溶融物14は適宜、炉1の側部
に形成された取出口15から排出される。そのとき溶融
物14と接触する取出口15の所定部分13(図の斜線
部分)および溶融物14の液面16に接する部分19
(図の斜線部分)には、ZrO2 85重量%以上のジル
コニア耐火物が内張りしてある。炉1の天井には、必要
に応じてガス排出口18が設けてある。
【0041】図2に示されているように、本発明の炉に
使用する実施例9、10のジルコニア耐火物は、高ジル
コニア電鋳耐火物の粗粒5と、高ジルコニア電鋳耐火物
の中粒6と、高ジルコニア電鋳耐火物の小粒7と、粘土
及びタブラーアルミナ微粒からなるマトリックス部8か
らなり、マトリックス部8には微小な気孔(図示せず)
が含まれている。
【0042】図3に示されているように、粗粒5、中粒
6及び小粒7のいずれも、各粒子はジルコニア粒子aと
ガラスマトリックスbから成る。
【0043】液面16や取出口15は酸化雰囲気になり
やすいため、Al2 3 −SiC系の耐火物は酸化され
て使用に耐えず、酸化雰囲気において比較的耐食性の高
いとされるMgO−Cr2 3 系の耐火物でさえ前記侵
食試験の結果の通り不十分であった。
【0044】ZrO2 85重量%以上のジルコニア耐火
物は酸化雰囲気でも還元雰囲気でも物理的および化学的
に極めて安定しているので、液面や取出口以外の部位に
使用してもよい。
【0045】
【発明の効果】本発明の廃棄物溶融炉、特に高温で運転
されるプラズマ炉は、廃棄物の溶融物による激しい侵食
作用や磨耗にも十分に耐えて化学的安定性を有してい
る。そして、長期にわたって炉の内張の溶損が少なくな
り、耐久性を持ち合わせており、炉の寿命が飛躍的に伸
びて実用上極めて有利である。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明による廃棄物溶融炉の最適例として示す
プラズマ炉の縦断面図。
【図2】本発明による廃棄物溶融炉の内張に使用するジ
ルコニア耐火物の一部を概略的に示す断面図。
【図3】図2のジルコニア耐火物中の粗粒の1つを詳細
に示す拡大断面図。
【符号の説明】
1 炉 2 シェル 3 断熱材 4 高耐食性材 5 高ジルコニア電鋳耐火物の粗粒 6 高ジルコニア電鋳耐火物の中粒 7 高ジルコニア電鋳耐火物の小粒 8 粘土とタブラーアルミナ微粒からなるマトリッ
クス(気孔を含む) a ジルコニア粒子 b ガラスマトリックス 11 プラズマトーチ 12 電極 13 ジルコニア耐火物で内張りした取出口の部分 14 溶融物 15 取出口 16 液面 17 投入口 18 ガス排出口 19 ジルコニア耐火物で内張りした炉の部分
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI F27B 3/14 B09B 3/00 303L (56)参考文献 特開 昭62−241869(JP,A) 特開 平6−137764(JP,A) 特公 昭64−350(JP,B1) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) F27D 1/00 B09B 3/00 F23G 5/00 115 F23M 5/00 F27B 3/14

Claims (3)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 化学組成が、SiO 2 15〜45重量
    %、Al 2 3 10〜2 0重量%、Na 2 O1〜15重量
    %、CaO5〜45重量%で、この他に揮発成 分と金属
    が含まれている廃棄物を溶融する炉であって、少なくと
    も溶融物の液面に接触する部分と取出口の溶融物が流れ
    出るときに接触する部分を、ZrO2を85重量%以上
    含有するジルコニア耐火物で構成したことを特徴とす
    廃棄物を溶融する炉。
  2. 【請求項2】 ジルコニア耐火物は、高ジルコニア電鋳
    耐火物の粗粒と、高ジルコニア電鋳耐火物の中粒と、高
    ジルコニア電鋳耐火物の小粒と、マトリックス部からな
    ることを特徴とする請求項1記載の廃棄物を溶融する
    炉。
  3. 【請求項3】 前記ジルコニア耐火物が、ジルコニア結
    晶粒子とガラスマトリックスから成る電鋳耐火物である
    ことを特徴とする請求項1または請求項2に記載の、
    棄物を溶融する炉。
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JP2013043811A (ja) * 2011-08-25 2013-03-04 Asahi Glass Co Ltd 安定化ジルコニア焼結耐火物及びその製造方法
JP6527443B2 (ja) * 2015-10-13 2019-06-05 黒崎播磨株式会社 廃棄物溶融炉用ジルコニア質プレキャスト耐火物の製造方法

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