JP3137755B2 - インジゴ類の製造方法 - Google Patents

インジゴ類の製造方法

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JP3137755B2 JP04222883A JP22288392A JP3137755B2 JP 3137755 B2 JP3137755 B2 JP 3137755B2 JP 04222883 A JP04222883 A JP 04222883A JP 22288392 A JP22288392 A JP 22288392A JP 3137755 B2 JP3137755 B2 JP 3137755B2
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    • C09B7/00Indigoid dyes
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、インジゴ類の製造方法
に関するものである。更に詳しくは、2位および3位に
置換基を有しないインドール類と有機ヒドロ過酸化物を
触媒の存在下に液相で反応させることにより該インドー
ル類に対応するインジゴ類を製造するに際し、反応途中
の反応液に塩基性化合物を加え、かつ酸素供与性化合物
を存在させるインジゴ類の製造方法に関するものであ
る。インジゴ類は染料として重要な化合物である。
【0002】
【従来の技術】現在、工業的なインジゴの製造方法とし
ては、アニリンとクロロ酢酸もしくはアニリン、青酸お
よびホルムアルデヒドを原料としてN−フェニルグリシ
ン塩を製造し、これを高温でアルカリ溶融してインドキ
シル化合物とした後、更にこれを空気酸化する方法が採
用されている。しかしながらこれらの方法は反応工程が
多段階で極めて複雑であるばかりでなく、大量の水酸化
カリウムと水酸化ナトリウムを使用しなければならない
ので、これらの回収再使用に際して多大のエネルギーを
消費し、またそのための特殊な装置が必要であるという
問題がある。そのため、より簡素なプロセスへの転換が
望まれている。
【0003】本発明者らは、2位および3位に置換基を
有しないインドール類を有機ヒドロ過酸化物と反応させ
て、簡便にインジゴ類を製造する方法を開示した(米国
特許第4992556 号、特開平1-215859、特開平2-269160お
よび特開平3-768 など)。しかしながら、これらの方法
でもインジゴ類の生成速度や収率はまだ充分なものでは
ない。
【0004】また3位に置換基を有するインドール類で
ある3-ホルミルインドール類を原料とし、これを有機溶
媒中で過酸化物と反応させた後、例えば溶媒を留去した
り残存する過酸化物を分解する等の操作を行った後に、
更に酸化二量化するという2段反応でインジゴ類を得た
例がある(特開昭54-124027 )。しかしながら3-ホルミ
ルインドール類を原料とするこの方法では、インドール
類の3位の炭素は酸素と結合を作ってインジゴ類を形成
するので、インジゴ類の生成には3位のホルミル基の脱
離が不可欠となること、また3-ホルミルインドール類と
過酸化物との反応だけではインジゴ類は生成せず、その
反応の生成物を改めて酸化するという2段反応ではじめ
てインジゴ類が得られることなどで、本発明とは反応そ
のものも方法も異なっている。本発明の目的である反応
途中以後のインジゴ類の生成速度を高める方法とも無縁
である。しかもこの方法では、3-ホルミルインドール類
は容易に入手できる化合物ではなくインドール類から一
端複雑な反応により合成する必要があるし、3-ホルミル
基の脱離に伴う副生物の生成によって反応系が複雑にな
るなどの理由で決して簡便なインジゴ類の製造方法では
ない。またインジゴ類の収率や生成速度も充分なもので
はない。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】本発明の課題は、簡便
なインジゴ類の製造方法を提供することである。本発明
のいま一つの課題は、インドール類を原料とし、前記し
た従来の技術より効率よくインジゴ類を製造する方法を
提供することである。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、工業的に
入手容易なインドール類と有機ヒドロ過酸化物との反応
により、効率よくインジゴ類を製造する反応系の開発を
目指し、鋭意検討を続けてきたところ、反応途中の反応
液に塩基性化合物を加え、かつ酸素供与性化合物を存在
させて反応を続けると、以後の生成速度が非常に高めら
れ、なおかつ高収率で、原料のインドール類に対応する
インジゴ類が得られることを見いだし、本発明を完成さ
せるに至った。
【0007】すなわち本発明は、2位および3位に置換
基を有しないインドール類と有機ヒドロ過酸化物を触媒
の存在下に液相で反応させて該インドール類に対応する
インジゴ類を製造するに際し、反応途中の反応液にアル
カリ金属またはアルカリ土類金属の塩基性化合物、アン
モニア、塩基性アンモニウム化合物およびアミン類から
選ばれる少なくとも一種以上の塩基性化合物を加え、か
つ酸素供与性化合物を存在させることによって、以後の
インジゴ類の生成速度を高めることを特徴とするインジ
ゴ類の製造方法である。
【0008】本発明の方法では、インドール類はその2
位の炭素どうしが二重結合で二量化し、またその3位の
炭素は酸素と結合を作ってインジゴ類を生成するため、
2位および3位に置換基を有しているとインジゴ類の生
成が妨害される。従って本発明の方法における原料のイ
ンドール類は、2位および3位に置換基を有してはなら
ない。そのような2位および3位に置換基を有しないイ
ンドール類とは、例えば、インドールをはじめとし、1
−メチルインドール、4−エチルインドール、5−メチ
ルインドール、6−メチルインドール、6−イソプロピ
ルインドール、7−メチルインドール、4,5-ジメチルイ
ンドールなどの炭素数1〜10のアルキル基を1〜4個
有するアルキルインドール類であり、4−シクロヘキシ
ルインドール、5−シクロペンチルインドールなどの炭
素数3〜12のシクロアルキル基を1〜4個有するシク
ロアルキルインドール類であり、5−フェニルインドー
ル、6−β−ナフチルインドールなどの炭素数6〜30
のアリール基またはアルキル置換アリール基を1〜4個
有するアリールインドール類であり、4−クロロインド
ール、5−クロロインドール、5,7-ジクロロインドー
ル、5−ブロモインドール、6−ブロモインドール、5,
7-ジブロモインドール、4−クロロ−5−ブロモインド
ールなどの1〜4個のハロゲン原子を有するハロゲン化
インドール類であり、4−ヒドロキシインドール、5−
ヒドロキシインドール、4,5-ジヒドロキシインドールな
どの1〜4個のヒドロキシ基を有するヒドロキシインド
ール類であり、4−メトキシインドール、5−ベンジル
オキシインドールなどの炭素数1〜10のアルコキシ基
を1〜4個有するアルコキシインドール類であり、5−
フェノキシインドールなどの炭素数6〜30のフェノキ
シ基を1〜4個有するフェノキシインドール類であり、
4−クロロ−5−エチルインドール、6−クロロ−4−
メチルインドール、4−ブロモ−5−エチルインドー
ル、5−ブロモ−4−メチルインドールなどの1〜3個
のハロゲン原子および炭素数1〜10のアルキル基を1
〜3個有するハロゲン化アルキルインドール類であり、
4−ニトロインドール、5−ニトロインドール、7−ニ
トロインドールなどの1〜4個のニトロ基を有するニト
ロインドール類であり、1−ベンゾイルインドール、4
−アセチルインドールなどの炭素数2〜20のアシル基
を1〜4個有するアシルインドール類であり、1−アセ
トキシインドール、4−ベンゾイルオキシインドールな
どの炭素数2〜20のアシルオキシ基を1〜4個有する
アシルオキシインドール類であり、インドール−5−カ
ルボン酸などのインドールカルボン酸類またはそのエス
テル類であり、5−N,N−ジメチルアミノインドール
などのアルキル部分が炭素数1〜10であるN,N−ジ
アルキルアミノ基を1〜4個有するN,N−ジアルキル
アミノインドール類であり、スルホン化インドール類な
どである。更に、上記した置換基を2種類以上有してい
るインドール類も含まれる。この他、2位および3位以
外の位置には反応を阻害しないものであれば置換基を有
していてもよい。これらインドール類の中でも、インド
ール、アルキルインドール類およびハロゲン化インドー
ル類が好ましく、このうちインドールがより好ましい。
また本発明の方法における有機ヒドロ過酸化物とは、ヒ
ドロペルオキシ基式(1)〔化1〕を有する有機化合物
のことである。
【0009】
【化1】 例えば、デ・スワーン(D.Swern )著″オーガニック・
ペルオキシド(OrganicPeroxides) Vol.II", ウィリー
・インターサイエンス(Wiley-Interscience ) 刊(1971
年); 107-127頁の表中、または、エイ・ジー・デービス
(A.G.Davies)著″オーガニック・ペルオキシド(Orga
nic Peroxides)",ブッターワース(Butterworths)刊
(1961年); 9-33 頁の表中に挙げられているようなもの
である。これらのうち、例えば、ターシャリーブチルヒ
ドロペルオキシド、1−フェニルエチルヒドロペルオキ
シド(慣用名エチルベンゼンヒドロペルオキシド)、1
−メチル−1−フェニルエチルヒドロペルオキシド(慣
用名クメンヒドロペルオキシド)、ビス(1−メチルエ
チル)フェニルヒドロペルオキシド、1−メチル−1−
(4−メチルシクロヘキシル)エチルヒドロペルオキシ
ド、2,5-ジメチルヘキサン-2,5- ジヒドロペルオキシ
ド、1,1,3,3-テトラメチルブチルヒドロペルオキシドな
どのような、アルキル部分の炭素数が3〜30である2
級または3級のアルキルヒドロ過酸化物が好ましい。こ
れらの有機ヒドロ過酸化物は単独で用いても、2種以上
を混合して同時に用いても、または2種以上を順次用い
ても構わない。さらには、これらの有機ヒドロ過酸化物
としては、例えばイソプロピルベンゼンと酸素含有ガス
との組み合わせなど、反応系内でこれらの有機ヒドロ過
酸化物を発生させることのできる成分の組合せであって
もよい。これらの有機ヒドロ過酸化物の使用量は特に限
定されるものではないが、通常当該インドール類1モル
に対して0.01ないし100モルの範囲であり、好ましく
は0.1ないし20モルの範囲であり、更に好ましくは0.
2 ないし10モルの範囲である。
【0010】本発明の方法における触媒とは、2位およ
び3位に置換基を有しないインドール類と有機ヒドロ過
酸化物からインジゴ類への反応を効率よく進行させれば
どのような触媒であってもよい。このような触媒のう
ち、好ましい触媒としては、周期律表の4族、5族およ
び6族からなる群から選ばれる金属の化合物が挙げら
れ、具体的にはチタン、ジルコニウム、ハフニウム、バ
ナジウム、ニオブ、タンタル、クロム、モリブデンまた
はタングステンの金属の化合物であり、より具体的に
は、例えば、これらの金属のハロゲン化物、オキシハロ
ゲン化物、酸化物、複合酸化物、硫化物、硼化物、りん
化物、水酸化物、オキシ水酸化物、シアノ錯塩、例えば
硫酸、硝酸やりん酸などの無機酸の塩、例えばチタン
酸、モリブデン酸、タングステン酸、モリブデン酸アン
モニウムやモリブデン酸ナトリウムなどの金属オキシ酸
またはそれらの塩、例えばりんモリブデン酸、珪タング
ステン酸やりんモリブデン酸ナトリウムなどのヘテロポ
リ酸またはそれらの塩、などのような無機化合物であ
り、これらの金属の、酢酸、蓚酸、安息香酸、ナフテン
酸などの有機酸の塩、エチルアルコールやイソプロピル
アルコールなどのアルコキシド、フェノールやメタクロ
ロフェノールなどのフェノキシド、などのような少なく
とも一部に有機基を有する化合物であり、もしくはこれ
らの金属の、カルボニル錯体、アミン類の錯体、ピリジ
ンやビピリジルなどのピリジン錯体、オキソ錯体、シス
テインやジチオカテコールなどのチオレート錯体、スル
フィド錯体、ジチオカルバメート錯体、チオシアネート
錯体、イソシアネート錯体、ニトロシル錯体、トリフェ
ニルホスフィンや1,2-ジフェニルホスフィノエタンなど
のホスフィン錯体、ホスホリル錯体、フタロシアニン錯
体、ポルフィリン錯体、ニトリル錯体、エーテル錯体、
ケトン錯体、アセチルアセトンなどのβ−ケトカルボニ
ル錯体、アルキルまたはアレンの錯体、オレフィン錯
体、シクロペンタジエニル錯体、などの錯体化合物であ
る。さらには以上のような化合物の複数の種類に渡って
分類されるような化合物などが挙げられる。これらの化
合物は単独でもまたは2種以上を同時に使用することも
できる。また、反応系内でこれらの化合物を発生させる
ことのできる成分の組合せであってもよい。これらの化
合物は、反応混合液に溶解していることが好ましいが一
部または全部が不溶であっても差し支えない。またこれ
らの触媒は反応に用いる溶媒と同種または異種の少量の
溶媒にあらかじめ溶解または懸濁させた触媒液として用
いることもできる。これらの化合物のうち、モリブデン
の化合物が好ましい。これらの化合物の使用量は特に制
限はないが、通常インドール類1モルに対して0.5 モル
以下であり、好ましくは0.000001ないし0.1 モルの範囲
であり、更に好ましくは0.00001 ないし0.1 モルの範囲
である。
【0011】本発明の方法においては、反応途中の反応
液にアルカリ金属またはアルカリ土類金属の塩基性化合
物、アンモニア、塩基性アンモニウム化合物およびアミ
ン類から選ばれる塩基性化合物を加え、かつ酸素供与性
化合物を存在させて反応を行う。
【0012】アルカリ金属またはアルカリ土類金属の塩
基性化合物とは、リチウム、ナトリウム、カリウム、ル
ビジウム、セシウム、ベリリウム、マグネシウム、カル
シウム、ストロンチウムおよびバリウムなどのアルカリ
金属またはアルカリ土類金属の塩基性を有する化合物の
ことであり、例えば水酸化リチウム、水酸化ナトリウ
ム、水酸化カリウム、水酸化ルビジウム、水酸化セシウ
ム、水酸化ベリリウム、水酸化マグネシウム、水酸化カ
ルシウム、水酸化ストロンチウムや水酸化バリウムなど
のこれらの金属の水酸化物であり、例えば炭酸リチウ
ム、炭酸水素ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸マグネシ
ウムや炭酸水素カルシウムなどのこれらの金属の炭酸塩
および炭酸水素塩であり、例えばりん酸三リチウム、り
ん酸水素二カリウム、りん酸バリウム、ピロりん酸ナト
リウムやメタりん酸カルシウムなどのこれらの金属のり
ん酸塩およびりん酸水素塩であり、例えばメタホウ酸カ
リウム、四ホウ酸ナトリウム、五ホウ酸リチウムやオル
トホウ酸マグネシウムなどのこれらの金属のホウ酸塩で
あり、例えば酢酸ナトリウム、蟻酸リチウム、安息香酸
セシウムや酢酸マグネシウムなどのようなこれらの金属
のカルボン酸塩であり、例えばリチウムエトキシド、カ
リウムメトキシドやマグネシウムメトキシドなどのこれ
らの金属のアルコキシド化合物であり、例えばナトリウ
ムフェノキシドなどのこれらの金属のフェノキシド化合
物などが挙げられる。
【0013】またアンモニアとしては、アンモニアおよ
び例えばアンモニアのエタノール溶液などのアンモニア
の溶液などが挙げられる。また塩基性アンモニウム化合
物とは、アンモニウムの塩基性を有する化合物のことで
あり、水酸化アンモニウムをはじめとし、例えば水酸化
テトラメチルアンモニウム、水酸化テトラエチルアンモ
ニウムや水酸化テトラブチルアンモニウムなどのアルキ
ル置換アンモニウムの水酸化物であり、例えば炭酸アン
モニウムや炭酸水素アンモニウムなどのアンモニウムの
炭酸塩および炭酸水素塩であり、例えばりん酸三アンモ
ニウム、りん酸水素二アンモニウムやピロりん酸アンモ
ニウムなどのアンモニウムのりん酸塩およびりん酸水素
塩であり、例えばメタホウ酸アンモニウムや五ホウ酸ア
ンモニウムなどのアンモニウムのホウ酸塩などが挙げら
れる。
【0014】さらにアミン類としては、例えばn−ブチ
ルアミン、ベンジルアミン、アニリンやエチレンジアミ
ンなどの1級アミンであり、例えばジエチルアミン、メ
チルエチルアミン、ジ−n−プロピルアミン、ピロリジ
ンやN−メチルトルイジンなどの2級アミンであり、例
えばトリエチルアミン、トリ−n−ブチルアミン、ジメ
チル−sec−ブチルアミン、N−メチル−N−エチル
アニリン、1,4-ジアザビシクロ[2,2,2 ]オクタンや1,
8-ジアザビシクロ[5,4,0 ]-7- ウンデセンなどの3級
アミンであり、例えばピリジン、ピコリン、キノリン、
イミダゾールやピリミジンなどの含窒素芳香族複素環式
化合物などが挙げられる。
【0015】これらの反応途中の反応液に加えるアルカ
リ金属またはアルカリ土類金属の塩基性化合物、アンモ
ニア、塩基性アンモニウム化合物およびアミン類から選
ばれる塩基性化合物は単独で用いても、また2種以上を
混合して用いてもかまわない。またこれらの塩基性化合
物は、例えば水やアルコールなどの溶剤にいったん溶解
もしくは懸濁させた後に用いてもよい。これらの塩基性
化合物のうち、アルカリ金属およびアルカリ土類金属の
塩基性化合物、塩基性アンモニウム化合物およびアミン
類が好ましく、このうちアルカリ金属およびアルカリ土
類金属の塩基性化合物がより好ましい。これらの化合物
の使用量は特に限定されるものではないが、通常当該イ
ンドール1モルに対して50モル以下であり、好ましく
は0.0001ないし10モルの範囲であり、更に好ましくは
0.001 ないし2モルの範囲である。
【0016】本発明の方法において、反応途中の反応液
に存在させるもう一方の化合物である酸素供与性化合物
としては、例えばターシャリーブチルヒドロペルオキシ
ド、1−フェニルエチルヒドロペルオキシド、1−メチ
ル−1−フェニルエチルヒドロペルオキシド、ビス(1
−メチルエチル)フェニルヒドロペルオキシド、1−メ
チル−1−(4−メチルシクロヘキシル)エチルヒドロ
ペルオキシド、2,5-ジメチルヘキサン-2,5- ジヒドロペ
ルオキシド、1,1,3,3-テトラメチルブチルヒドロペルオ
キシドなどの有機ヒドロ過酸化物であり、過酸化水素で
あり、酸素、空気、オゾンおよびそれらを例えば、窒
素、二酸化炭素、ヘリウム、アルゴンなどの不活性気体
により希釈した気体であり、例えば、過酢酸、過プロピ
オン酸、過安息香酸、メタクロロ過安息香酸、パラクロ
ロ過安息香酸などの過カルボン酸などが挙げられる。こ
れらの酸素供与性化合物のうち有機ヒドロ過酸化物、過
酸化水素ならびに酸素、空気およびそれらを希釈した
体が好ましい。これらの酸素供与性化合物は単独で用い
ても、また2種以上を同時に用いてもかまわない。塩基
性化合物を加える時点において反応液中に反応開始時に
使用した有機ヒドロ過酸化物が残存している場合には、
この有機ヒドロ過酸化物をそのまま酸素供与性化合物と
して作用させてもよいが、場合によってはこの有機ヒド
ロ過酸化物をさらに供給してもよいし、また別の酸素供
与性化合物を新たに供給してもよい。また塩基性化合物
を加える時点において反応液中に反応開始時に使用した
有機ヒドロ過酸化物が残存していない場合には、反応液
に酸素供与性化合物を新たに供給する。反応液に酸素供
与性化合物を供給する際には、必要量を一度に加えても
よいし、連続的または間欠的に供給してもよい。これら
の酸素供与性化合物の使用量は特に限定されるものでは
ないが、通常当該インドール類1モルに対して0.01ない
し50モルの範囲であり、好ましくは0.1ないし10モ
ルの範囲であり、更に好ましくは0.2 ないし5モルの範
囲である。
【0017】本発明の方法においては、反応途中の反応
液にアルカリ金属またはアルカリ土類金属の塩基性化合
物、アンモニア、塩基性アンモニウム化合物およびアミ
ン類から選ばれる塩基性化合物を加えかつ酸素供与性化
合物を存在させると、以後のインジゴ類の生成速度がそ
うしない場合に比べ数段高くなる。本発明の方法におい
ては、反応途中の反応液に塩基性化合物を加えることが
重要であり、反応開始時に存在させても効果は発現しな
いし、場合によっては反応が著しく阻害されることもあ
る。
【0018】本発明の方法にいう反応途中とは、反応開
始後ある時間を経過した時点であり、反応液にアルカリ
金属またはアルカリ土類金属の塩基性化合物、アンモニ
ア、塩基性アンモニウム化合物およびアミン類から選ば
れる塩基性化合物を加えかつ酸素供与性化合物を存在さ
せると、以後のインジゴ類の生成速度が高まる効果が発
現する時点である。その時点は原料のインドール類、有
機ヒドロ過酸化物、触媒、用いる場合の溶媒および用い
る場合のカルボン酸類などの種類や量および反応温度な
どにより異なり一様ではない。しかしながら通常は反応
開始後30時間以内であり、好ましくは反応開始後0.01
ないし15時間の範囲であり、より好ましくは反応開始
後0.1 ないし6時間の範囲である。
【0019】反応液にアルカリ金属またはアルカリ土類
金属の塩基性化合物、アンモニア、塩基性アンモニウム
化合物およびアミン類から選ばれる塩基性化合物を加え
た以後の反応時間は、加えた塩基性化合物や存在させる
酸素供与性化合物などの種類や量および反応温度などに
より異なり一様ではない。しかしながら通常は5時間以
内であり、好ましくは0.01ないし2時間の範囲である。
【0020】反応液にアルカリ金属またはアルカリ土類
金属の塩基性化合物、アンモニア、塩基性アンモニウム
化合物およびアミン類から選ばれる塩基性化合物を加え
るまでの反応温度は原料のインドール類、有機ヒドロ過
酸化物、触媒、用いる場合の溶媒および用いる場合のカ
ルボン酸類などの種類や量などにより異なり一様ではな
い。しかしながら通常は零下10ないし200℃の範囲
であり、好ましくは10ないし150℃の範囲であり、
更に好ましくは40ないし110℃の範囲である。反応
液に塩基性化合物を加えた後の反応温度もまた、加えた
塩基性化合物や存在させる酸素供与性化合物の種類や量
などにより異なり一様ではない。しかしながら通常は零
下20ないし200℃の範囲であり、好ましくは零下1
0ないし150℃の範囲であり、更に好ましくは0ない
し110℃の範囲である。塩基性化合物を加える前後の
反応温度は同じ場合もあるし、異なる場合もある。
【0021】本発明の方法の反応は液相で行われる。反
応は無溶媒で実施しうる場合もあるが、通常は溶媒の存
在下で実施される。使用する場合の溶媒としては反応を
阻害しなければどのような溶媒でもかまわない。そのよ
うな溶媒としては、例えば、n−ヘキサン、n−ペンタ
ン、n−ヘプタン、シクロヘキサンなどの脂肪族または
脂環族炭化水素類であり、ベンゼン、トルエン、キシレ
ン、エチルベンゼン、クメンなどの芳香族炭化水素類で
あり、ジクロロメタン、クロロホルム、クロロベンゼ
ン、ジクロロベンゼンなどの脂肪族または芳香族ハロゲ
ン化合物であり、ジエチルエーテル、ジノルマルブチル
エーテル、ジフェニルエーテル、テトラヒドロフラン、
エチレングリコールジエチルエーテルなどのエーテル類
であり、メタノール、エタノール、ベンジルアルコー
ル、イソプロピルアルコール、シクロヘキサノール、タ
ーシャリーブタノール、ターシャリーアミルアルコー
ル、プロピレングリコールなどのアルコール類であり、
アセトン、エチルメチルケトン、アセトフェノンなどの
ケトン類であり、酢酸エチルやプロピオン酸エチルなど
のエステル類であり、ニトロベンゼンなどの芳香族ニト
ロ化合物類などが挙げられる。これらは単独でもまたは
2種以上を混合して使用してもよい。また、これらの溶
媒の使用によって、反応混合液が均一相となっても不均
一な複数の相となっても構わない。これらの溶媒のう
ち、イソプロピルアルコール、2−ブチルアルコール、
4−メチル−2−ペンタノールおよびシクロヘキサノー
ルなどの2級アルコール、もしくはターシャリーブタノ
ール、ターシャリーアミルアルコール、2−フェニル−
2−プロパノールおよび1−メチルシクロヘキサノール
などの3級アルコールが好ましい。
【0022】本発明の方法においては、反応開始時から
カルボン酸類を存在させると反応成績を向上させるので
好ましい。このようなカルボン酸類としては、例えば、
蟻酸、酢酸、プロピオン酸、ステアリン酸、フェニル酢
酸、オレイン酸または桂皮酸などの脂肪族カルボン酸、
もしくは安息香酸、パラメチル安息香酸、メタクロロ安
息香酸またはパラヒドロキシ安息香酸などの芳香族カル
ボン酸などであり、これらのうち、酢酸、プロピオン酸
または安息香酸が好ましい。
【0023】本発明の方法における反応の実施方式は特
に限定されるものではなく、インドール類、有機ヒドロ
過酸化物、触媒、用いる場合の溶媒および用いる場合の
カルボン酸類などが効果的に混合され、かつアルカリ金
属またはアルカリ土類金属の塩基性化合物、アンモニ
ア、塩基性アンモニウム化合物およびアミン類から選ば
れる塩基性化合物を加えた後は、反応液と塩基性化合
物、酸素供与性化合物などが効果的に混合され接触され
る方法であれば如何なる方法でもよく、回分式、半回分
式または連続流通式のいずれでもかまわない。反応は場
合によって減圧、常圧または加圧の何れでも実施でき
る。
【0024】本発明の方法において、反応終了後の反応
生成物を常用の方法に従って処理することによりインジ
ゴ類が得られる。通常、反応終了後生成したインジゴ類
はその多くが析出しており、濾過、遠心分離またはデカ
ンテーションなどの通常の固液分離の操作により容易に
固体として取り出すことができる。インジゴ類の析出量
が不十分な場合には、より多く析出させるため反応液を
濃縮した後取り出すこともできる。
【0025】本発明の方法により得られるインジゴ類
は、原料のインドール類と対応しており、インジゴ類の
芳香環上および窒素原子上には原料のインドール類と同
一の置換基を同一の位置に有するものである。
【0026】
【実施例】次に実施例により本発明を更に詳しく説明す
るが、これらは限定的ではなく単に説明のためと解され
るべきである。 実施例1 撹拌機、温度計および冷却管を装着した内容積300 ミリ
リットルの3ッ口フラスコにインドール10.0グラム(8
5.4ミリモル)、七モリブデン酸六アンモニウムのエチ
レングリコール溶液(モリブデン金属として5.55重量%
含有)73.8ミリグラム(モリブデン金属換算で0.043 ミ
リグラム原子)、ターシャリーブチルアルコール150 グ
ラム、82重量%の1−メチル−1−フェニルエチルヒド
ロペルオキシド(慣用名クメンヒドロペルオキシド)の
クメン溶液(以降、単にCHP溶液と略称する)34.86
グラム(クメンヒドロペルオキシド換算で187.8 ミリモ
ル)および酢酸0.51グラム(8.5 ミリモル)を一括して
仕込んだ。この液をオイルバスにより加熱し、反応を開
始させた。反応液は穏やかに還流させ、撹拌しながら反
応を続けた。反応初期の液温は86.5℃であった。反応開
始時は反応系は均一であったが反応の進行とともに藍色
の固体が徐々に析出してきた。反応開始後3時間を経過
した時点において、12.85 重量%水酸化ナトリウム水溶
液5.29グラム(水酸化ナトリウム換算で17.0ミリモル)
を反応液に加え、さらに15分間反応させた。尚、水酸化
ナトリウム水溶液を加える直前に少量の反応液をぬきと
り、高速液体クロマトグラフィーによりクメンヒドロペ
ルオキシドの残存量を分析したところ、反応液中には3
1.2ミリモルのクメンヒドロペルオキシドが存在してい
た。液温は水酸化ナトリウム水溶液を加える直前は85.2
℃であったが、加えた後は84.0℃となった。反応は水酸
化ナトリウム水溶液を加える前までが3時間、加えた後
が15分間であり、反応時間は合計3時間15分である。反
応終了後、反応液を濾過し固体を少量のターシャリーブ
チルアルコールおよびメタノールで洗浄後、50℃で減圧
乾燥させて藍色の固体を9.06グラム得た。この固体は、
元素分析およびIR分析の結果インジゴであった。仕込
んだインドールに対する単離したインジゴのモル収率
(以降、単にインジゴ収率と略称する)は80.9%であっ
た。この結果を後述する比較例1−6の結果と合わせて
第1表に示した。
【0027】
【表1】 以下、第1表により反応途中の反応液に塩基性化合物を
加えかつ酸素供与性化合物を存在させると、以後のイン
ジゴの生成速度が高まることを説明する。
【0028】比較例1の結果から、反応途中の反応液に
塩基性化合物を加えず反応開始後3時間で反応を終える
と、インジゴが収率65.7%で得られる。本実施例におい
てはこの反応開始後3時間の反応液に水酸化ナトリウム
水溶液を加えると、15分後にはインジゴが収率80.9%で
得られているのに対し、塩基性化合物を加えないで更に
同じく15分間反応を続けると、比較例2に示されるよう
にインジゴは収率67.4%でしか得られない。すなわち、
反応開始後3時間の反応液に水酸化ナトリウム水溶液を
加えるとその後15分間でインジゴ収率が15.2%増加した
のに対し、3時間後の反応液に塩基性化合物を加えない
で反応を続けるとその後15分間ではインジゴ収率はわず
か1.7 %しか増加しない。従って、インジゴの生成速度
の目安となる単位時間当たりのインジゴ収率の増加(以
降、平均インジゴ生成速度と称する)は、反応開始後3
時間以降の15分間については、反応液に水酸化ナトリウ
ム水溶液を加えた場合は毎分1.01%、塩基性化合物を加
えないで反応を続けた場合は毎分0.113 %となり、反応
途中の反応液に水酸化ナトリウム水溶液を加えると、加
えない場合に比べ、この15分間ではインジゴの生成速度
が8.9 倍も高くなった。
【0029】また、反応途中の反応液に塩基性化合物を
加えないで本実施例と同程度の収率でインジゴを得るに
は、比較例5に示されるように反応開始後7時間を要す
る。このときの反応開始後3時間以降の4時間のインジ
ゴ収率の増加は15.1%、平均インジゴ生成速度は毎分0.
063 %である。よって、本実施例および比較例5のいず
れの場合も同程度の高収率でインジゴを得ているが、反
応開始後3時間以降のインジゴの生成速度を比べると、
反応開始後3時間の反応液に水酸化ナトリウム水溶液を
加えた本実施例の場合、塩基性化合物を加えない比較例
5の場合の16.0倍もの速さになっている。
【0030】比較例1−6 実施例1において反応途中の反応液に水酸化ナトリウム
水溶液を加えずに、反応時間を第1表に示した時間に変
えた以外は、すべて実施例1と同様に反応および後処理
を行った。結果は実施例1の結果とともに第1表に示し
た。
【0031】比較例7 実施例1と同量の12.85 重量%水酸化ナトリウム水溶液
を、反応開始3時間後ではなく、反応開始時に加えた以
外は実施例1とまったく同様に反応させた。反応開始後
3時間15分を経過した時点において、インジゴはまっ
たく生成しておらず、インジゴ収率は0%であった。
【0032】実施例2−11 実施例1おける、水酸化ナトリウムの代わりに、第2表
に示す塩基性化合物の種類とその量を用いた以外はすべ
て実施例1と同様にした。結果を実施例1の結果ととも
に第2表に示した。
【0033】
【表2】 何れの実施例においても、塩基性化合物添加後15分間の
平均インジゴ生成速度は実施例1と同様に高く、またイ
ンジゴの収率も実施例1と同程度であった。
【0034】実施例12 撹拌機、温度計、および冷却管を装着した内容積400 ミ
リリットルの3ッ口フラスコにインドール10.0グラム
(85.4ミリモル)、七モリブデン酸六アンモニウム四水
和物30.1ミリグラム(モリブデン金属換算で0.17ミリグ
ラム原子)、ターシャリーアミルアルコール200 グラ
ム、73重量%1−フェニルエチルヒドロペルオキシド
(慣用名エチルベンゼンヒドロペルオキシド)のエチル
ベンゼン溶液45.24 グラム(エチルベンゼンヒドロペル
オキシド換算で239.04ミリモル)およびプロピオン酸1.
26グラム(17.0ミリモル)を一括して仕込んだ。この液
をオイルバスにより加熱し、反応を開始させた。反応温
度は90℃に保ち、撹拌しながら反応を続けた。反応開始
後2時間を経過した時点において、反応液をただちに水
浴により40℃に冷却した。この反応液に19.35 重量%水
酸化カリウム水溶液4.96グラム(水酸化カリウム換算で
17.1ミリモル)を加え、さらに15分間40℃で反応させ
た。反応時間は合計で2時間15分である。尚、水酸化カ
リウム水溶液を加える直前に少量の反応液をぬきとり、
高速液体クロマトグラフィーによりエチルベンゼンヒド
ロペルオキシドの残存量を分析したところ、反応液中に
は120.17ミリモルのエチルベンゼンヒドロペルオキシド
が存在していた。反応終了後、反応液を濾過し固体を少
量のターシャリーアミルアルコールおよびメタノールで
洗浄後、50℃で減圧乾燥させてインジゴを8.74グラム得
た。インジゴ収率は78.1%であった。後の比較例8およ
び比較例9で述べるように、本実施例と同様であるが反
応途中の反応液に塩基性化合物を加えず、反応開始後2
時間および2時間15分(本実施例と同様に最後の15分は
40℃)で反応を終えると、インジゴ収率はそれぞれ68.0
%、68.9%となる。よって、反応開始後2時間以降の15
分間のインジゴ収率の増加は本実施例の場合が10.1%、
比較例9の場合が0.9 %となるので、この間の平均イン
ジゴ生成速度は、水酸化カリウム水溶液を加えた本実施
例の場合が毎分0.68%、加えなかった比較例9の場合が
毎分0.06%となり、水酸化カリウム水溶液を加えた以降
の15分間の生成速度は、加えなかった場合に比べ、11.3
倍も高い。
【0035】比較例8 実施例12とまったく同様の条件で、反応開始2時間後
に反応液に水酸化カリウム水溶液を加えることなくその
まま反応を終えた。実施例12と同様に後処理を行った
ところインジゴを7.61グラム得た。インジゴ収率は68.0
%であった。
【0036】比較例9 実施例12とまったく同様の条件で、反応開始2時間後
の反応液に水酸化カリウム水溶液を加えることなく、更
に40℃で15分間反応を続けた。実施例12と同様に後処
理を行ったところインジゴを7.71グラム得た。インジゴ
収率は68.9%であった。
【0037】実施例13 撹拌機、温度計、および冷却管を装着した内容積200 ミ
リリットルの3ッ口フラスコにインドール10.0グラム
(85.4ミリモル)、正モリブデン酸ナトリウム二水和物
68.15 ミリグラム(モリブデン金属換算で0.28ミリグラ
ム原子)、2−ブチルアルコール100 グラムおよびCH
P溶液39.61 グラム(クメンヒドロペルオキシド換算で
213.4 ミリモル)を一括して仕込んだ。この液をオイル
バスにより加熱し、反応を開始させた。反応温度は100
℃に保ち、撹拌しながら反応を続けた。反応開始後3時
間を経過した時点において、反応液をただちに水浴によ
り60℃に冷却した。この反応液に9.30重量%水酸化リチ
ウム水溶液4.41グラム(水酸化リチウム換算で17.1ミリ
モル)を加え、さらに15分間60℃で反応させた。尚、水
酸化リチウム水溶液を加える直前に少量の反応液をぬき
とり、高速液体クロマトグラフィーによりクメンヒドロ
ペルオキシドの残存量を分析したところ、反応液中には
97.17 ミリモルのクメンヒドロペルオキシドが存在して
いた。反応終了後、反応液を濾過し固体を少量の2−ブ
チルアルコールおよびメタノールで洗浄後、50℃で減圧
乾燥させてインジゴを7.78グラム得た。インジゴ収率は
69.5%であった。後の比較例10および比較例11で述
べるように、本実施例と同様であるが反応途中の反応液
に塩基性化合物を加えず、反応開始後3時間および3時
間15分(本実施例と同様に最後の15分間は60℃)で反応
を終えると、インジゴ収率はそれぞれ58.1%、59.2%と
なる。したがって、反応開始後3時間以降の15分間のイ
ンジゴ収率の増加は本実施例の場合が11.4%、比較例1
1の場合が1.1 %となるので、この間の平均インジゴ生
成速度は、反応開始後3時間の反応液に水酸化リチウム
水溶液を加えた本実施例の場合が毎分0.76%、加えなか
った比較例11の場合が毎分0.073 %となり、水酸化リ
チウム水溶液を加えた以降の15分間のインジゴの生成速
度は、加えなかった場合に比べ、10.4倍も高い。
【0038】比較例10 実施例13とまったく同様の条件で、反応開始3時間後
に反応液に水酸化リチウム水溶液を加えることなくその
まま反応を終え、実施例13と同様に後処理を行った。
インジゴ収率は58.1%であった。
【0039】比較例11 実施例13とまったく同様の条件で、反応開始3時間後
に反応液に水酸化リチウム水溶液を加えることなく、更
に60℃で15分間反応を続けた後、実施例13と同様に後
処理を行った。インジゴ収率は59.2%であった。
【0040】実施例14 撹拌機、温度計、および冷却管を装着した内容積500 ミ
リリットルの3ッ口フラスコにインドール10.0グラム
(85.4ミリモル)、ナフテン酸モリブデンのトルエン溶
液(モリブデン金属として6重量%含有)1.23グラム
(モリブデン金属換算で0.77ミリグラム原子)、エチル
ベンゼン300 グラム、CHP溶液50.67 グラム(クメン
ヒドロペルオキシド換算で273.0 ミリモル)および安息
香酸1.04グラム(8.5 ミリモル)を一括して仕込んだ。
この液をオイルバスにより加熱し、反応を開始させた。
反応温度は80℃に保ち、撹拌しながら反応を続けた。反
応開始後4時間を経過した時点において、反応液にピリ
ジン1.69グラム(21.4ミリモル)を加え、さらに10分間
80℃で反応させた。また、ピリジンを加える直前に少量
の反応液をぬきとり、高速液体クロマトグラフィーによ
りクメンヒドロペルオキシドの残存量を分析したとこ
ろ、反応液中には149.91ミリモルのクメンヒドロペルオ
キシドが存在していた。反応終了後、反応液を濾過し固
体を少量のエチルベンゼンおよびメタノールで洗浄後、
50℃で減圧乾燥させてインジゴを7.63グラム得た。イン
ジゴ収率は68.2%であった。後の比較例12および比較
例13で述べるように、本実施例と同様であるが反応途
中の反応液に塩基性化合物を加えず、反応開始後4時間
および4時間10分で反応を終えると、インジゴ収率はそ
れぞれ60.1%、61.1%となる。したがって、反応開始後
4時間以降の10分間のインジゴ収率の増加は本実施例の
場合が8.1 %、比較例13の場合が1.0 %となる。よっ
て、この間の平均インジゴ生成速度は、反応開始後4時
間の反応液にピリジンを加えた本実施例の場合が毎分0.
81%、加えなかった比較例13の場合が毎分0.10%とな
り、本実施例でのピリジンを加えた以降の10分間のイン
ジゴの生成速度は、加えなかった場合に比べ、8.1 倍も
高い。
【0041】比較例12 実施例14とまったく同様の条件で、反応開始4時間後
に反応液にピリジンを加えることなくそのまま反応を終
え、実施例14と同様に後処理を行った。インジゴ収率
は60.1%であった。
【0042】比較例13 実施例14とまったく同様の条件で、反応開始4時間後
に反応液にピリジンを加えることなく、更に10分間反応
を続けた後、実施例14と同様に後処理を行った。イン
ジゴ収率は61.1%であった。
【0043】実施例15 撹拌機、温度計、および冷却管を装着した内容積300 ミ
リリットルの3ッ口フラスコにインドール10.0グラム
(85.4ミリモル)、七モリブデン酸六アンモニウムのエ
チレングリコール溶液(モリブデン金属として5.55重量
%含有)88.2ミリグラム(モリブデン金属換算で0.051
ミリグラム原子)、ターシャリーブチルアルコール150
グラム、CHP溶液28.50 グラム(クメンヒドロペルオ
キシド換算で153.5 ミリモル)および酢酸0.51グラム
(8.5 ミリモル)を一括して仕込んだ。この液をオイル
バスにより加熱し、反応を開始させた。反応液は穏やか
に還流させ、撹拌しながら反応を続けた。反応初期の液
温は86.0℃であった。反応開始後3時間を経過した時点
において、反応液に12.85%水酸化ナトリウム水溶液5.29
グラム(水酸化ナトリウム換算で17.0ミリモル)を加
え、次いでCHP溶液6.34グラム(クメンヒドロペルオ
キシド換算で34.2ミリモル)を加えて、さらに15分間反
応させた。尚、水酸化ナトリウム水溶液を加える直前に
少量の反応液をぬきとり、高速液体クロマトグラフィー
によりクメンヒドロペルオキシドの残存量を分析したと
ころ、反応液中にはクメンヒドロペルオキシドはまった
く存在せず、すべて消費されていたので、上記CHP溶
液を酸素供与性化合物として加えたものである。液温は
水酸化ナトリウム水溶液を加える直前は84.9℃であった
が、加えた後は84.0℃となった。反応終了後、反応液を
濾過し固体を少量のターシャリーブチルアルコールおよ
びメタノールで洗浄後、50℃で減圧乾燥させてインジゴ
を8.54グラム得た。インジゴ収率は76.3%であった。後
述する比較例14に示されるように、反応開始後3時間
で反応液に何も加えずその時点で反応を終えると、イン
ジゴ収率は64.3%となる。また後述の比較例15に示さ
れるように、反応開始後3時間の反応液にCHP溶液だ
けを加えその後15分間反応させると、インジゴ収率は6
5.0%となる。よって、反応開始後3時間以降の15分間
のインジゴ収率の増加は本実施例の場合が12.0%、比較
例15の場合が0.7 %である。したがって、この間の平
均インジゴ生成速度は、本実施例のように水酸化ナトリ
ウム水溶液と酸素供与性化合物であるCHP溶液の両方
を反応液に加えた場合は毎分0.80%となり、比較例15
のようにCHP溶液だけを加えた場合の毎分0.047 %と
比べると、反応開始後3時間以降の15分間のインジゴの
生成速度は17.0倍と非常に高い。
【0044】実施例16 実施例15において反応途中の反応液に酸素供与性化合
物としてCHP溶液を加える代わりに、30重量%過酸化
水素水溶液3.87グラム(過酸化水素換算で34.1ミリモ
ル)を加えた以外は、すべて実施例15と同様に反応お
よび後処理を行ったところ、インジゴを8.57グラム得
た。インジゴ収率は76.6%であった。後述する比較例1
4に示されるように、反応開始後3時間の反応液に何も
加えずその時点で反応を終えるとインジゴ収率は64.3%
となるので、本実施例においては反応開始後3時間以降
の15分間のインジゴ収率の増加は12.3%、その間の平均
インジゴ生成速度は毎分0.89%となる。この値は後述す
る比較例15における反応開始後3時間の反応液に酸素
供与性化合物であるCHP溶液だけを加えた場合の反応
開始後3時間以降の15分間の平均インジゴ生成速度であ
る毎分0.047 %と比べると17.4倍と非常に高い。
【0045】実施例17 実施例15と同様であるが、反応途中の反応液にCHP
溶液を加える代わりに、ガス導入管より空気を15分間連
続的に流速500 ミリリットル/分(標準状態)で反応液
中に供給した(15分間の合計の酸素の供給量は67.0ミリ
モル)以外は、すべて実施例15と同様に反応および後
処理を行ったところ、インジゴを8.78グラム得た。イン
ジゴ収率は78.4%であった。後述する比較例14に示さ
れるように、反応開始後3時間の反応液に何も加えずそ
の時点で反応を終えるとインジゴ収率は64.3%となるの
で、本実施例においては反応開始後3時間以降の15分間
のインジゴ収率の増加は14.1%、平均インジゴ生成速度
は毎分1.01%となる。この値は後述の比較例15におけ
る反応開始後3時間の反応液に酸素供与性化合物である
CHP溶液だけを加えた場合の反応開始後3時間以降の
15分間の平均インジゴ生成速度の毎分0.047 %と比べる
と20.0倍と極めて高い。
【0046】比較例14 実施例15において、反応開始後3時間の反応液に何も
加えることなくそのまま反応を終えた以外は、すべて実
施例15と同様に反応および後処理を行った。インジゴ
収率は64.3%であった。
【0047】比較例15 実施例15において、反応開始後3時間の反応液に水酸
化ナトリウム水溶液を加えず、CHP溶液6.34グラムだ
けを加えた以外は、すべて実施例15と同様に反応およ
び後処理を行った。インジゴ収率は65.0%であった。
【0048】
【発明の効果】本発明の方法によれば、2位および3位
に置換基を有しないインドール類と有機ヒドロ過酸化物
とを反応させることにより該インドール類に対応するイ
ンジゴ類を製造するに際し、反応途中の反応液に塩基性
化合物を加え、かつ酸素供与性化合物を存在させて反応
させると、そうしない場合に比べ、以後のインジゴ類の
生成速度が数段高くなり、なおかつ高収率で、原料のイ
ンドール類に対応するインジゴ類を製造することができ
るという極めて効果的なインジゴ類の製造方法となる。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 原 烈 神奈川県横浜市栄区笠間町1190番地 三 井東圧化学株式会社内 (72)発明者 柿ケ野 武明 神奈川県横浜市栄区笠間町1190番地 三 井東圧化学株式会社内 審査官 星野 紹英 (56)参考文献 特開 平3−768(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) C09B 7/02

Claims (8)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 2位および3位に置換基を有しないイン
    ドール類と有機ヒドロ過酸化物を触媒の存在下に液相で
    反応させて該インドール類に対応するインジゴ類を製造
    するに際し、反応途中の反応液にアルカリ金属またはア
    ルカリ土類金属の塩基性化合物、アンモニア、塩基性ア
    ンモニウム化合物およびアミン類から選ばれる少なくと
    も一種以上の塩基性化合物を加え、かつ酸素供与性化合
    物を存在させることによって、以後のインジゴ類の生成
    速度を高めることを特徴とするインジゴ類の製造方法。
  2. 【請求項2】 酸素供与性化合物が有機ヒドロ過酸化
    物、過酸化水素、または酸素、空気およびそれらを希釈
    した気体である請求項1記載の方法。
  3. 【請求項3】 塩基性化合物がアルカリ金属またはアル
    カリ土類金属の塩基性化合物、塩基性アンモニウム化合
    物またはアミン類である請求項1または2記載の方法。
  4. 【請求項4】 触媒が周期律表の4族、5族および6族
    からなる群から選ばれる金属の化合物である請求項1、
    2または3記載の方法。
  5. 【請求項5】 触媒がモリブデンの化合物である請求項
    4記載の方法。
  6. 【請求項6】 脂肪族または脂環族炭化水素類、芳香族
    炭化水素類、脂肪族または芳香族ハロゲン化合物、エー
    テル類、アルコール類、ケトン類、エステル類および芳
    香族ニトロ化合物類から選ばれる化合物の存在下で反応
    させる請求項1、2、3、4または5記載の方法。
  7. 【請求項7】 アルコール類が2級または3級アルコー
    ルである請求項6記載の方法。
  8. 【請求項8】 カルボン酸類の存在下で反応させる請求
    項1、2、3、4、5、6または7記載の方法。
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