JP3220534B2 - 2, 2’−ジヒドロインジゴおよびその製造法 - Google Patents

2, 2’−ジヒドロインジゴおよびその製造法

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JP3220534B2 JP30884592A JP30884592A JP3220534B2 JP 3220534 B2 JP3220534 B2 JP 3220534B2 JP 30884592 A JP30884592 A JP 30884592A JP 30884592 A JP30884592 A JP 30884592A JP 3220534 B2 JP3220534 B2 JP 3220534B2
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    • C09BORGANIC DYES OR CLOSELY-RELATED COMPOUNDS FOR PRODUCING DYES, e.g. PIGMENTS; MORDANTS; LAKES
    • C09B7/00Indigoid dyes
    • C09B7/02Bis-indole indigos

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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、新規にして有用なる
2,2’−ジヒドロインジゴおよびその製造法に関す
る。
【0002】
【従来の技術】2,2’−ジヒドロインジゴは、インジ
ゴの2および2’位の炭素間の二重結合に水素1分子が
結合して一重結合となった形の構造を有する化合物であ
る。インジゴの水素還元体としては、インジゴを原料と
し水素または水素を放出しうる還元剤によって還元して
得られるインジゴホワイトまたはロイコインジゴ(leuc
o indigo)と呼ばれる化合物がよく知られている(例え
ば、堀口 博 著、「総説 合成染料」、三共出版株式
会社、昭和45年、(以降、参考文献1と略称)、頁46
8および頁490ー492など)。このロイコインジゴ
は、ケミカル アブストラクツ(Chemical Abstracts)
では登録番号6537−68−4で、またバイルシュタ
イン(Beilstein)では登録番号272170で登録さ
れている化学構造式(2)〔化2〕
【0003】
【化2】 の化合物であり、白色の結晶である。極めて酸化され易
く、空気中で容易にインジゴになる。そのナトリウム塩
の水溶液は、インジゴ染色に用いられるものである。一
方本発明の2,2’−ジヒドロインジゴは、ロイコイン
ジゴと同様のインジゴの水素または還元剤による還元で
は製造することはできないが、一種のインジゴの還元体
の形をした、化学構造式(1)〔化3〕
【0004】
【化3】 で示される化合物である。この化合物については、バイ
ルシュタインでは全く記載がなく登録もされていない未
知の化合物である。ケミカル アブストラクツには、ジ
ヒドロインジゴ(dihydroindigo)として前記化学構造
式(1)の化合物が登録番号4058−46−2で登録
されてはいる。しかしながらその登録番号の化合物に関
係する文献は、カガン,ジー.アイ.(Kagan, G. I.)
らによるKhim. Geterotsikl. Soedin. (6), 794-798, 1
972 ただ1件のみであり、その唯一の文献で言及され
ている化合物はジヒドロインジゴではなくデヒドロイン
ジゴ(dehydroindigo、原文のロシア語ではдегид
роиндиго)である。このデヒドロインジゴはよ
く知られた化合物(例えば、参考文献1の469頁)で
あって、ケミカル アブストラクツにも別の登録番号2
903−89−1で登録されており、次の化学構造式
(3)〔化4〕
【0005】
【化4】 で示される化合物である。即ち、デヒドロインジゴは一
分子のインジゴから一分子の水素が脱離した(酸化され
た)化合物であって、本願発明のジヒドロインジゴとは
全く異なる化合物なのである。ケミカル アブストラク
ツが、上記文献が言及しているデヒドロインジゴをジヒ
ドロインジゴと誤って登録していることは明白である。
ケミカル アブストラクツの全期間に渡って、以上の誤
り以外にジヒドロインジゴまたは2,2’−ジヒドロイ
ンジゴについての記載は全く見当たらない。また他のい
かなる文献にも見当たらない。従ってその製造法も全く
知られていない。
【0006】ロイコインジゴと2,2’−ジヒドロイン
ジゴとは構造的には異性体の関係にはあるが、それぞれ
独立に純粋なものが単離でき、種々のスペクトルからも
それぞれの構造が証明されるし、互いにその性質も異な
る。例えば、前述のようにロイコインジゴの結晶は白色
であるのに対し、2,2’−ジヒドロインジゴのそれは
黄色である。またロイコインジゴは固体でも極めて酸化
されやすく空気中で容易にインジゴに変化するが、2,
2’−ジヒドロインジゴは固体でありさえすれば空気中
に数ケ月放置しても無変化である。このように両者は互
いに別の化合物である。以上詳しく述べたように、本願
発明の2,2’−ジヒドロインジゴは、従来未知の化合
物である。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】インジゴの先駆体とし
てのロイコインジゴは、染色工業においては重要な化合
物であるが、あまりにも酸化され易く空気中でも不安定
なために、移送には糖蜜などの安定化剤を用いて安定化
するなどの厄介な処理が必要となる場合がある。本願発
明の目的は、ロイコインジゴに比べ酸化に対してより安
定な、そしてより取扱い易いインジゴの先駆体を提供す
ることにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】本発明者らは上記目的を
達成するために鋭意検討を続けてきたところ、化学構造
式(1)で表される新規化合物2,2’−ジヒドロイン
ジゴが固体であれば空気中では極めて安定であり、溶液
にすれば容易に酸化されてインジゴにすることができる
という上記目的に適した化合物であること、およびその
2,2’−ジヒドロインジゴはインドールと有機ヒドロ
過酸化物とを触媒の存在下に液相で反応させることによ
り、一段で簡便に得られることを見いだし、本発明を完
成するに至った。すなわち本発明は、化学構造式(1)
〔化5〕
【0009】
【化5】 で表される2,2’−ジヒドロインジゴ、およびインド
ールと有機ヒドロ過酸化物とを触媒の存在下に液相で反
応させることを特徴とする2,2’−ジヒドロインジゴ
の製造法である。
【0010】本発明の2,2’−ジヒドロインジゴを製
造するには、インドールと有機ヒドロ過酸化物を反応さ
せるが、その有機ヒドロ過酸化物とは、ヒドロペルオキ
シ基、式(4)〔化6〕
【0011】
【化6】 を有する有機化合物のことである。例えば、デ・スワー
ン(D. Swern )著 "オーガニック・ペルオキシド(Org
anicPeroxides) Vol.II", ウィリー・インターサイエン
ス(Wiley-Interscience ) 刊(1971年); 107-127頁の表
中、または、エイ・ジー・デービス(A.G.Davies)著"
オーガニック・ペルオキシド(Organic Peroxides)",ブ
ッターワース(Butterworths)刊 (1961年); 9-33 頁の
表中に挙げられているようなものである。これらのう
ち、例えば、ターシャリーブチルヒドロペルオキシド、
1−フェニルエチルヒドロペルオキシド(慣用名エチル
ベンゼンヒドロペルオキシド)、1−メチル−1−フェ
ニルエチルヒドロペルオキシド(慣用名クメンヒドロペ
ルオキシド)、ビス(1−メチルエチル)フェニルヒド
ロペルオキシド、1−メチル−1−(4−メチルシクロ
ヘキシル)エチルヒドロペルオキシド、2,5-ジメチルヘ
キサン-2,5- ジヒドロペルオキシド、1,1,3,3-テトラメ
チルブチルヒドロペルオキシドなどのような、アルキル
部分の炭素数が3〜30である2級または3級のアルキ
ルヒドロ過酸化物が好ましい。これらの有機ヒドロ過酸
化物は単独で用いても、2種以上を混合して同時に用い
ても、または2種以上を順次用いても構わない。さらに
は、これらの有機ヒドロ過酸化物としては、例えばイソ
プロピルベンゼンと酸素含有ガスとの組み合わせなど、
反応系内でこれらの有機ヒドロ過酸化物を発生させるこ
とのできる成分の組合せであってもよい。これらの有機
ヒドロ過酸化物の使用量は、通常インドール1モルに対
し20モル以下の範囲であり、好ましくは0.1ないし10モ
ルの範囲であり、更に好ましくは0.5 ないし2.0モルの
範囲である。
【0012】本発明における触媒とは、インドールと有
機ヒドロ過酸化物から2,2’−ジヒドロインジゴへの
反応を効率よく進行させればどのような触媒であっても
よい。このような触媒のうち、好ましい触媒としては、
周期律表の4族、5族および6族からなる群から選ばれ
る金属の化合物が挙げられ、具体的にはチタン、ジルコ
ニウム、ハフニウム、バナジウム、ニオブ、タンタル、
クロム、モリブデンまたはタングステンの金属の化合物
であり、より具体的には、例えば、これらの金属のハロ
ゲン化物、オキシハロゲン化物、酸化物、複合酸化物、
硫化物、硼化物、りん化物、水酸化物、オキシ水酸化
物、シアノ錯塩、例えば硫酸、硝酸やりん酸などの無機
酸の塩、例えばチタン酸、モリブデン酸、タングステン
酸、モリブデン酸アンモニウムやモリブデン酸ナトリウ
ムなどの金属オキシ酸またはそれらの塩、例えばりんモ
リブデン酸、珪タングステン酸やりんモリブデン酸ナト
リウムなどのヘテロポリ酸またはそれらの塩、などのよ
うな無機化合物であり、これらの金属の、酢酸、蓚酸、
安息香酸、ナフテン酸などの有機酸の塩、エチルアルコ
ールやイソプロピルアルコールなどのアルコキシド、フ
ェノールやメタクロロフェノールなどのフェノキシド、
などのような少なくとも一部に有機基を有する化合物で
あり、またはこれらの金属の、カルボニル錯体、アミン
類の錯体、ピリジンやビピリジルなどのピリジン錯体、
オキソ錯体、システインやジチオカテコールなどのチオ
レート錯体、スルフィド錯体、ジチオカルバメート錯
体、チオシアネート錯体、イソシアネート錯体、ニトロ
シル錯体、トリフェニルホスフィンや1,2-ジフェニルホ
スフィノエタンなどのホスフィン錯体、ホスホリル錯
体、フタロシアニン錯体、ポルフィリン錯体、ニトリル
錯体、エーテル錯体、ケトン錯体、アセチルアセトンな
どのβ−ケトカルボニル錯体、アルキルまたはアレンの
錯体、オレフィン錯体、シクロペンタジエニル錯体、な
どの錯体化合物である。さらには以上のような化合物の
複数の種類に渡って分類されるような化合物などが挙げ
られる。これらの化合物は単独でもまたは2種以上を同
時に使用することもできる。また、反応系内でこれらの
化合物を発生させることのできる成分の組合せであって
もよい。これらの化合物は、反応混合液に溶解している
ことが好ましいが一部または全部が不溶であっても差し
支えない。またこれらの触媒は反応に用いる溶媒と同種
または異種の少量の溶媒にあらかじめ溶解または懸濁さ
せた触媒液として用いることもできる。これらの化合物
のうち、モリブデンの化合物が好ましい。これらの化合
物の使用量は特に制限はないが、通常インドール1モル
に対して0.5 モル以下であり、好ましくは0.000001ない
し0.1 モルの範囲であり、更に好ましくは0.00001 ない
し0.1 モルの範囲である。
【0013】本発明の反応においては、反応系にカルボ
ン酸類を存在させると反応成績を向上させるので好まし
い。このようなカルボン酸類としては、例えば、蟻酸、
酢酸、プロピオン酸、ステアリン酸、フェニル酢酸、オ
レイン酸または桂皮酸などの脂肪族カルボン酸、もしく
は安息香酸、パラメチル安息香酸、メタクロロ安息香酸
またはパラヒドロキシ安息香酸などの芳香族カルボン酸
などであり、これらのうち、酢酸、プロピオン酸または
安息香酸が好ましい。
【0014】本発明の反応は液相で行われる。反応は無
溶媒で実施しうる場合もあるが、通常は溶媒の存在下で
実施される。使用する場合の溶媒としては反応を阻害し
なければどのような溶媒でもかまわない。そのような溶
媒としては、例えば、n−ヘキサン、n−ペンタン、n
−ヘプタン、シクロヘキサンなどの脂肪族または脂環族
炭化水素類であり、ベンゼン、トルエン、キシレン、エ
チルベンゼン、クメンなどの芳香族炭化水素類であり、
ジクロロメタン、クロロホルム、クロロベンゼン、ジク
ロロベンゼンなどの脂肪族または芳香族ハロゲン化物で
あり、ジエチルエーテル、ジノルマルブチルエーテル、
ジフェニルエーテル、テトラヒドロフラン、エチレング
リコールジエチルエーテルなどのエーテル類であり、メ
タノール、エタノール、ベンジルアルコール、イソプロ
ピルアルコール、シクロヘキサノール、ターシャリーブ
タノール、ターシャリーアミルアルコール、プロピレン
グリコールなどのアルコール類であり、アセトン、エチ
ルメチルケトン、アセトフェノンなどのケトン類であ
り、酢酸エチルやプロピオン酸エチルなどのエステル類
であり、ニトロベンゼンなどの芳香族ニトロ化合物類な
どが挙げられる。これらは単独でもまたは2種以上を混
合して使用してもよい。また、これらの溶媒の使用によ
って、反応混合液が均一相となっても不均一な複数の相
となっても構わない。これらの溶媒のうち、イソプロピ
ルアルコール、2−ブチルアルコール、4−メチル−2
−ペンタノールおよびシクロヘキサノールなどの2級ア
ルコール、もしくはターシャリーブタノール、ターシャ
リーアミルアルコール、2−フェニル−2−プロパノー
ルおよび1−メチルシクロヘキサノールなどの3級アル
コールが好ましい。
【0015】本発明の反応は空気雰囲気下でも行い得る
が、窒素、二酸化炭素、ヘリウム、ネオンおよびアルゴ
ン等の不活性気体の雰囲気で行うと反応成績が向上する
ので好ましい。また反応に先立ち、不活性気体でバブリ
ングしたり減圧にしたりして、原料のインドールや有機
ヒドロ過酸化物および触媒さらには使用する場合の溶媒
やカルボン酸から溶解している空気由来の酸素を予め除
去しておくと更に好ましい。
【0016】反応温度および反応時間は原料の有機ヒド
ロ過酸化物、触媒、用いる場合の溶媒および用いる場合
のカルボン酸類の種類や量などにより一様ではない。し
かしながら、反応温度は通常零下10ないし200℃の
範囲であり、好ましくは10ないし150℃の範囲であ
り、更に好ましくは40ないし110℃の範囲である。
また反応時間は通常24時間以内であり、好ましくは
0.01ないし10時間であり、更に好ましくは0.0
2ないし4時間である。本発明の反応の実施方式は特に
限定されるものではなく、インドール、有機ヒドロ過酸
化物、触媒、用いる場合の溶媒および用いる場合のカル
ボン酸類などが効果的に混合され、接触される方法であ
れば如何なる方法でもよく、回分式、半回分式または連
続流通式のいずれでも構わない。 反応は場合によって
減圧、常圧または加圧の何れでも実施できる。
【0017】反応終了後、2,2’−ジヒドロインジゴ
は慣用の方法によって分離することができる。通常、生
成した2,2’−ジヒドロインジゴはその多くが反応液
中に析出しており、濾過などの通常の固液分離の操作に
より粗製物ではあるが固体として取り出すことができ
る。析出量が不十分な場合には、より多く析出させるた
め反応液を冷却したり濃縮した後取り出すこともでき
る。通常これらの操作は手早く行なえば空気雰囲気下で
も実施し得るが、不活性気体の雰囲気下で行なえばより
好ましい。必要に応じては得られた固体を精製すること
もできる。
【0018】精製は常用の方法の中でも特に再結晶が好
ましく、不活性気体雰囲気下で行うのがより好ましい。
再結晶の溶媒としては、メタノール、エタノール、イソ
プロピルアルコール、ベンジルアルコール、シクロヘキ
サノール、ターシャリーブタノール、ターシャリーアミ
ルアルコール、プロピレングリコールなどのアルコール
類であり、アセトン、エチルメチルケトン、アセトフェ
ノンなどのケトン類であり、アセトニトリル、プロピオ
ニトリル、イソブチロニトリル、ベンゾニトリルなどの
ニトリル類であり、ジエチルエーテル、ジノルマルブチ
ルエーテル、ジフェニルエーテル、テトラヒドロフラ
ン、エチレングリコールジエチルエーテルなどのエーテ
ル類であり、酢酸エチルやプロピオン酸エチルなどのエ
ステル類が挙げられる。これらのうちアルコール類およ
びニトリル類が好ましい。再結晶品は充分乾燥すること
が好ましい。
【0019】
【実施例】次に実施例により本発明を更に詳しく説明す
るが、これらは限定的ではなく単に説明のためと解され
るべきである。 実施例1 撹拌機、温度計、還流冷却管および窒素導入管を装着し
た内容積300ミリリットルの4ッ口フラスコにインド
ール 10.0グラム(85.4ミリモル)、6.0重量%のナフテ
ン酸モリブデンのトルエン溶液 136.5ミリグラム(モリ
ブデンとして0.085ミリグラム原子)、酢酸 0.51グラム
(8.5ミリモル)およびターシャリーブチルアルコール1
50 グラムを仕込んだ。この溶液に窒素を500ml/min.で
1時間流して脱気した。更に、予め窒素を同様に流して
脱気しておいた 82.0重量%の1−メチル−1−フェニ
ルエチルヒドロペルオキシド(慣用名クメンヒドロペル
オキシド)のクメン溶液(以降、単にCHP溶液と略称
する)を 17.43グラム(クメンヒドロペルオキシド換算
で 93.9ミリモル)とり反応器に加えた。窒素を流し攪
拌しながらオイルバスで75゜Cに加熱し反応を開始し
た。
【0020】反応開始後しばらくすると反応液は緑色に
なり、やがて緑色の固体が析出し始め時間とともに増加
した。30分後反応液を20゜Cまで急冷し、この温度を1時
間保持した。窒素雰囲気下で反応液を濾過し、固体を少
量のベンゼンで洗浄し、減圧乾燥した。3.5グラムの緑
色固体が得られた。精製は以下の再結晶法をとったが、
操作は全て窒素雰囲気下で行なった。上記緑色固体1.0
グラムを、予め窒素で脱気しておいた約100グラムのア
セトニトリルに75゜Cで溶解した。不溶の固体を濾過し
て除き、濾液を室温まで冷却した。析出した固体を濾別
し少量のアセトニトリルで洗浄し、50゜Cで充分減圧乾
燥した。540ミリグラムの黄色針状晶を得た。この固体
はプロトンNMR、C13NMRおよびマススペクトルの
結果から2,2’−ジヒドロインジゴ(化学構造式
(1))であることが分かった。真空脱気した封管中で
d4-メタノール溶媒でとったプロトンNMRスペクトル
を図1に、同じくC13NMRスペクトルを図2に示す。
プロトンNMRでは4.31ppmに2,2’−ジヒド
ロインジゴの等価な2位および2’位のメチンプロトン
に由来するピークが現れ、さらにC13NMRでは66.
5ppmに2位および2’位のメチン炭素に由来するピ
ークが、また204.5ppmに3位および3’位のカ
ルボニル炭素に由来するピークが現れ、それぞれ2,
2’−ジヒドロインジゴの構造に特徴的なピークが現れ
ている。またマススペクトルでは264に2,2’−ジ
ヒドロインジゴの分子イオンピークが現れた。この黄色
固体は乾燥していれば極めて安定で、空気中5カ月放置
しても何等変化せず、プロトンNMRおよびC13NMR
のスペクトルは全く変わらなかった。
【0021】実施例2 実施例1の反応におけるCHP溶液を2倍量の34.8グラ
ムに代えた以外は全て実施例1と同様に反応させ、同様
に固体取出しの処理をして青緑色の固体4.0グラムを得
た。そのうちの1.0グラムを取り実施例1と同様に精製
した。483ミリグラムの黄色針状晶の2,2’−ジヒド
ロインジゴを得た。
【0022】実施例3 実施例1の反応において、試薬等の脱気は特に行わず反
応は空気中で行ない、酢酸は用いず、75℃の温度を1時
間保った以外は全て実施例1と同様に反応させ、同様に
固体取出しの処理をして黄緑色固体2.1グラムを得た。
そのうちの1.0グラムを取り実施例1と同様に精製し
た。552ミリグラムの黄色針状晶の2,2’−ジヒドロ
インジゴを得た。
【0023】実施例4 実施例1と同様の反応器にインドール10.0グラム、パラ
モリブデン酸アンモニウム・4水塩30.14ミリグラム、
酢酸0.51グラムおよびイソプロパノール150グラムを仕
込んだ。この溶液に窒素を500ml/min.で1時間流して脱
気した。更に、予め窒素を同様に流して脱気しておい
た、68.7重量%のターシャリーブチルヒドロペルオキシ
ドのトルエン溶液を12.32グラム(ターシャリーブチル
ヒドロペルオキシド換算で 93.9ミリモル)とり反応器
に加えた。窒素を流し攪拌しながらオイルバスで75゜Cに
加熱し反応を開始した。1時間後反応液を20゜Cまで急冷
し、この温度を1時間保持した。窒素雰囲気下で反応液
を濾過し、固体を少量のベンゼンで洗浄し、減圧乾燥し
た。1.9グラムの緑色固体が得られた。このうちの1.0グ
ラムを取り実施例1と同様に精製した。407ミリグラム
の黄色針状晶の2,2’−ジヒドロインジゴを得た。
【0024】応用例1 撹拌機、温度計、還流冷却管および空気導入管を装着し
た内容積500 ミリリットルの4ッ口フラスコに溶媒とし
て300グラムのジメチルスルホキシドをとり、実施例1
と同様にして得られた2,2’−ジヒドロインジゴ10.0
グラムを加え、攪拌しながら1000ml/min.の流量で空気
を送りながら昇温を始め、80゜Cで5.0時間反応させた。
昇温開始後間もなく反応液は青色になり、やがて藍色の
固体が析出してきた。反応終了後、濾過し、固体をメタ
ノ−ルで充分に洗浄した。減圧乾燥し7.5グラムの藍色
固体を得た。この固体は元素分析、IRスペクトル、固
体NMRからインジゴであることが分かった。このよう
に2,2’−ジヒドロインジゴを溶媒中で空気酸化する
だけで容易にインジゴを得ることができる。このインジ
ゴ500ミリグラムを取り、ハイドロサルファイトで還元
して染色液をつくる常用の方法で、精錬漂白された綿糸
の束8.0グラムを染色した。市販のインジゴと同等の濃
さと色相の藍色に染めあがった。
【0025】参考例1 ロイコインジゴの合成 基本的には参考文献1の491頁23行以降記載の方法であ
るが、若干変えた処方でインジゴの還元を行った。また
以下のインジゴ還元反応および後処理は全て窒素ボック
ス中で行ったものである。100ミリリットルのビーカー
に、インジゴ2.5グラムに、予め脱気しておいた水少量
を加えて練った。これに脱気しておいた40%の水酸化ナ
トリウム水溶液6.5グラム加えてかき混ぜ、更に脱気水5
0グラムを加えた。これにハイドロサルファイト10グラ
ムを加え、室温でゆるやかに攪拌しながらインジゴを還
元し溶解した。一部不溶物が残り、液はやや濁った淡褐
色となった。濾過すると濾液は透明の淡褐色溶液となっ
た。これに、予め充分脱気しておいた5%塩酸水溶液を中
和するまで徐々に加えていった。白色の固体が析出して
きた。濾過し、固体を脱気しておいた水で充分洗浄し
た。固体を200ミリリットルのナス型フラスコに移し真
空乾燥し、1.8グラムの白色固体のロイコインジゴを得
た。真空脱気した封管中でd4-メタノール溶媒でとった
プロトンNMRスペクトルを図3に、同じくC13NMR
スペクトルを図4に示す。プロトンNMRでは芳香族プ
ロトンに由来するピークしか現れず、またC13NMRで
133.4ppmにロイコインジゴの等価な2位およ
び2’位のビニル炭素に由来するピークと122.9p
pmに3位および3’位のヒドロキシ基の結合したビニ
ル炭素に由来するピークが現れ、いずれもロイコインジ
ゴ(化学構造式(2))の構造を支持し、2,2’−ジ
ヒドロインジゴとは異なる。この白色ロイコインジゴ
は、固体であっても極めて酸化され易く、空気に触れる
と急速に少なくとも固体表面は藍色のインジゴに変化し
た。溶液では、直ちにインジゴの固体が析出した。
【0026】
【発明の効果】本発明の化学構造式(1)で表される
2,2’−ジヒドロインジゴは、染料として重要なイン
ジゴの前駆体であり、従来から使用されている別種の前
駆体ロイコインジゴに比べ、固体では空気酸化には全く
安定であるが、溶液にして酸化すれば容易にインジゴに
することができるという、取扱い易いインジゴの前駆体
として極めて有用である。また本発明の製造法によれ
ば、そのような2,2’−ジヒドロインジゴは、インド
ールと有機ヒドロ過酸化物とを触媒の存在下に液相で反
応させることにより、一段で簡便に得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明により得られた2,2’−ジヒドロイン
ジゴのプロトンNMRスペクトル(270MHz, d4-メタノ
ール溶媒)のチャートである。
【図2】本発明により得られた2,2’−ジヒドロイン
ジゴのC13NMRスペクトル(67.8MHz, d4-メタノール
溶媒)のチャートである。
【図3】ロイコインジゴのプロトンNMRスペクトル
(270MHz, d4-メタノール溶媒)のチャートである。
【図4】ロイコインジゴのC13NMRスペクトル(67.8
MHz, d4-メタノール溶媒)のチャートである。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 原 烈 神奈川県横浜市栄区笠間町1190番地 三 井東圧化学株式会社内 (72)発明者 柿ヶ野 武明 神奈川県横浜市栄区笠間町1190番地 三 井東圧化学株式会社内 審査官 星野 紹英 (56)参考文献 特開 平4−311771(JP,A) 特開 平4−189871(JP,A) 特開 平3−768(JP,A) 特開 平2−132158(JP,A) 特開 平2−269160(JP,A) 特開 平2−129267(JP,A) 特開 平1−215859(JP,A) Tetrahedron,19(Sup pl.2),315−35(1963) Chemische Bericht e,97(8),2342−57(1964) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) C09B 7/02 C07D 209/36 CA(STN) REGISTRY(STN)

Claims (7)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 化学構造式(1)〔化1〕 【化1】 で表される 2,2’−ジヒドロインジゴ。
  2. 【請求項2】 インドールと有機ヒドロ過酸化物とを触
    媒の存在下に液相で反応させることを特徴とする2,
    2’−ジヒドロインジゴの製造法。
  3. 【請求項3】 触媒がモリブデンの化合物である請求項
    2記載の製造法。
  4. 【請求項4】 カルボン酸の存在下に反応させる請求項
    2または3記載の製造法。
  5. 【請求項5】 反応を、第2級および第3級アルコール
    からなる群から選ばれた溶媒の少なくとも一種以上の存
    在下で行なう請求項2、3または4記載の製造法。
  6. 【請求項6】 反応を不活性気体雰囲気下で行う請求項
    2、3、4または5記載の製造法。
  7. 【請求項7】 インドールに対する有機ヒドロ過酸化物
    のモル比を0.5ないし2.0の範囲にして反応させる
    請求項2、3、4、5または6記載の製造法。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
Title
Chemische Berichte,97(8),2342−57(1964)
Tetrahedron,19(Suppl.2),315−35(1963)

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