JP3137252U - 密封容器用圧力センサ及び密封容器 - Google Patents

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Abstract

【課題】デバイスの動作に支障をきたすおそれがなく、デバイスを封止する密封容器の内部の圧力を簡便に直接測定できる圧力センサを提供する。
【解決手段】電極108が設けられた蓋104と、該蓋104の電極(貫通電極)108に接続されると共に、該蓋104の表面に形成された圧力センサ110と、該蓋104によって密封可能であると共に、前記圧力センサ110を密封対象のデバイス106と一緒に収納可能な容器102と、を有する。
【選択図】図1

Description

本考案は、密封容器用圧力センサ及び密封容器に係り、特に、MEMSデバイスを収納する密封容器の内部の圧力を簡便に直接測定するのに好適な圧力センサ、及び、この圧力センサを備えた密封容器に関する。
振動を利用する、或いは熱を利用するデバイス、例えば、MEMS(Micro Electro Mechanical Systems)デバイス(一般には、半導体微細加工技術を応用して作製され、例えばシリコンウェーハ上に機械・電子・光・化学などの複合機能を一体化した微小構造体を有する微小デバイスであり、代表的には、圧力センサ、温度センサ、加速度センサ(例えば特許文献1)、角加速度センサ等がある)では、気体による振動や熱伝導を減少させてその動作特性を保つために、真空雰囲気での動作を必要とすることがある。このためには、密封容器を用いて真空封止を行うこととなるが、このときの封止性能が前記MEMSデバイスの検出信号の信頼性に大きく影響する。すなわち、封止部のリークレートや密封容器内部の真空度の測定が重要となる。
封止部のリークレートの評価にはHeリークテストの適用が考えられる。又、MEMSデバイスのそのものの動作特性から内部圧力を評価することも行われている。
なお、特許文献2には、密封容器に適用可能とも考えられる微小な真空計測装置などの提案がされている。更には、特許文献3に示す如く、具体的に密封容器内部に放電端子を設けて、パッシェンの法則を利用して、その放電開始電圧から直接圧力測定することも提案されている。
特開2007−187494号公報 特開2007−147344号公報 特開2000−74770号公報
しかしながら、HeリークテストをMEMSデバイスが封止されるような小型の密封容器に個別に使用するには高価なものとなる。また、MEMSデバイスに使用される密封容器の内部の体積は非常に小さいため、リークレートの測定結果から真空封止性能を評価することが困難である。
又、MEMSデバイス自身による内部圧力を評価するとしても、MEMSデバイスにおける動作域での検証となるので間接的な評価でしかなく、評価方法として考えた場合に必要とする広い範囲での直接的な圧力検出は困難である。
更に、特許文献2においては、その微小な真空計測装置の構成が複雑であり、真空計測装置部分だけで高価になると考えられる。又、特許文献3においては放電を起こさせるほどの高電圧(数100V)を印加をする必要があるため、一緒に封止したMEMSデバイスの動作に支障をきたすおそれがある。そして、高い電圧の発生と制御がMEMSデバイスに比べて回路的に大掛かりになってしまうという問題を有している。
本考案は、前記従来の問題を解消するべくなされたもので、デバイスの動作に支障をきたすおそれがなく、デバイスを封止する密封容器の内部の圧力を簡便に直接測定できる圧力センサを提供することを課題とする。
本願の請求項1に係る考案は、電極が設けられた蓋と、該蓋の電極(貫通電極と称する)に接続されると共に、該蓋の表面に形成された圧力センサと、該蓋によって密封可能であると共に、前記圧力センサを密封対象のデバイスと一緒に収納可能な容器と、を有することにより、前記課題を解決したものである。
本願の請求項2に係る考案は、前記圧力センサが、金属製の薄膜細線から構成される抵抗体であると共に、前記蓋の表面との間に一定空隙を設けて配置されるようにしたものである。
又、本願の請求項3に係る考案は、前記デバイスが、少なくとも振動、又は、熱のいずれか一方の物理現象を利用するMEMSデバイス(半導体微細加工技術を応用して作製された微小構造体を有する微小デバイス)としたものである。
又、本願の請求項4に係る考案は、前記容器が、真空雰囲気で密封されるようにしたものである。
又、本願の請求項5に係る考案は、請求項1乃至4のいずれかに記載の圧力センサを備えた密封容器としたものである。
本考案によれば、密封容器の内部を簡便に直接測定することができる。
以下、図面を参照して本考案の実施形態の一例を詳細に説明する。
本考案に係る密封容器用圧力センサの実施形態を、図1から図3に示す。図1は本実施形態に係る密封容器の容器と蓋の斜視図、図2は同じく図1のII−IIに沿う、蓋に形成した圧力センサの断面図、図3は同じく圧力センサを駆動する回路図の一例、をそれぞれ示している。
最初に、本実施形態の構成について、図1と図2を用いて、詳細に説明する。なお、図1(a)は容器102、図1(b)は蓋104の外側(封止されない面)、図1(c)は蓋104の内側(封止される面)、をそれぞれ示している。
密封容器100は、例えば直方体形状の容器102と平板状の蓋104とを有し、それらを接合することで密封封止がなされる。なお、密封容器100の封止は、封止される圧力雰囲気中で、蓋104と容器102の当接面102aとを接合することでなされる。接合に接合材を使用する場合には、例えば、紫外線硬化型の接着剤を使用することができ、紫外線照射により接合することが可能である。
前記容器102は、例えば、アルミナ(Al23)を主成分としたセラミックでできており、大きさは幅が約5mm、長さが約8mm、高さが約4mmである。図1(a)に示す如く、容器102には、デバイス106が実装されている。デバイス106は、例えば、振動の物理現象を利用するMEMSデバイスである加速度センサである。加速度センサは、例えば、シリコン基板を2枚のガラス板で挟む3層構造からなる。シリコン基板には電極が着けられた錘が形成され、錘の電極と対向するガラス板表面にも電極が設けられている。加速度により前記錘が変位すると、両電極間の距離が変化するので、電気容量が変化し、その変化を計測することで加速度を検出することができる。このデバイス106は、空気の分子が密封容器100内に存在すると、周囲温度の変化や空気振動によって応答特性の変化を生じる。このため、本実施形態では密封容器100内を真空雰囲気としている。
なお、デバイス106は、例えば、容器102に接合剤で固定され、接合剤が固まった段階で、デバイス106の外表面に設けられた電極106aと容器102の内側に設けられた電極102bとを電気的接続するためにAu(金)線でワイヤボンド接続されている。
前記蓋104は、例えば、ガラスでできており、厚みは約1mmである。図1(b)に示す如く、蓋104には、蓋104を貫通して導通を行う貫通電極108が設けられ、真空封止される蓋104の内側に形成された圧力センサ110の信号を密封容器100の外部に取り出すことができる。貫通電極108の材質は、例えば、Ni(ニッケル)であり、その表面はAu薄膜で覆われている。このような構造をとるのは、はんだによる接合、又はワイヤボンドによる接合を容易にするためである。
圧力センサ110は、例えば、ピラニ真空計であり、図1(c)に示す如く、貫通電極108の位置に相当する電極パターン112とその間を電気的に接続している複数回平面的に蛇行している金属製の薄膜細線114の抵抗体とから構成されている。圧力センサ110は、すなわち、薄膜細線114周囲のガス圧力の違いで熱伝導が変化することから、電流を流したときの薄膜細線114の温度変化を電気抵抗の変化として計測することで圧力を計測するものである。電極パターン112と金属製の薄膜細線114には、例えば、Pt(白金)を用いることができ、その厚みは数μmである。薄膜細線114は、例えば、その線幅が数十μm以下であるが、蓋104の大きさの制限や薄膜細線114で得られる目標抵抗値(数Ω〜数十Ωの範囲)により適宜、その長さと幅、厚みを定めることができる。
圧力センサ110は、図2に示す如く、台座116上に設けられ、台座116を介して貫通電極108と接続している。台座116には、例えばシリコンを用いることができ、その厚みは200μmである。すなわち、薄膜細線114は、蓋104の表面から約200μmの一定空隙が設けられて配置され、圧力センサ110の突出厚みは、200μm程度なので、一緒に真空封止されるデバイス106に干渉しない構成となっている。なお、貫通電極108から圧力センサ110の電極パターン112への導通は、例えば、台座116の電気伝導性を利用することができる。
圧力センサ110は、例えば、以下に述べる如く、半導体微細加工技術にて作成される。まず、台座116となる200μm厚のシリコン基板上に、スパッタ法(CVD法でもかまわない)で、数μmの厚みのPt薄膜を形成する。次にフォトレジストの塗布を行い、乾燥後、フォトレジストを露光し、図1(c)に示す電極パターン112と薄膜細線114とに相当するマスクキング部分を残してフォトレジストを剥離する。次に、マスキングしていないPt膜部分を、エッチング液(例えば、王水;濃塩酸と濃硝酸とを体積比で3対1で混合した液)でエッチングする。そのあと、上記と同様のマスク処理を行い、異方性エッチング処理により、シリコン基板を所定の台座116の形状とする。台座116の成形後、貫通電極108の所定場所に台座116を接合する。接合には、台座116の背面に予めNi薄膜とAu薄膜を付けておき、はんだによって接合しても良いし、導電性接着剤で接合しても良い。
次に、本実施形態における圧力センサ110の駆動方法について説明する。
図3に示す如く、圧力センサ110の駆動回路は、例えば、抵抗R1、R2、補償管R3、電流計A1、A2、可変抵抗器VR、直流電源Eを有するブリッジ回路で構成されている。圧力センサ110の抵抗をR4とすると、R3とR4との抵抗比と、R2とR1の抵抗比が等しくなるようにそれぞれの抵抗値を定めておく。なお、補償管R3は、熱のふく射、気温、回路配線による損失を相殺する目的で用いられている。
圧力センサ110は密封容器100中に入れられて、直流電源E(十数V以下を印加)に接続された可変抵抗VRで回路に流れる電流が調整されて、電流計A2で電流がモニタされる。そして、圧力センサ110に電流が流れると、R4に応じたジュール熱が発生する。このとき、密封容器100中の真空度が低いときには、その密封容器100中の多数の気体分子を介して、発生した熱は密封容器100に容易に伝わるので、圧力センサ110の温度はそれほど上昇しない。すなわち、真空度が低いと抵抗値R4がそれほど上昇せず、圧力センサ110にかかる電圧は大きくは増えず、電流計A1にはわずかな電流しか流れない。
逆に、密封容器100中の真空度が高く、気体分子の量が少ないと、圧力センサ110で発生した熱は、気体分子が少なく、伝わりにくくなる。このため、圧力センサ110の温度が上昇し、それに伴い抵抗値R4が上がる。したがって、圧力センサ110にかかる電圧が増えて、電流計A1に流れる電流は大きなものとなる。このとき、予め電流計A1で得られる電流値と密閉容器100内の圧力との相関を測定しておくことで、電流計A1の測定値から簡易的に圧力を求めることができる。
このようにして、本実施形態においては、密封容器100の蓋104に圧力センサ110を形成するので、デバイス106の実装を複雑にしない。そして、半導体微細加工技術を適用するので圧力センサ110は薄く形成できるので、デバイス106とは干渉しにくくなりので、圧力センサ110を密封容器100に内蔵可能として、圧力センサ110のついた小型の密封容器100を容易に実現することができる。
又、圧力センサ110は、密封容器100に内蔵されるので、密封容器100の内部の圧力を直接に、且つ、簡易的に計測することができる。
又、圧力センサ110は、ピラニ真空計の原理を用いることで、測定のための制御が大掛かりとならない。そして、圧力が上がると圧力センサ110の温度は下がるため、圧力が大気圧近傍でも壊れるおそれはない。更に、圧力センサ110に大電圧(数100V)を印加することもないのでデバイス106に悪影響を与えるおそれもなく、回路構成を容易にすることが可能である。又、圧力センサ110は、金属製の薄膜細線114の抵抗体であるので、少ない工程によって成形され、密封容器100に密封される部分を簡易的な構成にすることが可能である。
又、圧力センサ110は、蓋104の表面から一定空隙を開けて配置されているので、蓋104との直接的な熱伝導がなく、良好な圧力を測定可能としている。
又、デバイス106は、MEMSデバイスであり、真空封止されているので、密封容器100内を真空度の評価を行うことで、MEMSデバイスの動作特性の良否の容易な判断と、真空度に応じたMEMSデバイスの特性校正を行うことができる。
本実施形態では、密封容器100の容器102はアルミナを主成分とするセラミック製としたが、本考案は、他の材料を用いたセラミック製や金属製の容器にも適用可能であることは明らかである。蓋104についても、ガラスである必要はなく、セラミック製、或いは、貫通電極108の近傍を絶縁処理した金属製であってもよい。
又、密封容器100は、幅約5mm、長さ約8mm、高さ約4mmの直方体形状に限定されるものではない。密封容器100の形状や大きさは、封入するデバイス106の形状や大きさによるものであり、密封容器100が本実施形態よりも極端に小さくなければ、本考案の圧力センサ110は幅広く適用が可能である。又、密封容器100は、真空に密封される場合だけに限られるわけではない。例えば、不活性ガスである窒素ガスやAr(アルゴン)ガスが減圧されて封止されてもよい。この場合には、窒素やArの熱的特性を予め測定しておくことで、良好な密封ガスの圧力を測定することができる。
又、デバイス106はMEMSデバイスに限られるものではなく、デバイス106が密封された雰囲気の圧力を簡便に測定したい場面であれば、小型のデバイスに限らず本考案の適用が可能である。
又、デバイス106と容器102、容器102と蓋104の接合は、有機材料を含む接合材で接合されても良いし、はんだによって接合しても良い。容器102と蓋104の接合部分が金属であれば、溶接をしてもよい。なお、接合材に有機材料を含む場合は、封止した際に有機材料からガスが出るおそれがあるため、接合後に十分なベーキングを行うことを組み合わせて、前記ガスの影響を低減することも可能である。或いは、密封容器100中、又はデバイス106中に、ガスを吸着する機能を有するゲッタを収納してもよい。
又、薄膜細線114の材質はPtに限定されるものではなく、W(タングステン)或いは、WとPtを組み合わせたものを用いても良い。
又、台座116の厚みは、200μmだけに限定されるものではない。500μm程度までの厚みであれば、本考案を適用することは容易である。加工などの扱いが容易であり、且つ、蓋104に圧力センサ110を取り付けてもその突出部分が大きくないため、デバイス106とは干渉しにくく、密封容器100を小型に保つことが可能であるからである。
又、台座116は、図2に示す如く、2つからなる台形形状である必要はなく、薄膜細線114を囲うようにして台座をつなげて、枠形状としてもよい。この場合には、圧力センサ110の蓋104への取り付けにおいて、薄膜細線114のたわみなどを気にせず、容易に実装することができるという利点を有する。
又、台座116の抵抗値が高ければ、台座116を貫通電極108の位置からずらして、台座116に沿って、配線を設ける構造であっても良い。
又、蓋104への圧力センサ110の形成において、圧力センサ110を形成後、蓋104に取り付けるという手順に限られるものではなく、例えば、蓋104に圧力センサ110の形成されたシリコン基板を貼り付け、そのあと、台座116を形成するということであっても本考案に含まれるものである。
又、台座116の材質は、エッチング或いは加工が容易であれば、シリコンに限られず、例えば、ポリシリコンなどを用いてもよい。
本実施形態に係る密封容器の容器と蓋の斜視図 同じく図1のII−IIに沿う、蓋に形成した圧力センサの断面図 同じく圧力センサを駆動する回路図の一例
符号の説明
102…容器
104…蓋
106…デバイス
108…貫通電極
110…圧力センサ
112…電極パターン
114…薄膜細線
116…台座

Claims (5)

  1. 電極が設けられた蓋と、
    該蓋の電極に接続されると共に、該蓋の表面に形成された圧力センサと、
    該蓋によって密封可能であると共に、前記圧力センサを密封対象のデバイスと一緒に収納可能な容器と、
    を有することを特徴とする密封容器用圧力センサ。
  2. 前記圧力センサは、金属製の薄膜細線から構成される抵抗体であると共に、前記蓋の表面との間に一定空隙を設けて配置されていることを特徴とする請求項1に記載の密封容器用圧力センサ。
  3. 前記デバイスは、少なくとも振動、又は、熱のいずれか一方の物理現象を利用するMEMSデバイスであることを特徴とする請求項1又は2に記載の密封容器用圧力センサ。
  4. 前記容器は、真空雰囲気で密封されることを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載の密封容器用圧力センサ。
  5. 請求項1乃至4のいずれかに記載の圧力センサを備えたことを特徴とする密封容器。
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