JP3135885B2 - スライスチーズ及びその製造方法 - Google Patents
スライスチーズ及びその製造方法Info
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Description
溶融性及び糸曵き性の良好なスライスチーズ及びその製
造方法に関する。
スライス状のもの、スティック状のもの、アルミホイー
ルで個包装したもの、カートンに充填したものなど、様
々な形状がある。これらの中で最も多く消費されている
のが、一般に「スライスチーズ」と言われているスライ
ス状のチーズである。スライスチーズには、パンに挟ん
だり、野菜を巻いて食べるタイプのものの他に、加熱し
て食べるタイプのものがある。近年加熱して食べるタイ
プのスライスチーズに対する需要は増大する傾向にあ
り、市場での販売量も著しい伸びを示している。このチ
ーズは、オーブントースター等による加熱でチーズが溶
融(加熱により、チーズが溶融する性質を以下、「熱溶
融性」という)し、糸を曳く(加熱により、チーズが糸
を曵く性質のことを以下、「糸曵き性」という)という
性質を有しており、この熱溶融性及び糸曵き性が消費者
の支持を受けている。
き性を付与するために、従来から種々の試みがなされ、
その方法が開示されている。例えば、特開昭56−13
1343号公報、特開昭56−131342号公報、特
開平1−80251号公報、特開平9−103242号
公報を挙げることができる。
スチーズは、通常フィルムで個包装されており、食べる
時にフィルムを一枚一枚剥がす必要があった。家庭内で
使用する場合はそれ程問題とはならないが、業務用とし
てスライスチーズを使用する場合は、その使用量が多い
ため、個包装では個々のフィルムを剥がすのに手間がか
かり、又フィルムのコストやフィルム等の包材が大量に
廃棄されるという点で問題であった。
用する場合、フィルムで個別包装せずに、数枚から十数
枚を積層し、まとめて包装する形態のものが好ましく、
そのような積層チーズも市販されている。このような包
装形態を採るものでは、フィルムを1枚づつ剥がす必要
がなく手間がかからないものであり、更に、フィルムの
コストの低減やフィルム廃棄物量の低減といった点から
も好ましいものである。
め、一般にプロセスチーズは、チーズを積層するなどし
て密着させて放置すると結着し易いという欠点がある。
この現象は特に温度に依存しており、温度が高い程、特
に常温以上の温度になると、チーズ同士の結着は著し
い。このため常温以上で、チーズ同士の結着を防止する
ために種々の方法が、例えば、特開平4−179442
号公報、特開平3−84358号公報、特開平8−19
6209号公報、特開平8−256686号公報、特開
平9−103243号公報等に開示されている。
チーズ同士の結着を防止することが可能となるが、得ら
れるチーズに良好な加熱溶融性を付与することができな
い場合が多い。チーズの熱溶融性や糸曳き性等の加熱に
より発現される加熱時の機能特性と、チーズ同士の剥離
性あるいは結着性とは、互いに相反する性質であり、熱
溶融性等の加熱時の機能特性を有するチーズは、常温で
もチーズの組織が軟らかい状態を維持している場合が多
く、チーズ同士を積層した場合に結着し易く、剥がす際
にもチーズが柔らかくなりすぎて切れ易くなるといった
問題があった。
題を解決すべくなされたものであり、その目的は、熱溶
融処理用途のスライスチーズにおける熱溶融性や糸曳き
性等の加熱時の機能性と、積層した際の剥離性等の物性
とをバランス良く有するスライスチーズ及びその製造方
法を提供することにある。
に鑑み鋭意研究を重ねた結果、αsカゼインを特定量含
有したチーズを原料チーズとして用い、溶融塩を添加し
て加熱乳化することにより、剥離性に優れ、加熱溶融性
及び糸曵き性の良好なスライスチーズが得られることを
見出した。また、該スライスチーズを2枚以上積層した
場合も常温でチーズ同士が結着することがなく剥離性が
良好であることを見出し、本発明を完成するに至った。
タンパク質中のαsカゼイン含量が15〜45重量%で
ある原料チーズ、又は全タンパク質中のαsカゼイン含
量を15〜45重量%に調整した原料チーズに、溶融塩
を0.1〜1.0重量%添加し、加熱乳化した後、シー
ト状に冷却成形することにより得られ、積層用であるこ
とを特徴とする。また、本発明のスライスチーズの製造
方法は、全タンパク質中のαsカゼイン含量が15〜4
5重量%である原料チーズ又は全タンパク質中のαsカ
ゼイン含量を15〜45重量%に調整した原料チーズ
に、溶融塩を0.1〜1.0重量%添加し、加熱乳化し
た後、シート状に冷却成形する工程を有し、シート状に
冷却成形されたチーズが積層用であることを特徴とす
る。
以上重ねた際に常温でも結着せずに、一枚一枚容易に剥
がすことができる性質をいう。また、熱溶融性とはオー
ブン等による加熱により、チーズが溶融する性質をい
う。また、糸曵き性とはオーブン等による加熱によりナ
チュラルチーズのような糸を曵く性質をいう。
中の酵素による乳タンパク質の分解により進行する。一
般に、チーズの物性及び機能性は、チーズ中に含まれる
カゼインの構造に依存する。チーズ中には主にαsカゼ
イン、βカゼイン、κカゼインと言われる3種類のカゼ
インが3:2:1の割合で存在し、この中でチーズの物
性に最も寄与が大きいのがαsカゼインであることが知
られている(R. C. Lawrence, L. K. Creamen and J. G
illes, J. Dairy Sci., 70, 1748-1760(1987))。
るレンネットにより分解を受ける。一方、βカゼインは
牛乳中に含まれるプラスミンにより分解される。また、
κカゼインは乳凝固過程でレンネットにより分解され、
パラκカゼインとグリコマクロペプチドになる。グリコ
マクロペプチドは、水溶性であるため製造過程でホエー
とともに排除され、パラκカゼインだけがチーズ中に残
存する。このパラκカゼインは熟成中に酵素により分解
されにくく、チーズの物性へ与える影響は少ないカゼイ
ンである。
の酵素によって分解されるため、熟成過程で何らかの外
的要因によりこれら酵素活性のバランスが崩れると、α
sカゼインの分解が比較的速く起こる場合と、βカゼイ
ンの分解が比較的速く起こる場合とが生じる。換言すれ
ば、チーズの熟度指標の一つとして、一般的に知られて
いるSTN/TN比(可溶性窒素率)やNPN/TN比
(非タンパク態窒素率)が同じであっても、チーズ中に
αsカゼインが多く残存する場合と、βカゼインが多く
残存する場合がある。例えば、チェダーチーズとエメン
タールチーズを比較した場合に、同じ熟度であってもエ
メンタールチーズの方がαsカゼインの残存量が多く、
その結果としてより硬い物性のチーズとなる。従って、
従来チーズの熟度指標として用いられてきたSTN/T
N比やNPN/TN比のみでは、チーズの物性や機能特
性を決定できない場合がある。
の含有率と、チーズ同士の剥離性および加熱時の糸曳き
性の関係を調べたところ、これらの特性とチーズ中のα
sカゼインの含有量との間に密接な関係があることを見
出した。αsカゼインは、全カゼイン中の約50%を占
め、分子量的にも大きいため、チーズの構造の基本骨格
を構成している主成分であると考えられる。チーズの熟
成とは、カゼインが酵素によって分解されることによ
り、カゼインの構造が崩れると同時に、チーズの構造が
壊れていく過程である。
sカゼインの量がある一定量に維持される段階における
チーズは適度な弾力性と柔軟性とを示すようになり、重
ね合わせたチーズ同士を剥離させる際にも、チーズに折
れやちぎれが生じることなくスムーズに剥離させること
ができることが判明した。また、加熱時のチーズの糸曳
き性に関しても、チーズの構造の強さ、特にαsカゼイ
ンの含有量がある一定量以上でないと十分な糸曳き性が
得られない。すなわち、チーズ中の全タンパク質当たり
のαsカゼインの含量が、15〜45重量%の時、チー
ズ同士の剥離性と糸曳き性の両方の性質を兼ね備えたス
ライスチーズが得られることが判った。
ズ中の全タンパク質あたりのαsカゼイン含量が15〜
45重量%の原料チーズ、又は全タンパク質中のαsカ
ゼイン含量を15〜45重量%に調整した原料チーズ
に、溶融塩を0.1〜1.0重量%の範囲で添加するこ
とにより、良好な熱溶融性を有するスライスチーズを得
ることができることも判明した。
ンパク質中のαsカゼイン含量が15〜45重量%であ
る原料チーズ、又は全タンパク質中のαsカゼイン含量
を15〜45重量%に調整した原料チーズに、溶融塩を
0.1〜1.0重量%添加し、加熱乳化した後、シート
状に冷却成形することにより得られるものである。
中のαsカゼイン含量が15〜45重量%である原料チ
ーズ、又は全タンパク質中のαsカゼイン含量を15〜
45重量%に調整した原料チーズを乳化釜に投入し、次
いで溶融塩を添加し、加熱しながら混練し、約80℃に
達した時点で、乳化を終了させる方法により行うことが
できる。この時用いることのできる乳化釜としては、ケ
トル乳化釜、2軸スクリューをもつクッカー、サーモシ
リンダー等、通常プロセスチーズの製造に用いられてい
るものであればいずれでもよい。また、加熱は、通常プ
ロセスチーズの製造の際と同様、例えば80〜90℃で
行えばよい。
ば10cm×10cm×100cmのモールドに充填
し、一夜冷蔵後、得られたチーズをモールドから取り出
し、スライサーで厚さ2mmにスライスすることによ
り、本発明のスライスチーズを得ることができる。スラ
イスチーズの厚さは2mmに限定されず、例えば1mm
以下でもよく、また約5mmの厚さのものでもよく、使
用目的に合わせて適宜調整すればよい。
に、直径6.5cmの円筒形のフィルムに充填し、これ
を直ちに約2mm厚さのシート状に冷却成形し、適宜の
大きさ、例えば、10cm×10cmの形状でフィルム
ごと切断しても本発明のスライスチーズを得ることがで
きる。この時用いることのできるフィルムは、通常スラ
イスチーズの包装に用いられているような、剥離性が良
く、チーズの品質に影響を与えないものであれば特に制
限はなく、例えば、ポリエチレンテレフタレート、伸縮
ポリプロピレン、セロハン、ナイロン等を基材とし、こ
れらにシール層、接着層をコートしたものを用いること
もできる。
2枚以上重ねることによりスライスチーズの積層体とす
ることができる。また、このようにして得られたスライ
スチーズは水分38〜50重量%、pHは5.5〜6.
3となる。
は、αsカゼインの含有量が15〜45重量%であり、
所望する機能性及び物性を満たすものであれば、その種
類に特に限定はない。例えば、ゴーダチーズ等の半硬質
チーズ、チェダーチーズ、エメンタールチーズ、エダム
チーズ等の硬質チーズ、又はパルメザンチーズ等の超硬
質チーズ等を挙げることができる。これらのチーズを単
独、又は2種以上組み合わせて用いることもできる。
含量は、以下に記す電気泳動によって確認することがで
きる。すなわち、原料チーズ10gに5重量%クエン酸
ナトリウムの溶液30ml(70℃)を加え、ホモゲナ
イザー(マキシムホモゲナイザー、日本精機製)を用い
て1000rpmで10分間ホモゲナイズした溶液を、
10000Gで20分間高速遠心し、脱脂する。脱脂し
た溶液を分画分子量3500の透析チューブ(スペクト
ラボア、スペクトラム製)に入れ、脱イオン水に対して
4℃で3日間透析する。脱イオン水は、12時間ごとに
交換する。透析終了後、透析内液を凍結乾燥し原料チー
ズ中のタンパク質成分を得る。単離したチーズ中のタン
パク質成分を水に溶解し、1重量%溶液とする。このサ
ンプル溶液をサンプル緩衝液(0.5MTris-HCL(pH
6.8):グリセロール:10重量%SDS:0.5%
ブロモフェノールブルー(5:4:1:1)で10倍希
釈し、50μl/mlのメルカプトエタノールを加え、
沸騰水中で5分間加熱する。更に、この溶液の10μl
を4.5Mウレアを含むアクリルアミド濃度12重量%
SDSゲル(厚さ1mm)(SDS−PAGEmin
i、TEFCO製)にアプライし、0.01重量%SD
Sを含むTri−グリシン緩衝液により18mA/ge
lの電流を流し、泳動を行う。標準品として、αs、
β、κカゼイン(いずれもシグマ製)、ホエータンパク
質濃縮物(WPC;サンラクトN2、太陽化学製)を、
分子量マーカーとしてはSee Blue(Nove
Experimental Technology製)
を用いることができる。泳動終了後、ゲルを固定液(メ
タノール50重量%、酢酸10重量%、脱イオン水40
重量%)に20分間浸して固定し、続いてクマシ−ブリ
リアントブルー(クイックCBB、和光純薬製)で染色
する。各レーンはデンシトメーター(クロマトスキャナ
ーCS9000、島津製作所製)でスキャンし、各バン
ドのエリアから原料チーズ中のカゼイン含量を定量す
る。得られた数値から以下の式を用いてαsカゼイン量
を算出する。計算式:
9.52)]×100 Yαs:全タンパク質中のαsカゼイン含量(重量%) Yαs’:αsカゼインのバンドのエリアから得られた
αsカゼイン量(μg) Ytotal:電気泳動用ゲルにアプライした全タンパク質
量(μg) また、本発明において用いる溶融塩としては、チーズ製
造に通常用いられる溶融塩であればいずれの溶融塩を用
いてもよく、例えば、クエン酸ナトリウム、モノリン酸
ナトリウム、ジリン酸ナトリウム、ポリリン酸ナトリウ
ム等を挙げることができ、これらを1種又は2種以上組
み合わせて用いることもできる。溶融塩の添加量は、原
料チーズに対して0.1〜1.0重量%が好ましい。な
お、添加量が0.1重量%未満では、乳化時にオイルオ
フを生じ、均一な組織のチーズが得られないので好まし
くない。また、1.0重量%を超えると、得られたチー
ズを加熱調理した際に、良好な加熱溶融性及び糸曵き性
を付与することができないので好ましくない。
品にあわせて、例えば、pHを調整するために、重曹や
乳酸の様なpH調整剤、チーズの食感や物性を改良する
ために、蔗糖脂肪酸エステル、レシチン、グリセライド
類等の乳化剤や寒天、ローカストビーンガム、カラギー
ナン、グアガム、キサンタンガム等の安定剤等を適宜添
加することができる。
イン含量を測定したゴーダチーズとチェダーチーズの単
独あるいは両方を、以下に示す配合に従い配合し、試料
1〜7の7種の原料チーズを調製した。配合を以下に示
す。 試料1:原料チーズの全タンパク質中のαsカゼイン含
量7重量% [配合量] 全タンパク質中のαsカゼイン含量8重量%のゴーダチ
ーズ50重量% 全タンパク質中のαsカゼイン含量6重量%のチェダー
チーズ50重量% 試料2:原料チーズの全タンパク質中のαsカゼイン含
量12重量% [配合量] 全タンパク質中のαsカゼイン含量12重量%のゴーダ
チーズ100重量% 試料3:原料チーズの全タンパク質中のαsカゼイン含
量15重量% [配合量] 全タンパク質中のαsカゼイン含量12重量%のゴーダ
チーズ40重量% 全タンパク質中のαsカゼイン含量17重量%のチェダ
ーチーズ60重量% 試料4:原料チーズの全タンパク質中のαsカゼイン含
量20重量% [配合量] 全タンパク質中のαsカゼイン含量20重量%のチェダ
ーチーズ100重量% 試料5:原料チーズの全タンパク質中のαsカゼイン含
量39重量% [配合量] 全タンパク質中のαsカゼイン含量33重量%のゴーダ
チーズ50重量% 全タンパク質中のαsカゼイン含量46重量%のチェダ
ーチーズ50重量% 試料6:原料チーズの全タンパク質中のαsカゼイン含
量45重量% [配合量] 全タンパク質中のαsカゼイン含量48重量%のゴーダ
チーズ60重量% 全タンパク質中のαsカゼイン含量41重量%のチェダ
ーチーズ40重量% 試料7:原料チーズの全タンパク質中のαsカゼイン含
量47重量% [配合量] 全タンパク質中のαsカゼイン含量48重量%のゴーダ
チーズ80重量% 全タンパク質中のαsカゼイン含量41重量%のチェダ
ーチーズ20重量% 上記の配合量に従って調製した原料チーズ各5kgをケ
トル乳化釜に投入し、溶融塩としてポリリン酸ナトリウ
ム25gを加え、水分45重量%、pH5.75となる
ように必要に応じて、水と重曹を加えた。乳化釜のジャ
ケット内に蒸気を吹き込みながらケトルの回転数を10
0rpmとし、昇温しながら乳化した。乳化物の温度が
85℃に達した時点で乳化を終了し、10cm×10c
m×100cmのモールドにチーズを充填した。一夜冷
蔵後、モールドから出したチーズブロックを2mmの厚
さにスライスし、10cm×10cm×2mmのスライ
スチーズとした。このスライスチーズについて、熱溶融
性、糸曵き性、剥離性及び剥離状態について評価した。
なお、熱溶融性についてはメトルダウン(MD)値を用
いて評価した。評価方法は、以下に示すとおりである。
得られた結果は表1に示した。
縦と横がそれぞれ20mmの大きさになるように、ピア
ノ線で切断した。立方体状となったチーズの高さを正確
に測定して記録した後、ガラス製のシャーレに入れ、イ
ンキュベーターを用いて、50℃で2時間加温した。加
温後、溶けたチーズの高さを測定し、以下の数式からM
D値を算出した。MD値が50%以上のチーズを熱溶融
性良好とした。
(加温後のチーズの高さ)}/(加温前のチーズの高
さ)×100 (2)糸曳き性の評価 チーズの糸曳き性の評価は、井門の方法(Snow Brand R
and D Reports, 100,29-74 (1993) )に従って行っ
た。チーズ20gをシャーレに採取し電磁加熱器(約9
0℃)で1分間加熱してチーズを溶融させた。その後直
ちにシャーレを取り出し、1分30秒放置後、約80℃
になった時に糸曳き性測定機((有)富士精機製作所)
を用い、毎秒10cmの速度でチーズを引き上げ、チー
ズの糸が切れるまでの長さ(cm)を測定した。この
時、50cm以上のものを糸曳き性良好とした。
ライスチーズを10枚積層してラップで包み、5℃まで
冷却した後、インキュベーターに入れ25℃で2時間保
持した。その後、回りのラップを剥がし、積層したスラ
イスチーズを一枚一枚剥がして剥離性について評価し
た。
着、チーズの折れ又はちぎれの無いものを良品とし、1
0枚のチーズのうち8枚以上が良品である場合、チーズ
の剥離性が良好であるとした。
好であったが、十分な糸曳き性は得られず、チーズ同士
が結着し、剥離性に劣ったものとなった。また、αsカ
ゼイン含量が45重量%を超えると、熱溶融性及び糸曳
き性は良好であったが、チーズ同士を剥がす際にチーズ
に折れが生じ、剥離性に劣ったものとなった。
剥離性、熱溶融性及び糸曳き性を付与するには原料チー
ズ中のαsカゼイン含量を15〜45重量%とすること
が好ましいことがわかった。
たゴーダチーズ(全タンパク質中のαsカゼインの含量
33重量%)を50重量%、チェダーチーズ(全タンパ
ク質中のαsカゼイン含量29重量%)を50重量%配
合してαsカゼイン含量が31重量%程度のチーズを調
製した。
入し、溶融塩としてクエン酸ナトリウムを0.02〜
1.2重量%の範囲でそれぞれ加え、水分42重量%、
pH5.85となるように必要に応じて、水と重曹を加
えた。乳化釜のジャケット内に蒸気を吹き込みながらケ
トルの回転数を100rpmとし、昇温しながら乳化し
た。品温が85℃に達した時点で乳化を終了し、直径
6.5cmの筒状に成形したポリエチレンテレフタレー
ト製のフィルムに充填した。フィルムを外側から圧着し
て2mmの帯状に成形し、ただちに氷水中で60秒間冷
却した。一辺が10cmの正方形になるように、チーズ
をフィルムごと切断し、スライスチーズとした。このス
ライスチーズのフィルムを剥し、実施例1と同様の方法
でMD値、糸曵き性、剥離性及び剥離状態について評価
した。結果を表2に示す。
たゴーダチーズ(全タンパク質中のαsカゼイン含量3
3重量%)を5kg用い、溶融塩としてポリリン酸ナト
リウムを0.02〜1.2重量%の範囲でそれぞれ添加
して、上記と同様の方法でスライスチーズを製造した。
得られたスライスチーズのMD値、糸曳き性、剥離性及
び剥離状態について実施例1と同様の方法で評価した。
結果を表3に示す。
状態が得られず、所望とするチーズを得ることができな
かった。更に、表2及び表3に示したとおり、溶融塩と
してクエン酸ナトリウム又はポリリン酸ナトリウムを添
加した両者ともに、添加量が0.05重量%で得られた
スライスチーズでは、加熱により溶融はするものの、オ
イルオフが生じ好ましくなかった。一方、添加量が1.
0重量%を超えると良好な剥離性、熱溶融性及び糸曳き
性が付与できないことがわかった。
性及び糸曵き性の良好なスライスチーズを提供すること
ができる。
積層してもチーズ同士が結着することがないので、従来
のスライスチーズのようにフィルムで一枚一枚個包装す
る必要がなく、使用した場合に、使用時にフィルムを剥
がす手間がかからず、またフィルム等の包材も使用する
必要がないので、製造コストの低減化やごみの少量化を
図ることができる。
Claims (2)
- 【請求項1】 全タンパク質中のαsカゼイン含量が1
5〜45重量%である原料チーズ又は全タンパク質中の
αsカゼイン含量を15〜45重量%に調整した原料チ
ーズに、溶融塩を0.1〜1.0重量%添加し、加熱乳
化した後、シート状に冷却成形することにより得られ、
積層用であることを特徴とするスライスチーズ。 - 【請求項2】 全タンパク質中のαsカゼイン含量が1
5〜45重量%である原料チーズ又は全タンパク質中の
αsカゼイン含量を15〜45重量%に調整した原料チ
ーズに、溶融塩を0.1〜1.0重量%添加し、加熱乳
化した後、シート状に冷却成形する工程を有し、シート
状に冷却成形されたチーズが積層用であることを特徴と
するスライスチーズの製造方法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP10165057A JP3135885B2 (ja) | 1998-06-12 | 1998-06-12 | スライスチーズ及びその製造方法 |
Applications Claiming Priority (1)
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JP10165057A JP3135885B2 (ja) | 1998-06-12 | 1998-06-12 | スライスチーズ及びその製造方法 |
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JPH11346651A JPH11346651A (ja) | 1999-12-21 |
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---|---|---|---|---|
NZ566358A (en) * | 2008-02-29 | 2010-11-26 | Fonterra Co Operative Group | Dairy product and process |
-
1998
- 1998-06-12 JP JP10165057A patent/JP3135885B2/ja not_active Expired - Fee Related
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LAPS | Cancellation because of no payment of annual fees |