JP3135709B2 - 芝草病原菌防除剤、該防除効果を有する堆肥およびその製造方法 - Google Patents

芝草病原菌防除剤、該防除効果を有する堆肥およびその製造方法

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    • Y02W30/00Technologies for solid waste management
    • Y02W30/40Bio-organic fraction processing; Production of fertilisers from the organic fraction of waste or refuse

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、芝草病原菌防除剤、該
防除効果を有する堆肥およびその製造法に関する。具体
的には、ピシウム属の芝草病原菌、特にピシウム・アフ
ァニデルマータム(Pythium aphanidermatum)やピシウ
ム・バンタプーリ(Pythium vanterpooli)に対して防除
効果を有する剤、該防除効果を有する堆肥およびその製
造法に関する。
【0002】
【従来の技術】コウライシバ、ノシバ、ベントグラス、
ペレニアルライグラス等の芝草およびその近縁の植物
は、“赤焼病”菌であるピシウム・アファニデルマータ
ム菌(Pythium aphanidermatum)や、“春はげ症”菌で
あるピシウム・バンタプーリ(Pythium vanterpooli)な
どのピシウム属病原菌の感染によって枯死するという被
害を被ることが多い。これらのピシウム属病原菌は、一
般に土壌中に存在し、しかもその感染力が強いことか
ら、ゴルフ場等ではその防除に苦心しているのが現状で
ある。
【0003】上記の病原菌防除対策としては、従来、薬
剤を散布する方法、病原菌に対して抵抗性のある品種を
選んで植える方法等が行われており、特に薬剤散布が汎
用されてきた。
【0004】しかしながら、薬剤を散布する方法は、ヒ
トや他の生物の体内への薬剤の蓄積や残留、刺激臭、河
川や地下水への薬剤の流入や浸込み、生態系の破壊等の
自然環境の破壊や汚染等を生じており、大きな社会問題
になっている。
【0005】また、病原菌に抵抗性のある品種を選んで
生育させる方法では、生育する植物の品種が限定されて
しまい、しかも生育環境や土壌が必ずしもその品種に適
合しない場合が多々あるという問題がある。
【0006】さらに、近年、病原菌に対して拮抗性を有
する他の微生物を使用する方法がタバコ、ナス、ピーマ
ン、トマト等のナス科の植物等に対して知られているが
(例えば特開昭64−16579号公報、特公平1−2
3094号公報等)、芝草の病原菌に対して有効な拮抗
性微生物はこれまであまり知られていない。
【0007】
【発明の内容】本発明者らは、薬剤によって芝草病原菌
を防除する代わりに、芝草病原菌に対して拮抗性を有す
る微生物によって芝草病原菌を防除することを目的とし
て、それに適した微生物を長年に亙って探求してきた。
そして、極めて多数の菌類や細菌類(約1300種の微
生物)について、ピシウム属病原菌に対する拮抗性の有
無をスクリーニングする作業を繰り返した。その結果、
調査した多数の微生物のうちで、ストレプトミセス属の
うちの特定の放線菌4種および特定の細菌1種からなる
微生物が、ピシウム属の芝草病原菌に対して強力な拮抗
性を有すること、そしてそれらの微生物を含む剤および
堆肥が、ピシウム属の芝草病原菌の防除に極めて有効で
あることを見出して本発明を完成した。
【0008】すなわち、本発明は、放線菌;ストレプト
ミセス・ヘイミ(Streptomyces heimi)、ストレプトミ
セス・フラベオラス(Streptomyces flaveolus)、スト
レプトミセス・ミシオネンシス(Streptomyces misione
nsis)およびストレプトミセス・フマナス(Streptomyc
es fumanus)、並びに細菌;シェワネラ・プトレファシ
エンス(Shewanella putrefaciens)からなる微生物の
少なくとも1種を含むことを特徴とする芝草病原菌防除
剤である。更に、本発明は上記微生物の少なくとも1種
を含む堆肥およびその製造法を包含する。
【0009】上記の微生物5種は、いずれも財団法人発
酵研究所から凍結乾燥状態で分譲可能であり、ストレプ
トミセス・ヘイミは ISP 5328、ストレプトミセス・フ
ラベオラスはISP 5061、ストレプトミセス・ミシオネン
シスはISP 5306、ストレプトミセス・フマナスはISP 51
54、そしてシェワネラ・プトレファシエンスはIFO 3908
として分譲される。
【0010】上記したように、本発明者らは多数の微生
物のうちから、上記した5種の微生物を下記の対峙培養
法によりスクリーニングした。対峙培養法 供試菌として、放線菌であるストレプトミセス・ヘ
イミ(ISP 5328)、ストレプトミセス・フラベオラス
(ISP 5061)、ストレプトミセス・ミシオネンシス(IS
P 5306)およびストレプトミセス・フマナス(ISP 515
4)を用い、各々を、飯塚の培地(オーツスペルト・キ
シラン10g、バクトペプトン15g、K2HPO41g、Mg
SO4・7H2O 0.5g、KCl 0.1g、FeSO4・7H2O 2mg/
純水1リットル)を5ml入れた試験管に1白金耳接種
し、28℃で3日間振盪培養した。この培養液の全量を
上記飯塚の培地を100ml入れた三角フラスコに移
し、更に28℃で3日間振盪培養した。
【0011】一方、直径約90mmの円形シャーレにC
MA培地(コーンミール13.1g、バクトアガー3.9
g/純水1リットル)10mlを入れて、CMA平板培
地を予め作成しておき、該CMA平板培地の片側(半円
側)に円の中心点から約15mmの距離をおいて、上記
で調製した供試菌の培養液0.2mlを長さ約30mm
の直線状に塗布した。一方、CMA平板培地の残りの半
円側(片側)に、円の中心点から約15mmの距離をお
いて、別のCMA培地で予め2日間培養した芝草病原菌
であるピシウム・アファニデルマータム菌(Pythium ap
hanidermatum;IFO 7030)を培地ごと約1cm2にくり
抜いたものを載置して、28℃の恒温室内で3日間対峙
培養した。3日後に、ピシウム・アファニデルマータム
菌に対する拮抗性の度合いを目視により観察して、その
拮抗度を下記の表1に示した基準により評価した。その
結果を、下記の表2に示す。
【0012】 供試菌として、細菌であるシェワネラ
・プトレファシエンス(IFO 3908)を用い、これを標準
培地(ポリペプトン5g、イーストエキス2.5g、ブ
ドウ糖1g/純水1リットル)5ml入れた試験管に1
白金耳接種し、30℃で1日間振盪培養した。 この培養液を使用して、上記の場合と同様にして、2
8℃の恒温室内で3日間対峙培養して、ピシウム・アフ
ァニデルマータム菌に対する拮抗性の度合いを観察し
て、その拮抗度を同様に評価した。その結果を、下記の
表2に示す。
【0013】 対照1として、土壌中に生息する通常
の微生物であるアースロバクター・グロビフォーミス菌
Arthrobacter globiformis;IFO 12137)について、
上記におけるのと同様に対峙培養を行って、その拮抗
度を調べた。その結果を下記の表2に示す。 また、対照2として、CMA平板培地の半円側(片
側)の、円の中心点から約15mmの位置にピシウム・
アファニデルマータム菌を培地ごと約1cm2にくり抜
いたものを載置しただけで、28℃の恒温室内で3日間
培養して、ピシウム菌菌糸の生育状態を調べた。その結
果を下記の表2に示す。
【0014】
【表1】 ピシウム・アファニデルマータム菌に対する拮抗度の評価基準 ○・・シャーレのほぼ中程の位置に供試菌とピシウム属菌の境界(阻止円)が 明確に現れており、供試菌によるピシウム菌菌糸の著しい生育阻害作 用が示されている。 △・・供試菌を直線状に塗布した部分と塗布半円側のシャーレの円周部分と の間の狭い領域では、ストレプトミセス属菌によるピシウム菌菌糸の 生育阻害が見られるものの、残りの大半の領域ではピシウム菌菌糸の 生育が阻害されず増殖している。 ×・・ピシウム菌菌糸の生育が全く阻害されず、シャーレ全面にピシウム菌 菌糸が増殖している。
【0015】
【表2】 供 試 菌 の 種 類 ピシウム属菌に対する拮抗度 ストレプトミセス・ヘイミ ○ ストレプトミセス・フラベオラス ○ ストレプトミセス・ミシオネンシス ○ ストレプトミセス・フマナス ○ シェワネラ・プトレファシエンス ○ アースロバクター・グロビフォーミス(対照1) × − (対照2) ×
【0016】上記した放線菌および細菌からなる5種の
微生物のうちの少なくとも1種を含む本発明の防除剤お
よび堆肥は、ピシウム属の芝草病原菌の予防および除去
に有効である。特に予防に有効であり、該5種の微生物
の少なくとも1種を含む剤または堆肥を芝草に施すと、
ピシウム属病原菌に由来する赤焼病や春はげ症の発生を
効果的に防止することができる。
【0017】それらの微生物を含む防除剤または堆肥を
芝草に施すに際しては、防除剤または堆肥中にそれら芝
草病原菌拮抗性の微生物を多量に含ませるために該拮抗
性の微生物を培養して増殖しておく。培養は、それらの
微生物の培養に通常使用されている培地[例えば放線菌
の場合はベネット培地(ブドウ糖10g、ペプトン2
g、肉エキス1g、イーストエキス1g/純水1リット
ル;pH7.0に調整)、細菌の場合は前記した標準培
地]を使用して常法にしたがって行えばよい。この場
合、滅菌した培地に、それらの微生物菌の1種または2
種以上を接種して、約25〜30℃で1〜3日程度培養
することによって増殖させることができる。
【0018】培養後は、遠心分離やその他の適当な方法
により増殖した微生物を集菌し、必要に応じて純水等で
洗浄して、湿菌体を得る。そのようにして調製した湿菌
体は、そのままでも芝草用の防除剤として使用できる。
しかしながら、吸着材に吸着させておくのが菌の生育を
安定した状態に保つことができ望ましい。吸着材として
は、微生物を物理的または化学的に吸着できるものであ
ればよく、例えばバーミキュライト、ゼオライト、大谷
石のような吸着性鉱物材料(特に粉状物や粒状物)、木
炭や活性炭等の炭類、化学合成された多孔質ポリマー等
を使用することができる。
【0019】吸着材への吸着方法としては、湿菌体をそ
のまま吸着材と混合するか、または湿菌体を約1〜5倍
量の水に分散させて吸着材と混合する方法等を採用する
とよい。湿菌体と吸着材との割合は特に限定されない
が、通常、湿菌体1重量部に対して、吸着材約1〜3重
量部としておくのがよい。上記により得られた吸着材に
吸着させた湿菌体(「湿菌吸着体」という)は、そのま
まの状態で芝草に施してもよく、または水分含量が約1
5〜30重量%(以後重量%を単に%という)になるま
で半乾燥して、該半乾燥状態で芝草に施したり、または
保存してもよい。半乾燥処理を行う場合は、菌の生育に
悪影響を与えない温度下で行う必要があり、通常、約2
5〜50℃の温度で乾燥するのがよい。
【0020】更に、上記で調製した湿菌吸着体またはそ
の半乾燥物を、直接そのまま芝草に施す代わりに、芝草
用の堆肥や他の成分に添加して芝草に施してもよい。特
に、芝草用の堆肥に添加した場合には、肥料効果と上記
したピシウム属病原菌に対する防除効果の両方の特性を
有する堆肥を得ることができる。湿菌吸着体またはその
半乾燥物は、製造の完了した堆肥に加えてもよいが、堆
肥用の原料に加えて堆肥の製造と同時にピシウム属病原
菌に拮抗性を有する微生物の増殖を行わせるのが、堆肥
製造と該有効微生物の増殖を同時に行うことができ望ま
しい。
【0021】上記の湿菌吸着体またはその半乾燥物を堆
肥原料中に加える場合は、堆肥の重量(乾物換算)に基
づいて、湿菌吸着体またはその半乾燥物の割合が、乾物
換算で、約10〜60%、特に20〜40%程度になる
ようにするのがよい。10%よりも少ないと、堆肥中に
含まれる芝草病原菌拮抗性の微生物の割合が少なくな
り、芝草病原菌に対する防除効果を発揮しにくい。そし
て、堆肥中には、該芝草病原菌拮抗性の微生物が、該5
種の微生物の合計で、堆肥1g当たり(乾物換算)、約
108個以上含まれるようにするのがよい。
【0022】また、堆肥用原料中にピシウム属病原菌に
拮抗性を有する微生物の栄養源として、アラビノキシラ
ンを含有させると、他の微生物はあまり増殖せず、該芝
草病原菌に拮抗性の5種の微生物が選択的に増殖され
て、芝草病原菌、特にピシウム属菌に対する防除効果の
高い堆肥を得ることができる。これは、他の微生物はア
ラビノキシランの資化能が低くいのに対して、該5種の
微生物は高いアラビノキシラン資化能を有していること
によるものと考えられる。アラビノキシランを含有する
物質としては、小麦フスマ、米ヌカ、トウモロコシ外皮
等のイネ科植物の外皮を挙げることができ、通常、これ
らを原料として堆肥を製造し、堆肥乾物重量当たり、こ
れらの物質を20%以上(アラビノキシラン含量として
約2%以上)の割合で堆肥中に含有させればよい。
【0023】該芝草病原菌拮抗性の微生物を含む本発明
の堆肥は、芝草用堆肥を製造するのに通常採用されてい
る方法および条件を採用して製造することができる。発
酵させる前の堆肥用原料に上記した湿菌吸着体またはそ
の乾燥物を添加して、堆肥の発酵と該拮抗性微生物の増
殖を同時に行ってもよい。しかしながら、発酵により堆
肥を予め製造しておき、発酵後の堆肥に上記した湿菌吸
着体またはその半乾燥物を加えて、水分含量を約10〜
50%、特に20〜30%に調節し、約25〜50℃の
温度で、約1〜7日間そのまま放置するか、または時々
撹拌て、堆肥中で該拮抗性微生物を増殖させた場合に
も、芝草病原菌に拮抗性を有する上記微生物を多量に含
む本発明の堆肥を得ることができる。
【0024】芝草病原菌に拮抗性を有する微生物を含む
本発明の堆肥は、コウライシバ、ノシバ、ベントグラ
ス、ペレニアルライグラス、バミューダブルーグラス等
の芝草に施すことができ、それによって有機肥料として
芝草の生長を促進すると同時に芝草病原菌、特に上記し
たピシウム属の芝草病原菌を防除することができる。本
発明の堆肥の施肥量は、通常、芝草1m2当たり、約1
00〜1000g程度にするのがよく、散布やその他の
方法によって芝草に施すことができる。
【0025】
【実施例】
《実施例 1》[放線菌を含む堆肥の製造] 放線菌であるストレプトミセス・ミシオネンシス(ISP
5306)の1白金耳を前記した飯塚の培地を5ml入れた
試験管に接種し、28℃で3日間振盪培養した。この培
養液の全量を上記飯塚の培地を100ml入れた三角フ
ラスコに移し、更に28℃で3日間振盪培養した。培養
液を冷却遠心分離(温度4℃、8000rpm,10
分)して、上記放線菌の湿菌体を回収した。この湿菌体
を純水で3回洗浄した後、湿菌体10gに純水20gを
加えて懸濁液とした。この懸濁液30gをバーミキュラ
イト60gと混合した後、50℃で3日間乾燥して、水
分含量が20%の湿菌吸着体の半乾燥物を得た。
【0026】小麦フスマ10kgを土壌40kgに混
ぜ、水分を50%に調節して、25℃の恒温室で1週間
ごとに撹拌しながら2カ月かけて発酵させて堆肥を製造
した。この堆肥中のアラビノキシラン含量は、Tario, B
hattiらの方法[Biochim. Biophys. Acta., 222(1970) p
339-347]によりキシロースとアラビノースの合計量と
して求めた結果、堆肥乾物重量当たり5.3%であっ
た。
【0027】上記で得た堆肥(水分20%)200g
に、上記で調製した湿菌吸着体の半乾燥物60gを加え
て軽く撹拌した後、25℃の恒温室内で1週間培養して
本発明の堆肥を製造した。
【0028】 《実施例 2》[放線菌を含む堆肥の製造] ストレプトミセス・ミシオネンシスの代わりにストレプ
トミセス・フマナス(ISP 5154)を使用した外は、実施
例1と全く同様にして、ストレプトミセス・フフマナス
を含む本発明の堆肥を製造した。
【0029】《実施例 3》ストレプトミセス・ミシオ
ネンシスの代わりにストレプトミセス・ヘイミ(ISP 53
28)を使用した外は、実施例1と全く同様にして、スト
レプトミセス・ヘイミを含む本発明の堆肥を製造した。
【0030】《実施例 4》ストレプトミセス・ミシオ
ネンシスの代わりにストレプトミセス・フラベオラス
(ISP 5061)を使用した外は、実施例1と全く同様にし
て、ストレプトミセス・フラベオラスを含む本発明の堆
肥を製造した。
【0031】《実施例 5》[芝草の生育試験] プラスチック容器(縦×横×高さ=6cm×6cm×1
0cm)の各々に、黒土200gと上記実施例1、実施
例2、実施例3または実施例4で製造した本発明の堆肥
10gの混合物を入れて表面を平坦にならし、その土壌
表面にペレニアルライグラスの種子2cm3を蒔いて、
1カ月間25℃で芝草を生育させた。
【0032】芝草病原菌であるピシウム・アファニデル
マータム(IFO 7030)をツァペック・ドックス培地(Na
NO3 3g、K2HPO4 1g、KCl 0.5g、FeSO4・7H2O 0.
01g、シュークロス30g、MgSO4・7H2O 0.5g、イ
ーストエキス1g/純水1リットル)により3日間培養
した後凍結乾燥したものを別に用意しておき、これを黒
土に5%の割合で混合して芝草病原菌/土壌混合物をつ
くり、この混合物1gを上記の種蒔き後6日目に芝草の
表面に施し、芝草の状態を観察した。
【0033】また、比較として、実施例1において、放
線菌の湿菌吸着体無添加の堆肥(対照a)、市販堆肥A
[専友物産(株)製「ビオグリーン」](対照b)、市
販堆肥B[ハイモ(株)製「バイオファーティー」]
(対照c)、市販堆肥C[住友林業(株)製「芝太
郎」](対照d)および化成肥料[清和肥料工業(株)
製「N:P:K(8:8:8)」](対照e)の各10
gと黒土200gとの混合物を各々つくり、各々を上記
と同様のプラスチック容器に入れ、上記と同様にして芝
草の生育試験を行った。更に、肥料を加えず黒土だけの
もの(対照f)についても同様にして生育試験を行っ
た。
【0034】芝草の生育状態は、上記の芝草病原菌/土
壌混合物を施して1週間後に、下記表3に示した評価基
準にしたがって行った。その結果を、下記の表4に示
す。なお、生育状態の試験は、一つの試料につき各10
点ずつを同様に行って、その平均値を採った。また、上
記の試験と同時に、実施例1〜4および対照a〜fで用
いた肥料または黒土中の放線菌数をベネット培地を用い
た平板希釈法により測定し、その結果を表4に併せて記
載した。
【0035】
【表3】 [芝草の生育状態の評価基準] 評 点 芝 草 の 生 育 状 態 5・・・芝草の葉部が鮮やかな緑色を呈し、健全で病斑がない。 4・・・芝草の葉部にやや病斑が見られ、2〜3割が枯れている。 3・・・芝草のほとんどの葉部に病斑が見られ、約5割が枯れている。 2・・・芝草の葉部にわずかに緑色が残っているが、7〜8割が枯れた 状態である。 1・・・芝草が全て枯れた状態である。
【0036】
【表4】 試験区 土壌の内容 堆肥中の放線菌数 芝草生育状態 (個/g) 1 黒土+実施例1の堆肥 2.5×109 4.3 2 黒土+実施例2の堆肥 3.1×108 4.5 3 黒土+実施例3の堆肥 6.8×108 4.2 4 黒土+実施例4の堆肥 5.9×108 4.0 5 黒土+湿菌吸着体無添加堆肥(対照a) 8.9×107 1.5 6 黒土+市販堆肥A(対照b) 3.6×105 1.0 7 黒土+市販堆肥B(対照c) 5.4×103 1.5 8 黒土+市販堆肥C(対照d) 7.6×107 1.2 9 黒土+化成肥料(対照e) − 1.0 10 黒土のみ(対照f)1) − 1.0 1) 黒土自体の放線菌数=6.5×104個/g
【0037】上記表4の結果から、本発明の堆肥を使用
している試験区1〜4では、ピシウム属の芝草病原菌を
接種しても病原菌に犯されず、芝草の生育状態が極めて
良好であるのに対して、湿菌吸着体無添加堆肥、市販の
堆肥、化成肥料または黒土のみを使用している試験区5
〜10では、芝草はピシウム属の芝草病原菌に著しく犯
されて、その生育状態が極めて悪く、そのほとんどが枯
れた状態になっていることがわかる。また、上記表4に
おける堆肥中の放線菌数からみて、本発明の堆肥中に
は、有用菌であるピシウム属病原菌拮抗性の放線菌が堆
肥1g当たり108個以上も含まれていることが理解さ
れる。
【0038】《実施例 6》[芝草の生育試験] 芝草病原菌をピシウム・アファニデルマータムからピシ
ウム・バンタプーリ(ATCC 42858)に代えた外は、実施
例5と同様にして芝草の生育試験を行った。その結果を
下記の表5に示す。
【0039】
【表5】 試験区 土壌の内容 芝草生育状態 1 黒土+実施例1の堆肥 4.4 2 黒土+実施例2の堆肥 4.3 3 黒土+湿菌吸着体無添加堆肥(対照a) 1.8 4 黒土+市販堆肥A(対照b) 1.2 5 黒土+市販堆肥B(対照c) 1.8 6 黒土+市販堆肥C(対照d) 1.5 7 黒土+化成肥料(対照e) 1.0 8 黒土のみ(対照f) 1.0
【0040】 《実施例 7》[拮抗性細菌を含む堆肥の製造] 細菌であるシェワネラ・プトレファシエンス(IFO 390
8)の1白金耳を、前記した標準培地5mlを入れた試
験管に接種し、28℃で1日間振盪培養した。この培養
液の全量を上記の標準培地を100ml入れた三角フラ
スコに移し、更に28℃で1日間振盪培養した。培養液
を冷却遠心分離(温度4℃、8000rpm,10分)
して、上記細菌の湿菌体を回収した。この湿菌体を純水
で3回洗浄した後、湿菌体10gに純水20gを加えて
懸濁液とした。この懸濁液30gをバーミキュライト6
0gと混合した後、50℃で3日間乾燥して、水分含量
が20%の湿菌吸着体の半乾燥物を得た。
【0041】小麦フスマ35kgにバーミキュライト1
5kgを混合し、水分45%に調製した。これに、予め
小麦フスマ10kgを土壌40kgに混ぜ、水分を50
%に調節して25℃の恒温室で1週間ごとに撹拌しなが
ら2カ月かけて発酵させたものを10kg加え、更に1
週間発酵させた堆肥を製造した。この堆肥中のアラビノ
キシラン含量は、実施例1と同様の方法で測定したとこ
ろ32%であった。
【0042】上記で得た堆肥(水分38%)200g
に、上記で調製した湿菌吸着体の半乾燥物60gを加え
て軽く撹拌した後、25℃の恒温室内で1週間培養して
本発明の堆肥を製造した。
【0043】《実施例 8》[芝草の生育試験] 実施例7で製造した拮抗性細菌を含む堆肥を使用した外
は、実施例5と同様にして、芝草の生育試験(芝草病原
菌であるピシウム・アファニデルマータムに対する拮抗
性試験)を行った。また、比較として、実施例5におい
て、拮抗性細菌の湿菌吸着体半乾燥物無添加の堆肥、市
販堆肥A(対照a)、市販堆肥B(対照b)、市販堆肥
C(対照d)および化成肥料(対照e)の各10gと黒
土200gの混合物、および黒土だけのもの(対照f)
についても生育試験を行った。それらの結果を、堆肥中
の拮抗性細菌数と共に下記の表6に示す。
【0044】
【表6】 試験区 土壌の内容 堆肥中の細菌数 芝草生育状態 (個/g) 1 黒土+実施例7の堆肥 3.2×109 4.5 2 黒土+湿菌吸着体無添加堆肥(対照a) 4.9×107 1.5 3 黒土+市販堆肥A(対照b) 3.7×107 1.0 4 黒土+市販堆肥B(対照c) 9.1×104 1.5 5 黒土+市販堆肥C(対照d) 1.5×104 1.2 6 黒土+化成肥料(対照e) − 1.0 7 黒土のみ(対照f)1) − 1.0 1) 黒土自体の細菌数=1.7×105個/g
【0045】上記表6の結果から、芝草病原菌に拮抗性
を有する細菌を含む本発明の堆肥を使用している試験区
1では、ピシウム属の芝草病原菌を接種しても病原菌に
犯されず、芝草の生育状態が極めて良好であるのに対し
て、湿菌吸着体を添加する前の堆肥、市販の堆肥、化成
肥料または黒土のみを使用している試験区2〜7では、
芝草はピシウム属の芝草病原菌に著しく犯されて、その
生育状態が極めて悪く、そのほとんどが枯れた状態にな
っていることがわかる。また、上記表6における堆肥中
の細菌数の対比から、本発明の堆肥中には、有用なピシ
ウム属病原菌拮抗性の細菌が堆肥1g当たり108個以
上も含まれていることが理解される。
【0046】《参考例 1》実施例1および実施例2に
おいて、アラビノキシランを含有する堆肥の代わりに、
アラビノキシランを全く含有しない上記した市販堆肥A
を使用して、ストレプトミセス・ミシオネンシスの湿菌
吸着体の乾燥物またはストレプトミセス・フマナスの湿
菌吸着体の乾燥物を含む堆肥を各々製造した。これらの
堆肥を使用して、実施例5におけるのと同様にして、芝
草の生育試験を行ったところ、生育状態の平均点数は両
方とも2.8であり、それらの放線菌を含まない堆肥に
比べてピシウム属の芝草病原菌に対する拮抗性は優れて
いるものの、アラビノキシランを含有する堆肥を使用し
た場合に比べて、該拮抗性は劣っていた。このことか
ら、本発明の堆肥を製造するに当たっては、アラビノキ
シランを含有する堆肥を使用すると芝草病原菌に拮抗性
を有する放線菌の増殖が一層円滑に行われ、望ましいこ
とがわかる。
【0047】
【発明の効果】芝草病原菌、特に芝草の“赤焼病”や
“春はげ症”の原因であるピシウム・アファニデルマー
タム菌やピシウム・バンタプーリ等のピシウム属の芝草
病原菌に対して優れた拮抗性を有し、該病原菌を極めて
効果的に防除でき、特に赤焼病や春はげ症の予防に有効
である。また、本発明は薬剤によらないため、薬剤の散
布によって従来生じていたヒトや他の生物の体内への薬
剤の蓄積や残留、刺激臭、河川や地下水への薬剤の流入
や浸込み、生態系の破壊等の自然環境の破壊や汚染等の
問題がない。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (56)参考文献 特開 平4−164008(JP,A) 特開 平2−308788(JP,A) 特開 平2−101005(JP,A) 特開 昭62−234005(JP,A) 特開 昭58−185509(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) A01N 63/00 A01G 7/00 C05F 17/00

Claims (6)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 放線菌;ストレプトミセス・ヘイミ、ス
    トレプトミセス・フラベオラス、ストレプトミセス・ミ
    シオネンシスおよびストレプトミセス・フマナス、並び
    に細菌;シェワネラ・プトレファシエンスのうちの少な
    くとも1種の微生物を含むことを特徴とする芝草病原菌
    防除剤。
  2. 【請求項2】 芝草病原菌がピシウム属病原菌である請
    求項1の芝草病原菌防除剤。
  3. 【請求項3】 堆肥1g(乾物換算)当たり、108
    以上の請求項1の微生物を含む芝草用堆肥。
  4. 【請求項4】 アラビノキシランを含有する請求項3の
    芝草用堆肥。
  5. 【請求項5】 請求項1の微生物の少なくとも1種を吸
    着材に吸着させたものを堆肥または堆肥用原料に加える
    ことを特徴とする請求項3の芝草用堆肥の製造方法。
  6. 【請求項6】 堆肥中にアラビノキシランを含有する請
    求項5の製造方法。
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