JPH10150978A - 新規なムコール・ラセモサス菌およびトリコデルマ・コニンギー菌 - Google Patents

新規なムコール・ラセモサス菌およびトリコデルマ・コニンギー菌

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JPH10150978A
JPH10150978A JP8325914A JP32591496A JPH10150978A JP H10150978 A JPH10150978 A JP H10150978A JP 8325914 A JP8325914 A JP 8325914A JP 32591496 A JP32591496 A JP 32591496A JP H10150978 A JPH10150978 A JP H10150978A
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JP
Japan
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mucor
trichoderma
racemosas
rhizoctonia
compost
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JP8325914A
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English (en)
Inventor
Koji Murakami
浩二 村上
Akiko Kudou
亜希子 工藤
Takeshi Kanzaki
健 神前
Kenzo Okada
憲三 岡田
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Nisshin Seifun Group Inc
Original Assignee
Nisshin Seifun Group Inc
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 芝草などの植物の病原菌に対して良好な拮抗
性を有する、農薬などを用いない、微生物資材、植物病
原菌防除材および堆肥の提供。 【解決手段】 リゾクトニア属の植物病原菌に対して拮
抗性を有する本発明の新規なムコール・ラセモサス菌、
およびリゾクトニア属の植物病原菌に対して拮抗性を有
する本発明の新規なトリコデルマ・コニンギー菌、並び
にそれらの菌の少なくとも一方を含む本発明の植物病原
菌防除剤および堆肥は、リゾクトニア属の植物病原菌、
特にリゾクトニア・ソラニーに対して高い拮抗性を有し
ており、それらの菌を用いることによりリゾクトニア属
の病原菌によって引き起こされる芝草などの植物の病害
を効果的に防除できる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、新規なムコール・
ラセモサス菌およびトリコデルマ・コニンギー菌、前記
の菌の少なくとも一方を含有する植物病原菌防除材およ
び堆肥に関するものである。本発明の新規な菌、それを
含む植物病原菌および堆肥は、リゾクトニア属の植物病
原菌、特にリゾクトニア・ソラニーに対して高い拮抗性
を有しており、その防除に有効である。
【0002】
【従来の技術】我が国は高温多湿な気候であるために、
各種の芝草病原菌の繁殖に最適な条件が備わっていると
言われており、ゴルフ場などの各所の芝草は、種々の芝
草病原菌によって大きな被害を被っている。芝草に発生
する病害としては、リゾクトニア・ソラニー(Rizocton
ia solani)などのリゾクトニア属の病原菌によって発
生するブラウンパッチ病やラージパッチ病、スクレロテ
ィニア・ホモエオカルパ(Sclerotinia homoeocarpa
などのスクレロティニア属の病原菌によって発生するダ
ラースポット病、、ピシウム・アファニデルマータム
Pythium aphanidermatum)によって発生する赤焼け
病、ピシウム・バンタプーリ(Pythium vanterpooli
によって発生する春はげ病、カーブラリア属(Curvular
ia spp)の病原菌によって発生する犬の足跡病、ゴイマ
ノマイセス・グラミニス(Gaeumannomyces graminis
などのゴイマノマイセス属の病原菌によって発生するテ
イクオールパッチ病、コレトトリカム・グラミニコーラ
Colletotrichum graminicola)などのコレトトリカム
属の病原菌によって発生する炭そ病などの種々ものが挙
げられる。そのうちでも、リゾクトニア・ソラニーで代
表されるリゾクトニア属の病原菌によって発生するラー
ジパッチ病は、芝草の病害としては最も多発し、芝草の
萎縮、褐変化、枯死を引き起こす病害であり、芝草の生
育に著しい悪影響を及ぼす。
【0003】芝草などの植物の病原菌防除対策として
は、従来、薬剤を散布する方法、病原菌に対して抵抗性
のある植物品種を選んで植える方法等が行われており、
特に薬剤散布が汎用されてきた。しかしながら、薬剤を
散布する方法は、ヒトや他の生物の体内への薬剤の蓄積
や残留、刺激臭、河川や地下水への薬剤の流入や浸込
み、生態系の破壊等の自然環境の破壊や汚染等を生じて
おり、大きな社会問題になっている。しかも、リゾクト
ニア・ソラニーによって、高麗芝や野芝などのフェアウ
ェイ、ラフ、ティーグランドなどに発生するラージパッ
チ病は、他の病気に比べて罹病面積が広く、大量の殺菌
剤を投与する必要があるのが現状である。また、病原菌
に抵抗性のある植物品種を選んで生育させる方法では、
生育させる植物の品種が限定されてしまい、しかも生育
環境や土壌が必ずしもその品種に適合しない場合が多々
あるので問題が多い。
【0004】
【発明の内容】上記のような状況下に、本発明者らは、
薬剤によって植物の病原菌を防除する代わりに、芝草な
どの植物の病原菌に対して拮抗性を有する微生物によっ
て病原菌を防除するのが適当であるとの観点に立って、
植物、特に芝草の病原菌に対して拮抗性を有する有用微
生物を長年に亙って探求してきた。そして、極めて多数
の菌類や細菌類について、その拮抗性の有無をスクリー
ニングする作業を繰り返したところ、ストレプトミセス
・ヘイミ(Streptomyces heimi)、ストレプトミセス・
フラベオラス(Streptomyces flaveolus)、ストレプト
ミセス・ミシオネンシス(Streptomyces misionensi
s)、ストレプトミセス・フマナス(Streptomyces fuma
nus)などのストレプトミセス属の放線菌、並びに細菌
であるシェワネラ・プトレファシエンス(Shewanella p
utrefaciens)が、特に、赤焼け病をもたらすピシウム
・アファニデルマータム(Pythium aphanidermatum)、
春はげ病をもたらすピシウム・バンタプーリ(Pythium
vanterpooli)などのピシウム属の芝草病原菌に対して
高い拮抗性を有していて、それらの芝草の病気を効果的
に防除できることを見出して先に出願した(特開平6−
107512号公報)。さらに、本発明者らは、ストレ
プトミセス・アルブラス菌に属する新しい菌株が、スク
レロティニア属、リゾクトニア属、ピシウム属、カーブ
ラリア属、ゴイマノマイセス属、コレトトリカム属の芝
草などの植物病原菌に対して高い拮抗性を有することを
見出して先に出願した(特開平8−242846号公
報)。
【0005】そして、本発明者らが芝草病原菌に対して
拮抗性を有する微生物について更に研究を続けたとこ
ろ、ムコール属のカビ、特にある種のムコール・ラセモ
サスが、芝草の病害としてその発生率の最も高いブラウ
ンパッチ病やラージパッチ病の原因菌であるリゾクトニ
ア属の病原菌に対して高い拮抗性を有すること、そのた
めリゾクトニア属の病原菌の防除に有効であることが判
明した。さらに、本発明者らは、トリコデルマ属のカ
ビ、特にある種のトリコデルマ・コニンギーも、上記特
定のムコール・ラセモサスと同様に、リゾクトニア属の
病原菌に対して高い拮抗性を有し、リゾクトニア属の病
原菌によってもたらされるブラウンパッチ病やラージパ
ッチ病などの防除に有効であることを見出した。
【0006】そこで、リゾクトニア属の病原菌に対して
拮抗性を有するムコール・ラセモサスを合成ムコール寒
天培地(ブドウ糖40重量部、アスパラギン2重量部、
リン酸第2カリウム0.5重量部、硫酸マグネシウム
0.25重量部、チアミン塩酸塩0.005重量部、寒
天15重量部および蒸留水1000重量部より調製)を
用いて選択的に培養して、その特性などについて更に詳
細に検討を重ねたところ、培養したムコール・ラセモサ
スのうちに、リゾクトニア・ソラニー菌に対して特に高
い拮抗性を有する菌株が存在することを見出した。そし
て、リゾクトニア・ソラニー菌に対して高い拮抗性を有
する上記したムコール・ラセモサスの菌株について、そ
の菌学的特性を詳細に調べた。その結果、リゾクトニア
・ソラニー菌に対して高い拮抗性を有する該ムコール・
ラセモサスの菌株は、従来既知のムコール・ラセモサス
とその性状の異なった点があることが判明した。例え
ば、K.H.Domsch,W.Grams and Traute−Heid
i Anderson:“Compendium of Soil Fungi”(199
3)IHW−Verlag などに記載されている従来既知の
ムコール・ラセモサスは、胞子のう枝幅が14〜17u
m、胞子のう幅が80〜90um、胞子のう胞子の大き
さが(5.5〜10um)×(4〜7um)であるのに
対して、リゾクトニア・ソラニー菌に対して高い拮抗性
を有する上記したムコール・ラセモサスの菌株では、胞
子のう枝幅が8〜11um、胞子のう幅が45〜80u
m、胞子のう胞子の大きさが(4〜8um)×(3〜5
um)であって、その性状が異なっていた。よって、か
かる点から、本発明者らの見出したリゾクトニア・ソラ
ニー菌に対して高い拮抗性を有する上記したムコール・
ラセモサスの菌株は、従来のムコール・ラセモサスとは
異なる新規な菌種であることが判明した。
【0007】また、本発明者らは、リゾクトニア属の病
原菌に対して拮抗性を有するトリコデルマ・コニンギー
を2%麦芽エキスを含有する寒天平板培地(麦芽エキス
20重量部、寒天20重量部および蒸留水1000重量
部により調製)を用いて選択的に培養して、その特性な
どについて更に詳細に検討を重ねたところ、培養したト
リコデルマ・コニンギーのうちに、リゾクトニア・ソラ
ニー菌に対して特に高い拮抗性を有する菌株が存在する
ことを見出した。そして、リゾクトニア・ソラニー菌に
対して高い拮抗性を有するそのトリコデルマ・コニンギ
ーの菌株について、その菌学的特性を詳細に調べた。そ
の結果、リゾクトニア・ソラニー菌に対して高い拮抗性
を有する該トリコデルマ・コニンギーの菌株は、従来既
知のトリコデルマ・コニンギーと性状の異なった点があ
ることが判明した。例えば、渡辺 恒雄 著、ソフトサイ
エンス社発行の「土壌糸状菌−培養株の検索と形態−」
などに記載されている従来既知のトリコデルマ・コニン
ギーでは、フィアライドの大きさが(7.2〜12.2
um)×(2.1〜2.7um)、分生胞子の大きさが
(3〜4.5um)×(2.4〜3um)であるのに対
して、リゾクトニア・ソラニー菌に対して高い拮抗性を
有する上記したトリコデルマ・コニンギーの菌株では、
フィアライドの大きさが(5〜12um)×(3〜4u
m)、分生胞子の大きさが(4〜6um)×(2〜3u
m)であり、その性状が異なっていた。したがって、か
かる点から、本発明者らが見出した、リゾクトニア・ソ
ラニー菌に対して高い拮抗性を有する上記したトリコデ
ルマ・コニンギーの菌株は、従来のトリコデルマ・コニ
ンギーとは異なる新規な菌種であることが判明した。
【0008】そして、本発明者らは、上記の新規なムコ
ール・ラセモサスおよび/またはトリコデルマ・コニン
ギーを植物病原菌防除材として用いるとリゾクトニア・
ソラニーなどのリゾクトニア属の病原菌によってもたら
される植物の病害を防除できること、さらに該新規なム
コール・ラセモサスおよび/またはトリコデルマ・コニ
ンギーを含有する堆肥はリゾクトニア属の病原菌によっ
て引き起こされる病害を防除しながら芝草などの植物を
良好に生育させ得ることを見出し、それらの知見に基づ
いて本発明を完成した。
【0009】すなわち、本発明は、リゾクトニア属の植
物病原菌に対して拮抗性を有するムコール・ラセモサス
である。
【0010】更に、本発明者は、リゾクトニア属の植物
病原菌、特にリゾクトニア・ソラニーに対して高い拮抗
性を有する上記した新規なムコール・ラセモサスの菌株
を、ムコール・ラセモサスNSB−59(Mucor
racemosus NSB−59)と命名し、工業技
術院生命工学工業技術研究所にFERM P−1593
8として寄託した。したがって、本発明は、その具体的
な態様として新規なムコール・ラセモサスNSB−59
Mucor racemosus NSB−59;FE
RM P−15938)を包含する。
【0011】そして、本発明は、リゾクトニア属の植物
病原菌に対して拮抗性を有するトリコデルマ・コニンギ
ーである。
【0012】更に、本発明者は、リゾクトニア属の植物
病原菌、特にリゾクトニア・ソラニーに対して高い拮抗
性を有する上記した新規なトリコデルマ・コニンギーの
菌株を、トリコデルマ・コニンギーNSA−47(Tr
ichoderma koningii NSA−4
7)と命名し、工業技術院生命工学工業技術研究所にF
ERM P−15937として寄託した。したがって、
本発明は、その具体的な態様として新規なトリコデルマ
・コニンギーNSA−47(Trichoderma
koningii NSA−47;FERM P−15
937)を包含する。
【0013】そして、本発明は、上記したリゾクトニア
属の病原菌に対して拮抗性を有する新規なムコール・ラ
セモサス、特にムコール・ラセモサスNSB−59(
ucor racemosus NSB−59;FERM
P−15938)、およびリゾクトニア属の病原菌に
対して拮抗性を有する新規なトリコデルマ・コニンギ
ー、特にトリコデルマ・コニンギーNSA−47(Tr
ichoderma koningii NSA−4
7;FERM P−15937)のうちの少なくとも1
種を含むことを特徴とする植物病原菌防除材である。
【0014】さらに、本発明は、上記したリゾクトニア
属の病原菌に対して拮抗性を有する新規なムコール・ラ
セモサス、特にムコール・ラセモサスNSB−59(
ucor racemosus NSB−59;FERM
P−15938)、およびリゾクトニア属の病原菌に
対して拮抗性を有する新規なトリコデルマ・コニンギ
ー、特にトリコデルマ・コニンギーNSA−47(Tr
ichoderma koningii NSA−4
7;FERM P−15937)のうちの少なくとも1
種を含むことを特徴とする堆肥である。
【0015】
【発明の実施の形態】以下に本発明について詳細に説明
する。上記したように合成ムコール寒天培地を使用して
選択的に培養して得られた新規な菌株であるムコール・
ラセモサスNSB−59(Mucor racemos
us NSB−59)(以下「ムコール・ラセモサスN
SB−59」という)の、(a)培養的・形態的性質、
および(b)ムコール・ラセモサスNSB−59が新種
の菌であると決定された特徴は、次のとおりである。
【0016】(a)ムコール・ラセモサスNSB−59
の培養的・形態的性質:ムコール・ラセモサスNSB−
59を上記した合成ムコール寒天培地を用いて20℃で
3日間培養して、その培養的・形態的性質を調べたとこ
ろ、下記の表1に示すとおりであった。
【0017】
【表1】 ムコール・ラセモサスNSB−59の培養的・形態的性質 生育速度(20℃、3日間) 50〜54mm コロニー表面の色調 黄白色〜くすんだ灰色 コロニー裏面の色調 黄白色〜くすんだ灰色 コロニーの組織 綿状 水溶性色素 − 胞子のう柄 平滑、仮枝分岐、幅8〜11um 柱 頭 平滑、球形〜亜球形〜倒卵形 胞子のう 茶褐色〜黄褐色、表面は細かいトゲ状、 球形〜亜球形、幅45〜80um 胞子のう胞子 暗色、平滑、楕円形、 大きさ(4〜8um)×(3〜5um) 膜厚胞子 + 生育温度 20℃ + 25℃ + 37℃ 微弱
【0018】(b)ムコール・ラセモサスNSB−59
が新種の菌であると決定された特徴:上記の表1に示し
たムコール・ラセモサスNSB−59の培養的・形態的
性質は、全体的に見た場合には、K.H.Domsch,
W.Grams and Traute−Heidi Anderson:“Compe
ndium of Soil Fungi”(1993)IHW−Verlag、
M.A.A.Schipper:“Studies in Mycology No.
12”(1976)Centraal bureau Voor Schimmelcultu
res、M.A.A.Schipper:“Studies in Mycology
No.17”(1978)Centraal bureau Voor Schimme
lculturesなどの文献に記載されている従来既知のムコ
ール・ラセモサスの有する培養的・形態的性質に近似し
ており、かかる点から、ムコール・ラセモサスに属する
菌体であることが判明した。しかしながら、前述したよ
うに、ムコール・ラセモサスNSB−59は、上記の表
1に示すように、その胞子のう枝幅が8〜11um、胞
子のう幅が45〜80um、胞子のう胞子の大きさが
(4〜8um)×(3〜5um)であって、文献など
に記載されている従来既知のムコール・ラセモサスの性
状[胞子のう枝幅14〜17um、胞子のう幅80〜9
0um、胞子のう胞子の大きさ(5.5〜10um)×
(4〜7um)]と異なっており、そのことから新規な
菌株であることが判明した。この新規なムコール・ラセ
モサスNSB−59は、静岡県内のゴルフ場の芝生土壌
より分離した。
【0019】また、上記した2%麦芽エキス寒天平板培
地を使用して選択的に培養して得られた新規な菌株であ
るトリコデルマ・コニンギーNSA−47(Trich
oderma koningii NSA−47)(以
下「トリコデルマ・コニンギーNSA−47」という)
の、(a)培養的・形態的性質、および(b)トリコデ
ルマ・コニンギーNSA−47が新種の菌であると決定
された特徴は、次のとおりである。
【0020】(a)トリコデルマ・コニンギーNSA−
47の培養的・形態的性質:トリコデルマ・コニンギー
NSA−47を上記した2%麦芽エキス寒天平板培地を
用いて20℃で3日間培養して、その培養的・形態的性
質を調べたところ、下記の表2に示すとおりであった。
【0021】
【表2】 トリコデルマ・コニンギーNSA−47の培養的・形態的性質 生育速度(20℃、3日間) 49〜52mm 分生子形成態の色調 緑 色 水溶性色素 − 分生子柄 平滑、規則的に分岐し、分生子柄先端は 不稔にならない。 フィアライド 偽輪生し、無色、平滑で、中心部の幅が 広いものと細長いものがある。 大きさ(5〜12um)×(3〜4um) 分生胞子 緑色、平滑、長楕円形、粘塊状、 大きさ(4〜6um)×(2〜3um)
【0022】(b)トリコデルマ・コニンギーNSA−
47が新種の菌であると決定された特徴:上記の表2に
示したトリコデルマ・コニンギーNSA−47の培養的
・形態的性質は、全体的に見た場合には、K.H.D
omsch,W.Grams and Traute−Heidi Anderson:
“Compendium of Soil Fungi”(1993)IHW−Ve
rlag、J.Bissett:Can. J.Bot.,69,2357(1
991)、M.A.Rifai:Mycological papers,116,
1(1996)、奥田徹:「防菌防黴」20,157(1992)、
渡辺 恒雄 著、ソフトサイエンス社発行の「土壌糸状
菌−培養株の検索と形態−」などの文献に記載されてい
る従来既知のトリコデルマ・コニンギーの有する培養的
・形態的性質に近似しており、かかる点から、トリコデ
ルマ・コニンギーに属する菌体であることが判明した。
しかしながら、前述のように、トリコデルマ・コニンギ
ーNSA−47は、上記の表2に示すように、フィアラ
イドの大きさが(5〜12um)×(3〜4um)、分
生胞子の大きさが(4〜6um)×(2〜3um)であ
って、従来既知のトリコデルマ・コニンギーの性状[例
えば上記の文献などに記載されている従来既知のトリ
コデルマ・コニンギーではフィアライドの大きさが
(7.2〜12.2um)×(2.1〜2.7um)、
分生胞子の大きさが(3〜4.5um)×(2.4〜3
um)]と異なっており、そのことから新規な菌株であ
ることが判明した。この新規なトリコデルマ・コニンギ
ーNSA−47は、栃木県内のゴルフ場の芝生土壌より
分離した。
【0023】本発明の新規なムコール・ラセモサスの培
養は、従来既知のムコール・ラセモサスの培養に通常使
用されている培地(例えば2%麦芽エキス培地、合成ム
コール培地、ポテトデキスロース培地などの液体培地)
を使用して常法にしたがって行えばよく、特にPDA培
地(ポテトデキストロースアガー培地)(Difco社
製のものなど)を用いると増殖が活発に行われるので望
ましい。このPDA培地は、カビの培養の際に、一般に
pH無調整で用いることができる。また、本発明の新規
なトリコデルマ・コニンギーの培養に当たっても、上記
のムコール・ラセモサスの培養と同様に、例えばPDA
培養などが好ましく用いられる。
【0024】そして、上記した新規なムコール・ラセモ
サスおよび/またはトリコデルマ・コニンギーの培養に
当たっては、滅菌した培地に、該新規なムコール・ラセ
モサスおよびトリコデルマ・コニンギーの少なくとも一
方を接種して、約20〜28℃の温度で2〜4日程度培
養することによって増殖させることができる。何ら限定
されるものではないが、例えば、PDブロース(Dif
co社製)を用いて、28℃の温度にコントロールしな
がらジャーファーメンターなどを用いて好気的状態で培
養すると、3日間で該新規なムコール・ラセモサスおよ
び/またはトリコデルマ・コニンギーの菌数が103
105CFU/gにまで増殖する。なお、本明細書でい
うCFUとはコロニーフォーミングユニット(Colo
ny Forming Units)の略で、培地上でカ
ウントできる菌数を示す。
【0025】本発明の新規なムコール・ラセモサスおよ
び/またはトリコデルマ・コニンギーを含む防除材また
は堆肥を用いて芝草などの植物の病原菌を防除するに当
たっては、該ムコール・ラセモサスおよび/またはトリ
コデルマ・コニンギーを培養して増殖させてから植物に
施す、すなわち防除材や堆肥などに含まれる該ムコール
・ラセモサスおよび/またはトリコデルマ・コニンギー
菌の数を増殖しておいてから植物に施すと、植物病原菌
を効果的に防除することができる。限定されるものでは
ないが、一般に、植物病原菌防除材または堆肥1g当た
り該新規なムコール・ラセモサスおよび/またはトリコ
デルマ・コニンギーが約1×102CFU以上(両方の
菌を含む場合はその合計)含まれるものを使用するとそ
の防除効果が良好に発揮される。
【0026】上記により増殖させた新規なムコール・ラ
セモサスおよび/またはトリコデルマ・コニンギーを植
物病原菌の防除材として用いるに当たっては、 (i) 増殖させた該新規なムコール・ラセモサスおよ
び/またはトリコデルマ・コニンギーを集菌せずにその
まま液体培地ごと防除材として用いて植物に直接施した
りまたは植物生育用土壌に施す方法; (ii) 遠心分離やその他の適当な方法により前記で増
殖させた該新規なムコール・ラセモサスおよび/または
トリコデルマ・コニンギーを集菌し、必要に応じて純水
等で洗浄して、湿菌体を回収しその湿菌体を芝草などの
植物に施して病原菌の防除材として使用する方法; (iii) 増殖させた該新規なムコール・ラセモサスお
よび/またはトリコデルマ・コニンギーを集菌せずにま
たは集菌してから、滅菌した固体培地に接種して一定期
間固体培養した後に、それを芝草などの植物に施して病
原菌の防除を行う方法; (iv) 増殖させた該新規なムコール・ラセモサスおよ
び/またはトリコデルマ・コニンギーを集菌せずにまた
は集菌してから、或いは上記(iii)の方法で固体培養
してから、吸着材に吸着させて防除材を形成し、それを
芝草などの植物に施す方法; (v) 増殖させた該新規なムコール・ラセモサスおよ
び/またはトリコデルマ・コニンギーを(半)乾燥固形
物にし、それを芝草などの植物に施す方法;などを採用
することができる。
【0027】そして、上記(i)の方法を採用する場合
は、培養液中に含まれる培地成分や培養によって生成し
た二次代謝産物が植物に影響を与えることがあるので、
水で100〜1000倍程度に希釈して植物に散布など
によって施すのが好ましい。また、場合によっては培養
後に菌糸塊になることがあるのでホモジナイズすること
が好ましい。そして、上記(ii)の方法による場合は培
地や二次代謝産物による植物への影響は防止できるが、
そのままでは植物に均一に施すことが困難であるので、
回収した該湿菌体を水でやはり100〜1000倍程度
に希釈して植物に散布などによって施すことが好まし
い。
【0028】そして、液体培養した該新規なムコール・
ラセモサスおよび/またはトリコデルマ・コニンギーを
植物に散布などにより施す上記(i)および(ii)の方
法を採用する場合は、通常、散布後1週間程度で土壌中
の該ムコール・ラセモサスおよび/またはトリコデルマ
・コニンギーの菌数が土壌1g当たり約102〜105
FU程度にまで増殖する。また、上記(iii)の方法を
行うに場合は、その固体培養は、固体培地として例えば
滅菌処理した堆肥などを用いて、20〜30℃程度の温
度で、約3〜7日間培養を行って、それを土壌に施すよ
うにするとよい。
【0029】そして、吸着材を用いる上記した(iv)の
方法による場合は、該新規なムコール・ラセモサスおよ
び/またはトリコデルマ・コニンギーを土壌中で一層良
好に定着させて増殖させることができるので好ましい。
吸着材としては、微生物を物理的または化学的に吸着で
きるものであればよく、例えばバーミキュライト、ゼオ
ライトのような吸着性鉱物材料(特に粉状物や粒状
物)、木炭や活性炭等の炭類、化学合成された多孔質ポ
リマー等を使用することができる。該ムコール・ラセモ
サスおよび/またはトリコデルマ・コニンギー菌の吸着
材への吸着方法としては、湿菌体を集菌してからまたは
集菌せずにそのまま吸着材と混合する方法、湿菌体を約
1〜5倍量の水に分散させて吸着材と混合する方法、湿
菌体を固体培養してから水に分散させて吸着材と混合す
る方法等を採用することができる。該ムコール・ラセモ
サスおよび/またはトリコデルマ・コニンギー菌と吸着
材との割合は特に限定されないが、通常、該ムコール・
ラセモサスおよび/またはトリコデルマ・コニンギーの
湿菌体を用いる場合は、湿菌体1重量部に対して、吸着
材約1〜3重量部としておくのがよい。
【0030】上記により得られる吸着材に吸着させたム
コール・ラセモサスおよび/またはトリコデルマ・コニ
ンギー菌は、そのままの状態で芝草に施してもよく、ま
た水分含量が多い場合は約5〜30重量%の水分含量に
なるまで半乾燥して、該半乾燥状態で芝草に施したり、
または保存してもよい。半乾燥処理を行う場合は、菌の
生育に悪影響を与えない温度下で行う必要があり、通
常、品温が50℃を越えないようにして乾燥するのがよ
い。
【0031】本発明の新規なムコール・ラセモサスおよ
び/またはトリコデルマ・コニンギー菌などのような糸
状菌の場合は、液体培養後にそのまま植物に散布しても
その定着性が良好な場合が多いが、(半)乾燥固体状に
しておくと、ゴルフ場などへの散布が容易に行える。
【0032】更に、上記で調製したムコール・ラセモサ
スおよび/またはトリコデルマ・コニンギー菌の吸着体
を、直接そのまま芝草などの植物に施す代わりに、堆肥
や他の成分に添加して芝草などの植物に施してもよい。
特に、芝草用の堆肥に添加した場合には、肥料効果と上
記したリゾクトニア属の芝草病原菌、特にリゾクトニア
・ソラニーに対し高い拮抗性を有する堆肥を得ることが
できる。ムコール・ラセモサスおよび/またはトリコデ
ルマ・コニンギー菌の吸着体は、製造の完了した堆肥に
加えても、または堆肥用の原料に加えて堆肥の製造と同
時に該新規なムコール・ラセモサスおよび/またはトリ
コデルマ・コニンギーの増殖を行わせてもよい。
【0033】該新規なムコール・ラセモサスおよび/ま
たはトリコデルマ・コニンギー菌の吸着体を堆肥原料中
に加える場合は、堆肥の重量(乾物換算)に基づいて、
ムコール・ラセモサスおよび/またはトリコデルマ・コ
ニンギー菌の吸着体の割合が、乾物換算で、約10〜6
0%、特に20〜40%程度になるようにするのがよ
い。10%よりも少ないと、堆肥中に含まれる芝草病原
菌拮抗性の該新規なムコール・ラセモサスおよび/また
はトリコデルマ・コニンギーの割合が少なくなり、芝草
病原菌に対する防除効果を発揮しにくい。そして、堆肥
中には、該新規なムコール・ラセモサスおよび/または
トリコデルマ・コニンギーが、堆肥1g当たり(乾物換
算)、約102CFU以上(両方の菌を含む場合はその
合計量)の割合で含まれるようにするのがよい。
【0034】上記した新規なムコール・ラセモサスおよ
び/またはトリコデルマ・コニンギーを含む本発明の堆
肥は、芝草などの植物用の堆肥を製造するのに通常採用
されている方法および条件を採用して製造することがで
きる。発酵させる前の堆肥用原料に上記したムコール・
ラセモサスおよび/またはトリコデルマ・コニンギー菌
の吸着体を添加して、堆肥の発酵と該新規なムコール・
ラセモサスおよび/またはトリコデルマ・コニンギーの
増殖を同時に行ってもよい。しかしながら、発酵により
堆肥を予め製造しておき、発酵後の堆肥に上記したムコ
ール・ラセモサスおよび/またはトリコデルマ・コニン
ギー菌の吸着体を加えて、水分含量を約20〜60%、
特に30〜50%に調節し、品温が50℃を超えないよ
うにして、約1〜7日間そのまま放置するか、または時
々撹拌して、堆肥中で該ムコール・ラセモサスおよび/
またはトリコデルマ・コニンギーを増殖させた場合に
も、植物の病原菌に対して拮抗性を有するムコール・ラ
セモサスおよび/またはトリコデルマ・コニンギーを多
量に含む本発明の堆肥を得ることができる。特に、本出
願人の出願にかかる特開平6−327356号公報に記
載しているように、堆肥として小麦フスマなどのアラビ
ノキシラン含有量が5重量%以上で有機質物質をベース
としてなる堆肥を用い、これに必要に応じてフミン酸、
多孔質および/または吸着性の無機物質を加えて、それ
に上記した新規なストレプトミセス・アルブラスを含有
させると、植物病原菌に対する防除効果の極めて高い堆
肥を得ることができる。
【0035】本発明の新規なムコール・ラセモサスおよ
びトリコデルマ・コニンギーの菌株、特にムコール・ラ
セモサスNSB−59およびトリコデルマ・コニンギー
NSA−47は、リゾクトニア属の植物病原菌、特にリ
ゾクトニア・ソラニーに対して良好な拮抗性を有してお
り、リゾクトニア属の病原菌によって発生する芝草のラ
ージパッチ病やブラウンパッチ病の防除を効果的に行う
ことができる。そのため、本発明の新規なムコール・ラ
セモサスおよび/またはトリコデルマ・コニンギー、特
にムコール・ラセモサスNSB−59および/またはト
リコデルマ・コニンギーNSA−47を含む資材は、芝
草などの植物の防除材として有効である。また、該菌体
を含む堆肥は芝草などの植物の生育と共に上記した病原
菌の防除を同時に行うことができる堆肥として有効であ
る。
【0036】本発明による植物病原菌の防除は、芝草に
対して特に有効であり、コウライシバ、ノシバ、ベント
グラス、ペレニアルライグラス、バミューダブルーグラ
ス等の芝草に対して行った場合には、リゾクトニア属の
芝草病原菌、特にリゾクトニア・ソラニーに対して拮抗
性を有し、リゾクトニア属の芝草病原菌を効果的に防除
してラージパッチ病の防除を行うことができる。該新規
なムコール・ラセモサスおよび/またはトリコデルマ・
コニンギーを含む本発明の堆肥を芝草に施す場合は、そ
の施肥量を通常芝草1m当たり、約50〜500g程
度にするのがよく、散布やその他の方法によって芝草に
施すことができる。また、該新規なムコール・ラセモサ
スおよび/またはトリコデルマ・コニンギーを、他の堆
肥および/または化成肥料と混合し、それを5〜500
g/m2の散布量になるようにして芝草に散布してもよ
い。その際の混合比は適当でよいが、該菌体の散布量が
5〜50g/m2程度になるようにして混合するのが好
ましい。さらに、本発明の植物病原菌防除材は、芝草だ
けではなく、他の植物におけるリゾクトニア属の病原菌
に基づく病害の防除にも有効に用いることができる。
【0037】
【実施例】以下に実施例などにより本発明について具体
的に説明するが、本発明はそれにより何ら限定されな
い。
【0038】《実施例1》[対峙培養法による芝草病原
菌に対する拮抗性試験] (1) PDA培地(ポテト・デキストロース・アガー
培地)にムコール・ラセモサスNSB−59の菌体を1
白金耳接種した後、28℃で3日間培養して増殖させ
た。 (2) また、上記(1)とは別に、PDA培地にトリ
コデルマ・コニンギーNSA−47の菌体を1白金耳接
種した後、28℃で3日間培養して増殖させた。 (3) また。PDA培地を予め121℃で20分間滅
菌処理した後、直径9cmの滅菌シャーレ中に入れて固
めたものを2個準備した。
【0039】(4) 上記(3)で準備したシャーレの
うちの1個の培地上に、その円周から1cm内側の位置
に、上記(1)で増殖させたムコール・ラセモサスNS
B−59を滅菌した直径5mmのコルクボーラーで打ち
抜いて接種した。そして、ムコール・ラセモサスNSB
−59を接種した位置と対称の位置に、別のPDA培地
で培養したリゾクトニア・ソラニーのプレートを滅菌し
た直径5mmのコルクボーラで打ち抜いて接種し、28
℃で1週間対峙培養して、リゾクトニア・ソラニーに対
するムコール・ラセモサスNSB−59の拮抗性を下記
の表3に示す評価基準にしたがって点数評価したとこ
ろ、下記の表4に示すとおりの結果であった。
【0040】(5) また、上記(3)で準備したシャ
ーレの残の1個の培地上に、その円周から1cm内側の
位置に、上記(2)で増殖させたトリコデルマ・コニン
ギーNSA−47を滅菌した直径5mmのコルクボーラ
ーで打ち抜いて接種した。そして、トリコデルマ・コニ
ンギーNSA−47を接種した位置と対称の位置に、別
のPDA培地で培養したリゾクトニア・ソラニーのプレ
ートを滅菌した直径5mmのコルクボーラで打ち抜いて
接種し、28℃で1週間対峙培養して、リゾクトニア・
ソラニーに対するトリコデルマ・コニンギーNSA−4
7の拮抗性を下記の表3に示す評価基準にしたがって点
数評価したところ、下記の表4に示すとおりの結果であ
った。
【0041】
【表3】 リゾクトニア・ソラニー病原菌に対する拮抗性の評価基準 5点:リゾクトニア・ソラニーの生育面積が2cm2未満であり、極めて高い 生育抑制作用を示している。 4点:リゾクトニア・ソラニーの生育面積が2cm2以上3cm2未満であり、 高い生育抑制作用を示している。 3点:リゾクトニア・ソラニーの生育面積が3cm2以上5cm2未満であり、 ほぼ高い生育抑制作用を示している。 2点:リゾクトニア・ソラニーの生育面積が5cm2以上40cm2未満であり、 リゾクトニア・ソラニーに対する生育抑制作用が小さく、接種した両方 の菌が棲み分けている。 1点:リゾクトニア・ソラニーの生育面積が40cm2以上であり、リゾクトニ ア・ソラニーに対して何ら生育抑制作用を示さない。 [阻止円の面積の測定方法]透明なシートに5mm間隔
のマス目をひき、これをシャーレ上にかぶせて阻止円中
のマス目を数えて面積を計算した(1マス=0.25c
2)。
【0042】
【表4】 リゾクトニア・ソラニーに対する拮抗性試験の結果 ムコール・ラセモサスNSB−59 5点 トリコデルマ・コニンギーNSA−47 5点
【0043】上記表4の結果から、ムコール・ラセモサ
スNSB−59およびトリコデルマ・コニンギーNSA
−47は、いずれも芝草病原菌であるリゾクトニア・ソ
ラニーに対して極めた高い拮抗性を有しており、リゾク
トニア・ソラニーの防除に極めて有効であることがわか
る。
【0044】
【発明の効果】リゾクトニア属の病原菌に対して高い拮
抗性を有する本発明の新規なムコール・ラセモサス、お
よびリゾクトニア属の病原菌に対して高い拮抗性を有す
る本発明の新規なトリコデルマ・コニンギー、それらの
菌の少なくとも一方を含む本発明の植物病原菌の防除材
および堆肥は、リゾクトニア属の病原菌、特にリゾクト
ニア・ソラニーによって発生する植物の病害、特に芝草
におけるラージパッチ病やブラウンパッチ病気の防除に
有効に使用することができる。そして、本発明による場
合は、農薬などの薬剤を用いないので、薬剤の散布によ
って従来生じていたヒトや他の生物の体内への薬剤の蓄
積や残留、河川や地下水、土壌の薬剤による汚染、それ
に伴う生態系の破壊、自然環境の破壊や低下をもたらさ
ない。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 FI C12R 1:785) (C12N 1/14 C12R 1:885) (72)発明者 岡田 憲三 茨城県つくば市大久保13番地 日清製粉株 式会社つくば研究所内

Claims (8)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 リゾクトニア属の植物病原菌に対して拮
    抗性を有するムコール・ラセモサス。
  2. 【請求項2】 リゾクトニア・ソラニーに対して特に高
    い拮抗性を有する請求項1のムコール・ラセモサス。
  3. 【請求項3】 ムコール・ラセモサスNSB−59(F
    ERM P−15938)。
  4. 【請求項4】 リゾクトニア属の植物病原菌に対して拮
    抗性を有するトリコデルマ・コニンギー。
  5. 【請求項5】 リゾクトニア・ソラニーに対して特に高
    い拮抗性を有する請求項4のトリコデルマ・コニンギ
    ー。
  6. 【請求項6】 トリコデルマ・コニンギーNSA−47
    (FERM P−15937)。
  7. 【請求項7】 請求項1〜3のいずれか1項のムコール
    ・ラセモサスおよび請求項4〜6のいずれか1項のトリ
    コデルマ・コニンギーのうちの少なくとも1種を含むこ
    とを特徴とする植物病原菌防除材。
  8. 【請求項8】 請求項1〜3のいずれか1項のムコール
    ・ラセモサスおよび請求項4〜6のいずれか1項のトリ
    コデルマ・コニンギーのうちの少なくとも1種を含むこ
    とを特徴とする堆肥。
JP8325914A 1996-11-22 1996-11-22 新規なムコール・ラセモサス菌およびトリコデルマ・コニンギー菌 Pending JPH10150978A (ja)

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