JP4676180B2 - フザリウム汚染土壌殺菌用組成物及び該土壌の殺菌方法 - Google Patents

フザリウム汚染土壌殺菌用組成物及び該土壌の殺菌方法 Download PDF

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本発明は、フザリウム汚染土壌殺菌用組成物及び該土壌の殺菌方法に関する。
従来、フザリウム汚染土壌の殺菌方法としては種々のものが知られているが、以下に記載するように何らかの問題点を有する。
例えば、クロルピクリン剤や臭化メチル等の土壌殺菌剤を用いて土壌を薫蒸消毒する化学的方法が提案されている(非特許文献1)。しかしながら、毒性が極めて高く作業者及び周辺住民の健康を害する危険性があり、さらに、消毒された土壌では有益な微生物層も破壊されるため、新たな病原菌の侵入に対する緩衝力が低下し、より大きな被害が引き起こされる危険性がある。
また、非宿主作物との輪作等の生態学的方法が提案されているが(非特許文献2)、集約的な農業体制では、経済的に見合う輪作作物の選択は困難である。
さらに、病害抵抗性品種・台木を利用する育種学的方法が提案されているが(非特許文献3)、特定の病害防除には有効であるものの、地域外から侵入する新たな病原菌に対する抵抗性が保障されていない欠点を有する。
一方、ヒバ油やヒノキチオールには植物病原微生物に対する広領域な抗菌活性の存在が知られているが、ヒバ油やヒノキチオールは水への溶解性が低く、水に均一に分散させることが困難であり、いったん均一に分散させることができても、比較的短時間でヒバ油が分離したり、ヒノキチオールが結晶状態で析出してくる等の現象が生ずることから、取り扱い性の点で問題があった。
また、ヒノキチオールには植物生長阻害活性があることから(非特許文献4)、ヒノキチオールを、濃度勾配が生じた不均一な状態で植物や土壌に散布した場合、高濃度のヒノキチオールに曝された植物では、その生長が阻害される等の問題が生じる。そのため、上記利点があるにも関わらず、ヒバ油やヒノキチオールの農業分野での利用は未だに普及していない。
植物病理学事典 p611 (日本植物病理学会編 株式会社養賢堂発行) 植物病理学事典 p612 (日本植物病理学会編 株式会社養賢堂発行) 植物病理学事典 p610 (日本植物病理学会編 株式会社養賢堂発行) Chem. Pharm. Bull. 39(9), p.2378-2381 (1991)
本発明は、安全かつ簡便に使用でき、フザリウム汚染土壌を効果的に殺菌することができる、フザリウム汚染土壌殺菌用組成物、及び該土壌の殺菌方法を提供することを課題とする。
即ち、本発明は
〔1ヒバ抽出液、台湾ヒノキ抽出液及びウエスタンレッドシダー抽出液からなる群より選ばれる一種以上の抽出液を含有してなるフザリウム汚染土壌殺菌用組成物とバーク堆肥とが個別包装されてなるフザリウム汚染土壌殺菌用キット
〔2ヒバ抽出液、台湾ヒノキ抽出液及びウエスタンレッドシダー抽出液からなる群より選ばれる一種以上の抽出液を含有してなるフザリウム汚染土壌殺菌用組成物とバーク堆肥とを土壌に適用する工程を有するフザリウム汚染土壌の殺菌方法、並びに
薫蒸処理が土壌を20〜60℃に保持する工程である、前記〔〕記載の殺菌方法
関する。
本発明によれば、人体や環境等に対して悪影響を及ぼすことなく、安全かつ簡便にフザリウム汚染土壌を効果的に殺菌することができる。
本明細書においてフザリウム汚染土壌とは植物病原性フザリウム菌が混入した土壌をいう。フザリウム菌とは古くから有用植物への罹病性が問題となるフザリウム(Fusarium)属に属する植物病原真菌をいう。フザリウム菌としては、F.オキシスポラム(F. oxysporum)、F.ソラニ(F. solani)が代表的な土壌伝染性病原菌として挙げられ、また、ブース(Booth, 1971)によって44種に分類されている(新植物病理学 p239、朝倉書店)。フザリウム汚染土壌で植物を育てるとフザリウム菌が植物に感染し、例えば、コマツナではコマツナ萎黄病が、ナスでは半枯病が、またトマトではトマト萎ちょう病等が発生することが知られている。本発明者らは、ヒバ抽出液、台湾ヒノキ抽出液及びウエスタンレッドシダー抽出液からなる群より選ばれる一種以上の抽出液がフザリウム汚染土壌の殺菌に有効であることを初めて見出し、本発明を完成した。
ヒバ油は、青森県に広く分布するヒバ(ヒノキ科アスナロ属ヒノキアスナロ)から抽出される樹木成分であり、抗菌性や防虫効果が知られている。ヒバ油の成分は大きく中性油と酸性油とに分けることができる。中性油の主成分はツヨプセン、セドロール、ウィドロール、その他多くのテルペン類等から成り、害虫忌避等の効果がある。酸性油の主成分はカルバクロール、1−ロジン酸、ヒノキチオール、β−ドラブリン、その他トロポロン誘導体やフェノール誘導体等から成り、抗菌効果がある。特に酸性油を精製して得られるヒノキチオールは高い安全性、広い抗菌スペクトル、強い抗菌性及び耐性菌を出現させない等の特徴を有しており、天然の抗菌剤として有用な化合物である。
本発明に用いられる抽出液は、ヒバ、台湾ヒノキ(ヒノキ科ヒノキ属タイワンヒノキ)、ウエスタンレッドシダー(ヒノキ科クロベ属ウエスタンレッドシダー)から抽出される抽出液である。これらの抽出液にはヒノキチオールが含まれていることが知られている。かかる抽出液は単独で用いても良く、複数成分を併用しても良い。抽出液はその樹木のオガクズやチップを原料とした油剤抽出や水蒸気蒸留等の慣用の方法により得ることができる。取り分け、ヒバの抽出液はヒバ油として市販されているため、入手が容易である。
一般にヒバ油の場合は水蒸気蒸留により抽出されている。例えば、ヒバのオガクズ約1トンから約10kgのヒバ油を得ることができる。ヒバ油には抗菌成分としてヒノキチオールやβ−ドラブリンが約1〜4重量%含まれている。
抽出液中のヒノキチオールの含有量は特に限定されない。例えば、抽出液に天然及び/又は合成ヒノキチオールを添加し、任意の含有量に調整してもよい。抽出液中のヒノキチオールの含有量の下限値は、天然及び/又は合成ヒノキチオール添加前の抽出液のヒノキチオール含有量に依存するが、1.5重量%以上が好ましく、2重量%以上がより好ましい。また、その上限値は50重量%以下が好ましく、より好ましくは40重量%以下である。すなわち、抽出液中のヒノキチオールの含有量としては、好ましくは1.5〜50重量%、より好ましくは2〜40重量%である。
本発明の組成物は、さらに水溶性アルコールを含有しても良い。かかるアルコールを含有させることにより、組成物の粘度を所望の程度に調整することができ、組成物の保存安定性を向上させることができる。
水溶性アルコールとしては、例えば、メタノール、エタノール、エチレングリコール、プロピレングリコール、ジエチレングリコール、ジプロピレングリコール、ポリエチレングリコール、グリセリン等を単独であるいは複数を組み合わせて使用してもよい。
本発明の組成物における抽出液、及び所望により添加する水溶性アルコールの含有量は、抽出液1〜30重量%、及び水溶性アルコール0〜60重量%が好ましく、抽出液2〜20重量%、及び水溶性アルコール10〜50重量%がより好ましく、抽出液5〜10重量%、及び水溶性アルコール30〜40重量%がさらに好ましい。製剤の安定性及び所定の効果を発揮させる観点から、かかる範囲が好ましい。また、本発明の組成物には、本発明により奏される効果を阻害しない限り、本分野で使用される公知の他の成分が含まれていても良い。
なお、本発明の組成物中のヒノキチオールの含有量としては、通常、好ましくは1〜20重量%、より好ましくは2〜5重量%である。本明細書においてヒノキチオールの含有量とは、抽出液中に構成成分として含まれるヒノキチオール、及びかかるヒノキチオール以外に本発明の組成物に添加される天然ヒノキチオール及び/又は合成ヒノキチオールの合計含有量をいう。
本発明の組成物は、以上の各成分を公知の方法により適宜混合することにより容易に調製することができる。
本発明の組成物は、適宜水等で希釈して使用することができる。このときの希釈倍率としては、ヒノキチオールの含有量をもとに設定することが好ましい。本発明の組成物の希釈物中のヒノキチオールの含有量としては、フザリウム汚染土壌の殺菌効果を良好に発揮させる観点から、0.1〜1000ppmが好ましく、0.1〜500ppmがより好ましく、0.5〜300ppmがさらに好ましい。なお、当初より、本発明の組成物中のヒノキチオールの含有量をかかる範囲に調整してもよい。
また、本発明者らは、本発明の組成物と堆肥資材とを組み合わせて用いてフザリウム汚染土壌を処理することにより、より効果的な該土壌の殺菌が可能であることをも見出した。そこで、本発明の一態様として、本発明の組成物と堆肥資材とが個別包装されてなるフザリウム汚染土壌殺菌用キットを提供する。
堆肥資材とは、わら、モミガラ、おがくず、生草などと家畜糞尿、食品廃棄物などの混合物を堆積し、発酵(50℃以上)させたものであって、環境に悪影響を及ぼさないものであれば特に限定はないが、前記抽出液との組み合わせで良好なフザリウム汚染土壌の殺菌効果を発揮し得ることから、堆肥資材としては、バーク堆肥が好適である。
バーク堆肥とは、製材工場やチップ生産の際に生じる樹皮に家畜ふん尿や食品廃棄物等の養分を加え、堆積し、発熱発酵させた有機肥料のことをいう。一般に、保水性がよく
乾燥を防止できる、緩衝力が高く植物の栄養障害を緩和できる、肥効効果が持続するなどの特徴が知られている。バーク堆肥は市販品の入手が可能であるので、市販品を入手して使用すればよい。
本発明のキットにおける組成物と堆肥資材との梱包割合としては、通常、本発明の組成物100重量部に対し、堆肥資材が好ましくは1〜200重量部、より好ましくは2〜100重量部である。なお、かかる両者の割合は、フザリウム汚染土壌を処理する際の本発明の組成物と堆肥資材との好適な使用割合に相当する。本発明のキットにおける組成物には、前記に準じて、天然ヒノキチオール及び/又は合成ヒノキチオール、水溶性アルコール、本分野で使用される公知の他の成分を適宜含ませてもよい。また、本発明のキットにおける組成物は適宜希釈して用いてもよい。
本発明のキットは、本発明の組成物と堆肥資材とを公知の方法に従って個別包装して梱包することにより製造することができる。かかるキットには、その使用説明書等を適宜同梱してもよい。
なお、本発明の組成物と堆肥資材とはフザリウム汚染土壌を処理する際に組み合わせて用いられればよく、従って、本発明の別の一態様としては、本発明の組成物と堆肥資材とを予め混合してなる組成物も提供することができる。両成分の混合割合は、両成分の前記使用割合と同様であるのが好ましい。
さらに、本発明の組成物と堆肥資材とを土壌に適用する工程を有するフザリウム汚染土壌の殺菌方法を提供する。ここで「適用する」とは、散布、混和等により本発明の組成物及び堆肥資材とフザリウム汚染土壌とを接触させて混在させることをいう。
前記工程において組成物と堆肥資材を土壌に適用するタイミングは同時であっても異なっていてもよい。例えば、(1)組成物と堆肥資材とを予め混合してから土壌に適用してもよいし、(2)組成物を先に土壌に適用しておいた後に堆肥資材を土壌に適用してもよいし、(3)堆肥資材を先に土壌に適用しておいた後に組成物を土壌に適用してもよい。フザリウム汚染土壌の殺菌効果に優れる点で、前記(1)又は(2)の態様が好ましい。適用方法には特に限定はなく、公知の農薬の使用方法に準ずればよい。組成物と堆肥資材とを土壌に適用する際の両者の好適な使用割合としては、前記した通りである。また、組成物と堆肥資材との土壌への適用量としては、土壌100重量部に対し、組成物と堆肥資材とを併せて、好ましくは5〜50重量部、より好ましくは10〜20重量部である。
本発明のフザリウム汚染土壌の殺菌方法においては、本発明のキットを好適に使用することができる。堆肥資材としては前記バーク堆肥が好ましい。本発明の組成物においてヒノキチオールは安定に存在しているため、自動灌水、くん煙や超音波による蒸散といった利用形態にも好適に適用できる。なお、本発明の殺菌方法において本発明の組成物は本発明の抽出液そのものであってもよい。
また、本発明の殺菌方法においては、殺菌効果をいっそう向上させる観点から、土壌を、好ましくは20〜60℃、より好ましくは30〜40℃に保持する工程をさらに有するのが望ましい。土壌を所定温度で保持するタイミングとしては、前記(1)〜(3)の態様において、例えば、本発明の組成物と堆肥資材との混合物を土壌に適用した後、本発明の組成物を土壌に適用した後、又は堆肥資材を土壌に適用した後が挙げられるが、フザリウム汚染土壌の殺菌効果を高め、かつ植物の生育状態を良好にする観点から、本発明の組成物を土壌に適用した後が好ましい。土壌を所定の温度に保持する方法としては、土壌を恒温槽内で、例えば、7〜14日間程度維持すること等が挙げられる。
なお、本発明の組成物等に含まれるヒノキチオールは食品添加物と同程度の安全性を有する。
以下に実施例を示し、本発明をより詳細に説明するが、本発明はかかる実施例により何ら限定されるものではない。
実施例1、比較例1
大豆油ケン化物1650g、グリセリン1650g、エタノール1430gを混合し、60℃に加温した。60℃で30分撹拌後、50%KOH水溶液740gを加え、さらに5時間撹拌した。冷却後、エタノール1100g、ヒバ油(ヒノキチオール 3重量%含有)550g、ヒノキチオール220g及び精製水3674gを加えて均一な水溶液からなるフザリウム汚染土壌殺菌用組成物を調製した(実施例1)。また、実施例1の組成物と同様にして比較組成物を調製した(比較例1)。実施例1と比較例1の組成物の組成を表1に示す。なお、表中、ヒノキチオールの組成は組成物中のヒノキチオール含有量を示す。
Figure 0004676180
試験例1 フザリウム菌に対する抗菌活性
供試薬剤として実施例1と比較例1の組成物を用い、フザリウム菌に対する最小生育阻止濃度(MIC)を求めた。供試菌株としてコマツナ萎黄病菌であるフザリウム・オキシスポラム(F. oxysporum;コ-8)及びフザリウム・ソラニ(F. solani;IFO-9957)を用いた。希釈平板法により供試薬剤をPDA培地に混合調整し、ヒノキチオール換算濃度が2〜1000ppmの濃度となるようにした。これに供試菌株の菌叢片を置庄して25℃で培養し、2日後と4日後菌叢の長径と短径を測定して菌糸伸長量から最小生育阻止濃度(MIC)及び50%生育阻止濃度(EC50)を求めた。
実施例1の組成物の各種病原菌に対する最小生育阻止濃度(MIC)を表2に示す。供試した病原菌のMICは31.3〜125ppmの範囲であり、同じフザリウム菌においてもF.ソラニのMICがF.オキシスポラムのMICより高い傾向が認められた。そこでフザリウム菌について菌糸伸長量を測定して詳細に調査した結果、F.オキシスポラムの場合、MICは62.5ppm、50%生育阻止濃度(EC50)は32.5ppmと計算された。また、F.ソラニの場合は、MICは125ppm、EC50は62.4ppmと計算された。
また、比較例1の組成物についても同様に調査した結果、抗菌活性は認められなかった。それらの結果を表3に示す。
Figure 0004676180
Figure 0004676180
試験例2 フザリウム・オキシスポラム菌密度抑制効果(ポット試験)1
供試薬剤として実施例1の組成物を用いた。供試土壌としてのフザリウム・オキシスポラム汚染土壌は、大阪府立食とみどりの総合技術センター場内のフザリウム・オキシスポラム汚染コンクリート枠ほ場から採取した。同ほ場はコマツナ萎黄病常発生ほ場であり、土壌を4mm目合いの篩にかけて1年間密閉状態で保存した、ほぼ厚膜胞子のみで汚染された土壌を供試した。フザリウム・オキシスポラム汚染土壌を400mL容量のポリカーボネート製培養瓶(φ7cm×H10cm)に200mL充填した。次いで、供試薬剤をイオン交換水で10倍希釈して土壌の容量比10%に相当する20mLを潅注・混和すると共に、バーク堆肥(商品名:フジミバーク 富士見工業(株)製)を土壌の50%相当量(容量比)混和して密封し、35℃の恒温器内に14日間静置した(薫蒸処理)。処理後、駒田培地で生残菌数を測定した。試験は1区3反復で行った。
また、バーク堆肥を用いずに実施例1の組成物の10倍希釈液で前記と同様にしてフザリウム・オキシスポラム汚染土壌を処理した。なお、実施例1の組成物の10倍希釈液を用いた場合を10倍希釈試験区という。一方、イオン交換水のみで同様にして土壌の処理を行い、対照試験区とした。
図1に試験結果を示す。なお、初期菌密度とは汚染土壌中のフザリウム菌の数を示す。バーク堆肥ありの10倍希釈試験区の菌密度は対照試験区の約1/10まで減少し、顕著な菌密度抑制効果が確認できた。バーク堆肥なしの10倍希釈試験区ではバーク堆肥ありの場合に比べ効果はやや低かったが、同様に菌密度抑制効果が確認できた。
試験例3 フザリウム・オキシスポラム菌密度抑制効果(ポット試験)2
供試薬剤として実施例1の組成物を用いた。一方、比較対照としてヒノキチオールカリウム塩(HT-K)を用い、ヒノキチオール濃度2000ppmの水溶液を調製した。
供試土壌としてのフザリウム・オキシスポラム汚染土壌には試験例2の汚染土壌を用い、当該土壌を400mL容量のポリカーボネート製培養瓶(φ7cm×H10cm)に200mL充填した。次いで、バーク堆肥(商品名:フジミバーク 富士見工業(株)製)を土壌の50%(容量比)相当量混和し、供試薬剤をイオン交換水で10倍希釈して土壌の容量比10%に相当する20mLを潅注・混和すると共に、密封し、35℃の恒温器内に14日間静置した(薫蒸処理)。処理後、駒田培地で生残菌数を測定した。試験は1区3反復で行った。
また、比較対照としての前記HT-K水溶液で前記と同様にしてフザリウム・オキシスポラム汚染土壌を処理した。なお、実施例1の組成物の10倍希釈液を用いた場合を10倍希釈試験区と、前記HT-K水溶液を用いた場合をヒノキチオール単体試験区という。一方、イオン交換水のみで同様にして土壌の処理を行い、対照試験区とした。
図2に試験結果を示す。なお、初期菌密度とは汚染土壌中のフザリウム菌の数を示す。10倍希釈試験区の菌密度は対照試験区の1/10以下まで減少したが、ヒノキチオール単体試験区の菌密度は減少せず、むしろ増加した。
ヒノキチオールのフザリウム菌に対する抗菌活性はイン・ビトロ試験(試験管内試験)では知られているが(Biol. Pharm. Bull., 27, 899-902 (2004))、植物病原菌汚染土壌を用いたイン・ビボ試験(ポット試験)では効果が認められないことが報告されている(樹木抽出成分利用技術研究成果集 p235〜p250、樹木抽出成分利用技術組合発行 1995年、特開2003-277204号公報)。本試験により、ヒノキチオール単体ではイン・ビボでフザリウム菌の菌密度抑制効果は認められず、むしろ菌密度を増加させるが、ヒノキチオールを含む天然由来の抽出物によれば意外にもイン・ビボでフザリウム菌の菌密度を顕著に抑制できることが初めて明らかになった。
試験例4 フザリウム・オキシスポラム汚染土壌の殺菌効果とコマツナ萎黄病発病抑制
(プランター試験)
供試薬剤として実施例1の組成物を用い、10倍希釈液及び50倍希釈液をイオン交換水で調製した。試験例2のフザリウム・オキシスポラム汚染土壌1500mLをポリエチレン袋に充填し、希釈した供試薬剤を土壌の容量比10%に相当する150mLを潅注・混和して、密封し、35℃の恒温器内に14日間静置した(薫蒸処理)。処理後、駒田培地で生残菌数を測定した。薫蒸処理を終えた汚染土壌をミニプランター(10cm×23cm×H15cm)に充填し、2日間放置後、コマツナ(萎黄病感受性品種さおり)(トウホク種苗)を20〜26粒/鉢あて播種した。栽培は土壌恒温槽(土壌温度35℃)で管理した。発芽後、液肥〔住友液肥2号(N:P:K=10:5:8)、住友化学社製〕の300倍希釈液を用い10日間隔で追肥を行った。発病調査は播種5〜7週間後に行い、発病株率、防除価、及び枯死株を除いた株の生重量による1株重を求め、以下の表4の各試験区のコマツナ萎黄病発病抑制効果を評価した。実施例1の組成物の10倍希釈液を用いた場合を10倍希釈試験区と、50倍希釈液を用いた場合を50倍希釈試験区という。イオン交換水を用いて汚染土壌の処理を行った場合を対照試験区とした。試験は1区3反復で行った。
なお、発病株率(%)は、栽培した全ての株数に対する、萎凋症状を示した株(発病株)の割合(発病株/全株)として求めた。また、防除価は、以下の式:

防除価=100−(試験区の発病株率/対照試験区の発病株率)×100

により求めた。1株重は、枯死株を除いた株全ての生重量の平均として求めた。
表4に試験結果を示す。なお、初期菌密度とは汚染土壌中のフザリウム菌の数を、菌数とは薫蒸処理後の該土壌中の生残菌数を示す。実施例1の組成物を薫蒸処理した結果、10倍希釈試験区で高い殺菌効果と防除価が得られた。対照試験区で35℃の熱処理のみでも菌密度は減少しているが、10倍希釈試験区では菌密度は検出限界以下に減少し、防除価は98〜100を示した。1株重も対照試験区に比べ10倍希釈試験区のほうが高かった。また、50倍希釈試験区でも、対照試験区に比べ優れた汚染土壌の殺菌効果とコマツナ萎黄病発病抑制効果が得られた。図3に10倍希釈試験区(左2つ)と対照試験区での、プランターで栽培したコマツナの様子を示す。なお、10倍希釈試験区の内、左のものは追肥を行わなかった。以上より、実施例1の組成物がフザリウム汚染土壌の殺菌に有効であることは明らかである。
Figure 0004676180
本発明は、安全かつ簡便に使用でき、フザリウム汚染土壌を効果的に殺菌することができる、フザリウム汚染土壌殺菌用組成物、及び該土壌の殺菌方法を提供する。
バーク堆肥ありなしでの実施例1の組成物によるF.オキシスポラム菌密度抑制効果を示すグラフである。 ヒノキチオール単体と比較した実施例1の組成物によるF.オキシスポラム菌密度抑制効果を示すグラフである。 試験例4における10倍希釈試験区(左2つ)と対照試験区での、プランターで栽培したコマツナの様子である。

Claims (3)

  1. ヒバ抽出液、台湾ヒノキ抽出液及びウエスタンレッドシダー抽出液からなる群より選ばれる一種以上の抽出液を含有してなるフザリウム汚染土壌殺菌用組成物とバーク堆肥とが個別包装されてなるフザリウム汚染土壌殺菌用キット。
  2. ヒバ抽出液、台湾ヒノキ抽出液及びウエスタンレッドシダー抽出液からなる群より選ばれる一種以上の抽出液を含有してなるフザリウム汚染土壌殺菌用組成物とバーク堆肥とを土壌に適用し、薫蒸処理する工程を有するフザリウム汚染土壌の殺菌方法。
  3. 薫蒸処理が土壌を20〜60℃に保持する工程である、請求項記載の殺菌方法。
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Citations (3)

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