ところが、従来のレンズクリーナには、以下の問題点がある。すなわち、従来のレンズクリーナでは、ディスクの信号記録領域に植設した各極細ブラシ毛(以下、「ブラシ」ともいう)によってレンズの表面に付着している塵埃等を払拭する構成が採用されている。一方、今日では、光ディスクレコーダや、光ディスクをストレージメディアとして採用したデジタルカメラ(以下、「記録再生装置」ともいう)の普及に伴い、CD−R、CD−RW、DVD−R、DVD−RW、DVD−RMおよびBD(Blu-ray Disc(登録商標))等の各種の記録型光ディスク(記録データの記録が可能に構成された光ディスク)を使用する機会が増えている。この場合、記録型の光ディスクにおいては、記録再生パワーに調整したレーザービームを光ディスクに照射することで、光ディスクの所定部位の光反射率を変化させて記録マークを形成することで記録データを記録する構成が採用されている。
したがって、記録データの記録時においてレンズの表面に塵埃等が付着している状態においては、記録マークを形成するためのレーザービームの照射が妨げられることに起因して、所望の光反射率の記録マークを形成することが困難となることがある。この結果、記録データの記録が不完全となって正常な再生が困難となるおそれがある。この場合、記録データの再生時においてレンズに塵埃等が付着しているときには、再生処理を一旦停止してレンズクリーナ等によってクリーニングしたり、レンズが汚れていない他の再生装置にセットし直して再生処理を開始したりすることで、正常な再生が可能となる。これに対して、記録データの記録時においてレンズに塵埃等が付着している状態においては、上記のように、記録マークの形成が妨げられることに起因して、記録処理の完了後において、どのようにレンズをクリーニングしたとしても、記録データの正常な再生が可能となることはない。したがって、記録再生装置のレンズに塵埃等が付着しているときには、記録型光ディスクに対する記録データの記録に先立って、前述したレンズクリーナ等を用いてレンズをクリーニングする必要がある。
しかしながら、従来のレンズクリーナを用いたクリーニングでは、クリーニングが完了した後に、レンズクリーナを記録再生装置から取り出して記録型光ディスクをセットするまでの間において、記録再生装置におけるディスク出入り口から装置内に塵埃が侵入し、侵入した塵埃がレンズの表面に付着するおそれがある。このため、従来のレンズクリーナには、たとえ記録データの記録に先立ってクリーニングを実行したとしても、記録型光ディスクに対する記録データの記録を開始する以前にレンズの表面に塵埃等が付着して、これに起因して記録エラーが生じるおそれがあるという問題点が存在する。また、記録型光ディスクに対する記録データの記録の都度、記録型光ディスクとは別個に用意したレンズクリーナをセットしてクリーニングする処理が煩雑であるという問題点存在する。
本考案は、かかる問題点に鑑みてなされたものであり、情報媒体に対する記録データの確実な記録を行い得る情報媒体を提供することを主目的とする。
上記目的を達成すべく本考案に係る情報媒体は、記録データを記録可能に構成された記録層がディスク本体における少なくとも一方の面に形成された情報媒体であって、前記ディスク本体における前記記録層の形成面に配設された払拭体を有するクリーニング部を備えている。なお、本考案に係る情報媒体には、いわゆる光ディスクおよび光磁気ディスクの双方が含まれる。また、本考案における「記録データを記録可能に構成された記録層」とは、「記録データの追記または上書きが可能に構成された記録層」を意味する。さらに、本考案に係るクリーニング部の構成には、乾式のクリーニング部および湿式のクリーニング部の双方が含まれる。
また、本考案に係る情報媒体は、その先端部が前記形成面におけるリードインエリアおよび記録処理用システム領域のいずれかの上方に位置するように前記払拭体が配設されている。なお、本考案における「記録処理用システム領域」とは、例えば、PCA(Power Calibration Area)、RMA(Recording Management Area)およびTOC領域など「記録データの記録処理に際しての各種処理を実行するための領域や、記録データの記録処理に際して必要となる情報が記録されている領域」を意味する。
さらに、本考案に係る情報媒体は、その先端部が前記形成面におけるTOC情報記録領域の上方に位置するように前記払拭体が配設されている。
また、本考案に係る情報媒体は、前記形成面に対して斜めの状態に前記払拭体が植設されている。
さらに、本考案に係る情報媒体は、その先端部における当該情報媒体の回転方向に沿った幅が0.6mm以内となるように前記払拭体が構成されている。
また、本考案に係る情報媒体は、前記払拭体が繊維を束ねて構成されている。
本考案に係る情報媒体では、記録層の形成面に配設された払拭体を有するクリーニング部を備えてディスク本体が構成されている。このため、本考案に係る情報媒体によれば、この情報媒体を記録再生装置にセットして記録処理を実行することで、記録再生装置におけるピックアップのレンズをクリーニング部によってクリーニングすることができる。したがって、この情報媒体によれば、記録データを記録する情報媒体とは別個に用意したレンズクリーナによって記録処理に先立って記録再生装置のレンズをクリーニングするのとは異なり、レンズのクリーニングを完了してから、情報媒体に対する記録データの記録を開始するまでの間に塵埃等がレンズに付着する事態を回避して、塵埃等が付着していない綺麗なレンズを用いて記録データを記録することができる。これにより、正常な再生が可能に記録データを正確に記録することができる。また、この情報媒体によれば、記録データの記録に先立って例えばレンズクリーナを用いてレンズをクリーニングするのとは異なり、煩雑なディスクの入れ替え作業を不要とすることができる。
また、本考案に係る情報媒体では、払拭体の先端部が形成面におけるリードインエリアおよび記録処理用システム領域のいずれかの上方に位置するようにクリーニング部が構成されている。したがって、本考案に係る情報媒体によれば、データ記録領域に対する記録データの記録に先立ってピックアップのレンズが必ず移動させられるリードインエリアや記録処理用システム領域に払拭体の先端部を位置させたことで、記録データの記録に先立ってレンズの表面を確実にクリーニングすることができる。
さらに、本考案に係る情報媒体では、払拭体の先端部が形成面におけるTOC情報記録領域の上方に位置するようにクリーニング部が構成されている。したがって、本考案に係る情報媒体によれば、例えば記録処理用システム領域に払拭体の先端部を位置させた構成とは異なり、再生専用装置のように、記録処理用システム領域にピックアップを移動させることのない装置においても、そのレンズをクリーニングすることができる。
また、本考案に係る情報媒体では、記録層の形成面に対して払拭体が斜めの状態に植設されている。したがって、本考案に係る情報媒体によれば、スタック状態で収容ケースに保管した状態において払拭体が折り曲げられて変形する事態を回避することができる。これにより、この情報媒体によれば、払拭体の変形に起因してレンズのクリーニングが困難となる事態を回避して、確実にクリーニングすることができる。
さらに、本考案に係る情報媒体では、払拭体の先端部における情報媒体の回転方向に沿った幅が0.6mm以内となるように構成されている。したがって、本考案に係る情報媒体によれば、払拭体の存在に起因して各種のデータの読み取りが妨げられる事態を回避することができる。
また、本考案に係る情報媒体では、払拭体が繊維を束ねたブラシで構成されている。したがって、本考案に係る情報媒体によれば、例えば布帛(織布または不織布)で構成する払拭体と比較して、弾性復帰力を十分に大きくすることができるため、レンズの表面に強固に付着している塵埃を確実に除去することができる。
以下、本考案に係る情報媒体の最良の形態について、添付図面を参照して説明する。
最初に、光ディスク1の構成について、図面を参照して説明する。
図1に示す光ディスク1は、本考案に係る情報媒体の一例である片面1層の追記型の光ディスク(一例として、DVD−R)であって、ディスク本体2と、ディスク本体2に配設されたクリーニング部4とを備えている。この場合、ディスク本体2は、DVD−Rと実質的に同一形状に形成されている。具体的には、ディスク本体2は、その直径が一例として、120mm程度で、その厚みが一例として、1.2mm程度の円板状に形成されている。また、ディスク本体2の中心部には、光ディスク1をディスク装置(記録再生装置や再生装置)にクランピングさせるための直径15mm程度の中心孔2cが形成されている。さらに、図1,2に示すように、ディスク本体2の記録面2a(本考案における一方の面)には、その内周部側から、内周領域A1、記録処理用領域A2、リードインエリアA3、データ記録領域A4およびリードアウトエリアA5が順に形成されると共に、ディスク本体2の厚み方向における中央部に記録層3が形成されて、記録層3におけるデータ記録領域A4に各種の記録データ(映像データや音声データ等)を記録可能に構成されている。
この場合、内周領域A1は、上記の中心孔2cが形成されると共に、中心孔2cの周囲には、環状のクランピング領域が規定されている。また、記録処理用領域A2は、本考案における記録処理用システム領域の一例であって、この光ディスク1では、PCAおよびRMAの2つの領域が内周側からこの順で規定されて構成されている。リードインエリアA3、データ記録領域A4およびリードアウトエリアA5は、いわゆるインフォメーションエリアを構成する領域であって、この光ディスク1では、一例としてデータ記録領域A4におけるリードインエリアA3の側(内周側)からリードアウトエリアA5の側に向けて記録データが順に記録される構成が採用されている。
また、リードインエリアA3内には、TOC(Table Of Contents )を記録するための領域が設けられて、後述するように、この光ディスク1では、このTOCを記録する領域の上方に本考案における払拭体の先端部が位置するようにクリーニング部4が構成されている。なお、このTOCが記録される領域は、上記の例のようにリードインエリアA3内に限定されず、情報媒体の規格によっては、リードインエリアA3よりも内周側の所定領域、または、リードインエリアA3よりも外周側の所定領域(データ記録領域A4内)に規定される場合もある。さらに、ディスク本体2のレーベル面2bには、例えばインクジェット式プリンタによる各種図柄等の印刷が可能な空隙型(多孔質型)のインク受理層(インク受容層)、および白色下地層を有する印刷層(図示せず)が形成されている。
クリーニング部4は、一例として、乾式のクリーニング部(クリーニング液等を使用しないタイプのクリーニング部)であって、ディスク本体2における内周領域A1に形成された挿入用孔5に例えば合成樹脂製の繊維を束ねたブラシ6(本考案における払拭体の一例)が植設されて構成されている。この場合、ブラシ6を構成する合成樹脂製の繊維としては、一例として、エチレンビニルアルコールやポリエステル等の各種樹脂材料で形成された繊維を採用することができる。また、各繊維の太さや、1つのブラシ6を構成する複数の繊維の本数については、特に限定されないが、この光ディスク1では、一例として、直径5μm程度のポリエステル製の繊維を200本程度束ねて上記のブラシ6が構成されている。
また、図3,4に示すように、この光ディスク1では、上記の挿入用孔5(すなわち、ブラシ6の基端部が位置する部位)がディスク本体2における内周領域A1に形成されている。さらに、この光ディスク1では、ブラシ6における先端部がリードインエリアA3におけるTOCの記録領域の上方に位置するように、ブラシ6が記録面2aに対して斜めの状態に植設されてクリーニング部4が構成されている。この場合、図3に示すように、挿入用孔5に植設されたブラシ6は、その先端部の記録面2aからの高さHが0.2mm〜2.0mm(一例として、1.8mm)となっている。また、この光ディスク1では、図4に示すように、光ディスク1の回転方向(同図における上下方向)に沿ったブラシ6の先端部の幅Wが一例として、0.5mm(0.6mm以下の一例)となっている。なお、TOCの記録領域がリードインエリアA3以外に規定されている情報媒体においては、その情報媒体におけるTOCの記録領域の上方にブラシ6の先端部を位置させるように構成するのが好ましい。
次に、光ディスク1を用いて、記録再生装置や再生装置における光ピックアップのレンズをクリーニングする方法について、図面を参照して説明する。
この光ディスク1では、通常のDVD−Rと同様にして、複数枚の光ディスク1をスタックポールに挿通させた状態でスタックされて販売される。この場合、単一の光ディスクを樹脂製の収容ケースに収容して販売する形態とは異なり、上記のように複数枚の光ディスク1をスタックして収容する販売形態では、図5に示すように、収容ケース内において各光ディスク1がその厚み方向で極く近距離で接近した状態となっている。したがって、従来のレンズクリーナのようにディスクの信号記録面(光ディスク1における記録面2a)に対して垂直にブラシを立設するようにして植設した構成では、ブラシの先端部が、積層方向において隣接するディスクのレーベル面に当接する結果、ブラシがそのディスク面に沿うようにして強く折り曲げられた状態となる(図示せず)。
このため、従来のレンズクリーナのように信号記録面に対してブラシを垂直に植設した構成においては、スタック状態においてブラシが強く折り曲げられた状態が長期に亘って維持されて、これに起因して、ブラシが変形するおそれがある。このような状態においては、ディスクを収容ケースから取り出したときに、ブラシの先端部の信号記録面からの高さが低くなっているため、後述するレンズのクリーニング時において、レンズの表面にブラシの先端部が当接しない状態となるおそれがある。
一方、この光ディスク1では、前述したように、ディスク本体2の記録面2aに対してブラシ6が斜めの状態に植設されている。したがって、図5に示すように、複数枚の光ディスク1をスタックして収容した状態においても、ブラシ6が過剰に強い力で折り曲げられる事態が回避される結果、この光ディスク1を収容ケースから取り出したときには、ブラシ6が容易に弾性復帰する。したがって、後述するように、レンズのクリーニング時において、レンズの表面にブラシ6の先端部を確実に当接させることが可能となっている。
この光ディスク1によるレンズのクリーニングに際しては、まず、通常のDVDをセットする際と同様にして、記録面2aをピックアップ(レンズ)に対向させるようにして光ディスク1を記録再生装置にセットする。次いで、記録再生装置に対して記録データの記録処理を実行させる。この際に、記録再生装置の制御部は、光ディスク1の回転を開始させると共に、光ディスク1のリードインエリアA3内におけるTOCの記録領域にピックアップを移動させて光ディスク1から基本TOCを読み出す。
この際に、この光ディスク1では、クリーニング部4におけるブラシ6の先端部がリードインエリアA3におけるTOCの記録領域に位置するように構成されている。したがって、光ディスク1が回転させられている状態においてピックアップがTOCの記録領域に移動させられることで、レンズの角部にブラシ6の先端部側が当接し、その状態において光ディスク1がさらに回転させられることにより、ブラシ6が光ディスク1の回転方向における下流側に向かって撓まされるようにしてレンズの表面に押し付けられる。これにより、レンズの表面に付着している塵埃が払拭されてクリーニングされる。
また、この光ディスク1では、前述したように、ブラシ6の先端部の回転方向に沿った幅Wが0.5mmという狭幅に規定されている。したがって、このブラシ6の存在に起因してリードインエリアA3からのTOCの読み取りが妨げられる事態が回避され、読み出した基本TOC情報に基づき、光ディスク1がDVD−Rであると正しく認識させることが可能となっている。この場合、出願人は、上記の幅Wを0.6mmを超える長さに規定したときに、記録再生装置の種類によっては、エラーが発生したと認識される事態が生じるのを確認している。一方、出願人は、上記の幅Wが0.2mmを下回る長さに規定したときには、ブラシ6の弾性力が不足することに起因して、塵埃の確実な払拭が困難となるのを確認している。したがって、上記の幅Wは、0.2mm以上0.6mm以下の範囲内とするのが好ましい。
一方、基本TOC情報に基づき、光ディスク1が記録型の光ディスクであると認識した制御部は、光ディスク1に対する記録データの記録処理を継続する。具体的には、制御部は、ピックアップを記録処理用領域A2に移動させてPCAおよびRMAにおいて所定の記録前処理を実行した後に、ピックアップをデータ記録領域A4に移動させ、その内周側から外周側に向けて、記録すべき記録データのデータ内容に応じてレーザービームを照射させる。これにより、記録層3におけるデータ記録領域A4に記録マークが形成されて記録データが記録される。この際に、ピックアップがデータ記録領域A4に移動させられるのに先立って上記したようにリードインエリアA3においてレンズの表面がクリーニングされているため、ピックアップからのレーザービームの照射が塵埃等によって妨げられることなく、記録処理用領域A2において調整された所望のパワーで光ディスク1の記録層3にレーザービームが照射される。これにより、記録データのデータ内容に応じた所望の記録マークが記録層3に形成されて、記録データの記録が完了する。
また、この光ディスク1では、記録データの記録に先立って記録再生装置のレンズをクリーニングする上記の処理のみならず、例えば、データ記録領域A4に記録データを記録した光ディスク1を再生装置にセットして記録データを再生する際に、再生装置のレンズもクリーニングすることができる。具体的には、記録データの記録が完了した光ディスク1を再生装置にセットして再生開始ボタンを操作した際に、再生装置の制御部は、光ディスク1の回転を開始させると共に、光ディスク1のリードインエリアA3内におけるTOCの記録領域にピックアップを移動させて光ディスク1から基本TOCを読み出す。
この際に、前述したように、この光ディスク1では、クリーニング部4におけるブラシ6の先端部がリードインエリアA3におけるTOCの記録領域に位置するように構成されている。したがって、光ディスク1に対する記録データの記録時に記録再生装置においてレンズがクリーニングされるのと同様にして、再生装置におけるピックアップのレンズがクリーニングされる。これにより、塵埃等が付着していない状態のレンズを介して、再生パワーに調整されたレーザービームの照射、および光ディスク1によって反射されたレーザービームの受光が行われる。これにより、記録層3におけるデータ記録領域A4に記録された上記の記録データが再生される。
このように、この光ディスク1では、記録面2a(記録層3の形成面)に配設されたブラシ6(払拭体)を有するクリーニング部4を備えてディスク本体2が構成されている。このため、この光ディスク1によれば、この光ディスク1を記録再生装置にセットして記録処理を実行することで、記録再生装置におけるピックアップのレンズをクリーニング部4によってクリーニングすることができる。したがって、この光ディスク1によれば、記録データを記録する情報媒体とは別個に用意したレンズクリーナによって記録処理に先立って記録再生装置のレンズをクリーニングするのとは異なり、レンズのクリーニングを完了してから、情報媒体に対する記録データの記録を開始するまでの間に塵埃等がレンズに付着する事態を回避して、塵埃等が付着していない綺麗なレンズを用いて記録データを記録することができる。これにより、正常な再生が可能に記録データを正確に記録することができる。また、この光ディスク1によれば、記録データの記録に先立って例えばレンズクリーナを用いてレンズをクリーニングするのとは異なり、煩雑なディスクの入れ替え作業を不要とすることができる。
また、この光ディスク1では、ブラシ6の先端部が記録面2aにおけるリードインエリアA3および記録処理用領域A2のいずれかの上方(この例では、リードインエリアA3)に位置するようにクリーニング部4が構成されている。したがって、この光ディスク1によれば、データ記録領域A4に対する記録データの記録に先立ってピックアップのレンズが必ず移動させられるリードインエリアA3(この例では、リードインエリアA3)や記録処理用領域A2(記録処理用システム領域)にブラシ6の先端部を位置させたことで、記録データの記録に先立ってレンズの表面を確実にクリーニングすることができる。
さらに、この光ディスク1によれば、ブラシ6の先端部が記録面2aにおけるTOC情報記録領域(この例では、リードインエリアA3内の所定位置)の上方に位置するようにクリーニング部4が構成されている。したがって、この光ディスク1によれば、例えば記録処理用領域A2にブラシ6の先端部を位置させた構成とは異なり、再生専用装置のように、記録処理用領域A2にピックアップを移動させることのない装置においても、そのレンズをクリーニングすることができる。
また、この光ディスク1では、記録面2aに対してブラシ6が斜めの状態に植設されている。したがって、この光ディスク1によれば、スタック状態で収容ケースに保管した状態においてブラシ6が折り曲げられて変形する事態を回避することができる。これにより、この光ディスク1によれば、ブラシ6の変形に起因してレンズのクリーニングが困難となる事態を回避して、確実にクリーニングすることができる。
さらに、この光ディスク1では、ブラシ6の先端部における光ディスク1の回転方向に沿った幅Wが0.6mm以内(この例では、0.5mm)となるように構成されている。したがって、この光ディスク1によれば、ブラシ6の存在に起因して各種のデータの読み取り(この例では、TOC情報)が妨げられる事態を回避することができる。
また、この光ディスク1では、繊維を束ねたブラシ6が本考案における払拭体として構成されている。したがって、この光ディスク1によれば、例えば布帛(織布または不織布)で構成する払拭体と比較して、弾性復帰力を十分に大きくすることができるため、レンズの表面に強固に付着している塵埃を確実に除去することができる。
なお、本考案は上記の構成に限定されない。例えば、ブラシ6の先端部がリードインエリアA3の上方(本発明における「リードインエリアおよび記録処理用システム領域のいずれか」の一例)に位置するように構成した光ディスク1を例に挙げて説明したが、本考案はこれに限定されず、情報媒体に対する記録再生時にピックアップが移動し得る任意の位置(例えば、上記の光ディスク1における記録処理用領域A2からデータ記録領域A4までの範囲内)にクリーニング部を配設する構成を採用することができる。具体的には、図6に示す光ディスク1Aのように、その先端部がデータ記録領域A4内に位置するようにブラシ6を配設してクリーニング部4aを構成することができる。これにより、記録データの記録時にピックアップのレンズをクリーニングすることができる。この場合、クリーニング処理能力を低下させることなく、ブラシ6の存在に起因する記録エラーや再生エラーの発生を回避するためには、記録面2aに対してブラシ6を垂直またはほぼ垂直に配設すると共に、その高さHを0.2mm以上1.8mm以下の範囲内とし、その先端部の幅Wを0.2mm以上0.6mm以下の範囲内とするのが好ましい。
また、合成樹脂製の繊維を束ねたブラシ6を本考案における払拭体として備えた光ディスク1について説明したが、本考案における払拭体の構成はこれに限定されない。例えば、一枚の厚い織布(布帛の一例)で形成したブラシ、一枚の厚い不織布(布帛の他の一例)で形成したブラシ、複数枚の薄い織布(布帛のさらに他の一例)を重ね合わせて形成したブラシ、および一枚の薄い織布を折り重ねて形成したブラシのいずれかで本考案における払拭体を形成してクリーニング部を構成することもできる。この場合、上記の織布としては、一例として、ポリエステルやエチレンビニルアルコール等の各種樹脂材料で形成した織布を採用することができる。また、不織布としては、一例として、クラレ社製の商品名「ソフィスタ(登録商標)」を採用することができる。この場合、布帛で構成した払拭体を採用してクリーニング部を構成する場合、一例として、所定形状に裁断した布帛を接着剤によってディスク本体2の所定部位に接着して固定する構成を採用することができる。
さらに、乾式のクリーニング部4を備えた光ディスク1について説明したが、本考案における情報媒体の構成はこれに限定されず、湿式のクリーニング部(クリーニング液を使用するタイプのクリーニング部)を配設した構成を適用することができる。具体的には、一例として、その先端部が記録面2aから所定長だけ突出するようにディスク本体2にブラシ6を貫通させると共に、レーベル面2bに保液部(例えば、クリーニング液を保液可能な凹部で構成された保液部や、クリーニング液を保液可能に不織布等が配設されて構成された保液部)を形成し、保液部に含浸させたクリーニング液をその基端部側からブラシ6に供給する構成を採用することができる。また、1枚の情報媒体に配設するクリーニング部の数は、前述した光ディスク1のような1つに限定されず、1枚の情報媒体につき2つ以上の任意の数のクリーニング部を配設することもできる。この場合、両面記録型の情報媒体においては、一方の面につき1つ以上の任意の数のクリーニング部を配設することができる。