JP3133112B2 - スクロール式流体機械 - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本発明は、例えば空気を圧縮する
空気圧縮機等に用いて好適なスクロール式流体機械に関
する。

【０００２】

【従来の技術】図３に従来技術によるスクロール式流体
機械として無給油式のスクロール式空気圧縮機を例に挙
げて示す。

【０００３】図において、１は段付筒状のケーシングを
示し、該ケーシング１は軸方向一端側に位置する円板状
の底部１Ａと、該底部１Ａの内周側から内向きに突出し
て形成された軸受部１Ｂと、底部１Ａの外周側から軸方
向他端側に向けて延設された筒部としての円筒部１Ｃ
と、該円筒部１Ｃの先端側に一体的に形成された段付筒
状のフランジ部１Ｄとから大略構成され、該フランジ部
１Ｄの内周側には、後述の旋回スクロール５の背面に摺
接してスラスト方向の荷重を受承するスラスト受部１Ｅ
が径方向内向きに突出して一体形成されている。また、
該ケーシング１の底部１Ａには、複数の連通孔１Ｆ，１
Ｆ，…（２個のみ図示）が軸方向に穿設され、該各連通
孔１Ｆはケーシング１内に外気を導入することにより、
旋回スクロール５等を冷却するものである。

【０００４】２はケーシング１の軸受部１Ｂに軸受３，
４を介して回転可能に軸支された駆動軸を示し、該駆動
軸２の先端側はケーシング１内へと伸長してクランク２
Ａとなり、該クランク２Ａの軸線Ｏ′−Ｏ′は駆動軸２
の軸線Ｏ−Ｏに対して所定寸法ｄだけ偏心している。ま
た、該駆動軸２の基端側はケーシング１の外部で電動モ
−タ（図示せず）に連結され、この電動モ−タによって
回転駆動されるものである。

【０００５】５はケーシング１内に位置して駆動軸２の
クランク２Ａに旋回可能に設けられた旋回スクロールを
示し、該旋回スクロール５は、円盤状に形成された鏡板
５Ａと、該鏡板５Ａに中心側が巻始め端となり、外周側
が巻終り端となって立設されたうず巻き状のラップ部５
Ｂと、鏡板５Ａの背面側中央に設けられたボス部５Ｃと
から構成され、該ボス部５Ｃ内にはクランク２Ａが旋回
軸受６を介して取付けられている。また、該ラップ部５
Ｂの先端側（歯先）と後述する固定スクロール７の鏡板
７Ａ前面側（歯底）との間には、スラスト方向ギャップ
δが画成されている。

【０００６】ここで、前記旋回スクロール５の鏡板５Ａ
の背面外周側には、複数のキー溝が周方向に所定間隔を
もって形成され、該各キー溝には自転防止機構としての
オルダム継手（いずれも図示せず）が配設されている。
そして、旋回スクロール５は駆動軸２が回転駆動する
と、クランク２Ａにより寸法ｄの旋回半径をもった円運
動が与えられ、オルダム継手によって自転が防止される
ことにより、駆動軸２の軸線Ｏ−Ｏを中心にして旋回
（公転）し続けるようになっている。

【０００７】７は旋回スクロール５と対向してケーシン
グ１の軸方向他端側に設けられた固定スクロールを示
し、該固定スクロール７は、その中心が駆動軸２の軸線
Ｏ−Ｏ上に位置して配設された鏡板７Ａと、該鏡板７Ａ
から旋回スクロール５のラップ部５Ｂと同様に立設され
たうず巻き状のラップ部７Ｂと、鏡板７Ａの外周側を取
囲んで一体的に設けられた大径筒状の筒部７Ｃとから大
略構成され、該筒部７Ｃの先端側には、ケーシング１の
フランジ部１Ｄに衝合する取付フランジ７Ｄが一体形成
されている。また、該固定スクロール７のラップ部７Ｂ
先端側（歯先）と旋回スクロール５の鏡板５Ａ前面側
（歯底）との間には、スラスト方向ギャップδが形成さ
れ、固定スクロール７の取付フランジ７Ｄの内周側には
旋回スクロール５の他端面側と摺接してスラスト方向の
荷重を受承するスラスト受部７Ｅが一体形成されてい
る。そして、該固定スクロール７は、取付フランジ７Ｄ
がケーシング１のフランジ部１Ｄに衝合した状態で後述
の取付ボルト９，９，…を介してケーシング１に締着さ
れている。

【０００８】８，８，…は旋回スクロール５のラップ部
５Ｂと固定スクロール７のラップ部７Ｂとの間に画成さ
れた複数の圧縮室を示し、該各圧縮室８は固定スクロー
ル７のラップ部７Ｂに対し旋回スクロール５のラップ部
５Ｂが所定角度だけずらして重なりあった状態で、該旋
回スクロール５が旋回運動をする間に順次縮小する三日
月状に形成されている。

【０００９】９，９，…は固定スクロール７の取付フラ
ンジ７Ｄに周方向に離間して設けられた複数本の取付ボ
ルト（２本のみ図示）を示し、該各取付ボルト９は、固
定スクロール７をケーシング１に締着するものである。

【００１０】１０は固定スクロール７の筒部７Ｃに穿設
された吸込口、１１は固定スクロール７の鏡板７Ａに穿
設された吐出口をそれぞれ示し、該吸込口１０は最外周
側（最低圧側）の圧縮室８と連通し、吐出口１１は最中
央側（最高圧側）の圧縮室８と連通している。また、１
２は駆動軸２に固着されたカウンタウェイトを示し、該
カウンタウェイト１２は駆動軸２の回転バランスをとる
ものである。

【００１１】従来技術によるスクロール空気圧縮機は上
述の如き構成を有するもので、駆動軸２を電動モ−タに
よって回転駆動すると、この回転はクランク２Ａから旋
回軸受６を介して旋回スクロール５に伝えられ、該旋回
スクロール５は駆動軸２の軸線Ｏ−Ｏを中心とし、寸法
ｄの旋回半径をもって旋回運動する。そして、この旋回
運動によって各ラップ部５Ｂ，７Ｂとの間に画成される
圧縮室８，８，…は連続的に縮小し、吸込口１０から吸
込んだ空気を該各圧縮室８内で順次圧縮しつつ、この圧
縮空気を吐出口１１から外部の空気タンク等に吐出し
て、圧縮作用を行う。

【００１２】

【発明が解決しようとする課題】ところで、上述した従
来技術によるスクロール式空気圧縮機では、各鏡板５
Ａ，７Ａの歯底と対向する各ラップ部７Ｂ，５Ｂの歯先
との間に適正なスラスト方向ギャップδを確保すること
によって各圧縮室８間をシールし、圧縮空気が低圧側の
圧縮室８に漏洩するのを防止している。しかし、固定ス
クロール７は、鏡板７Ａが筒部７Ｃの内周側に一体的に
設けられて全体寸法が大きい上に、スラスト方向ギャッ
プδは固定スクロール７の軸方向寸法に比較して極めて
微小な寸法であるから、当該空気圧縮機の組立て時に、
各鏡板５Ａ，７Ａと各ラップ部７Ｂ，５Ｂとの間に適正
なスラスト方向ギャップδを形成するためには、固定ス
クロール７等を高い加工精度をもって形成しなくてはな
らず、特に、該固定スクロール７の軸方向寸法の公差を
小さくする必要がある。

【００１３】このため上述した従来技術によるもので
は、固定スクロール７を高い加工精度をもって形成する
のに非常に手間がかかり、固定スクロール７の加工作業
の作業効率、加工性が大幅に低下し、生産性が低いとい
う問題がある。また、個々の固定スクロール７の加工精
度にバラツキがある場合には、スラスト方向ギャップδ
が適正値と異なってしまうから、各圧縮室８間をシール
することができず、圧縮空気が漏洩して圧縮効率が大幅
に低下する上に、各空気圧縮機毎に性能のバラツキが生
じ、信頼性が大幅に低下するという問題がある。

【００１４】さらに、近年、スクロール式空気圧縮機
は、家電、医療機械等の各分野で多用されており、例え
ば各分野で求められる性能に応じてスラスト方向ギャッ
プδを変更する場合には、固定スクロール７の全体を新
たに形成しなくてはならないから、市場要求に速やかに
対応するのが難しいという問題がある。

【００１５】本発明は上述した従来技術の問題に鑑みな
されたもので、固定スクロールの組付け時に、該固定ス
クロールと旋回スクロールとの間に適正なスラスト方向
ギャップを容易に形成することができ、固定スクロール
の加工作業の作業効率を向上できるようにしたスクロー
ル式流体機械を提供することを目的とする。

【００１６】

【課題を解決するための手段】上述した課題を解決する
ために本発明が採用する構成は、筒状のケーシングと、
該ケーシングの筒部の一端側に回転可能に軸支され、先
端側が該ケーシング内に伸長してクランクとなった駆動
軸と、前記ケーシング内に位置して該駆動軸のクランク
に旋回可能に設けられ、鏡板にうず巻き状のラップ部が
立設された旋回スクロールと、前記ケーシングの筒部の
他端側に配設される支持板と、該支持板の内面側に前記
旋回スクロールと対向するように配設され、鏡板にうず
巻き状のラップ部が立設された固定スクロールと、前記
支持板に設けられ、該固定スクロールを旋回スクロール
側に押し付ける押付けボルトと、該押付けボルトによっ
て前記固定スクロールが旋回スクロール側に押付けられ
た状態で、該固定スクロールを支持板に固定する固定ボ
ルトと、前記ケーシングと支持板との間に設けられ、旋
回スクロールと固定スクロールとの間に所定のスラスト
方向ギャップを形成するギャップ調整部材と、該ギャッ
プ調整部材を介して前記ケーシングに支持板を取付ける
取付ボルトとからなる。

【００１７】

【作用】固定スクロールのラップ部と旋回スクロールの
ラップ部とを組合わせた状態で、押付けボルトにより該
固定スクロールを旋回スクロール側に押圧すると、各ラ
ップ部の歯先が対向する鏡板の歯底に当接し、各スクロ
ールの間のスラスト方向ギャップは実質的に零となる。
そして、この状態で、固定ボルトによって該固定スクロ
ールを支持板に固定し、ケーシングと該支持板との間に
ギャップ調整部材を嵌装すると、該ギャップ調整部材の
厚さ寸法だけ、固定スクロールはケーシングから離間す
る。次に、支持板を、取付ボルトにより該ギャップ調整
部材を介してケーシングに取付けると、旋回スクロール
と固定スクロールとの間に、ギャップ調整部材の厚さ寸
法に応じたスラスト方向ギャップが形成される。

【００１８】

【実施例】以下、本発明の実施例を図１および図２に基
づいて説明する。なお、実施例では前述した図３に示す
従来技術と同一の構成要素に同一の符号を付し、その説
明を省略するものとする。

【００１９】図において、２１はケーシング１の軸方向
他端側に固着された段付筒状の支持板を示し、該支持板
２１は、円板状に形成され、その内面側に後述の固定ス
クロール２５が着脱可能に配設される底部２２と、該底
部２２の外周側からケーシング１に向けて延設された筒
部２３と、該筒部２３の先端側に一体形成され、各取付
ボルト９を介してケーシング１のフランジ部１Ｄに取付
けられる段付筒状の取付フランジ２４とから大略構成さ
れ、該取付フランジ２４の内周側には旋回スクロール５
と摺接してスラスト方向の荷重を受承するスラスト受部
２４Ａが一体形成されている。

【００２０】ここで、前記支持板２１の底部２２には、
中心部に位置して吐出口１１と連通する大径な連通孔２
２Ａと、該連通孔２２Ａの径方向外側に位置し、後述の
押付けボルト２７が挿通される押付けボルト挿通穴２２
Ｂと、連通孔２２Ａの径方向外側に位置して互いに周方
向に離間し、後述の固定ボルト２８，２８，…が挿通さ
れる複数の固定ボルト挿通穴２２Ｃ，２２Ｃ，…（１個
のみ図示）とが形成されている。

【００２１】２５は旋回スクロール５と対向して支持板
２１の底部２２の内面側に配設された本実施例による固
定スクロールを示し、該固定スクロール２５は、従来技
術で述べた固定スクロール７とほぼ同様に、駆動軸２の
軸線Ｏ−Ｏ上に設けられた鏡板２５Ａと、該鏡板２５Ａ
から旋回スクロール５のラップ部５Ｂとほぼ同様に立設
されたうず巻き状のラップ部２５Ｂとから大略構成さ
れ、鏡板２５Ａの中央部には吐出口１１が穿設されてい
る。しかし、該固定スクロール２５は底部２２の内面側
に各固定ボルト２８によって締着され、支持板２１を介
してケーシング１に固定されるものである。また、該固
定スクロール２５の鏡板２５Ａの背面側には、金属材料
等の硬質材料から円板状に形成された押付け座２６が、
底部２２の押付けボルト挿通穴２２Ｂに対応する位置に
埋設して設けられている。そして、該押付け座２６は、
押付けボルト２７による押付け時のスラスト方向の荷重
を受承し、該押付けボルト２７の先端側で固定スクロー
ル２５の鏡板２５Ａが変形、摩耗するのを防止するもの
である。

【００２２】２７は底部２２の押付けボルト挿通穴２２
Ｂ内に挿通された短尺な押付けボルトを示し、該押付け
ボルト２７は固定スクロール２５の組付け時に、その先
端側で押付け座２６を図２中に示す矢示Ａ方向に押圧す
ることにより、該固定スクロール２５を旋回スクロール
５側に向けて押圧するものである。

【００２３】２８，２８，…は底部２２の各固定ボルト
挿通穴２２Ｃに挿通された複数の固定ボルト（１本のみ
図示）を示し、該各固定ボルト２８は、固定スクロール
２５の組付け時に、該固定スクロール２５を底部２２の
内面側に強固に締着するものである。

【００２４】２９はケーシング１のフランジ部１Ｄと取
付フランジ２４との間に挟持されたギャップ調整部材と
しての環状のシムを示し、該シムは、所定の厚さ寸法ｔ
をもって形成されている。そして、該シム２９は、ケー
シング１と支持板２１との間に各取付ボルト９を介して
固定されることにより、スラスト方向ギャップδを厚さ
寸法ｔとほぼ等しくすると共に、ケーシング１と支持板
２１との間をシールするものである。

【００２５】本実施例によるスクロール空気圧縮機は上
述の如き構成を有するもので、その基本的動作について
は従来技術によるものと格別差異はない。そこで、次
に、その組立て方法について説明する。

【００２６】まず、ケーシング１内に駆動軸２等を取付
け、該駆動軸２のクランク２Ａに旋回スクロール５を組
み付けた後、固定スクロール２５を、そのラップ部２５
Ｂが旋回スクロール５のラップ部５Ｂに対して所定の角
度だけずらしてかみ合わせ、旋回スクロール５に取付け
る。次に、支持板２１を固定スクロール２５の外側を覆
うようにして載置した後、取付フランジ２４を各取付ボ
ルト９によってケーシング１のフランジ部１Ｄに取付け
ることにより、支持板２１をケーシング１に固定して仮
止めする。

【００２７】そして、押付けボルト２７によって押付け
座２６を矢示Ａ方向に押圧し、図２に示す如く、各ラッ
プ部５Ｂ，２５Ｂの歯先が対向する鏡板２５Ａ，５Ａの
歯底に当接するまで、固定スクロール２５を旋回スクロ
ール５側に向けて軸方向に押付け、この押付けた状態の
ままで、各固定ボルト２８により該固定スクロール２５
を底部２２の内面側に強固に固定する。これにより、各
鏡板５Ａ，２５Ａの歯底と各ラップ部２５Ｂ，５Ｂの歯
先との間のスラスト方向ギャップδは、実質的に零とな
る。

【００２８】次に、各取付ボルト９を抜いて、一旦、支
持板２１をケーシング１から取り外し、該ケーシング１
のフランジ部１Ｄと取付フランジ２４との間にシム２９
を嵌装する。最後に、取付フランジ２４を、各取付ボル
ト９によりシム２９を介してケーシング１のフランジ部
１Ｄに再び締着し、支持板２１をケーシング１に対して
強固に固定する。これにより、支持板２１は、ケーシン
グ１からシム２９の厚さ寸法ｔだけ軸方向に離間し、図
１に示す如く各鏡板５Ａ，２５Ａと各ラップ部２５Ｂ，
５Ｂとの間に、厚さ寸法ｔとほぼ等しいスラスト方向ギ
ャップδがそれぞれ形成される。

【００２９】かくして、本実施例によれば、支持板２１
の軸方向の長さ寸法が多少ばらついている場合でも、押
付けボルト２７によって固定スクロール２５を旋回スク
ロール５に押付けることにより、容易にそのバラツキを
吸収して調整することができ、各スクロール５，２５間
に、シム２９の厚さ寸法ｔとほぼ等しい適正なスラスト
方向ギャップδを容易に、確実に形成することができ
る。この結果、支持板２１，固定スクロール２５を、従
来技術による固定スクロール７と比較して低い加工精度
で形成することができ、これら支持板２１等の加工作業
の作業効率を効果的に高めて、加工性、生産性を大幅に
向上することができる。また、個々の支持板２１等に加
工精度のバラツキがある場合でも、各空気圧縮機に適正
なスラスト方向ギャップδを容易に形成できるから、各
空気圧縮機間のスラスト方向ギャップδに差異が生じる
のを効果的に防止でき、製品間の性能のバラツキを抑え
て信頼性を大幅に向上することができる。

【００３０】さらに、シム２９の厚さ寸法ｔを変更する
だけで、スラスト方向ギャップδをこの厚さ寸法ｔに応
じて容易に変更できる。この結果、支持板２１等を新た
に形成しなくても、市場要求に応じたスラスト方向ギャ
ップδを有するスクロール式空気圧縮機を速やかに生産
することができる上に、支持板２１，固定スクロール２
５の共通化を図って、品種替え等に効果的に対応するこ
とができる。

【００３１】なお、前記実施例では、ギャップ調整部材
としてのシム２９は環状に形成するものとして述べた
が、これに替えて、例えば２分割、３分割等の複数の扇
状シムを用いてもよい。この場合には、ケーシング１の
フランジ部１Ｄと取付フランジ２４との間にＯリング等
のシール部材を設け、該シール部材によりケーシング１
と支持板２１との間をシールする構成としてもよい。

【００３２】また、前記実施例では、支持板２１の筒部
２３先端側に、取付フランジ２４を一体形成するものと
して述べたが、これに替えて、筒部２３と取付フランジ
２４とを別体に形成し、両者を溶接、接着等の固着手段
を用いて一体化するようにしてもよい。

【００３３】さらに、前記実施例では、スクロール式流
体機械として、無給油式のスクロール式空気圧縮機を例
に挙げて説明したが、本発明はこれに限らず、例えば油
冷式のスクロール式流体機械にも適用することができ、
真空ポンプとしても用いることができる。

【００３４】さらにまた、本発明のスクロール式流体機
械は、圧縮気体としてフロンガス等の冷媒、窒素ガス等
の工業用ガスの圧縮にも広く適用することができる。

【００３５】

【発明の効果】以上詳述した通り、本発明によれば、固
定スクロールのラップ部と旋回スクロールのラップ部と
を組合わせて、押付けボルトにより該固定スクロールを
旋回スクロール側に押圧し、各スクロールの間のスラス
ト方向ギャップを実質的に零とした状態で、固定ボルト
によって該固定スクロールを支持板に固定し、ケーシン
グと該支持板との間にギャップ調整部材を嵌装した後、
支持板を、取付ボルトにより該ギャップ調整部材を介し
てケーシングに取付けることにより、旋回スクロールと
固定スクロールとの間に、ギャップ調整部材の厚さ寸法
に応じたスラスト方向ギャップを容易に形成することが
できる。

【００３６】この結果、支持板，固定スクロールを低い
加工精度で形成することができ、これら支持板等の加工
作業の作業効率を効果的に高めて、加工性、生産性を向
上することができる。また、個々の支持板等に加工精度
のバラツキがある場合でも、個々のスクロール式流体機
械に適正なスラスト方向ギャップを形成できるから、個
々の製品間にスラスト方向ギャップの差が生じるのを効
果的に防止して、製品間の性能にバラツキが生じるのを
防止でき、信頼性を向上できる。さらに、ギャップ調整
部材の厚さ寸法を変更するだけで、スラスト方向ギャッ
プを容易に変更できるから、支持板等を新たに形成しな
くても、市場要求に応じたスラスト方向ギャップを有す
るスクロール式空気圧縮機を速やかに生産することがで
き、品種替え等にも効果的に対応することができる。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明の実施例によるスクロール式空気圧縮機
の完成状態を示す縦断面図である。

【図２】固定スクロールを旋回スクロール側に押付けた
状態を示すスクロール式空気圧縮機の縦断面図である。

【図３】従来技術によるスクロール式空気圧縮機の縦断
面図である。

【符号の説明】

１ ケーシング １Ｃ 円筒部（筒部） ２ 駆動軸 ２Ａ クランク ５ 旋回スクロール ５Ａ，２５Ａ 鏡板 ５Ｂ，２５Ｂ ラップ部 ９ 取付ボルト ２１ 支持板 ２５ 固定スクロール ２７ 押付けボルト ２８ 固定ボルト ２９ シム（ギャップ調整部材）

Claims (1)

(57)【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 筒状のケーシングと、該ケーシングの筒
   部の一端側に回転可能に軸支され、先端側が該ケーシン
   グ内に伸長してクランクとなった駆動軸と、前記ケーシ
   ング内に位置して該駆動軸のクランクに旋回可能に設け
   られ、鏡板にうず巻き状のラップ部が立設された旋回ス
   クロールと、前記ケーシングの筒部の他端側に配設され
   る支持板と、該支持板の内面側に前記旋回スクロールと
   対向するように配設され、鏡板にうず巻き状のラップ部
   が立設された固定スクロールと、前記支持板に設けら
   れ、該固定スクロールを旋回スクロール側に押し付ける
   押付けボルトと、該押付けボルトによって前記固定スク
   ロールが旋回スクロール側に押付けられた状態で、該固
   定スクロールを支持板に固定する固定ボルトと、前記ケ
   ーシングと支持板との間に設けられ、旋回スクロールと
   固定スクロールとの間に所定のスラスト方向ギャップを
   形成するギャップ調整部材と、該ギャップ調整部材を介
   して前記ケーシングに支持板を取付ける取付ボルトとか
   ら構成してなるスクロール式流体機械。