JP3130626B2 - 光情報記録媒体及びその情報記録方式 - Google Patents

光情報記録媒体及びその情報記録方式

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JP3130626B2
JP3130626B2 JP04031948A JP3194892A JP3130626B2 JP 3130626 B2 JP3130626 B2 JP 3130626B2 JP 04031948 A JP04031948 A JP 04031948A JP 3194892 A JP3194892 A JP 3194892A JP 3130626 B2 JP3130626 B2 JP 3130626B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、有機色素系記録層を備
えた追記型の光情報記録媒体と、それを用いた情報の記
録方式とに係り、さらに詳しくは、信号変調度の高い記
録ピットの形状と、情報の再生特性を改善する方法とに
関する。
【0002】
【従来の技術】コンパクトディスク(CD)プレーヤや
ビデオディスク(VD)プレーヤの普及に伴い、ユーザ
自身がディジタルオーディオ信号又はディジタルビデオ
信号を追記可能で、CDプレーヤ又はVDプレーヤにか
けて信号を再生可能な光情報記録媒体、すなわち追記型
CD及び追記型VDの開発が行なわれている。
【0003】従来より、この種の光情報記録媒体として
は、 基板上に有機色素を主成分とする記録層を担持し、該
記録層の背面側に金属材料よりなる反射層を積層した構
造を有し、記録層がレーザ光を吸収して発熱したとき、
その熱によって記録層を融解又は分解すると共に基板を
軟化し、基板と記録層との界面に記録層材料と基板材料
の混合物を形成することで記録ピットを形成するといっ
た記録メカニズムを有するもの(特開平2−16844
6)、 前記と同様の構造を有し、記録層がレーザ光を吸収し
て発熱したとき、その熱によって記録層を分解し、基板
と記録層との界面に記録層材料の分解物を残留させるこ
とで記録ピットを形成するといった記録メカニズムを有
するもの(特開平2−244437)、 前記と同様の構造を有し、記録層がレーザ光を吸収し
て発熱したとき、その熱によって記録層を分解してガス
を発生し、記録層内に空隙を形成することで記録ピット
を形成するといった記録メカニズムを有するもの(特開
平2−244437)、 前記と同様の構造を有し、記録層がレーザ光を吸収し
て発熱したとき、その熱によって記録層を分解してガス
を発生し、そのガス圧にて反射層を凸状に変形すること
で記録ピットを形成するといった記録メカニズムを有す
るもの(特開平3−63943、特開平3−5833
3)、 前記と同様の構造を有し、記録層がレーザ光を吸収し
て発熱したとき、その熱によって記録層を分解すると共
に基板を軟化し、記録層が分解することで発生したガス
圧にて基板及び反射層を変形することで記録ピットを形
成するといった記録メカニズムを有するもの(特開平3
−63943、特開平3−58333)、等が提案され
ている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】ところが、前記、
、に示した光情報記録媒体のように、記録ピット部
に反射層の変形を伴わないものは、記録層の光透過率変
化や記録層及び/又は基板の変形による光の散乱などだ
けに基づいて信号が記録されるので、信号変調度が小さ
く、また、記録層の劣化すなわち透明化に伴って記録ピ
ットが消失しやすいという問題がある。従来より、記録
層の耐光性を改善するために、例えば一重項酸素クエン
チャなどの安定剤を記録層に添加する等の試みがなされ
ているが、未だ充分な保存安定性を有するには至ってい
ない。
【0005】一方、前記、に示した光情報記録媒体
のように、記録ピット部に反射層の変形を伴うものは、
記録層及び/又は基板の光学特性の変化のみならず、反
射層の変形による光の多重干渉によっても信号が記録さ
れるため、前記、、の光情報記録媒体に比べてよ
り大きな信号変調度を得ることができ、また、記録層が
透明化した後も記録ピットを保存することができるの
で、情報の保存安定性に優れる。ところが、前記、
の光情報記録媒体は、記録層の変形が不充分であるため
に反射層の変形も不充分であり、記録層劣化以前はとも
かく、記録層が劣化すると実用上充分な信号変調度を得
られない。
【0006】また、既存のCDプレーヤ又はVDプレー
ヤに適用することを前提とする追記形CD又は追記形V
Dは、70%以上の反射率を有することが求められる
が、色素系記録層を有する光情報記録媒体は、記録層の
光透過率が低いために前記のような高い反射率を得るこ
とが難しく、使用可能な記録層材料及び反射膜材料それ
にそれらの膜厚が制約されるなど、適正な光情報記録媒
体の製造が難しいという問題がある。
【0007】上記の不都合を解決するためには、記録ピ
ット部の反射層の変形を大きくする必要がある。本発明
は、かかる課題を解決するためになされたものであっ
て、その目的は、CDプレーヤ又はVDプレーヤで再生
可能な信号を記録するに好適な光情報記録媒体を提供す
るにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】本発明は、前記の目的を
達成するため、少なくとも透明基板と、該透明基板上に
担持された有機色素を主成分とする記録層と、該記録層
の背面側に積層された金属材料よりなる反射層とを備え
た構造を有し、レーザ光照射部分に微細な凹凸状の記録
ピットを生じさせて情報を記録する光情報記録媒体であ
って、前記記録ピットの生成部分では前記透明基板と記
録層と反射層とがすべて変形し、前記記録ピットの生成
部分における前記透明基板の変形が前記記録層側の界面
の膨張変形であり、 かつ前記記録ピットの生成部分に
おける前記記録層の変形が、前記反射層側への膨張変形
モードと前記透明基板側への陥没変形モードの双方を含
むか、あるいは前記反射層側への膨張変形モードと空隙
形成モードの双方を含むようにした。
【0009】また、情報記録方式については、少なくと
も透明基板と、該透明基板上に担持された有機色素を主
成分とする記録層と、該記録層の背面側に積層された金
属材料よりなる反射層とを備えた構造を有する光情報記
録媒体に信号変調されたレーザ光を照射し、レーザ光照
射部分に微細な凹凸状の記録ピットを生じさせて情報を
記録する光情報記録媒体の情報記録方式において、前記
記録ピットを形成した後、前記記録層を意図的に脱色す
るといった構成をとった。
【0010】
【作用】反射層の変形は、その下地である記録層及び透
明基板の変形に応じた形で生じる。記録ピットの生成部
分において、透明基板と記録層と反射層とがすべて変形
し、記録ピットの生成部分における透明基板の変形が前
記記録層側の界面の膨張変形であり、しかも該記録ピッ
トの生成部分における記録層の変形が、膨張変形モード
及び陥没変形モードの双方、あるいは膨張変形モードと
空隙形成モードの双方を含んで生じると、それに応じて
反射層が大きく変形し、大きな信号変調度を得ることが
できる。また、反射層の変形によって大きな信号変調度
が得られれば、記録層の光透過率変化や記録層及び/又
は基板の変形による光の散乱などに基づく信号が消失し
てしまっても、信号の再生に何の不都合もない。よっ
て、記録ピットを形成した後に前記記録層を意図的に脱
色することができ、これによって光情報記録媒体の反射
率を高めることができるので、反射膜材料及び記録層材
料の選定それにそれらの膜厚の設定が容易になり、製造
工程の簡略化、良品の歩留の向上、ひいては製造コスト
の低減を図ることができる。
【0011】
【実施例】まず、本発明に係る光情報記録媒体の一構造
を、図1に基づいて説明する。図1は記録ピット形成前
の状態を示す光情報記録媒体の要部断面図である。
【0012】図1に示すように、本例の光情報記録媒体
は、透明基板1上に直接記録層2を形成し、該記録層2
の表面(透明基板1側から見て記録層2の背面側)に反
射層3を積層し、さらに該反射層3の表面に保護層4を
被着した構造になっている。
【0013】透明基板1は、例えばポリカーボネート
(PC)、ポリメチルメタクリレート、ポリメチルペン
テン、ポリオレフィン、エポキシなどの透明なプラスチ
ック材料をもって、中心部にセンター孔を有する所望直
径の円板形に形成される。なお、この透明基板1の記録
層2形成面側には、記録/再生用のレーザビームを案内
するための案内溝やプリピット列が、前記センター孔を
中心とする渦巻状又は同心円状にプリフォーマットされ
るが、それらの形状や配列それに形成方法は公知に属す
る事項であり、かつ本発明の要旨とは直接関係がないの
で、図示及び説明を省略する。
【0014】記録層2は、レーザ光を吸収して発熱する
と共に、融解、分解、昇華等の熱的変形を生じる難水溶
性の有機色素材料を主成分とするヒートモード記録材料
をもって構成される。前記有機色素材料としては、ポリ
メチン系色素、アントラキノン系色素、シアニン系色
素、フタロシアニン系色素、キサンテン系色素、トリフ
ェニルメタン系色素、ピリリウム系色素、アズレン系色
素、含金属アゾ染料などを用いることができる。熱分解
エネルギを高めるために、該記録層2のレーザ光吸収率
は、15%以上であることが必要であり、20%以上あ
ることがより望ましい。記録層2は、所謂スピン塗布法
を用いて透明基板1上に形成できる。
【0015】反射層3は、レーザ光の反射率及び延性
(ヤング率)が高く、熱伝導率が低い金属材料を用いて
形成される。熱伝導率は2.0cal/cm・sec・
deg(ただし、18℃時)以下であることが好まし
く、ヤング率は6.0×10~9N/m2 以上であること
が好ましい。具体的には、金、銀、銅、アルミニウム、
又はこれらの金属材料群から選択された2以上の金属の
合金、もしくは前記金属材料群から選択された1以上の
金属と他の元素との合金等を用いることができる。な
お、反射層3の膜厚は、薄いほど変形が容易になるが、
薄すぎると光透過率が高くなって熱エネルギ損失が大き
くなり、また変形後の形状保持力が小さくなるという不
利益があるため、その膜厚は、10nm〜60nm程度
が好ましい。該反射層3の成膜方法としては、例えば真
空蒸着やスパッタリングなどの真空成膜法を用いること
ができる。
【0016】保護層4は、例えばSiO2 ,ZnO,T
iN,SiN,TiO2 などの無機材料、またはアクリ
ル系樹脂、ポリアミド系樹脂、ビニル系樹脂、エポキシ
樹脂、シランカップリング剤などの有機高分子材料をも
って形成できるが、成膜が容易であることなどから、ア
クリル系樹脂などの紫外線硬化性樹脂が特に好ましい。
該保護層4は、使用する材料に応じて適宜の方法で成膜
される。すなわち、保護層材料として無機材料を用いる
場合には、真空蒸着やスパッタリングなどの真空成膜法
が好適であり、保護層材料として有機高分子材料を用い
る場合には、真空成膜法のほか、スピン塗布法やロール
コート法、それにプラズマ重合法などを用いることもで
きる。
【0017】次に、前記構造の光情報記録媒体の記録メ
カニズムを、図2〜図4に基づいて説明する。図2は低
パワー記録時の状態図、図3は中パワー記録時の状態
図、図4は高パワー記録時の状態図である。
【0018】前記実施例の光情報記録媒体は、これらの
図に示すように、レーザ光照射部分に微細な凹凸状の記
録ピット11を生じることで情報が記録される。記録ピ
ット11の生成部分では、透明基板1と記録層2と反射
層3とがすべて変形し、記録ピット11の生成部分にお
ける透明基板1の変形が記録層2側の界面の膨張変形で
あり、かつ該記録ピット11の生成部分における記録層
1の変形が、反射層3側への膨張変形モードと前記透明
基板側への陥没変形モードの双方を含むか、あるいは前
記反射層側への膨張変形モードと空隙形成モードの双方
を含んでいる。変形のモード及び大きさは、記録パワー
の大小によって、図2〜図4のように変化する。
【0019】記録パワーが比較的小さい場合には、図2
に示すような変形モードとなる。すなわち、記録層2に
記録レーザ光が合焦されると、記録層2がレーザ光を吸
収して発熱し、記録層2とそれに接した透明基板1の一
部が昇温される。そして、熱変形温度(PC基板の場
合、132℃)を超えた透明基板1の一部が熱膨張し、
膨張部12が形成される。また、これに伴って、記録層
2及び反射層3にも夫々膨張部13,14が形成され
る。記録層2の発熱量は記録レーザ光の照射時間にほぼ
比例し、記録レーザ光の照射時間は記録レーザ光の走査
開始点よりも下流側の方が長くなるから、記録レーザ光
を記録トラックに沿って走査した場合、前記膨張部13
の下流側がより高温になり、記録層2の一部に熱分解を
生じる。そして、その際に発生するガス圧によって、高
温部における透明基板1の膨張が逆に抑制されると共
に、熱分解によって記録層2の密度が疎になるため、当
該高温部における記録層2に陥没部15を生じ、またこ
れに伴って反射層3にも陥没部16を生じる。熱分解に
伴って発生したガスは、気泡17として記録層2内に残
留する。
【0020】記録パワーがこれよりも大きい場合には、
図3に示すような変形モードとなる。すなわち、記録レ
ーザ光の走査開始点付近においては、前記と同様に透明
基板1の一部に膨張部12が形成され、またこれに伴っ
て、記録層2及び反射層3にも夫々膨張部13,14が
形成される。記録レーザ光の走査開始点よりも下流部分
では、より高温になって記録層2を構成する有機色素が
完全に熱分解し、透明基板1の表面に達する空隙部18
を生じる。また、有機色素が熱分解する際に発生するガ
ス圧によって軟化した透明基板1が下向きに押圧され、
2つ目の膨張部12aが形成されると共に、反射層3が
上向きに押し上げられて、反射層3の膨張量が大きくな
る。
【0021】記録パワーがさらに大きくなると、図4に
示すような変形モードとなる。すなわち、透明基板1の
熱膨張が記録レーザ光の走査方向に拡大し、有機色素が
熱分解する際に発生するガス圧によっては、透明基板1
の膨張を完全に抑制することができなくなる。そのた
め、第1の基板膨張部12と第2の基板膨張部12aと
の間12cも元の基板表面より膨張する。また、記録パ
ワーの増大に伴って有機色素の分解温度に達する領域も
大きくなるが、前記したように基板の膨張部が記録レー
ザ光の走査方向に拡大するため、これに伴って空隙部1
8及び反射層3の膨張部14も記録レーザ光の走査方向
に拡大する。
【0022】記録パワーは、光情報記録媒体に対するレ
ーザビームスポットの走査線速度、記録ピットの長さ、
記録ピット間の距離などによって変動するので、一般に
光情報記録媒体上には、図2〜図4に示す各種の記録ピ
ットが混在して形成されるが、これら各種の記録ピット
のうちでは、図3の記録ピットから再生される信号のレ
ベルが最も大きくなる。したがって、記録レーザパワー
等、記録条件の設定に当っては、これを考慮し、図3に
示すような記録ピットがより多く形成されるような条件
設定がなされる。
【0023】以下に、本発明に係る光情報記録媒体のよ
り具体的な実施例を挙げ、その効果を実験例によって明
らかにする。 〈実施例1〉片面にトラックピッチが1.6μmの渦巻
状案内溝を有するPC基板を射出成形法によって成形し
た。次に、該PC基板の案内溝形成面に、図5に示す化
学構造式を有するインドレニンシアニン色素(日本感光
色素研究所製のHN−08)と図6に示す化学構造式を
有するアミニウム系色素(日本化薬製のIRG−01
0)とを10:3の重量比で混合してなる有機色素材料
をスピン塗布し、膜厚が150nmの記録層を形成し
た。さらに、該記録層上に、金をスパッタリングし、膜
厚が60nmの反射層を積層し、所望の光ディスクとし
た。本実施例の光ディスクの断面構造を、図7に示す。
同図において、1は透明基板、2は記録層、3は反射層
を示している。
【0024】実施例1の光ディスクに波長が780n
mの半導体レーザを用いて信号を記録し、再生C/Nを
測定した。信号の記録条件は、レーザビームスポットの
線速を1.2m/sec、記録周波数を131KHz、
記録パルス幅を694nsとし、記録パワーを4mW,
6mW,8mWの3段階に切り換えて、3種類の記録を
行なった。その結果、記録パワーが4mW,6mW,8
mWと上昇するにしたがって、再生C/Nが51.2d
B、62.1dB、61.8dBと変化しており、4m
W〜8mWの間に再生C/Nが最大となる記録パワー領
域があることがわかった。
【0025】4mW,6mW,8mWの各記録パワー
で信号を記録したのち、記録ピット形成部における透明
基板1、記録層2、反射層3の各表面形状をAFM(At
omicForce Microscope)を用いて観察したところ、図8
の結果が得られた。なお、各試料は、以下のとおりであ
る。反射層3の表面形状観察用試料は、記録済の光ディ
スクを適度な大きさに裁断したものを用いた。記録層2
の表面形状観察用試料は、反射層3の表面形状観察用試
料の反射層を機械的に剥離したものを用いた。透明基板
1の表面形状観察用試料は、記録層2の表面形状観察用
試料をメタノール溶液中で5分間超音波洗浄し、記録層
を洗い流したものを用いた。図8から明らかなように、
透明基板1の変形は、記録パワーが4mWである場合に
は膨張部12が1つであるが、記録パワー6mW及び8
mWになると、膨張部が12と12aの2つに分かれ
る。また、記録層2では、膨張部13の下流側に陥没部
15が形成されており、記録ピットが2段階に分かれて
形成されることがわかる。さらに、記録パワーが4mW
の場合には、反射膜3に膨張部14と陥没部16とが形
成されるが、記録パワーが高くなると、膨張部のみが形
成されることがわかる。
【0026】信号の記録条件を、線速が10.0m/
sec、記録周波数が5MHz、記録パルス幅が100
ns、記録パワーが10mWになるように変更しても、
上記、と同様の結果が得られた。
【0027】実施例1の光ディスクに、線速が1.2
m/secで、3Tduty20%(記録周波数720
KHz、記録パルス幅278ns)の信号を記録パワー
7mWで記録したところ、再生信号の変調度は59%で
あった。その後、当該記録済光ディスクに10万ルクス
のキセノンランプを照射して記録層2を脱色させ、脱色
後の光ディスクについてデータ再生を行なったところ、
再生信号の変調度は45%であり、3T信号記録時にお
ける変調度のCD規格である30〜60%をクリアして
いることがわかった。また、記録層脱色前の光ディスク
の反射率は72%であるのに対して、脱色後は95%で
あった。これらのことから、本例の光ディスクは、信号
記録後に記録層を意図的に脱色するといった情報記録方
式をとった場合にも、CDプレーヤを用いた情報の再生
が可能であることがわかる。
【0028】信号の記録条件を、線速が10.0m/
sec、記録周波数が5MHz、記録パルス幅が100
ns、記録パワーが10mWになるように変更して信号
の記録を行ない、前記と同様にして記録層3を脱色さ
せた。記録層2の脱色前後で記録データを再生してC/
Nを測定したところ、脱色前が61.3dBであるのに
対して、脱色劣化後も60.5dBの再生C/Nを有し
ていた。この結果より、高線速で信号を記録した場合に
も、記録層脱色後のデータ再生が可能であることがわか
る。
【0029】〈実施例2〉前記実施例1で用いたと同じ
PC基板の案内溝形成面に、前記実施例1で用いたと同
じ有機色素系の記録層及び金製の反射層を順次積層した
後、該反射層上に膜厚が2μmの紫外線硬化樹脂(大日
本インキ社製のSD−17)製の保護層を形成して所望
の光ディスクとした(図1参照)。保護層は、反射層上
に紫外線硬化樹脂をスピンコートした後、該樹脂層に紫
外線を照射して硬化させることで形成した。本例の光デ
ィスクについて、前記〜の試験を行なったところ、
前記と同様の結果が得られた。
【0030】〈実施例3〉前記実施例1で用いたと同じ
PC基板の案内溝形成面に、前記実施例1で用いたと同
じ有機色素系の記録層を形成した。次いで、この記録層
上に金属反射膜よりも熱伝導率が低い物質からなる断熱
層を設けた。以下、前記実施例1,2と同様に金製の反
射層を積層し、さらにこの反射層上に実施例2と同じ紫
外線硬化樹脂製の保護層を形成して所望の光ディスクと
した。本実施例の光ディスクの断面構造を、図9に示
す。同図において、1は透明基板、2は記録層、3は反
射層、4は保護層、5は断熱層を示している。断熱層5
は、ポリビニルアルコールなどの水溶性の高分子層をス
ピン塗布したり、SiO2 ,ZnO,TiN,SiN,
TiO2 などの無機材料、又はアクリル系樹脂、ポリア
ミド系樹脂、ビニル系樹脂、フッ素系樹脂、エポキシ樹
脂、シランカップリング剤などの有機高分子材料をスパ
ッタリングもしくは真空蒸着等することによって形成で
きる.その膜厚は、5nm〜100nm程度とすること
が好ましい。断熱層5として、ポリテトラフルオロエチ
レン層が20nmの膜厚にスパッタリングされた本例の
光ディスクについて、前記〜の試験を行なったとこ
ろ、断熱層5を有しない光ディスクの反射率は70.2
%であるのに対して、断熱層を設けたものは、80.6
%に上昇していた。これは、記録層2と反射層3との間
に介設された透明な断熱層5が、レーザビームを多重干
渉させるためであると考察される。また、本例の光ディ
スクは、断熱層5を有しない実施例2の光ディスクに比
べて、記録ピット部形成部における透明基板1、記録層
2、反射層3の変形量が、10〜50%も大きくなっ
た。これは、断熱層5を設けた結果、反射層3を伝わっ
て逃げる熱量が低減され、記録層における熱効率が上昇
したためであると考察される。その他、記録層2を脱色
した場合の効果については、前記各実施例と同様の結果
が得られた。
【0031】〈実施例4〉前記実施例3における金反射
層を、アルミニウム反射層に代えて所望の光ディスクと
した。本例の光ディスクは、71.3%の反射率を有し
ており、CD規格である70%以上の反射率をクリアし
ていることがわかった。これは、記録層2と反射層3と
の間に介設された透明な断熱層5が、レーザビームを多
重干渉させるためであると考察される。また、本例の光
ディスクについて、前記〜の試験を行なったとこ
ろ、前記と同様の結果が得られた。
【0032】なお、光情報記録媒体の断面構造は、前記
各実施例に限定されるものではなく、必要に応じて他の
層を任意の界面に追加することもできる。例えば、透明
基板と記録層との界面にポリテトラフルオロエチレン層
を設け、透明基板、記録層、反射層の変形を促進するよ
うにすることもできる。その他、光情報記録媒体を構成
する各部の材質については、前記各実施例に関わらず、
必要に応じて所望の材質を選択することができる。
【0033】
【発明の効果】以上説明したように、本発明によると、
記録ピットの生成部分において、透明基板1と記録層2
と反射層3とがすべて変形し、記録ピットの生成部分に
おける透明基板の変形が記録層側の界面の膨張変形であ
り、しかも該記録ピットの生成部分における記録層の変
形が、膨張変形モード及び陥没変形モードの双方、ある
いは膨張変形モードと空隙形成モードの双方を含んで生
じる。このため、反射層が大きく変形し、大きな信号変
調度が得られる。また、このことより、記録層の光透過
率変化や記録層及び/又は基板の変形による光の散乱な
どに基づく信号が消失してしまっても、信号の再生に何
の不都合もない。よって、記録ピットを形成した後に前
記記録層を意図的に脱色することができ、これによって
光情報記録媒体の反射率を高めることができるので、反
射膜材料及び記録層材料の選定それにそれらの膜厚の設
定が容易になり、製造工程の簡略化、良品の歩留の向
上、ひいては製造コストの低減を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】第1実施例に係る光情報記録媒体の要部断面図
である。
【図2】図1の光情報記録媒体の低パワー記録時の状態
を示す要部断面図である。
【図3】図1の光情報記録媒体の中パワー記録時の状態
を示す要部断面図である。
【図4】図1の光情報記録媒体の高パワー記録時の状態
を示す要部断面図である。
【図5】記録層を構成する有機色素の一例を示す化学構
造式である。
【図6】記録層に添加される有機色素の一例を示す化学
構造式である。
【図7】第2実施例に係る光情報記録媒体の要部断面図
である。
【図8】記録ピット形成部における透明基板、記録層、
反射層の表面形状を示すAFMデータ図である。
【図9】第3実施例に係る光情報記録媒体の要部断面図
である。
【符号の説明】
1 透明基板 2 有機色素系記録層 3 金属反射層 4 保護層 5 断熱層11 記録ピット 12,12a,13,14 膨張部 15,16 陥没部 17 気泡 18 空隙部
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) G11B 7/24 G11B 7/0045 G11B 7/26

Claims (6)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 少なくとも透明基板と、該透明基板上に
    担持された有機色素を主成分とする記録層と、該記録層
    の背面側に積層された金属材料よりなる反射層とを備え
    た構造を有し、レーザ光照射部分に微細な凹凸状の記録
    ピットを生じさせて情報を記録する光情報記録媒体であ
    って、前記記録ピットの生成部分では前記透明基板と記
    録層と反射層とがすべて変形し、前記記録ピットの生成
    部分における前記透明基板の変形が前記記録層側の界面
    の膨張変形であり、かつ前記記録ピットの生成部分にお
    ける前記記録層の変形が、前記反射層側への膨張変形モ
    ードと前記透明基板側への陥没変形モードの双方を含む
    か、あるいは前記反射層側への膨張変形モードと空隙形
    成モードの双方を含んでいることを特徴とする光情報記
    録媒体。
  2. 【請求項2】 請求項1記載において、前記反射層の変
    形が、前記透明基板から離隔する方向への膨張変形モー
    ドのみからなることを特徴とする光情報記録媒体。
  3. 【請求項3】 請求項1記載において、前記反射層の変
    形が、前記透明基板から離隔する方向への膨張変形モー
    ドと前記透明基板側への陥没変形モードの双方を含んで
    いることを特徴とする光情報記録媒体。
  4. 【請求項4】 請求項1記載において、前記記録層の変
    形が、前記透明基板の変形に伴うものであることを特徴
    とする光情報記録媒体。
  5. 【請求項5】 請求項1記載において、前記記録層の陥
    没変形が、前記透明基板の表面に達していることを特徴
    とする光情報記録媒体。
  6. 【請求項6】 少なくとも透明基板と、該透明基板上に
    担持された有機色素を主成分とする記録層と、該記録層
    の背面側に積層された金属材料よりなる反射層とを備え
    た構造を有する光情報記録媒体に信号変調されたレーザ
    光を照射し、レーザ光照射部分に微細な凹凸状の記録ピ
    ットを生じさせて情報を記録する光情報記録媒体の情報
    記録方式において、前記記録ピットを形成した後、前記
    記録層を意図的に脱色することを特徴とする光情報記録
    媒体の情報記録方式。
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