JP3129765B2 - 薄膜磁気ヘッド - Google Patents

薄膜磁気ヘッド

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JP3129765B2
JP3129765B2 JP03155681A JP15568191A JP3129765B2 JP 3129765 B2 JP3129765 B2 JP 3129765B2 JP 03155681 A JP03155681 A JP 03155681A JP 15568191 A JP15568191 A JP 15568191A JP 3129765 B2 JP3129765 B2 JP 3129765B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、薄膜磁気ヘッドに関す
る。
【0002】
【従来の技術】従来より、磁気ディスク装置には、磁気
記録媒体の走行によって生じる動圧を利用して、磁気記
録媒体との間に微小な空気ベアリングによる間隙を保っ
て浮上する薄膜磁気ヘッドが用いられている。その基本
的な構成は、磁気記録媒体と対向する面側に空気ベアリ
ング面を有するスライダの媒体流出端部側に薄膜磁気変
換素子を備える構造となっている。図11は米国特許第
4,856,181号明細書等で知られたこの種の薄膜磁気ヘッ
ドの基本的な構造を示し、セラミック構造体でなるスラ
イダ1の媒体対向面側に、間隔をおいて2本のレール部
101、102を突設し、レール部101、102の表
面を高度の平面度を有する空気ベアリング面103、1
04とすると共に、レール部101、102の媒体流出
方向aの端部のそれぞれに薄膜磁気変換素子2を設けて
ある。
【0003】図12を参照すると、スライダ1は、Al2O
3 −TiC (以下アルティックと称する)等で構成される
基体部分110に、アルミナ等でなる絶縁膜120をス
パッタ等の手段によって付着させた構造となっていて、
絶縁膜120の上に薄膜磁気変換素子2を設けてある。
薄膜磁気変換素子2はIC製造テクノロジと同様のプロ
セスにしたがって形成された薄膜素子である。21はパ
ーマロイ等でなる下部磁性膜、22はアルミナ等で形成
されたギャップ膜、23はパーマロイ等でなる上部磁性
膜、24はコイル、251〜253はフォトレジスト等
で形成された膜間絶縁膜、26はアルミナ等の保護膜、
27、28はリード導体である。
【0004】下部磁性膜21及び上部磁性膜23は、先
端部がギャップ膜22を介して対向する下部ポール部2
11及び上部ポール部231となっていて、下部ポール
部211、ギャップ膜22及び上部ポール部231によ
り、変換ギャップを構成している。下部ポール部211
及び上部ポール部231にはヨーク部212、232が
連続しており、ヨーク部212、232は後方の結合部
233において磁気回路を完成するように互いに結合さ
れている。コイル24は結合部233のまわりを渦巻状
にまわるように形成されている。コイル24の両端はリ
ード導体27、28に接続されている。リード導体2
7、28は取出電極41、42を形成する領域まで導出
され、その端部に取出電極41、42が形成されてい
る。取出電極41、42の周りは薄膜磁気変換素子2の
全体を保護する保護膜26によって覆われている。
【0005】図13は従来の薄膜磁気ヘッドの書き込み
時の磁界分布を示す図である。aは媒体走行方向、Mは
磁気ディスク等の磁気記録媒体を示している。L2は書
き込み時の磁界分布、M0は磁化反転部、m1、m2は
磁化方向、X1は磁化反転領域をそれぞれ示している。
磁化反転領域X1は、主として、媒体流出側のポール
部、即ち、媒体走行方向aで見て後方に位置するポール
部(図示の場合上部ポール部231)側の磁界によって
決まる。
【0006】図14は従来の薄膜磁気ヘッドの再生波形
L1を示す図である。再生波形L1は図13に示した磁
界分布を有する薄膜磁気ヘッドを使用して磁気記録媒体
に記録した信号を、同じ薄膜磁気ヘッドで再生した場合
の波形であり、横軸に時間軸をとり、縦軸に瞬時値eと
最大値Emとの比(e/Em)を百分率で表示してあ
る。L11、L12はアンダーシュートを示している。
PW50は(e/Em)が50%になるパルス幅を示し
ている。PW50値は再生波形L1の鋭化の程度を示
し、PW50値が小さければ再生波形L1は鋭くなり、
大きくなれば鈍化する。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上述し
た従来の薄膜磁気ヘッドには次のような問題がある。(A)下部ポール部211及び上部ポール部231のト
ラック方向幅は、下部磁性膜21及び上部磁性膜23を
フォトリソグラフィによって形成する時のパターンニン
グによって決定されてしまい、後で変更することができ
ない。このため、トラック方向幅が所定の値に入ってい
ない場合は、不良品となる等、歩留の低下 を招く。 (B)高密度記録に対応するためには、下部磁性膜21
の下部ポール部211及び上部磁性膜の上部ポール部2
31のトラック方向幅を狭小化しなければならない。と
ころが、下部ポール部211及び上部ポール部231の
トラック方向幅は、下部磁性膜21及び上部磁性膜23
をフォトリソグラフィによって形成する時のパターンニ
ングによって決定されてしまい、後で変更することがで
きない。このため、高密度記録に対応することができな
い。 スライダを磁性基板によって構成するこの種の薄膜
磁気ヘッドにおいて、トラック幅の狭小化のために転用
できる先行技術としては、例えば、特開昭59ー161
15号公報に開示された技術を挙げることができる。こ
の先行技術では、スライダとなる磁性基板の磁気記録媒
体摺動面において、記録トラック部以外の部分の少なく
とも一部を除去する。記録トラック部以外の部分の少な
くとも一部を除去する手段としては、ダイシングソー、
ワイヤーソー、イオンミリング、ドライエッチング等が
用いられ、所定の溝を設ける。 しかしながら、磁気記録
媒体摺動面に溝を設ける構造では、加工時のみならず、
読み書き動作時において溝内にダストが入り、このダス
トが読み書き動作時に、磁気記録媒体摺動面と、媒体と
の間に生じる浮上隙間に流出し、ヘッドクラッシュ等、
致命的な障害を及ぼす危険性がある。 特開昭59ー16
115号公報は、そのような問題点を解決する手段とし
て、溝内に非磁性材料を充填する技術を開示している。
しかしながら、この場合には、溝内に非磁性材料を充填
する工程が必要であるため、工程数が増える。 (C)高密度記録に対応するためには、再生波形L1を
鋭化し、隣接パルスの相互干渉を防止する必要がある。
再生波形L1の鋭化の程度は、前述したようにPW50
値によって評価する。薄膜磁気ヘッドの磁界分布L2
は、主として、ポール部上部ポール部231及び下部ポ
ール部211の端面形状によって定まる。従来の薄膜磁
気ヘッドでは、上部ポール部231及び下部ポール部2
11の端面の厚みTA、TBによって定まる以上には、
磁界分布L2を鋭化することができない。また、再生波
形L1は、磁界分布L2の他に、磁気記録媒体の磁性膜
に不可避的に生じる保磁力Hcの差(保磁力分布)によ
っても鈍化する。このため、再生波形L2をより一層鋭
化することが困難で、高密度記録を達成する上の一つの
大きな障害になっていた。 (D)上部ポール部231及び下部ポール部211の厚
みTA、TB(図14参照)を小さくすれば、再生波形
を鋭化できる。しかしながら、上部ポール部231及び
下部ポール部211の厚みTA、TBを小さくすると磁
気飽和が起こり、書き込み能力が低下し、オーバライト
特性が劣化する。 (E)図14に示すように、再生波形は上部ポール部2
31及び下部ポール部211の端縁に対応する位置でア
ンダーシュートL11、L12を生じる。アンダーシュ
ートL11、L12は、特にポール部厚みの薄い薄膜磁
気ヘッドにおいて、顕著に現われる。薄膜磁気ヘッドに
おいては、バルク型磁気ヘッドと異なって、磁気記録媒
体Mの走行方向aで見た上部ポール部231及び下部ポ
ール部211の端部の厚みが薄く、有限であるため、パ
ルスの他に、上部ポール部231及び下部ポール部21
1の各端部による疑似パルスが発生するためである。
【0008】アンダーシュートL11、L12の存在
は、高密度記録の場合、ピークシフトを大きくするた
め、読み出しのエラーマージンもしくは位相マージンに
限界を生じ、高密度記録の大きな障害となる。 (F)スライダ1がアルティック等の硬度の高い材料を
用いて構成されているため、磁気記録媒体に対するダメ
ージが大きくなること、スライダ1の加工に多大の労
力、時間を必要とし、コスト高になること等の難点があ
る。 (G)アルティック等で構成されたスライダ1の基体部
分110に、アルミナ等でなる絶縁膜120を付着させ
た後、絶縁膜120の上に、IC製造テクノロジーと同
様のプロセスによって、下部ポール部211を有する下
部磁性膜21を形成しなければならない。このため、工
程数が多くなる。 (H)下部磁性膜21の下部ポール部211及び上部磁
性膜の上部ポール部231のトラック方向幅は、下部磁
性膜21及び上部磁性膜23をフォトリソグラフィによ
って形成する時のパターンニングによって決定されてし
まい、後で変更することができない。このため、トラッ
ク方向幅が所定の値に入っていない場合は、不良品とな
る等、歩留の低下を招く。
【0009】本発明の課題は、高密度記録対応を図ると
共に、加工性、耐久性及び摺動性を向上させた低コスト
のスライダを有する薄膜磁気ヘッドを提供することであ
る。本発明のもう一つの課題は、磁界分布及び再生波形
を鋭化して高密度記録対応を図ると共に、書き込み能力
を向上させ、しかも加工性、耐久性及び摺動性を向上さ
せた低コストのスライダを有する薄膜磁気ヘッドを提供
することである。
【0010】
【課題を解決するための手段】上述した課題解決のた
め、本発明に係る薄膜磁気ヘッドは、スライダと、前記
スライダの一端側に備えられた薄膜磁気変換素子とを有
する。前記スライダは、磁性体で構成され、2つの非磁
性領域を有する。前記2つの非磁性領域は、前記薄膜磁
気変換素子を設けた一端側において、空気ベアリング面
の媒体流出方向と交叉するトラック幅方向に、間隔を隔
てて設けられている。前記薄膜磁気変換素子は、前記2
つの非磁性領域によって挟まれた領域に、下部ポール部
及び上部ポール部を有する。前記下部ポール部は、前記
2つの非磁性領域によって挟まれた前記スライダの一部
を含み、前記トラック幅方向の幅が前記2つの非磁性領
域の間の前記間隔によって画定されている。前記上部ポ
ール部は、前記下部ポール部と変換ギャップを介して向
き合っている。前記下部ポール部は、更に、前記変換ギ
ャップとの間に、前記スライダを構成する前記磁性体よ
りも飽和磁束密度の大きい磁性膜を有する。前記下部ポ
ール部の両側に位置する前記非磁性領域は、前記スライ
ダを変質させて得られた磁性劣化層である。前記スライ
ダを構成する前記磁性体よりも飽和磁束密度の大きい磁
性膜は、前記上部ポール部と前記変換ギャップとの間に
設けてもよい。
【0011】スライダは、例えばフェライト等の磁性体
で構成されているから、摺動性が向上すると共に、磁気
記録媒体に与えるダメージが小さくなり、耐久性が上が
る。しかも、アルティック等に比べて加工の容易なフェ
ライトを使用できるので、加工コストが安価になる。下
部ポール部は、磁性体でなるスライダ部分によって構成
されているから、従来と異なって、下部ポール部を得る
ための下部磁性膜形成工程が不要である。このため、工
程数が減少する。
【0012】スライダは、薄膜磁気変換素子を設けた一
端側に空気ベアリング面の媒体流出方向と交叉する幅方
向に間隔を隔てて設けられた非磁性領域を有している。
非磁性領域によってはさまれた部分は、ポール部の一
つ、具体的には下部ポール部を構成する。従って、下部
ポール部は、非磁性領域によって挟まれた磁性体でなる
スライダ部分によって構成される。このため、トラック
幅が狭小化され、高密度記録に対応できるようになる。
しかも、従来と異なって、下部ポール部を得るための下
部磁性膜形成工程が不要である。このため、工程数が減
少する。 非磁性領域は、スライダを変質させて得られた
磁性劣化層である。このような磁性劣化層による非磁性
領域は、溝等による非磁性領域と異なって、ダストが集
積することがない。このため、読み取り動作時にダスト
が薄膜磁気ヘッドの空気ベアリング面と、媒体との間の
微小浮上隙間に入り込む余地がないので、ダストによる
障害、例えば、ヘッドクラッシュ等を生じる余地がな
い。 以上を要するに、本発明によれば、高密度記録対応
を図ると共に、加工性、耐久性及び摺動性を向上させた
低コストのスライダを有する薄膜磁気ヘッドが得られ
る。
【0013】好ましくは、変換ギャップを間に挟んで向
き合う一対のポール部のうち、少なくとも一方は、変換
ギャップに隣接する面側に、他の部分よりも飽和磁束密
度が大きい磁性膜を有するから、変換ギャップに向う
程、磁束が集中し易くなる。このため、磁界分布及び再
生波形が鋭化される。従って、高密度記録再生が可能に
なる。特に媒体流出端のポール部において、変換ギャッ
プに隣接する面側に、他の部分よりも飽和磁束密度が大
きい磁性膜を有する構造の場合、媒体上の磁化分布を決
定する媒体流出端における磁界強度の傾斜が急峻にな
り、好ましい磁気記録が得られる。
【0014】磁束の集中の程度は、変換ギャップ膜に隣
接する磁性膜または積層される他の磁性膜の磁気特性、
厚みを選択することによって制御できる。これにより、
使用周波数に合わせて、磁界分布及び再生波形を鋭化で
きる。ポール部端面としての全体の先端厚みは、ポール
部を構成する磁性膜の積層構造全体の厚みであるから、
優れた書き込み能力を確保できる。
【0015】関連する先行技術文献との関係について
は、上掲の特開昭59ー16115号公報は、スライダ
となる磁性基板に溝を設ける構造を開示しているが、溝
を、ス ライダを変質させて得られた磁性劣化層によって
構成する点については示唆する記載がない。 また、特開
平1ー159816号は上部磁性体磁極のトラック幅方
向の端部が低透磁率化されている磁気ヘッドを開示して
いるが、スライダとなる基板は非磁性基板7であり、ス
ライダを磁性体で構成する意図はない。 更に、特開昭6
0ー35315号公報は、上部磁極及び下部磁極を複数
の軟磁性膜を積層して構成し、非磁性膜(ギャップ)に
近いほど飽和磁化の大きい材料で構成する点が記載され
ているが、本発明と異なって、スライダを磁性体で構成
する意図はない。
【0016】
【発明の実施の形態】図1は参考例となる薄膜磁気ヘッ
ドの斜視図、図2は図1に図示された薄膜磁気変換素子
部分の拡大斜視図、図3は同じくその拡大断面図であ
る。図において、図11〜図14と同一の参照符号は同
一性ある構成部分を示している。5はスライダである。
スライダ5は、その全体が例えばフェライト等の磁性体
で構成されている。このため、摺動性が向上すると共
に、磁気記録媒体に与えるダメージが小さくなり、耐久
性が上がる。しかも、アルティック等に比べて加工の容
易なフェライトを使用できるので、加工コストが安価に
なる。図示のスライダ5は、媒体対向面側に、間隔をお
いて2本のレール部51、52を突設し、レール部5
1、52の表面を高度の平面度を有する空気ベアリング
面53、54とすると共に、レール部51、52の媒体
流出方向aの端部のそれぞれに薄膜磁気変換素子2を設
けてある。
【0017】薄膜磁気変換素子2は、スライダ5による
下部磁性体と、下部磁性体と共に磁気回路を構成する上
部磁性膜23と、下部磁性体及び上部磁性膜23の一部
として、先端面が空気ベアリング面53、54に現われ
るように形成された下部ポール部55及び上部ポール部
231と、下部ポール部55及び上部ポール部231の
間に設けられたギャップ膜22と、後方においてスライ
ダ5で構成された下部磁性体及び上部磁性膜23を結合
する結合部233と、結合部233の周りに渦巻状に形
成されたコイル24とを有している。
【0018】図2を参照すると、スライダ5は、薄膜磁
気変換素子2を設けた一端側に、空気ベアリング面5
3、54の媒体流出方向aと交叉する方向に間隔W2を
隔てて設けられた2つの凹部による非磁性領域61、6
2を有している。図示の非磁性領域61、62は、幅W
1を有して媒体流出方向aにほぼ平行に延びる凹溝とな
っている。下部ポール部55はこの非磁性領域61−6
2間のスライダ部分によって形成されている。
【0019】しかも、下部ポール部55は、空気ベアリ
ング面53、54の媒体流出方向aと交叉する方向に間
隔W2を隔てて形成された2つの非磁性領域61ー62
間のスライダ部分によって構成されているから、非磁性
領域61、62の位置、幅等によって、下部ポール部5
5のトラック方向幅W2を調整し、高密度記録に対応す
るためのトラック方向幅の狭幅化等を容易に実現でき
る。
【0020】非磁性領域61、62の深さd1は0.0
2〜3μm以上であって、上部ポール部231のスロー
トハイトとほぼ同じか、または、それよりも少し大きく
なるように設定する。このような非磁性領域61、62
は、マスク及びイオンミリングの併用またはフォーカス
ド・イオン・ビーム・ミリング等の手段によって形成で
きる。
【0021】図示の非磁性領域61、62は、媒体流出
方向aの外端面を構成する保護膜26の表面261に達
している。
【0022】図4は別の参考例に属する薄膜磁気ヘッド
の部分拡大斜視図である。この例では、非磁性領域6
1、62が上部ポール231のトラック幅方向の端部に
かかるように形成されている。このような構造である
と、非磁性領域61、62の位置、幅等によって、下部
ポール部55及び上部ポール部231のトラック方向幅
を調整し、高密度記録に対応するためのトラック方向幅
の狭幅化等を容易に実現できる。
【0023】図5は更に別の参考例に属する薄膜磁気ヘ
ッドの部分拡大斜視図である。この例では、非磁性領域
61、62は三方を開口させた段状に形成されている。
【0024】図6は更に別の参考例に属する薄膜磁気ヘ
ッドを示す斜視図である。磁性体で構成されたスライダ
5は、媒体対向面側の空気ベアリング面56がレール部
のない平面となっている。薄膜磁気変換素子2は1個だ
けであり、この1個の薄膜磁気変換素子2に対して、非
磁性領域61、62による下部ポール部55が形成され
ている。
【0025】図7は更に別の参考例に属する薄膜磁気ヘ
ッドの斜視図を示している。薄膜磁気変換素子2は磁性
体でなるスライダ5の幅方向のほぼ中間部に配置されて
いる。また、取出電極27、28はスライダ5の幅方向
に横並びに配置されている。スライダ5は薄膜磁気変換
素子2を設けた一端側に、空気ベアリング面56の媒体
流出方向aと交叉する方向に間隔を隔てて設けられた2
つの非磁性領域61、62を有しており、下部ポール部
55は非磁性領域61ー62間のスライダ部分によって
形成されている。
【0026】図1〜図7に参考例として示した薄膜磁気
ヘッドは、凹部による非磁性領域61、62を有してお
り、非磁性領域61、62を凹部によって形成する限り
においては、特開昭59ー16115号公報に開示され
た技術の範疇に属する。しかしながら、磁気記録媒体摺
動面に、凹部による非磁性領域61、62を設ける構造
では、加工時のみならず、読み書き動作時において凹部
内にダストが入り、このダストが、読み書き動作時に、
磁気記録媒体摺動面と、媒体との間に生じる浮上隙間に
流出し、ヘッドクラッシュ等、致命的な障害を及ぼす危
険性がある。 特開昭59ー16115号公報は、そのよ
うな問題点を解決する手段として、凹部内に非磁性材料
を充填する技術を開示している。しかしながら、この場
合には、凹部内に非磁性材料を充填する工程が必要であ
るため、工程数が増える。 図8は本発明に係る薄膜磁気
ヘッド部分拡大斜視図を示している。図示するように、
スライダ5は、薄膜磁気変換素子2を設けた一端側に、
空気ベアリング面53(54)の媒体流出方向aと交叉
する方向に間隔を隔てて設けらた磁性劣化部による非磁
性領域61、62を有している。非磁性領域61、62
は機械加工による加工変質または熱変質として形成でき
る。熱変質を生じさせる手段としては、イオン・フォー
カス・ビーム照射、エッチングまたはイオン打込み等の
手段がある。上述したように、非磁性領域61、62
は、スライダ5を変質させて得られた磁性劣化層であ
る。このような磁性劣化層による非磁性領域61、62
は、溝等による非磁性領域61、62と異なって、ダス
トが集積することがない。このため、読み取り動作時
に、ダストが、薄膜磁気ヘッドの空気ベアリング面と、
媒体との間の微小浮上隙間に入り込む余地がないので、
ダストによる障害、例えば、ヘッドクラッシュ等を生じ
る余地がない。 しかも、凹部内に非磁性材料を充填する
等の工程が不要であるため、工程数が増えることもな
い。
【0027】本発明に係る薄膜磁気ヘッドも、図3に示
した構造の薄膜磁気変換素子2を有する。次に、図3を
参照して薄膜磁気変換素子2の好ましい態様について説
明する。まず、下部ポール部55は、好ましくは、ギャ
ップ膜22に隣接するスライダ5の一面上に、スライダ
5を構成するフェライト等の磁性体よりも飽和磁束密度
Bsが大きい磁性膜P21を有する。磁性膜P21はC
o−Nb−Zr、アモルファス磁性体、Fe−Si、F
e−Co等で構成する。磁性膜P21は単層であっても
よいし、異なる飽和磁束密度Bs、透磁率μを有する複
数の磁性膜を積層した構成してもよい。複数の磁性膜を
積層した場合、少なくとも1個所の磁性膜間に非磁性膜
を介在させることも可能である。
【0028】上部磁性膜23のポール部231は磁性膜
P11及び磁性膜P12を積層した構造となっている。
ギャップ膜22に隣接する磁性膜P11はCo−Nb−
Zr、アモルファス磁性体、Fe−Si、Fe−Co等
で構成され、磁性膜P12はNi−Feで構成されてい
る。磁性膜P11は単層であってもよいし、異なる飽和
磁束密度Bs及び透磁率μを有する複数の磁性膜を積層
した構成してもよい。複数の磁性積層膜の場合、磁性膜
間に非磁性膜を介在させることも可能である。
【0029】図10を参照すると、ギャップ膜22に隣
接する磁性膜P11は、厚みが磁性膜P12よりも薄く
なっている。具体例として、磁性膜P12をNi−Fe
で構成し、磁性膜P11をCo−Nb−Zrで構成した
場合、厚みT11、T12の比(T12/T11)は、 1<T12/T11≦25 の範囲が適当である。
【0030】実施例では、ポール部55、231の両者
に高飽和磁束密度の磁性膜P21、P11を設けた例を
示したが、何れか一方、好ましくは少なくとも媒体流出
端のポール部231に磁性膜P11を設けることもでき
る。磁性膜P21、P11は上部磁性膜23及びスライ
ダ5の一面の全体にわたって設けてもよいし、ポール部
55、231の領域に限って設けてもよい。また、薄膜
磁気ヘッドを例にとって説明したが、例えばモノリシッ
ク型磁気ヘッドやコンポジット型磁気ヘッド等にも本発
明は同様に適用できる。
【0031】上述のように、ギャップ膜22を間に挟ん
で向き合う一対のポール部55、231のうち、少なく
ともポール部231は、複数の磁性膜P11、P12を
積層して構成されており、複数の磁性膜P11、P12
のうち、ギャップ膜22に隣接する磁性膜P11は、他
の磁性膜P12よりも飽和磁束密度が大きいから、ギャ
ップ膜22に向う程、磁束が集中し易くなる。このた
め、磁界分布L2が鋭化されると共に、再生波形L1が
図10に示すように鋭化され、PW50値が小さくな
る。従って、高密度記録再生が可能になる。特に、媒体
流出端のポール部231を複数の磁性膜P11、P12
を積層して構成し、ギャップ膜22に隣接する磁性膜P
11を、磁性膜P12よりも飽和磁束密度が大きく、か
つ、厚みが薄い構造とした場合、媒体M上の磁化分布を
決定する媒体流出端における磁界強度の傾斜が急峻にな
り、好ましい磁気記録が得られる。
【0032】しかも、ギャップ膜22に隣接する磁性膜
P11は、磁性膜P12よりも厚みが薄いから、磁束の
集中が一層促進され、磁界分布L2及び再生波形L1が
一層鋭化される。
【0033】ポール部231としての全体の先端厚み
は、ポール部P11、P12を構成する磁性膜P11、
P12の積層構造全体の厚み(T11+T12)である
から、優れた書き込み能力を確保できる。
【0034】図9は本発明に係る薄膜磁気ヘッドの更に
別の実施例における部分拡大斜視図であり、空気ベアリ
ング面53、54の媒体流出方向aと交叉する方向に間
隔を隔てて設けられた磁性劣化部による非磁性領域6
1、62を有している。非磁性領域61、62はレール
部51、52の両端側に位置するように設けられてい
る。
【0035】
【発明の効果】以上述べたように、本発明によれば、次
のような効果が得られる。 (a)高密度記録対応を図ると共に、加工性、耐久性及
び摺動性を向上させた低コストのスライダを有する薄膜
磁気ヘッドを提供できる。 (b)好ましい態様によれば、磁界分布及び再生波形を
鋭化して高密度記録対応を図ると共に、書き込み能力を
向上させ、しかも加工性、耐久性及び摺動性を向上させ
た低コストのスライダを有する薄膜磁気ヘッドを提供で
きる。
【図面の簡単な説明】
【図1】参考例となる薄膜磁気ヘッドの斜視図である。
【図2】図1に図示された薄膜磁気変換素子部分の拡大
斜視図である。
【図3】図1、2に図示された薄膜磁気変換素子部分の
拡大断面図である。
【図4】別の参考例に属する薄膜磁気ヘッドの部分拡大
斜視図である。
【図5】更に別の参考例に属する薄膜磁気ヘッドの部分
拡大斜視図である。
【図6】更に別の参考例に属する薄膜磁気ヘッドを示す
斜視図である。
【図7】更に別の参考例に属する薄膜磁気ヘッドを示す
斜視図である。
【図8】本発明に係る薄膜磁気ヘッドの実施例を示す部
分拡大斜視図である。
【図9】本発明に係る薄膜磁気ヘッドの別の実施例を示
す部分拡大斜視図である。
【図10】本発明に係る薄膜磁気ヘッドの再生特性を説
明する図である。
【図11】従来の薄膜磁気ヘッドの斜視図である。
【図12】従来の薄膜磁気ヘッドの薄膜磁気変換素子部
分の拡大断面図である。
【図13】従来の薄膜磁気ヘッドの書き込み特性を示す
図である。
【図14】従来の薄膜磁気ヘッドの再生特性を示す図で
ある。
【符号の説明】
2 薄膜磁気変換素子 22 ギャップ膜 23 上部磁性膜 231 上部ポール部 24 コイル 5 スライダ 103、104、56 空気ベアリング面 55 下部ポール部 P11、P21 磁性膜
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 伊藤 善映 東京都中央区日本橋1丁目13番1号 テ ィーディーケイ株式会社内 (56)参考文献 特開 昭59−16115(JP,A) 特開 昭60−107717(JP,A) 特開 昭60−35315(JP,A) 実開 昭57−191934(JP,U) 実開 昭60−20017(JP,U) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) G11B 5/31

Claims (3)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 スライダと、前記スライダの一端側に備
    えられた薄膜磁気変換素子とを有する薄膜磁気ヘッドで
    あって、 前記スライダは、磁性体で構成され、2つの非磁性領域
    を有しており、 前記2つの非磁性領域は、前記薄膜磁気変換素子を設け
    た一端側において、空気ベアリング面の媒体流出方向と
    交叉するトラック幅方向に、間隔を隔てて設けられてお
    り、 前記薄膜磁気変換素子は、下部ポール部及び上部ポール
    部を有しており、 前記下部ポール部は、前記2つの非磁性領域によって挟
    まれた前記スライダの一部を含み、前記トラック幅方向
    の幅が前記2つの非磁性領域の間の前記間隔によって画
    定されており、 前記上部ポール部は、前記下部ポール部と変換ギャップ
    を介して向き合っており、 前記下部ポール部は、更に、前記変換ギャップとの間
    に、前記スライダを構成する前記磁性体よりも飽和磁束
    密度の大きい磁性膜を有しており、 前記下部ポール部の両側に位置する前記非磁性領域は、
    前記スライダを変質させて得られた磁性劣化層である薄
    膜磁気ヘッド。
  2. 【請求項2】 スライダと、前記スライダの一端側に備
    えられた薄膜磁気変換素子とを有する薄膜磁気ヘッドで
    あって、 前記スライダは、磁性体で構成され、2つの非磁性領域
    を有しており、 前記2つの非磁性領域は、前記薄膜磁気変換素子を設け
    た一端側において、空気ベアリング面の媒体流出方向と
    交叉するトラック幅方向に、間隔を隔てて設けられてお
    り、 前記薄膜磁気変換素子は、下部ポール部及び上部ポール
    部を有しており、 前記下部ポール部は、前記2つの非磁性領域によって挟
    まれた前記スライダの一部を含み、前記トラック幅方向
    の幅が前記2つの非磁性領域の間の前記間隔によって画
    定されており、 前記上部ポール部は、前記下部ポール部と変換ギャップ
    を介して向き合っており、 前記上部ポール部は、更に、前記変換ギャップとの間
    に、前記スライダを構成する前記磁性体よりも飽和磁束
    密度の大きい磁性膜を有しており、 前記下部ポール部の両側に位置する前記非磁性領域は、
    前記スライダを変質させて得られた磁性劣化層である薄
    膜磁気ヘッド。
  3. 【請求項3】 請求項2に記載された薄膜磁気ヘッドで
    あって、 前記下部ポール部は、前記変換ギャップとの間に、前記
    スライダを構成する前記磁性体よりも飽和磁束密度の大
    きい磁性膜を有する薄膜磁気ヘッド。
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