JP3128154B2 - エポキシ樹脂硬化剤 - Google Patents

エポキシ樹脂硬化剤

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JP3128154B2
JP3128154B2 JP03256002A JP25600291A JP3128154B2 JP 3128154 B2 JP3128154 B2 JP 3128154B2 JP 03256002 A JP03256002 A JP 03256002A JP 25600291 A JP25600291 A JP 25600291A JP 3128154 B2 JP3128154 B2 JP 3128154B2
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裕之 稲垣
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、エポキシ樹脂硬化剤に
関し、さらに詳しくは、二種の脂環式カルボン酸無水物
を含むエポキシ樹脂硬化剤に関する。
【0002】
【従来の技術及びその課題】脂環式ジカルボン酸無水物
をエポキシ樹脂硬化剤として使用することは、従来知ら
れている。例えば、ヘキサヒドロフタル酸無水物は、現
在エポキシ樹脂硬化剤として汎用されている。その他
に、テトラヒドロフタル酸無水物、メチルテトラヒドロ
フタル酸無水物、メチルヘキサヒドロフタル酸無水物
(特公昭39-14521号公報)、ノルボルナンジカルボン酸
無水物またはメチルノルボルナンジカルボン酸無水物
(特公昭62-47891号公報)等が知られている。
【0003】しかしながら、汎用されているヘキサヒド
ロフタル酸無水物をはじめとして、これらの二塩基酸無
水物は、硬化物の耐熱性が不十分であるという問題があ
る。
【0004】最近では、電子機器などの技術の高度化が
進み、耐熱性に対する要求も高まってきており、ピロメ
リット酸無水物やベンゾフェノンテトラカルボン酸無水
物等の酸無水物系の硬化剤が開発された。しかしなが
ら、これらを用いて得た硬化物は、耐熱性には優れる
が、硬化剤の融点が高くエポキシ樹脂との混合が困難と
言う作業上の欠点を有する。
【0005】さらに、先に本発明者らが出願した新規化
合物である 5-(2,4-ジオキソテトラヒドロ-3- フラニル
メチル)ノルボルナン-2,3-ジカルボン酸無水物(特願
平3-15763 号)は取扱いが容易であり、エポキシ樹脂硬
化剤として、耐熱性の優れた硬化物を与えるが、硬化物
は硬くて脆いという性質を持つため、曲げ強度などの機
械的物性がやや劣る。
【0006】そこで本発明は、上記欠点が改善されたエ
ポキシ樹脂硬化剤を提供することを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明は、(A) 5-(2,4-
ジオキソテトラヒドロ-3- フラニルメチル)ノルボルナ
ン-2,3- ジカルボン酸無水物(以下で、HMNTCと略
記することがある)、及び(B) メチルノルボルネン-2,3
- ジカルボン酸無水物(以下で、MeNAと略記するこ
とがある)を含有してなるエポキシ樹脂硬化剤を提供す
るものである。
【0008】まず成分(A) について説明する。本発明で
使用するHMNTCは、次式(化1):
【0009】
【化1】 で示される構造を有している。この化合物は、5-(2,4-
ジオキソテトラヒドロ-3- フラニルメチル)-5-ノルボル
ネン- 2,3-ジカルボン酸無水物(以下、MNTCという
ことがある)を水素化することによって容易に調製する
ことができる。MNTCは、5-メチレンノルボルナン-
2,3-ジカルボン酸無水物、または1-メチルノルボルネン
-2,3- ジカルボン酸無水物及び/または5-メチルノルボ
ルネン-2,3- ジカルボン酸無水物と無水マレイン酸とを
反応させることによって調製することができる。ここで
原料の一つである5-メチレンノルボルナン-2,3- ジカル
ボン酸無水物は、末端に二重結合を持つため反応性が非
常に高く、無水マレイン酸と容易に反応して 5-(2,4-ジ
オキソテトラヒドロ-3- フラニルメチル)-5-ノルボルネ
ン-2,3- ジカルボン酸無水物を生成する。反応は、下記
の式のように進むものと推定される。これは一種のエン
合成であり、エン合成自体は例えば特公昭58‐51955 号
公報等に記載されている。
【0010】
【化2】 5-メチレンノルボルナン-2,3- ジカルボン酸無水物は、
5-メチルノルボルネン-2,3- ジカルボン酸無水物及び/
または1-メチルノルボルネン-2,3- ジカルボン酸無水物
の酸触媒存在下での異性化によって調製することができ
る。ここで、“異性化”とは、広く構造異性化及び立体
異性化を包含し、幾何異性化や位置異性化のような狭い
意味ではない。5-メチレンノルボルナン-2,3- ジカルボ
ン酸無水物にはendo体と exo体の二つが存在するが、こ
のどちらを用いても良い。両者の混合物を使用すること
もできる。
【0011】1-メチルノルボルネン-2,3- ジカルボン酸
無水物及び5-メチルノルボルネン-2,3-ジカルボン酸無
水物(以下、夫々1-MeNA、5-MeNAと略すことが
ある)自体は公知である。これら二つの酸無水物にはい
ずれもエンド(endo)体及びエキソ(exo)体の二つの立体
異性体が存在するが、そのどちらをも使用することがで
きる。原料となる1-MeNA及び5-MeNAは、例えば
次にようにして製造することができる。すなわち、1-メ
チルシクロペンタジエン(1-MeCPDと略す)及び2-
メチルシクロペンタジエン(2-MeCPDと略す)を、
無水マレイン酸と反応させる(ディールス‐アルダー反
応)と、1-MeCPDからは1-MeNAのendo体が、2-
MeCPDからは5-MeNAのendo体が生成する。1-M
eCPDと2-MeCPDは、通常両者の混合物として入
手され、ここでの目的のためには両者を分離する必要は
ない。かくして得られた1-MeNA及び5-MeNAの混
合物について後述する異性化を行うと、1-MeNAのen
do体は、5-MeNAのexo体を経由して、5-メチレンノ
ルボルナン-2,3- ジカルボン酸無水物のexo 体を生成
し、一方、5-MeNAのendo体は、直接、5-メチレンノ
ルボルナン-2,3- ジカルボン酸無水物のendo体を生成す
る。また、一部の5-MeNAのendo体は5-MeNAの e
xo体を経由して5-メチレンノルボルナン-2,3- ジカルボ
ン酸無水物の exo体を生成する。尚、1-MeNAのendo
体に酸の非存在下で後述の加熱を行うと、5-MeNAの
exo体には異性化するが、さらに5-メチレンノルボルナ
ン-2,3-ジカルボン酸無水物のexo 体に異性化すること
はない。メチルノルボルネン-2,3- ジカルボン酸無水物
は一般に市販されており、このものを使用することも可
能である。
【0012】異性化反応は、5-メチルノルボルネン-2,3
- ジカルボン酸無水物及び/または1-メチルノルボルネ
ン-2,3- ジカルボン酸無水物を、酸の存在下で加熱する
ことによって行うことができる。異性化反応のために使
用する酸に特に制限はなく、種々の公知の酸を使用する
ことができる。例としてブレンステッド酸、例えばベン
ゼンスルホン酸、パラトルエンスルホン酸、パラキシレ
ン-2- スルホン酸等の芳香族スルホン酸、硫酸、塩酸等
の鉱酸、モリブデン酸等のヘテロポリ酸、マレイン酸等
のカルボン酸、並びに上記以外のルイス酸、例えば塩化
アルミニウム、フッ化ホウ素等が挙げられる。また、無
水マレイン酸等の酸無水物は、水分と反応して酸を生じ
得るので、酸の代わりに酸無水物を使用しても異性化反
応が進行することがある。好ましくはブレンステッド酸
を使用する。酸の使用量は、メチルノルボルネン-2,3-
ジカルボン酸無水物に対して約0.01〜5重量%、特に約
0.02〜3重量%とするのが好ましい。加熱の際の温度
は、好ましくは約 120〜250℃、特に約 150〜230 ℃で
ある。加熱による異性化反応は、回分式及び連続式のい
ずれで行うこともできる。反応時間は、回分式の場合で
好ましくは約30分間〜10時間、特に約1〜5時間であ
る。
【0013】5-メチレンノルボルナン-2,3- ジカルボン
酸無水物と無水マレイン酸との反応は、両者を 0.5〜5
倍のモル比で仕込み、好ましくは約 160〜220 ℃で約2
〜24時間加熱攪拌することによって行われる。この反応
を任意の触媒の存在下で行っても良い。触媒としては、
塩化アルミニウム、フッ化ホウ素等のルイス酸が好まし
いが、これらに限定されない。この反応は溶媒の使用を
必要としないが、任意の溶媒中で行うこともできる。好
ましい溶媒としては、クロロベンゼン、キシレン、メシ
チレン、トリエチルベンゼン等が挙げられる。
【0014】上記では、1-メチルノルボルネン-2,3- ジ
カルボン酸無水物及び/または5-メチルノルボルネン-
2,3- ジカルボン酸無水物を異性化して中間体としての5
-メチレンノルボルナン-2,3- ジカルボン酸無水物を一
旦作り、次にエン合成によってMNTCを作ることを説
明した。しかし、この異性化とエン合成とを一つの操作
として行っても良い。すなわち、1-メチルノルボルネン
-2,3- ジカルボン酸無水物及び/または5-メチルノルボ
ルネン-2,3- ジカルボン酸無水物を無水マレイン酸の存
在下で加熱することによって異性化とエン合成が逐次起
こる。
【0015】上記の反応後、好ましくは生成物を精製処
理に付す。精製は、未反応の原料を単蒸留等によって除
去した後、得られた粗生成物を再結晶することによって
行っても良い。再結晶溶媒としては、無水酢酸、及びメ
チルイソブチルケトン等のケトン系溶剤が挙げられる
が、これらに限定されない。
【0016】上記のようにして得られた5-(2,4-ジオキ
ソテトラヒドロ-3- フラニルメチル)-5- ノルボルネン
- 2,3-ジカルボン酸無水物(MNTC)を水素化すれ
ば、本発明で使用するHMNTCを得ることができる。
【0017】水素化法に特に制限はなく、種々の公知の
方法によって行うことができる。例えばMNTCに接触
水素添加を行う方法、ヨウ化水素と赤リンまたはナトリ
ウムとアルコールの組み合わせを作用させる方法等が挙
げられるが、これらに限定されない。好ましい方法は接
触水素添加による水素化である。接触水素添加は通常、
MNTCを、好ましくは水素添加触媒の存在下で加熱し
ながら、水素と接触させることによって行う。好ましい
触媒としては、パラジウム、コバルト、ニッケル、白金
等が挙げられるが、これらに限定されない。担体を併用
しても良い。加熱温度は、好ましくは約80〜300 ℃、よ
り好ましくは約120 〜250 ℃である。水素添加反応時の
水素圧は、10〜150 kg/cm2 G程度とするのが好まし
い。反応時間は好ましくは1〜10時間、より好ましくは
2〜6時間程度とする。水素添加反応の際に溶媒は必要
ではないが、反応原料及び生成物が常温で固体であり、
また、水素添加反応を円滑に進行させるために、溶媒例
えばテトラヒドロフラン等を使用しても良い。
【0018】尚、先述の合成法によって得られたMNT
Cを、単離することなくまたは簡単な精製操作の後に水
素化処理に付して、HMNTCを得ることも可能であ
る。
【0019】上記の反応後、生成物を精製処理に付して
も良い。精製処理は例えば、メチルイソブチルケトン等
の溶媒を用いての再結晶によって行うことができる。
【0020】HMNTCは、IR、NMR等の測定手段
によって同定することができる。例えば該化合物のIR
においては、1770〜1780cm-1及び1850cm-1にカルボン酸
無水物のC=O伸縮に起因するピークが観察される。ま
た、 1H‐NMRにおいては、δ 1.8〜2.4 に四つの−
CH2 −に起因するピーク8H分(出発物質の 5-(2,4-
ジオキソテトラヒドロ-3- フラニルメチル)-5-ノルボル
ネン- 2,3-ジカルボン酸無水物では6H分、5-メチレン
ノルボルナン-2,3- ジカルボン酸無水物では4H分、1-
または5-メチルノルボルネン-2,3- ジカルボン酸無水物
では2H分しか観察されない)が、δ 2.0〜3.6 に六つ
の>CH−に起因するピーク6H分(出発物質の 5-(2,
4-ジオキソテトラヒドロ-3- フラニルメチル)-5-ノルボ
ルネン-2,3- ジカルボン酸無水物では5H分、5-メチレ
ンノルボルナン-2,3- ジカルボン酸無水物及び5-メチル
ノルボルネン-2,3-ジカルボン酸無水物では4H分、1-
メチルノルボルネン-2,3- ジカルボン酸無水物では3H
分しか観察されない)が観察される。一方、ノルボルネ
ン環の=CH−に起因するδ 5.5〜5.6 のピーク(出発
物質の 5-(2,4-ジオキソテトラヒドロ-3- フラニルメチ
ル)-5-ノルボルネン- 2,3-ジカルボン酸無水物及び5-メ
チルノルボルネン-2,3- ジカルボン酸無水物では1H
分、1-メチルノルボルネン-2,3- ジカルボン酸無水物で
は2H分観察される)、ビニリデンのピーク(出発物質
の5-メチレンノルボルナン- 2,3-ジカルボン酸無水物で
は2H分観察される)及びメチル基のピーク(出発物質
の1-または5-メチルノルボルネン- 2,3-ジカルボン酸無
水物では3H分観察される)が観察されない。
【0021】次に、成分(B) メチルノルボルネン-2,3-
ジカルボン酸無水物自体は公知であり、成分(A) を合成
する際の出発原料として上記した二つの構造異性体の夫
々にendo体と exo体の立体異性体が存在する。本発明に
おいては、成分(B) としてこれら総ての異性体を使用す
ることができる。
【0022】本発明のエポキシ樹脂硬化剤における上記
した(A) 及び(B) の好ましい配合比は、(A) 95〜5重量
部に対して (B)5〜95重量部であり、さらに好ましくは
(A)80〜5重量部に対して(B) 20〜95重量部である。(A)
が5重量部より少ないと硬化物の耐熱性があまり改善
されず、95重量部を超えると耐熱性は高いが機械的強度
が低下してしまう。
【0023】本発明のエポキシ樹脂硬化剤は、成分(A)
及び(B) を混合することにより製造できる。例えばドラ
イブレンドによって混合する、または加熱して溶融混合
する等の方法を使用できる。また、成分(A) と(B) を別
々にエポキシ樹脂に加え、混合してもよい。
【0024】本発明のエポキシ樹脂硬化剤を使用して硬
化し得るエポキシ樹脂は、エポキシ基を分子内に2個以
上有する化合物であり、例えばビスフェノールAなどの
多価フェノールまたは1,4-ブタンジオールなどの多価ア
ルコールのポリグリシジルエーテル、フタル酸、ヘキサ
ヒドロフタル酸などのポリグリシジルエステル、アミ
ン、アミド及び複素環式窒素塩基を有する化合物のN‐
グリシジル誘導体、脂環式エポキシ樹脂、フェノールノ
ボラックエポキシ樹脂、オルトクレゾールノボラックエ
ポキシ樹脂などである。
【0025】硬化剤は、上記エポキシ樹脂のエポキシ基
1当量に対して、酸無水物基が 0.3〜1.5 モルになるよ
うに配合するのが好ましく、特に 0.7〜1.2 モルになる
ように配合するのが好ましい。
【0026】上記硬化剤とエポキシ樹脂とを適宜の手段
で混合し、好ましくは50〜200 ℃で硬化させることがで
きる。例えば80〜120℃で1〜3時間、続いて 150〜180
℃で10〜20時間硬化されることが特に好ましい。
【0027】さらに、本発明のエポキシ樹脂硬化剤を配
合したエポキシ樹脂組成物を、そのまま硬化することも
できるが、3級アミン、3級アミン塩、第4アンモニウ
ム塩、イミダゾール、金属塩などの硬化促進剤を併用す
ると、硬化時間を短縮することができるので好ましい。
【0028】本発明のエポキシ樹脂硬化組成物は、上記
の成分の他に、慣用の添加剤、例えばアスファルト、石
英粉、雲母、ガラス繊維、繊維素、タルク、粘土、カオ
リン、ベントナイト、炭酸カルシウム、水和アルミナも
しくはアルミニウムのような金属粉などの充填剤、染料
もしくは顔料、成形潤滑剤、難燃剤(三酸化アンチモ
ン、赤燐等)、有機溶剤(例えばキシレン、トルエン、
メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン等)等を
含有することができる。
【0029】本発明のエポキシ樹脂硬化組成物は、耐熱
性の注型もしくは成形用または塗料、積層もしくは含浸
用ワニスなどの材料として使用することができる。
【0030】以下、実施例により本発明をさらに詳しく
説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるもの
ではない。
【0031】
【実施例】以下の実施例において、%及び部はそれぞ
れ、重量%及び重量部を意味する。
【0032】
【参考実施例1】還流冷却器、温度計、攪拌機を備えた
500mlの四ッ口フラスコに、300gのendo- メチルノルボ
ルネン-2,3- ジカルボン酸無水物(58.5%の1-メチル体
及び41.5%の5-メチル体から成る)と 0.15gのパラトル
エンスルホン酸を導入し、 180℃で3時間攪拌して反応
させた。単蒸留によって、触媒及び重質物である副生成
物から分離された、淡黄色の透明液体287gが得られた。
この液体の組成をガスクロマトグラフにより分析したと
ころ、 8.8%の endo-5-メチレンノルボルナン-2,3- ジ
カルボン酸無水物、63.5%のexo-5-メチレンノルボルナ
ン- 2,3-ジカルボン酸無水物、及び未反応のメチルノル
ボルネン-2,3-ジカルボン酸無水物27.7%から成ること
が判明した。生成物の構造は、赤外線吸収スペクトル
(IR)、 1H‐NMR等によって同定した。例えば当
該化合物のIRにおいては、1770〜1780cm-1及び1850cm
-1にカルボン酸無水物のC=O伸縮に起因するピークが
観察された。また、 1H‐NMRにおいて、δ 4.8〜5.
2 にH2 C=C<に起因するピーク(このピークは、出
発物質のメチルノルボルネン-2,3- ジカルボン酸無水物
では観察されない)が、δ 1.8に−CH2 −に起因する
ピーク4H分(出発物質では2H分)が、δ 2.8〜3.6
にノルボルナン環の三級炭素原子に結合したプロトンに
起因するピークが観察された。ノルボルネン環の=CH
−に起因するピークは観察されなかった。
【0033】次いで、還流冷却器、温度計、攪拌機を備
えた1000mlの四ッ口フラスコ中に、上記で得られた淡黄
色透明液体270g、及び294gの無水マレイン酸を入れ、 1
80℃で6時間攪拌した。次に、5mmHgの圧力下で、釜
温が 180℃になるまで単蒸留を行い、未反応の5-メチレ
ンノルボルナン-2,3- ジカルボン酸無水物、メチルノル
ボルネン-2,3- ジカルボン酸無水物及び無水マレイン酸
を除去すると、126gの生成物が得られた。
【0034】この化合物の構造を、赤外線吸収スペクト
ル(IR)及び 1H‐NMRによって同定した。例えば
当該化合物のIRにおいては、1770〜1780cm-1及び1850
cm-1にカルボン酸無水物のC=O伸縮に起因するピーク
が観察された。また、 1H‐NMRにおいて、δ 1.8〜
2.2 に三つの−CH2 −に起因するピーク6H分(出発
物質の1-または5-メチルノルボルネン-2,3- ジカルボン
酸無水物では2H分、5-メチレンノルボルナン-2,3- ジ
カルボン酸無水物では4H分しか観察されない)が、δ
2.8〜3.6 に五つの>CH−に起因するピーク5H分
(出発物質の5-メチレンノルボルナン-2,3- ジカルボン
酸無水物及び5-メチルノルボルネン-2,3-ジカルボン酸
無水物では4H分、1-メチルノルボルネン-2,3- ジカル
ボン酸無水物では3H分しか観察されない)が、そして
δ 5.5〜5.6 にノルボルネン環の=CH−に起因するピ
ーク1H分が観察され、他方、メチル基のピーク(出発
物質の1-または5-メチルノルボルネン-2,3- ジカルボン
酸無水物では3H分観察される)及びビニリデンのピー
ク(出発物質の5-メチレンノルボルナン-2,3- ジカルボ
ン酸無水物では2H分観察される)が観察されなかっ
た。これらのことより、生成物は5-(2,4-ジオキソテト
ラヒドロ-3- フラニルメチル)-5-ノルボルネン-2,3- ジ
カルボン酸無水物であることが判明した。
【0035】攪拌機を備えた 500mlのオートクレーブ中
に、上記で得られた生成物120g、パラジウム触媒2.4g
(5重量%の金属パラジウムを担持)及び溶媒としての
テトラヒドロフラン120gを装入し、オートクレーブ内を
水素で置換した後、水素圧80kg/cm2 Gで 120℃に加熱
し、攪拌下で4時間水素添加反応を行った。反応終了
後、減圧濾過によって触媒を除去し、次に、常圧で徐々
に加熱して150 〜170 ℃まで昇温し(加温しないと固体
になってしまう)て常圧蒸留を行い、さらに減圧にして
溶媒であるテトラヒドロフランを完全に留去して、112g
の生成物を得た。この生成物の分析結果を、表1に示
す。
【0036】
【表1】
【0037】* δ(単位ppm)、括弧内は面積強度を対応
するプロトンの数で表現したもの 以上より、本実施例の生成物は、5-(2,4-ジオキソテト
ラヒドロ-3- フラニルメチル)ノルボルナン-2,3- ジカ
ルボン酸無水物であることが判明した。尚、水素添加前
の生成物 5-(2,4-ジオキソテトラヒドロ-3- フラニルメ
チル)-5-ノルボルネン-2,3- ジカルボン酸無水物のヨウ
素価は 88.2 であった。水素添加後の生成物においてヨ
ウ素価が2.6 に減少したことは、上記の結論を支持する
ものである。
【0038】
【参考実施例2】還流冷却器及び撹拌機を備えた容量3
リットルの四つ口フラスコに無水マレイン酸98g及び
溶媒としてベンゼン100gを導入し、内部温度を20
〜25℃に保ちながら、スチームクラッカーにて得られ
た下記の組成を有する炭化水素留分1,400gを1時
間に亘り滴下した。その後徐々に内部温度を80℃まで
昇温し、80℃にて3時間ディールス・アルダー反応を
行った。反応生成物から蒸留により未反応成分を留去す
ることにより、液状であるジカルボン酸無水物の混合物
176gを得た。次いで、上記で得られたジカルボン酸
無水物の混合物を170℃にて3時間加熱することによ
りエンド−体から対応するエキソ−体への立体異性化反
応を行った後、減圧蒸留により精製することにより淡黄
色透明の液体165gをジオレフィン成分基準の収率9
3%にて得た。
【0039】また、上記の液体生成物をガスクロマトグ
ラフにて分析することにより、その組成は、endo-1- メ
チル-5- ノルボルネン-2,3- ジカルボン酸無水物が17.0
%であり、endo-5- メチル-5- ノルボルネン-2,3- ジカ
ルボン酸無水物が31.7%であり、exo-5-メチル-5- ノル
ボルネン-2,3- ジカルボン酸無水物が31.5%であり、ビ
シクロ[2.2.2]-5-オクテン-2,3- ジカルボン酸無水物が
9.7%であり、3-エチル‐Δ4 - テトラヒドロフタル酸
無水物が 4.2%であり、4-エチル‐Δ4 - テトラヒドロ
フタル酸無水物が 5.9%である混合物であることが判明
した。
【0040】スチームクラッカーにて得られた炭化水素
留分の組成 メチルシクロペンタジエン 4.6% 1,3-シクロヘキサジエン 0.6% 1,3-ヘキサジエン 0.2% 2-エチル-1,3- ブタジエン 0.3% C6 〜C7 オレフィン、パラフィン 6.2% ベンゼン 54.6% トルエン 33.5%
【0041】
【実施例1】参考実施例1で得られた最終生成物(HM
NTC)30部と、MeNA(商標;カヤハード MCD;
日本化薬株式会社製;endo-1-メチルノルボルネン-2,3-
ジカルボン酸無水物47.0%、endo-5- メチルノルボル
ネン-2,3- ジカルボン酸無水物17.0%、exo-5-メチルノ
ルボルネン-2,3- ジカルボン酸無水物21.0%、endo-ノ
ルボルネン-2,3- ジカルボン酸無水物11.3%、exo-ノル
ボルネン- 2,3-ジカルボン酸無水物 3.7%より成る)7
0部とを、100 ℃のオーブンに入れて加熱混合して均一
にすることにより、エポキシ樹脂硬化剤を製造した。
【0042】次に、エポキシ樹脂(商標;エピコート 8
28、油化シェル株式会社製) 100部、上記で得たエポキ
シ樹脂硬化剤85部及び硬化促進剤として2-エチル-4- メ
チルイミダゾール(四国化成株式会社製) 0.5部を、室
温にて配合した。この配合物を 100℃にて2時間、引き
続いて 170℃にて15時間硬化反応させて、硬化物を得
た。この硬化物について、JIS K6911に準拠して、熱
変形温度(HDT)及び曲げ強度を測定した。結果を表
2に示す。
【0043】
【実施例2〜4及び比較例1〜2】エポキシ樹脂硬化剤
の組成及び配合量を表2に示すようにした以外は実施例
1と同様にして配合して、同一条件で硬化反応を行っ
た。得られた硬化物について、実施例1と同様に熱変形
温度(HDT)及び曲げ強度を測定した。結果を表2に
示す。
【0044】
【実施例5、6及び比較例3】カヤハード MCDを参考実
施例2で得られたMeNAに代え、エポキシ樹脂硬化剤
の組成及び配合量を表2に示すようにした以外は実施例
1と同様にして配合して、同一条件で硬化反応を行っ
た。得られた硬化物について、実施例1と同様に熱変形
温度(HDT)及び曲げ強度を測定した。結果を表2に
示す。
【0045】
【表2】
【0046】MeNA-a:カヤハード MCD MeNA-b:参考実施例2で得られたMeNA 1)単位:重量部 2)エポキシ樹脂100 重量部に対する重量部 3)単位:kg/mm2 表2より、HMNTC及びMeNAの両者を含む実施例
1〜6のエポキシ樹脂硬化剤は、MeNAを単独で使用
した比較例1及び3に比べて耐熱性が改善されており、
またHMNTC単独で使用した比較例2に比べて機械的
強度が向上していることがわかる。
【0047】
【発明の効果】本発明のエポキシ樹脂硬化剤を用いた硬
化物の耐熱性及び機械的強度が優れている。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 上野 廣 埼玉県入間郡大井町西鶴ヶ岡一丁目3番 1号 東燃株式会社 総合研究所内 (56)参考文献 特開 昭55−98223(JP,A) 特開 平3−243617(JP,A) 特開 平3−252418(JP,A) 特開 平3−277622(JP,A) 特開 平4−202419(JP,A) 特開 平5−202019(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) C08G 59/42

Claims (2)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 (A) 5-(2,4- ジオキソテトラヒドロ-3-
    フラニルメチル)ノルボルナン-2,3- ジカルボン酸無水
    物、及び(B) メチルノルボルネン-2,3- ジカルボン酸無
    水物を含有してなるエポキシ樹脂硬化剤。
  2. 【請求項2】 上記 (A)及び (B)を5:95〜95:5の重
    量比で含有する請求項1記載のエポキシ樹脂硬化剤。
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