JP3127708B2 - 切削工具用の被覆超硬合金 - Google Patents

切削工具用の被覆超硬合金

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JP3127708B2
JP3127708B2 JP06068094A JP6809494A JP3127708B2 JP 3127708 B2 JP3127708 B2 JP 3127708B2 JP 06068094 A JP06068094 A JP 06068094A JP 6809494 A JP6809494 A JP 6809494A JP 3127708 B2 JP3127708 B2 JP 3127708B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、一般鋼及び難削材の切
削に適した被覆超硬合金に関する。
【0002】
【従来の技術】従来、一般鋼切削用の切削工具として
は、P種超硬合金(WC−Co合金にTi、Ta、Nb
の炭窒化物を10重量%以上添加した超硬合金)が用い
られてきたが、近年は切削条件が高速化してきた結果、
M種超硬合金(WC−Co合金にTi、Ta、Nbの炭
窒化物を5〜10重量%添加した超硬合金)の表面に、
CVD法やPVD法によりTiC、TiCN、TiN、
Al23等のセラミック被膜を3〜10μmの厚さに設
けた被覆超硬合金の使用割合が増大している。
【0003】しかし、セラミック被膜を超硬合金に被覆
することによって、脆性材料であるセラミック被膜その
ものが欠陥となったり、超硬合金母材表面にη相(Co
33C等の脱炭相の総称)が発生したりして強度低下が
起こるため、これを防ぐ様々な工夫が母材となる超硬合
金に対して行われてきた。
【0004】例えば、特公昭59−7349号公報に
は、超硬合金母材に遊離炭素を含有させることによっ
て、コーティング時に母材表面に発生しやすいη相を抑
制することが記載されている。特開平3−97866号
公報には、η相を形成しにくい反応ガスを原料とするC
VD法により、低炭素の超硬合金母材にセラミック被膜
をコーティングすることが提案されている。又、鈴木寿
著、「超硬合金と焼結硬質材料」、丸善発行、第221
頁には、被覆超硬合金母材の表面に脱β相((W,Ti)
C,N)等の複炭窒化物相が消失した相)を形成させる
ことによって、母材表面のCo量を多くし、被覆時の強
度低下を防ぐ技術が開示されている。
【0005】しかしながら、特公昭59−7349号公
報及び特開平3−97866号公報の技術によればη相
の形成を抑制できるが、抑制可能な厚みは表面から約5
μmと小さく、実際に切削工具使用時に問題となる10
0μm以上の疲労亀裂(府川敦等、「粉体および粉末冶
金」41、(1994)、第3頁参照)の進展防止には効
果が少ないため、依然として工具寿命は短いものであっ
た。又、脱β相を形成する技術についても、超硬合金表
面に結合相量が増加した領域が深さ約20μm程度形成
されるため、初期欠損の防止は期待できても疲労亀裂の
長さに対してその厚みは薄く、亀裂進展の抑制には効果
が薄いうえ、表面に結合相量が増加した結果高速切削条
件では耐塑性変形性が低下し、かえって工具寿命は短い
ものとなっていた。
【0006】一般に、同一Co量の超硬合金の強度は、
その合金のWC粒度とほぼ相関関係にあり、WC粒度が
細かくなればなるほど曲げ強度は向上するが、逆に破壊
靭性は低下する。しかるに、曲げ強度が大きいほど微小
亀裂の発生は起こりにくく、破壊靭性が大きいほど微小
亀裂の進展は遅くなると考えられるため、工具寿命の向
上のためには、強度と靭性を同時に向上させることが必
要であり、そのための努力が重ねられている。
【0007】かかる開発努力により、強度と靭性を同時
に改善した超硬合金として、例えば特開昭62−170
451号公報及びUSP4966627には、WC等の
硬質相が微粒と粗粒とからなる超硬合金が提案されてい
る。しかしながら、この超硬合金は一般鋼切削用の被覆
超硬合金を十分意識したものではないため、コーティン
グを行う母材としての最適化が不十分であり、被覆切削
工具として用いた場合その性能は満足できるものではな
かった。
【0008】又、特開平5−255795号公報には、
超硬合金母材の硬質相であるWCを粗粒、中粒、細粒の
3種類に分け、それぞれの含有率を規定した被覆切削工
具が記載されている。この切削工具では、WCの粒度分
布を規定して亀裂伝播の抑制効果を図っているが、粒度
分布の幅が従来品より若干広いだけで連続的であり、結
合相を少なくして耐塑性変形性を高めることは期待でき
ない。更に、細粒の割合が多いため、亀裂進展の抑制効
果が不十分であった。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、かかる従来
の事情に鑑み、強度と靭性をバランス良く向上させるこ
とによって、一般鋼及び難削材に対して高速切削で優れ
た切削性能を有し、しかも工具の長寿命化を果し得る、
切削工具用の被覆超硬合金を提供することを目的とす
る。
【0010】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するた
め、本発明が提供する切削工具用の被覆超硬合金の1つ
は、結合相として4〜10重量%のCoを含むWC基超
硬合金と、該WC基超硬合金表面に形成した被覆層とか
らなる被覆超硬合金において、(a)前記合金の任意の断
面組織上の面積比率で、硬質相のWC結晶の80%以上
を占める粒度0.1〜1μmの微粒子Aと粒度3〜10
μmの粗粒子Bとの面積比率A/Bが0.22〜0.45
であり、(b)該合金中の炭素量Xが −0.5≦(X−b)/(a−b)≦0.67 (但し、aは遊離炭素を生じる下限炭素量及びbはη相
を生じる上限炭素量を表し、X、a及びbは重量%であ
る)なる関係を満たし、(c)前記被覆層がTi、Zr及
び/又はHfの炭化物、窒化物、炭窒化物、炭酸化物又
はホウ窒化物の単層又は複層と、Ti、Zr又はHfの
酸化物若しくはAl23の単層又は複層とからなり、全
体の膜厚が5〜100μmであることを特徴とするもの
であり、一般鋼の切削に適している。
【0011】又、本発明が提供する切削工具用の被覆超
硬合金の他の1つは、結合相として4〜10重量%のC
oを含むWC基超硬合金と、該WC基超硬合金表面に形
成した被覆層とからなる被覆超硬合金において、(a)前
記合金の任意の断面組織上の面積比率で、硬質相のWC
結晶の80%以上を占める粒度0.1〜1μmの微粒子
Aと粒度3〜10μmの粗粒子Bとの面積比率A/Bが
0.22〜0.45であり、(b)該合金中の炭素量Xが −0.5≦(X−b)/(a−b)≦0.67 (但し、aは遊離炭素を生じる下限炭素量及びbはη相
を生じる上限炭素量を表し、X、a及びbは重量%であ
る)なる関係を満たし、(c)前記被覆層がTiの炭化
物、窒化物又は炭窒化物、若しくはTiとAlの合金の
炭化物、窒化物又は炭窒化物の単層又は複層からなり、
全体の膜厚が0.2〜10μmであることを特徴とし、
難削材の切削に好適である。
【0012】
【作用】本発明者らは、一般鋼及び難削材の切削加工に
おける工具の摩耗機構を鋭意研究した結果、鋼を300
m/min以上又はNi基耐熱合金を100m/min
以上の条件で高速切削した場合その刃先温度は1000
℃以上になること、また工具は摩耗の進行を抑制するた
め湿式切削に供されることが多いため、部品の多数個切
削、断続切削、フライス切削において切削中の高温と非
切削時の冷却とが交互に繰り返され、この熱衝撃によっ
て導入される亀裂が原因となって被覆層の剥離や欠損が
生じ、更に繰り返しの衝撃により亀裂が疲労的に進展し
て最後には工具の欠損を招く結果、短時間で寿命に至る
という事実が判明した。
【0013】このような事実の検討に基づいて、本発明
者らは、WC結晶を単一粒度ではなく、微粒子群と粗粒
子群の2種類を混合したものとすることによって、超硬
合金の強度と靭性を同時に改善向上させることができ、
しかもこの超硬合金を母材にしてコーティングを行った
被覆超硬合金では疲労亀裂の進展が抑制され、一般鋼や
難削材に対して優れた切削性能が得られることを見いだ
し、本発明に至ったものである。
【0014】即ち、本発明の超硬合金母材においては、
図1に示すように、WC結晶が平均粒子サイズで5:1
以上異なる微粒子Aと粗粒子Bの2つの群からなり、微
粒子Aの粒度は0.1〜1μm及び粗粒子Bの粒度は3
〜10μmの範囲が特に好ましい。ただし、WC結晶の
粒度を画一的に上記2種類のみにすることは製造上難し
いので、全WC結晶の80%以上、好ましくは90%以
上が上記粒度の微粒子Aと粗粒子Bのいずれかの群に含
まれれば良い。上記の微粒子Aは超硬合金母材の強度と
硬度を高めるのに有効であり、一方の粗粒子Bは疲労亀
裂の進展を防止するのに有効である。
【0015】従来技術として先に述べたように、特開昭
62−170451号公報により微粒子Aと粗粒子Bの
重量比A/Bを0.33〜3(面積比に換算すると0.4
8〜2.08に相当)とした超硬合金が知られている
が、この範囲の微粒子と粗粒子の組合せでは疲労亀裂の
進展を抑制する効果が十分でなかった。又、特開平5−
255795号公報にはWC粒を粗粒、中粒、細粒に分
けて各粒子の含有率を規定した超硬合金が提案されてい
るが、WC粒の粒度分布が連続的であり、粗粒と微粒の
持つそれぞれの優れた特徴を十分に引き出すことができ
なかった。
【0016】そこで、本発明では合金の任意の断面の鏡
面研磨組織上における面積比で、微粒子Aと粗粒子Bの
面積比A/Bを0.22〜0.45とし、粒度分布で図1
に示すように2つのピークを持つようにした上で、それ
らの平均粒径が5:1以上異なるようにすることによっ
て、微粒子Aと粗粒子Bのそれぞれの優位性を失うこと
なく、一般鋼及び難削材の切削において曲げ強度と硬度
を維持しながら、特に疲労亀裂の進展が少なく、優れた
切削性能を発揮する被覆超硬合金を得ることができた。
ただし、微粒子Aと粗粒子Bの面積比A/Bが0.22
未満では微粒子Aが少なすぎるため強度が不足し、逆に
0.45を越えると破壊靭性が低下し、疲労亀裂の進展
を抑制する効果が小さくなる。
【0017】本発明の微粒子と粗粒子は平均粒径が5:
1以上違うため、図2に示すようにWC粗粒子1の間に
WC微粒子2が入り込んで隙間を埋める構造となり、よ
り少ない結合相3合金を形成できる。従って、この超硬
合金は耐塑性変形性に優れ、同一結合相量の時には合金
全体での結合相の平均自由行程が大きくなり、機械性質
が向上する。このWC結晶の微粒子と粗粒子の最適な組
合せにより、本発明の超硬合金では結合相であるCo量
を増やさなくても靭性の向上を達成できるが、Co含有
量が4重量%未満ではやはり靭性の低下が著しく、10
重量%を越えると耐塑性変形性が低下するので、Co量
を4〜10重量%の範囲とする。
【0018】この様な粗粒子と微粒子の最適な組み合わ
せを持ったWC基超硬合金に被覆層を設け、実際に切削
に使用した際の亀裂の進展具合を詳細に観察した結果、
亀裂の進行は従来品と比べて湾曲が大きくなっているこ
とから、亀裂進展のためのエネルギー消費量が増大して
いることが確認できた。しかし、より微細に観察する
と、図3に示すように、WC粗粒子1の中を亀裂が進展
しているケースも多く見いだされた。粗粒子を添加した
合金構造による効果を最大限に高めるためには、図4に
示すように、亀裂の進展がWC粗粒子1及びWC微粒子
2と結合相3の界面を通るようにすることが必要であ
る。
【0019】本発明者らは、その方法を鋭意検討した結
果、超硬合金を低炭素合金とすることが効果的であるこ
とを見いだした。低炭素合金とすることによって、結合
相とWC結晶粒子との濡れ性が低下する結果、疲労によ
り進展する亀裂は図4のようにWC結晶粒子と結合相3
の界面をWC粗粒子1を迂回して通るため、合金の欠損
に至るまでの時間を更に延ばすことができた。
【0020】特に、超硬合金中の炭素量をX重量%、遊
離炭素を生じる下限炭素量をa重量%、及びη相を生じ
る上限炭素量をb重量%としたとき、X、a及びbが −0.5≦(X−b)/(a−b)≦0.67 の関係を満たす場合に、亀裂進展の抑制効果が大きかっ
た。更に、超硬合金中の炭素量を上記範囲に制御するこ
とにより、WC微粒子の粒成長が抑制され、本発明の微
粒子Aと粗粒子Bを組み合わせた構造制御が行いやすく
なる。尚、(X−b)/(a−b)の値が−0.5未満では
合金そのものの強度が低下するため好ましくなく、0.
67を越えると炭素量を制御した効果を得ることができ
ない。
【0021】本発明においては、超硬合金中にNi及び
/又はFeを0.1〜10重量%含むことで、WC粒子
と結合相の濡れ性が低下し、亀裂がWC粒子を迂回して
進展するようになり、本発明の合金の構造の特徴が生か
されやすい。しかし、Ni及びFeの添加量が0.1重
量%未満では亀裂進展抑制の効果がなく、10重量%よ
り多く添加してもその効果は変わらず、かえって高速切
削時に耐塑性変形性の低下がみられるので好ましくな
い。
【0022】又、超硬合金中に第IVa族、第Va族、第V
Ia族元素から選ばれた少なくとも1種の金属の炭化
物、窒化物又は炭窒化物若しくはこれらの固溶体が、1
5重量%以下の割合で分散することにより、亀裂の進展
抵抗が向上することを確認した。この理由は、WC粒子
と結合相の濡れ性の低下若しくは窒化物及び炭窒化物と
結合相の濡れ性の悪さが原因と思われる。更に、WC粒
子の成長も抑えられる結果、合金の強度が向上し、耐ク
レーター摩耗性も向上した。特に、Zr、Ta、Nbの
少なくとも1つの窒化物又は炭窒化物が有効である。こ
れらの窒化物や炭窒化物の添加量は、0.1重量%未満
では効果が少なく、15重量%を越えると合金の強度低
下が著しくなるので好ましくない。
【0023】本発明の超硬合金の結合相中に、V及び/
又はCrの炭化物、窒化物又は炭窒化物からなる硬質相
若しくはV及び/又はCrを結合相中に含み、それらの
合計を合金の0.1〜3重量%とすることにより、微粒
WC結晶の溶解及び析出による異常な粒成長を防ぐ効果
があるほか、合金の炭素量が低くコントロールされてい
るため上記VやCr又はその化合物が結合相中に固溶し
やすくなり、これらの添加による固溶強化の働きが向上
して特に高速切削時の切削特性が向上する。しかし、こ
れらの含有量が合金全体の0.1重量%未満では粒成長
防止の効果がみられず、3重量%を越えると超硬合金の
強度に悪影響を及ぼすので、0.1〜3重量%の範囲と
することが好ましい。
【0024】又、超硬合金中にTi、Nb、Taの炭化
物及び/又はそれらの固溶体が含まれることによって、
合金の強度、高温硬度、熱伝導率、及び耐クレーター性
の向上に効果がある。しかし、本発明の超硬合金におい
ては、炭化物を多量に添加するとかえって強度低下を招
くので、これらの炭化物及び固溶体の含有量は合計で5
重量%以下とすべきである。
【0025】更に、本発明の超硬合金の表面に脱β相を
形成させると、従来の脱β相を有する超硬合金に比べ
て、脱β相中に粗粒のWCが存在するため一層亀裂が進
展しにくくなり、初期の亀裂発生の抑止効果が大きく、
初期欠損に非常に強い被覆超硬合金を得ることができ
る。そのうえ、合金内部において亀裂の進展抵抗が大き
いので、疲労欠損にも強い被覆超硬合金となる。
【0026】つまり、超硬合金の表面近傍においてWC
を除く第IVa族、第Va族、第VIa族元素から選ばれた
少なくとも1種の金属の炭化物、窒化物又は炭窒化物若
しくはこれらの固溶体が、合金内部に比べ少ないか又は
存在しない相が合金表面下5〜50μmの範囲に存在す
るようにすることで、非常に優れた超硬合金母材を得る
ことができる。ただし、この相の厚さが5μmより薄い
とその効果は小さく、逆に50μmより厚いと耐塑性変
形性の低下が著しくなる。
【0027】更に加えて、本発明の超硬合金は耐熱衝撃
性に優れている。即ち、耐熱衝撃性は下記数1の数式に
よって表される:
【数1】△T=K×σk/αE (△T:耐熱衝撃性、σ:抗折力、k:熱伝導率、α:
熱膨張係数、E:ヤング率、K:定数)
【0028】この数式において、本発明の超硬合金はW
C微粒子により欠陥寸法が小さくなるため抗折力σが大
きくなり、熱を伝える結合相の平均自由行程が大きいた
め熱伝導率kが大きく、しかもヤング率Eと熱膨張係数
αは通常の超硬合金と変わらないから、耐熱衝撃性△T
が優れていることが説明できる。
【0029】又、一般に超硬合金にセラミック被膜をコ
ーティングすると抗折力が低下することが知られてい
る。その原因は、コーティング後の冷却時に合金母材と
被覆層との熱膨張係数差により導入される亀裂が、グリ
フィスの亀裂と同様に応力集中源の役割を果すためとさ
れている(鈴木寿著、「超硬合金と焼結硬質材料」、丸
善発行、第213頁参照)。このとき、応力集中源とな
る亀裂深さは、(被覆層の厚さ+母材に侵入した亀裂深
さ)と考えることができる。
【0030】よって、被覆超硬合金の抗折力は下記数2
の数式で表すことができる:
【数2】σm -1=σ0 -1+K(dc+dw1/2 (σm:被覆超硬合金の抗折力、σ0:超硬合金母材の抗
折力、dc:被覆層の厚さ、dw:超硬合金母材に侵入し
た亀裂深さ、K:定数)
【0031】そして、本発明の超硬合金においては、W
C微粒子を有するため超硬合金の抗折力σ0は大きく、
WC粗粒子により破壊靭性が大きくなるため超硬合金母
材に侵入した亀裂深さdwは小さくなる。従って、本発
明の超硬合金を母材とする被覆超硬合金は、従来のもの
と比較してセラミック被膜をコーティングした後の抗折
力の低下が少なくなり、初期欠損の防止に効果が高いこ
とが判る。
【0032】尚、本発明の超硬合金は、原料粉末である
WC粉末の粒径を、目的とするWC結晶の微粒子群と粗
粒子群の粒度に応じて調整混合し、混合WC粉末をCo
粉末等と共に焼結することにより製造する。焼結方法と
しては、通常の真空焼結を用いることができることは勿
論であるが、更に熱間静水圧プレス(HIP)焼結を用い
たり、シナターHIP焼結を行えば、得られる超硬合金
の抗折力を300kg/mm2以上にすることができ、
切削性能を更に高めることができる。
【0033】次に、本発明の一般鋼切削用と難削材切削
用の被覆超硬合金について、特に優れた特性を有するも
のを具体的に説明する。母材は上記した本発明の超硬合
金、即ち結合相として4〜10重量%のCoを含み、任
意の断面組織上の面積比率で硬質相のWC結晶の80%
以上を占める粒度0.1〜1μmの微粒子Aと粒度3〜
10μmの粗粒子Bとの面積比率A/Bが0.22〜0.
45であり、合金中の炭素量Xが−0.5≦(X−b)/
(a−b)≦0.67(但し、aは遊離炭素を生じる下限
炭素量及びbはη相を生じる上限炭素量を表し、X、a
及びbは重量%である)なる関係を満たす超硬合金であ
ることを要する。
【0034】まず、上記超硬合金母材の表面に、Ti、
Zr及び/又はHfの炭化物、窒化物、炭窒化物、炭酸
化物又はホウ窒化物の単層又は複層と、Ti、Zr又は
Hfの酸化物若しくはAl23の単層又は複層とからな
り、全体の膜厚が5〜100μmである被覆層を形成し
た被覆超硬合金は、一般鋼切削用として特に優れた性能
を有する。特に、厚さ20μm以上の被覆層を有する被
覆超硬合金は、耐欠損性が低くなるため従来は実用化さ
れていなかったが、本発明により実用化が可能となり、
鋼の切削において優れた性能を発揮できるようになっ
た。
【0035】上記の被覆層は、通常の化学的蒸着法(C
VD法)或は物理的蒸着法(PVD法)を用いて形成で
きる。尚、被覆層全体の膜厚が5μm未満では耐摩耗性
の向上が小さく、100μmを越えると耐欠損性が低下
するため、全体の膜厚を5〜100μmとすることが好
ましい。
【0036】又、上記超硬合金母材の表面に、Tiの炭
化物、窒化物又は炭窒化物、若しくはTiとAlの合金
の炭化物、窒化物又は炭窒化物の単層又は複層からな
り、全体の膜厚が0.2〜10μmである被覆層を形成
した被覆超硬合金は、難削材の切削に適している。被覆
層全体の膜厚が0.2μm未満では被覆による効果がな
く、10μmを越えると強度が低下しやすくなるため、
0.2〜10μmの膜厚とすることが好ましい。
【0037】この被覆層も、通常のPVD法やCVD法
を用いて形成することができる。なかでもPVD法によ
り形成した被覆層は、圧縮残留応力を有するため亀裂が
入りにくく、被覆後も母材である超硬合金の優れた強度
と靭性を保持することができる。従って、被覆層をPV
D法で形成した被覆超硬合金は、難削材の切削において
もチッピングが発生しにくく、被覆層による耐溶着性と
相まって難削材切削における大幅な工具寿命の延長を図
ることができる。
【0038】尚、本発明において、超硬合金のWC結晶
の微粒子と粗粒子の含有比率は合金の任意の断面におけ
る鏡面研磨組織上の面積比率で定義したが、面積比率を
測定する方法は次に述べる方法により行った。まず、合
金の任意の断面を鏡面研磨し、光学顕微鏡又は走査型電
子顕微鏡にて1500倍で5視野写真撮影し、その写真
を用いて微粒子と粗粒子のグループ分けを行う。グルー
プ分けの基準となる粒度は、多角形のWC粒子の場合は
対角線の最大長さ、三角形の場合は最大辺の長さとし
た。このようにグループ分けした組織写真を画像処理装
置にかけ、微粒子と粗粒子の面積比率を求めた。
【0039】又、合金を形成するWC粒子が球形と仮定
すると、微粒子の粒径をrA及び粗粒子の粒径をrBとし
たとき、両者の面積比Sは(rA/rB)2及び体積比Vは
(rA/rB)3で表され、両者の密度は同一であるから体
積比Vは重量比と等しい。従って、V=S3/2の関係が
成立し、面積比で0.22は重量比で0.1に相当し、面
積比で0.45は重量比では0.3に相当することにな
る。
【0040】
【実施例】実施例1 市販の平均粒径0.5μmの微粒WC粉末と平均粒径5
μmの粗粒WC粉末、Co粉末、Cr32粉末及びVC
粉末を準備し、これらの原料粉末をボールミルで24時
間湿式混合し、乾燥した後、1.5kg/cm2の圧力で
プレス成形した。次いで、圧粉体を真空中にて1450
℃で焼結し、その後更に1000kg/cm2の圧力で
HIP処理した。
【0041】使用するWC粉末の粗粒と微粒の割合を調
整し、上記の方法に従って、硬質相であるWC結晶の粒
度分布が異なる超硬合金を作製した。表1に、各超硬合
金におけるWC結晶の粒度0.1〜1μmの微粒子Aと
粒度3〜10μmの粗粒子Bの面積比率、A+Bの合金
中の重量割合、Co、Cr及びVの合金全体に対する重
量割合、並びに合金炭素量Xと各合金組成における遊離
炭素を生じる下限炭素量a及びη相を生じる上限炭素量
bとの関係(X−a)/(a−b)を示した。尚、試料10
ではVは一部炭化物の形で合金中に存在し、試料13で
はCrは一部炭化物の形で合金中に存在した。
【0042】
【表1】 (注)表中の*を付した試料は比較例である(以下同
じ)。
【0043】得られた各超硬合金を母材として、その表
面に通常のCVD法により下記表2に示す被覆層を形成
した。
【0044】
【表2】被覆層 第1層 第2層 第3層 第4層 第5層 A* TiC(50) Al2O3(60) − − − B* TiCN(1) ZrO2(3) − − − C* TiCN(5) TiC(5) TiN(5) − − D TiC(5) TiBN(0.5) Al2O3(5) TiN(0.5) − E TiCN(10) Al2O3(20) ZrO2(5) − − F TiCN(20) TiCO(2) Al2O3(40) HfO2(10) TiN(1) G TiN(1) ZrN(2) TiCN(10) HfC(20) Al2O3(20) H TiN(1) ZrN(5) TiCN(5) HfCN(5) HfO2(5) I TiN(1) (TiHf)CN(3) TiBN(0.5) Al2O3(0.5) − J TiN(1) (TiZr)CN(10) Al2O3(60) (TiHf)CN(25) TiN(4) (注)各層の物質名の後の括弧に膜厚(単位μm)を示
した(以下同じ)。
【0045】得られた各被覆超硬合金試料からなる型番
SNMG120412形状の切削工具を用いて、SCM
415(HB180)を被削材として下記2種の切削条
件下にて湿式で切削試験を行った。各試験において、逃
げ面摩耗量が0.2mmに達するか又は欠損が発生する
までの時間を切削可能時間として、切削条件1の結果を
表3に、及び切削条件2の結果を表4にそれぞれ示し
た。
【0046】切削条件1 切削速度 : 600m/min. 送 り 量 : 0.5mm/rev. 切り込み : 1.5mm 湿式切削(3秒の繰り返し旋削)
【0047】切削条件2 切削速度 : 300m/min. 送 り 量 : 0.4mm/rev. 切り込み : 1.5mm 湿式切削(4本V溝材の断続旋削)
【0048】
【表3】(切削条件1での切削可能時間(min))試 料 被 覆 層 (母材) A* B* C* 1* 4.0 1.0 1.5 3.6 3.1 2.2 1.3 1.5 3.5 0.3 2* 3.0 1.5 2.0 3.9 4.0 1.0 0.7 0.3 4.0 0.5 3* 3.5 2.3 2.5 4.0 4.8 1.0 0.3 0.5 4.0 0.5 4* 2.8 2.1 2.0 4.1 4.6 1.1 0.1 0.2 4.3 0.1 5* 3.8 3.5 3.3 4.2 4.2 4.3 4.8 4.1 5.3 4.5 6 4.3 2.1 1.2 5.9 8.9 6.5 9.7 7.8 6.0 9.0 7 4.5 2.1 1.8 6.0 9.0 7.0 10.5 6.5 7.0 9.8 8 5.0 2.0 2.0 5.8 8.5 6.8 10.2 8.0 6.5 8.0 9 4.6 1.9 1.8 6.4 10.0 9.0 15.0 7.9 6.4 10.0 10 4.9 2.0 1.9 6.8 10.5 10.0 18.0 9.0 6.5 10.5 11 4.5 2.0 2.0 6.0 9.4 14.0 20.0 7.0 6.0 13.0 12 5.2 2.4 2.2 7.5 11.5 18.0 20.0 11.0 7.0 12.0 13 5.3 2.2 2.4 7.0 11.2 16.0 20.0 8.0 6.8 14.0
【0049】
【表4】(切削条件2での切削可能時間(min))試 料 被 覆 層 (母材) A* B* C* 1* 0.1 0.2 0.2 2.4 1.9 0.7 0.4 0.8 1.9 0.2 2* 0.2 0.3 0.3 1.0 1.0 0.3 0.2 0.6 1.1 0.4 3* 0.1 0.2 0.2 1.5 1.2 0.4 0.6 1.0 1.3 0.3 4* 0.1 0.2 0.2 1.6 1.3 0.5 1.2 1.1 1.1 0.5 5* 0.2 0.3 0.3 1.6 1.2 0.4 0.3 0.8 0.9 0.6 6 0.8 1.5 0.9 6.2 4.5 3.2 3.9 5.4 7.0 4.0 7 0.9 1.9 1.9 8.0 6.0 5.0 4.0 4.8 8.5 4.5 8 1.0 1.8 1.8 7.5 6.0 5.4 4.6 5.0 7.0 5.1 9 0.8 1.6 1.5 8.0 6.3 6.0 5.0 5.5 7.7 5.3 10 1.0 1.5 1.5 7.8 7.5 7.0 5.8 6.0 8.0 6.1 11 1.2 1.8 1.4 9.8 8.0 8.5 8.0 8.0 10.5 9.5 12 0.7 1.6 1.5 7.0 7.0 7.1 7.0 7.0 8.0 7.1 13 0.9 1.2 1.5 8.5 7.8 7.9 7.0 6.5 7.8 6.6
【0050】上記表3及び表4の結果から、WC結晶の
微粒子Aと粗粒子Bの面積比率A/Bが本発明の範囲内
にある超硬合金母材の表面に酸化物を含む被覆層を形成
した本発明試料からなる切削工具は、一般鋼を切削した
時の耐摩耗性及び耐欠損性が共に優れ、切削性能が向上
していることが判る。
【0051】実施例2 実施例1と同じ粗粒WC粉末と微粒WC粉末、Co粉
末、Cr32粉末、VC粉末、並びにTiC粉末、Ta
C粉末及びNbC粉末を準備し、各粉末の割合を変えた
以外は実施例1と同様にして超硬合金を製造した。表5
に、各超硬合金におけるWC結晶の粒度0.1〜1μm
の微粒子Aと粒度3〜10μmの粗粒子Bの面積比率、
A+Bの合金中の重量割合、Co、Cr及びVの合金全
体に対する重量割合、複炭化物の重量割合、合金炭素量
Xと各合金組成における遊離炭素を生じる下限炭素量a
及びη相を生じる上限炭素量bとの関係(X−a)/(a
−b)を示した。
【0052】尚、2種以上の複炭化物を含む試料14〜
17では、これらは相互の固溶体の炭化物として合金中
に存在し、又いずれの試料においても複炭化物中には多
少のWが固溶していた。又、試料16及び20ではVは
一部炭化物の形で合金中に存在し、試料17ではCrは
一部炭化物の形で合金中に存在した。
【0053】
【表5】 A/B A+B Co Cr V TiC TaC NbC (X−a)/試料 面積比 (wt%) (wt%) (wt%) (wt%) (wt%) (wt%) (wt%) (a−b) 14* 0.40 89 10 − − 2 2 2 0.5 15* 0.34 88 10 3 − 9 2 1 0.6 16* 0.45 88 8 − 3 7 2 − 0.4 17 0.34 80 10 2 1 2 1.5 1.5 0.33 18 0.22 89 8 − − 5 − − 0.4 19 0.45 88 4 0.1 − − 5 − 0.5 20 0.34 90 8 − 3 − − 5 0.45
【0054】得られた各超硬合金を母材として、その表
面に通常のCVD法により前記表2のA、B、及びE〜
Jの各被覆層をそれぞれ形成した。得られた各被覆超硬
合金からなる型番SNMG120412形状の切削工具
を用いて、SCM415(HB180)を被削材として
実施例1と同様の切削条件1及び切削条件2による切削
試験を行い、切削可能時間を評価した結果を表6及び表
7に示した。
【0055】
【表6】(切削条件1での切削可能時間(min))試 料 被 覆 層 (母材) A* B* 14* 3.0 2.0 2.8 3.0 4.5 3.0 2.5 4.3 15* 3.5 3.0 3.3 3.8 4.8 4.5 3.2 4.2 16* 4.0 3.8 4.0 4.2 5.0 4.3 4.0 3.0 17 4.2 4.0 7.0 5.5 6.0 5.9 6.5 8.0 18 4.5 4.2 10.0 9.0 7.0 6.2 7.0 14.0 19 4.0 3.6 16.0 13.0 18.0 5.6 5.9 20.0 20 3.8 3.5 13.5 14.2 12.0 6.4 8.0 9.0
【0056】
【表7】(切削条件2での切削可能時間(min))試 料 被 覆 層 (母材) A* B* 14* 0.1 1.0 1.4 1.5 2.4 2.4 4.0 2.3 15* 0.1 1.4 1.6 1.8 3.0 2.4 3.5 1.3 16* 0.1 0.8 1.2 1.2 1.8 1.7 4.8 0.9 17 0.8 1.8 5.0 8.0 7.5 6.9 10.2 8.0 18 0.9 2.0 5.2 6.1 6.0 6.8 8.0 7.5 19 0.8 2.4 4.9 4.8 5.3 7.5 15.0 10.2 20 1.0 2.0 6.1 6.0 5.4 7.5 9.0 10.5
【0057】実施例3 実施例1と同じ粗粒WC粉末と微粒WC粉末、及びCo
粉末、Ni粉末、Fe粉末、Cr32粉末、VC粉末、
並びにTiC粉末、TaC粉末及びNbC粉末を準備
し、各粉末の割合を変えた以外は実施例1と同様にして
超硬合金を製造した。表8に、各超硬合金におけるWC
結晶の粒度0.1〜1μmの微粒子Aと粒度3〜10μ
mの粗粒子Bの面積比率、合金組成、並びに合金炭素量
Xと各合金組成における遊離炭素を生じる下限炭素量a
及びη相を生じる上限炭素量bとの関係(X−a)/(a
−b)を示した。
【0058】尚、2種以上の複炭化物を含む試料23、
29、30、33では、これらは相互の固溶体の炭化物
として合金中に存在し、又24、29〜38のいずれの
試料においても複炭化物中には多少のWが固溶してい
た。又、試料32ではVは一部炭化物の形で合金中に存
在し、試料34〜37ではCrは一部炭化物の形で合金
中に存在していた。
【0059】
【表8】 A/B A+B Co Ni Fe Cr V TiC TaC NbC (X−a)/試料 面積比 (wt%) (wt%)(wt%)(wt%)(wt%)(wt%) (wt%)(wt%)(wt%) (a−b) 21* 0.14 95 6 0.1 − − − − − − 0.33 22* 1.0 88 6.5 − 10 3 − − − − 0.33 23* 0.45 70 6.5 10 − − 3 3 2 − 0.33 24* 0.40 92 6 − 0.1 3 − − 5 − 0.90 25 0.34 79 4 0.1 − − − − − − 0.15 26 0.22 88 10 10 − 3 − − − − 0.33 27 0.45 87 10 − 0.1 − 3 − − − 0.33 28 0.34 90 4 − 10 0.1 − − − − 0.33 29 0.33 80 6 2 2 − − 3 1 − 0.33 30 0.45 80 10 2 − − 0.1 2 2 1 0.33 31 0.22 81 4 − 10 − 0.1 5 − − 0.33 32 0.45 87 7 0.1 − − 3 − − 5 0.33 33 0.39 87 2 10 − 0.1 − − 4 1 0.33 34 0.40 87 6 − 0.1 3 − − 5 − 0.67 35 0.40 87 6 − 0.1 3 − − 5 − 0.33 36 0.40 87 6 − 0.1 3 − − 5 − 0 37 0.40 87 6 − 0.1 3 − − 5 − −0.5
【0060】得られた各超硬合金を母材として、その表
面に通常のCVD法により前記表2のA、B、及びE〜
Jの各被覆層をそれぞれ形成した。得られた各被覆超硬
合金からなる型番SNMG120412形状の切削工具
を用いて、SCM415(HB180)を被削材として
実施例1と同様の切削条件1及び切削条件2による切削
試験を行い、切削可能時間を評価した結果を表9及び表
10に示した。
【0061】
【表9】(切削条件1での切削可能時間(min))試 料 被 覆 層 (母材) A* B* 21* 4.1 0.9 2.8 2.2 1.5 1.5 3.0 0.4 22* 1.5 0.8 2.1 0.5 0.2 0.1 1.5 0.2 23* 2.0 1.6 2.0 2.5 4.0 3.0 2.5 2.3 24* 5.0 2.3 5.7 4.5 5.1 6.5 4.5 5.6 25 6.0 3.2 10.0 12.0 16.0 11.0 10.1 19.0 26 4.0 1.9 8.5 10.3 14.5 10.9 8.9 18.3 27 4.1 2.3 8.8 9.5 11.3 8.1 7.6 12.9 28 5.0 2.5 10.2 14.0 16.2 8.5 8.0 21.0 29 7.0 3.5 15.0 20.3 21.1 10.6 9.5 24.3 30 5.0 2.7 12.0 13.5 15.1 11.0 10.0 30.1 31 4.4 3.0 10.1 14.0 16.0 10.3 7.7 32.1 32 5.0 2.5 13.0 15.3 18.1 11.2 8.5 33.0 33 4.0 1.0 10.5 14.2 16.0 12.0 11.0 31.5 34 6.0 3.3 13.0 17.9 19.9 12.0 10.5 30.9 35 6.5 3.4 14.0 19.0 20.5 13.0 10.3 40.5 36 6.7 3.6 15.0 19.5 21.0 13.2 12.1 40.6 37 6.7 3.6 16.0 19.3 21.3 13.4 11.1 40.7
【0062】
【表10】(切削条件2での切削可能時間(min))試 料 被 覆 層 (母材) A* B* 21* 0.1 0.2 1.9 1.0 0.6 1.2 2.1 0.6 22* 0.5 0.5 1.8 1.0 0.6 1.0 2.0 1.2 23* 0.5 1.0 2.0 2.1 2.8 3.0 3.9 1.2 24* 0.8 1.3 3.2 3.5 3.1 4.2 5.1 4.2 25 0.1 1.8 7.0 7.0 6.8 9.0 15.8 13.0 26 0.3 1.4 8.5 8.3 7.9 9.9 18.0 12.9 27 0.2 1.3 8.3 8.0 7.0 10.3 19.0 17.5 28 0.1 1.5 9.5 9.0 8.5 14.0 22.0 20.3 29 0.2 1.3 10.5 10.0 9.5 12.0 25.0 22.5 30 0.3 1.0 13.0 11.5 10.5 19.0 33.0 31.0 31 0.1 1.2 9.4 9.0 8.8 11.0 20.5 18.9 32 0.1 1.0 12.0 11.0 10.3 15.0 30.0 19.8 33 0.2 0.5 10.3 9.8 9.5 13.0 24.0 22.0 34 0.5 1.1 14.0 13.5 12.9 14.9 25.3 21.0 35 0.7 1.3 16.0 15.0 14.3 15.3 28.0 20.3 36 0.9 1.6 18.0 17.0 17.0 16.8 30.1 19.0 37 1.0 1.7 21.0 20.0 18.9 19.0 32.1 28.0
【0063】実施例4 実施例1と同じ粗粒WC粉末と微粒WC粉末、及びCo
粉末、Ni粉末、Fe粉末、Cr32粉末、VC粉末、
並びにTiC粉末、ZrCN粉末、HfCN粉末、Ta
CN粉末、NbCN粉末、TiN粉末、ZrN粉末、H
fN粉末、TaN粉末及びNbN粉末を準備し、各粉末
の割合を変えた以外は実施例1と同様にして超硬合金を
製造した。
【0064】表11及び表12に、各超硬合金における
WC結晶の粒度0.1〜1μmの微粒子Aと粒度3〜1
0μmの粗粒子Bの面積比率、合金組成、並びに合金炭
素量Xと各合金組成における遊離炭素を生じる下限炭素
量a及びη相を生じる上限炭素量bとの関係(X−a)/
(a−b)を示した。又、各超硬合金の表面付近で、WC
を除く周期律表の4A族、5A族及び6A族金属の炭窒
化物が合金内部に比べて減少又は消失した領域の厚さC
(μm)を表11及び表12に示した。
【0065】尚、2種以上の複炭化物を含む試料38〜
46では、これらは相互の固溶体の炭化物として合金中
に存在し、又いずれの試料においても複炭化物中には多
少のWが固溶していた。又、試料44ではVは一部炭化
物の形で合金中に存在し、試料41ではCrは一部炭化
物の形で合金中に存在していた。
【0066】
【表11】 A/B A+B Co Ni Fe Cr V C (X−a)/試料 面積比 (wt%) (wt%) (wt%) (wt%) (wt%) (wt%) (μm) (a−b) 38* − 75 7 2 − − − 10 0.5 39 0.48 80 7 2 0.5 − − 0 0.5 40 0.48 80 7 2 − − − 5 0 41 0.48 80 7 2 − 3 − 50 0.67 42 0.40 80 10 − 0.2 − − 50 0 43 0.40 80 10 − − 0.5 − 5 0.5 44 0.40 80 10 − − − 3 0 −0.5 45 0.40 80 10 2 − − − 25 0.3 46 0.40 80 8 2 − − − 5 0.67 47 0.40 80 8 2 − − − 20 0.67
【0067】
【表12】 TiCN HfCN TiN HfN ZrCN TaCN NbCN ZrN TaN NbN試料 (wt%) (wt%) (wt%) (wt%) (wt%) (wt%) (wt%) (wt%) (wt%) (wt%) 38* 12.0 3.0 − − − − − − − − 39 10.0 5.0 − − − − − − − − 40 12.0 − − 3.0 − − − − − − 41 − − 12.0 3.0 − − − − − − 42 − − − − 3.0 5.0 2.0 2.0 − − 43 − − − − 5.0 10.0 − − − − 44 1.5 − − − − − − − 9.0 4.5 45 − − − − − − − 4.0 6.0 − 46 1.0 − − − 4.0 − − − − − 47 − − − − − − − 4.0 − −
【0068】上記表11及び表12に示す各超硬合金を
母材として、その表面に通常のCVD法により実施例1
の表2に示す被覆層A、B及びE〜Jをそれぞれ形成し
た。得られた各被覆超硬合金からなる型番SNMG12
0412形状の切削工具を用いて、SCM415(HB
180)を被削材として下記2種類の切削条件による性
能評価を行った。各試験において、逃げ面摩耗量が0.
2mmに達するか又は欠損が生じるまでの時間を切削可
能時間として表13及び表14に示した。
【0069】切削条件3 切削速度 : 350m/min. 送 り 量 : 0.8mm/rev. 切り込み : 1.5mm 湿式切削(3秒の繰り返し旋削)
【0070】切削条件4 切削速度 : 350m/min. 送 り 量 : 0.35mm/rev. 切り込み : 1.5mm 湿式切削(4本V溝材の断続旋削)
【0071】
【表13】(切削条件3での切削可能時間(min))試 料 被 覆 層 (母材) A* B* 38* 1.0 1.3 1.1 2.1 2.5 0.9 2.9 3.1 39 4.5 3.8 14.0 16.0 15.6 13.5 12.1 15.9 40 3.8 2.9 12.0 14.3 14.7 12.3 10.5 16.8 41 2.9 3.0 11.5 13.2 13.9 12.2 10.2 12.9 42 6.0 4.8 16.0 16.6 16.9 15.5 14.9 20.9 43 6.8 5.5 18.3 17.7 16.9 16.8 16.9 22.8 44 7.9 7.0 25.0 22.9 22.3 22.0 17.3 29.5 45 8.5 7.1 21.0 20.1 19.9 18.8 16.2 24.5 46 8.3 7.5 25.0 22.3 28.0 24.1 22.0 23.9 47 9.5 8.2 23.3 24.6 26.2 22.9 19.1 22.9
【0072】
【表14】(切削条件4での切削可能時間(min))試 料 被 覆 層 (母材) A* B* 38* 0.1 0.5 0.2 0.1 0.1 0.1 0.4 0.1 39 2.5 3.0 8.5 9.0 11.0 19.0 22.0 20.5 40 2.9 5.0 11.0 10.9 12.3 20.3 23.4 23.3 41 3.8 6.8 13.9 12.9 13.5 22.9 26.0 24.1 42 7.5 9.5 20.9 21.9 29.0 39.0 39.9 38.5 43 5.5 8.5 19.9 18.6 22.6 37.5 38.4 40.2 44 4.5 7.9 15.8 14.4 19.3 22.5 24.5 28.0 45 5.9 9.0 25.0 24.3 30.0 45.5 51.3 50.3 46 5.5 6.2 26.5 26.3 32.5 42.5 50.0 51.3 47 8.9 8.9 29.9 28.8 38.8 49.9 59.9 60.3
【0073】表13及び表14の結果から、本発明の被
覆超硬合金からなる切削工具は一般鋼を切削した場合の
耐摩耗性及び耐欠損性に優れ、切削性能が向上している
ことが判る。又、本発明の試料の中でも、Zr、Ta、
Nbの窒化物、炭窒化物を含む試料42〜47は特に切
削性能に優れていることが判る。尚、合金表面付近に複
炭化物量が減少し或は消失した層を有する試料は、これ
らを有さない試料44よりも耐欠損性に優れる傾向にあ
るが、試料44でも従来品の試料38に比べると耐欠損
性及び耐摩耗性のバランスは十分向上していることが判
る。表11及び表12に示した合金でも被覆層を形成し
ない場合は、切削条件3及び4のいずれにおいても切削
開始後1秒以内に欠損を生じ、全く使用できなかった。
【0074】実施例5 実施例1〜4で作製した超硬合金試料6、17、29及
び45において、合金中のWC粗粒子Bの粒度を3〜6
μmに制御した試料6a、17a、29a及び45aを
作製し、それぞれの表面に被覆層Iを形成した。これら
の被覆超硬合金からなる切削工具を用いて試料6a、1
7a、29aは前記の切削条件1及び2で、試料45a
は切削条件3及び4で評価した。その結果を示した表1
5から判るように、WC粗粒子の粒度が3〜10μmの
場合に比べて3〜6μmに制御した方が耐摩耗性及び耐
欠損性のバランスが向上していることが判る。
【0075】
【表15】(切削可能時間(min))試料 切削条件1 切削条件2 切削条件3 切削条件4 6a 7.5 7.1 − − 17a 8.0 10.0 − − 29a 14.0 32.5 − − 45a − − 19.2 50.8
【0076】実施例6 実施例1と同じ粗粒WC粉末と微粒WC粉末、及びCo
粉末、Cr32粉末、VC粉末を準備し、各粉末の割合
を変えた以外は実施例1と同様にして超硬合金を製造し
た。表16に各超硬合金におけるWC結晶の粒度0.1
〜1μmの微粒子Aと粒度3〜10μmの粗粒子Bの面
積比率、合金組成、並びに合金炭素量Xと各合金組成に
おける遊離炭素を生じる下限炭素量a及びη相を生じる
上限炭素量bとの関係(X−a)/(a−b)を示した。
尚、試料57ではVは一部炭化物の形で合金中に存在
し、試料60ではCrは一部炭化物の形で合金中に存在
していた。
【0077】
【表16】
【0078】上記各超硬合金を母材として、その表面に
通常のCVD法又はPVD法により下記表17に示す被
覆層を形成した。得られた各被覆超硬合金からなる型番
SPGN120308形状の切削工具を用いて、インコ
ネル18を被削材として下記の切削条件5による性能評
価を行った。各試験において、逃げ面摩耗量が0.2m
mに達するか又は欠損が生じるまでの時間を切削可能時
間として表18に示した。
【0079】
【表17】被覆層 第1層 第2層 第3層 K* − − − L* TiN(2.0) TiCN(10.5) − M* TiCN(0.1) − − N TiN(0.5) TiCN(2.5) − O TiN(0.5) TiAlN(2.0) − P TiN(2.0) TiC(5.0) TiN(1.5)
【0080】切削条件5 切削速度 : 60m/min. 送 り 量 : 0.2mm/rev. 切り込み : 0.5mm 湿式切削
【0081】
【表18】(切削条件5での切削可能時間(min))試 料 被 覆 層 (母材) K* L* M* 48* 0.2 1.0 0.3 3.6 3.1 2.2 49* 0.5 1.5 0.7 3.9 4.0 1.0 50* 0.3 2.3 0.4 4.0 4.8 1.0 51* 1.3 2.8 0.2 3.0 3.5 3.1 52* 0.8 2.1 1.0 4.8 5.5 5.3 53 2.5 2.1 2.3 18.8 20.5 18.5 54 1.6 1.9 1.8 6.4 10.0 9.0 55 1.9 2.0 1.9 7.5 10.5 10.0 56 − − − 12.5 16.5 11.5 57 − − − 8.5 12.5 11.3 58 − − − 12.5 13.5 12.5 59 − − − 8.4 10.5 7.5 60 − − − 10.3 11.5 9.5
【0082】実施例7 実施例1と同じ粗粒WC粉末と微粒WC粉末、及びCo
粉末、TiC粉末、TaC粉末、NbC粉末、Cr32
粉末及びVC粉末を準備し、各粉末の割合を変えた以外
は実施例1と同様にして超硬合金を製造した。表19
に、各超硬合金におけるWC結晶の粒度0.1〜1μm
の微粒子Aと粒度3〜10μmの粗粒子Bの面積比率、
Co、Cr及びVの合金全体に対する重量割合、Ti
C、TaC及びNbCの複炭化物量、並びに合金炭素量
Xと各合金組成における遊離炭素を生じる下限炭素量a
及びη相を生じる上限炭素量bとの関係(X−a)/(a
−b)を示した。
【0083】尚、2種以上の複炭化物を含む試料61〜
64では、これらは相互の固溶体の炭化物として合金中
に存在し、又いずれの試料においても複炭化物中には多
少のWが固溶していた。又、試料63及び67ではVは
一部炭化物の形で合金中に存在し、試料62ではCrは
一部炭化物の形で合金中に存在していた。
【0084】
【表19】 A/B A+B Co Cr V TiC TaC NbC (X−a)/試料 面積比 (wt%) (wt%) (wt%) (wt%) (wt%) (wt%) (wt%) (a−b) 61* 0.38 89 10 − − 2 2 2 0.5 62* 0.34 88 10 3 − 9 2 1 0.6 63* 0.45 88 8 − 3 7 2 − 0.4 64 0.34 80 10 2 1 2 1.5 1.5 0.33 65 0.22 89 8 − − 5 − − 0.4 66 0.45 88 4 0.1 − − 5 − 0.5 67 0.34 90 8 − 3 − − 5 0.45
【0085】上記超硬合金を母材として、その表面に前
記表17に示した被覆層L〜Pをそれぞれ形成した。得
られた被覆超硬合金からなる型番SPGN120030
8形状の切削工具を用いて、実施例6と同様にして前記
切削条件5で切削試験を行った結果を表20に示した。
【0086】
【表20】(切削条件5での切削可能時間(min))試 料 被 覆 層 (母材) L* M* 61* 3.0 2.0 2.8 3.0 4.5 62* 3.5 3.0 3.3 3.8 4.8 63* 4.0 3.8 4.0 4.2 5.0 64 4.2 4.0 7.0 5.5 6.0 65 4.5 4.2 10.0 9.0 7.0 66 4.0 3.6 16.0 13.0 18.0 67 3.8 3.5 13.5 14.2 12.0
【0087】
【発明の効果】本発明によれば、強度と靭性がバランス
良く向上しており、一般鋼及び難削材に対して高速切削
で優れた切削性能を有し、しかも工具の長寿命化を果し
得る切削工具用の被覆超硬合金を提供することができ
る。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の被覆超硬合金の母材である超硬合金に
おいて、WC結晶の粒度0.1〜1μmの微粒子Aと粒
度3〜10μmの粗粒子Bの粒度分布を示すグラフであ
る。
【図2】本発明の被覆超硬合金の母材である超硬合金に
おいて、WC粗粒子とWC微粒子とからなる金属組織を
示す模式図である。
【図3】超硬合金のWC粗粒子中を亀裂が進展する状態
を示す模式図である。
【図4】超硬合金のWC粗粒子及びWC微粒子と結合相
の界面を亀裂が進展する状態を示す模式図である。
【符号の説明】
1 WC粗粒子 2 WC微粒子 3 結合相
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 山縣 一夫 兵庫県伊丹市昆陽北一丁目1番1号 住 友電気工業株式会社 伊丹製作所内 (72)発明者 中堂 益男 兵庫県伊丹市昆陽北一丁目1番1号 住 友電気工業株式会社 伊丹製作所内 (56)参考文献 特開 昭62−170451(JP,A) 特開 平6−220571(JP,A) 特公 昭59−7349(JP,B2) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) C22C 29/08,1/05 B23B 27/14 B23P 15/28 C23C 16/30

Claims (8)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 結合相として4〜10重量%のCoを含
    むWC基超硬合金と、該WC基超硬合金表面に形成した
    被覆層とからなる被覆超硬合金において、(a)前記合金
    の任意の断面組織上の面積比率で、硬質相のWC結晶の
    80%以上を占める粒度0.1〜1μmの微粒子Aと粒
    度3〜10μmの粗粒子Bとの面積比率A/Bが0.2
    2〜0.45であり、(b)該合金中の炭素量Xが −0.5≦(X−b)/(a−b)≦0.67 (但し、aは遊離炭素を生じる下限炭素量及びbはη相
    を生じる上限炭素量を表し、X、a及びbは重量%であ
    る)なる関係を満たし、(c)前記被覆層がTi、Zr及
    び/又はHfの炭化物、窒化物、炭窒化物、炭酸化物又
    はホウ窒化物の単層又は複層と、Ti、Zr又はHfの
    酸化物若しくはAl23の単層又は複層とからなり、全
    体の膜厚が5〜100μmであることを特徴とする切削
    工具用の被覆超硬合金。
  2. 【請求項2】 WC基超硬合金中にNi及び/又はFe
    が0.1〜10重量%含まれることを特徴とする、請求
    項1に記載の切削工具用の被覆超硬合金。
  3. 【請求項3】 WC基超硬合金中に第IVa族、第Va
    族、第VIa族元素から選ばれた少なくとも1種の金属の
    炭化物、窒化物又は炭窒化物若しくはこれらの固溶体
    が、15重量%以下の割合で分散していることを特徴と
    する、請求項1又は2に記載の切削工具用の被覆超硬合
    金。
  4. 【請求項4】 WCを除く第IVa族、第Va族、第VIa
    族元素から選ばれた少なくとも1種の金属の炭化物、窒
    化物又は炭窒化物若しくはこれらの固溶体が合金内部に
    比べ少ないか又は存在しない相が、WC基超硬合金の表
    面下5〜50μmの範囲に存在することを特徴とする、
    請求項1〜3のいずれかに記載の切削工具用の被覆超硬
    合金。
  5. 【請求項5】 WC基超硬合金中にV及び/又はCrの
    炭化物、窒化物又は炭窒化物の硬質相か、若しくは結合
    相中にV及び/又はCrを含み、これらの金属成分の合
    計が合金全体の0.1〜3重量%であることを特徴とす
    る、請求項1〜4のいずれかに記載の切削工具用の被覆
    超硬合金。
  6. 【請求項6】 結合相として4〜10重量%のCoを含
    むWC基超硬合金と、該WC基超硬合金表面に形成した
    被覆層とからなる被覆超硬合金において、(a)前記合金
    の任意の断面組織上の面積比率で、硬質相のWC結晶の
    80%以上を占める粒度0.1〜1μmの微粒子Aと粒
    度3〜10μmの粗粒子Bとの面積比率A/Bが0.2
    2〜0.45であり、(b)該合金中の炭素量Xが −0.5≦(X−b)/(a−b)≦0.67 (但し、aは遊離炭素を生じる下限炭素量及びbはη相
    を生じる上限炭素量を表し、X、a及びbは重量%であ
    る)なる関係を満たし、(c)前記被覆層がTiの炭化
    物、窒化物又は炭窒化物、若しくはTiとAlの合金の
    炭化物、窒化物又は炭窒化物の単層又は複層からなり、
    全体の膜厚が0.2〜10μmであることを特徴とする
    切削工具用の被覆超硬合金。
  7. 【請求項7】 WC基超硬合金中にV及び/又はCrの
    炭化物、窒化物又は炭窒化物の硬質相か、若しくは結合
    相中にV及び/又はCrを含み、これらの金属成分の合
    計が合金全体の0.1〜3重量%であることを特徴とす
    る、請求項6に記載の切削工具用の被覆超硬合金。
  8. 【請求項8】 WC基超硬合金中にTi、Nb又はTa
    の炭化物及び/又はそれらの固溶体が5重量%以下の割
    合で分散していることを特徴とする、請求項6又は7に
    記載の切削工具用の被覆超硬合金。
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