JP3127376B2 - ポリテトラフロロエチレン系焼成繊維焼結成型品、およびそれからなるフィルター、散気管および散液管 - Google Patents

ポリテトラフロロエチレン系焼成繊維焼結成型品、およびそれからなるフィルター、散気管および散液管

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宥直 中須賀
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】
【0002】
【産業上の利用分野】
本発明は、圧損が小さく、流体透過性に優れたポリテ
トラフロロエチレン系成型品およびそれからなるフィル
ター、散気管および散液管に関するものである。
【0003】
【従来の技術】
ポリテトラフロロエチレン(以下単にPTFEという)系
重合体繊維やPTFE系焼成繊維は産業用素材をはじめとし
て広範囲の分野において、その耐熱性や耐薬品性等の特
性のために重宝されている。しかし、かかるPTFE系重合
体繊維やPTFE系焼成繊維は、通常、バインダー樹脂、マ
トリックス樹脂や他の有機繊維との混用等の方法で各種
の成形品を形成して使用されている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
このような成形品は、PTFE系重合体繊維やPTFE系焼成
繊維の離型性、易滑性及び化学的不活性さのためにバイ
ンダー樹脂、マトリックス樹脂や他の有機繊維とのなじ
みが悪く、接着性や親和性に欠け、脱落や剥離現象が誘
起されるという欠点を有し、結局PTFEの有する優れた特
性を十分に生かすことができず、形態安定性や機械的特
性の悪いものしか提供することができなかった。
【0005】 このような従来技術背景であるから、PTFE系焼成繊維
から通常のプラスチック成型品のような成型品を作るこ
とができることは全く知られていないのが実状である。
【0006】 本発明者らは、先にかかるPTFE系焼成繊維からなる不
織布シートや紙状物を形成することを提案したが、本発
明はかかる技術をさらに発展させて、通常のプラスチッ
ク成型品と同様の成型品をPTFE系焼成繊維のみから提供
することに成功したものである。
【0007】 すなわち、本発明は、実質的にPTFE系焼成繊維の焼結
体のみからなる成型品であって、圧損が低く、目詰りし
にくく、実用寿命が長い上に、加工性がよく、目詰りし
ても簡単に清掃することができ、すぐに再使用が可能
で、しかも耐オゾン性ならびに流体透過性に優れたPTFE
系焼成繊維焼結成型品を提供せんとするものであり、さ
らにかかる成型品を用いて、優れた分離機能を有するフ
ィルター、散気管および散液管を提供せんとするもので
ある。なお、本発明の成型品は、表面硬度が80°以上で
あるという硬さを有するにも拘らず可撓性に富み、さら
に通常のプラスチックと同等に柔らかい特徴を有するも
ので、削ったりネジ切りなどの加工性に優れた成型品を
提供することができるという利点を有する。
【0008】
【課題を解決するための手段】
本発明は、上述の目的を達成するために、次のような
構成を有する。
【0009】 すなわち、本発明のPTFE系焼成繊維焼結成型品は、ポ
リテトラフロロエチレン系焼成繊維の焼結体のみからな
る多孔質体であって、JIS−K6301に基づいて測定される
表面硬度が80°以上、100°未満で、かつ、空孔率が20
〜60%であることを特徴とするものであり、さらに本発
明は、上述の成型品を用いて、フィルター、散気管また
は散液管を構成するものである。
【0010】
【発明の実施の形態】
【0011】
【作用】
本発明でいうPTFE系焼成繊維焼結成型品とは、PTFE系
焼成繊維(延伸繊維、未延伸焼成繊維を含む)のみを型
枠に装填し、さらに加熱加圧焼成して焼結させたもので
ある。したがって、PTFE系繊維が、焼成時に熱によって
収縮(約30〜50%)挙動を惹起し、繊維どうしが互いに
微細繊維状物で接合された状態で焼結して、PTFE系焼成
繊維100%からなる多孔質の成型品を形成している。
【0012】 第1図は、後述する実施例1で得た焼成繊維焼結成型
品の表面を構成する繊維形状を示す顕微鏡写真である。
この図から本発明の成型品は、短繊維状にカットされた
PTFE系焼成繊維が数個、繊維側面で数珠つなぎされ、か
つランダムな方向に幾重にも接合、焼結された多孔質構
造体であることがわかる。特に該繊維は互いに微細な繊
維状物で結合されており、この繊維状物は分離機能を高
める作用をも有する。もちろん、この図の成型品は、PT
FE系焼成繊維100%からなる多孔質の成型品である。
【0013】 このように本発明の焼成繊維焼結成型品は、PTFE系焼
成繊維が繊維形状を保持した状態で焼結されている点に
特徴を有する。
【0014】 本発明の該成型品を構成するPTFE系焼成繊維は、長繊
維状、短繊維状、およびこれらの混用物などのいずれで
もよいが、好ましくは短繊維状物で構成されているもの
がよい。
【0015】 かかる繊維としては、成型後の単糸繊度が、好ましく
は0.5〜30d、さらに好ましくは1〜10d、特に好ましく
は1〜3dの範囲のものが該成型品の物性や多孔質性能な
どの点からよい。
【0016】 また、さらに、該成型品の圧損や機械的特性の点から
すると、短繊維状物で構成されているものがよく、特
に、成型後の平均繊維長として、好ましくは0.1〜5.0m
m、さらに好ましくは0.1〜1.0mm、特に好ましくは0.2〜
0.7mm程度の範囲のPTFE系焼成繊維で構成されているも
のがよい。しかし、本発明の目的を阻害しない範囲であ
れば、上述の繊維長範囲外の繊維やパウダーが含有され
ていてもよい。
【0017】 なお、本発明の成型品は、上述の繊維で主として構成
されるが、たとえばPTFE系焼成繊維からなる編織物や不
織布などの繊維製品、さらにはこれらの繊維屑などを粉
砕した繊維粉砕物あるいはこれらの混用繊維で構成する
こともできる。
【0018】 上述のPTFE系焼成繊維からなる繊維粉砕物は前述の短
繊維と同じ程度の大きさの範囲のもので構成されたもの
が好ましい。
【0019】 本発明の成型品は、かかる繊維で構成されいるので、
該成型品の片面から他面にかけて連通している多数の微
細な連続間隙で構成された多孔質体となるものである。
この多孔は、前述の該繊維のランダム絡合によって形成
されたものであり、その孔径はランダムであるいう特徴
を有する。
【0020】 本発明の成型品の特徴は、JIS−K6301に基づいて測定
される表面硬度が80°以上、100°未満、好ましくは90
°以上、100°未満、特に好ましくは92〜96°であると
いう硬い表面を有するところにもある。すなわち、かか
る硬い表面硬度を有するにも拘らず、通常のプラスチッ
クと同様にナイフで削ったり、ネジ切りでネジを形成す
ることもできるという優れた加工性を有する。
【0021】 かかる表面硬度は、成型時の圧力によって概して左右
されるものであり、高圧、であるほど高い表面硬度のも
のが得られるが、高すぎると、空孔までつぶれてしま
う。表面硬度が80°未満の柔らかいものは、成型時の圧
力を低くすれば得られるが、かかる成型品は、手で押さ
えると凹んだり、つぶれたりする。すなわち、PTFE系焼
成繊維は、分子同士が焼成で結合しており、強度と硬さ
を有し、安定した形態を有するものであるが、四弗化エ
チレン樹脂の未焼成繊維は、分子が結合していなので、
高温高圧条件下で成型しても、つぶれてしまい、多孔化
することができないし、また、かかる未焼成繊維を用い
て高温低圧条件下で成型しても、非常に柔らかいフワフ
ワの綿状の、またはスポンジ状の成型品が提供されるに
すぎない。
【0022】 本発明の成型品は、圧損や流体透過性の上から20〜60
%、好ましくは30〜40%の範囲の空孔率を有する多孔質
体である点にも特徴を有する。ここで空孔率は、次式で
表わされる。 空孔率(%)=[(1−DT)/D0]×100 式中、DT:嵩密度(成型品の総重量を容量で除した
商) D0:繊維の真の比重 空孔率が上述範囲より小さいと、成型品の圧損に悪影
響を与え、流体流量に対して流体通過抵抗が二次曲線的
に高くなる傾向があり、大きすぎると成型品の機械的特
性が低下し、場合によっては分離機能も拡散機能も低下
する傾向が出てくる。
【0023】 かかる成型品の形態としては、パイプ状、タイル状お
よびブロック状などをはじめ、さらに複雑な形状のもの
など用途に合せて如何なる形態のものでもよい。
【0024】 本発明の成型品は、圧損が小さく、流体透過性、特に
ガス透過性に優れているので、フィルター、散気管なら
びに散液管など分離機能や拡散機能が要求される用途に
好適に使用される。
【0025】 本発明の成型品は、上述したように流体流量(ガス流
量)の低い範囲から高い範囲にわたって、流体通過抵抗
の勾配が一定で変らず、流量に対して一次直線状を示す
という特徴を有する。これに対し、たとえばセラミック
成型品からなる濾材の場合は、ガス流量を上げていくと
勾配が二次曲線的に上昇する欠点を有する。
【0026】 本発明の成型品を構成するPTFE系焼成繊維としては、
PTFE系重合体を焼成して製造された焼成繊維が用いられ
る。
【0027】 かかるPTFE系重合体としては、テトラフロロエチレン
のホモポリマーまたは全体の90モル%以上、好ましくは
95モル%以上がテトラフロロエチレンであるコポリマー
を使用することができる。テトラフロロエチレンに共重
合可能な単量体としては、トリフロロエチレン、トリフ
ロロクロロエチレン、テトラフロロプロピレン、ヘキサ
フロロプロピレンなどのフッ化ビニル化合物やさらにプ
ロピレン、エチレン、イソブチレン、スチレン、アクリ
ロニトリルなどのビニル化合物を使用することができる
が、これら限定されるものではない。かかるモノマーの
中でも、フッ化ビニル系化合物で、かつ、フッ素含有量
の多い化合物を使用するのが、繊維特性の上から好まし
い。
【0028】 かかるPTFE系重合体から焼成繊維を製造する方法の一
例を以下に示す。
【0029】 まず、紡糸原液としてはビスコースとPTFE系重合体含
有ディスパージョンとの混合液を用い、これを凝固浴中
に吐出し、凝固した後、水洗精練する。精練後アルカリ
水に浸漬して絞った後、乾燥するか、そのまま焼成工程
に導き、焼成と延伸を行うことによって製造される。こ
こで焼成と延伸は別々の工程で行なってもよい。次いで
この焼成繊維は、必要により、高温雰囲気中で、さらに
酸化熟成される。かくして得られるPTFE系焼成繊維は、
PTFE100%からなる焼結体繊維であるといえる。
【0030】 かかる焼成繊維のみをそのまま、または適宜の長さに
切断して、型枠に装填するかまたは集合、積層して熱プ
レスで、さらに焼成、焼結させて成型することによっ
て、本発明のPTFE系焼成繊維100%からなる成型品が製
造される。
【0031】 上記PTFE系重合体含有ディスパージョンは、水にPTFE
系重合体を、好ましくは20重量%以上配合分散させたも
のを使用する。この場合分散に通常の分散剤を使用する
ことができる。
【0032】 また、かかるディスパージョンに含有されるPTFE系重
合体の粒子の大きさは、小さい方が紡糸性や繊維特性の
よいものを形成することができるので好ましい。
【0033】 上述のビスコースは、その重合度が高いものが製糸性
がよくて好ましい かかるPTFE系重合体含有ディスパージョンとビスコー
スとを混合して紡糸原液とするが、この際、紡糸原液中
のPTFE系重合体の濃度は高い方が繊維特性がよくなるの
で好ましい。
【0034】 かかる紡糸原液現役は、次に無機鉱酸または無機鉱酸
塩の水溶液で構成される凝固浴中に押し出され、凝固さ
れて、凝固マルチフィラメントに形成される。
【0035】 この凝固マルチフィラメントは精練、洗浄されてから
絞り、さらに必要なら乾燥された後、次いで加熱焼成、
延伸される。かかる焼成条件としては、好ましくは300
〜450℃の温度条件が使用される。また、全延伸倍率と
しては、5〜10倍の範囲が好ましく使用される。延伸工
程は、第一次焼成または第二次焼成のいずれの段階で行
なってもよいし、両方の工程で行なってもよい。
【0036】 本発明の成型品を構成するためのPTFE系繊維として
は、好ましくは第一次焼成された延伸焼成繊維でも、ま
た、さらに空気酸化焼成された後延伸された第二次焼成
された延伸焼成繊維でもよい。勿論、かかる延伸焼成繊
維に未延伸焼成繊維が含有されていてもよい。
【0037】 なお、第一次焼成延伸繊維は、セルロース炭化物を含
有しているために、褐色ないしは黒色を呈しており、得
られる成型品は褐色ないし黒色のものとなる。
【0038】 かかる第一次焼成繊維は、第二次焼成、すなわち、第
一次焼成繊維をさらに300℃以上、好ましくは310〜340
℃で、好ましくは50時間以上、弛緩状態で空気酸化する
とともに熟成することによって白色の焼成繊維とするこ
とができる。この場合、第二次焼成時または該焼成後
に、前記延伸条件で延伸することもできる。この第二次
焼成されたPTFE系焼成繊維からは、白色の成型品が得ら
れる。
【0039】 本発明の成型品を構成するPTFE系焼成繊維としては、
未延伸状の焼成繊維よりは延伸された焼成繊維の方が表
面硬度ならびに機械的特性の優れた成型品を提供するの
で好ましい。
【0040】 かかるPTFE系焼成繊維としては、太いものを用いて成
型品を形成すると多孔質体を構成する孔の孔径が大きな
ものができ、また該繊維として細いものを用いて成型す
ると、該孔径の小さいものを提供することができるもの
である。かかる単糸繊度としては、好ましくは0.5〜30
d、さらに好ましくは1〜10d、特に好ましくは1〜3dの
ものが、成型品の強度特性や分離機能のバランスの上か
ら好ましく使用される。
【0041】 かくして得られたPTFE系焼成繊維は、そのまままたは
好ましくは0.1〜10mm、さらに好ましくは0.3〜3mm程度
にカットして成型品用の原料とされる。このカットした
短繊維や後述の繊維粉砕物は、繊維端にフィブリル化さ
れた部分を有するが、これが接合性をさらに向上し、さ
らに多孔とその孔径とのバランスを好都合に制御する作
用を有する。
【0042】 成型品の原料としては、上述のPTFE系焼成繊維のみな
らず、該繊維からなる織編物、不織布など一旦成形され
た製品ならびにこれらの繊維屑などを粉砕した繊維粉砕
物などの繊維状物を使用することができる。かかる繊維
状物も上述の短繊維と同様の範囲の平均繊維長を有する
ものが混合性と成型性に優れていて好まいし。上述の平
均繊維長範囲以外の繊維状物も、本発明の目的を阻害し
ない範囲であれば含有されていてもよい。
【0043】 すわなち、繊度や繊維長が均一な原料で成型品を形成
すると、表面形態ならびに断面形態の均一で均質な多孔
質構造体を提供し易いが、繊度や繊維長の大きな原料や
これらの不均一な原料を用いて成型品を形成すると、孔
径が不均一で表面形態や断面形態が不均一でランダムな
多孔質構造体となり易い。
【0044】 かかる成型品の成型の方法は制限はないが、たとえ
ば、プレス成型や型枠成型などの方法を使用することが
できる。
【0045】 上述の原料は、該プレス板上または型枠内に適当量装
填した後、加熱焼成する。
【0046】 この場合の焼成温度は、好ましくは330〜400℃、さら
に好ましくは350〜380℃の範囲の条件が使用されるが、
たとえば原料繊維が形成されたときの最終焼成温度以上
の条件を採用するのが好ましい。
【0047】 かかる焼成によって、該繊維は約30〜50%熱収縮し、
隣接する該繊維どうし微細繊維状物によりランダムに結
合する。
【0048】 また、本発明の成型品の空孔率は、型枠の容積に対す
る該繊維の装填量によって左右されるので、所望の空孔
率に応じて装填量を決定する。たとえば型枠に圧力をか
けて成型する場合も、この容積と装填量との関係が成立
し、圧力を高くすれば空孔率の小さいものが形成され
る。
【0049】 本発明の成型品は、前述したように20%以上の空孔率
を有する多孔質体に調整するのがよく、空孔率が上述範
囲外では、性能的に劣ったり、圧損に悪影響を与え、二
次曲線的に抵抗が高くなるものを与えたりする。
【0050】 かかる成型品を散気管、散液管として使用する場合
は、該成型品のブロックやパイプをガスや液体導入管の
先に接続することで、成型品をそのまま使用することが
できる。
【0051】
【実施例】
次に、実施例で本発明をさらに詳しく説明する。 実施例1 分散剤としてアルキルアリルポリエーテルアルコール
を用いてイオン交換水に分散されたPTFE樹脂を60%含有
するディスパージョンを114部と、ビスコース(セルロ
ース8.9%と苛性ソード5.4%、二硫化炭素29%/セルロ
ース量、残りイオン交換水)100部とを8℃の真空ミキ
サーに装填し、真空度10Torrで21時間混合・脱泡して、
紡糸原液を作った。
【0052】 この紡糸原液を、0.12mmφのホールを240個有する口
金に43g/分で導き、23m/分の速度で23℃に制御された凝
固浴中に吐出させた。凝固浴は硫酸7%、硫酸ソーダ20
%をイオン交換水に溶解してなる水溶液を用いた。
【0053】 この凝固繊維は80℃のイオン交換水槽に導かれ、約29
m/分の速度でゆっくりと十分に洗浄され、マングルで絞
られた後、苛性ソーダ濃度が0.054mol/lであるイオン交
換水溶液に浸漬し、苛性ソーダを繊維重量に対して0.32
%含有せしめた。
【0054】 このアルカリ含有繊維を次に380℃に加熱されたロー
ルに接触させて焼成した。
【0055】 この焼成繊維を、弛緩状態で320℃に加熱された空気
雰囲気中に72時間放置して白色化した後、次に350℃の
加熱ロールに接触させながら7倍に延伸した。
【0056】 得られたPTFE延伸焼成繊維は白色であり、強度1.3g/
d、伸度16.1%、乾熱収縮率(230℃×30分)12.3%とい
うバランスのとれた特性を有していた。
【0057】 この白色PTFE系焼成繊維をカッターを用いて平均繊維
長0.6mmのカットファイバーとした。
【0058】 このカットファイバーをパイプ状型枠(外径:30mm、
内径18mm)内に300g装填し、380℃で1時間焼成した。
得られたパイプの空孔率は40%で、表面硬度は94°であ
った。このパイプの表面を顕微鏡で観察したところで、
第1図のようにPTFE焼成繊維のみが幾重にも接合、積層
されて焼結して多孔質構造体を形成していた。
【0059】 このパイプについて、粉塵を含有する空気を250(l/m
in.)の流量で通して濾過したところ、0.3μm以上の粒
子の除去効率は99.989%と極めて優れていた。
【0060】 また、通気特性については、空気流量を0〜350(l/m
in.)まで変化させたときの通気抵抗を測定し、結果を
第2図に示した。
【0061】 第2図から明らかなように、本発明のパイプの通気抵
抗は流量に対して一次直線の勾配を示し、極めて抵抗が
小さいことがわかる。
【0062】 また、このパイプのフィルター特性を次の濾過テスト
で評価した。
【0063】 すなわち、濾過用の水として、ダストJIS7種、8種を
各々2gを水60lに混合したものを用意した。この水の濁
度16.0ppmであった。
【0064】 この水を流量15l/min.にて循環濾過し、1分後にサン
プリングして最大粒径10μm以上の粒子を濾過効率を測
定した。
【0065】 濾過後の該水の濁度は6.4pmmであり、最大粒径10μm
以上の粒子の濾過効率は60%であった。このパイプは濾
過特性にも優れていることがわかった。
【0066】 なお、比較のために、実施例1において、圧力を低く
下げて成型する以外は、実施例1と同様に成型した。得
られたパイプの空孔率は40%で、表面硬度は70°であっ
た。このパイプは爪で容易に傷をつけることができ、ま
た、ナイフで切ろうとすると、凹んでしまったが、切断
することはできた。
【0067】
【発明の効果】
本発明は、圧損が小さいにもかかわらず流体透過性に
優れた成型品を提供することができ、フィルター、散気
管および散液管など流体を分離、拡散する機能が要求さ
れる用途に極めて有効である。
【図面の簡単な説明】
【図1】この図は、本発明の成型品の表面を構成する繊
維の形状を示す微鏡写真である。
【図2】この図は、実施例1で得られた成型品の空気流
量と通気抵抗(圧損)の関係を示すグラフである。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 吉川 紀之 愛媛県松山市大可賀3丁目360番地 昭 和工業株式会社松山工場内 (56)参考文献 特公 昭62−21819(JP,B2) 特公 昭47−17457(JP,B2)

Claims (9)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】ポリテトラフロロエチレン系焼成繊維の焼
    結体のみからなる多孔質体であって、JIS−K6301に基づ
    いて測定される表面硬度が80°以上で、100°未満で、
    かつ、空孔率が20〜60%であることを特徴とするポリテ
    トラフロロエチレン系焼成繊維焼結成型品。
  2. 【請求項2】該焼成繊維が、0.1〜5.0mmの繊維長を有す
    るものである請求項1記載のポリテトラフロロエチレン
    系焼成繊維焼結成型品。
  3. 【請求項3】該多孔質体が、連続間隙の多孔で構成され
    ている多孔質体である請求項1または2記載のポリテト
    ラフロロエチレン系焼成繊維焼結成型品。
  4. 【請求項4】該成型品が、ランダムな孔径の孔で構成さ
    れているものである請求項1〜3のいずれかに記載のポ
    リテトラフロロエチレン系焼成繊維焼結成型品。
  5. 【請求項5】該成型品が、パイプ、タイル、ブロックか
    ら選ばれた形状を有するものである請求項1〜4のいず
    れかに記載のポリテトラフロロエチレン系焼成繊維焼結
    成型品。
  6. 【請求項6】該成型品が、ガス流量に対する通気抵抗の
    勾配が一定である請求項1〜5のいずれかに記載のポリ
    テトラフロロエチレン系焼成繊維焼結成型品。
  7. 【請求項7】ポリテトラフロロエチレン系焼成繊維の焼
    結体のみからなる多孔質体であって、JIS−K6301に基づ
    いて測定される表面硬度が80°以上、100°未満で、か
    つ、空孔率が20〜60%である成型品で構成されているこ
    とを特徴とするフィルター。
  8. 【請求項8】ポリテトラフロロエチレン系焼成繊維の焼
    結体のみからなる多孔質体であって、JIS−K6301に基づ
    いて測定される表面硬度が80°以上で、かつ空孔率が20
    %以上である成型パイプで構成されていることを特徴と
    する散気管。
  9. 【請求項9】ポリテトラフロロエチレン系焼成繊維の焼
    結体のみからなる多孔質体であって、JIS−K6301に基づ
    いて測定される表面硬度が80°以上、100°未満で、か
    つ、空孔率が20〜60%である成型パイプで構成されてい
    ることを特徴とする散液管。
JP30444790A 1990-11-09 1990-11-09 ポリテトラフロロエチレン系焼成繊維焼結成型品、およびそれからなるフィルター、散気管および散液管 Expired - Fee Related JP3127376B2 (ja)

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